JP5946708B2 - 粘着テープ - Google Patents
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Description
このような光硬化型粘着剤を用いた粘着テープであっても、加熱工程を有する半導体の加工時に用いた場合には、紫外線等を照射して粘着力を低下させて剥離したときに、被着体上に糊残りが発生するという問題があった。
近年、半導体加工において、CVDプロセスやハンダリフロープロセス等の200℃を超える高温加工プロセスを必要とするものが増えてきている。これほどの高温加工プロセスを経た後では、たとえ特許文献1に記載された光硬化型粘着剤であっても、剥離した後に被着体上に粘着剤が糊残りしてしまう。このような糊残りの問題は、とりわけ非着面に回路等の凹凸が形成されている場合に顕著であった。
以下に本発明を詳述する。
高温加工プロセスを経た後に剥離したときに被着体上に糊残りが発生する原因は、加熱によって粘着剤の接着力が昂進する結果、光照射により粘着力を低下させた後であっても、少なくとも一部において被着体と粘着剤との間の粘着力が、基材と粘着剤との間の粘着力を超えてしまうためであると思われた。従来の粘着テープにおいても、基材と粘着剤層との粘着力を向上させる目的で、基材の表面にコロナ処理やアンカー剤処理等を施すことは行われていた。しかしながら、コロナ処理による粘着力の向上効果は僅かなものであり、実質的には糊残り防止の役には立たなかった。一方、従来のアンカー剤は、常温から200℃程度までの温度領域では、比較的高い粘着力向上効果を発揮することができる。ところが、200℃以上、特に230℃を超えると、急激に粘着力向上効果が低下してしまうことから、高温加工プロセス中にアンカー剤と粘着剤との剥離が生じて、糊残りを防止することができなかった。
本発明の粘着テープにおいては、260℃における貯蔵弾性率が1.0×105Pa以上であるアンカー剤層を基材の表面に形成することにより、200℃を超える高温加工プロセスを経た後でも、高温加工プロセス中にアンカー剤層と粘着剤層とが剥離してしまうことを防止し、基材と粘着剤層との粘着力を維持できることから、糊残りを確実に防止できる。
なお、本明細書においてせん断貯蔵弾性率とは、動的粘弾性測定における測定モード:せん断、昇温速度:5℃/min、周波数:10Hz、ひずみ:0.5%で測定した際の貯蔵弾性率を意味する。
上記基材は、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
なお、上記アンカー剤層の架橋度は、ゲル分率測定にて測定可能である。アンカー剤のゲル分率は、酢酸エチル等の有機溶剤にアンカー剤を分散させ、8時間以上シェイカーで攪拌した後、その未溶解分の乾燥重量を量ることで測定することができる。
上記アンカー剤に配合する無機フィラー又は金属酸化物の配合量は特に限定されないが、アンカー剤の主剤、架橋剤、触媒の合計100重量部に対する無機フィラー又は金属酸化物の配合量の好ましい上限は40重量部であり、より好ましい上限は30重量部である。
上記光硬化型の粘着剤成分(以下、単に「粘着剤成分」ともいう。)としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーを主成分とする光硬化型粘着剤等が挙げられる。
このような光硬化型粘着剤は、光の照射により全体が均一にかつ速やかに重合架橋して一体化するため、重合硬化による弾性率の上昇が著しくなり、粘着力が大きく低下する。
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
上記多官能オリゴマー又はモノマーとしては、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは加熱又は光の照射による粘着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5,000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。このようなより好ましい多官能オリゴマー又はモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
ヒュームドシリカを配合することにより上記粘着剤組成物の耐熱性を改善するとともに、引張強度が著しく改善することから、高温加工プロセスを経た後でも、剥離時の応力によっては粘着剤が破断しにくくなり、より糊残りを防止することができる。
なお、本明細書においてヒュームドシリカの平均粒子径は、レーザー散乱・回折法又は動的光散乱法のいずれかの方法を用いて、配合前のメチルエチルケトン、メチルエチルケトン/トルエン(60:40)溶液等の媒体に分散したヒュームドシリカを測定した粒子径を意味する。
シリコーン化合物は、耐熱性に優れることから、高温加工プロセスを経ても粘着剤の焦げ付きを防止し、剥離時には被着体界面にブリードアウトして、剥離を容易にする。シリコーン化合物が上記粘着剤成分と架橋可能な官能基を有することにより、剥離時に光照射することにより上記粘着剤成分と化学反応して上記粘着剤成分中に取り込まれることから、被着体にシリコーン化合物が付着して汚染することがない。
上記シリコーン化合物Aは、該官能基をシリコーン骨格の側鎖又は末端に有することが好ましい。
なかでも、D体のシリコーン骨格を有し、かつ、末端に上記粘着剤成分と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物を用いると、高い初期粘着力と高温加工プロセス後の剥離力とを両立しやすいことから好適である。
上記(メタ)アクリル基と架橋可能な官能基は、不飽和二重結合を有する官能基であり、具体的には例えば、ビニル基、(メタ)アクリル基、アリル基、マレイミド基等が挙げられる。
ゴム弾性オリゴマーを配合することにより上記粘着剤組成物の硬化物の引張強度が改善することから、高温加工プロセスを経た後でも、剥離時の応力によっては粘着剤が破断しにくくなり、より糊残りを防止することができる。
上記ゴム弾性オリゴマーとしては、例えば、新中村化学工業社製のU−200PA、UA−4200、UA−122P、日本合成化学社製のUV−3520TL、UV−3700、UV−3000B、UV−2000B、UV−3300B、UV−3500BA、根上工業社製のUN−5500、UN−7700、UN−6300、UN−6301、UN−952等が挙げられる。
上記気体発生剤は特に限定されないが、例えば、アジド化合物、アゾ化合物、ケトプロフェン、テトラゾール化合物等が挙げられる。なかでも、耐熱性に優れるケトプロフェン、テトラゾール化合物が好適である。
高温加工プロセスは200℃以上であればよいが、好ましい高温加工プロセスの下限温度は220℃、より好ましい下限の温度は230℃である。また高温加工プロセスの上限は特に限定されないが、300℃以下、好ましい上限の温度は280℃、より好ましい上限の温度は260℃である。
上記支持板に固定されたウエハの表面に200℃以上の加熱を伴う処理は特に限定されず、例えば、化学気相成長法(CVD)、リフロー、リアクティブイオンエッチング(RIE)等が挙げられる。
(1)アンカー剤層の形成
荒川化学工業社製のAP2503D2(主剤)と、CL2503(架橋剤)と、RA−1000(触媒)との混合物100重量部に対して、無機フィラーとしてトクヤマ社製のレオロシールMT10を20重量部混合してアンカー剤を調製した。
得られたアンカー剤を、厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムの一方の面上に、乾燥皮膜の厚さが1μmとなるようにドクターナイフで塗工した後、110℃で5分乾燥、硬化させて、アンカー剤層を形成した。
また、アンカー剤層について、動的粘弾性(せん断)の測定により260℃におけるせん断貯蔵弾性率を測定したところ、1.2×106Paであった。
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート94重量部、アクリル酸1重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5重量部、ラウリルメルカプタン0.01重量部と、酢酸エチル80重量部を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、固形分55重量%、重量平均分子量60万のアクリル共重合体を得た。
アンカー剤の主剤を荒川化学工業社製AP2503Cに変更した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
アンカー剤に無機フィラーを配合しなかった以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
アンカー剤の主剤及び架橋剤を荒川化学工業社製AP2510、CL2500に変更した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
アンカー剤の主剤及び架橋剤を日本触媒社製ポリメントNK−350、JER製YL980に変更した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
基材上にアンカー剤層を形成せず、コロナ処理等の表面処理をしなかった以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
アンカー剤の主剤を日本触媒社製ポリメントNK−350に変更し、かつ、架橋剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
アンカー剤に架橋剤及び無機フィラーを配合しなかった以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
アンカー剤に架橋剤及び無機フィラーを配合しなかった以外は実施例2と同様にして粘着テープを得た。
アンカー剤に架橋剤及び無機フィラーを配合しなかった以外は実施例3と同様にして粘着テープを得た。
実施例及び比較例で得られた粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
粘着テープを260℃、10分間加熱した。その後、基材側から超高圧水銀灯を利用して照度254nm、強度70mW/cm2の光を150秒間照射した。加熱及び光照射後の粘着テープについて基材を両面テープで裏打ちし、粘着層にスリオン社製のシリコンテープを貼り付け剥離する方法により、粘着剤層と基材との剥離強度を測定した。
直径20cmの円形に切断した粘着テープを、直径20cm、厚さ約750μmの回路が形成されていないシリコンウエハ(ベアウエハ)に貼り付けた。この状態で、260℃、10分間加熱した。加熱後の粘着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「◎」、浮きが全体の面積の3%未満であった場合を「○」、浮きが全体の面積の3%以上、10%未満であった場合を「△」、浮きが全体の面積の10%以上であった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
直径20cmの円形に切断した粘着テープを、直径20cm、厚さ約750μmの回路が形成されていないシリコンウエハ(ベアウエハ)に貼り付けた。この状態で、260℃、10分間加熱した。
加熱後、シリコンウエハの粘着テープに接着していない側の面にダイシングテープを貼り付け、吸着固定し、テンパックスガラス側から超高圧水銀灯を利用して照度254nm、強度70mW/cm2の光を150秒間照射した。その後、ガラスを剥離し、粘着テープを剥離した。粘着テープを剥離したシリコンウエハの表面を目視にて観察して、糊残りが存在しなかった場合を「○」、糊残りが全体の面積の5%未満であった場合を「△」、糊残り全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
Claims (2)
- 基材の少なくとも一方の面に、光硬化型の粘着剤成分と光重合開始剤とを含有する粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記粘着剤層と接する側の基材の表面に、260℃における貯蔵弾性率が1.0×10 5 Pa以上であるアンカー剤層が形成されており、
前記粘着剤層を構成する粘着剤組成物は、更に、平均粒子径が0.05〜3μmであるヒュームドシリカを、光硬化型の粘着剤成分100重量部に対して10〜40重量部含有する
ことを特徴とする粘着テープ。 - 粘着剤層を構成する粘着剤組成物は、更に、光硬化型の粘着剤成分と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
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