JP6285738B2 - ウエハの処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤組成物を介してウエハを支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程を有するにもかかわらず、ウエハ処理工程時には充分な接着力を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できるウエハの処理方法に関する。
半導体チップの製造工程においては、ウエハの加工時に取扱いを容易にし、破損したりしないようにするためにウエハを支持板に固定することが行われている。例えば、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合に、接着剤組成物を介して厚膜ウエハを支持板に接着することが行われる。
ウエハを支持板に接着する接着剤組成物には、加工工程中にウエハを強固に固定できるだけの高い接着性とともに、工程終了後にはウエハを損傷することなく剥離できることが求められる(以下、「高接着易剥離」ともいう。)。
高接着易剥離を実現した接着剤組成物として特許文献1には、アゾ化合物等の刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する接着層を有する両面接着テープを用いたウエハの処理方法が記載されている。特許文献1に記載されたウエハの処理方法では、まず、両面接着テープを介してウエハを支持板に固定する。その状態で研削工程等を行った後に刺激を与えると、気体発生剤から発生した気体がテープの表面とウエハとの界面に放出され、その圧力によって少なくとも一部が剥離される。特許文献1の両面接着テープを用いれば、ウエハを損傷することなく、かつ、糊残りもすることなく剥離できる。
一方、近年の半導体チップの高性能化に伴い、ウエハの表面に薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施す工程が行われるようになってきた。例えば、次世代の技術として、複数の半導体チップを積層させてデバイスを飛躍的に高性能化、小型化したTSV(Si貫通ビヤ/Through Si via)を使った3次元積層技術が注目されている。TSVは、半導体実装の高密度化ができるほか、接続距離が短くできることにより低ノイズ化、低抵抗化が可能であり、アクセススピードが飛躍的に速く、使用中に発生する熱の放出にも優れる。このようなTSVの製造では、研削して得た薄膜ウエハをバンピングしたり、裏面にバンプ形成したり、3次元積層時にリフローを行ったりする等の200℃以上の高温処理プロセスを行うことが必要となる。
このような過酷なウエハ処理工程を伴うウエハの処理においては、特許文献1に記載された従来のウエハの処理方法では、ウエハの表面に薬液処理を施す工程において接着剤組成物が侵されて接着力が低下してしまったり、逆に高温によって接着剤組成物が接着亢進して剥離性が低下してしまったりすることがあった。とりわけ電極や回路等が形成された、表面に凹凸を有するウエハの場合に、薬液処理工程における接着力の低下や高温工程における接着亢進の問題が顕著であった。
特開2003−231872号公報
本発明は、上記現状に鑑み、接着剤組成物を介してウエハを支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程を有するにもかかわらず、ウエハ処理工程時には充分な接着力を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できるウエハの処理方法を提供することを目的とする。とりわけ、電極や回路等が形成された、表面に凹凸を有するウエハの場合であっても、薬液処理工程における接着力の低下や、加熱処理工程又は発熱を伴う処理を施す工程における接着亢進を確実に防止できるウエハの処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、刺激により架橋、硬化する硬化型接着剤成分を含有する接着剤組成物を介してウエハを支持板に固定する支持板固定工程と、前記接着剤組成物に刺激を与えて硬化型接着剤成分を架橋、硬化して、前記接着剤組成物のゲル分率を90%以上とする接着剤硬化工程と、前記支持板に固定されたウエハの表面に薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程と、前記処理後のウエハから支持板を剥離する支持板剥離工程とを有することを特徴とするウエハの処理方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明のウエハの処理方法では、まず、刺激により架橋、硬化する硬化型接着剤成分を含有する接着剤組成物を介してウエハを支持板に固定する支持板固定工程を行う。
ウエハを支持板に固定することにより、加工時に取扱いを容易にし、破損したりしないようにすることができる。
上記硬化型接着剤成分を架橋、硬化させる刺激としては、光、熱、電磁波、電子線、超音波等が挙げられる。なかでも、工程を容易にできることから、光照射により架橋、硬化する光硬化型接着剤成分、又は、加熱により架橋、硬化する熱硬化型接着剤成分が好適である。
上記光硬化型接着剤成分としては、例えば、重合性ポリマーを主成分として、光重合開始剤を含有する光硬化型接着剤が挙げられる。
上記熱硬化型接着剤成分としては、例えば、重合性ポリマーを主成分として、熱重合開始剤を含有する熱硬化型接着剤が挙げられる。
上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが用いられる。
上記重合性ポリマーは、ラジカル重合性の不飽和結合の含有量の好ましい下限が0.01meq/g、好ましい上限が2.0meq/gである。上記重合性ポリマーのラジカル重合性の不飽和結合の含有量がこの範囲内であると、上記接着剤硬化工程において接着剤組成物に刺激を与えて硬化型接着剤成分を架橋、硬化した後の接着剤組成物について、動的粘弾性測定のせん断モードで−50℃から300℃まで連続昇温の条件で測定した25℃での貯蔵せん断弾性率を2.0×10〜10Pa程度の範囲に調整することができる。これにより、上記支持板剥離工程においてウエハから支持板を剥離したときに、ウエハの表面に糊残りが発生するのをより効果的に防止することができる。上記重合性ポリマーのラジカル重合性の不飽和結合の含有量のより好ましい下限は0.05meq/g、より好ましい上限は1.0meq/gである。
上記光重合開始剤は、例えば、250〜800nmの波長の光を照射することにより活性化されるものが挙げられ、このような光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジエチルケタール等のケタール誘導体化合物;フォスフィンオキシド誘導体化合物;ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタノセン誘導体化合物、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、トデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱重合開始剤は、熱により分解し、重合を開始する活性ラジカルを発生するものが挙げられ、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。これら熱重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤は、更に、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーを含有することが好ましい。ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーを含有することにより、光硬化性又は熱硬化性が向上する。
上記多官能オリゴマー又はモノマーは、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは加熱又は光の照射による接着剤層の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。
上記多官能オリゴマー又はモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤は、刺激により気体を発生する気体発生剤を含有してもよい。上記光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤が上記気体発生剤を含有する場合には、後述する支持板剥離工程において、処理後のウエハに刺激を与えて上記気体発生剤から気体を発生させることにより、より容易に、かつ、糊残りすることなくウエハから支持板を剥離することができる。
ここで、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と上記気体発生剤とは、光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分を架橋、硬化させる光又は熱と、気体発生剤から気体を発生させる刺激が質的又は量的に異なる組み合わせを選択する。このような組み合わせを選択することにより、後述する接着剤硬化工程における光照射又は加熱によって、気体発生剤から気体が発生したウエハと支持板とが剥離してしまうのを防止することができる。具体的には例えば、熱等の光以外の刺激により気体を発生する気体発生剤を選択することが挙げられる。また、気体発生剤から気体を発生させる刺激も光である場合でも、光硬化型接着剤成分を架橋、硬化させる光とは波長が異なったり、波長が重複しても、光硬化型接着剤成分を架橋、硬化させる光量よりもより多くの光量を要したりする気体発生剤を選択する。
具体的には例えば、上記光硬化型接着剤成分を用いる場合には、熱等の光以外の刺激により気体を発生する気体発生剤を選択することが挙げられる。また、気体発生剤から気体を発生させる刺激も光である場合でも、光硬化型接着剤成分を架橋、硬化させる光とは波長が異なったり、波長が重複しても、光硬化型接着剤成分を架橋、硬化させる光量よりもより多くの光量を要したりする気体発生剤を選択する。
例えば、上記光照射により架橋、硬化する光硬化型接着剤成分として、側鎖にビニル基等の不飽和二重結合を有するポリマーと250〜800nmの波長で活性化する光重合開始剤を含有する接着剤を用いた場合、365nm以上の波長の光を照射することにより架橋、硬化させることができる。このような光硬化型接着剤成分に対して、300nm以下の波長の光を照射することにより気体を発生する気体発生剤を組み合わせれば、接着剤硬化工程においては365nm以上の波長の光を照射し、支持板剥離工程においては300nm以下の波長の光を照射することが可能となる。
また、上記熱硬化型接着剤成分を用いる場合には、光等の熱以外の刺激により気体を発生する気体発生剤を選択することが挙げられる。また、気体発生剤から気体を発生させる刺激も熱である場合でも、気体発生剤から気体を発生させる温度条件よりも、熱硬化型接着剤成分を架橋、硬化させる温度条件が低くなるような組み合わせを選択する。
例えば、側鎖にビニル基等の不飽和二重結合を有するポリマーと50〜150℃程度の加熱で活性化する熱重合開始剤を含有する熱硬化型接着剤に対して、200℃以上の加熱で気体を発生する気体発生剤を組み合わせれば、接着剤硬化工程においては50〜150℃の条件で加熱し、支持板剥離工程においては200℃以上の条件で加熱することが可能となる。
上記気体発生剤は特に限定されず、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等の従来公知の気体発生剤を用いることができる。
また、薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理によっても剥離しない、即ち、これらの処理に対する耐性に優れることから、下記一般式(1)で表されるカルボン酸化合物又はその塩も好適である。このような気体発生剤は、紫外線等の光を照射することにより気体(二酸化炭素ガス)を発生する一方、200℃程度の高温化でも分解しない高い耐熱性を有する。また、酸、アルカリ、有機溶剤等の薬液に対する耐性にも優れる。このような気体発生剤は、後述する過酷なウエハ処理工程においても反応して気体を発生してしまうことがない。
Figure 0006285738
式(1)中、R〜Rは、それぞれ水素又は有機基を示す。R〜Rは、同一であってもよく、異なっていてもよい。R〜Rのうちの2つが互いに結合し、環状構造を形成していてもよい。
上記一般式(1)における有機基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基や、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基や、カルボキシル基や、水酸基や、ニトロ基や、フェニル基等の芳香族基や、ナフチル基、フルオレニル基、ピレニル基等の多環式炭化水素基や、ビフェニル基等の環集合炭化水素基や、キサンテニル基等のヘテロ環基等が挙げられる。
なかでも、上記式(1)中のR〜Rのうちの1つが、下記式(2)で表される有機基であるか、又は、上記式(1)中のR〜Rのうちの隣り合う2つが互いに結合して下記式(3)で表される環状構造を形成していることが好ましい。
Figure 0006285738
式(2)中、R〜R12は、それぞれ水素又は有機基を示す。R〜R12は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R〜R12のうちの2つが互いに結合し、環状構造を形成していてもよい。
式(3)中、R13〜R16は、それぞれ水素又は有機基を示す。R13〜R16は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R13〜R16のうちの2つが互いに結合し、環状構造を形成していてもよい。
また、上記式(1)中のRは、メチル基であることが好ましい。
上記式(1)で表されるカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、フェニル酢酸、ジフェニル酢酸、トリフェニル酢酸、2−フェニルプロピオン酸、2,2−ジフェニルプロピオン酸、2,2,2−トリフェニルプロピオン酸、2−フェニルブチル酸、α−メトキシフェニル酢酸、マンデリック酸、アトロラクトン酸、ベンジリック酸、トロピック酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸、3−メチル−2−フェニル酪酸、オルトトルイル酢酸、メタトルイル酢酸、4−イソブチル−α−メチルフェニル酢酸、パラトルイル酢酸、1,2−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジ酢酸、2−メトキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシフェニル酢酸、2−ニトロフェニル酢酸、3−ニトロフェニル酢酸、4−ニトロフェニル酢酸、2−(4−ニトロフェニル)プロピオン酸、3−(4−ニトロフェニル)プロピオン酸、4−(4−ニトロフェニル)プロピオン酸、3,4−ジメトキシフェニル酢酸、3,4−(メチレンジオキシ)フェニル酢酸、2,5−ジメトキシフェニル酢酸、3,5−ジメトキシフェニル酢酸、3,4,5−トリメトキシフェニル酢酸、2,4−ジニトロフェニル酢酸、4−ビフェニル酢酸、1−ナフチル酢酸、2−ナフチル酢酸、6−メトキシ−α−メチル−2−ナフチル酢酸、1−ピレン酢酸、9−フルオレンカルボン酸又は9H−キサンテン−9−カルボン酸等が挙げられる。
なかでも上記式(1)で表されるカルボン酸化合物は、下記式(1−1)で表されるケトプロフェン、又は、下記式(1−2)で表される2−キサントン酢酸であることが好ましい。
Figure 0006285738
上記式(1)で表されるカルボン酸化合物の塩も、上記式(1)で表されるカルボン酸化合物に由来する骨格を有することから、光が照射されると容易に脱炭酸を起こし、二酸化炭素ガスを発生させることができる。
上記式(1)で表されるカルボン酸化合物の塩は、上記式(1)で表されるカルボン酸化合物と塩基性化合物とを容器中で混合するだけで、複雑な合成経路を経ることなく簡単に調製することができる。
上記塩基性化合物は特に限定されないが、例えば、アミン、ヒドラジン化合物、水酸化四級アンモニウム塩、ホスフィン化合物等が挙げられる。
上記アミンは特に限定されず、一級アミン、二級アミン及び三級アミンのいずれをも用いることができる。
なかでも上記塩基性化合物は、モノアルキルアミン又はジアルキルアミンが好適である。モノアルキルアミン又はジアルキルアミンを用いた場合には、得られる上記式(1)で表されるカルボン酸化合物の塩の極性を低極性化でき、接着剤成分との溶解性を高めることできる。より好ましくは、炭素数6〜12のモノアルキルアミン又はジアルキルアミンである。
上記気体発生剤は、また、下記一般式(4)、一般式(5)又は一般式(6)で表されるテトラゾール化合物若しくはその塩も好適である。これらの気体発生剤も、紫外線等の光を照射することにより気体(チッソガス)を発生する一方、200℃程度の高温化でも分解しない高い耐熱性を有する。また、酸、アルカリ、有機溶剤等の薬液に対する耐性にも優れる。これらの気体発生剤は、後述する過酷なウエハ処理工程においても反応して気体を発生してしまうことがない。
Figure 0006285738
式(4)〜(6)中、R21、R22は、水素、炭素数が1〜7のアルキル基、アルキレン基、フェニル基、メルカプト基、水酸基又はアミノ基を表す。
上記一般式(4)〜(6)で表されるテトラゾール化合物の塩も、上記一般式(4)〜(6)で表されるテトラゾール化合物に由来する骨格を有することから、光が照射されるとチッソガスを発生させることができる。
上記一般式(4)〜(6)で表されるテトラゾール化合物の塩は特に限定されず、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)で表されるテトラゾール化合物の塩は、上記一般式(4)〜(6)で表されるテトラゾール化合物と塩基性化合物とを容器中で混合するだけで、複雑な合成経路を経ることなく簡単に調製することができる。
上記塩基性化合物は特に限定されないが、例えば、アミン、ヒドラジン化合物、水酸化四級アンモニウム塩、ホスフィン化合物等が挙げられる。
上記アミンは特に限定されず、一級アミン、二級アミン及び三級アミンのいずれをも用いることができる。
なかでも上記塩基性化合物は、モノアルキルアミン又はジアルキルアミンが好適である。モノアルキルアミン又はジアルキルアミンを用いた場合には、得られる上記一般式(4)〜(6)で表されるテトラゾール化合物の塩の極性を低極性化でき、光硬化型接着剤成分との溶解性を高めることができる。より好ましくは、炭素数6〜12のモノアルキルアミン又はジアルキルアミンである。
上記一般式(4)で表されるテトラゾール化合物又はその塩は特に限定されないが、具体的には例えば、1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5,5−アゾビス−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−メチル−5−エチル−1H−テトラゾール、1−(ジメチルアミノエチル)−5−メルカプト−1H−テトラゾール等が挙げられる。
上記一般式(5)で表されるテトラゾール化合物又はその塩は特に限定されないが、具体的には例えば、5,5’−ビステトラゾールジアンモニウム塩等が挙げられる。
上記一般式(6)で表されるテトラゾール化合物又はその塩は特に限定されないが、具体的には例えば、5,5’−ビステトラゾールアミンモノアンモニウム塩等が挙げられる。
上記気体発生剤の含有量は、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分100重量部に対する好ましい下限が5重量部、好ましい上限が50重量部である。上記気体発生剤の含有量が5重量部未満であると、刺激による二酸化炭素ガス又はチッソガスの発生が少なくなり充分な剥離を行うことができないことがあり、50重量部を超えると、光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分へ溶けきれなくなり接着力が低下してしまうことがある。上記気体発生剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記接着剤組成物は、更に、光増感剤を含有してもよい。
上記光増感剤は、上記気体発生剤への光による刺激を増幅する効果を有することから、より少ない光の照射により気体を放出させることができる。また、より広い波長領域の光により気体を放出させることができる。
上記光増感剤は、耐熱性に優れるものであれば特に限定されない。
耐熱性に優れた光増感剤は、例えば、アルコキシ基を少なくとも1つ以上有する多環芳香族化合物が挙げられる。なかでも、一部がグリシジル基又は水酸基で置換されたアルコキシ基を有する置換アルコキシ多環芳香族化合物が好適である。これらの光増感剤は、耐昇華性が高く、高温下で使用することができる。また、アルコキシ基の一部がグリシジル基や水酸基で置換されることにより、上記光硬化型接着剤成分への溶解性が高まり、ブリードアウトを防止することができる。
上記多環芳香族化合物は、アントラセン誘導体が好ましい。上記アルコキシ基は、炭素数1〜18のものが好ましく、炭素数1〜8のものがより好ましい。
上記アルコキシ基を少なくとも1つ以上有する多環芳香族化合物は、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9−エトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン、9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−カルボキシエトキシ)アントラセン等のアントラセン誘導体等が挙げられる。
上記一部がグリシジル基又は水酸基で置換されたアルコキシ基を有する置換アルコキシ多環芳香族化合物は、例えば、9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(グリシジルオキシ)アントラセン、9−(グリシジルオキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(2−ビニルオキシエトキシ)アントラセン、9−(2−ビニルオキシエトキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメメトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメメトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(3−メチル−3−オキセタニルメメトキシ)アントラセン、9−(3−メチル−3−オキセタニルメメトキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(p−エポキシフェニルメトキシ)アントラセン、9−(p−エポキシフェニルメトキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、2−tブチル−9,1−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジ(p−ビニルフェニルメトキシ)アントラセン、9−(p−ビニルフェニルメトキシ)−10−メチルアントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシブトキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロポキシ)アントラセン、9,10−ジ(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)アントラセン等が挙げられる。
上記光増感剤の含有量は、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が10重量部である。上記光増感剤の含有量が0.05重量部未満であると、充分な増感効果が得られないことがあり、10重量部を超えると、光増感剤に由来する残存物が増え、充分な剥離を行えなくなることがある。上記光増感剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
上記接着剤組成物は、ヒュームドシリカを含有してもよい。ヒュームドシリカを配合することにより上記接着剤組成物の凝集力が上がる。このため、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに極性の異なる添加剤を混合しても分離することなく、接着剤組成物を均一にすることができる。また、引張強度が著しく改善するため、薬液処理や200℃以上の高温処理を経た後でも、剥離時の応力によって接着剤が破断せず、糊残りすることなく剥離できる。
上記ヒュームドシリカの平均粒子径の下限は0.05μm、上限は3μmである。上記ヒュームドシリカの平均粒子径がこの範囲内である場合に、薬液処理や200℃以上の高温処理を施した場合にでも浮き等が発生しない高い耐薬品性、耐熱性と、薬液処理や200℃以上の高温処理を経た後に剥離したときにでも糊残りしない高い非糊残り性とを発揮することができる。上記ヒュームドシリカの平均粒子径の好ましい下限は0.06μm、好ましい上限は2μmであり、より好ましい下限は0.07μm、より好ましい上限は1μmである。
なお、本明細書においてヒュームドシリカの平均粒子径は、レーザー散乱・回折法又は動的光散乱法のいずれかの方法を用いて、配合前のメチルエチルケトン、メチルエチルケトン/トルエン(60:40)溶液等の媒体に分散したヒュームドシリカを測定した粒子径を意味する。
上記ヒュームドシリカを配合する場合、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分100重量部に対して40重量部以下の配合量が好ましい。40重量部以下の配合量で、凝集力を向上させて接着剤組成物を均一にする効果や、非糊残り性向上の効果を発揮することができる。上記ヒュームドシリカの配合量の下限は特に限定されないが、上記粘着剤組成の均一性、及び非糊残り性向上の効果を充分に発揮させるためには、3重量部以上配合することが好ましい。
上記接着剤組成物は、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物(以下、単に「シリコーン化合物A」ともいう。)を含有してもよい。
シリコーン化合物は、耐薬品性、耐熱性に優れることから、薬液処理や200℃以上の高温処理を経ても接着剤の焦げ付き等を防止し、剥離時には被着体界面にブリードアウトして、剥離を容易にする。シリコーン化合物が上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と架橋可能な官能基を有することにより、光照射又は加熱することにより上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と化学反応して上記光硬化型接着剤成分中又は熱硬化型接着剤成分中に取り込まれることから、被着体にシリコーン化合物が付着して汚染することがない。また、シリコーン化合物を配合することにより支持板に対する親和性が向上し、ウエハ上への糊残りを防止する効果も発揮される。
上記シリコーン化合物Aのシリコーン骨格は特に限定はされず、D体、DT体のいずれでもよい。
上記シリコーン化合物Aは、該官能基をシリコーン骨格の側鎖又は末端に有することが好ましい。
なかでも、D体のシリコーン骨格を有し、かつ、末端に上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と架橋可能な官能基を有するシリコーン化合物を用いると、高い初期接着力と薬液処理や200℃以上の高温処理後の剥離力とを両立しやすいことからより好適である。
上記シリコーン化合物Aの官能基は、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分に応じて適当なものを選択して用いる。例えば、光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分が上記分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーを主成分とする光硬化型接着剤又は熱硬化型接着剤である場合には、(メタ)アクリル基と架橋可能な官能基を選択する。
上記(メタ)アクリル基と架橋可能な官能基は、不飽和二重結合を有する官能基であり、具体的には例えば、ビニル基、(メタ)アクリル基、アリル基、マレイミド基等が挙げられる。
上記シリコーン化合物Aの官能基当量は特に限定されないが、好ましい下限は1、好ましい上限は20である。上記官能基当量が1未満であると、得られる接着剤組成物の硬化時に、シリコーン化合物Aが充分に光硬化型接着剤成分に取り込まれず、被着体を汚染してしまったり、剥離性を充分に発揮できなかったりすることがあり、20を超えると、充分な接着力が得られないことがある。上記官能基当量のより好ましい上限は10であり、より好ましい下限は2、更に好ましい上限は6である。
上記シリコーン化合物Aの分子量は特に限定されないが、好ましい下限は300、好ましい上限は50000である。上記分子量が300未満であると、得られる接着剤組成物の耐薬品性、耐熱性が不充分となることがあり、50000を超えると、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分との混合が困難となることがある。上記分子量のより好ましい下限は400、より好ましい上限は10000であり、更に好ましい下限は500、更に好ましい上限は5000である。
上記シリコーン化合物Aを合成する方法は特に限定されず、例えば、SiH基を有するシリコーン樹脂と、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と架橋可能な官能基を有するビニル化合物とをハイドロシリレーション反応により反応させることにより、シリコーン樹脂に上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と架橋可能な官能基を導入する方法や、シロキサン化合物と、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分と架橋可能な官能基を有するシロキサン化合物とを縮合反応させる方法等が挙げられる。
上記シリコーン化合物Aのうち市販されているものは、例えば、信越化学工業社製のX−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−164C、X−22−164E等の両末端にメタクリル基を有するシリコーン化合物や、信越化学工業社製のX−22−174DX、X−22−2426、X−22−2475等の片末端にメタクリル基を有するシリコーン化合物や、ダイセルサイテック社製のEBECRYL350、EBECRYL1360等のアクリル基を有するシリコーン化合物や、東亞合成社製のAC−SQ TA−100、AC−SQ SI−20等のアクリル基を有するシリコーン化合物や、東亞合成社製のMAC−SQ TM−100、MAC−SQ SI−20、MAC−SQ HDM等のメタクリル基を有するシリコーン化合物等が挙げられる。
なかでも、上記シリコーン化合物Aは、耐薬品性、耐熱性が特に高く、極性が高いために接着剤組成物からのブリードアウトが容易であることから、下記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)で表される、シロキサン骨格に(メタ)アクリル基を有するシリコーン化合物が好適である。
Figure 0006285738
式中、X、Yは0〜1200の整数を表し(但し、X及びYがいずれも0の場合を除く。)、Rは不飽和二重結合を有する官能基を表す。
上記一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)で表される、シロキサン骨格に(メタ)アクリル基を有するシリコーン化合物のうち市販されているものは、例えば、ダイセルサイテック社製のEBECRYL350、EBECRYL1360(いずれもRがアクリル基)等が挙げられる。
また、上記シリコーン化合物は、下記一般式(IV)で表される、三次元構造を有するシリコーン化合物も用いることができる。
Figure 0006285738
式中、Rは不飽和二重結合を有する官能基を表す。
上記シリコーン化合物Aの含有量は、上記光硬化型接着剤成分又は熱硬化型接着剤成分100重量部に対する好ましい下限が0.5重量部、好ましい上限が50重量部である。シリコーン化合物Aの含有量が0.5重量部未満であると、光を照射又は加熱しても充分に接着力が低減せず被着体から剥離できないことがあり、50重量部を超えると、被着体の汚染の原因となることがある。シリコーン化合物Aの含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は40重量部である。
上記接着剤組成物は、接着剤としての凝集力の調節を図る目的で、所望によりイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の接着剤に配合される各種の多官能性化合物を適宜含有してもよい。
上記接着剤組成物は、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
上記接着剤組成物は、上記支持板固定工程におけるゲル分率、即ち、刺激により架橋、硬化させる前のゲル分率が90%未満であることが好ましい。ゲル分率が90%未満であることにより、電極や回路等が形成された、表面に凹凸を有するウエハに対する密着性が向上し、特に薬液処理工程における接着力の低下をより防止することができる。上記支持板固定工程におけるゲル分率は、30%以上、70%未満であることがより好ましい。
なお、本明細書においてゲル分率とは、接着剤組成物を酢酸エチル中に浸漬したときに、溶かされずに残存している部分をゲルとし、該ゲル部分の重量と酢酸エチルに浸漬する前の重量との比(百分率)を意味する。
上記支持板固定工程においてウエハと支持板との接着は、上記接着剤組成物により直接接着してもよいし、少なくとも一方の面に上記接着剤組成物からなる接着剤層を有する両面接着テープを用いて接着してもよい。
上記両面接着テープは、基材の両面に接着剤層を有するサポートテープであってもよく、基材を有しないノンサポートテープであってもよい。
上記両面接着テープがサポートテープである場合、上記基材は、例えば、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。
上記支持板としては、充分な強度を有し、耐熱性、耐薬品性に優れ、かつ、光を透過又は通過するものであれば特に限定されず、ガラス板、石英板、サファイヤ板等の板状体や、アクリル、オレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ナイロン、ウレタン、ポリイミド等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等のシート状体が挙げられる。上記支持板としては、例えば、AF32(Schott社製)、borofloat 33(Schott社製)等の市販品を用いることもできる。
上記ウエハとしては特に限定されず、通常の電子部品に用いられる全てのウエハの処理に本発明のウエハの処理方法を用いることができる。本発明のウエハの処理方法は、電極や回路等が形成された、表面に凹凸を有するウエハの場合であっても、薬液処理工程における接着力の低下や、加熱処理工程又は発熱を伴う処理を施す工程における接着亢進を防止できる。従って、このような表面に凹凸を有するウエハの処理に、本発明のウエハの処理方法は特に有用である。
本発明のウエハの処理方法では、次いで、接着剤組成物に刺激を与えて硬化型接着剤成分を架橋、硬化する接着剤硬化工程を行う。
刺激により架橋、硬化した硬化型接着剤成分は、耐薬品性が飛躍的に向上して、ウエハの表面に薬液処理を施す工程においても接着剤が薬液に溶け出すことがない。また、架橋、硬化した硬化型接着剤成分は、ゲル分率が上昇することから、高温によっても接着亢進しにくくなり、支持板剥離工程における剥離性を低下させることがない。更に、架橋、硬化して弾性率が上昇した硬い硬化型接着剤成分中で上記気体発生剤から気体を発生させると、発生した気体の大半は外部に放出され、放出された気体は、被着体から接着剤の接着面の少なくとも一部を剥がし接着力を低下させる。このような易剥離が実現することにより、低タクト化も期待できる。
このように本発明においては、ウエハ処理工程の前に接着剤硬化工程を行うことにより、薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程を有するにもかかわらず、ウエハ処理工程時には充分な接着力を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できる。
例えば、上記光照射により架橋、硬化する光硬化型接着剤成分として、側鎖にビニル基等の不飽和二重結合を有するポリマーと250〜800nmの波長で活性化する光重合開始剤を含有する接着剤を用いた場合、365nm以上の波長の光を照射することにより、上記光硬化型接着剤成分を架橋、硬化させることができる。
このような光硬化型接着剤成分に対しては、例えば、波長365nmの光を5mW以上の照度で照射することが好ましく、10mW以上の照度で照射することがより好ましく、20mW以上の照度で照射することが更に好ましく、50mW以上の照度で照射することが特に好ましい。また、波長365nmの光を300mJ以上の積算照度で照射することが好ましく、500mJ以上、10000mJ以下の積算照度で照射することがより好ましく、500mJ以上、7500mJ以下の積算照度で照射することが更に好ましく、1000mJ以上、5000mJ以下の積算照度で照射することが特に好ましい。
また、例えば、上記加熱により架橋、硬化する熱硬化型接着剤成分として、側鎖にビニル基等の不飽和二重結合を有するポリマーと50〜150℃程度の加熱で活性化する熱重合開始剤を含有する接着剤を用いた場合、50〜150℃程度の温度にまで加熱することにより、上記熱硬化型接着剤成分を架橋、硬化させることができる。
上記接着剤硬化工程においては、上記接着剤組成物のゲル分率を90%以上とする。上記接着剤組成物のゲル分率を90%以上とすることにより、電極や回路等が形成された、表面に凹凸を有するウエハの場合であっても、薬液処理工程における接着力の低下や、加熱処理工程又は発熱を伴う処理を施す工程における接着亢進をより確実に防止することができる。上記接着剤硬化工程における、より好ましいゲル分率は95%以上である。
上記接着剤硬化工程後の接着剤組成物について、動的粘弾性測定のせん断モードで−50℃から300℃まで連続昇温の条件で測定した25℃での貯蔵せん断弾性率の好ましい下限は2.0×10Pa、好ましい上限は10Paである。弾性率がこの範囲内にあると、上記ウエハ処理工程においてウエハと支持板とが意図せず剥離してしまうことがない一方、上記支持板剥離工程においてウエハから支持板を剥離する際にウエハの表面に糊残りが発生するのを防止することができる。上記弾性率のより好ましい下限は1.0×10Pa、より好ましい上限は5.0×10Paである。
本発明のウエハの処理方法では、次いで、上記支持板に固定されたウエハの表面に薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程を有する。
上記薬液処理は、酸、アルカリ又は有機溶剤を用いる処理であれば特に限定されず、例えば、電解めっき、無電解めっき等のめっき処理や、フッ酸、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等によるウェットエッチング処理や、N−メチル−2−ピロリドン、モノエタノールアミン、DMSO等によるレジスト剥離プロセスや、濃硫酸、アンモニア水、過酸化水素水等による洗浄プロセス等が挙げられる。
上記加熱処理又は発熱を伴う処理は、少なくとも200℃以上の高温処理プロセスを意味し、例えば、スパッタリング、蒸着、エッチング、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、レジスト塗布・パターンニング、リフロー等が挙げられる。一方、例えば、砥石を用いてウエハを一定の厚さに研削する研削工程は、摩擦による熱が発生するものの、通常は冷却水により冷却しながら行われることから、200℃以上の高温になることはなく、従って上記加熱処理又は発熱を伴う処理には含まれない。
本発明のウエハの処理工程は、後述する支持板剥離工程に先立って、上記処理後のウエハの処理面にダイシングテープを貼付するダイシングテープ貼付工程を有してもよい。予めダイシングテープを貼付しておくことにより、支持板剥離工程において支持板を剥離した後、速やかにダイシング工程に進むことができる。
本発明のウエハの処理方法では、次いで上記処理後のウエハから支持板を剥離する支持板剥離工程を有する。上記接着剤硬化工程において硬化型接着剤成分は架橋、硬化していることから、ウエハからの支持板の剥離は、比較的容易に、かつ、糊残りなく行うことができる。
上記接着剤組成物が上記気体発生剤を含有する場合には、支持板剥離工程において処理後のウエハに刺激を与えて前記気体発生剤から気体を発生させることにより、より容易にウエハから支持板を剥離することができる。
例えば、上記気体発生剤として300nm以下の波長の光を照射することにより気体を発生する気体発生剤を用いた場合には、300nm以下の波長の光を照射することにより上記気体発生剤から気体を発生させて、支持板をウエハから容易に剥離することができる。
このような気体発生剤に対しては、例えば、波長254nmの光を5mW以上の照度で照射することが好ましく、10mW以上の照度で照射することがより好ましく、20mW以上の照度で照射することが更に好ましく、50mW以上の照度で照射することが特に好ましい。また、波長254nmの光を1000mJ以上の積算照度で照射することが好ましく、1000mJ以上、20J以下の積算照度で照射することがより好ましく、1500mJ以上、15J以下の積算照度で照射することが更に好ましく、2000mJ以上、10J以下の積算照度で照射することが特に好ましい。
また、例えば、上記気体発生剤として200℃以上の加熱により気体を発生する気体発生剤を用いた場合には、200℃以上の温度に加熱することにより上記気体発生剤から気体を発生させて、支持板をウエハから容易に剥離することができる。
本発明によれば、接着剤組成物を介してウエハを支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程を有するにもかかわらず、ウエハ処理工程時には充分な接着力を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できるウエハの処理方法を提供することができる。とりわけ、電極や回路等が形成された、表面に凹凸を有するウエハの場合であっても、薬液処理工程における接着力の低下や、加熱処理工程又は発熱を伴う処理を施す工程における接着亢進を確実に防止できるウエハの処理方法を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(樹脂A〜樹脂Cの合成)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして2−エチルヘキシルアクリレート94重量部、官能基含有モノマーとしてメタクリル酸ヒドロキシエチル6重量部、ラウリルメルカプタン0.01重量部と、酢酸エチル80重量部を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から1時間後及び2時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、固形分55重量%、重量平均分子量60万の官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。
得られた官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、官能基含有不飽和化合物として2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させて光硬化型接着剤(樹脂A)を得た。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有モノマー及び、官能基含有不飽和化合物として表1に記載したものを用いた以外は、樹脂Aの場合と同様にして樹脂B〜Cを合成した。なお、樹脂Cでは、多官能オリゴマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレートを5重量部併用し、重合を開始した。
Figure 0006285738
(実施例1)
(1)接着テープの製造
得られた樹脂Aの酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45(日本ポリウレタン社製))0.5重量部、光重合開始剤(エサキュアワン、日本シイベルヘグナー社製)1重量部を混合した。
得られた接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが30μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、接着テープを得た。
(2)紫外線照射後の接着剤組成物のゲル分率の評価
評価用サンプルとして、接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが500μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた後、40℃、3日間静置養生を行った。得られた接着テープを縦0.6cm、横1.0cmの長方形状に切断して、これを評価用サンプルとした。次いで、超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をテープ表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して2分間照射して、接着剤成分を架橋、硬化させた。
硬化させた後の評価用サンプルを、酢酸エチルを満たしたスクリュー管中に完全に浸し、振とう器で1晩撹拌した。その後、110℃で1時間乾燥させた。酢酸エチル浸漬前の重量と、乾燥後に残存した重量との比から、ゲル分率を算出した。
(3)紫外線照射後の耐薬品性及び耐熱性評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して1分間照射して、接着剤成分を架橋、硬化させた。
(3−1)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、酸、塩基及び有機溶剤に対する耐薬品性を評価した。
即ち、酸としてスタンダードクリーン1(SC1)溶液を調製し、該SC1溶液中に接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を60℃、2時間浸漬した。浸漬後、積層体を取り出し、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「◎」、浮きの面積が全体の3%未満であった場合を「○」、浮きの面積が全体の3%以上であった、又は、接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、塩基として2.38%TMAH水溶液を、有機溶剤としてアセトンを用いて行った。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表2に示した。
(3−2)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、耐熱性を評価した。
即ち、接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、1時間熱処理を行った。熱処理後の積層体を取り出し25℃に戻した後、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「○」、浮きが認められた又は接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表2に示した。
(4)熱処理後の糊残り評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して1分間照射して、接着剤成分を架橋、硬化させた。
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、2時間熱処理を行った。熱処理後、シリコンウエハの接着テープに接着していない側の面にダイシングテープを貼り付け、吸着固定した後、石英ガラス板及び接着テープを剥離した。
接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を目視にて観察して、糊残りが全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残り全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
また、接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を、倍率100倍の光学顕微鏡を用いて観察して、糊残りが視野全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残りが視野全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表2に示した。
(実施例2〜8、比較例1〜3)
樹脂の種類を表2に示したようにし、かつ、接着剤組成物の調製において、更に、(メタ)アクリル基を有するシリコーン化合物(ダイセルサイテック社製、EBECRYL350(アクリル当量2))、可塑剤(根上工業社製、UN−5500)、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45(日本ポリウレタン社製))0.5重量部、を表2に示したように加えたりした以外は実施例1と同様にして接着剤組成物及び接着テープを得た。得られた接着テープを用いて、実施例1と同様の評価を行った。
なお、比較例1〜3においては、耐薬品性、耐熱性評価及び糊残り評価において、紫外線を照射して接着剤成分を架橋、硬化させることを行わなかった。
結果を表2に示した。
Figure 0006285738
(実施例9)
(1)接着テープの製造
得られた樹脂Aの酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(エサキュアワン、日本シイベルヘグナー社製)1重量部、シリコーン化合物(EBECRYL350、ダイセルサイテック社製)5重量部、可塑剤(UN−5500、根上工業社製)20重量部、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45(日本ポリウレタン社製))0.5重量部、気体発生剤として5−フェニル−1H−テトラゾール10重量部を混合した。
得られた接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが30μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、接着テープを得た。
(2)紫外線照射後の接着剤組成物のゲル分率の評価
評価用サンプルとして、接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが500μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた後、40℃、3日間静置養生を行った。得られた接着テープを縦0.6cm、横1.0cmの長方形状に切断して、これを評価用サンプルとした。次いで、超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をテープ表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して2分間照射して、接着剤成分を架橋、硬化させた。
硬化させた後の評価用サンプルを、酢酸エチルを満たしたスクリュー管中に完全に浸し、振とう器で1晩撹拌した。その後、110℃で1時間乾燥させた。酢酸エチル浸漬前の重量と、乾燥後に残存した重量との比から、ゲル分率を算出した。
(3)紫外線照射後の耐薬品性及び耐熱性評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して1分間照射して、接着剤成分を架橋、硬化させた。
(3−1)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、有機溶剤に対する耐薬品性を評価した。
即ち、有機溶剤としてアセトンを用い、アセトン中に接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を60℃、2時間浸漬した。浸漬後、積層体を取り出し、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「◎」、浮きの面積が全体の3%未満であった場合を「○」、浮きの面積が全体の3%以上であった、又は、接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表3に示した。
(3−2)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、耐熱性を評価した。
即ち、接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、1時間熱処理を行った。熱処理後の積層体を取り出し25℃に戻した後、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「○」、浮きが認められた又は接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
結果を表3に示した。
(4)熱処理後の糊残り評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、ガラス板側から超高圧水銀灯を用いて、365nmの紫外線をガラス板表面への照射強度が80mW/cmとなるよう照度を調節して1分間照射して、接着剤成分を架橋、硬化させた。
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、1時間熱処理を行った。熱処理後、シリコンウエハの接着テープに接着していない側の面にダイシングテープを貼り付け、吸着固定し、テンパックスガラス側から超高圧水銀灯を利用して照度254nm、強度70mW/cmの光を150秒間照射した。その後、石英ガラス板及び接着テープを剥離した。
接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を目視にて観察して、糊残りが全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残り全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
また、接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を、倍率100倍の光学顕微鏡を用いて観察して、糊残りが視野全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残りが視野全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表3に示した。
(実施例10〜28、比較例4)
樹脂の種類及び接着剤組成物に配合する気体発生剤の種類及び量を表3に示したようにした以外は実施例9と同様にして接着剤組成物及び接着テープを得、得られた接着テープを用いて、実施例9と同様の評価を行った。なお、比較例4においては、耐薬品性、耐熱性評価及び糊残り評価において、紫外線を照射して接着剤成分を架橋、硬化させることを行わなかった。
Figure 0006285738
(実施例29)
(1)接着テープの製造
得られた樹脂Aの酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45(日本ポリウレタン社製))0.5重量部、熱重合開始剤(パーヘキシルO、日油社製)1重量部を混合した。
得られた接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが30μmとなるようにドクターナイフで塗工し、80℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、接着テープを得た。
(2)加熱による架橋、硬化後の接着剤組成物のゲル分率の評価
評価用サンプルとして、接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが500μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた後、40℃、3日間静置養生を行った。得られた接着テープを縦0.6cm、横1.0cmの長方形状に切断して、これを評価用サンプルとした。次いで、100℃、1時間熱処理を行い、接着剤成分を架橋、硬化させた。
硬化させた後の評価用サンプルを、酢酸エチルを満たしたスクリュー管中に完全に浸し、振とう器で1晩撹拌した。その後、110℃で1時間乾燥させた。酢酸エチル浸漬前の重量と、乾燥後に残存した重量との比から、ゲル分率を算出した。
(3)加熱後の耐薬品性及び耐熱性評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、100℃、1時間熱処理を行い、接着剤成分を架橋、硬化させた。
(3−1)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、有機溶剤に対する耐薬品性を評価した。
即ち、有機溶剤としてアセトンを用い、アセトン中に接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を60℃、2時間浸漬した。浸漬後、積層体を取り出し、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「◎」、浮きの面積が全体の3%未満であった場合を「○」、浮きの面積が全体の3%以上であった、又は、接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
同様の評価を、塩基として2.38%TMAH水溶液を、有機溶剤としてアセトンを用いて行った。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表4に示した。
(3−2)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、耐熱性を評価した。
即ち、接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、1時間熱処理を行った。熱処理後の積層体を取り出し25℃に戻した後、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「○」、浮きが認められた又は接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表4に示した。
(4)高温処理後の糊残り評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、100℃、1時間熱処理を行い、接着剤成分を架橋、硬化させた。
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、2時間熱処理を行った。熱処理後、シリコンウエハの接着テープに接着していない側の面にダイシングテープを貼り付け、吸着固定した後、石英ガラス板及び接着テープを剥離した。
接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を目視にて観察して、糊残りが全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残り全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
また、接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を、倍率100倍の光学顕微鏡を用いて観察して、糊残りが視野全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残りが視野全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表4に示した。
(実施例30〜34、比較例5〜7)
樹脂の種類を表4に示したようにし、かつ、接着剤組成物の調製において、更に、(メタ)アクリル基を有するシリコーン化合物(ダイセルサイテック社製、EBECRYL350(アクリル当量2))、可塑剤(UN−5500根上工業社製)、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45(日本ポリウレタン社製))0.5重量部を表4に示したように加えたりした以外は実施例29と同様にして接着剤組成物及び接着テープを得た。得られた接着テープを用いて、表4に示したような条件で接着剤成分を架橋、硬化させた以外は実施例29と同様の評価を行った。
なお、比較例5〜7においては、耐薬品性、耐熱性評価及び糊残り評価において、加熱して接着剤成分を架橋、硬化させることを行わなかった。
結果を表4に示した。
Figure 0006285738
(実施例35)
(1)接着テープの製造
得られた樹脂Aの酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、熱重合開始剤(パーヘキシルO、日油社製)1重量部、シリコーン化合物(EBECRYL350、ダイセルサイテック社製)5重量部、可塑剤(UN−5500、根上工業社製)20重量部、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45(日本ポリウレタン社製))0.5重量部、気体発生剤として5−フェニル−1H−テトラゾール10重量部を混合した。
得られた接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが30μmとなるようにドクターナイフで塗工し、80℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、接着テープを得た。
(2)加熱熱による架橋、硬化後の接着剤組成物のゲル分率の評価
評価用サンプルとして、接着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレートフィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが500μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた後、40℃、3日間静置養生を行った。得られた接着テープを縦0.6cm、横1.0cmの長方形状に切断して、これを評価用サンプルとした。次いで、100℃、1時間熱処理を行い、接着剤成分を架橋、硬化させた。
硬化させた後の評価用サンプルを、酢酸エチルを満たしたスクリュー管中に完全に浸し、振とう器で1晩撹拌した。その後、110℃で1時間乾燥させた。酢酸エチル浸漬前の重量と、乾燥後に残存した重量との比から、ゲル分率を算出した。
(3)加熱後の耐薬品性及び耐熱性評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、100℃、1時間熱処理を行い、接着剤成分を架橋、硬化させた。
(3−1)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、有機溶剤に対する耐薬品性を評価した。
即ち、有機溶剤としてアセトンを用い、アセトン中に接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を60℃、2時間浸漬した。浸漬後、積層体を取り出し、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「◎」、浮きの面積が全体の3%未満であった場合を「○」、浮きの面積が全体の3%以上であった、又は、接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表5に示した。
(3−2)
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体について、以下の方法により、耐熱性を評価した。
即ち、接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、1時間熱処理を行った。熱処理後の積層体を取り出し25℃に戻した後、石英ガラス板側から接着テープとシリコンウエハとの接着面を目視にて観察し、全面に渡って浮きが認められなかった場合を「○」、浮きが認められた又は接着テープが剥離してしまった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表5に示した。
(4)高温処理後の糊残り評価
得られた接着テープを直径20cmの円形に切断し、直径20cm、厚さ約750μmのシリコンウエハに真空中で貼り付けた。シリコンウエハに貼り付けた面と反対の面に、直径20cm、厚さ1mmの石英ガラス板を真空中で貼りつけて積層体を得た。
得られた積層体のウエハ側をグラインド研削及び研磨を行い、厚み50μmまで研削した。
次いで、100℃、1時間熱処理を行い、接着剤成分を架橋、硬化させた。
接着剤成分を架橋、硬化させた後の積層体を200℃、2時間熱処理を行った。熱処理後、シリコンウエハの接着テープに接着していない側の面にダイシングテープを貼り付け、吸着固定し、テンパックスガラス側から超高圧水銀灯を利用して照度254nm、強度70mW/cmの光を150秒間照射した。その後、石英ガラス板及び接着テープを剥離した。
接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を目視にて観察して、糊残りが全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残り全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
また、接着テープを剥離したシリコンウエハの表面を、倍率100倍の光学顕微鏡を用いて観察して、糊残りが視野全体の面積の5%未満であった場合を「○」、糊残りが視野全体の面積の5%以上であった場合を「×」と評価した。
同様の評価を、段差約5μmの回路(凹凸)が形成された厚さ700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
結果を表5に示した。
(実施例36〜37、比較例8)
樹脂の種類及び接着剤組成物に配合する気体発生剤の種類及び量を表5に示したようにした以外は実施例35と同様にして接着剤組成物及び接着テープを得、得られた接着テープを用いて、実施例35と同様の評価を行った。
なお、比較例8においては、耐薬品性、耐熱性評価及び糊残り評価において、加熱して接着剤成分を架橋、硬化させることを行わなかった。
Figure 0006285738
本発明によれば、接着剤組成物を介してウエハを支持板に固定した状態でウエハを処理するウエハの処理方法であって、薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程を有するにもかかわらず、ウエハ処理工程時には充分な接着力を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後にはウエハを損傷したり糊残りしたりすることなく支持板をウエハから剥離できるウエハの処理方法を提供することができる。とりわけ、電極や回路等が形成された、表面に凹凸を有するウエハの場合であっても、薬液処理工程における接着力の低下や、加熱処理工程又は発熱を伴う処理を施す工程における接着亢進を確実に防止できるウエハの処理方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. 刺激により架橋、硬化する硬化型接着剤成分を含有する接着剤組成物を介してウエハを支持板に固定する支持板固定工程と、
    前記接着剤組成物に刺激を与えて硬化型接着剤成分を架橋、硬化して、前記接着剤組成物のゲル分率を90%以上とする接着剤硬化工程と、
    前記支持板に固定されたウエハの表面に薬液処理、加熱処理又は発熱を伴う処理を施すウエハ処理工程と、
    前記処理後のウエハから支持板を剥離する支持板剥離工程とを有する
    ことを特徴とするウエハの処理方法。
  2. 支持板固定工程における接着剤組成物のゲル分率が90%未満であることを特徴とする請求項1記載のウエハの処理方法。
  3. ウエハは、表面に凹凸を有するウエハであることを特徴とする請求項1又は2記載のウエハの処理方法。
  4. 接着剤組成物が刺激により気体を発生する気体発生剤を含有するものであって、支持板剥離工程において処理後のウエハに刺激を与えて前記気体発生剤から気体を発生させることによりウエハから支持板を剥離することを特徴とする請求項1、2又は3記載のウエハの処理方法。
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