JP6475504B2 - 表面に凹凸を有するウエハの処理方法 - Google Patents

表面に凹凸を有するウエハの処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、両面粘着テープを介して支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、表面に凹凸を有するウエハであっても確実に凹凸に追従して充分な接着力を発揮し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できる表面に凹凸を有するウエハの処理方法に関する。
半導体チップの製造工程において、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合に、厚膜ウエハを支持板に接着して補強することにより、効率よく作業を進めることが提案されている。このとき厚膜ウエハと支持板とを接着するための両面粘着テープとしては、研削工程中には強固に接着する一方で、研削工程終了後には得られた薄膜ウエハを損傷することなく支持板から剥がせることが求められる(以下、「高接着易剥離」ともいう。)。
高接着易剥離を実現する方法として特許文献1には、アゾ化合物等の刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着層を有する両面粘着テープを用いたウエハの処理方法が記載されている。特許文献1に記載されたウエハの処理方法では、まず、両面粘着テープを介してウエハを支持板に固定する。その状態で研削工程等を行った後に刺激を与えると、気体発生剤から発生した気体がテープの表面とウエハとの界面に放出され、その圧力によって少なくとも一部が剥離される。特許文献1の両面粘着テープを用いれば、ウエハを損傷することなく、かつ、糊残りもすることなく剥離できる。
一方、近年では半導体チップの表面に複雑な回路が形成されて表面が極めて凹凸な回路ウエハが製造されるようになってきており、このような表面の凹凸への高い追従性と、剥離時の易剥離とを両立させることが強く求められるようになってきている。
しかしながら、従来公知の両面粘着テープでは、表面に凹凸を有するウエハに対する高い追従性と、糊残りすることなく剥離できる高い剥離性とを両立することは困難であった。
特開2003−231872号公報
本発明は、上記現状に鑑み、両面粘着テープを介して支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、表面に凹凸を有するウエハであっても確実に凹凸に追従して充分な接着力を発揮し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できる表面に凹凸を有するウエハの処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、光照射又は加熱により架橋、硬化する硬化成分を含有する基材と、前記基材の両面に形成された粘着剤層を有する両面粘着テープを介して表面に凹凸を有するウエハを支持板に固定する支持板固定工程と、前記基材に光を照射又は加熱して硬化成分を架橋、硬化する基材硬化工程と、前記支持板に固定されたウエハに処理を施すウエハ処理工程と、前記処理後のウエハから支持板を剥離する支持板剥離工程とを有する表面に凹凸を有するウエハの処理方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、両面粘着テープを介してウエハを支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法において、ウエハの表面に凹凸を有する場合に充分な追従性を得られない原因について検討した。その結果、両面粘着テープの基材に原因があることを見出した。両面粘着テープは、テープに腰を与えてその取扱い性を向上させるとともに、剥離時に粘着剤がウエハの表面に糊残りしないようにする目的で、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の透明樹脂からなる基材を有することが一般的である。しかしながら、このようなPET等からなる基材が硬いことから、ウエハ表面の凹凸に充分には追従できないものと考えられた。これに対して、より柔軟な透明樹脂を用いて基材を形成することも考えられた。しかしながら、柔軟な基材を用いた場合には、剥離時に粘着剤がウエハの表面に糊残りしてしまうのを充分には防止できなかった。
本発明者らは、更に鋭意検討の結果、光照射又は加熱により架橋、硬化する硬化成分を含有する基材を用いた両面粘着テープを用いることにより、表面に凹凸を有するウエハであっても確実に凹凸に追従できる高い凹凸追従性と、剥離時に粘着剤がウエハの表面に糊残りしてしまうのを防止できる高い糊残り防止性とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
光照射又は加熱により架橋、硬化する硬化成分を含有する基材は、該硬化成分を架橋、硬化させる前には充分な柔軟性を有することから、これを用いた両面粘着テープは、表面に凹凸を有するウエハであっても確実に凹凸に追従できる高い凹凸追従性を発揮することができる。一方、ウエハに貼り付けた後に光照射又は加熱して硬化成分を架橋、硬化させれば基材の弾性率が上昇することから、剥離時に粘着剤がウエハの表面に糊残りしてしまうのを防止できる高い糊残り防止性を発揮することができる。
本発明の表面に凹凸を有するウエハの処理方法(以下、単に「本発明のウエハの処理方法」ともいう。)では、まず、両面粘着テープを介して表面に凹凸を有するウエハを支持板に固定する支持板固定工程を行う。ウエハを支持板に固定することにより、加工時に取扱いを容易にし、破損したりしないようにすることができる。
ここで、上記両面粘着テープにおける基材に含まれる硬化成分を架橋、硬化させる前に貼り合せを行うことにより、表面に凹凸を有するウエハであってもより確実に凹凸に追従できる高い凹凸追従性を発揮することができる。
なお、上記両面粘着テープは、取扱い性の点からは、予め基材の両面に粘着剤層を形成した状態で用いることが好ましいが、支持板固定工程時において粘着剤層、基材、粘着剤層をこの順に積層してもよい。
上記支持板としては、充分な強度を有し、耐熱性、耐薬品性に優れ、かつ、光を透過又は通過するものであれば特に限定されず、ガラス板、石英板、サファイヤ板等が挙げられる。上記支持板としては、例えば、AF32(Schott社製)、borofloat 33(Schott社製)等の市販品を用いることもできる。
上記両面粘着テープは、基材と該基材の両面に形成された粘着剤層を有する。
本発明においては、上記両面粘着テープの基材として、光照射又は加熱により架橋、硬化する硬化成分を含有する基材を用いる。上記光照射又は加熱により架橋、硬化する硬化成分とは、光照射により架橋、硬化する光硬化成分、又は、加熱により架橋、硬化する熱硬化成分である。
上記光硬化成分としては、例えば、重合性ポリマーを主成分として、光重合開始剤を含有する光硬化成分が挙げられる。
上記熱硬化成分としては、例えば、重合性ポリマーを主成分として、熱重合開始剤を含有する熱硬化成分が挙げられる。
上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが用いられる。
上記重合性ポリマーは、ラジカル重合性の不飽和結合の含有量の好ましい下限が0.01meq/g、好ましい上限が2.0meq/gである。上記重合性ポリマーのラジカル重合性の不飽和結合の含有量がこの範囲内であると、上記基材硬化工程において基材に光を照射又は加熱して硬化成分を架橋、硬化した後の基材について、動的粘弾性測定のせん断モードで−50℃から300℃まで連続昇温の条件で測定した25℃での貯蔵せん断弾性率を2.0×10〜10Pa程度の範囲に調整することができる。これにより、上記支持板剥離工程においてウエハから支持板を剥離したときに、ウエハの表面に糊残りが発生するのをより効果的に防止することができる。上記重合性ポリマーのラジカル重合性の不飽和結合の含有量のより好ましい下限は0.05meq/g、より好ましい上限は1.0meq/gである。
上記光重合開始剤は、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられ、このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱重合開始剤は、熱により分解し、重合を開始する活性ラジカルを発生するものが挙げられ、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。これら熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化成分又は熱硬化成分は、更に、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーを含有することが好ましい。ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーを含有することにより、光硬化性又は熱硬化性が向上する。
上記多官能オリゴマー又はモノマーは、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは加熱又は光の照射による硬化成分の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。
上記多官能オリゴマー又はモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記基材は、粘着剤層との接着力を向上し、剥離時にウエハ上に糊残りが生じるのをより防止する目的で、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理が施されてもよい。
上記基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は200μmである。基材の厚みがこの範囲内にあると、表面に凹凸を有するウエハであってもより確実に凹凸に追従できる高い凹凸追従性を発揮することができる。上記基材の厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は100μmである。
なお、ウエハの凹凸の大きさは通常200μm以下である。
上記支持板固定工程時、即ち、光を照射又は加熱して硬化成分を架橋、硬化させる基材硬化工程前の基材は、動的粘弾性測定のせん断モードで−50℃から300℃まで連続昇温の条件で測定した25℃での貯蔵せん断弾性率の好ましい下限は1.0×10Pa、好ましい上限は1.0×10Paである。支持板固定工程時の基材の弾性率がこの範囲内にあると、表面に凹凸を有するウエハであってもより確実に凹凸に追従できる高い凹凸追従性を発揮することができる。上記弾性率のより好ましい下限は1.0×10Pa、より好ましい上限は5.0×10Paである。
上記粘着剤層を構成する粘着剤としては特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ゴム系粘着剤等の有機系粘着剤や、無機系粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は600μmである。上記粘着剤層の厚みがこの範囲内にあると、充分な粘着力で上記ウエハと支持板とを貼り合せることができ、かつ、剥離時にウエハ上に糊残りが生じるのを防止することができる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は3μm、より好ましい上限は400μmである。
本発明のウエハの処理方法では、次いで、上記基材に光を照射又は加熱して硬化成分を架橋、硬化する基材硬化工程を行う。
上記基材に含まれる硬化成分を架橋、硬化することにより、基材の弾性率が上昇することから、剥離時に粘着剤がウエハの表面に糊残りしてしまうのを防止できる高い糊残り防止性を発揮することができる。
例えば、上記光照射により架橋、硬化する光硬化成分として、側鎖にビニル基等の不飽和二重結合を有するポリマーと250〜800nmの波長で活性化する光重合開始剤を含有する光硬化成分を用いた場合、365nm以上の波長の光を照射することにより、上記光硬化成分を架橋、硬化させることができる。
このような光硬化成分に対しては、例えば、波長365nmの光を5mW以上の照度で照射することが好ましく、10mW以上の照度で照射することがより好ましく、20mW以上の照度で照射することが更に好ましく、50mW以上の照度で照射することが特に好ましい。また、波長365nmの光を300mJ以上の積算照度で照射することが好ましく、500mJ以上、10000mJ以下の積算照度で照射することがより好ましく、500mJ以上、7500mJ以下の積算照度で照射することが更に好ましく、1000mJ以上、5000mJ以下の積算照度で照射することが特に好ましい。
また、例えば、上記加熱により架橋、硬化する熱硬化成分として、側鎖にビニル基等の不飽和二重結合を有するポリマーと50〜150℃程度の加熱で活性化する熱重合開始剤を含有する熱硬化成分を用いた場合、50〜150℃程度の温度にまで加熱することにより、上記熱硬化成分を架橋、硬化させることができる。
上記基材硬化工程後の基材について、動的粘弾性測定のせん断モードで−50℃から300℃まで連続昇温の条件で測定した25℃での貯蔵せん断弾性率の好ましい下限は1.0×10Pa、好ましい上限は1.0×10Paである。基材硬化工程後の基材の弾性率がこの範囲内にあると、上記支持板剥離工程においてウエハから支持板を剥離する際にウエハの表面に糊残りが発生するのを防止することができる。上記弾性率のより好ましい下限は1.0×10Pa、より好ましい上限は5.0×10Paである。
本発明のウエハの処理方法では、次いで、上記支持板に固定されたウエハに処理を施すウエハ処理工程を行う。
上記ウエハに施す処理としては、例えば、ウエハを所定の厚さにまで研削する研削処理や、研削の際にかかった応力を取り除くドライポリッシュやケミカルポリッシュ等が挙げられる。また、電解めっき、無電解めっき等のめっき処理や、フッ酸、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等によるウェットエッチング処理や、N−メチル−2−ピロリドン、モノエタノールアミン、DMSO等によるレジスト剥離プロセスや、濃硫酸、アンモニア水、過酸化水素水等による洗浄プロセス等の薬液処理が挙げられる。また、スパッタリング、蒸着、エッチング、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、レジスト塗布・パターンニング、リフロー等の加熱処理又は発熱を伴う処理も挙げられる。
本発明のウエハの処理方法は、後述する支持板剥離工程に先立って、上記処理後のウエハの処理面にダイシングテープを貼付するダイシングテープ貼付工程を有してもよい。予めダイシングテープを貼付しておくことにより、支持板剥離工程において支持板を剥離した後、速やかにダイシング工程に進むことができる。
本発明のウエハの処理方法では、次いで、上記処理後のウエハから支持板を剥離する支持板剥離工程を行う。上記基材硬化工程において硬化成分が架橋、硬化して基材の弾性率が高くなっていることから、ウエハからの支持板の剥離は、比較的容易に、かつ、糊残りなく行うことができる。
本発明によれば、両面粘着テープを介して支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、表面に凹凸を有するウエハであっても確実に凹凸に追従して充分な接着力を発揮し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できる表面に凹凸を有するウエハの処理方法を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(樹脂A〜樹脂Dの合成)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして2−エチルヘキシルアクリレート79重量部、官能基含有モノマーとしてメタクリル酸ヒドロキシエチル20重量部及びアクリル酸1重量部と、ラウリルメルカプタン0.01重量部と、酢酸エチル80重量部を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、固形分55重量%、重量平均分子量88万の官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。
得られた官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、官能基含有不飽和化合物として2−イソシアナトエチルメタクリレート0.7重量部を加えて反応させて光硬化成分(樹脂A)を得た。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有モノマー及び、官能基含有不飽和化合物として表1に記載したものを用いた以外は、樹脂Aの場合と同様にして樹脂B〜Dを合成した。
Figure 0006475504
(実施例1)
(1)両面粘着テープの製造
得られた樹脂Aの酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(エサキュアワン、日本シイベルヘグナー社製)1重量部を混合した。
得られた組成物の酢酸エチル溶液を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、乾燥皮膜の厚さが20μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、基材を得た。
得られた基材の片面に、離型処理を施したPETフィルムに塗工した粘着層を貼り合わせて、粘着層と基材の二層の粘着テープを得た。次いで、得られた二層の粘着テープの基材側のPETフィルムを剥離し、離型処理を施したPETフィルムに塗工した粘着層を貼り合わせる方法により、基材の両面に粘着剤層を形成して両面粘着テープを得た。
(2)紫外線照射後の基材の弾性率の評価
評価用サンプルとして、光硬化成分の酢酸エチル溶液を、乾燥皮膜の厚さが500μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、基材を得た。得られた基材を縦0.6cm、横1.0cmの長方形状に切断して、これを評価用サンプルとした。
次いで、超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線を基材表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して1分間照射して、光硬化成分を架橋、硬化させた。硬化させた後の評価用サンプルについて、動的粘弾性測定のせん断モード角周波数10Hzで測定を行い、−50℃から300℃まで連続昇温した測定値の内25℃での貯蔵せん断弾性率の値を得た。
結果を表2に示した。
(3)凹凸追従性の評価
両面粘着テープの一方の面を、直径20cm、厚さ約750μmであって、高さ15μm、幅100μmの溝を有する回路が形成されたシリコンウエハに貼り付けた後、他方の面に支持板として直径20.4cmのガラス板を真空プレス機を用いて貼り付けた。次いで、超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線を基材表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して1分間照射して、光硬化成分を架橋、硬化させてサンプルを作製した。光学顕微鏡(×100倍)にて凹凸部を観察し、直径5μm以上の気泡が5個以下しか認められなかった場合を「○」と、直径5μm以上の気泡が5個を超えて認められた場合を「×」と評価した。
結果を表2に示した。
(4)糊残り性の評価
両面粘着テープの一方の面を、直径20cm、厚さ約750μmであって、高さ15μm、幅100μmの溝を有する回路が形成されたシリコンウエハに貼り付けた後、他方の面に支持板として直径20.4cmのガラス板を真空プレス機を用いて貼り付けて積層体を得た。次いで、超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線を基材表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して1分間照射して、光硬化成分を架橋、硬化させた。
得られた積層体のウエハ側を、グラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。その後、ウエハの両面粘着テープを貼り付けていない側の面にダイシングテープを貼り付け、吸着固定した後、ガラス板及び両面粘着テープを剥離した。両面粘着テープを剥離したウエハの表面を光学顕微鏡(×100倍)にて観察して、糊残りが認められなかった場合を「○」、糊残りが認められた場合を「×」と評価した。
結果を表2に示した。
(実施例2〜4、比較例1)
樹脂の種類を表2に示したようにした以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造し、得られた両面粘着テープを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
なお、比較例1においては、基材に紫外線を照射せずに凹凸追従性及び糊残り性の評価を行った。
結果を表2に示した。
(比較例2)
基材として、厚みが50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着テープを製造し、得られた両面粘着テープを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
結果を表2に示した。
Figure 0006475504
本発明によれば、両面粘着テープを介して支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、表面に凹凸を有するウエハであっても確実に凹凸に追従して充分な接着力を発揮し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できる表面に凹凸を有するウエハの処理方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 光照射又は加熱により架橋、硬化する硬化成分を含有し、動的粘弾性測定のせん断モードで−50℃から300℃まで連続昇温の条件で測定した25℃での貯蔵せん断弾性率が1.0×10 〜1.0×10 Paである基材と、前記基材の両面に形成された粘着剤層を有する両面粘着テープを介して表面に凹凸を有するウエハを支持板に固定する支持板固定工程と、
    前記支持板固定工程後に前記基材に光を照射又は加熱して硬化成分を架橋、硬化する基材硬化工程と、
    前記支持板に固定されたウエハに処理を施すウエハ処理工程と、
    前記処理後のウエハから支持板を剥離する支持板剥離工程とを有する
    ことを特徴とする表面に凹凸を有するウエハの処理方法。
  2. 材硬化工程後の基材について動的粘弾性測定のせん断モードで−50℃から300℃まで連続昇温の条件で測定した25℃での貯蔵せん断弾性率が1.0×10〜1.0×10Paであることを特徴とする請求項1記載の凹凸を有するウエハの処理方法。
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