以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
(飲料製造装置1)
図1から図3を参照して、本実施の形態における飲料製造装置1について説明する。図1は、飲料製造装置1の全体斜視図、図2は、図1中II−II線矢視断面図、図3は、飲料製造装置1の概略構成要素を示す全体斜視図である。
飲料製造装置1は、粉砕対象物として茶葉を用い、この茶葉を粉砕して茶葉粉末を得る。この得られた茶葉粉末を用いて、飲料としてお茶を製造する。飲料製造装置1は、飲料製造装置本体としての装置本体100、粉挽きユニット300、撹拌ユニット500、液体貯留タンク700、液体供給経路155(図2参照)と、粉末受け部としての茶葉粉末受皿800、および、載置ベース900を備える。載置ベース900は、装置本体100の前側下方において、前側に突出するように設けられており、カップ(図示省略)および茶葉粉末受皿800の載置が可能である。茶葉粉末受皿800は、利用者が把持して移動できるように設けられている。
(粉挽きユニット300)
粉挽きユニット300は、装置本体100の前面側に設けられた粉挽きユニット装着部180(図3参照)に対して、着脱可能に装着される。粉挽きユニット300は、たとえば正面から見た場合に撹拌ユニット500に含まれる撹拌槽510の下方において撹拌槽510と重ならないように撹拌槽510から離れて配置される。
粉挽きユニット装着部180には、粉挽駆動力連結機構130(図3参照)が前方に突出するように設けられ、この粉挽駆動力連結機構130に粉挽きユニット300が着脱可能に装着される。粉挽きユニット300は、粉挽駆動力連結機構130に連結されることにより、粉砕対象物である茶葉を挽くための駆動力を得る。
粉挽きユニット300の上部から粉挽きユニット300の内部に投入された茶葉は、粉挽きユニット300の内部において細かく粉砕される。粉砕された茶葉は、粉挽きユニット300の下方に載置された茶葉粉末受皿800に茶葉粉末として落下して集められる。なお、粉挽きユニット300の詳細構造については、図8から図11を用いて後述する。
(液体貯留タンク700)
液体貯留タンク700は、装置本体100の上面側に設けられた液体貯留タンク装着部195に着脱可能に装着される。液体貯留タンク700は、上面開口を有するタンク本体710と、タンク本体710の上面開口を塞ぐ蓋部720とを含む。液体貯留タンク700は、水等の液体を貯留する。
(液体供給経路155)
液体供給経路155は、装置本体100内に収容されている。液体供給経路155は、液体貯留タンク700に接続される(図7参照)。液体供給経路155には、液体貯留タンク700が接続された側とは反対側に供給口171が設けられている。液体供給経路155は、給湯パイプ150と、給湯ノズル170とを含む。給湯パイプ150は、一端側が液体貯留タンク700に接続され、他端側が給湯ノズル170に接続される。液体貯留タンク700から液体供給経路155に導入された液体は、給湯パイプ150、給湯ノズル170を通って撹拌ユニット500に供給される。
(撹拌ユニット500)
撹拌ユニット500は、液体と粉末とを撹拌する撹拌羽根550と、撹拌羽根550を収容する撹拌槽510とを含む。撹拌槽510は、装置本体100の前面側に設けられた撹拌槽装着部190(図3参照)に対して、着脱可能に装着される。装置本体100から鉛直方向と交差する方向に突出するように、撹拌槽510は撹拌槽装着部190に装着されている。具体的には、撹拌槽510の一部が装置本体100の前面から前方へ突出するように、撹拌槽510が装着される。
撹拌槽装着部190には、撹拌モータ非接触テーブル140Aが設けられている。撹拌ユニット500は、撹拌モータ非接触テーブル140A上に載置される。撹拌ユニット500の内部に設けられた撹拌羽根550は、撹拌モータ非接触テーブル140Aの下方に位置するように装置本体100内に収容された撹拌モータユニット140およびこれに連結された磁石141によって回転する。
装置本体100の撹拌槽装着部190の上部には、給湯ノズル170が設けられている。装置本体100の内部において、給湯パイプ150内の水が所定温度に上昇され、給湯ノズル170から撹拌槽510内にお湯が供給される。撹拌槽510内には、装置本体100において作成されたお湯と、粉挽きユニット300によって得られた茶葉粉末とが投入され、撹拌槽510内の撹拌羽根550によって、お湯と茶葉粉末とが撹拌される。これにより、撹拌槽510内においてお茶が製造される。
撹拌ユニット500内で製造されたお茶は、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップ(図示省略)に、お茶を注ぐことができる。なお、撹拌ユニット500の詳細構造については、図11および図12を用いて後述する。
(お茶(飲料)の製造フロー)
次に、図4から図6を参照して、上記飲料製造装置1を用いたお茶(飲料)の製造フローについて説明する。図4から図6は、飲料製造装置1を用いたお茶吐出を示す第1から第3の製造フローを示す図である。なお、粉挽きユニット300には、所定量のお茶葉が投入され、液体貯留タンク700には所定量の水が蓄えられている。
(第1製造フロー)
図4を参照して、第1製造フローについて説明する。この第1製造フローは、粉挽きユニット300における茶葉の粉砕と、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に行なわれるフローである。
飲料製造装置1は、ステップ11における粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きと、ステップ13における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に開始される。次に、ステップ12において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了するとともに、ステップ14における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
ステップ15においてはステップ12において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
次に、ステップ16において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ17において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ18において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。
(第2製造フロー)
図5を参照して、第2製造フローについて説明する。この第2製造フローは、粉挽きユニット300における茶葉が粉砕された後に、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が行なわれるフローである。
飲料製造装置1は、ステップ21において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが開始される。ステップ22において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了する。ステップ23において、ステップ22において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
ステップ24において、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が開始される。ステップ25において、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
次に、ステップ26において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ27において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ28において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。
(第3製造フロー)
図6を参照して、第3製造フローについて説明する。この第3製造フローは、撹拌ユニット500においてお湯を撹拌により冷却するステップを備えている。
飲料製造装置1は、ステップ31における粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きと、ステップ33における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に開始される。ステップ34における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
次に、ステップ32において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了するとともに、ステップ35において、撹拌ユニット500において給湯の冷却撹拌を開始する。ステップ36において、撹拌ユニット500において給湯の冷却撹拌が終了する。
ステップ37においてはステップ32において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
次に、ステップ38において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ39において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ40において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。
(装置本体100の内部構造)
次に、図7を参照して、装置本体100の内部構造について説明する。図7は、飲料製造装置1の内部構造を示す斜視図である。飲料製造装置1の装置本体100の内部においては、液体貯留タンク700の前面側には、電子部品が搭載されたプリント配線基板を用いた制御ユニット110が配置されている。利用者によるスタート信号の入力に基づき、上記お茶の製造フローが、制御ユニット110により実行される。
制御ユニット110の下方位置には、粉挽きユニット300に駆動力を与えるための粉挽モータユニット120が配置されている。この粉挽モータユニット120の下方位置には、前方に突出するように設けられ、粉挽モータユニット120の駆動力を粉挽きユニット300に伝達するための粉挽駆動力連結機構130が設けられている。
液体貯留タンク700の底面には、底面から下方に一旦延び、U字形状に上向きに延びる給湯パイプ150の一端が連結されている。給湯パイプ150の他端側には、撹拌ユニット500の撹拌槽510にお湯を注ぐための給湯ノズル170が連結されている。給湯パイプ150の途中領域には、給湯パイプ150内を通過する水を加熱するためのU字形状のヒータ160が装着されている。ヒータ160によって加熱された水がお湯となって撹拌槽510に供給される。
(粉挽きユニット300の構造)
次に、図8から図10を参照して、粉挽きユニット300の構造について説明する。図8は、粉挽きユニット300の斜視図、図9は、粉挽きユニット300の分解斜視図、図10は、粉挽きユニット300の縦断面図である。
粉挽きユニット300は、全体として円筒形状を有する粉挽きケース310を有し、下方の側面には、粉挽駆動力連結機構130が内部に挿入される連結用窓300Wが設けられている。粉挽きケース310の内部には、後述する第1臼としての上臼360と第2臼としての下臼350とによって生成された茶葉粉末を貯留する貯留部311(図10参照)と、貯留部311に連通する排出経路312とが設けられている。粉挽きケース310の最下端部となる排出経路312の下端部には、茶葉粉末を茶葉粉末受皿800に向けて排出する排出口312aが設けられている。排出口312aは、後述する保温タンク512(図12参照)の開口部513よりも下方に位置するように設けられている。これにより、保温タンク512内に供給されたお湯から生成される湯気が排出口312aから侵入することを防止することができる。
粉挽きユニット300は、粉砕対象物を粉砕する上臼360および下臼350を有する臼2と、当該下臼350が取り付けられる下臼支持部340とを含む。粉挽きケース310の内部には、下方から、下臼支持部340、下臼350、上臼360が順番に設けられている。
下臼支持部340は、上臼360が位置する側と反対側(下臼350の下方側)から下臼350を支持する。下臼支持部340は、略円柱形状の本体部341、係合突起部342、粉掻き取り部343を有する。粉挽き軸345は、本体部341の下面に設けられ、下方に向けて延在する。粉挽き軸345は、粉挽駆動力連結機構130に連結する。これにより、下臼支持部340が下臼350を支持した状態で回転可能となる。
係合突起部342は、本体部341の上面に設けられ、上方に向けて突出する。係合突起部342は、下臼350を取り付けるための部位である。粉掻き取り部343は、本体部341の周縁部に設けられている。粉掻き取り部343は、下臼支持部340が回転することにより、貯留部311に貯留された茶葉粉末を掻き取って排出経路312に搬送する。
下臼350は、後述する上臼360の第1摺合せ面360aに対向して配置される第2摺合せ面350aと、当該第2摺合せ面350aの反対側に位置する主面350bを含む。下臼350の第2摺合せ面350aには後述するせん断溝351(図14参照)等が形成されている。
下臼350の主面350bには、係合凹部350dが設けられている。係合凹部350dは、下臼支持部340の係合突起部342に対応する位置に設けられ、係合突起部342に係止される。下臼350は、下臼支持部340と連動して回転する。下臼350の中央部には、回転軸芯に沿って上方に向かって伸びるコア356が設けられている。
コア356は、上臼360の中央部に設けられた貫通孔361を貫通するように設けられている。コア356は、らせん状に設けられた羽根部356aを有する。
上臼360は、下臼350の第2摺合せ面350aに対向して配置される第1摺合せ面360aと、当該第1摺合せ面360aと反対側に位置する主面360bとを含む。上臼360の第1摺合せ面360aにはせん断溝等が形成されている。
上臼360は、その上方に配置された上臼保持部材370によって保持されている。たとえば、上臼360の上面には不図示の穴部が設けられており、当該穴部に上臼保持部材370に設けられた不図示のピン部が入り込むことにより、上臼360の回転が防止される。
上臼保持部材370は、孔部371aを有する底面部371と、底面部371の周縁から上方に向けて立設された外筒部372と、孔部371aの周縁から上方に向けて立設された内筒部373とを含む。孔部371aは、上臼360の貫通孔361に連通するように設けられている。外筒部372と内筒部373との間には、上臼360を下方に向けて押圧するバネ381およびバネ保持部材380が収容されている。バネ381によって、上臼360と下臼350との間に作用する粉砕圧力が調節される。
粉挽きケース310の上端開口部310b側には、粉砕対象物を上臼360と下臼350との間に供給するためのホッパー部320が取り付けられている。ホッパー部320は、天板部321と、筒状部322と、粉砕対象物投入口325とを有する。天板部321は、略中央部に開口部323が設けられたお椀形状を有する。筒状部322は、開口部323の周縁から下方に立設するように設けられている。筒状部322は、内筒部373の内側に挿入される。
粉砕対象物投入口325は、開口部323および筒状部322によって規定される。粉砕対象物投入口325内には、コア356の先端側が収容されている。筒状部322内に、粉砕対象物投入口325を跨ぐように複数の直線状のリブ391,392,393が設けられている。
茶葉を粉砕する際には、ホッパー部320は、カバー部330によって覆われることが好ましい。これにより、茶葉を粉砕対象物投入口325に投入した後に、粉挽きユニット300内に異物が侵入することを防止するとともに、粉砕された茶葉が飛散することを防止することができる。なお、茶葉を投入する際には、カバー部330は、ホッパー部320から取り外される。
粉砕対象物投入口325に投入された茶葉は、上臼保持部材370から露出する上臼360の上面および筒状部322の内周面によって規定される空間内に収容される。当該空間に収容された茶葉は、らせん状の羽根部356aが下臼350の回転に伴って回転することにより、上臼360と下臼350との間に案内される。
上臼360と下臼350との間に案内された茶葉は、粉砕されて茶葉粉末としてこれら上臼360と下臼350との周縁から下方へ落下する。落下した茶葉粉末の一部は、排出経路312を通って排出口312aから茶葉粉末受皿800に排出される。落下した茶葉粉末のその他の部分は、貯留部311に貯留される。貯留部311内の茶葉粉末は、粉掻き取り部343が下臼支持部340の回転に伴って回転することにより、排出経路312に搬送されて排出口312aから茶葉粉末受皿800に排出される。
本実施の形態においては、後述するように上臼360の第1摺合せ面360aと下臼350の第2摺合せ面350aとが互いに嵌り合う凹凸形状を有することにより、上臼360の外径および下臼350の外径を小さくした場合であっても、第1摺合せ面360aおよび第2摺合せ面350aの面積を大きくすることができる。これにより、上臼360および下臼350の外径を小さくして臼2および飲料製造装置1を小型化した場合であっても、微細な粉末を得ることができる。このような効果を得るための臼2の構造については、具体的には、第1摺合せ面360aの詳細な形状および第2摺合せ面350aの詳細な形状については、図13から図19を用いて後述する。
(撹拌ユニット500の構造)
次に、図11および図12を参照して、撹拌ユニット500の構造について説明する。図11は、撹拌ユニット500の分解斜視図、図12は、撹拌ユニット500の縦断面図である。
撹拌ユニット500は、撹拌槽510、撹拌羽根550および撹拌カバー530を備える。撹拌槽510は、樹脂製の外装ホルダー511と、この外装ホルダー511に保持される保温タンク512と、開口部513とを含む。外装ホルダー511には、樹脂により一体成形されたグリップ520が設けられている。保温タンク512は、有底筒形状を有し、上方に向けて開口する開口部513を有する。
撹拌カバー530は、開口部513を開閉可能に覆う。撹拌カバー530には、粉挽きユニット300により粉砕された茶葉粉末を投入する粉末投入口531、および、装置本体100内で形成されたお湯が給湯ノズル170から注がれる給湯口532が設けられている。給湯口532は、給湯ノズル170の供給口171に対応する位置に設けられている。
粉末投入口531および給湯口532は、開口部513に連通している。移動された茶葉粉末受皿800から粉末投入口531に投入された茶葉粉末は、開口部513を介して撹拌槽510内に投入される。給湯ノズル170から給湯口532に注がれたお湯は、開口部513を介して撹拌槽510内に供給される。
撹拌槽510の底部には、撹拌羽根550が載置される。撹拌槽510の底部には、上方に延びる回転軸560が設けられ、この回転軸560に撹拌羽根550の軸受部551が挿入される。
撹拌羽根550には、磁石552が埋め込まれている。撹拌モータ非接触テーブル140Aにおいて、撹拌羽根550に埋め込まれた磁石552と、撹拌モータユニット140側に設けられた磁石141とが非接触の状態で磁気結合することで、撹拌モータユニット140の回転駆動力が、撹拌羽根550に伝達される。
撹拌槽510は、生成された飲料を吐出するための吐出部545をさらに備える。吐出部545は、装置本体100から突出する部分の撹拌槽510に設けられている。吐出部545は、撹拌槽510の底部に設けられた吐出口541と、吐出口541を開閉する吐出口開閉機構540とを含む。吐出口541は、茶葉粉末とお湯とが撹拌羽根550によって撹拌されて生成されたお茶を吐出させるための部位である。
吐出口開閉機構540は、吐出口541を開閉可能に、吐出口541に挿入された開閉ノズル543と、開閉ノズル543の位置を制御する操作レバー542とを含む。開閉ノズル543は、通常状態においてはバネ等の付勢部材(図示省略)により吐出口541を塞ぐように付勢されている。利用者が、操作レバー542を付勢力に対抗して移動させた場合には、開閉ノズル543が移動し、吐出口541が開放される。これにより、撹拌槽510内のお茶が、載置ベース900に載置されたカップ(図示省略)に注出される。
(臼2)
図13を参照して、本実施の形態に係る臼2について説明する。図13は、本実施の形態に係る臼の構成を示す斜視図である。
図13に示すように、下臼350および上臼360は、共通の中心軸Cを有する。上臼360が固定された状態で、下臼350が中心軸Cを中心として回転することにより、粉砕対象物が第1摺合せ面360aと第2摺合せ面350aとの間で粉砕される。
図14を参照して、下臼350の第2摺合せ面350aに設けられる粉砕溝の形状について説明する。図14は、図13に示す臼に具備される下臼の摺合せ面に設けられる粉砕溝の形状を示す平面図である。
図14に示すように、中心軸の軸線方向から見た場合に、粉砕溝として、下臼350の第2摺合せ面350aには、内周側から外周側に向かうにつれて周方向に湾曲するように複数のせん断溝351が設けられている。複数のせん断溝351は、回転中心Oに対して回転対称に設けられている。複数のせん断溝351のそれぞれは、後述する等角螺旋に沿って延在している。上臼360の第1摺合せ面360aにも同様に、複数のせん断溝が等角螺旋に沿って延在している。
図15を参照して、粉砕溝(せん断溝)の詳細な形状について説明する。図15は、図14に示す粉砕溝の形状を説明するための平面図である。
図15に示すように、せん断溝351は、中心軸の軸線方向から見た場合に等角螺旋S1に沿って形成されている。回転中心Oを原点として等角螺旋S(S1)はパラメータa、bを用いて、以下の式1で表わされる。
S=a・exp(b・θ)・・・(式1)
回転中心Oから伸ばした半直線Lと等角螺旋が成す角α(α1)は、以下の式2で表わされる。
α=arccot(b)・・・(式2)
せん断溝351に好適な等角螺旋S1は、(式1)においてa=5、b=0.306であり、(式2)においてα=17.0°である。現実的には、半直線Lと等角螺旋S1(せん断溝351)との成す角度α1は、0°<α1<45°であれば良く、好ましくは、10°≦α1≦20°であり、さらに好ましくは、α1=17.0°となる。
ここで、上記(式1)で表わされる等角螺旋の数学的な性質として、回転中心Oから伸ばした半直線Lと等角螺旋S1が成す角αは、中心軸方向から見た場合に常に一定の角度で交わることである。
また、第1摺合せ面360aと第2摺合せ面350aとが対向配置された状態にあっては、中心軸の軸線方向から見た場合に、第1摺合せ面360aのせん断溝と第2摺合せ面350aのせん断溝351とは、湾曲方向が反対となるようにして交差する。
したがって、上臼360の第1擦合せ面360aと下臼350の第2擦合せ面350aとを当接させて回転させる場合には、中心軸の軸線方向から見た場合に、上臼360側のせん断溝と下臼350側のせん断溝とが交差する交差角は常に2αとなる。
図16から図18を参照して、臼2の構造、具体的には、上臼360の第1摺合せ面360aの形状および下臼350の第2摺合せ面350aの形状について説明する。図16は、図13に示す臼に具備される下臼の斜視図である。図17は、図13に示す臼の分解斜視断面図である。図18は、図13に示すXVIII−XVIII線に沿った断面図である。
第2摺合せ面350aは、平坦部352、および2つの凹部354,355を含む。平坦部352は、第2摺合せ面350aのうち最上位に位置する部分である。平坦部352は、コア356の周囲に位置する平坦部352a、最外周側に位置する平坦部352c、平坦部352aと平坦部352cとの間に位置する平坦部352bとを含む。
凹部354,355は、第2摺合せ面350aのうち最上位に位置する平坦部352を通過し中心軸Cの径方向に平行な平面である仮想平面VPを基準とした場合に、当該仮想平面VPから凹むように設けられている。凹部354,355は、仮想平面VPから下方に向かうにつれて開口面積が小さくなるように設けられている。また、凹部354,355は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350の断面において中心軸に対して線対称となるように設けられている。凹部354,355は、それぞれ環状の溝形状を有し、中心軸Cを中心として同心円状に設けられている。
凹部354,355が有する溝形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350の断面において、角部が丸みを帯びた台形形状を有する。凹部354,355は、底部354a,355a、内周側傾斜面354b,355bおよび外周側傾斜面354c,355cを有する。凹部354の深さ(仮想平面VPから底部354aまでの距離)と凹部355の深さ(仮想平面VP)から底部355aまでの距離)は、ほぼ同一であり、底部354aと底部355aとは同一平面上に位置する。
内周側傾斜面354b,355bは、凹部354,355のうち中心軸C側に位置する傾斜面である。外周側傾斜面354c,355cは、凹部354,355のうち下臼350の外周側に位置する傾斜面である。
中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350の断面において、仮想平面VPに対する内周側傾斜面354bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側傾斜面354cの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角とはほぼ同一である。
また、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350の断面において、仮想平面VPに対する内周側傾斜面354bの傾斜角と仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する外周側傾斜面354cの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角とはほぼ同一である。
このように、凹部354,355が設けられることにより、第2摺合せ面350aは、高低差を有する。これにより、第2摺合せ面350aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部352に設けられている部分のせん断溝は、底部354a,355aに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
第1摺合せ面360aは、平坦部362、および2つの凸部364,365を有する。平坦部362は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、第1摺合せ面360aのうち最も上方に位置する部分である。凸部364,365は、第1摺合せ面360aが第2摺合せ面350aに当接または近接するように配置された場合に仮想平面VPから下方に向けて突出するように設けられ、凹部354,355に嵌り込む。
凸部364,365は、凹部354,355に対応する形状を有する。凸部364,365は、それぞれ環状の突起形状を有し、中心軸Cを中心として同心円状に設けられている。
凸部364,365が有する突起形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360の断面において、角部が丸みを帯びた台形形状を有する。凸部364,365は、先端部364a,365a、内周側対向面364b,365bおよび外周側対向面364c,365cを有する。凸部364の高さ(仮想平面VPから先端部364aまでの距離)と凸部365の高さ(仮想平面VPから先端部365aまでの距離)はほぼ同一であり、先端部364aと先端部365aとは同一平面上に位置する。
内周側対向面364b,365bは、凸部364,365のうち中心軸C側に位置し、内周側傾斜面354b,355bに対向する傾斜面である。外周側対向面364c,365cは、凸部364,365のうち上臼360の外周側に位置し、外周側傾斜面354c,355cに対向する傾斜面である。
中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360の断面において、仮想平面VPに対する内周側対向面364bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側対向面364cの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角とはほぼ同一である。
また、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360の断面において、仮想平面VPに対する内周側対向面364bの傾斜角と仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する外周側対向面364cの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角とはほぼ同一である。
このように、凸部364,365が設けられることにより、第1摺合せ面360aは、高低差を有する。これにより、第1摺合せ面360aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部362に設けられている部分のせん断溝は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、先端部364a,365aに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
以上のように構成することにより、上臼360および下臼350は、中心軸Cを中心に相対的に回転可能に凹凸嵌合する。下臼350と上臼360の間に案内された茶葉はせん断(粉砕)されつつ、上下方向に蛇行しながら径方向外側に移動する。具体的には、粉砕された茶葉は、下臼350を基準にして、平坦部352a、内周側傾斜面354b、底部354a、外周側傾斜面354c、平坦部352b、内周側傾斜面355b、底部355a、外周側傾斜面355c、平坦部352cをこの順に移動して、下臼350の周縁から下方へ落下する。特に、粉砕された茶葉が重力に逆らって外周側傾斜面354c,355cを登るように移動する際には、ある程度の時間が必要となり、この間に茶葉を相当程度細かくすることができる。
以上のように下臼350に凹部354,355を設けるとともに、これに嵌り合う凸部364,365を上臼360に設けることにより、摺合せ面の表面積が増加する。これより、上臼の外径および下臼の外径を小さくした場合であっても、茶葉を効率よく粉砕することができ、微細化された粉末を得ることができる。
たとえば、約20μm程度の粒径を有する粉末茶葉を生成する場合には、本実施の形態に係る臼2を用いると、約0.4g/minで粉末茶葉を生成することができる。一方、比較例として同一のせん断溝形状を有し凹凸が形成されていない摺合せ面を具備する臼を用いると、約0.3g/minで粉末茶葉が生成される。このように、本実施の形態に係る臼2には、効率よく茶葉を生成することができる。
このように、本実施の形態に係る臼2およびこれを備えた飲料製造装置1にあっては、摺合せ面の表面積が増加することにより、小型化が可能となるとともに、効率よく微細な粉末を得ることができる。
なお、上臼360の第1摺合せ面360aおよび下臼350の第2摺合せ面350aに形成される粉砕溝(せん断溝)の形状は、上述の等角螺旋に沿った形状のみに限定されず、以下の第1変形例から第3変形例に示すような形状を有していてもよい。
図19から図22を参照して、上臼360の第1摺合せ面360aおよび下臼350の第2摺合せ面350aに形成されるせん断溝の形状の第1変形例から第3変形例について説明する。図19は、図13に示す下臼の摺合せ面に設けられる粉砕溝の形状の第1変形例を示す平面図である。図20は、図19に示す粉砕溝の形状を説明するための平面図である。図21および図22は、図13に示す下臼の摺合せ面に設けられる粉砕溝の形状の第2変形例および第3変形例を示す平面図である。なお、上臼の摺合せ面に設けられるせん断溝の形状は下臼と同じ形状であるため、下臼のみに着目して説明する。
図19に示すように、第1変形例における粉砕溝の形状を有する下臼350は、下臼350の開口部353の内周面353aから第2摺合せ面350aに向かう領域に、螺旋状に延びる3本の引き込み溝352cが設けられている。この引き込み溝352cは、開口部(投入口)353に開口した形状をとり、コア356の回転するすぐ横に配置されることで、粉砕対象物が引き込み溝352cにスムーズに送られていく。
下臼350の第2擦合せ面350aには、粉砕溝351および引き込み溝352cが設けられている。粉砕溝351は、複数のせん断溝351aと、3本の送り溝351bとを含む。せん断溝351aは、回転中心Oに対して回転対称に複数設けられている。3本の送り溝351bも、回転中心Oに対して回転対称に設けられている。
せん断溝351aは、主に粉砕対象物を粉砕するための溝であり、送り溝351bは、主に粉砕された粉末茶葉(粉砕された茶葉)を、臼の中心部から外周部に送る溝である。せん断溝351aおよび送り溝351bは、等角螺旋に沿った形態を有している。
図20に示すように、せん断溝351a(図19参照)は、上述したせん断溝351とほぼ同様の等角螺旋に沿って延在する。送り溝351bは、上述の(式1)を満たす等角螺旋S2に沿って延在し、回転中心Oから伸ばした半直線Lと等角螺旋が成す角α2も上述の(式2)を満たす。
送り溝351bに好適な等角螺旋S2は、上述の(式1)においてa=5、b=3.7であり、(式2)においてα=74.9°である。現実的には、半直線Lと等角螺旋S2(送り溝351b)との成す角度α2は、45°<α2<90°であれば良く、好ましくは、70°≦α2≦80°であり、さらに好ましくは、α2=74.9°となる。
図21に示すように、第2変形例における粉砕溝を有する下臼350の第2摺合せ面350aには、粉砕溝として中心部から外周側に直線状に延在する複数のせん断溝351が放射状に設けられている。
図22に示すように、第3変形例における粉砕溝を有する下臼350の第2摺合せ面350aは、回転中心を基準に8分割された各区画領域のそれぞれに、粉砕溝として所定のピッチで平行に複数のせん断溝が形成されている。各区画領域は、略扇形形状を有し、一方の辺部と他方の辺部と円弧部とを有する。各区画領域に設けられた複数のせん断溝のそれぞれは、一方の辺部に45度で交差するように設けられている。
上述した第1変形例から第3変形例における粉砕溝の形状を有する下臼および上臼からなる臼を利用した場合であっても、当該下臼および上臼の摺合せ面に互いに嵌まり合う凹凸部が設けられる限り、摺合せ面の面積を増加させることができる。これにより、上臼360の外径および下臼350の外径を小さくした場合であっても、茶葉を効率よく粉砕することができ、微細化された粉末を得ることができる。
(実施の形態2)
図23は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図23を参照して、本実施の形態に係る臼2Aについて説明する。
図23に示すように、本実施の形態に係る臼2Aは、実施の形態1に係る臼2と比較した場合に、下臼350Aの凹部354,355が有する溝形状および上臼360Aの凸部364,365が有する溝形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
凹部354,355が有する環状の溝形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Aの断面において、略三角形状を有する。ここで、略三角形状は、三角形状および三角形の頂点の少なくともいずれかが丸みを帯びた形状も含む。凹部354,355は隣接するように設けられ、中心軸Cを中心として同心円状に設けられている。
中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Aの断面において、仮想平面VPに対する内周側傾斜面354bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側傾斜面354cの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角とはほぼ同一である。
また、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Aの断面において、仮想平面VPに対する内周側傾斜面354bの傾斜角と仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する外周側傾斜面354cの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角とはほぼ同一である。
このように、凹部354,355が設けられることにより、第2摺合せ面350aは、高低差を有する。これにより、第2摺合せ面350aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部352に設けられている部分のせん断溝は、底部354a,355bに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
凸部364,365が有する突起形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Aの断面において、略三角形状を有する。凸部364,365は隣接するように設けられ、中心軸Cを中心として同心円状に設けられている。
中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360Aの断面において、仮想平面VPに対する内周側対向面364bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側対向面364cの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角とはほぼ同一である。
また、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360Aの断面において、仮想平面VPに対する内周側対向面364bの傾斜角と仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する外周側対向面364cの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角とはほぼ同一である。
このように、凸部364,365が設けられることにより、第1摺合せ面360aは、高低差を有する。これにより、第1摺合せ面360aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部362に設けられている部分のせん断溝は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、先端部364a,365bに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
以上のように構成した場合であっても、第1摺合せ面360aおよび第2摺合せ面350aの表面積が増加する。これより、上臼の外径および下臼の外径を小さくした場合であっても、茶葉を効率よく粉砕することができ、微細化された粉末を得ることができる。このため、本実施の形態に係る臼2Aは、実施の形態1に係る臼2とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態3)
図24は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図24を参照して、本実施の形態に係る臼2Bについて説明する。
図24に示すように、本実施の形態に係る臼2Bは、実施の形態1に係る臼2と比較した場合に、下臼350Bが有する凹部の数および凹部の形状、ならびに上臼360Bが有する凸部の数および凸部の形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
下臼350Bの第2摺合せ面350aは、3つの凹部354,355,357を含む。凹部354と凹部355との境界部および凹部355と凹部357との境界部は、第2摺合せ面350aのうち最上位に位置する部分である。
凹部354,355,357は、凹部354と凹部355との境界部および凹部355と凹部357との境界部を通過する仮想平面VPを基準とした場合に、当該仮想平面VPから凹むように設けられている。凹部354,355,357は、仮想平面VPから下方に向かうにつれて開口面積が小さくなるように設けられている。また、凹部354,355,357は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350の断面において中心軸Cに対して線対称となるように設けられている。凹部354,355,357は、中心軸Cを中心として同心円状に設けられている。
凹部354は、中心軸Cを含みこの中心軸Cを中心とする円錐台形状を有する。凹部355,357は環状の溝形状を有する。
凹部354は、底部354aおよび第1傾斜面としての傾斜面354bを有する。底部354aにもせん断溝が設けられている。傾斜面354bは、中心軸Cに向くように設けられ、径方向外側に向かうにつれて上方に傾斜する。
凹部355が有する環状の溝形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Bの断面において、略三角形状を有する。凹部355は、底部355a、第2傾斜面としての内周側傾斜面355b、外周側傾斜面355cを含む。
凹部357が有する環状の溝形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Bの断面において、略台形形状を有する。凹部357は、底部357a、中心軸側に位置する傾斜面357bを有する。
仮想平面VPに対する各傾斜面(傾斜面354b、内周側傾斜面355b、外周側傾斜面355c、傾斜面357b)の傾斜角はほぼ同一であり、底部354a、底部355a、底部357aは同一平面上に位置する。
このように、凹部354,355,357が設けられることにより、第2摺合せ面350aは、高低差を有する。これにより、第2摺合せ面350aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。上記各傾斜面に設けられている部分のせん断溝は、底部354a,355a,357aに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
第1摺合せ面360aは、凸部364,365,366を含む。凸部364,365,366は、第1摺合せ面360aが第2摺合せ面350aに当接または近接するように配置された場合に仮想平面VPから突出するように設けられ、凹部354,355,357に嵌り込む。
凸部364は、凹部354に対応する形状を有し、円錐台形状を有する。凸部365,366は、凹部355,357に対応する形状を有し、環状の突起形状を有する。
凸部364は、先端部364aおよび第1対向面としての対向面364bを有する。対向面364bは、傾斜面354bに対向する。凸部364の中央には、コア356を貫通させるための貫通孔361が設けられている。
凸部365が有する環状の突起形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360Bの断面において略三角形状を有する。凸部365は、第2対向面としての内周側対向面365b、先端部365a、外周側対向面365cを含む。内周側対向面365bは、内周側傾斜面355bに対向し、外周側対向面365cは、外周側傾斜面355cに対向する。
凸部366が有する環状の突起形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360Bの断面において略台形形状を有する。凸部366は、先端部366a、対向面366bを含む。対向面366bは、傾斜面357bに対向する。
仮想平面VPに対する各対向面(対向面364b、内周側対向面365b、外周側対向面365c、対向面366b)の傾斜角はほぼ同一であり、先端部364a,365a,366aは、同一平面上に位置する。
このように、凸部364,365,366が設けられることにより、第1摺合せ面360aは、高低差を有する。これにより、第1摺合せ面360aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、上記各対向面に設けられている部分のせん断溝は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、先端部364a,365a,366aに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
このような構成を有する場合であっても、第1摺合せ面360aおよび第2摺合せ面350aの表面積が増加する。これより、上臼の外径および下臼の外径を小さくした場合であっても、茶葉を効率よく粉砕することができ、微細化された粉末を得ることができる。このため、本実施の形態に係る臼2Bは、実施の形態1に係る臼2とほぼ同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態においては、仮想平面VPに対する各傾斜面の傾斜角がほぼ同一である場合を例示して説明したが、これに限定されず、適宜変更することができる。たとえば、仮想平面VPに対する傾斜面354bの傾斜角および仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角は、仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角および仮想平面VPに対する傾斜面357bの傾斜角よりも小さくてもよい。
この場合には、仮想平面VPに対する対向面364bの傾斜角および仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角は、仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角および仮想平面VPに対する対向面366bの傾斜角よりも小さくなる。
さらに、この場合には、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350の断面において、傾斜面354bの長さおよび外周側傾斜面355cの長さは、内周側傾斜面355bの長さおよび傾斜面357bの長さよりも長いことが好ましい。また、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360の断面において、対向面364bの長さおよび外周側対向面365cの長さは、内周側対向面365bの長さおよび対向面366bの長さよりも長いことが好ましい。
このような構成とした場合には、粉砕された茶葉が重力に逆らって傾斜面354bおよび外周側傾斜面355cを登るように移動する距離が増加する。このため、茶葉をより細かく粉砕することができる。
(実施の形態4)
図25は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図25を参照して、本実施の形態に係る臼2Cについて説明する。
図25に示すように、本実施の形態に係る臼2Cは、実施の形態2に係る臼2Aと比較した場合に、下臼350Cの凹部354,355が有する溝形状の傾斜角および上臼360Cの凸部364,365が有する溝形状の傾斜角が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
凹部354,355が有する溝形状の傾斜角に関して、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Cの断面において、仮想平面VPに対する内周側傾斜面354bの傾斜角は、仮想平面VPに対する外周側傾斜面354cの傾斜角よりも大きい。仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角は、仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角よりも大きい。
この場合には、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Cの断面において、内周側傾斜面355bの長さが外周側傾斜面355cの長さよりも短くなることが好ましい。
また、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Cの断面において、仮想平面VPに対する内周側傾斜面354bの傾斜角と仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する外周側傾斜面354cの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角とはほぼ同一である。
このように、凹部354,355が設けられることにより、第2摺合せ面350aは、高低差を有する。これにより、第2摺合せ面350aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部352に設けられている部分のせん断溝は、底部354a,355bに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
上臼360Cの凸部364,365が有する溝形状の傾斜角に関して、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360Cの断面において、仮想平面VPに対する内周側対向面364bの傾斜角は、仮想平面VPに対する外周側対向面364cの傾斜角よりも大きく、仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角は、仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角よりも大きい。
この場合には、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360Cの断面において、内周側対向面365bの長さが外周側対向面365cの長さよりも短くなることが好ましい。
また、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360Cの断面において、仮想平面VPに対する内周側対向面364bの傾斜角と仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角とはほぼ同一であり、仮想平面VPに対する外周側対向面364cの傾斜角と仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角とはほぼ同一である。
このように、凸部364,365が設けられることにより、第1摺合せ面360aは、高低差を有する。これにより、第1摺合せ面360aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部362に設けられている部分のせん断溝は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、先端部364a,365bに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
以上のように構成することにより、粉砕された茶葉が重力に逆らって外周側傾斜面354c,355cを登るように移動する距離が増加する。これにより、当該外周側傾斜面354c,355cにおいて茶葉を十分に細かく粉砕することができる。
このように、本実施の形態に係る臼2Cおいては、摺合せ面の表面積が増加でき、特に外周側傾斜面の面積を増加させることができるため、実施の形態1に係る臼2と同等以上の効果を得ることができる。
また、内周側傾斜面354b,355bの傾斜を外周側傾斜面354c,355cの傾斜よりも急とすることにより、茶葉を比較的短時間で粉砕することができる。
なお、本実施の形態においては、内周側傾斜面354b,355bの傾斜を外周側傾斜面354c,355cの傾斜よりも急とする場合を例示して説明したが、これに限定されず、外周側傾斜面354c,355cの傾斜が内周側傾斜面354b,355bの傾斜よりも急となってもよい。この場合には、茶葉が凹部内に溜まりやすくなり、茶葉を比較的細かく粉砕することができる。
(実施の形態5)
図26は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図26を参照して、本実施の形態に係る臼2Dについて説明する。
図26に示すように、本実施の形態に係る臼2Dは、実施の形態1に係る臼2と比較した場合に、下臼350Dの凹部354,355が有する溝形状および上臼360Dの凸部364,365が有する溝形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
凹部354,355は、環状の溝形状を有し、当該溝形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350の断面において略台形形状を有する。また、凸部364,365も環状の突起形状を有し、当該突起形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360の断面において、略台形形状を有する。なお略台形形状は、頂点部を有する台形形状のみならず、少なくともいずれかの頂点部が丸みを帯びた台形形状を含む。
なお、凹部354,355が有する内周側傾斜面354b,355bの仮想平面VPに対する傾斜角および凹部354,355が有する外周側傾斜面354c,355cの仮想平面VPに対する傾斜角は適宜変更することができる。
具体的には、凹部354,355が有する内周側傾斜面354b,355bの仮想平面VPに対する傾斜角および凹部354,355が有する外周側傾斜面354c,355cの仮想平面VPに対する傾斜角は同一であってもよい。また、仮想平面VPに対する外周側傾斜面354cの傾斜角および仮想平面VPに対する外周側傾斜面355cの傾斜角は、仮想平面VPに対する内周側傾斜面354bの傾斜角および仮想平面VPに対する内周側傾斜面355bの傾斜角よりも小さくてもよい。
このように、凹部354,355が設けられることにより、第2摺合せ面350aは、高低差を有する。これにより、第2摺合せ面350aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部352に設けられている部分のせん断溝は、底部354a,355bに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
同様に、凸部364,365が有する内周側対向面364b,365bの仮想平面VPに対する傾斜角および凸部364,365が有する外周側対向面364c,365cの仮想平面VPに対する傾斜角も、凹部354,355の形状に合わせて適宜変更することができる。
具体的には、凸部364,365が有する内周側対向面364b,365bの仮想平面VPに対する傾斜角および凸部364,365が有する外周側対向面364c,365cの仮想平面VPに対する傾斜角は同一であってもよい。また、仮想平面VPに対する外周側対向面364cの傾斜角および仮想平面VPに対する外周側対向面365cの傾斜角は、仮想平面VPに対する内周側対向面364bの傾斜角および仮想平面VPに対する内周側対向面365bの傾斜角よりも小さくてもよい。
このように、凸部364,365が設けられることにより、第1摺合せ面360aは、高低差を有する。これにより、第1摺合せ面360aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、平坦部362に設けられている部分のせん断溝は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、先端部364a,365bに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
以上のような構成を有する場合であっても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Dは、実施の形態1に係る臼2とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態6)
図27は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図27を参照して、本実施の形態に係る臼2Eについて説明する。
図27に示すように、本実施の形態に係る臼2Eは、実施の形態1に係る臼2と比較した場合に、下臼350Eの凹部354,355が有する溝形状および上臼360Eの凸部364,365が有する溝形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
凹部354,355は、環状の溝形状を有し、当該溝形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Eの断面において波形形状を有する。また、凸部364,365も環状の突起形状を有し、当該突起形状は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の上臼360の断面において、波形形状を有する。
このような構成を有する場合であっても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Eは、実施の形態1に係る臼2とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態7)
図28は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図28を参照して、本実施の形態に係る臼2Fについて説明する。
図28に示すように、本実施の形態に係る臼2Fは、実施の形態5に係る臼2Dと比較した場合に、凸部364が連続した環状形状では無い点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
凸部364は、一部が分断された環状形状を有する。すなわち、凸部364は、中心軸Cの周方向に全周に亘って設けられておらず、凹部354の一部に嵌合しない部分が存在する。凸部364は、凹部354の少なくとも一部に嵌り込むように設けられている。
凸部364が分断された部分においては、平面部366が形成されている。平面部366は、たとえば、仮想平面VPと同一平面状に設けられている。平面部366と凹部354との間には、隙間Aが形成されている。
なお、周方向に沿った平面部366の長さ、平面部366を形成する部分は適宜設定することができ、隙間Aの範囲および数を適宜変更することにより、粉砕スピードや粒度を調整することができる。
中心側に近い凸部364が、一部が分断された環状形状を有することにより、中心側に隙間Aを設け、当該隙間Aに向けてコア356から大きな茶葉を送り込むこともできる。また、外周側に位置する凸部365は、連続した環状形状を有し、凹部355に周方向全周に亘って嵌合することにより、粉砕されて微細化された微細な茶葉粉末を臼2Fの外縁に向けて搬出することができる。
このような構成を有する場合であっても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Fは、実施の形態5に係る臼2Dとほぼ同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態においては、凸部364が、一部が連続的にまたは断続的に分断された環状形状を有する場合を例示して説明したがこれに限定されない。凸部365が、一部が連続的にまたは断続的に分断された環状形状を有していてもよいし、凸部364および凸部365の両方が、一部が連続的にまたは断続的に分断された環状形状を有していてもよい。
(実施の形態8)
図29は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図29を参照して、本実施の形態に係る臼2Gについて説明する。
図29に示すように、本実施の形態に係る臼2Gは、実施の形態1に係る臼2と比較した場合に、下臼350Gが有する凹部の数および凹部の形状、ならびに上臼360Gが有する凸部の数および凸部の形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
下臼350Gの第2摺合せ面350aは、1つの凹部354を有する。第2摺合せ面350aの外周端部は、第2摺合せ面350aのうち最上位に位置する部分である。凹部354は、中心軸Cの径方向に平行な平面であり当該第2摺合せ面350aの外周端部を通過する仮想平面VPを基準とした場合に、当該仮想平面VPから凹むように設けられている。
凹部354は、中心軸Cを含みこの中心軸Cを中心とする円錐台形状を有する。すなわち、凹部354は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Gの断面において中心軸Cに対して線対称となるように設けられている。凹部354は、底部354aおよび傾斜面354bを有する。傾斜面354bは、中心軸Cに向くように設けられ、中心軸Cの径方向外側に向かうにつれて上方に傾斜する。
このように、凹部354が設けられることにより、第2摺合せ面350aは、高低差を有する。これにより、第2摺合せ面350aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、傾斜面354bに設けられている部分のせん断溝は、底部354aに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
第1摺合せ面360aは、1つの凸部364を有する。凸部364は、先端部364aおよび対向面364bを有する。凸部364は、仮想平面VPから下方に突出するように設けられ、凹部354に嵌り込む。凸部364は、凹部354に対応する形状を有し、円錐台形状を有する。
このように、凸部364が設けられることにより、第1摺合せ面360aは、高低差を有する。これにより、第1摺合せ面360aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、対向面364bに設けられている部分のせん断溝は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、先端部364aに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
以上のような形状を有する場合においても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Gは、実施の形態1に係る臼2とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態9)
図30は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図30を参照して、本実施の形態に係る臼2Hについて説明する。
図30に示すように、本実施の形態に係る臼2Hは、実施の形態8に係る臼2Gと比較した場合に、下臼350Hが有する凹部354の形状および上臼360Hが有する凸部364の形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
第2摺合せ面350aは、凹部354を有する。凹部354は、中心軸Cを含みこの中心軸Cを中心とし、下方に向けて突出するドーム型形状を有する。凹部354は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Hの断面において中心軸Cに対して線対称となるように設けられている。
また、第2摺合せ面350aは、高低差を有するように設けられている。具体的には、第2摺合せ面350aは、中心部が最も低くなり、外周部が最も高くなるように設けられている。第2摺合せ面350aは、中心部が下方に向けて窪むように設けられた曲面形状を有する。
これにより、第2摺合せ面350a上に設けられるせん断溝も高低差を有する。具体的には、中心側から外周側に向けて延びるように設けられるせん断溝のうち外周側に位置するせん断溝は、中心側に位置するせん断溝よりも高い位置に設けられる。
第1摺合せ面360aは、凸部364を有する。凸部364は、仮想平面VPから下方に膨出するように設けられ、凹部354に嵌り込む。凸部364は、凹部354に対応する形状を有し、ドーム型形状を有する。
第1摺合せ面360aは、高低差を有するように設けられている。具体的には、第1摺合せ面360aは、外周側から中心側に向かうにつれて低くなるように設けられている。第1摺合せ面360aは、中心側が下方に向けて膨出するように設けられた曲面形状を有する。
これにより、第1摺合せ面360a上に設けられるせん断溝も高低差を有する。具体的には、中心側から外周側に向けて延びるように設けられるせん断溝のうち外周側に位置するせん断溝は、中心側に位置するせん断溝よりも高い位置に設けられる。
このような形状を有する場合においても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Hは、実施の形態8に係る臼2Gとほぼ同様の効果が得られる。特に、茶葉が投入される臼2Hの入口部(中心部)の位置が、茶葉粉末が排出される臼2Hの外周部の位置よりも高くすることにより、茶葉を比較的細かく粉砕することができる。
(実施の形態10)
図31は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図31を参照して、本実施の形態に係る臼2Iについて説明する。
図31に示すように、本実施の形態に係る臼2Iは、実施の形態9に係る臼2Hと比較した場合に、下臼350Iおよび上臼360Iの形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
第2摺合せ面350aは、ドーム型形状を有する凹部354からさらに下方に向けて窪むように設けられた環状の窪み部358,359を有する。窪み部358,359は、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼350Iの断面において、一方の底辺部(上方側に位置する底辺部)が中心部から外周部に向かうにつれて上方に湾曲する略台形形状を有する。
窪み部358,359は、底部358a,359a、内周側傾斜面358b,359b、外周側傾斜面358c,359cを有する。窪み部358は、窪み部359よりも下方に位置する。すなわち、第2摺合せ面350aのうち最上位に位置する外周部を通過し中心軸Cの基方向平行な平面である仮想平面VPから底部358aまでの距離h1は、当該仮想平面VPから底部359aまでの距離h2よりも長い。
内周側傾斜面358b,359bは、窪み部358,359のうち中心軸C側に位置する傾斜面である。外周側傾斜面358c,359cは、窪み部358,359のうち下臼350Iの外周側に位置する傾斜面である。
内周側傾斜面358b,359bの傾斜角は、外周側傾斜面358c,359cの傾斜角よりも大きい。内周側傾斜面358bと内周側傾斜面359bの傾斜角は、ほぼ同一であり、外周側傾斜面358cと外周側傾斜面359cの傾斜角は、ほぼ同一である。
このように第2摺合せ面350aは、高低差を有するように設けられており、これにより、第2摺合せ面350aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、底部359aに設けられている部分のせん断溝は、底部358aに設けられているせん断溝よりも高い位置に設けられる。
第1摺合せ面360aは、下方に向けて膨出するドーム型形状を有する凸部364からさらに下方に向けて突出するように設けられた環状の突起部368,369を有する。
突起部368,369は、上述の窪み部358,359に対応する形状を有する。突起部368,369は、先端部368a,369a、内周側対向面368b,369b、および外周側対向面368c,369cを有する。仮想平面VPから先端部368aまでの距離h1は、仮想平面VPから先端部369aまでの距離h2より長い。
内周側対向面368b,369bは、突起部368,369のうち中心軸C側に位置し、内周側傾斜面358b,359bに対向する傾斜面である。外周側対向面368c,369cは、突起部368,369のうち上臼360Iの外周側に位置し、外周側傾斜面358c,359cに対向する傾斜面である。
内周側対向面368b,369bの傾斜角は、外周側対向面368c,369cの傾斜角よりも大きい。内周側対向面368bと内周側対向面369bの傾斜角は、ほぼ同一であり、外周側対向面368cと外周側対向面369cの傾斜角は、ほぼ同一である。
このように第1摺合せ面360aは、高低差を有するように設けられており、これにより、第1摺合せ面360aに設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、先端部369aに設けられている部分のせん断溝は、上臼360と下臼350とが対向配置された状態において、先端部368aに設けられている部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
以上のような構成を有する場合においても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Iは、実施の形態9に係る臼2Hと同等以上の効果が得られる。
(実施の形態11)
図32は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図32を参照して、本実施の形態に係る臼2Jについて説明する。
本実施の形態に係る臼2Jは、実施の形態9に係る臼2Hと比較した場合に、下臼350Jおよび上臼360Jの形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
第2摺合せ面350aは、高低差を有するように設けられている。具体的には、第2摺合せ面350aは、中心部が最も高くなり、外周部が最も低くなるように設けられている。第2摺合せ面350aは、中心部が上方に向けて隆起するように設けられた曲面形状を有する。
これにより、第2摺合せ面350a上に設けられるせん断溝も高低差を有する。具体的には、中心側から外周側に向けて延びるように設けられるせん断溝のうち外周側に位置するせん断溝は、中心側に位置するせん断溝よりも低い位置に設けられる。
第1摺合せ面360aは、高低差を有するように設けられている。具体的には、第1摺合せ面360aは、外周側から中心側に向かうにつれて高くなるように設けられている。第1摺合せ面360aは、中心部が上方に向けて窪むように設けられた曲面形状を有する。
これにより、第1摺合せ面360a上に設けられるせん断溝も高低差を有する。具体的には、中心側から外周側に向けて延びるように設けられるせん断溝のうち外周側に位置するせん断溝は、中心側に位置するせん断溝よりも低い位置に設けられる。
このような形状を有する場合においても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Jは、実施の形態9に係る臼2Hとほぼ同様の効果が得られる。特に、茶葉が投入される臼2Jの入口部(中心部)の位置が、茶葉粉末が排出される臼2Jの外周部の位置よりも低くすることにより、茶葉を比較的短時間で粉砕することができる。
(実施の形態12)
図33は、本実施の形態に係る臼の概略断面図である。図33を参照して、本実施の形態に係る臼2Kについて説明する。
図33に示すように、本実施の形態に係る臼2Kは、実施の形態11に係る臼2Jと比較した場合に、下臼350Kと上臼360Kの形状が相違する。その他の構成はほぼ同様である。
第2摺合せ面350aは、中心部が上方に向けて隆起するように設けられた曲面から、さらに上方に向けて突出する突出部358K,359Kを有する。突出部358K,359Kは、中心軸Cを面内に含み仮想平面VPに垂直となる任意の下臼の350の断面において、一方の底辺部(下方側に位置する底辺部)が中心部から外縁部に向かうにつれて下方に湾曲する略台形形状を有する。
突出部358K,359Kは、上面部358Ka、359Ka、内周側傾斜面358b,359b、および外周側傾斜面358c,359cを有する。上面部358Kaは、上面部359Kaよりも上方に位置する。仮想平面VPから上面部358Kaまでの距離は、仮想平面VPから上面部359Kaまでの距離よりも短い。
内周側傾斜面358b,359bは、窪み部358,359のうち中心軸C側に位置する傾斜面である。外周側傾斜面358c,359cは、突出部358K,359Kのうち下臼350Kの外周側に位置する傾斜面である。
内周側傾斜面358b,359bの傾斜角は、外周側傾斜面358c,359cの傾斜角よりも大きい。内周側傾斜面358bと内周側傾斜面359bの傾斜角は、ほぼ同一であり、外周側傾斜面358cと外周側傾斜面359cの傾斜角は、ほぼ同一である。
このように第2摺合せ面350aは、高低差を有するように設けられ、これにより、第2摺合せ面350a上に設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、上面部358aに設けられる部分のせん断溝は、上面部359Kaに設けられる部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
第1摺合せ面360aは、中心部が上方に向けて窪むように設けられた曲面から、さらに上方に窪むように設けられた陥凹部368K,369Kを有する。陥凹部368K,369Kは、突出部358K,359Kに対応する形状を有する。
陥凹部368K,369Kは、上底部368Ka,369Ka、内周側対向面368b,369b、および外周側対向面368c,369cを有する。仮想平面VPから上底部368Kaまでの距離は、仮想平面VPから上底部369Kaまでの距離より短い。
内周側対向面368b,369bは、陥凹部368K,369Kのうち中心軸C側に位置し、内周側傾斜面358b,359bに対向する傾斜面である。外周側対向面368c,369cは、陥凹部368,369のうち上臼360Kの外周側に位置し、外周側傾斜面358c,359cに対向する傾斜面である。
内周側対向面368b,369bの傾斜角は、外周側対向面368c,369cの傾斜角よりも大きい。内周側対向面368bと内周側対向面369bの傾斜角は、ほぼ同一であり、外周側対向面368cと外周側対向面369cの傾斜角は、ほぼ同一である。
このように第1摺合せ面360aは、高低差を有するように設けられ、これにより、第1摺合せ面360a上に設けられる複数のせん断溝は、高低差を有するように設けられる。具体的には、上底部368Kaに設けられる部分のせん断溝は、上底部369Kaに設けられる部分のせん断溝よりも高い位置に設けられる。
以上のような構成を有する場合においても、摺合せ面の表面積が増加するため、本実施の形態に係る臼2Kは、実施の形態11に係る臼2Jと同等以上の効果が得られる。
上述した実施の形態1から12においては、上臼が固定され、下臼が回転する場合を例示して説明したが、下臼が固定され、上臼が回転するように構成されていてもよいし、上臼と下臼とが互いに異なる方向に回転するように構成されていてもよい。
上述した実施の形態1に係る飲料製造装置1は、実施の形態1に係る臼2を備える場合を例示して説明したが、これに限定されず、実施の形態2から12に係る臼のいずれかを備えていてもよい。これら実施の形態2から12に係る臼のうちいずれかを備える飲料製造装置においても、小型化が可能であり、微細な粉末を得ることができる。
上述した実施の形態10においては、摺合せ面が曲面形状を有する場合に、仮想平面VPからの深さが異なるように窪み部358,359が設けられる場合を例示して説明したが、実施の形態1から6においても、仮想平面VPからの深さが互いに異なるように凹部354,355が設けられてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。