JP6473922B2 - 吊搬用天秤 - Google Patents
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Description
図9に示すように、例えば、建屋外からガスタービン130を建屋内に搬入して、下階から上階の据え付け箇所へ搬入する場合、2台の天井クレーンのクレーンスパン(2つの吊フック102の間隔)よりも搬入口110が狭いことがある。また、搬入口110から下方のガスタービン130をワイヤーで吊り上げる吊代では、上方への搬入移動の際、ワイヤーロープが長すぎて、吊代が天井高よりも長くなって搬入できないことがある。そこで次のような搬入作業が必要となっていた。
次いで、同図(B)に示すように、吊ビーム100でガスタービン130を所定高さまで吊上げる。
図10(B)に示すように、吊ビーム100を搬入口110まで降ろし、吊ビーム100に仮置き架台150上に積載したガスタービン130を短ワイヤー160で玉掛けする。吊ビーム100で吊上げてガスタービン130を地切りして吊ビーム100の水平出しを行う。
ガスタービンなどの重量物は、形状が長尺かつ複雑で重心位置が不明確なため、水平出しが難しい。そこで、従来、クレーンで吊り下げる際に天秤、吊りビームを用いて水平のバランスを取るようにしている。
特許文献2に開示の水平吊ビームは、天秤の中央部位に天秤軸方向に移動可能に設けられた主吊具と、天秤の両端部位に天秤軸方向に移動可能に設けられた一対の製品吊具とを備えている。製品吊具のいずれか一方に荷重計を付設して製品吊具に作用する張力を計測して、計測値に応じた主吊具を被吊上物の重心と天秤重心との合力位置に、主吊具を移動させて長尺な吊荷を水平に吊持するようにしている。
また、特許文献2の水平吊ビームは、主吊具で長尺重量物を吊下げているが、1基の主吊具では吊上げ重量制限以上の重量物に適用できないという問題があった。
吊りフックが掛合する固定ピンと、前記固定ピンを挿入するピン孔を有するスライドプレートからなり、前記固定ピンを回転自在に軸支可能な2つの係合手段と、
前記2つの係合手段の間隔を開けて、かつ前記固定ピンの軸心を同一直線上に取付可能として前記固定ピンの軸回りを揺動可能とし、前記吊りフックと前記スライドプレートを収納した天秤本体と、
前記係合手段に接続して、前記固定ピンの軸心を通る直線との直交方向に沿って前記天秤本体内の前記係合手段の取付位置を移動可能とし、前記天秤本体に吊荷を吊り下げたときに前記天秤本体の主面を水平位置に調整可能な重心調整手段と、
を備えたことを特徴とする吊搬用天秤を提供することにある。
縦及び横フレームを枠状に形成し、前記横フレームの上面に前記吊りフックを挿入可能な挿入孔を有し、
前記重量調整手段は、
前記横フレームの側面で、前記側面の長手方向に沿って前記係合手段が進退移動可能な開口部と、
前記開口部で前記長手方向に沿って前記係合手段を移動させて所定位置で固定する駆動部と、
からなることを特徴とする吊搬用天秤を提供することにある。
上記のような本発明によれば、吊りフックの係合手段を天秤本体の側部に配置しているため、吊りフックから天秤本体までの吊代又は吊フックから吊荷までの吊代を短くすることができる。
上記のような本発明によれば、天秤本体と吊荷の間の距離を短くできるため、クレーンで吊上げる天秤の吊代を短くすることができる。
上記のような本発明によれば、吊荷の重心上に吊フックの重心を合わせることができ、天秤の水平出しを容易に行うことができる。
図1は本発明の吊搬用天秤の構成概略を示す斜視図である。図2は吊搬用天秤の平面図である(吊上手段は省略)。
本発明の吊搬用天秤10は、天井クレーン、ホイスト、クレーン車などの吊上手段で吊上可能とし、吊荷14としては、ガスタービンなどの重量物、構造体を対象としている。本実施形態の吊搬用天秤10は、建屋の天井クレーンで、下階に搬入したガスタービンを上階の据え付け箇所へ搬入する作業を例にして、以下説明する。
[天秤本体20]
本実施形態の天秤本体20は、縦フレーム22と横フレーム24を枠組みして平面矩形状に形成したものである。なお、天秤本体20は、ビーム、棒状の部材ではなく、少なくとも吊荷14の上面と対向する主面、平面を備えたものであれば良く、平面矩形に限らず、平面視で多角形、楕円、円などの形状であって、板状、枠状であっても良い。
[係合手段30]
図3は吊搬用天秤の側面を上方から見た拡大図である。図4は吊フックを吊搬用天秤に取り付ける説明図である。
固定ピン32は、吊りフック13のピン孔13a及び後述するスライドプレート34a,34bのピン孔34cに挿入可能なピンである。
スライドプレート34a,34bは、ピン孔34cを間に挟んだ位置に、後述する駆動部44のチェーン側フック44dが連結するU字金具34eが形成されている。
スライドプレート34a,34bの上下辺には、後述する開口部42の上下辺を挟んでスライド可能なガイド34gが形成されている。
このような構成の2つの係合手段30は、固定ピン32の軸心が同一直線上となるように、換言するとピン孔34cの中心が一致するように取り付けられているため、天秤本体20を吊上手段で吊上げた場合、固定ピン32をスライドプレートで軸支することにより、固定ピン32の軸回りを天秤本体20が揺動自在に回転できる。
重心調整手段40は、横フレーム24の中央部に設けられ、横フレーム24の上面の挿入孔25から挿入された吊りフック13の両側面を挟むように形成されている。このような重心調整手段40の形成箇所は、横フレーム24の平面視で両端側よりも肉厚に形成されている。重心調整手段40は、開口部42と駆動部44を主な基本構成としている。
駆動部44は、開口部42の長手方向に沿ってスライドプレート34a,34bを進退移動可能に駆動させるものである。本実施形態では、駆動部44に一例としてチェーンブロックを用いている。本実施形態の駆動部44は、2基のチェーンブロック44a,44bを係合手段30の固定ピン32を中心として左右対称に取り付けている。チェーンブロック44a,44bの本体側フック44cは、横フレーム24の取付金具24aに連結させ、チェーン側フック44dは、スライドプレート34a,34bのU字金具34eに連結させている。このようなチェーンブロックを2つの吊りフック13の両側面に2基ずつ、合計8基取り付けている。
吊搬用天秤10は、天秤本体20を固定ピン32の軸回りを揺動可能に構成しているため、吊荷14の重心上に吊フック13が配置されていないと、天秤本体20が傾くことになる。このような場合、吊りフック13と係合する係合手段30の配置位置を重心調整手段40で移動させることにより、吊荷14の重心上に吊フック13を配置して、天秤本体20を水平に維持することができる。
なお、重心調整手段40は、地切りしたときの床面からの天秤本体20両端の高さを求める測距センサーの測定値が入力されて、この高低差から開口部42の長手方向に沿った係合手段30の移動量を算出可能な制御部を設けることもできる。
吊上手段50は吊荷14を吊り下げ可能なジャッキ52である。本実施形態の吊上手段50は、4基のジャッキ52のシリンダ本体を天秤本体20の下面に揺動自在に軸支させている。ジャッキ52の取り付け位置は、吊荷14の形状に応じて任意に変更可能である。例えば、ジャッキ52の軸心が、平面視で吊荷14のトラニオン部14a(突起)上に重なるように取り付けると良い。ジャッキ52のロッド先端にはトラニオン部14aの吊金具14bと連結可能な吊金具54を取り付けている。このような吊上手段50は、駆動源に油圧ユニット、空気圧ユニットなどを用いることができ、着脱式のホース(油、エア)を採用することができる。また、吊上手段50には延長したロッドの長さを計測可能なエンコーダ(不図示)を取り付けることができる。
図5はバランスウェイトの説明図である。バランスウェイト60は、天秤本体20の上面側に着脱可能に取り付ける錘である。本実施形態のバランスウェイトは、プレート状の錘であり、板面に一対の貫通孔62を設けている。バランスウェイト60の着脱箇所となる着脱部64は、バランスの取り易い縦フレーム22の中央部と、フレーム中心から最も離れた横フレーム24の両端に形成することができる。本実施形態では、一例として、着脱部64を3カ所設定している。バランスウェイト60の取り付け方法は、バランスウェイト60の貫通孔62を、着脱部64に設けた一対の棒状の固定サポート66に貫通孔62を嵌め合わせて天秤本体20上に載置することができる。
本実施形態では、一例として、係合手段30の開口部42中心からの移動量が5mmに対して、重量26kgのバランスウェイトを1枚取り付けている。バランスウェイトは、作業員が容易に持ち運びできる重量に設定されている。これにより、空の天秤本体20を水平に維持することができ、安定したクレーンによる搬送作業を行うことができる。
上記構成による本発明の吊搬用天秤10の作用について以下説明する。
図6は本発明の吊搬用天秤を用いた搬入作業の処理フロー図である。
図7,図8は本発明の吊搬用天秤を用いた既設の重量物の搬入作業の説明図1〜2である。
図7(A)に示すように、吊荷14を建屋下階に搬入する(ステップ1)。吊荷14となるガスタービンを台車15に搭載し、台車15で建屋下階の搬入口16下方まで搬送する。
吊荷14のトラニオン部14aに吊金具14bを取り付ける(ステップ3)。
図8(A)に示すように、天井クレーンで吊搬用天秤10を所定高さまで吊上げて地切りする(ステップ6)。
ついで吊搬用天秤10を天井クレーンで搬入口16の受台17に仮置きする(ステップ9)。
係合手段30の取付位置を調整した後、再度、ステップ6以下の工程を行う。
一方、高低差が±100mmよりも小さいときは、天秤本体20の主面が水平を維持していると判断する。
ジャッキ52のロッドを縮める(ステップ13)。これにより吊フック13と吊荷14の吊代を短く設定できる。
吊上手段50のホースを切り離す(ステップ14)。
天井クレーンで吊荷14を据付箇所へ搬送する(ステップ15)。
Claims (5)
- 吊りフックが掛合する固定ピンと、前記固定ピンを挿入するピン孔を有するスライドプレートからなり、前記固定ピンを回転自在に軸支可能な2つの係合手段と、
前記2つの係合手段の間隔を開けて、かつ前記固定ピンの軸心を同一直線上に取付可能として前記固定ピンの軸回りを揺動可能とし、前記吊りフックと前記スライドプレートを収納した天秤本体と、
前記係合手段に接続して、前記固定ピンの軸心を通る直線との直交方向に沿って前記天秤本体内の前記係合手段の取付位置を移動可能とし、前記天秤本体に吊荷を吊り下げたときに前記天秤本体の主面を水平位置に調整可能な重心調整手段と、
を備えたことを特徴とする吊搬用天秤。 - 前記天秤本体は、縦及び横フレームを枠状に形成し、前記横フレームの上面に前記吊りフックを挿入可能な挿入孔を有し、
前記重心調整手段は、
前記横フレームの側面で、前記側面の長手方向に沿って前記係合手段が進退移動可能な開口部と、
前記開口部で前記長手方向に沿って前記係合手段を移動させて所定位置で固定する駆動部と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の吊搬用天秤。 - 前記天秤本体は、地切りしたときの床面からの前記天秤本体両端の高低差から算出した前記天秤本体の主面を水平位置に保持する重量のバランスウェイトを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の吊搬用天秤。
- 前記天秤本体は、下面の前記吊荷へ向けて進退移動して吊上可能な吊上手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の吊搬用天秤。
- 前記重心調整手段は、地切りしたときの床面から前記天秤本体両端の高さを求め、前記両端の高低差から前記側面の長手方向に沿った前記天秤本体の中心からの前記係合手段の移動量を算出可能なことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の吊搬用天秤。
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