JP6284229B2 - 缶詰の蓋 - Google Patents
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Description
しかし、この様なプルタブを設けて蓋を缶本体から取り外すタイプの缶詰では、蓋の直径方向におけるプルタブの反対側の領域が、缶本体から外れ難いという問題を有している。
係る問題(スプリングバック)を効果的に防止することが出来る缶詰容器は、現時点では存在しない。
なお図12において、符号20Jはプルタブを示し、符号100は缶本体を示す。
さらに、蓋本体(11)の第2の突起(13)近傍領域が缶本体(100)から分離した後、第1の突起(12)の部分が缶本体から分離する。
そして、最終的には、第1の突起(12)と第2の突起(13)との接続箇所(123)のみで蓋と缶本体は接続されることになる。
そのため本発明によれば、蓋(10)が缶本体(100)から外れる際に、さらに力を加える必要がなく、蓋本体(11)が弾性変形することもない。そして蓋本体(11)が弾性変形することなく缶本体(100)から容易に外れるため、蓋(10)のプルタブ(20)の反対側の部分が弾性反撥力で大きく変動してしまうこともなく、蓋が勢い良く動いてしまうことがなくなる。
すなわち本発明によれば、蓋が勢い良く動かないため、蓋本体(11)の裏側(プルタブ20の反対側)に付着していた缶内容物(M)が飛び跳ねてしまうこと(スプリングバック)が防止される。
図1において、本発明の実施形態に係る缶詰の蓋は全体が符号10で示されている。ここで、図1では、蓋本体11の裏側(プルタブ20が設けられていない側)が示されている。プルタブ20(図1では点線で示す)は、図1の紙面の裏側に位置している。
なお蓋本体11は、例えば、薄板板金をプレス打ち抜きで加工して成形される。
蓋本体11は、図1において上下方向に延在する中心線LVに対して対称形である。
蓋本体11には、図示の実施形態では逆「ハ」字状に配置された1対の補強リブ14が形成されている。1対の補強リブ14間は、中心線LV側が凸になるように湾曲している。
補強リブ14、リブ15は、蓋10を開ける場合、蓋本体11の湾曲を抑制して、蓋本体11が平板状態を保持して缶本体100(図7参照)から分離し易くするために設けられている。そのため、缶本体100から蓋10を取り外す際に、図1における蓋本体11の領域Bの湾曲し難くなり、蓋本体11は概略平坦な状態を保持する。
蓋本体11が平坦に近い状態であれば、梃子(てこ)の原理により、プルタブ20を引っ張る力が小さくても、蓋本体11の領域B(図1)は、位置Ba(図1)を起点として容易に缶本体100から外れる(蓋本体11の領域Bが開く)。
図2で示すように、図示の実施形態では、蓋本体11の補強リブ14は蓋本体11の裏側に形成され、補強リブ15は蓋本体11の表側に形成されている。
図2で示す補強リブ14、15の断面形状は、概略半円弧状である。ただし補強リブ14、15の断面形状は半円弧状に限定されるものではない。例えば、図示はされていないが、補強リブ14、15の断面形状を三角形とすることが可能であり、或いは、断面形状を「コ」字状にすることも可能である。
図3において、蓋本体11の表面側にはプルタブ20が設けられており、プルタブ20はリベット30により蓋本体11に取り付けられている。
蓋本体11の表面側(プルタブ側)の領域B(上下方向における領域:図1の領域Bと同じ)の上方には、複数の長円形の凹部16が直列に形成されている。
蓋本体11が凹部16の長手方向中心軸Lhに沿って、左右対称に且つ均等に折り曲げられることにより、蓋10を缶本体100から取り外し易くなる。
図3において、プルタブ20を紙面の看者側(手前側)に引き起こすと、プルタブ先端21が、缶本体100における蓋本体11の前記先端18が、缶本体100(図7)の図示しない切れ込み部に当接し、その先端18にプルタブ20を引き起こした力が作用して、先端18が当接している缶本体100の切り込みに応力集中が発生する。その結果、缶本体100の切り込みにおいて、先端18が当接している箇所が破断する。
領域11Aにおいて、蓋本体11には、図1における蓋本体11の下端中央に配置された(中心線LV上に位置している)第1の突起12と、第1の突起12の左右に配置された第2の突起13とが設けられている。第1の突起12と第2の突起13は、双方の突起12、13とは逆方向に窪んだ湾曲部123(接続箇所)によって接続している。
第2の突起13の曲率半径が小さい曲線と、曲率半径が大きい曲線(蓋本体11の周縁部と等しい曲率半径を有する曲線)の境界部分は、第2の突起13の頂部13tを形成している。
また図示の実施形態では、第2の突起13の中心軸LV側(第1の突起12側)の曲線における曲率半径は、第1の突起12の曲率半径と同等か、それ以下である。そして、前記湾曲部123の曲率半径は、第2の突起13の中心軸LV側(第1の突起12側)の曲線における曲率半径以下である。
蓋本体11が缶本体100(図7)から外れるに際してしては、プルタブ30に近い領域から、蓋本体11の缶本体100との接続箇所(図示しない切り込み)の破断(蓋本体11の分離)が進行する。
係る破断(分離)が、第2の突起13の頂部13tまで到達すると、第1の突起12の領域の破断が始まる。
図6は蓋本体11Aのプルタブ20とは反対側(裏面)を示しており、プルタブ20は図6では示されていないが、図6の矢印U方向に位置している。
図6では図示しないプルタブ20を引張ると、缶本体100と蓋10との分離は矢印Rで示すように進行する(缶の蓋は矢印Rで示すように開く)。
領域11Cの分離については、図8を参照して説明する。
なお図6において、符号11oは蓋本体11の外周を示す。
突起17は補強用突起として作用するため、蓋本体11を缶本体100から分離しようとする力(図7において矢印Dで示す力)が突起17に作用すると、当該力は領域11Cに作用する。その結果、領域11Cの缶本体100からの分離が開始される。ここで、本体11を缶本体100から分離しようとする力(矢印D)が突起17に作用する際に、突起17の近傍領域は補強用突起17の作用により変形しない。
ここで、湾曲部123は第1の突起12と第2の突起13との接続箇所であり、蓋本体11の半径方向内方に引っ込んだ位置である。
図6、図8を参照して述べた通り、プルタブ20を引っ張って缶本体100と蓋本体11とを分離すると、蓋本体11の缶本体100からの分離は、円周部11oから第2の突起13の頂点13t、領域11Cの順に進行して、最終的には、缶本体100と蓋本体11とは湾曲部123(2箇所)のみで接続される。
2箇所の湾曲部123のみで蓋本体11が缶本体100に接続している状態において、蓋本体11を缶本体100に対して引き上げると、蓋本体11における2箇所の湾曲部123には、矢印D方向(蓋が移動する方向)に捻る力が作用する。この捻る力により2箇所の湾曲部123が破断する。そのため、2箇所の湾曲部123のみで蓋本体11が缶本体100に接続している状態において、さらに力を加える必要はない。
それに対して、図示の実施形態では、2箇所の湾曲部123のみで蓋本体11が缶本体100に接続しているから、さらに力を加える必要がなく、蓋本体11が缶本体100から容易に外れる。そのため、蓋本体11が缶本体100から分離する際に、プルタブ20の反対側の部分(領域11A近傍の部分)が弾性変形して、大きく反ってしまうこともなく、スプリングバックSB(図12)は発生しない。
したがって蓋本体11の裏側(プルタブの反対側)に付着していた缶内容物Mが飛び跳ねてしまう(Mx)こともなく、缶内容物Mが飛び跳ねて(缶を開けた者の)衣服等に掛かってしまうこともない。
例えば図9では、第2の突起13の頂点13tが第1の突起12に比較して半径方向内方に位置しており(第2の突起13の頂点13tが第1の突起12に対して低く)、湾曲部123が半径方向内方に凹んでいる量(窪み量)も小さい。
そのような状態であると、例えば図9の左側における蓋本体11と缶本体100の分離(矢印R1)の進行が、右側の分離R2の進行よりも速いと、蓋本体11と缶本体100の分離R1が湾曲部123、領域11Cを越えて進行してしまう。そのため、蓋本体11と缶本体100は、最終的に、領域11Fのみで接続される状態となってしまう。そして、領域11Fは、2箇所の湾曲部123に比較して大きい。
そして、大きな力を作用させた場合には、領域11Fで缶本体100に接続している蓋本体11が弾性変形をしてしまい(反り返ってしまい)、蓋本体11が缶本体100から外れた際に、蓋本体11の弾性反撥力により、スプリングバックSB(図12)が生じてしまう。
その結果、最終的に蓋本体11は2箇所の湾曲部123で缶本体100に接続した状態となり、プルタブ20を引き起こすことにより、2箇所の湾曲部123が容易に破断する。2箇所の湾曲部123が容易に破断するので、大きな力を作用させなくても蓋本体11は缶本体100から外れ、図12で示すスプリングバックSBは発生しない。
図11で示すように、湾曲部123の半径方向内方への切れ込み量が大き過ぎると、領域11Hにシボを形成したのと同様な状態になり、領域11Hにシボが存在しなくても、領域11Gが変形し難くなる。そのため、蓋本体11の缶本体100からの分離は、領域11Gを包含する領域11Iで進行しなくなる。
そのため、領域11I、11Iで缶本体100に接続している蓋本体11が弾性変形をして、蓋本体11が缶本体100から外れた際に、スプリングバックSB(図12)が生じてしまう。
湾曲部123の半径方向内方への切れ込み量が適正であれば、蓋本体11は最終的に2箇所の湾曲部123のみで缶本体100と接続することになり、缶本体100から容易に分離し、スプリングバッグは生じない。
そのため、蓋本体11と缶本体100の接続箇所が大きくなってしまい、蓋本体11が缶本体100から容易に外れなくなってしまう。
その様な状態で、プルタブ20を僅かに引き上げれば、接続箇所123をねじる力が作用して、容易に蓋本体11が缶本体100から分離する。
そのため蓋10が缶本体100から外れる際に、蓋本体11が弾性変形することがなく、弾性反撥力により蓋本体11が勢い良く動くこともないので、蓋本体11の裏側に付着していた缶内容物Mが飛び跳ねてしまうことが防止される。
11・・・蓋本体
12・・・第1の突起
13・・・第3の突起
14・・・補強リブ
15・・・補強リブ
16・・・凹部
17・・・半球状の突起/シボ
18・・・蓋本体の上端
20・・・プルタブ
30・・・リベット
100・・・缶本体
Claims (1)
- 蓋本体(11)にリベット(30)で接続されたプルタブ(20)を有し、該プルタブ(20)を引き上げることにより蓋本体(11)の外周(11o)が缶本体(100)から分離する缶詰の蓋において、前記蓋本体(11)の直径方向について前記プルタブ(20)を設けた側とは反対側の前記外周(11o)の領域(11A)に、前記外周(11o)の曲率半径よりも曲率半径が小さい曲線により形成された第1の突起(12)を設け、該第1の突起(12)の円周方向両側に隣接して配置されて前記外周(11o)の曲率半径以下の曲線と前記外周(11o)の曲率半径と等しい曲線とで構成された第2の突起(13)を有し、前記第1の突起(12)と第2の突起(13)とは、窪んだ湾曲部(123)で接続されており、前記領域(11A)の近傍には蓋本体(11)と分離しようとするときに変形を防止するための補強用リブ(17)が形成されていることを特徴とする缶詰の蓋。
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