JP6474304B2 - 鉄鋼スラグの酸処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼スラグの酸処理方法に関する。
製鉄所の高炉、転炉、溶銑予備処理炉、等の精錬工程から発生する鉄鋼スラグは、酸化鉄、CaSiO、CaSiO、CaO、MgO、Al、SiO、Pなどを多く含んでおり、膨張性のCaOやMgOのエージング処理や炭酸化処理なしに路盤材、建造物の基礎材などの陸域に適用すると、CaO、CaSiO、CaSiOやMgOが雨水と反応して流出水のpHが8.5超に上昇し環境基準を超えたり、また、水酸化反応に伴って体積が5〜20%程度も膨張し、さらに、CaOは炭酸化によって白濁水になりやすい。
これらの現象は下記の反応(1)〜(3)や溶解平衡によって起きている。
1)pH上昇と膨張:
CaO + HO → Ca(OH) …(1)
Ca(OH) → Ca2+ + 2OH(平衡pH>12) …(2)
2)その他のpH上昇:
CaSiOの溶解平衡pH=11.5
CaSiOの溶解平衡 pH=10.4
3)炭酸化による白濁:
CaO +CO→ CaCO↓ …(3)
(CaCOの溶解平衡pH=10.5)
すなわち鉄鋼スラグに雨水などがかかるとCaO単独では水と反応してCa(OH)を生成する。このCa(OH)は電離して、水中のOHイオン濃度を増大させ、pH>12.0に上昇する主な原因となる。また、空気中の炭酸ガスや酸性の雨水に溶解した炭酸によって炭酸化が進行し、不溶性のCaCOが生成し、白濁水の主な原因となる。
そこで、現在、鉄鋼スラグの水酸化反応に伴う膨張現象を抑制するため、鉄鋼スラグを自然冷却し、破砕した後、屋外で山積みするか、或いは人為的に高温の水蒸気と接触させることにより、上記式(1)に示す水酸化反応を生じさせ、CaO、MgOを安定化させている。また、炭酸化処理として、上記式(3)に示す炭酸化を事前に行って、さらにCaO、MgOを安定化させている。
しかし、このエージング処理や炭酸化処理は、長時間と高いコストを要することであり、そのために製鉄所内に非常に広いスペースが必要であるという問題がある。また、効率的に蒸気エージング処理を行う場合には、均等にかつ効率的に蒸気が行き渡るようにする配管や天地返し用の重機などの設備コストが生じる。
このように取り扱いが難しい鉄鋼スラグの処理技術として、平均粒径が25〜1mmの粒状の製鋼スラグを、硫酸溶液中に保持させることにより、製鋼スラグ粒子表層に硫酸カルシウム層を形成させる改質製鋼スラグの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1の改質製鋼スラグは、製鋼スラグ粒子の表面に硫酸カルシウム層が形成されており、海水に浸漬したときにpH上昇や白濁、固結に対して優れた抵抗力を呈するので、海域の覆砂材や埋め戻し材などの海洋環境修復材として海水に浸漬して使用できると記載されている。
また、鋼滓を酸で溶解し、pHを調整することにより、鉄、珪酸及びカルシウム分を沈殿させ、分離回収する鋼滓の処理方法が知られている(特許文献2参照)。
特許文献2の処理方法では、回収したCaSO及びSiOはセメント原料、骨材等に利用できることが記載されている。
特許文献3では、製鋼スラグを粒径500μm未満に分級して得られた製鋼スラグ粉末を溶解槽において硫酸溶液で処理することによりCa分は不溶性のCaSOに分離し、少なくともAl、Cr、Mn、P及びFe分も溶解することで分離でき、その製鋼スラグと硫酸の反応液を固液分離、乾燥処理してCaSOを回収し、焼結副原料等に利用できることが記載されている。
特許文献3の処理方法では、粒度限定の製鋼スラグを低pH(強酸性)の硫酸溶液に直接投入することで石膏化させることが記載されている。
以上のように、鉄鋼スラグの再利用、特に、酸処理後の再利用方法として、従来は、セメント原料、骨材等あるいは、焼結副原料としての利用について開示されている。本発明者らは、鉄鋼スラグの新たな用途として、鉄鋼プロセスにおける脱リン剤として供することが可能なカルシウムフェライトとして再利用することに着眼した。
ここで、カルシウムフェライトとは、2CaO・Fe23 、CaO・Fe23及びCaO・2Fe23の総称であり、溶鉄の脱リン剤として用いられることが、例えば、特許文献4に開示されている。
特許文献5には、廃石膏ボードを破砕した後、酸化鉄含有原料、S i O 2 含有原料、A l 2 O 3含有原料を配合し、混合した後、脱硫し、1 0 0 0 〜 1 3 0 0 ℃ の温度で焼成することによってカルシウムフェライトを製造する方法の開示がみられる。
しかし、鉄鋼スラグを原料の一つとして、脱リン剤として有効に利用可能なカルシウムフェライトを製造する方法については、これまで知られていなかった。
特開2011−207653号公報 特開昭52−11190号公報 特開2014−169199号公報 特開2000−256731号公報 特開2004−315277号公報
本発明の目的は、鉄鋼スラグから効率よく石膏成分を分離し、得られた石膏成分からカルシウムフェライトを製造し、脱リン剤又は製鉄原料として利用する鉄鋼スラグの処理方法を提供することである。
本発明は、この知見に基づいて上記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)鉄鋼スラグを水中に投入することで、アルカリ性のスラリーとするスラリー化工程と、そのスラリーを撹拌し、pH値をモニタリングしながら、硫酸を投入し、且つ、その投入量を調整することによって、pH値を3.0〜3.5に維持する硫酸によるpH調整工程と、得られたpH調整後のスラリーを固液分離する固液分離工程と、回収した固体を乾燥後、当該固体を酸化鉄主体のダストとカーボン含有粉とで造粒後に焼成し、カルシウムフェライトを得るカルシウムフェライト生成工程と、を有することを特徴とする鉄鋼スラグの酸処理方法。
(2)前記固液分離工程で固液分離する前の前記スラリーの固形分の濃度が10〜50質量%の範囲であることを特徴とする(1)に記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
(3)前記固液分離工程で、回収した乾燥後の固体が、70質量%以上の石膏を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
(4)前記固液分離工程で分離された液体に対して、pHを段階的に上げ、各段階のpH域で析出する金属水酸化物を濾別する金属水酸化物の濾別工程を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
(5)前記カルシウムフェライト生成工程において、前記カーボン含有粉がコークス粉であり、乾燥後の固体と、前記酸化鉄主体のダストと、前記コークス粉とを、それぞれ60〜85質量%、30〜10質量%、20〜5質量%の割合で配合して造粒後に、900〜1250℃で焼成することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
(6)前記焼成が、ロータリーキルンで行われることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
(7)前記カルシウムフェライト生成工程において、アルミナ含有材料を前記カルシウムフェライト中のアルミナ含有量が3〜15質量%となるように添加することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
本発明の鉄鋼スラグの処理方法は、効率よく鉄鋼スラグから少なくとも石膏成分を分離し、製鉄プロセスに用いられる脱リン剤又は製鉄原料として有用なカルシムウフェライトを製造することができる。
各種金属イオンとpHの関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の鉄鋼スラグの処理方法では、鉄鋼スラグを水中に投入することで、pH値が10以上のアルカリ性のスラリーとする工程と、そのスラリーを撹拌し、pH値をモニタリングしながら、徐々に10%以上の硫酸を投入する工程と、硫酸を投入した結果、pH値が3.0〜3.5でほぼ安定化する工程と、得られたスラリーを固液分離する工程と、回収した固体を乾燥後、Fe-O主体のダストとC粉とで造粒、焼成し、カルシウムフェライトを得る工程と、濾液を徐々にpHを上げていきながら各pH域で析出する金属水酸化物を濾別する工程と、を実施する。
<スラリー化工程>
先ず鉄鋼スラグを水中に投入する際に、水の体積割合はスラグの体積割合より多いことが好ましい。また撹拌し、pH値が安定化することが好ましいので、粒径は10mm未満、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは2mm以下に分級した方が好適である。
このとき、鉄鋼スラグの粒径が10mm以上であると、後述する硫酸改質処理を行っても、鉄鋼スラグ粉末の表層部分のみが石膏化されるに留まり、鉄鋼スラグ内部は十分に石膏化されない非効率を生じる。鉄鋼スラグの表層部分だけでなく、内部も十分に石膏化が可能な大きさである、粒径0.125mm以下がより好ましく、さらに粒径0.074mm以下が好ましい。
鉄鋼スラグの分級方法は、所定の目開きを有する振動型のスクリーンなどによる篩がけなど、分級可能な手法であれば、特に問わない。
ジャンピングスクリーンは、工業的な分級手法であり、所定の目開きを有するスクリーンマット上に鉄鋼スラグを載せ、スクリーンマットを波動運動させることによってスクリーンマット上の鉄鋼スラグを高く跳ね上げ、反転、解砕、及び分散させることで、所定の粒径に篩分けするものである。この分級手法としては、例えば、ユーラステクノ社製のジャンピングスクリーン装置を使用することが好ましい。
<pH調整工程>
次いで、分級して得られたスラリーをステンレス製の反応槽において、pH値が3を下回らないようにモニタリングしながら、10%以上の硫酸を徐々に投入する。
鉄鋼スラグ粉末には遊離CaOやCa分を含むCaSiO、CaSiO、CaSiO、CaAl等の複合酸化物、MgOなどが含まれるが、この硫酸改質処理によって鉄鋼スラグ中のCaのみは、石膏化され、不溶性となり、固液分離後に乾燥することでCaSOとして回収される。また、この硫酸改質処理によって、鉄鋼スラグ中の、少なくともSi、Mg、Al、Mn、P及びFe、Cr、Cdなどは溶解し、硫酸溶液中イオン化して分離される。
この硫酸改質処理では、スラリーの固形分が10〜50質量%となるように、鉄鋼スラグ粉末投入量を調整することが好ましい。固液濃度が上記範囲内であれば、投入した鉄鋼スラグ粉末の石膏化とCa以外の溶解がスムーズに行われ、固液分離工程で、70質量%以上の石膏を含む乾燥後の固体を回収することができる。一方、固液濃度が10質量%未満では石膏化や溶解の反応槽が巨大化するなど効率が低く、50質量%より鉄鋼スラグの投入量が多いと、反応槽での粘度が高くなり撹拌や回収が非効率となるため、好ましくない。
硫酸改質処理で徐々に投入する硫酸濃度は10〜50質量%であることが好ましい。一方、硫酸濃度が10%未満では、水に投入された鉄鋼スラグの石膏化が十分に行われないおそれがある。他方、硫酸濃度が50%を超えると、Ca以外の硫酸溶液への溶解量が急激に増加することにより、石膏としての純度が低下するおそれがある。
硫酸溶液に使用される硫酸は、コークス炉から排出されたS成分から製造された硫酸でも、脱硫装置で回収される硫酸でも、鋼板や鋼管、棒鋼などの酸洗処理で排出される廃硫酸でも構わない。従来、コークス炉から余剰に排出されているS成分から製造された硫酸は、NHと反応させ硫安を製造したり、NaOHで中和した後に海洋投棄処分していたが、高S分の原料炭を使用する機会が増加することで、コークス炉起因の硫酸が余剰となり、その廃棄コストを低減するという効果を奏することも可能である。
鉄鋼スラグの硫酸改質処理は、pHが3以上3.5以下の範囲で行われることが好ましい。大型の反応槽は、一般的に金属製であることがコスト面でもメンテナンス面でも好適である。上記範囲の内pHで硫酸改質処理することで、鉄鋼スラグ中のCa成分を石膏化させるだけでなく、FeやP等の有価物を溶解液中に移行させることができるので、FeやP等の有価物を選択的に分離できる。
鉄鋼スラグの硫酸改質処理は、均一な反応を生じさせるために、反応槽中で撹拌する際に比重の大きな固形物を上昇流で沈降しないように反応させることが好ましい。
鉄鋼スラグの硫酸改質処理の時間は、30分以上3時間以下が好ましい。より好ましくは30分以上90分以下である。処理時間が30分未満では反応槽中の鉄鋼スラグの全量を十分に石膏化及びCa以外の溶解をさせることができないおそれがあり、また、3時間を超えてもその処理効果は大幅には変わらず、処理コストが増加するおそれがある。
<固液分離工程>
次に、上記処理した溶液を固液分離してCaSOを回収する。
固液分離としては、pHが3以上であるため特段の耐酸性素材を用いる必要がなく、濾過、遠心分離、加圧脱水(ローラープレス、フィルタープレス、スクリュープレス)、多重円板回転脱水、多重板波動フィルターなどによる通常仕様の方法や、化学的作用(水和官能基を持つ高分子、数千万の分子量の網状構造の高分子など)を利用した凝集剤を用いる方法などが挙げられる。
固液分離後の乾燥処理は、特に手法は問わないが、例えば、室温環境下において放置することによる自然乾燥でよい。室温環境下であれば、例えば、12時間程度放置しておけば、十分に乾燥される。1/2水和物(CaSO・1/2HO)でも2水和物(CaSO4・2HO)でもどちらでも構わない。
また、固液分離により固形分が除かれた硫酸溶液には、少なくともAl、Si、Mn、Mg、P及びFe、微量なCr、Cd分が含まれている。この固液分離後の硫酸溶液から有価物を回収しない場合は、中和処理後、P、Cr、Cdなどが基準内であることを確認した後、海洋投棄してもよい。
<カルシウムフェライト生成工程>
本工程においては、回収した固体を乾燥後、酸化鉄主体のダストとカーボン粉とで造粒後に、焼成し、カルシウムフェライトを得る。
固液分離後に乾燥した石膏(以下、「硫酸改質スラグ」と記載する。)は、洗浄する必要は無い。次工程で、より低純度の酸化鉄(ダスト等)やカーボン粉の粒度分布内に合わせ込むため、混合し易い粒度に解砕することが有効である。
硫酸改質スラグは、酸化鉄及びカーボン粉と焼成することにより、製鉄工程に脱リン剤として有用なカルシウムフェライト(CF)を製造することができる。
脱リン剤として有用なカルシウムフェライト(CF)は、硫酸改質スラグとFeO分が50質量%以上の酸化鉄(ダスト等)とカーボン粉(例えば、コークドライクエンチ(CDQ)粉等、以下、コークス粉と記載する。)を、それぞれ60〜85質量%、30〜10質量%、20〜5質量%配合し、造粒後に900〜1,250℃で焼成(熱処理)し製造することができる。鉄鋼スラグの発生した製鉄所内で、リサイクル利用することが可能である。焼成は、各種焼成炉を使用することができるが、連続的に処理できることからロータリーキルンが好ましく、不純物等の混入を抑制できる等から外熱式のロータリーキルンがより好ましい。ここで、900℃より低いとCF化の反応が進まず、1,250℃より高いと溶融や焼成炉内壁との反応が起こるため、好ましくない。
コークス粉の添加により、石膏(CaSO・1/2HO)とCが反応し、900〜1,050℃の温度域で石膏が、CaO+CaS+SO+COに分解され、S含有率は14%まで低下する。さらに、1,050〜1,250℃の温度域で、以下の式で表される反応によりカルシウムフェライトが生成する;
2CaO+Fe→2CaO・Fe
2CaS+O+Fe→2CaO・Fe+SO
このとき、同時にS含有率は1〜2質量%まで低下する。
一方、硫酸改質スラグが60質量%未満ではCa源が不足し、FeとCが過剰となり、85質量%を超えると逆にCa源が過剰になり、FeとCが不足になるため、好ましくない。ダスト中のFe分が50%未満では、カルシウムフェライト化の反応効率と純度が低下するため好ましくない。
また、Fe分が50%以上のダストが30質量%を超えると、Fe分が過剰で、CaとCが不足し、10質量%未満では逆にFe分が不足し、CaとCが過剰となるため、好ましくない。さらに、コークス粉が20質量%を超えると、C分が過剰でCaとFeが不足し、5質量%未満では逆にC分が不足し、CaとFeが過剰となるため、好ましくない。
カルシウムフェライト生成工程において、アルミナ含有材料を添加することにより、カルシウムフェライト中のアルミナ含有量を3〜15質量%、より好ましくは2〜11質量%とすることにより、脱リン剤としての性能を向上させることもできる。
上記の焼成条件を満たさない場合であっても、硫酸改質スラグを酸化鉄(ダスト等)及びカーボン粉と混合し、焼成してカルシウムフェライトとし、焼結原料その他の製鉄工程に使用することもできる。
<金属水酸化物の濾別工程>
図1に各種金属イオンとpHの関係を示す。JOGMECの一般公開資料から引用した図である。各種金属イオンは、pHを調整することで、水酸化物として沈殿させることができる。
本願で、鉄鋼スラグの硫酸改質反応後の固液分離で得られる濾液は、有用な成分と鉄鋼製造プロセス上、また環境対策上、忌避すべき成分とを、それぞれ固有のpH域で水酸化物として個別に析出分離する。
次に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
<実施例1>
先ず、粒径範囲が30〜0mm、10〜0mm、5〜0mm、2〜0mmの各鉄鋼スラグ(高炉徐冷スラグ、転炉スラグ)を用意し、この鉄鋼スラグの2〜0mmをさらに粉砕後に分級し、粒径範囲が500μm未満、250μm未満、125μm未満、及び、粒径74μm未満も用意した。次の表1に製鋼スラグ粉末の成分組成を示す。
Figure 0006474304
また、10質量%、15質量%の各濃度の酸洗廃液の硫酸溶液、20質量%、30質量%、40質量%、50質量%の各濃度のコークス化成硫酸(前記コークス炉から排出されたS成分から製造された硫酸)を用意した。
製鉄所構内の浄水(所内で濾過、デスケーリングなどに使用)4〜8kgを反応槽(ステンレス(SUS316L)製、φ300×h300mm、内容積=約30リットル)に、表2に示す各粒度の高炉水砕及び転炉スラグを1〜4kgずつ投入、撹拌し、それぞれのpHが10以上のアルカリ性のスラリーとなったことを確認した後に、各硫酸を滴下、投入した。
SUS316L製の反応槽を用いる場合は、SUS316Lの脱不動態化pHを下回らないように各硫酸を滴下・投入した
硫酸滴下開始後、pH値が3〜3.5で安定化するまでの時間、そのときのスラリー濃度も合わせて表2に示す。遠心分離と吸引濾過を併用し、固液分離後に乾燥した硫酸改質スラグ重量、および、その固形物を蛍光X線により成分分析した石膏成分の割合も表2に示す。
Figure 0006474304
表2の濾液側をpH調整することによって、各pH域で得られた金属水酸化物の回収量を表3に示す。
Figure 0006474304
表2の固液分離、乾燥物に、それぞれダスト(FeO割合、50〜65質量%)とカーボン粉(純度80〜95質量%)を、表4に示す重量割合で加え、ブリケット成形並びにパン型ペレタイザーで転動造粒後、外熱式のロータリーキルンを用いて表4に示す熱処理温度、時間で焼成(熱処理)した後の目的物であるカルシウムフェライト(CF)の生成割合を合わせて表4に示す。
Figure 0006474304
本発明の実施例1によれば、高炉水砕や転炉の各スラグ種や30〜0.074mmまでの粒度に大きく依存することもなく、合わせて、硫酸改質反応中にpHが3未満になることがないため反応槽(例えば、SUS316L製でゴムライニングなし)が腐食されるおそれもなく、安定して石膏化度の高い硫酸改質スラグが得られた。
その改質スラグに、製鉄所内で発生するダストとカーボン(コークス粉)を適量添加、造粒し、ロータリーキルンで熱処理することで、熱処理後の固体中75質量%以上の高純度のカルシウムフェライトが得られた。そして、表4に記載した通り、3〜15質量%と適量のAl23が混在することによって溶銑中の脱リン性能が5〜20%向上することを確認した。一方、硫酸改質した際に生成する濾液からは、鉄鋼スラグ中のFe、Al、Cr、Pb、Cd、Mnなどの有用(Fe)および忌避(Al〜Cd)金属成分の個別分離も可能であった(表3)。
<実施例2>
表5〜7に、本発明の実施例2を示す。
Figure 0006474304
Figure 0006474304
Figure 0006474304
実施例2は、本発明の請求項1の要件を充足するが、固液分離工程で固液分離する前のスラリーの固形分の濃度がやや高く、乾燥後の石膏割合が低めであった。焼成後のカルシウムフェライト割合が低く、Al23の混在量も少ないため、脱リン剤としての機能を発現できなかった。また、硫酸改質した際に生成する濾液からは、鉄鋼スラグ中のFe、Al、Cr、Pb、Cd、Mnなどの有用(Fe)および忌避(Al〜Cd)金属成分の回収量も実施例の1/2〜1/10程度まで減少する結果となった。
しかし、このように作成したカルシウムフェライトでも、製鉄プロセスの焼結原料とすることにより、鉄鋼スラグに含まれるFe分とCa分を有効にリサイクルすることができる。
鉄鋼スラグから石膏成分を分離し、得られた石膏成分からカルシウムフェライトを製造し、脱リン剤又は製鉄原料として利用する鉄鋼スラグの処理に利用することができる。

Claims (7)

  1. 鉄鋼スラグを水中に投入することで、アルカリ性のスラリーとするスラリー化工程と、そのスラリーを撹拌し、pH値をモニタリングしながら、硫酸を投入し、且つ、その投入量を調整することによって、pH値を3.0〜3.5に維持する硫酸によるpH調整工程と、得られたpH調整後のスラリーを固液分離する固液分離工程と、回収した固体を乾燥後、当該固体を酸化鉄主体のダストとカーボン含有粉とで造粒後に焼成し、カルシウムフェライトを得るカルシウムフェライト生成工程と、を有することを特徴とする鉄鋼スラグの酸処理方法。
  2. 前記固液分離工程で固液分離する前の前記スラリーの固形分の濃度が10〜50質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
  3. 前記固液分離工程で、回収した乾燥後の固体が、70質量%以上の石膏を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
  4. 前記固液分離工程で分離された液体に対して、pHを段階的に上げ、各段階のpH域で析出する金属水酸化物を濾別する金属水酸化物の濾別工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
  5. 前記カルシウムフェライト生成工程において、前記カーボン含有粉がコークス粉であり、乾燥後の固体と、前記酸化鉄主体のダストと、前記コークス粉とを、それぞれ60〜85質量%、30〜10質量%、20〜5質量%の割合で配合して造粒後に、900〜1250℃で焼成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
  6. 前記焼成が、ロータリーキルンで行われることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
  7. 前記カルシウムフェライト生成工程において、アルミナ含有材料を前記カルシウムフェライト中のアルミナ含有量が3〜15質量%となるように添加することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の鉄鋼スラグの酸処理方法。
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