JP6476731B2 - 缶蓋 - Google Patents
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Description
このような缶蓋は、パネル部とパネル部の外周に一体成形されたカール部とからなり、パネル部には環状スコア線が設けられるとともに、リベットを介してタブが固着されている。
このような缶蓋においては、開口時、あるいは開口後にパネル部側及びカール部側の環状スコア線での破断端が使用者の指に触れ負傷する危険がある。
この開口容易缶蓋1は、前記外側重層部19の折返し部の外側保護部25の先端を前記スコア線6と半径方向で同じ、または外側に位置させ、かつ、内側重層部18の折返し部の内側保護部26の先端をスコア線6と半径方向で同じ、または内側に位置させている。そして、外側重層部19の外側隙間部27の開口幅よりも、内側重層部18の内側隙間部28の開口幅を広くすることにより、開口後のスコア線の破断端を保護するとともに、開蓋性も良好な開口容易缶蓋としている(例えば、特許文献1等参照。)。
次いで、タブ4をさらに起立させ、タブ4の先端側でパネル部3のスコア線6を破断し、破断が進行するとともに前記パネル部3を下方に折り曲げて破断を進める(スコアブレイク:SB工程)。
そして最後に、タブ4をほぼ90°まで起立させた後に、タブ4を上方に引き上げて、パネル部3に残存するスコア線6を破断して、パネル部3に設けたスコア線6の全周にわたる破断(開口)が完了し、缶蓋1が全面開口される(スコアティア:ST工程)。
この大きなピーク値は、前述したSB工程からST工程への移行時に、環状スコア線を破断する際のパネル部に加える開口力の方向が、下方から上方に切り替わることに起因する。
そして、SB工程終了時の環状スコア線の破断において、パネル部の下方への折れ曲がりの曲率半径が大きいほど、ST工程において大きな開口力が必要となる。
特に、前述した特許文献1の缶蓋のように、スコア線より内側で折り返して形成された内側重層部が設けられた缶蓋においては、パネル部の環状スコア線近傍の曲げ強度が内側重層部の影響で大きくなる。
このため、前述したSB工程終了時の環状スコア線の破断において、パネル部の下方への折れ曲がりの曲率半径もより大きくなり、ST工程の開口力もより大きく、缶蓋の開口の容易性が損なわれるという問題があった。
このことで、ST工程における開口力を小さくすることができ、容易に開口することが可能となる。
また、環状重層部の成形工具の一部に突出部を設けるだけで、狭間隔部を形成することが可能であり、極めて容易に成形することができる。
本請求項3に記載の構成によれば、狭間隔部が、補助スコア線の直線部分の仮想延長線と環状スコア線との交点よりもタブ先端部側の領域に形成されることにより、使用者によるSB工程におけるタブの起立角度が少ない場合であっても、SB工程終了時に、確実に狭間隔部が小さな曲率半径で折り曲げられた状態となって環状スコア線の破断の最先端部となる。
本請求項5に記載の構成によれば、狭間隔部以外の周辺部から第2折返層までの間隔幅に対し、前記狭間隔部の最も間隔幅の狭い領域の前記周辺部から第2折返層までの間隔幅が35乃至85%であることにより、確実にSB工程で応力が集中し、SB工程終了時に狭間隔部が小さな曲率半径で折り曲げられた状態となる。
本請求項6に記載の構成によれば、周辺部から連なって上側に外側環状重層部が断面S字状に設けられ、前記外側環状重層部は、前記周辺部から上方に連なり内方に延びる第3折返層と、前記第3折返層から上方に連なり外方に延びる第4折返層を備え、前記周辺部と第3折返層の缶蓋の表裏の方向の間隔幅が、前記周辺部と第1折返層との間隔幅よりも幅広となるように形成されていることにより、前記第3折返層及び第4折返層によって形成される環状の湾曲部によって、カール部側の環状スコア線での破断端が使用者の指に触れ負傷することを防ぐとともに、前記湾曲部と周辺部の環状スコア線での破断端の位置を缶軸方向(高さ方向)に離間させて、ST工程の開始時に、前記破断端が前記湾曲部に干渉して開口性を損ねることを防止することができる。
この缶蓋100で缶容器が密封される際には、カール部102が缶体の開口フランジ部に巻きしめられ、開封する際には、パネル部101に固着されたタブ103を操作し、パネル部101を環状スコア線105に沿って破断切除して全面開口するように構成されている。
ここで、本実施形態における缶蓋100は、基板厚が0.25mmのJIS5052のアルミ合金を折り曲げ加工されることで成形され、下面側には厚み0.03mmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムによる樹脂被覆が施されている。
環状重層部110は、環状スコア線105が設けられた周辺部108と、周辺部108の内方端から下方に連なり外方に延びる第1折返層111と、第1折返層111の外方端から下方に連なり内方に延びる第2折返層112を備え、周辺部108と第1折返層111及び第1折返層111と第2折返層112とがそれぞれ缶蓋の表裏の方向に所定の間隔幅を有している。
なお、周辺部108は、図4、図5に示すように、パネル部101の外側に向かって下方に傾斜する形状に形成されてもよく、また、図3に示すように、ほぼ水平に形成されていてもよい。
ここで、負傷の危険性を減少させる観点から、周辺部108の破断端及び環状の湾曲部113又は後述の湾曲部123は近接していることが好ましい。
外側環状重層部120は、周辺部108の外方端から上方に連なり内方に延びる第3折返層121と、第3折返層121の内方端から上方に連なり、ほぼ水平状に外方に延びる第4折返層122を備え、開口時に周辺部108の破断端の上方に環状の湾曲部123が現れるようにして、負傷の危険性を減少させるように構成されている。
また、上側の外側環状重層部120の周辺部108と第3折返層121の間隔幅は、下側の環状重層部110の周辺部108と第1折返層111との缶蓋の表裏の方向の間隔幅よりも幅広となるように形成されている。
これにより、第3折返層121と第4折返層122によって形成される環状の湾曲部123によって、カール部102側の環状スコア線105での破断端が使用者の指に触れ負傷することを防ぐとともに、湾曲部123と周辺部108の環状スコア線105での破断端の位置を缶軸方向(高さ方向)に離間させて、ST工程の開始時に、前記破断端が湾曲部123に干渉して開口性を損ねることを防止することができる。
なお、第3折返層121と第4折返層122を有しない缶蓋100の場合は、パネル部101の内方から外方にかけて、環状スコア線105を有する環状重層部110の周辺部108の外方端が、カール部102の下端に接続する構成となる。
また、第3折返層121の傾斜角度は、パネル部101の内方に向けて5°乃至50°であることが好適であり、本実施形態ではおよそ30°となっている。
直線部分107は、具体的には、タブ103の長手方向中心線と直交する仮想垂線が、前記両側部におけるタブ103先端側の補助スコア線106と接する部分を指し、その長さは約1mmとなるよう形成されている。
環状重層部110には、図1、図2及び図6に示すように、タブ103の長手方向中心線を挟んで対称の位置に、周辺部108から第2折返層112までの間隔幅をその他の部分より狭くした2箇所の狭間隔部130が設けられている。
ここで、本実施形態においては、環状重層部110の周辺部108と第1折返層111、及び第1折返層111と第2折返層112までのそれぞれの缶蓋の表裏の方向の間隔幅を狭くしているが、この形態に限定されることはなく、どちらか一方の間隔幅のみ狭い領域としてもよい。
狭間隔部130以外の周辺部108から第2折返層112までの間隔幅は、図4に示すように、Wtの距離で均一に形成され、狭間隔部130での周辺部108から第2折返層112までの最も間隔幅の狭い領域は、図5に示すように、Wsの距離に形成されており、WsはWtの35%乃至85%に設定されることが好適であり、本実施形態では、WsはWtの約75%の間隔幅となるように形成されている。
また、狭間隔部130は、補助スコア線106の直線部分107の仮想延長線Kと環状スコア線105との交点よりもタブ103の先端部側の領域に形成されており、狭間隔部130の最も間隔幅の狭い領域の周方向長さLは、約1.8mmに設定されている。
このことで、ST工程における初期開口力が小さくなり、容易に開口することが可能となる。
特に、本実施形態のように、環状重層部110の周辺部108と第1折返層111及び第1折返層111と第2折返層112とがそれぞれ所定の間隔幅を有し断面S字状に折り畳まれた形状の場合、環状重層部110の曲げ強度が大きいため、SB工程でのパネル部101が下方に曲がった際の曲率半径は大きいものとなるが、狭間隔部130を備えたことにより応力を集中させることができ、小さな曲率半径で折り曲げられた状態とすることが可能となる。
図7は、空の缶体に従来缶蓋を巻締したものについて、2つの製造ラインLH及びRHの各10サンプルのVSB(ベントスコアブレイク)、SB(スコアブレイク)及びST(スコアティア)のピーク値(単位kgf)の測定値及び平均値、標準偏差を示した。
図8は、空の缶体に本発明缶蓋を巻締したものについて、前述のLH及びRHの各10サンプルのVSB(ベントスコアブレイク)、SB(スコアブレイク)及びST(スコアティア)のピーク値(単位kgf)の測定値及び平均値、標準偏差を示した。
図9は、缶体に90℃の内容物を充填して従来缶蓋を巻締したもの(90℃ホットパック)について、前述のLH及びRHの各10サンプルのVSB(ベントスコアブレイク)、SB(スコアブレイク)及びST(スコアティア)のピーク値(単位kgf)の測定値及び平均値、標準偏差を示した。
図10は、缶体に90℃の内容物を充填して本発明缶蓋を巻締したもの(90℃ホットパック)について、前述のLH及びRHの各10サンプルのVSB(ベントスコアブレイク)、SB(スコアブレイク)及びST(スコアティア)のピーク値(単位kgf)の測定値及び平均値、標準偏差を示した。
特に、90℃ホットパックの場合、内部が負圧となり巻締後の缶蓋が僅かに内方へ変形するため、従来缶蓋では内容物充填なしの場合に比べてST(スコアティア)のピーク値が著しく増大する。
しかしながら、本発明缶蓋ではその増大も少なく、すべてのサンプルにおいて平均の開口力が著しく小さく、さらに、ばらつき(標準偏差)も小さくなっており、本発明缶蓋は従来缶蓋に比べて極めて容易に開口することができる。
なお、本発明に係る缶蓋の成形工程においては、缶蓋100の上面側から突出部を有する金型を押し当てることにより、環状重層部110に狭間隔部130を形成してもよく、さらに、缶蓋の下面側及び天面側の両面側から突出部を有する金型を押し当てて、環状重層部110に狭間隔部130を形成してもよい。
また、本実施形態では、狭間隔部130の最も間隔幅の狭い領域の周方向長さLが約1.8mmに設定されているが、金型の突出形状を山型としてL=0としてもよく、金型の突出形状を台形とし、平坦部を長くして1.8mm以上にしてもよい。
なお、Lを大きく設定すると、曲げ応力が狭間隔部130内で分散し、SB工程終了時の折れ曲がりの曲率半径が大きくなるため、狭間隔部130は3.0mm以下が好ましい。
さらに、補助スコア線を有していない缶蓋で、同様の位置に狭間隔部130を設けたものであってよい。
また、本実施形態は、開口が円形の缶蓋であるが、開口が楕円、長円、小判型、矩形等の缶蓋であってもよい。
101 ・・・ パネル部
102 ・・・ カール部
103 ・・・ タブ
104 ・・・ リベット
105 ・・・ 環状スコア線
106 ・・・ 補助スコア線
107 ・・・ 直線部分
108 ・・・ 周辺部
110 ・・・ 環状重層部
111 ・・・ 第1折返層
112 ・・・ 第2折返層
113 ・・・ 湾曲部
120 ・・・ 外側環状重層部
121 ・・・ 第3折返層
122 ・・・ 第4折返層
123 ・・・ 湾曲部
130 ・・・ 狭間隔部
K ・・・ 仮想延長線
Wt ・・・ 通常間隔幅
Ws ・・・ 狭間隔幅
L ・・・ 周方向長さ
Claims (6)
- パネル部にリベットを介してタブが固着され、かつ、前記パネル部の周辺部に環状スコア線が設けられた缶蓋であって、
前記周辺部から下方に連なり外方に延びる第1折返層と、前記第1折返層から下方に連なり内方に延びる第2折返層を有する断面S字状の環状重層部を備え、
前記周辺部と第1折返層、及び第1折返層と第2折返層とがそれぞれ缶蓋の表裏の方向に所定の間隔幅を有するとともに、
前記タブの長手方向中心線を挟んで対称の位置に、前記周辺部から第2折返層までの間隔幅を他の部分よりも狭くした狭間隔部をそれぞれ1箇所ずつ形成したことを特徴とする缶蓋。 - 前記パネル部は、前記リベットの側方に延びる補助スコア線を有し、
前記補助スコア線は、少なくとも一部が直線部分で形成され
前記狭間隔部は、前記補助スコア線の直線部分の仮想延長線と環状スコア線との交点近傍にそれぞれ独立して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋。 - 前記狭間隔部が、前記補助スコア線の直線部分の仮想延長線と環状スコア線との交点よりもタブ先端部側の領域に形成されることを特徴とする請求項2に記載の缶蓋。
- 前記狭間隔部の最も間隔幅の狭い領域の周方向長さが3.0mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の缶蓋。
- 前記狭間隔部以外の前記周辺部から第2折返層までの間隔幅に対し、前記狭間隔部の最も間隔幅の狭い領域の前記周辺部から第2折返層までの間隔幅が35乃至85%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の缶蓋。
- 前記周辺部と、パネル部の外周に一体成形されたカール部との間には、周辺部から連なって上側に外側環状重層部が断面S字状に設けられ、
前記外側環状重層部は、前記周辺部から上方に連なり内方に延びる第3折返層と、前記第3折返層から上方に連なり外方に延びる第4折返層を備え、
前記周辺部と第3折返層の缶蓋の表裏の方向の間隔幅が、前記周辺部と第1折返層との間隔幅よりも幅広となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の缶蓋。
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