以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
本実施の形態では、一例として、粉砕対象物として茶葉を用い、飲料としてお茶を製造する場合について説明するが、粉砕対象物は茶葉に限定されることなく、穀物、乾物、その他の粉砕対象物を用いて、飲料を製造する場合にも適用することが可能である。以下では、茶葉とは、粉砕前の固形状態を意味し、茶葉粉末とは、粉砕された茶葉を意味し、お茶とは、茶葉粉末とお湯とが撹拌された(混ぜ合わされた)飲料を意味する。
(実施の形態1)
(飲料製造装置1)
図1から図3を参照して、本実施の形態における飲料製造装置1について説明する。図
1は、飲料製造装置1の全体斜視図、図2は、図1中II−II線矢視断面図、図3は、飲料製造装置1の概略構成要素を示す全体斜視図である。
図1から図3に示すように、飲料製造装置1は、粉砕対象物として茶葉を用い、この茶葉を粉砕して茶葉粉末を得る。この得られた茶葉粉末を用いて、飲料としてお茶を製造する。飲料製造装置1は、本体部としての装置本体100、粉挽きユニット300、撹拌ユニット500、液体貯留タンク700、液体供給部としての液体供給経路155(図2参照)と、粉末受け部としての茶葉粉末受皿800、および、載置ベース900を備える。載置ベース900は、装置本体100の前側下方において、前側に突出するように設けられており、カップ(図示省略)および茶葉粉末受皿800の載置が可能である。茶葉粉末受皿800は、利用者が把持して移動できるように設けられている。
(粉挽きユニット300)
粉挽きユニット300は、装置本体100の前面側に設けられた粉挽きユニット装着部180に対して、着脱可能に装着される。粉挽きユニット装着部180には、粉挽駆動力連結機構130が前方に突出するように設けられ、この粉挽駆動力連結機構130に粉挽きユニット300が着脱可能に装着される。粉挽きユニット300は、粉挽駆動力連結機構130に連結されることにより、粉砕対象物である茶葉を挽くための駆動力を得る。
粉挽きユニット300の上部から粉挽きユニット300の内部に投入された茶葉は、粉挽きユニット300の内部において細かく粉砕される。粉砕された茶葉は、粉挽きユニット300の下方に載置された茶葉粉末受皿800に茶葉粉末として落下し集められる。なお、粉挽きユニット300の詳細構造については、図8〜図10を用いて後述する。
(液体貯留タンク700)
液体貯留タンク700は、装置本体100の上面側に設けられた液体貯留タンク装着部195に着脱可能に装着される。液体貯留タンク700は、上面開口を有するタンク本体710と、タンク本体710の上面開口を塞ぐ蓋部720とを含む。液体貯留タンク700は、蓋部720を取り外して外部から導入された水等の液体を貯留する。
液体貯留タンク700の内周面には、製造するお茶の分量に応じて貯留すべき液体の量の目安を表示する目安線が複数設けられている。たとえば、4本の目安線が、内周面の周方向に延在するように設けられている。4本の目安線は上下方向に離間して設けられている。
最下方に位置する第1目安線は、カップ半分のお茶を製造するために推奨される液量の水を液体貯留タンク700に導入した場合の水位位置を示している。この場合において、カップ半分とは、70ccから80ccまでの範囲であることが好ましく、略75ccとなることが好ましい。
底部側から2番目に位置する第2目安線は、1人分(カップ1杯分)のお茶を製造するために推奨される液量の水を液体貯留タンク700に導入した場合の水位位置を示している。底部側から3番目に位置する第3目安線は、2人分(カップ2杯分)のお茶を製造するために推奨される液量の水を液体貯留タンク700に導入した場合の水位位置を示している。最上位(底部側から4番目)に位置する第4目安線は、3人分(カップ3杯分)のお茶を製造するために推奨される液量の水を液体貯留タンク700に導入した場合の水位位置を示している。このような目安線によって、液体貯留タンク700から撹拌ユニット500に供給される液体の供給目安量が予め決定される。
(液体供給経路155)
液体供給経路155は、装置本体100内に収容されている。液体供給経路155は、液体貯留タンク700に接続される(図7参照)。液体供給経路155には、液体貯留タンク700が接続された側とは反対側に供給口171が設けられている。液体供給経路155は、給湯パイプ150と、給湯ノズル170とを含む。給湯パイプ150は、一端側が液体貯留タンク700に接続され、他端側が給湯ノズル170に接続される。液体貯留タンク700から液体供給経路155に導入された液体は、給湯パイプ150、給湯ノズル170を通って撹拌ユニット500に供給される。
(撹拌ユニット500)
撹拌ユニット500は、液体と粉末とを撹拌する撹拌羽根550と、撹拌羽根550を収容する撹拌槽510とを含む。撹拌羽根550は、撹拌部材に相当する。撹拌槽510は、装置本体100の前面側に設けられた撹拌槽装着部190に対して、着脱可能に装着される。撹拌槽510の一部が装置本体100の前面から当該前面の法線方向に沿って突出するように、撹拌槽510は撹拌槽装着部190に装着されている。
撹拌槽装着部190には、撹拌モータ非接触テーブル140Aが設けられている。撹拌ユニット500は、撹拌モータ非接触テーブル140A上に載置される。撹拌ユニット500の内部に設けられた撹拌羽根550は、撹拌モータユニット140およびこれに連結された永久磁石141によって回転する。撹拌モータユニット140および永久磁石141は、撹拌モータ非接触テーブル140Aの下方に位置するように装置本体100内に収容されている。撹拌モータユニット140は、撹拌羽根550を回転駆動させる撹拌羽根駆動部に相当する。
装置本体100の撹拌槽装着部190の上部には、給湯ノズル170が設けられている。装置本体100の内部において、給湯パイプ150内の水が所定温度に上昇され、給湯ノズル170から撹拌槽510内にお湯が供給される。撹拌槽510内には、装置本体100において作成されたお湯と、粉挽きユニット300によって得られた茶葉粉末とが投入され、撹拌槽510内の撹拌羽根550によって、お湯と茶葉粉末とが撹拌される。これにより、撹拌槽510内においてお茶が製造される。
撹拌ユニット500内で製造されたお茶は、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップ(図示省略)に注ぐことができる。なお、撹拌ユニット500の詳細構造については、図11および図12を用いて後述する。
(お茶(飲料)の製造フロー)
次に、図4から図6を参照して、上記飲料製造装置1を用いたお茶(飲料)の製造フローについて説明する。図4から図6は、飲料製造装置1を用いたお茶吐出を示す第1から第3の製造フローを示す図である。なお、粉挽きユニット300には、所定量のお茶葉が投入され、液体貯留タンク700には所定量の水が蓄えられている。
(第1製造フロー)
図4を参照して、第1製造フローについて説明する。この第1製造フローは、粉挽きユニット300における茶葉の粉砕と、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に行なわれるフローである。
飲料製造装置1は、ステップ11における粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きと、ステップ13における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に開始される。次に、ステップ12において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了するとともに、ステップ14における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
ステップ15においてはステップ12において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
次に、ステップ16において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ17において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ18において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。本フローによれば、茶葉の粉挽きと給湯が同時に行われるため、短時間で効率よくお茶飲料の製造が可能となる。
(第2製造フロー)
図5を参照して、第2製造フローについて説明する。この第2製造フローは、粉挽きユニット300における茶葉が粉砕された後に、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が行なわれるフローである。
飲料製造装置1は、ステップ21において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが開始される。ステップ22において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了する。ステップ23において、ステップ22において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
ステップ24において、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が開始される。ステップ25において、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
次に、ステップ26において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ27において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ28において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。本フローによれば、茶葉の粉挽き後に給湯が行われるため、お湯の温度低下を抑えることが可能となる。
(第3製造フロー)
図6を参照して、第3製造フローについて説明する。この第3製造フローは、撹拌ユニット500においてお湯を撹拌により冷却するステップを備えている。
飲料製造装置1は、ステップ31における粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きと、ステップ33における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に開始される。ステップ34における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
次に、ステップ32において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了するとともに、ステップ35において、撹拌ユニット500において給湯の冷却撹拌を開始する。ステップ36において、撹拌ユニット500において給湯の冷却撹拌が終了する。
ステップ37においてはステップ32において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
次に、ステップ38において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ39において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ40において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。本フローによれば、玉露等、比較的低温のお湯に適した茶葉に対して、適切な温度でお茶飲料を製造することが可能となる。
(装置本体100の内部構造)
次に、図7を参照して、装置本体100の内部構造について説明する。図7は、飲料製造装置1の内部構造を示す斜視図である。飲料製造装置1の装置本体100の内部においては、液体貯留タンク700の前面側には、電子部品が搭載されたプリント配線基板を用いた制御部110が配置されている。利用者によるスタート信号の入力に基づき、上記お茶の製造フローが、制御部110により実行される。
制御部110の下方位置には、粉挽きユニット300に駆動力を与えるための粉挽モータユニット120が配置されている。この粉挽モータユニット120の下方位置には、前方に突出するように設けられ、粉挽モータユニット120の駆動力を粉挽きユニット300に伝達するための粉挽駆動力連結機構130が設けられている。
液体貯留タンク700の底面には、底面から下方に一旦延び、U字形状に上向きに延びる給湯パイプ150の一端が連結されている。給湯パイプ150の上端部には、撹拌ユニット500の撹拌槽510にお湯を注ぐための給湯ノズル170が連結されている。給湯パイプ150の途中領域には、給湯パイプ150内を通過する水を加熱するためのU字形状のヒータ160が装着されている。
(粉挽きユニット300の構造)
次に、図8から図10を参照して、粉挽きユニット300の構造について説明する。図8は、粉挽きユニット300の斜視図、図9は、粉挽きユニット300の分解斜視図、図10は、粉挽きユニット300の縦断面図である。
粉挽きユニット300は、全体として円筒形状を有する粉挽きケース310を有し、下方の側面には、粉挽駆動力連結機構130が内部に挿入される連結用窓300Wが設けられている。粉挽きケース310の内部には、上臼360と下臼350とによって生成された茶葉粉末を貯留する貯留部311(図10参照)と、貯留部311に連通する排出経路312とが設けられている。粉挽きケース310の最下端部となる排出経路312の下端部には、茶葉粉末を茶葉粉末受皿800に向けて排出する排出口312aが設けられている。排出口312aは、後述する保温タンク512(図12参照)の開口部513よりも下方に位置するように設けられている。これにより、保温タンク512内に供給されたお湯から生成される湯気が排出口312aから侵入することを防止することができる。
粉挽きユニット300は、粉砕対象物を粉砕する上臼360および下臼350と、当該下臼350が取り付けられる下臼支持部340とを含む。粉挽きケース310の内部には、下方から、下臼支持部340、下臼350、上臼360が順番に設けられている。
下臼支持部340は、上臼360が位置する側と反対側(下臼350の下方側)から下臼350を支持する。下臼支持部340は、略円柱形状の本体部341、係合突起部342、粉掻き取り部343を有する。粉挽き軸345は、本体部341の下面に設けられ、下方に向けて延在する。粉挽き軸345は、粉挽駆動力連結機構130に連結する。これにより、下臼支持部340が下臼350を支持した状態で回転可能となる。
係合突起部342は、本体部341の上面に設けられ、上方に向けて突出する。係合突起部342は、下臼350を係止するための部位である。粉掻き取り部343は、本体部341の周縁部に設けられている。粉掻き取り部343は、下臼支持部340が回転することにより、貯留部311に貯留された茶葉粉末を掻き取って排出経路312に搬送する。
下臼350は、上臼360の主面360aに対向して配置される主面350aと、当該主面350aの反対側に位置する主面350bと、主面350aと主面350bとを接続する周面を含む。下臼350の主面350aには、複数のせん断溝が形成されている。複数のせん断溝は、たとえば等角螺旋に沿って延在するように設けられる。また、複数のせん断溝は、内周側から外周側に向かうように形成された直線状の溝が放射状に設けられることにより構成されてもよい。
下臼350の主面350bには、係合凹部352が設けられている。係合凹部352は、下臼支持部340の係合突起部342に対応する位置に設けられ、係合突起部342に係止される。これにより、下臼350は、下臼支持部340と連動して回転する。下臼350の中央部には、回転軸芯に沿って上方に向かって伸びるコア359が設けられている。
コア359は、上臼360の中央部に設けられた貫通孔361を貫通するように設けられている。コア359は、らせん状に設けられた螺旋羽根359aを有する。
上臼360は、下臼350の主面350aに対向して配置される主面360aと、当該主面360aと反対側に位置する主面360bと、主面360aと主面360bとを接続する周面を含む。上臼360の主面360aには、下臼の主面350aと同様にせん断溝が形成されている。
上臼360は、その上方に配置された上臼保持部材370によって保持されている。たとえば、上臼360の上面には不図示の穴部が設けられており、当該穴部に上臼保持部材370に設けられた不図示のピン部が入り込むことにより、上臼360の回転が防止される。
上臼保持部材370は、孔部371aを有する底面部371と、底面部371の周縁から上方に向けて立設された外筒部372と、孔部371aの周縁から上方に向けて立設された内筒部373とを含む。孔部371aは、上臼360の貫通孔361に連通するように設けられている。外筒部372と内筒部373との間には、上臼360を下方に向けて押圧するバネ381およびバネ保持部材380が収容されている。バネ381によって、上臼360と下臼350との間に作用する粉砕圧力が調節される。
粉挽きケース310の上端開口部310b側には、粉砕対象物を上臼360と下臼350との間に供給するためのホッパー部320が取り付けられている。ホッパー部320は、天板部321と、筒状部322と、粉砕対象物投入口325とを有する。天板部321は、略中央部に開口部323が設けられたお椀形状を有する。筒状部322は、開口部323の周縁から下方に立設するように設けられている。筒状部322は、内筒部373の内側に挿入される。
粉砕対象物投入口325は、開口部323および筒状部322によって規定される。粉砕対象物投入口325内には、コア359の先端側が収容されている。筒状部322内に、粉砕対象物投入口325を跨ぐように複数の直線状のリブ391,392,393が設けられている。
茶葉を粉砕する際には、ホッパー部320は、カバー部330によって覆われることが好ましい。これにより、茶葉を粉砕対象物投入口325に投入した後に、粉挽きユニット300内に異物が侵入することを防止するとともに、粉砕された茶葉が飛散することを防止することができる。なお、茶葉を投入する際には、カバー部330は、ホッパー部320から取り外される。
粉砕対象物投入口325に投入された茶葉は、上臼保持部材370から露出する上臼360の上面および筒状部322の内周面によって規定される空間内に収容される。当該空間に収容された茶葉は、螺旋羽根359aが下臼350の回転に伴って回転することにより、上臼360と下臼350との間に案内される。
上臼360と下臼350との間に案内された茶葉は、粉砕されて茶葉粉末としてこれら上臼360と下臼350との周縁から下方へ落下する。落下した茶葉粉末の一部は、排出経路312を通って排出口312aから茶葉粉末受皿800に排出される。落下した茶葉粉末のその他の部分は、貯留部311に貯留される。貯留部311内の茶葉粉末は、粉掻き取り部343が下臼支持部340の回転に伴って回転することにより、排出経路312に搬送されて排出口312aから茶葉粉末受皿800に排出される。
(撹拌ユニット500の構造)
次に、図11および図12を参照して、撹拌ユニット500の構造について説明する。図11は、撹拌ユニット500の斜視図、図12は、撹拌ユニット500の縦断面図である。
撹拌ユニット500は、上面が開口する容器形状を有し、撹拌槽510、撹拌羽根550、撹拌カバー530および吐出口開閉機構540を備える。撹拌槽510は、樹脂製の外装ホルダー511と、この外装ホルダー511に保持される保温タンク512とを含む。外装ホルダー511には、樹脂により一体成形されたグリップ520が設けられている。保温タンク512は、有底筒形状を有し、上方に向けて開口する開口部513を有する。
撹拌カバー530は、開口部513を開閉可能に開口部513に取り付けられる。撹拌カバー530には、粉挽きユニット300により粉砕された茶葉粉末を投入する粉末投入口531、および、装置本体100内で形成されたお湯が給湯ノズル170から注がれる給湯口532が設けられている。給湯口532は、給湯ノズル170の供給口171に対応する位置に設けられている。
粉末投入口531および給湯口532は、開口部513に連通している。移動された茶葉粉末受皿800から粉末投入口531に投入された茶葉粉末は、開口部513を介して保温タンク512内に投入される。給湯ノズル170から給湯口532に注がれたお湯は、開口部513を介して保温タンク512内に供給される。
撹拌槽510の底部には、撹拌羽根550が載置される。撹拌槽510の底部には、上方に延びる回転軸560が設けられ、この回転軸560に撹拌羽根550の筒状芯250が挿入される。
撹拌羽根550には、永久磁石240が埋め込まれている。撹拌モータ非接触テーブル140Aにおいて、撹拌羽根550に埋め込まれた永久磁石240と、撹拌モータユニット140側に設けられた永久磁石141とが非接触の状態で磁気結合することで、撹拌モータユニット140の回転駆動力が、撹拌羽根550に伝達される。なお、撹拌羽根550の詳細については、図13から図15を用いて後述する。
撹拌槽510は、生成された飲料を吐出するための吐出部545をさらに備える。吐出部545は、装置本体100から突出する部分の撹拌槽510に設けられている。吐出部545は、撹拌槽510の底部に設けられた吐出口541と、吐出口541を開閉する吐出口開閉機構540とを含む。吐出口541は、茶葉粉末とお湯とが撹拌羽根550によって撹拌されて生成されたお茶を吐出させるための部位である。
吐出口開閉機構540は、吐出口541を開閉可能に、吐出口541に挿入された開閉ノズル543と、開閉ノズル543の位置を制御する操作レバー542とを含む。開閉ノズル543は、通常状態においてはバネ等の付勢部材(図示省略)により吐出口541を塞ぐように付勢されている。利用者が、操作レバー542を付勢力に対抗して移動させた場合には、開閉ノズル543が移動し、吐出口541が開放される。これにより、撹拌槽510内のお茶が、載置ベース900に載置されたカップ(図示省略)に注出される。
(撹拌羽根550の構造)
次に、図13から図15を参照して、本実施の形態における撹拌羽根550の構造について説明する。図13は、撹拌羽根550の形状を示す斜視図、図14は、撹拌羽根550の構造を示す分解斜視図、図15は、図13中のXV−XV線矢視断面図である。
図13および図14を参照して、撹拌羽根550は、内部に回転軸が挿入される円筒形状の筒状芯250を中心に備えている。筒状芯250は、回転中心軸(C)を有する回転部を構成する。撹拌羽根550は、第1パドル210、第2パドル211および羽根部220を備える。第1パドル210は、筒状芯250の外周面から放射状に延び、180度対向する位置に一対に設けられる。第2パドル211は、第1パドル210に対して90度回転する位置において、180度対向する位置に一対に設けられる。
羽根部220は、複数の羽根片221、下部補助リング222および上部補助リング223を含む。下部補助リング222は、一対の第1パドル210の外周面および一対の第2パドル211の外周面に設けられている。下部補助リング222は、回転方向(図中矢印A方向)に対して抵抗にならない形状を有している。
下部補助リング222には、第1パドル210および第2パドル211の上面(第1面)側に向かって延びる羽根片221が、回転中心軸Cを取り囲むように複数設けられている。また、羽根片221は、回転中心軸Cに対して回転対称となるように複数枚設けられている。羽根片221の上端部は、上部補助リング223に連結されている。上部補助リング223も下部補助リング222と同様に、回転方向に対して抵抗にならない形状を有している。なお、羽根片221の詳細形状については後述する。
一対の第1パドル210は、下方(第2面)側に向かって所定の厚みを有し、回転方向から見て下流側に凹む湾曲形状を有し、回転方向(図中矢印A方向)において撹拌に寄与する湾曲形状のパドル面212が形成されている。同様に、第2パドル211にも、下方(第2面)側に向かって所定の厚みを有し、回転方向から見て下流側に凹む湾曲形状を有し、回転方向(図中矢印A方向)において撹拌に寄与する湾曲形状のパドル面212が形成されている。パドル面212は4箇所に設けられており、第1パドル210と第2パドル211との間には、合計4箇所の空間210hが形成されている。一対の第1パドル210の内部には、永久磁石240が埋め込まれている。
筒状芯250および一対の第1パドル210は、一体に成形されたカバー260aを含んでいる。第1パドル210のパドル本体260b内には、永久磁石240を収納するための円筒状の収容部210aが設けられている。一対の第1パドル210内に埋め込まれた永久磁石240は、非接触回転駆動機構(撹拌モータユニット140および永久磁石141)によって、磁力による回転伝達がなされる。回転駆動中の磁力による保持力を高めるには、永久磁石は、2箇所に設けることが望ましい。
一対の第1パドル210の間には、回転軸が挿入される貫通穴253が設けられている。筒状芯250の内部には、回転軸の先端が点接触し撹拌羽根550をスムーズに回転させるために円錐状キャップ251が収容されている。カバー260aとパドル本体260bと間には、水密性を確保するためのリングシール252が嵌め込まれている。
次に、図15を参照して、羽根片221の形状について説明する。羽根片221は、上方に向かうにしたがって外側に拡がる傾斜角θが設けられている。傾斜角θは、たとえば75度程度である。傾斜角θによって、撹拌羽根550は同じ外形で高い撹拌力を得るか、もしくは同じ撹拌力で回転駆動部の負荷を低減することが可能になる。
また、傾斜角θによって、撹拌羽根550の清掃性が向上する。撹拌羽根550の全高hに対して、第1パドル210および第2パドル211の高さhaを、図15に示すように回転方向に対して抵抗になる(撹拌力に寄与する)エリアと定義する。本実施の形態においては、h=9.5mm、ha=5.5mmであるのが望ましい。また、羽根片221の内径d1=φ30mm、外径d=φ32mmであるのが望ましい。このような寸法を有する撹拌羽根550を用いる場合には、水深が底部から19mm以上38mm以下の場合にきめ細やかな泡を生成することができる。水深が低すぎる場合には、渦が形成されず、当該渦を介して液面から空気を取り込むことが困難となる。水深が高すぎる場合には、渦が羽根部220まで到達しないため、きめ細やかな泡を生成することが困難となる。
撹拌羽根550を回転させると、撹拌羽根550の撹拌作用により、お湯には、回転中心軸Cに対して略直交する方向の力が作用する。この結果、撹拌羽根550に到達するように渦が形成される。当該渦を介してお湯に取り込まれた空気をお湯とともに撹拌羽根550の中央部から外周部へ送り出すことにより、泡を形成しつつ茶葉粉末とお湯とを撹拌させる。形成された泡は、羽根片221が衝突することにより粉砕され、きめ細やかな泡となる。
なお、撹拌部材として、上記のような構成を有する撹拌羽根550を用いる場合を例示して説明したが、これに限定されず、撹拌部材として、外周部に撹拌要素を有するものを適宜採用することができる。撹拌要素としては、トロイダル形状のワイヤからなる巻回部、インペラ等を採用することができる。
(撹拌槽510の形状)
図16は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図17は、図16に示すXVII−XVII線に沿った断面図である。なお、図16および図17においては、撹拌槽510を図示するに際し、便宜上のため外装ホルダー511を省略し、撹拌槽510の内周面510aを規定する保温タンク512を図示している。図16および図17を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510の内周面510aの形状について説明する。
図16および図17に示すように、本実施の形態に係る撹拌槽510の内周面510aは、保温タンク512の側壁部515の内表面によって規定される。保温タンク512の底部514は、撹拌槽510の底部に相当する。保温タンク512の側壁部515は、保温タンク512の底部514の周縁に連設されている。
撹拌槽510の内周面510aは、側壁部515の上端515b側から底部514に向かうにつれて開口面積が連続的に小さくなるように設けられている。具体的には、撹拌槽510の内周面510aは、円錐台形状を有する。
図17に示すように、撹拌槽510の中央部の断面において、側壁部515と底部514の成す角(図中AR2とAR1との成す角)θは、90°より大きく119°以下であることが好ましい。また、底部514の内径φAは、60mm以上であることが好ましい。
仮想線S1は、上述した供給目安量が最大である第1供給目安量に基づいて撹拌槽510にお湯を供給した場合の水位位置(第1液位位置)を表しており、仮想線S2は、上述した供給目安量が最少である第2供給目安量に基づいて撹拌槽510にお湯を投入した場合の水位位置(第2液位位置)を示している。第1液位位置での開口面積は、第2液位位置での開口面積よりも大きくなる。
撹拌槽510の内周面510aが上記のように傾斜して設けられることにより、撹拌槽の開口面の開口面積が底部まで略一定となる容器と比較して、少量のお湯を供給した場合であっても液位位置を高くすることができる。
これにより、カップ1杯を満たないカップ半分程度のお茶を製造するために、第2供給目安量に基づいてお湯を供給した場合であっても、それにより形成される第2液位位置は、撹拌羽根550の羽根部220の上面220aよりも上方に位置する。この結果、撹拌羽根550のうち撹拌に寄与する羽根部220の全てをお湯の中に浸漬させることができるため、お湯と粉末とを十分に撹拌することができる。
また、上述のように撹拌槽510の内周面510aが、上方に向かうにつれて径方向に拡張するように傾斜するため、供給されるお湯の量に応じて変動する液面の高さの変位を抑制することができる。このため、所定の供給目安量に対して供給量が多くなった場合でも、液面から撹拌羽根550までの距離の変位を抑制することができる。形成される泡の状態は、液面から撹拌羽根550までの距離に影響されるところ、このように液面の変位を液量によって調整することにより、撹拌力を十分に確保することができ、お湯中に空気を十分に取り込むことができる。この結果、きめの細かい良好な泡を形成することもできる。
以上のように、本実施の形態に係る撹拌ユニット500およびこれを備えた飲料製造装置1を利用した場合には、供給される液体の量が少量であっても当該液体を十分に撹拌できる。また、本実施の形態に係る撹拌ユニット500およびこれを備えた飲料製造装置1は、供給される液体の量の増加に応じて変動する液面の高さの変位を抑制することができる。すなわち、液面の変位を液量によって調整することが可能となる。
(実施の形態2)
図18は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図19は、図18に示すXIX−XIX線に沿った断面図である。なお、図18および図19においても、便宜上のため撹拌槽510Aを図示するに際し、外装ホルダー511を省略し、撹拌槽510Aの内周面510aを規定する保温タンク512Aを図示している。図18および図19を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Aの内周面510aの形状について説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Aの内周面510aは、底部514に向かうにつれて開口面積が小さくなるように湾曲する湾曲形状を有する。具体的には、図19に示すように、撹拌槽510Aの中心軸C2を縦軸とした場合の縦断面視において、撹拌槽510Aの内周面510aは、その上端P1と下端P2とを結ぶ仮想線L1よりも内側に凹むように湾曲する湾曲形状を有する。側壁部515Aの下端部と底部514との成す角が90°に近づくため、実施の形態1よりも底部514の内径φAを大きくすることが可能となる。
このような場合であっても、仮想線S1が示す、供給目安量が最大である第1供給目安量に基づいて撹拌槽510Aにお湯を供給した場合の第1液位位置での開口面積は、仮想線S2が示す、供給目安量が最少である第2供給目安量に基づいて撹拌槽510Aにお湯を投入した場合の第2液位位置の開口面積よりも大きくなる。
また、第2液位位置は、撹拌羽根550の羽根部220の上面220aよりも上方に位置する。これにより、羽根部220の全体を、最少供給目安量で供給されたお湯中に浸漬させることができ、当該お湯および茶葉粉末を十分に撹拌することができる。
以上のように、本実施の形態においても、内周面510aが底部514に向かうにつれて開口面積が小さくなるように湾曲する湾曲形状を有することにより、供給される液体の量が少量であっても当該液体を十分に撹拌できる。また、供給される液体の量の増加に応じて変動する液面の高さの変位を抑制することができる。すなわち、液面の変位を液量によって調整することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、撹拌槽510Aの中心軸C2を縦軸とした場合の縦断面視において、撹拌槽510Aの内周面510aは、その上端P1と下端P2とを結ぶ仮想線L1よりも内側に凹むように湾曲する湾曲形状を有する場合を例示して説明したが、これに限定されず、内周面510aが仮想線L1よりも外側に膨出するように湾曲する湾曲形状を有していてもよい。この場合、撹拌が終了して出来上がった飲料の入った撹拌ユニットを持ち運ぶ際に飲料がこぼれにくく取り扱いがしやすくなる。
(実施の形態3)
図20は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図21は、図20に示すXXI−XXI線に沿った断面図である。なお、図20および図21においても、便宜上のため撹拌槽510Bを図示するに際し、外装ホルダー511を省略し、撹拌槽510Bの内周面510aを規定する保温タンク512Bを図示している。図20および図21を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Bについて説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Bの内周面510aは階段形状を有する。これにより、撹拌槽510Bの開口面積は、底部514に向かうにつれて段階的に小さくなる。具体的には、後述する第3筒状部518の高さ方向(撹拌槽510Bの中心軸C2の軸線方向)の中央位置における撹拌槽510Bの開口面積、後述する第2筒状部517の高さ方向の中央位置における撹拌槽510Bの開口面積、および後述する第1筒状部516の高さ方向の中央位置における撹拌槽510Bの開口面積が、この順で段階的に小さくなっている。
保温タンク512Bの側壁部515Bは、第1筒状部516と、第2筒状部517と、第3筒状部518と、接続部571と、接続部574とを含む。第1筒状部516は、円筒形状を有し、底部514に連設されている。第2筒状部517は、円筒形状を有し、接続部571を介して第1筒状部516に接続されている。第2筒状部517の内径は、第1筒状部516の内径よりも大きい。第3筒状部518は、円筒形状を有し、接続部574を介して第2筒状部517に接続されている。第3筒状部518の内径は、第2筒状部517の内径よりも大きい。
接続部571は、湾曲部572と平坦部573とを含む。湾曲部572は、第1筒状部516の上端に接続され、上方に向かうにつれて中心軸C2から離れるように湾曲する。平坦部573は、水平方向に平行な環状の平板形状を有する。平坦部573の外周縁に第2筒状部517が連設される。
接続部574は、湾曲部575と平坦部576とを含む。湾曲部575は、第2筒状部517の上端に接続され、上方に向かうにつれて中心軸C2から離れるように湾曲する。平坦部576は、水平方向に平行な環状の平板形状を有する。平坦部576の外周縁に第3筒状部518が連設される。
底部514内表面から平坦部573の内表面までの中心軸C2方向に沿った長さh1と、平坦部573の内表面から平坦部576の内表面までの中心軸C2方向に沿った長さh2と、平坦部576の内表面と第3筒状部518の上端515bまでの中心軸C2方向に沿った長さh3とはほぼ同一である。
このような場合においても、供給目安量が最大である第1供給目安量に基づいて撹拌槽510Bにお湯を供給した場合の第1液位位置は、供給目安量が最少である第2供給目安量に基づいて撹拌槽510Bにお湯を投入した場合の第2液位位置よりも上方に位置することとなり、第1液位位置での開口面積は、第2液位位置での開口面積よりも大きくなる。
具体的には、仮想線S1が示すように、第1液位位置は、第2筒状部517と第3筒状部518との境界部近傍に位置する。ここで、第1液位位置が第2筒状部517と第3筒状部518との境界部近傍に位置するとは、液面が、平坦部576の内表面を水平方向に通過する平面と同じ高さに位置するか当該平面よりもわずかに低い位置に位置することを指す。
また、仮想線S2が示すように、第2液位位置は、第1筒状部516の所定の位置に位置し、撹拌羽根550の羽根部220の上面220aよりも上方に位置する。これにより、羽根部220の全体を、最少供給目安量で供給されたお湯中に浸漬させることができ、当該お湯および茶葉粉末を十分に撹拌することができる。
さらに、第1液位位置が、第2筒状部517と第3筒状部518との境界近傍に位置することにより、液体貯留タンク700に水を導入する際に最上位に位置する目安線を越えて水が導入され、当該最大供給目安量を超えるお湯が撹拌槽510Bに供給された場合には、第2筒状部517の上端を超えて、第3筒状部518内にお湯が供給される。第3筒状部518の開口面積は、第2筒状部517の開口面積よりも大きいため、第2筒状部517のみにお湯が供給される場合と比較して、液面の高さの変位を抑制することができる。
以上のように本実施の形態にあっても、撹拌槽510Bの内周面510aが底部514に向かうにつれて開口面積が段階的に小さくなる階段形状を有することにより、供給される液体の量が少量であっても当該液体を十分に撹拌できる。また、供給される液体の量の増加に応じて変動する液面の高さの変位を抑制することができる。
(実施の形態4)
図22は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図23は、図22に示すXXIII−XXIII線に沿った断面図である。なお、図22および図23においても、便宜上のため撹拌槽510Cを図示するに際し、外装ホルダー511を省略し、撹拌槽510Cの内周面を規定する保温タンク512Cを図示している。図22および図23を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Cについて説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Cは、実施の形態3に係る撹拌槽510Bと比較した場合に、保温タンク512Cの側壁部515Cの形状が相違することにより、撹拌槽510Cの内周面510aの形状が相違する。
具体的には、第1筒状部516と第2筒状部517とを接続する接続部571Cおよび第2筒状部517と第3筒状部518とを接続する接続部574Cとが、実施の形態3に係る平坦部573,576に代えて、上方に向かうにつれて径方向に広がるように傾斜する傾斜部573C,576Cを有する。傾斜部573C,576Cは、湾曲部572,575との境界において傾斜開始点P3,P4を有する。
底部514の内表面から傾斜開始点P3までの中心軸C2方向に沿った長さh1と、傾斜開始点P3から傾斜開始点P4までの中心軸C2方向に沿った長さh2と、傾斜開始点P3から第3筒状部518の上端515bまでの中心軸C2方向に沿った長さh3とはほぼ同一である。
このような構成を有する場合であっても、撹拌槽510Cの開口面積は、底部514に向かうにつれて段階的に小さくなる。具体的には、第3筒状部518の高さ方向(撹拌槽510Cの中心軸C2の軸線方向)の中央位置における撹拌槽510Cの開口面積、第2筒状部517の高さ方向の中央位置における撹拌槽510Cの開口面積、第1筒状部516の高さ方向の中央位置における撹拌槽510Cの開口面積が、この順で段階的に小さくなる。
この場合においては、仮想線S1が示すように第1液位位置が傾斜開始点P4近傍に位置し、仮想線S2が示すように第2液位位置が第1筒状部516の所定の位置に位置することが好ましい。このように構成することにより、本実施の形態に係る撹拌槽510Cは、実施の形態3に係る撹拌槽510Bとほぼ同様の効果が得られる。加えて、傾斜部573C,576Cを設けることにより、実施の形態3に係る構成よりも飲料排出の際の液体の流れがスムーズになるという効果が得られる。
(実施の形態5)
図24は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図25は、図24に示すXXV−XXV線に沿った断面図である。なお、図24および図25においても、便宜上のため撹拌槽510Dを図示するに際し、外装ホルダー511を省略している。図24および図25を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Dについて説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Dは、実施の形態4に係る撹拌槽510Cと比較した場合に、保温タンク512Dの側壁部515Dの形状が相違することにより、撹拌槽510Dの内周面510aの形状が相違する。
具体的には、供給されるお湯の分量(1人分の分量、2人分の分量、3人分の分量等)に応じて第1筒状部516の高さ、第2筒状部517の高さ、および第3筒状部518の高さが互いに異なる。
具体的には、底部514の内表面から傾斜開始点P3までの中心軸C2方向に沿った長さh1は、傾斜開始点P3から傾斜開始点P4までの中心軸C2方向に沿った長さh2、および傾斜開始点P3から第3筒状部518の上端515bまでの中心軸C2方向に沿った長さh3よりも大きい。傾斜開始点P3から傾斜開始点P4までの中心軸C2方向に沿った長さh2は、傾斜開始点P3から第3筒状部518の上端515bまでの中心軸C2方向に沿った長さh3よりも大きい。
仮想線S2が示すように、最少供給目安量であるカップ半分程度のお湯を供給した場合の液位位置(第2液位位置)は、第1筒状部516の高さの略半分の高さ位置に位置する。1人分のお湯を供給した場合の液位位置は、傾斜開始点P3近傍に位置する。2人分のお湯を供給した場合の液位位置は、傾斜開始点P4近傍に位置する。仮想線S1が示すように、最大供給目安量である3人分のお湯を供給した場合の液位位置(第1液位位置)は、第3筒状部518の上端近傍に位置する。
このように構成することにより、本実施の形態に係る撹拌槽510Dは、実施の形態4に係る撹拌槽510Cとほぼ同様の効果が得られる。また、本実施の形態に係る撹拌槽510Dにあっては、内周面510aの段差部分(接続部571C,574C)が目盛りとして機能するため、使用者がお湯の供給量を容易に確認することができ利便性が向上する。
(実施の形態6)
図26は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図27は、図26に示すXXVII−XXVII線に沿った断面図である。なお、図26および図27においても、便宜上のため撹拌槽510Eを図示するに際し、外装ホルダー511を省略し、撹拌槽510Eの内周面510aを規定する保温タンク512Eを図示している。図26および図27を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Eについて説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Eは、実施の形態3に係る撹拌槽510Bと比較した場合に、保温タンク512Eの側壁部515Eの形状が相違することにより、撹拌槽510Eの内周面510aの形状が相違する。
具体的には、撹拌槽510の内周面510aは、螺旋面510cを有する。螺旋面510cは、撹拌槽510の中心軸C2方向に沿った一定の幅を有しつつ、中心軸C2周りを旋回するように設けられている。螺旋面510cは、上方に向かうにつれて撹拌槽510Eの中心軸C2から径方向の距離が拡大するように設けられている。螺旋面510cの旋回方向と撹拌羽根550の回転方向は一致することが好ましい。これにより、撹拌時の液体の流れを強くすることができる。
このような構成とする場合であっても、底部514に向かうにつれて撹拌槽510Eの開口面積を小さくすることができる。これにより、仮想線S1が示す、供給目安量が最大である第1供給目安量に基づいて撹拌槽510Eにお湯を供給した場合の第1液位位置での開口面積は、仮想線S2が示す、供給目安量が最少である第2供給目安量に基づいて撹拌槽510Eにお湯を投入した場合の第2液位位置の開口面積よりも大きくなる。
また、第2液位位置は、撹拌羽根550の羽根部220の上面220aよりも上方に位置する。これにより、羽根部220の全体を、最少供給目安量で供給された液体中に浸漬させることができ、当該液体および粉末を十分に撹拌することができる。
以上のように、本実施の形態に係る撹拌槽510Eにおいても、内周面510aを螺旋面とすることにより、供給される液体の量が少量であっても当該液体を十分に撹拌できる。また、供給される液体の量の増加に応じて変動する液面の高さの変位を抑制することができる。さらに、内周面510aを螺旋面とすることで、実施の形態3に係る撹拌槽510Bよりも飲料排出の際の液体の流れがスムーズになるという効果が得られる。
(実施の形態7)
図28は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図29は、図28に示すXXIX−XXIX線に沿った断面図である。なお、図28および図29においても、便宜上のため撹拌槽510Fを図示するに際し、外装ホルダー511を省略している。図28および図29を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Fについて説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Fは、実施の形態3に係る撹拌槽510Bと比較した場合に、保温タンク512Fの側壁部515Fの形状が相違することにより、撹拌槽510Fの内周面510aの形状が相違する。より具体的には、内周面510aに設けられた段差数が相違する。
保温タンク512Fの側壁部515Fは、第1筒状部516と、第2筒状部517と、接続部571Fとを含む。第1筒状部516は、円筒形状を有し、底部514に連設されている。第2筒状部517は、円筒形状を有し、接続部571Fを介して第1筒状部516に接続されている。第2筒状部517の内径φBは、第1筒状部516の内径(底部514の内径)φAよりも大きい。たとえば、第1筒状部516の内径φAは、70mm程度であることが好ましく、この場合には、第2筒状部の内径φBは、124mm以上であることが好ましい。
接続部571Fは、水平方向に平行な環状の平板形状を有する。接続部571Fは、第1筒状部516の上端と第2筒状部517の下端を接続する。
このような構成を有する場合であっても、撹拌槽510Fの開口面積は、底部514に向かうにつれて段階的に小さくなる。具体的には、第2筒状部517の高さ方向の中央位置における撹拌槽510Fの開口面積、第1筒状部516の高さ方向の中央位置における撹拌槽510Fの開口面積が、この順で段階的に小さくなる。
この場合においては、仮想線S1が示すように第1液位位置が第2筒状部517の高さ方向の中央に位置し、仮想線S2が示すように第2液位位置が第1筒状部516と第2筒状部517の境界部近傍に位置する。
また、第2液位位置は、撹拌羽根550の羽根部220の上面220aよりも上方に位置する。これにより、羽根部220の全体を、最少供給目安量で供給されたお湯中に浸漬させることができ、当該お湯および茶葉粉末を十分に撹拌することができる。
以上のように構成することにより、本実施の形態に係る撹拌槽510Fは、実施の形態3に係る撹拌槽510Bとほぼ同様の効果が得られる。
また、本実施の形態においては、底部514の内径を小さくすることにより、撹拌槽510Fに供給される液量が少量の場合であっても、撹拌羽根550から第2液位位置までの距離を大きくすることができる。さらに、第2筒状部517の内径を第1筒状部516の内径よりも大きくすることにより、供給される液量が大量の場合には、撹拌羽根550から第1液位位置までの距離を小さくすることができる。
これにより、それぞれの場合において、撹拌羽根550の回転によって液面から空気を取り込んで空気の渦を形成し、その空気を撹拌羽根550の羽根部220によって切ることにより、きめ細やかな泡を生成することができる。このため、本実施の形態においては、撹拌および泡立てに対応可能な液量の範囲を拡大することもできる。
(実施の形態8)
図30は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図31は、図30に示すXXXI−XXXI線に沿った断面図である。なお、図30および図31においても、便宜上のため撹拌槽510Gを図示するに際し、外装ホルダー511を省略している。図30および図31を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Gについて説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Gは、実施の形態7に係る撹拌槽510Fと比較した場合に、保温タンク512Gの側壁部515Gの形状が相違することにより、撹拌槽510Gの内周面510aの形状が相違する。具体的には、接続部571Gの形状が相違する。
接続部571Gが、上下方向の両端が開口した椀形状を有する。また、接続部571Gは、下方に向かうにつれて開口面積が徐々に小さくなるように設けられている。接続部571Gの下端側は、第1筒状部516の上端に接続されている。接続部571Gの上端側は、第2筒状部517の下端側に接続されている。
このような場合であっても、仮想線S1が示す、供給目安量が最大である第1供給目安量に基づいて撹拌槽510Gにお湯を供給した場合の第1液位位置での開口面積は、仮想線S2が示す、供給目安量が最少である第2供給目安量に基づいて撹拌槽510Gにお湯を投入した場合の第2液位位置の開口面積よりも大きくなる。
また、第2液位位置は、撹拌羽根550の羽根部220の上面220aよりも上方に位置する。これにより、羽根部220の全体を、最少供給目安量で供給されたお湯中に浸漬させることができ、当該お湯および茶葉粉末を十分に撹拌することができる。
さらに、底部514の内径を小さくすることにより、撹拌槽510Gに供給される液量が少量の場合であっても、撹拌羽根550から第2液位位置までの距離を大きくすることができる。また、接続部571Gの大部分において第1筒状部516の内径よりも大きくなることにより、供給される液量が大量の場合には、撹拌羽根550から第1液位位置までの距離を小さくすることができる。これにより、撹拌および泡立てに対応可能な液量の範囲を拡大することもできる。
以上のように、本実施の形態に係る撹拌槽510Gは、実施の形態7に係る撹拌槽510Fとほぼ同様の効果が得られる。加えて、本実施の形態に係る撹拌槽510Gは、接続部571Gが椀形状を有することにより、段差部による水の抵抗を抑制することができ、飲料排出の際の液体の流れがスムーズになるという効果が得られる。
(実施の形態9)
図32は、本実施の形態に係る撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図33は、図32に示すXXXIII−XXXIII線に沿った断面図である。なお、図32および図33においても、便宜上のため撹拌槽510Hを図示するに際し、外装ホルダー511を省略している。図32および図33を参照して、本実施の形態に係る撹拌槽510Hについて説明する。
本実施の形態に係る撹拌槽510Hは、実施の形態8に係る撹拌槽510Gと比較した場合に、保温タンク512Hの側壁部515Hの形状が相違することにより、撹拌槽510Hの内周面510aの形状が相違する。
保温タンク512Hの側壁部515Hは、第1筒状部516と第2筒状部517Hとを含む。第1筒状部516は、上下方向において周長が一定である円筒形状を有する。第2筒状部517Hは、下方に向かうにつれて周長が徐々に短くなる筒状形状を有する。これにより、第2筒状部517Hの開口面積は、下方に向かうにつれて徐々に小さくなる。第2筒状部517Hの下端は、第1筒状部516の上端に接続される。
このような場合であっても、仮想線S1が示す、供給目安量が最大である第1供給目安量に基づいて撹拌槽510Hにお湯を供給した場合の第1液位位置での開口面積は、仮想線S2が示す、供給目安量が最少である第2供給目安量に基づいて撹拌槽510Hにお湯を投入した場合の第2液位位置の開口面積よりも大きくなる。
また、第2液位位置は、撹拌羽根550の羽根部220の上面220aよりも上方に位置する。これにより、羽根部220の全体を、最少供給目安量で供給されたお湯中に浸漬させることができ、当該お湯および茶葉粉末を十分に撹拌することができる。
また、第2筒状部517Hの大部分において、第1筒状部516の内径よりも大きくなるように構成されているため、上述のように、撹拌および泡立てに対応可能な液量の範囲を拡大することもできる。
さらに、第2筒状部517Hが上記のような形状を有することにより、段差部による水の抵抗を抑制することができ、飲料排出の際の液体の流れがスムーズになるという効果も得られる。
以上のように、本実施の形態に係る撹拌槽510Hは、実施の形態8に係る撹拌槽510Gとほぼ同様の効果が得られる。
(比較の形態)
図34は、比較の形態における撹拌槽および撹拌羽根を示す斜視図である。図35は、図34に示すXXXV−XXXV線に沿った断面図である。なお、図34および図35においても、便宜上のため撹拌槽510Xを図示するに際し、外装ホルダー511を省略している。図34および図35を参照して、比較の形態に係る撹拌槽510Xについて説明する。
比較の形態に係る撹拌槽510Xは、実施の形態7に係る撹拌槽510Fと比較した場合に、保温タンク512Xの側壁部515Xの形状が相違することにより、撹拌槽510Xの内周面510aの形状が相違する。
保温タンク512Xの側壁部515Xは、上下方向において周長が一定となる円筒状形状を有する。このため、側壁部515Xの開口面積は、上下方向において常に一定となる。また、側壁部515Xの内径(底部514の内径)φAは、実施の形態1〜9に係る撹拌槽510〜510Hの底部514の内径よりも大きくなっている。
ここで、撹拌羽根550は、回転することで渦を形成し、当該渦から取り込んだ空気を羽根部220にて切ることによりきめの細かい泡を生成する。撹拌槽510Xにお湯を供給した場合において、水深(液体の深さ)が低すぎる場合には、渦を形成することができず、撹拌時に空気をお湯の中に取り込むことができない。このため、きめ細やかな泡を生成するためには、撹拌羽根550よりも適度に上方に液面が位置する必要がある。
上述のように、比較の形態に係る撹拌槽510Xにあっては、底部514の内径が実施の形態1〜9よりも大きくなっている。このため、撹拌羽根よりも上方に液面が位置するように必要な最小の供給目安量は、実施の形態1〜9に係る最少の供給目安量よりも多くなる。したがって、比較の形態に係る撹拌槽510Xでは、供給される液体の量が少量となる場合には、液体を十分に撹拌することができなくなる。
(検証実験)
図36は、本発明の効果を確認するために行なった検証実験の条件および結果を示す図である。図36を参照して、本発明の効果を確認するために行なった検証実験について説明する。
検証実験としては、比較例1として、比較の形態に係る撹拌槽510Xを具備する撹拌ユニットを用い、実施例1として、実施の形態1に係る撹拌槽510を具備する撹拌ユニット500を用い、実施例2として、実施の形態7に係る撹拌槽510Fを用いた。なお、比較例1においては、側壁部515Xの内径(底部の内径)φAを100mmとし、側壁部515Xは底部に対して90°の角度で立設される。また、実施例1においては、底部の内径φAを60mmとし、側壁部515と底部514の成す角を119°とした。実施例2においては、第1筒状部516の内径(底部の内径)φAを70mmとし、第2筒状部517の内径φBを124mmとした。
また、撹拌羽根550として、水深が19mm以上38mm以下の場合において、きめ細やかな泡を生成することができるものを使用した。
実施例1、2および比較例1において、水深が19mmおよび水深が38mmとなる場合における各撹拌槽に供給される水の量を測定した。水深が19mmとなる場合に必要な供給量を最少の目安供給量とした。水深が38mmとなる場合に必要な供給量を最大の目安供給量とした。
比較例1においては、最小の目安供給量は、150ccとなり、最大の目安供給量は、300ccとなった。実施例1,2においては、最小の目安供給量は、比較例1の約半分となり、75ccとなった。また、実施例2においては、最大の目安量は、450ccとなった。実施例2の形状においては、第2筒状部517の内径を比較例1よりも大きくすることにより、最大の供給量を増加させることができた。
また、実施例1,2に係るような形状を有する撹拌槽を具備する撹拌ユニットを用いることにより、供給される液体の量が少量であっても当該液体を十分に撹拌することができることが実験的にも証明されたと言える。
なお、上述した実施の形態1にあっては、飲料製造装置1が実施の形態1に係る撹拌槽510を具備する撹拌ユニット500を備える場合を例示して説明したが、これに限定されず、実施の形態2〜9に係る撹拌槽510A〜510Hのいずれかを具備する撹拌ユニットを備えていてもよい。
上述した実施の形態1から9にあっては、撹拌槽が外装ホルダーと保温タンクによって構成される場合を例示して説明したが、これに限定されず、保温タンクのみから構成されていてもよい。また、保温タンクに代えて、保温性を有さず耐熱性を有する容器が使用されてもよい。
また、上述した実施の形態1から9に係る撹拌ユニットにあっては、液体としてのお湯と粉末としての茶葉粉末とを撹拌して飲料としてのお茶を製造する場合を例示して説明したが、これに限定されず、単体のミルク等の飲料用液体を撹拌してミルクフォーム等の泡立てた飲料を生成してもよいし、比重の異なる複数の飲料用液体を撹拌してこれらが混合された飲料を生成してもよい。
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。