JP5556084B2 - タッチパネル用ハードコートフィルム及びタッチパネル - Google Patents
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すなわち、透明タッチパネルは2枚の透明電極層の電極面同士を相対するように配置された構造を有し、その電極間の空間部には誤動作を防ぐ為に少なくとも一方の電極層上に、10μm以下の非導電性のスペーサーを設けて、両者の間隙を一定に保持している。例えば、アナログ式タッチパネルの場合、タッチペンまたは指の押し圧により電極面同士が接触して導通し、位置検出をする構造をとる。タッチパネルに押し圧がかかる場合、上下の電極面同士が平滑であるため、接触する際にニュートンリングが生じるという問題があった。
すなわち、このような用途に利用されるハードコートフィルムにおいては、プラスチックフィルムに含まれるオリゴマーの析出による白化や不透明化を防いだり、フィルムの収縮による反りを防ぐなどの目的で、透明基材のハードコート層とは反対側にシロキサン系樹脂などからなる背面コート層を設けることがよく行われている
また、透明導電性ハードコートフィルムを用いた透明タッチパネルには、熱可塑性樹脂が好ましく用いられているが、一般に熱可塑性樹脂からなるプラスチックフィルムは、上記用途での電極パターニング工程、接着工程等で使用される極性溶媒等への耐性が不十分となる場合が多い。
上記第2面ハードコート層に樹脂粒子を含有させ、
上記第1面ハードコート層の鉛筆硬度は、上記第2面ハードコート層よりも高く、
上記第1面ハードコート層の厚みは、上記第2面ハードコート層より厚く、
上記第2面ハードコート層は、JIS K 5400で規定する1kg荷重での鉛筆硬度が2H以上であり、
上記第2面ハードコート層側に透明導電層を形成し、
上記透明導電層の耐ペン摺動性試験(荷重:2.2N、回数:10万回)前の抵抗値をR0、上記試験後の抵抗値をRとしたときの変化比(R/R0)が1.5以下であることを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した構成に対し、上記ハードコート剤に含まれるアクリレートを主成分とするモノマーもしくはオリゴマーは、光硬化型アクリレートオリゴマーあるいは光硬化型アクリレートモノマーであることを特徴とするものである。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した構成に対し、上記樹脂粒子は、第2面ハードコート層を形成する硬化樹脂に対し0.5質量%以上5質量%以下であることを特徴とするものである。
なお、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載したハードコートフィルムは、少なくとも指などからの押し圧を受ける側のプラスチック基板として使用すれば良い。
また、本発明のハードコートフィルムは、透明導電層の耐ペン摺動性として(荷重:2.2N)10万回試験前後の抵抗値変化比(R/R0)が1.5以下となるように設定することが好ましい。
なお、第1面ハードコート層に樹脂粒子を含有させない場合には、一方の面側の平滑度が保障される。
第1面ハードコート層の鉛筆硬度は、1kg荷重で3H以上が好ましい。
また請求項1に係る発明によれば、干渉縞の発生が抑制され、耐ブロッキング性に優れた透明導電性タッチパネル用ハードコートフィルムを提供することが出来る。
また、透明導電層に対する耐ペン摺動性が優れたものとなる。
また請求項3に係る発明によれば、紫外線硬化性樹脂からなるハードコート層を用いている為、生産性に優れ、透明性への影響度合いも少なく、品質面で向上したハードコート層積層フィルムを提供することができる。
また請求項4に係る発明によれば、樹脂層からの樹脂粒子の脱落を防止しつつ、当該樹脂粒子をブロッキング防止のために樹脂層表面に突出させることが可能となる。
また請求項6に係る発明によれば、以上のような効果を奏するタッチパネルを提供することが出来る。
以上のように、本発明を採用することで、タッチパネル用プラスチック基板(ハードコートフィルム)が押圧されたときに生じるニュートンリングが抑制され、耐ブロッキング性、及び耐ペン摺動性を改善することが出来、さらに紫外線硬化性樹脂からなるハードコート層を用いている為、生産性に優れ、透明性への影響度合いも少なく、品質面で向上したハードコート層積層フィルムからなるタッチパネル用プラスチック基板を得ることが可能となる。
(構成)
本実施形態のタッチパネル用ハードコートフィルム(以下、タッチパネル用プラスチック基板とも呼ぶ。)は、図1に示すように、熱可塑性樹脂からなるプラスチックフィルム(フィルム基材1)の両面にハードコート層を積層する。上記フィルム基材1の他方の面に積層する第2面ハードコート層3には、樹脂粒子を含有させる。
上記第2面ハードコート層3は、JIS K 5400で規定する1kg荷重での鉛筆硬度が2H以上に設定する。また、第1面ハードコート層2の鉛筆硬度は、第2面ハードコート層3よりも高く、例えばJIS K 5400で規定する1kg荷重での鉛筆硬度が2H以上に設定する。そして、上記第2面のハードコート層上に透明導電層4を形成する。
また、上記ハードコートフィルムを使用した透明タッチパネルは、上記構成の2枚のハードコートフィルムについて、互いの透明電極層の電極面同士を相対するように配置して構成する。なお、電極間の空間部に10μm以下の非導電性のスペーサーを介挿する。もっとも、少なくともタッチペンまたは指で押圧される側のハードコートフィルムに対して、本発明に基づくハードコートフィルムを使用すれば良い。そして例えば、アナログ式タッチパネルの場合、タッチペンまたは指の押し圧により電極面同士が接触して導通し、位置検出をする構造をとる。タッチパネルに押し圧がかかる場合、上下の電極面同士が平滑である場合には、接触する際にニュートンリングが生じる。本実施形態は、これを回避可能である。
本実施形態に使用するフィルム基材1の厚みは、特に限定はしないが、好ましくは50μm以上500μm以下であり、より好ましくは100μm以上400μm以下である。フィルム基材1は、例えば熱可塑性樹脂からなるプラスチックフィルムを使用する。
プラスチックフィルムは、特に限定されるものではなく、公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。具体的には、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロハン、ナイロンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリル系フィルム、耐熱性・エンプラ系フィルム、フッ素樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられる。
本実施形態に用いられるハードコート剤の主成分のアクリレートとしては、特に限定はしないが、透明導電層4の積層時の温度に耐え、透明性を維持できる樹脂が好ましい。さらに硬化後の機械特性及び透明性、耐薬品性、耐熱性はもちろんのこと、塗布加工時の低粘度化等の諸物性を考慮した場合、具体的には3次元架橋の期待出来る3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマーもしくはオリゴマーを架橋して成る紫外線硬化性樹脂が好ましい。3官能以上のアクリレートとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルアクリレート等が好ましい。特に好ましいのは、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレートおよびポリエステルアクリレートである。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても構わない。また、これら3官能以上のアクリレートの他にエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、等のいわゆるアクリル系樹脂を併用することが可能である。これらの樹脂は、いずれのコート方法を用いる場合であっても、工業的な製造を考慮すると5分以内で硬化できるものが望ましい。
光硬化型樹脂を硬化させるのに用いる光は紫外線、電子線、あるいはガンマ線などであり、電子線あるいはガンマ線の場合、必ずしも光重合開始剤や光開始助剤を含有する必要はない。これらの線源としては高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプや加速電子などが使用できる。
フィルム基材1へのコーティング方法は、特に限定されるものではないが、実用的には、ダイコーター、カーテンフローコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター、マイクログラビアコーター等によるコーティングが一般的である。
透明導電層4を形成する一般的な方式としては、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等のPVD法、あるいはCVD法、塗工法、印刷法等がある。なお透明導電層4の形成材としては特に制限されるものではなく、例えば、インジュウム・スズ複合酸化物(ITO)、スズ酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどがあげられ、異なる形成材が重ねて形成されてもよい。密着性を向上させるために、上記アンダーコート層と基材フィルムとの間に単一の金属元素または2種以上の金属元素の合金からなる金属層を設ける場合もある。金属層にはシリコン、チタン、錫及び亜鉛からなる群から選ばれた金属を用いることが望ましい。
[ハードコート層の作成]
表1に、実施例および比較例で使用されるハードコート層を構成する組成を記載する。
(1)ニュートンリング抑制能試験について
ハードコートフィルムを2枚使用し、ハードコート層面と無機コート層面を密着させて1kg/25cm2にて加圧し、その際ニュートンリング発生状況を観察し、評価した。評価基準は、下記のとおりである。
○・・・ニュートンリングは発生していなかった
×・・・ニュートンリングが発生していた
ハードコートフィルムを2枚使用し、ハードコート層面と無機コート層面を密着させて1kg/25cm2にて加圧し、その際の両層のブロッキングの状態を観察し、評価した。評価基準は、下記のとおりである。
○・・・両層面は密着していなかった
×・・・両層面が密着し貼り付いていた
鉛筆硬度:JIS K 5400に準拠し、1kg荷重で測定した。
リニアリティ測定:サンプルを50mm×70mm角で準備し、長手方向(70mmの方向)に電圧5Vを印可して、サンプルにかかる電圧値を10mm間隔でテスターにより測定した。この測定位置と電圧との関係をグラフに表し、理想電圧値(E)からのずれ(ΔE)を算出して、ΔEが最大値となる測定位置におけるΔEとEの値を用い、下記式によりリニアリティを求めた。
リニアリティ(%)=ΔE(V)/E(V)×100%
表2及び表3から分かるように、本発明に基づく実施例は、比較例に比べて、ニュートンリング発生の抑制能、耐ブロッキング性能、ペン摺動耐性ともに優れていることが分かる。
2 第1面ハードコート層
3 第2面ハードコート層
4 透明導電層
Claims (6)
- フィルム基材の両面にそれぞれハードコート層を積層したタッチパネル用ハードコートフィルムにおいて、上記フィルム基材の一方の面に積層したハードコート層を第1面ハードコート層と定義し、上記フィルム基材の他方の面に積層したハードコート層を第2面ハードコート層と定義した場合に、
上記第2面ハードコート層に樹脂粒子を含有させ、
上記第1面ハードコート層の鉛筆硬度は、上記第2面ハードコート層よりも高く、
上記第1面ハードコート層の厚みは、上記第2面ハードコート層より厚く、
上記第2面ハードコート層は、JIS K 5400で規定する1kg荷重での鉛筆硬度が2H以上であり、
上記第2面ハードコート層側に透明導電層を形成し、
上記透明導電層の耐ペン摺動性試験(荷重:2.2N、回数:10万回)前の抵抗値をR0、上記試験後の抵抗値をRとしたときの変化比(R/R0)が1.5以下であることを特徴とするタッチパネル用ハードコートフィルム。 - 上記各ハードコート層を形成するハードコート剤は、アクリレートを主成分とするモノマーもしくはオリゴマーと、光重合開始剤と、紫外線吸収剤とを含有することを特徴とする請求項1に記載したタッチパネル用ハードコートフィルム。
- 上記ハードコート剤に含まれるアクリレートを主成分とするモノマーもしくはオリゴマーは、光硬化型アクリレートオリゴマーあるいは光硬化型アクリレートモノマーであることを特徴とする請求項2に記載したタッチパネル用ハードコートフィルム。
- 上記樹脂粒子の平均粒径は、2μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したタッチパネル用ハードコートフィルム。
- 上記樹脂粒子は、第2面ハードコート層を形成する硬化樹脂に対し0.5質量%以上5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したタッチパネル用ハードコートフィルム。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載したハードコートフィルムを用いたことを特徴とするタッチパネル。
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