以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
本実施の形態では、一例として、粉砕対象物として茶葉を用い、飲料としてお茶を製造する場合について説明するが、粉砕対象物は茶葉に限定されることなく、穀物、乾物、その他の粉砕対象物を用いて、飲料を製造する場合にも適用することが可能である。以下では、茶葉とは、粉砕前の固形状態を意味し、茶葉粉末とは、粉砕された茶葉を意味し、お茶とは、茶葉粉末とお湯とが撹拌された(混ぜ合わされた)飲料を意味する。
(実施の形態1)
(飲料製造装置1)
図1から図3を参照して、本実施の形態における飲料製造装置1について説明する。図1は、飲料製造装置1の全体斜視図、図2は、図1中II−II線矢視断面図、図3は、飲料製造装置1の概略構成要素を示す全体斜視図である。
飲料製造装置1は、粉砕対象物として茶葉を用い、この茶葉を粉砕して茶葉粉末を得る。この得られた茶葉粉末を用いて、飲料としてお茶を製造する。飲料製造装置1は、飲料製造装置本体としての装置本体100、粉挽きユニット300、撹拌ユニット500、液体貯留タンク700、液体供給経路155(図2参照)と、粉末受け部としての茶葉粉末受皿800、および、載置ベース900を備える。載置ベース900は、装置本体100の前側下方において、前側に突出するように設けられており、カップ(図示省略)および茶葉粉末受皿800の載置が可能である。茶葉粉末受皿800は、利用者が把持して移動できるように設けられている。
(粉挽きユニット300)
粉挽きユニット300は、装置本体100の前面側に設けられた粉挽きユニット装着部180(図3参照)に対して、着脱可能に装着される。粉挽きユニット300は、たとえば正面から見た場合に撹拌ユニット500に含まれる撹拌槽510の下方において撹拌槽510と重ならないように撹拌槽510から離れて配置される。
粉挽きユニット装着部180には、粉挽駆動力連結機構130(図3参照)が前方に突出するように設けられ、この粉挽駆動力連結機構130に粉挽きユニット300が着脱可能に装着される。粉挽きユニット300は、粉挽駆動力連結機構130に連結されることにより、粉砕対象物である茶葉を挽くための駆動力を得る。
粉挽きユニット300の上部から粉挽きユニット300の内部に投入された茶葉は、粉挽きユニット300の内部において細かく粉砕される。粉砕された茶葉は、粉挽きユニット300の下方に載置された茶葉粉末受皿800に茶葉粉末として落下して集められる。なお、粉挽きユニット300の詳細構造については、図8から図10を用いて後述する。
(液体貯留タンク700)
液体貯留タンク700は、装置本体100の上面側に設けられた液体貯留タンク装着部195に着脱可能に装着される。液体貯留タンク700は、上面開口を有するタンク本体710と、タンク本体710の上面開口を塞ぐ蓋部720とを含む。液体貯留タンク700は、水等の液体を貯留する。
(液体供給経路155)
液体供給経路155は、装置本体100内に収容されている。液体供給経路155は、液体貯留タンク700に接続される(図7参照)。液体供給経路155には、液体貯留タンク700が接続された側とは反対側に供給口171が設けられている。液体供給経路155は、給湯パイプ150と、給湯ノズル170とを含む。給湯パイプ150は、一端側が液体貯留タンク700に接続され、他端側が給湯ノズル170に接続される。液体貯留タンク700から液体供給経路155に導入された液体は、給湯パイプ150、給湯ノズル170を通って撹拌ユニット500に供給される。
(撹拌ユニット500)
撹拌ユニット500は、液体と粉末とを撹拌する撹拌羽根550と、撹拌羽根550を収容する撹拌槽510とを含む。撹拌槽510は、装置本体100の前面側に設けられた撹拌槽装着部190(図3参照)に対して、着脱可能に装着される。装置本体100から鉛直方向と交差する方向に突出するように、撹拌槽510は撹拌槽装着部190に装着されている。具体的には、撹拌槽510の一部が装置本体100の前面から前方へ突出するように、撹拌槽510が装着される。
撹拌槽装着部190には、撹拌モータ非接触テーブル140Aが設けられている。撹拌ユニット500は、撹拌モータ非接触テーブル140A上に載置される。撹拌ユニット500の内部に設けられた撹拌羽根550は、撹拌モータ非接触テーブル140Aの下方に位置するように装置本体100内に収容された撹拌モータユニット140およびこれに連結された磁石141によって回転する。
装置本体100の撹拌槽装着部190の上部には、給湯ノズル170が設けられている。装置本体100の内部において、給湯パイプ150内の水が所定温度に上昇され、給湯ノズル170から撹拌槽510内にお湯が供給される。撹拌槽510内には、装置本体100において作成されたお湯と、粉挽きユニット300によって得られた茶葉粉末とが投入され、撹拌槽510内の撹拌羽根550によって、お湯と茶葉粉末とが撹拌される。これにより、撹拌槽510内においてお茶が製造される。
撹拌ユニット500内で製造されたお茶は、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップ(図示省略)に、お茶を注ぐことができる。なお、撹拌ユニット500の詳細構造については、図11および図12を用いて後述する。
(お茶(飲料)の製造フロー)
次に、図4から図6を参照して、上記飲料製造装置1を用いたお茶(飲料)の製造フローについて説明する。図4から図6は、飲料製造装置1を用いたお茶吐出を示す第1から第3の製造フローを示す図である。なお、粉挽きユニット300には、所定量の茶葉が投入され、液体貯留タンク700には所定量の水が蓄えられている。
(第1製造フロー)
図4を参照して、第1製造フローについて説明する。この第1製造フローは、粉挽きユニット300における茶葉の粉砕と、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に行なわれるフローである。
飲料製造装置1は、ステップ11における粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きと、ステップ13における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に開始される。次に、ステップ12において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了するとともに、ステップ14における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
ステップ15においてはステップ12において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
次に、ステップ16において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ17において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ18において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。
(第2製造フロー)
図5を参照して、第2製造フローについて説明する。この第2製造フローは、粉挽きユニット300における茶葉が粉砕された後に、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が行なわれるフローである。
飲料製造装置1は、ステップ21において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが開始される。ステップ22において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了する。ステップ23において、ステップ22において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
ステップ24において、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が開始される。ステップ25において、装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
次に、ステップ26において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ27において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ28において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。
(第3製造フロー)
図6を参照して、第3製造フローについて説明する。この第3製造フローは、撹拌ユニット500においてお湯を撹拌により冷却するステップを備えている。
飲料製造装置1は、ステップ31における粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きと、ステップ33における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が同時に開始される。ステップ34における装置本体100から撹拌ユニット500への給湯が終了する。
次に、ステップ32において、粉挽きユニット300による茶葉の粉挽きが終了するとともに、ステップ35において、撹拌ユニット500において給湯の冷却撹拌を開始する。ステップ36において、撹拌ユニット500において給湯の冷却撹拌が終了する。
ステップ37においてはステップ32において得られた茶葉粉末が、利用者によって、撹拌ユニット500内へ投入される。
次に、ステップ38において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が開始される。ステップ39において、撹拌ユニット500での茶葉粉末とお湯との撹拌が終了する。ステップ40において、利用者によって、撹拌ユニット500の下方に設けられた吐出口開閉機構540の操作レバー542を操作することにより、載置ベース900に載置されたカップへのお茶の吐出が行なわれる。
(装置本体100の内部構造)
次に、図7を参照して、飲料製造装置1の内部構造について説明する。図7は、飲料製造装置1の内部構造を示す斜視図である。飲料製造装置1の装置本体100の内部においては、液体貯留タンク700の前面側には、電子部品が搭載されたプリント配線基板を用いた制御ユニット110が配置されている。利用者によるスタート信号の入力に基づき、上記お茶の製造フローが、制御ユニット110により実行される。
制御ユニット110の下方位置には、粉挽きユニット300に駆動力を与えるための粉挽モータユニット120が配置されている。この粉挽モータユニット120の下方位置には、前方に突出するように設けられ、粉挽モータユニット120の駆動力を粉挽きユニット300に伝達するための粉挽駆動力連結機構130が設けられている。
液体貯留タンク700の底面には、底面から下方に一旦延び、U字形状に上向きに延びる給湯パイプ150の一端が連結されている。給湯パイプ150の他端側には、撹拌ユニット500の撹拌槽510にお湯を注ぐための給湯ノズル170が連結されている。給湯パイプ150の途中領域には、給湯パイプ150内を通過する水を加熱するためのU字形状のヒータ160が装着されている。ヒータ160によって加熱された水がお湯となって撹拌槽510に供給される。
(粉挽きユニット300の構造)
次に、図8から図10を参照して、粉挽きユニット300の構造について説明する。図8は、粉挽きユニット300の斜視図、図9は、粉挽きユニット300の分解斜視図、図10は、粉挽きユニット300の縦断面図である。
粉挽きユニット300は、全体として円筒形状を有する粉挽きケース310を有し、下方の側面には、粉挽駆動力連結機構130が内部に挿入される連結用窓300Wが設けられている。粉挽きケース310の内部には、後述する第1臼としての上臼360と第2臼としての下臼350とによって生成された茶葉粉末を貯留する貯留部311(図10参照)と、貯留部311に連通する排出経路312とが設けられている。粉挽きケース310の最下端部となる排出経路312の下端部には、茶葉粉末を茶葉粉末受皿800に向けて排出する排出口312aが設けられている。排出口312aは、後述する保温タンク512(図12参照)の開口部513よりも下方に位置するように設けられている。これにより、保温タンク512内に供給されたお湯から生成される湯気が排出口312aから侵入することを防止することができる。
粉挽きユニット300は、粉砕対象物を粉砕する上臼360および下臼350を有する臼2と、当該下臼350が取り付けられる下臼支持部340とを含む。粉挽きケース310の内部には、下方から、下臼支持部340、下臼350、上臼360が順番に設けられている。
下臼支持部340は、上臼360が位置する側と反対側(下臼350の下方側)から下臼350を支持する。下臼支持部340は、略円柱形状の本体部341、係合突起部342、粉掻き取り部343を有する。粉挽き軸345は、本体部341の下面に設けられ、下方に向けて延在する。粉挽き軸345は、粉挽駆動力連結機構130に連結する。これにより、下臼支持部340が下臼350を支持した状態で回転可能となる。
係合突起部342は、本体部341の上面に設けられ、上方に向けて突出する。係合突起部342は、下臼350を係止するための部位である。粉掻き取り部343は、本体部341の周縁部に設けられている。粉掻き取り部343は、下臼支持部340が回転することにより、貯留部311に貯留された茶葉粉末を掻き取って排出経路312に搬送する。
下臼350は、後述する上臼360の主面360a(第1主面)に対向して配置される主面350a(第2主面)と、当該主面350aの反対側に位置する主面350bと、主面350aと主面350bとを接続する周面350cを含む。下臼350の主面350aは、せん断溝が形成された後述する第2摺合せ領域としての摺合せ領域351a(図13参照)を含む。
下臼350の主面350bには、係合凹部352が設けられている。係合凹部352は、下臼支持部340の係合突起部342に対応する位置に設けられ、係合突起部342に係止される。下臼350は、下臼支持部340と連動して回転する。下臼350の中央部には、回転軸芯に沿って上方に向かって伸びるコア359が設けられている。
コア359は、上臼360の中央部に設けられた貫通孔361を貫通するように設けられている。コア359は、らせん状に設けられた羽根部359aを有する。コア359は、たとえば樹脂部材、セラミック材料等によって設けられている。
上臼360は、下臼350の主面350aに対向して配置される主面360aと、当該主面360aと反対側に位置する主面360bと、主面360aと主面360bとを接続する周面360cを含む。上臼360の主面360aは、せん断溝が形成された第1摺合せ領域としての摺合せ領域を含み、上臼360の摺合せ領域は、下臼350の摺合せ領域351aに対向するように配置される。また、上臼360の摺合せ領域は、下臼350の摺合せ領域351aとほぼ同等の大きさに設けられ、上臼360の摺合せ領域の回転中心と、下臼350の摺合せ領域351aの回転中心とは同軸上に位置する。
上臼360は、その上方に配置された上臼保持部材370によって保持されている。たとえば、上臼360の上面には不図示の穴部が設けられており、当該穴部に上臼保持部材370に設けられた不図示のピン部が入り込むことにより、上臼360の回転が防止される。
上臼保持部材370は、孔部371aを有する底面部371と、底面部371の周縁から上方に向けて立設された外筒部372と、孔部371aの周縁から上方に向けて立設された内筒部373とを含む。孔部371aは、上臼360の貫通孔361に連通するように設けられている。外筒部372と内筒部373との間には、上臼360を下方に向けて押圧するバネ381およびバネ保持部材380が収容されている。バネ381によって、上臼360と下臼350との間に作用する粉砕圧力が調節される。
粉挽きケース310の上端開口部310b側には、粉砕対象物を上臼360と下臼350との間に供給するためのホッパー部320が取り付けられている。ホッパー部320は、天板部321と、筒状部322と、粉砕対象物投入口325とを有する。天板部321は、略中央部に開口部323が設けられたお椀形状を有する。筒状部322は、開口部323の周縁から下方に立設するように設けられている。筒状部322は、内筒部373の内側に挿入される。
粉砕対象物投入口325は、開口部323および筒状部322によって規定される。粉砕対象物投入口325内には、コア359の先端側が収容されている。筒状部322内に、粉砕対象物投入口325を跨ぐように複数の直線状のリブ391,392,393が設けられている。
茶葉を粉砕する際には、ホッパー部320は、カバー部330によって覆われることが好ましい。これにより、茶葉を粉砕対象物投入口325に投入した後に、粉挽きユニット300内に異物が侵入することを防止するとともに、粉砕された茶葉が飛散することを防止することができる。なお、茶葉を投入する際には、カバー部330は、ホッパー部320から取り外される。
粉砕対象物投入口325に投入された茶葉は、上臼保持部材370から露出する上臼360の上面および筒状部322の内周面によって規定される空間内に収容される。当該空間に収容された茶葉は、らせん状の羽根部359aが下臼350の回転に伴って回転することにより、上臼360と下臼350との間に案内される。
上臼360と下臼350との間に案内された茶葉は、粉砕されて茶葉粉末としてこれら上臼360と下臼350との周縁から下方へ落下する。落下した茶葉粉末の一部は、排出経路312を通って排出口312aから茶葉粉末受皿800に排出される。落下した茶葉粉末のその他の部分は、貯留部311に貯留される。貯留部311内の茶葉粉末は、粉掻き取り部343が下臼支持部340の回転に伴って回転することにより、排出経路312に搬送されて排出口312aから茶葉粉末受皿800に排出される。
本実施の形態においては、茶葉を粉砕する際に、下臼350が上臼360に対して回転することで上臼360と下臼350との間で発生する摩擦熱を上臼360および下臼350の少なくとも一方に設けられた放熱機構を用いて効率よく放熱する。これにより、上臼360および下臼350から茶葉粉末に伝達される熱を抑制することができる。この結果、茶葉の持つ風味が損なわれることを抑制することができる。なお、放熱機構の詳細な構成については、図13から図33を用いて後述する。
(撹拌ユニット500の構造)
次に、図11および図12を参照して、撹拌ユニット500の構造について説明する。図11は、撹拌ユニット500の分解斜視図、図12は、撹拌ユニット500の縦断面図である。
撹拌ユニット500は、撹拌槽510、撹拌羽根550および撹拌カバー530を備える。撹拌槽510は、樹脂製の外装ホルダー511と、この外装ホルダー511に保持される保温タンク512と、開口部513とを含む。外装ホルダー511には、樹脂により一体成形されたグリップ520が設けられている。保温タンク512は、有底筒形状を有し、上方に向けて開口する開口部513を有する。
撹拌カバー530は、開口部513を開閉可能に覆う。撹拌カバー530には、粉挽きユニット300により粉砕された茶葉粉末を投入する粉末投入口531、および、装置本体100内で形成されたお湯が給湯ノズル170から注がれる給湯口532が設けられている。給湯口532は、給湯ノズル170の供給口171に対応する位置に設けられている。
粉末投入口531および給湯口532は、開口部513に連通している。移動された茶葉粉末受皿800から粉末投入口531に投入された茶葉粉末は、開口部513を介して撹拌槽510内に投入される。給湯ノズル170から給湯口532に注がれたお湯は、開口部513を介して撹拌槽510内に供給される。
撹拌槽510の底部には、撹拌羽根550が載置される。撹拌槽510の底部には、上方に延びる回転軸560が設けられ、この回転軸560に撹拌羽根550の軸受部551が挿入される。
撹拌羽根550には、磁石552が埋め込まれている。撹拌モータ非接触テーブル140Aにおいて、撹拌羽根550に埋め込まれた磁石552と、撹拌モータユニット140側に設けられた磁石141とが非接触の状態で磁気結合することで、撹拌モータユニット140の回転駆動力が、撹拌羽根550に伝達される。
撹拌槽510は、生成された飲料を吐出するための吐出部545をさらに備える。吐出部545は、装置本体100から突出する部分の撹拌槽510に設けられている。吐出部545は、撹拌槽510の底部に設けられた吐出口541と、吐出口541を開閉する吐出口開閉機構540とを含む。吐出口541は、茶葉粉末とお湯とが撹拌羽根550によって撹拌されて生成されたお茶を吐出させるための部位である。
吐出口開閉機構540は、吐出口541を開閉可能に、吐出口541に挿入された開閉ノズル543と、開閉ノズル543の位置を制御する操作レバー542とを含む。開閉ノズル543は、通常状態においてはバネ等の付勢部材(図示省略)により吐出口541を塞ぐように付勢されている。利用者が、操作レバー542を付勢力に対抗して移動させた場合には、開閉ノズル543が移動し、吐出口541が開放される。これにより、撹拌槽510内のお茶が、載置ベース900に載置されたカップ(図示省略)に注出される。
(放熱機構)
図13および図14を参照して、上臼および下臼が相対的に回転することにより発生する摩擦熱を効率よく放熱するための放熱機構について説明する。なお、放熱機構は、下臼350に設けられている場合を例示して説明する。図13は、臼に具備される下臼の摺合せ面側を示す斜視図である。図14は、図13に示す下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
図13に示すように、下臼350の主面350aは、摺合せ領域351aおよび外周領域351bを含む。摺合せ領域351aは、破線で示すように主面350aのうち複数のせん断溝が設けられる領域である。複数のせん断溝は、たとえば、内周側から外周側に向けて等角螺旋に沿って延びるように設けられている。なお、せん断溝は、上記のような等角螺旋に沿って延びる形状に限定されず、適宜変更することができる。
外周領域351bは、主面350aのうち摺合せ領域351aの外側に位置する領域である。本実施の形態では、当該外周領域351bには、せん断溝は設けられていないが、せん断溝を設けてもよい。
図13および図14に示すように、下臼350の周面350cは、凸部353aと凹部353bが下臼350の周方向に繰り返し設けられることにより、凹凸形状を有する。周面350cは、複数の凹凸部353を含むように設けられている。複数の凹凸部353は、放熱機構として機能する。
凹部353bは、下臼350の回転中心となる中心軸Cから周面350cまでの距離が最大となる周面部を含む円柱体の周面を基準とした場合に、当該円柱体の周面から下臼350の径方向内側に凹むように設けられている。
凹部353bは、下臼350の周方向に互いに隣り合う凸部353aの間に設けられている。凹部353bは、下臼350の軸線方向から見た場合に、摺合せ領域351aに到達しないように設けられている。また、凹部353bは、主面350aから主面350bに亘って設けられている。
周面350cに複数の凹凸部353が設けられることにより、円柱体形状の下臼と比較して、下臼350の表面積が増加する。これにより、別途冷却ファン等の冷却装置を用いる必要がなくなり、簡易な構成で下臼350の熱伝達率を向上させることができ、上臼360と下臼350との間で発生した摩擦熱を効率よく放熱させることができる。
また、周面350cに複数の凹凸部353が設けられることにより、下臼350が回転した場合に、上方に向かう空気流を発生させることができる。これにより、臼から放熱された熱を粉挽きケース310の上方に向けて移動させることができる。このことによっても、摩擦熱を効率よく放熱させることができる。
なお、下臼350の回転により発生する空気流の速度は、冷却ファン等による発生される空気流の速度よりも小さいため、茶葉粉末が飛散させずに熱を上方に向けて移動させることができる。
なお、粉挽きユニット300において粉砕対象物投入口325がカバー部330によって覆われていない場合には、さらに臼から放熱された熱を粉砕対象物投入口325を介して粉挽きユニット300の外部に放出することができる。これにより、さらに放熱効率が向上する。
以上のように、本実施の形態に係る臼およびこれを備えた飲料製造装置を利用することにより、簡易な構成で上臼360と下臼350との摩擦熱による温度上昇を効率よく抑制することができる。
(実施の形態2)
図15および図16を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図15は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側を示す斜視図である。図16は、図15に示す下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においても、下臼350Aの周面350cに設けられた複数の凹凸部353が放熱機構として作用する。本実施の形態に係る下臼350Aは、実施の形態1に係る下臼350と比較した場合に、摺合せ領域351aと外周領域351bとの間に段差dが設けられている点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
外周領域351bは、上臼360の主面360a(図10参照)に接触しないように設けられている。外周領域351bは、略平坦に設けられており、摺合せ領域351aよりも全体的に主面350b側に近づくように設けられている。
このように構成することにより、下臼350と上臼360とが接触する面積を小さくすることができるため、茶葉を粉砕する際に上臼360と下臼350Aとの間で発生する摩擦熱の熱量を小さくすることができる。これにより、本実施の形態における臼にあっては、実施の形態1に係る臼2と同等以上の効果が得られる。
(実施の形態3)
図17および図18を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図17は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側を示す斜視図である。図18は、図17に示す下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においては、下臼350A2に設けられた複数の凹凸部353および複数の貫通孔353Bが放熱機構として機能する。本実施の形態に係る下臼350A2は、実施の形態1に係る下臼350と比較した場合に、複数の貫通孔353Bが設けられている点において相違する。
複数の貫通孔353Bのそれぞれは、凸部353bに設けられている。複数の貫通孔353Bは、主面350aから当該主面350aの反対側に位置する主面bにかけて貫通するように設けられている。複数の貫通孔353Bは、たとえば、四角柱形状を有するが、このような形状に限定されず、他の角柱形状や円柱形状等の各種の柱状形状を有していてもよい。
このような構成を有することにより、実施の形態1に係る下臼350と比較して、表面積をさらに増加させることができる。これにより、本実施の形態に係る臼にあっては、実施の形態1に係る臼2と同等以上の効果が得られる。
(実施の形態4)
図19および図20を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図19は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側を示す斜視図である。図20は、図19に示す下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においては、下臼350Bに設けられた貫通孔353Bが放熱機構として機能する。本実施の形態に係る下臼350Bは、実施の形態1に係る下臼350と比較して、周面350cに凹部および凸部が形成されておらず、複数の貫通孔353Bが設けられている点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
複数の貫通孔353Bは、互いに離間しながら下臼350Bの周方向に沿って設けられている。複数の貫通孔353Bは、主面350aから当該主面350aの反対側に位置する主面350bにかけて貫通するように設けられている。
貫通孔353Bは、底面が円錐台の側面を展開した帯形状となる柱体形状を有する。なお、貫通孔353Bの形状は、上記のような柱体形状に限定されず、円柱形状、角柱形状等の各種の柱体形状や各種の錐台形状を採用することができる。
このような構成とすることにより、本実施の形態に係る下臼350Bにおいても、実施の形態1に係る下臼350と同様に、円柱形状の臼と比較して下臼350Bの表面積を増加させることができる。これにより、本実施の形態に係る臼においても、別途冷却ファン等の冷却装置を用いる必要がなくなり、簡易な構成で下臼350Bの熱伝達率を向上させることができ、上臼360と下臼350Bとの間で発生した摩擦熱を効率よく放熱させることができる。
また、本実施の形態においては、粉砕された茶葉粉末を下臼350Bの外周からではなく、貫通孔353Bを通して下方へ排出することが可能になる。これにより例えば臼外周の一部を放熱のために外気に曝したり、別途設けた冷却ファンの風に曝したりした場合であっても、茶葉粉末を飛散させることなく下方へ排出することができる。
(実施の形態5)
図21および図22を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図21は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側を示す斜視図である。図22は、図21に示す下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においては、貫通孔353Bおよび複数の凹凸部353が放熱機構として機能する。本実施の形態に係る下臼350Cは、実施の形態4に係る下臼350Bと比較した場合に、外周領域351bが拡径されており、周面350cに複数の凹凸部353Cが設けられている点において相違する。
周面350cは、凸部353aと凹部353bが下臼350Cの周方向に繰り返し設けられることにより、凹凸形状を有する。下臼350Cの径方向における所定の位置において、下臼350Cの周方向に沿った凸部353aの長さは、下臼350Cの周方向に沿った凹部353bの長さよりも長い。
なお、下臼350Cの周方向に沿った凸部353aの長さおよび凹部353bの長さ関係は、上記に限定されず、下臼350Cの径方向における所定の位置において、下臼350の周方向に沿った凸部353aの長さが、下臼350Cの周方向に沿った凹部353bの長さよりも短くてもよいし、下臼350Cの周方向に沿った凸部353aの長さが、下臼350Cの周方向に沿った凹部353bの長さと同じであってもよい。
貫通孔353Bは、凹部353bの底部よりも内側に設けられ、摺合せ領域351aよりも外側に設けられている。
このように、本実施の形態においては、外周領域351bに貫通孔353Bを設けるとともに、周面350cに複数の凹凸部353Cを設けることにより、実施の形態4に係る下臼350Bと比較して、下臼350Cの表面積をさらに増加させることができる。また、周面350cに凹凸部353が設けられることで、上方に向かう空気流を発生させることができる。このため、本実施の形態に係る臼は、実施の形態4に係る臼と比較してさらに効率よく摩擦熱を放熱させることができる。
(実施の形態6)
図23および図24を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図23は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側を示す斜視図である。図24は、図23に示す下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においては、下臼350Dの周面350cに設けられた凹凸部357が放熱機構として機能する。凹凸部357は、羽根部355が設けられることにより形成される。下臼350Dの回転中心となる中心軸Cから周面350cまでの距離が最短となる周面部を含む円柱体の周面354を基準とした場合に、羽根部355は当該円柱体の周面354から径方向外側に突出するように設けられている。下臼350Dの周方向に互いに隣り合う羽根部355との間に凹部356が設けられる。
羽根部355は、下臼350Dが図中矢印に示す回転方向に回転することにより上方に向けて効率的に気流を発生させるためのものである。羽根部355は、上面355a、底面355b、第1側面355c、第2側面355d、第3側面355eを有する。
上面355aは、摺合せ領域351aから径方向外側に突出するように設けられる。底面355bは、主面350bのうち摺合せ領域351aに対向する部分から径方向外側に突出するように設けられている。底面355bは、中心軸C方向から見た場合に、上面355aと比較して回転方向前方側に位置するように設けられている。上面355aおよび底面355bの形状は、たとえば略矩形形状を有する。なお、上面355aおよび底面355bの形状は、略矩形形状に限定されず、適宜変更することができる。
第1側面355cは、下臼350Dの径方向外側に位置する上面355aの辺部355a1と、当該径方向外側に位置する底面355bの辺部355b1とを接続する。
第2側面355dは、回転方向前方側に位置する上面355aの辺部355a3と、回転方向前方側に位置する底面355bの辺部355b3とを接続する。第2側面355dは、下方に向かうにつれて下臼350Dの回転方向に進行するように傾斜または湾曲する。
第3側面355eは、回転方向後方側に位置する上面355aの辺部355a2と、回転方向後方側に位置する底面355bの辺部355b2とを接続する。
下臼350Dが回転方向に回転した場合には、当該第2側面355dに沿って空気が上方に移動する。これにより、上方へ向かう空気流を効率的に発生させることができる。この結果、下臼350Dから放熱された熱を上方へ逃がすことができる。
このように、周面350cに凹凸部357を設けつつ、羽根部355によって効率よく上方へ向かう空気流を発生することにより、本実施の形態に係る臼にあっては、実施の形態1に係る臼と同等以上の効果が得られる。
(実施の形態7)
図25および図26を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図25は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側を示す斜視図である。図26は、図25に示す下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においては、上臼360と対向する主面350aと反対側に位置する主面350bに設けられた凹凸部358が放熱機構として機能する。本実施の形態に係る下臼350Eは、実施の形態1に係る下臼350と比較した場合に、周面350cに凹凸部が設けられておらず、主面350bに凹凸部358が設けられている点において相違する。
下臼350Eにあっては、主面350aの大部分を摺合せ領域351aが占めている。また、下臼350Eにあっては、上臼360と対向する主面350aと反対側に位置する主面350b側に直線状の溝部358bが、主面350bの径方向内側から径方向外側に向けて放射状に延びるように複数設けられることにより、主面350bに凹凸部358が設けられている。
凸部358aは、下臼350Eの周方向において隣り合う溝部358bの間に位置する部分である。凸部358aは、溝部358bの底部を基準とした場合に上臼360から遠ざかる方向(下方)に当該底部から突出している。
このように構成することにより、本実施の形態に係る下臼350Eにあっては、円柱体形状の下臼と比較して、表面積が増加する。これにより、本実施に形態に係る臼においては、別途冷却ファン等の冷却装置を用いる必要がなくなり、簡易な構成で下臼350Eの熱伝達率を向上させることができ、上臼360と下臼350Eとの間で発生した摩擦熱を効率よく放熱させることができる。
(実施の形態8)
図27を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図27は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においても、上臼360と対向する主面350aと反対側に位置する主面350bに設けられた凹凸部358が放熱機構として機能する。本実施の形態に係る下臼350Fは、実施の形態7に係る下臼350Eと比較した場合に、上臼360と対向する主面350aと反対側に位置する主面350b側に、所定の一定方向に延在するように複数の溝部358bが互いに離間して設けられることにより、主面350bに凹凸部358が設けられている点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
このように構成した場合においても、下臼350Fの表面積は、円柱体の下臼と比較して、増加する。これにより、本実施の形態に係る臼においても、実施の形態7に係る臼とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態9)
図28を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図28は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼の摺合せ面側とは反対側を示す斜視図である。
本実施の形態においても、上臼360と対向する主面350aと反対側に位置する主面350bに設けられた凹凸部358が放熱機構として機能する。本実施の形態に係る下臼350Gは、実施の形態7に係る下臼350Eと比較した場合に、上臼360と対向する主面350aと反対側に位置する主面350b側に、格子状に複数の溝部358bが設けられることにより、主面350bに凹凸部358が設けられている点において相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
このように構成した場合においても、下臼350Gの表面積は、円柱体の下臼と比較して、増加する。これにより、本実施の形態に係る臼においても、実施の形態7に係る臼とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態10)
図29を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図29は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼および放熱部材を示す概略断面図である。
本実施の形態においては、上臼360と対向する主面350aと反対側に位置する下臼350Hの主面350bに固定された放熱部材410が放熱機構として機能する。下臼350Hは、たとえば略円柱体形状を有し、周面350cおよび主面350bには凹凸部は設けられていない。
放熱部材410は、たとえば放熱フィンからなり、円板状の基部411と、複数のフィン部412とを含む。基部411は、互いに対向する一対の主面411a,411bを有する。主面411bは、下臼350bに固定される。
複数のフィン部412は、主面411bとは反対側に位置する基部411の主面411aから下方に向けて突設されている。放熱部材410は、高熱伝導性の部材にて構成され、好適にはアルミニウムまたはその合金に代表される金属製の部材にて構成される。
下臼350Hの主面350bと基部411の主面411bとの間には、図示しない高熱伝導性のシートまたは/およびグリス等が介在されている。これにより、下臼350Hと上臼360とによって発生した摩擦熱は、効率的に放熱部材410に伝熱される。放熱部材410に伝熱された熱は、フィン部412からその周辺に位置する空間に放熱される。これにより、下臼350Hおよび上臼360の温度が一定温度以上の高温に達することが防止され、茶葉の風味を損なうことなく茶葉粉末を生成することができる。
このように、本実施の形態に係る臼にあっては、放熱部材410を設けることにより、別途冷却ファン等の冷却装置を用いる必要がなくなり、簡易な構成で上臼360と下臼350Hとの間で発生した摩擦熱を熱伝達率の良好な放熱部材410を介して効率よく放熱させることができる。
(実施の形態11)
図30を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図30は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼および放熱部材を示す概略断面図である。
本実施の形態においても、下臼350Fの主面350bに固定された放熱部材410Aが放熱機構として機能する。本実施の形態は、実施の形態10と比較した場合に、下臼350Fの形状および放熱部材410Aの形状が相違する。その他の構成については、ほぼ同様である。
本実施の形態に係る下臼350Fは、実施の形態8に係る下臼350Fと同様の形状を有し、主面350bには凹凸部が設けられている。放熱部材410Aは、たとえば放熱ブロック411Aによって構成されている。放熱ブロック411Aは、略円板状であり、互いに対向する一対の主面411a,411bを有する。放熱ブロック411Aは、熱伝導に優れた部材に構成され、好適にはアルミニウムまたはその合金に代表される金属製ブロックで構成される。
放熱ブロック411Aの主面411bは、下臼350Fの主面350bに設けられた凹凸部に嵌り込む凹凸部413が設けられている。放熱部材410Aは、下臼350Fの主面350bに設けられた凹凸部と放熱ブロック411Aの主面411bに設けられた凹凸部413とが互いに嵌合した状態で下臼350Fの主面350bに固定される。このように放熱部材410Aと下臼350Fとを凹凸嵌合させることにより、放熱部材410を下臼350Fにより強固に固定することができる。なお、下臼350Fの主面350bと放熱ブロック411Aの主面411bとの間には、図示しない高熱伝導性のシートまたは/およびグリス等が介在されている。
また、放熱部材410Aと下臼350Fとを凹凸嵌合させることにより、放熱部材410Aと下臼350Fとの接触面積を増加させることできる。これにより、下臼350Hと上臼360とによって発生した摩擦熱は、より効率的に放熱部材410Aに伝熱される。また、放熱部材410Aに伝達された熱は、放熱ブロック411Aの主面411aおよび周面からその周辺に位置する空間に放熱される。
このように、本実施の形態に係る臼にあっては、放熱部材410Aを設けることにより、実施の形態10に係る臼とほぼ同様の効果が得られる。
(実施の形態12)
図31を参照して、本実施の形態に係る放熱機構について説明する。図31は、本実施の形態に係る臼に具備される下臼および放熱部材を示す概略断面図である。
本実施の形態においても、下臼350Fの主面350bに固定された放熱部材410Bが放熱機構として機能する。本実施の形態は、実施の形態10と比較した場合に、下臼350Fの形状および放熱部材410Bの形状が相違する。
本実施の形態に係る下臼350Fは、実施の形態8に係る下臼350Fと同様の形状を有し、主面350bには凹凸部が設けられている。放熱部材410Bは、たとえば放熱フィンからなり、実施の形態10に係る放熱部材410と比較して、基部411の主面411bには、下臼350Fの主面350bに設けられた凹凸部に嵌り込む凹凸部が設けられている点において相違する。
このような構成においては、下臼350Fと放熱部材410Bが凹凸嵌合することにより、下臼350Fと放熱部材410Bとの接触面積を増加させることができる。これにより、本実施の形態に係る臼においては、実施の形態10に係る臼と比較して、より効率的に摩擦熱を放熱部材410Bに伝熱させることができる。このため、本実施の形態に係る臼にあっては、実施の形態10に係る臼と同等以上の効果が得られる。
(検証実験)
図32から図34を参照して、本発明の効果を確認するために行なった検証実験について説明する。図32は、本発明の効果を確認するために行なった検証実験に用いた下臼および放熱部材を下臼の摺合せ面側から示す斜視図である。図33は、図32に示す下臼および放熱部材を放熱部材側か示す斜視図である。図34は、本発明の効果を確認するために行なった検証実験の結果を示す図である。
本検証実験においては、実施例に係る臼として、実施の形態10に係る構成とほぼ同等の構成を有し、下臼に放熱部材が固定された臼を準備した。具体的には、図32および図33に示すように、実施例に係る臼においては、複数のフィン部412が基部411の主面411aの中央から径方向外側に向けて放射状に延びるように設けられている。
また、比較例における臼として、放熱部材を備えず、かつ、凹凸形状等の放熱機構も備えない臼を準備した。
これら実施例に係る臼および比較例おける臼を用いて、上臼に対して下臼を回転させた際の下臼の温度を測定した。なお、下臼の回転数は150rpmとし、回転時間は15分とした。
図34に示すように、実施例に係る下臼の温度は、回転動作中において常に比較例における下臼の温度よりも低くなる結果となった。下臼を15分回転させた場合においては、実施例に係る下臼の温度が65℃であるのに対して、比較例における下臼の温度は75℃であった。
以上のように、放熱機構を設けることにより、簡易な構成で上臼と下臼との摩擦熱による温度上昇を効率よく抑制することができることが実験的にも確認されたといえる。
上述した実施の形態1から12においては、放熱機構が下臼に設けられる場合を例示して説明したがこれに限定されず、上臼に設けられてもよいし、上臼と下臼との両方に設けられていてもよい。上臼に設けられる場合には、放熱機構は、上臼のうち摺合せ領域以外の部分に設けられる。具体的には、放熱機構として、上臼の周面に凹凸部が設けられてもよいし、摺合せ領域を除く部分において上臼が有する互いに対向する一対の主面間を貫通するように貫通孔が設けられてもよい。また、放熱機構として、上臼が有する互いに対向する一対の主面のうち摺合せ領域を含む主面と反対側に位置する主面に凹凸部が設けられてもよいし、当該摺合せ領域を含む主面と反対側に位置する主面に放熱部材が固定されてもよい。また、上臼若しくは下臼のいずれか一方に放熱機構を設ける場合は、回転する方の臼に設けるほうが、放熱効果が高く、望ましい。
上述した実施の形態1から12においては、上臼が固定され、下臼が回転する場合を例示して説明したが、下臼が固定され、上臼が回転するように構成されていてもよいし、上臼と下臼とが互いに異なる方向に回転するように構成されていてもよい。
上述した実施の形態1に係る飲料製造装置1は、実施の形態1に係る臼2を備える場合を例示して説明したが、これに限定されず、実施の形態2から12に係る臼のいずれかを備えていてもよい。これら実施の形態2から12に係る臼のうちいずれかを備える飲料製造装置においても、簡易な構成で上臼と下臼との摩擦熱による温度上昇を効率よく抑制することができる。
上述した実施の形態1から12においては、下臼の中央部に設けられたコアが樹脂部材またはセラミック材料によって設けられている場合を例示して説明したが、これに限定されず、コアが熱伝導性の良好な金属によって設けられていてもよい。この場合には、コアからも摩擦熱を放熱することができる。
上述した実施の形態1から4においては、下臼の周面の一部が凹むことにより、下臼の周面が凹凸形状を有する場合を例示して説明したが、下臼が、摺合せ領域を有する柱状形状の第1部材と、第1部材の周面から径方向外側に突出するように当該周面に取り付けられた複数の第2部材とを含むように構成されることにより、下臼の周面が凹凸形状を有していてもよい。また、下臼が、摺合せ領域を有する円柱形状の第1部材と、第1部材の周面に、外表面が凹凸形状を有する環状の第2部材が取り付けられることにより、下臼の周面が凹凸形状を有していてもよい。
上述した実施の形態10から実施の形態12においては、放熱部材が、下臼が有する互いに対向する一対の主面のうち摺合せ領域を含む主面と反対側に位置する主面に固定される場合を例示して説明したが、これに限定されず、下臼の周面に固定されてもよいし、実施の形態3から5に記載した貫通孔に固定されてもよい。また、放熱部材が同様の構成にて、上臼の周面、上臼に設けられた貫通孔に固定されてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。