JP6473855B1 - 熟成卵黄、それを用いた加工食品及び熟成卵黄の製造方法 - Google Patents

熟成卵黄、それを用いた加工食品及び熟成卵黄の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の熟成卵黄は、カビによる熟成卵黄であって、食塩含有量が、1質量%以上12質量%以下であり、トリクロロ酢酸溶液による処理を含む所定の方法で測定された、加塩卵黄に対する前記熟成卵黄の吸光度が1.5倍以上15.0倍以下である。本発明により、卵黄由来の旨味とコクを有し、食味の良い熟成卵黄及びその製造方法を提供する。

Description

本発明は、旨味とコクを有し、食味の良い熟成卵黄、それを用いた加工食品及び熟成卵黄の製造方法に関する。
卵黄は、特有のまろやかな風味やコクを有しており、卵かけご飯のように生で食されたり、食品の素材や具材等としても用いられている。
一方、卵黄の風味やコクをより引き立たせるため、生卵黄を加工した加工卵黄が知られている。
例えば、特許文献1では、所定量のナトリウムを含む卵黄含有液を加熱し、冷凍して製される、粘度10〜150Pa・s(品温20℃)の加工卵黄含有液が記載されている。
特許文献2では、卵黄、食用油脂及び水を混合した乳化液を、所定の昇温速度で加熱し、最高加熱温度で5分未満保持して得られた卵黄含有液が記載されている。
特開2012−105641号公報 特開2015−96035号公報
特許文献1及び2に記載の加工卵黄含有液及び卵黄含有液は、特定の食品の素材や具材に用いられることを目的とするものであり、様々な食品に加えられた場合や、そのまま食した場合に、旨味やコク、おいしさを十分に発揮できるものではなかった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、旨味とコクを有し、食味の良い熟成卵黄、それを用いた加工食品及び熟成卵黄の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、カビ、特に麹を用いて卵黄を熟成させることで、生卵黄のようなまろやかな風味を有するとともに、特有の旨味とコクを有し、そのまま食しても、食品の素材や具材等に用いても食味の良い熟成卵黄が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)カビによる熟成卵黄であって、
食塩含有量が、1質量%以上12質量%以下であり、
下記の方法で測定した加塩卵黄に対する前記熟成卵黄の吸光度が1.5倍以上15.0倍以下である
熟成卵黄。
<熟成卵黄と加塩卵黄の吸光度の測定方法>
(1)前記熟成卵黄及び前記熟成卵黄と同一の食塩濃度(質量%)の加塩卵黄を、それぞれ0.5g精秤し、精秤された前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄にイオン交換水を20mLずつ添加し、攪拌して均一に懸濁させる。
(2)10質量%トリクロロ酢酸溶液を前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄に10mLずつ添加し、再び撹拌して均一に懸濁させた後、30分静置する。
(3)静置後の前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄を3500rpmで10分間遠心分離し、さらに遠心分離後の前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄を孔径0.45μmフィルターで濾過してそれぞれ上清を得る。
(4)分光光度計により、前記熟成卵黄と前記加塩卵黄それぞれの上清の280nmにおける吸光度を測定し、測定された値をそれぞれ前記熟成卵黄の吸光度、前記加塩卵黄の吸光度とし、前記熟成卵黄の吸光度を前記加塩卵黄の吸光度で除することにより、加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度を算出する。
(2)(1)に記載の熟成卵黄であって、
麹を含む
熟成卵黄。
(3)(1)又は(2)に記載の熟成卵黄であって、
前記麹が、麹菌を卵で培養した卵麹である
熟成卵黄。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の熟成卵黄であって、
前記熟成卵黄中に含まれる遊離アミノ酸としてのグルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びリジン並びにこれらの塩の含有量が、タンパク質100g当たり2g以上7g以下である
熟成卵黄。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の熟成卵黄であって、
pHが4.5以上7.0以下である
熟成卵黄。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の熟成卵黄であって、
品温20℃にて測定した粘度が、1Pa・S以上500Pa・S以下である
熟成卵黄。
(7)(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の熟成卵黄であって、
チグリンアルデヒド、2−ペンチルフラン、メチルピラジン、トランス−2−(2−ペンテニル)フラン、2,4−ヘプタジエナール、メチオナール、フェニルアセトアルデヒドから選ばれる少なくとも1種以上の香気成分を含有する
熟成卵黄。
(8)(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の熟成卵黄であって、
タンパク質含有量が16質量%以下である
熟成卵黄。
(9)(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の熟成卵黄を用いた
加工食品。
(10)カビと、卵黄と、食塩と、を混合した混合物を製する工程と、
前記混合物を40℃以上65℃以下で加熱しながら熟成させることで、食塩含有量が1質量%以上12質量%以下である熟成卵黄を製する工程と、を含む
熟成卵黄の製造方法。
(11)麹菌を培養した麹と、卵黄と、食塩と、を混合した混合物を製する工程と、
前記混合物を40℃以上65℃以下で加熱しながら熟成させることで、食塩含有量が1質量%以上12質量%以下である熟成卵黄を製する工程と、を含む
熟成卵黄の製造方法。
(12)(11)に記載の熟成卵黄の製造方法であって、
前記麹が、麹菌を卵で培養した卵麹である
熟成卵黄の製造方法、
である。
本発明により、旨味とコクを有し、食味の良い熟成卵黄、それを用いた加工食品及び熟成卵黄の製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<熟成卵黄>
本発明の熟成卵黄とは、麹等を用いて、カビにより卵黄を熟成させたものをいう。卵黄を熟成させることで、後述するように、卵黄成分の分解物が豊富に得られる。このため、本発明の熟成卵黄は、卵黄成分の分解物として遊離アミノ酸を含み、卵黄特有の風味に加えてこれらに由来する旨味とコクを有する。これにより、卵黄の風味や分解物由来の旨味やコクが混ざり合った良好な味わいを有する。
本発明の熟成卵黄は、例えば、生卵黄又は半生卵黄のような滑らかさを有し、黄色から黄褐色の色味を有する。
本発明の熟成卵黄は、調理せずにそのまま食すことができる。また、生卵黄のように米飯や麺類、サラダ等に加えたり、卵料理や菓子等の他の食品の素材や具材として用いることもできる。
また、本発明の熟成卵黄は、本発明の効果を損なわない範囲で、凍結後解凍されたもの、カビ由来の酵素を失活するために加熱されたもの(例えば75℃以上)、カビを殺菌し死菌とするために加熱されたもの等を含むものとする。
<カビによる熟成卵黄>
本発明のカビによる熟成卵黄とは、カビの生死にかかわらず、カビの生成した酵素により卵黄が熟成されたものをいうが、特有の旨味とコクを強める観点から、カビは生菌であることが好ましい。
本発明のカビは、食品の発酵や熟成に通常用いられる食用のカビであり、熟成卵黄において全部又は一部が死滅していてもよい。具体的には、カビによる熟成卵黄とは、主にアスペルギルス(Aspergillus)属に分類される麹菌が培養された麹や、ペニシリウム(Penicillium)属に属する青カビ及び白カビが繁殖しているチーズ等を卵黄に加えて熟成させたもの等が挙げられる。
<卵黄>
本発明の卵黄は、一般的に流通している卵黄であればいずれのものでもよく、生卵黄又は生卵黄に所定の処理を行ったもの等が挙げられる。所定の処理の例としては、食塩や糖分等の添加、低温殺菌等の殺菌処理、冷凍及び解凍、乾燥及び水戻し、脱糖処理等が挙げられる。これらの処理は、一種のみ行ってもよいし、二種以上を組み合わせて行ってもよい。
本発明の卵黄は、ホスビチン、ビテロゲニン、リベチン等の卵黄タンパク質や、トリアシルグリセロール、リン脂質等の脂質を含む。卵黄に含まれる脂質を、以下、卵黄脂質と称する。
<卵黄タンパク質分解物>
本発明の熟成卵黄は、卵黄タンパク質分解物を豊富に含む。
本発明の卵黄タンパク質分解物とは、カビに含まれるタンパク質分解酵素の作用によって卵黄タンパク質が分解されて得られた成分をいう。卵黄タンパク質分解物としては、遊離アミノ酸や、ジペプチド、トリペプチド等のペプチド等が挙げられる。一部の遊離アミノ酸やペプチドは、旨味やコクを有することが知られている。本発明の熟成卵黄は、これらの卵黄タンパク質分解物が混ざり合うことで、奥深い味わいを有する。
<熟成卵黄に含まれる遊離アミノ酸>
本発明の遊離アミノ酸とは、タンパク質やペプチドを構成せず、遊離した状態で存在するアミノ酸であって、食品として摂取し得るものをいう。本発明の遊離アミノ酸は、卵黄タンパク質が酵素の作用により分解されたアミノ酸を含む。
上記遊離アミノ酸としては、例えば卵黄タンパク質を構成する、アスパラギン酸(Asp)、スレオニン(Thr)、アスパラギン(Asn)、セリン(Ser)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、プロリン(Pro)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、シスチン(Cys)、メチオニン(Met)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、トリプトファン(Trp)、及びアルギニン(Arg)等が挙げられる。
本発明の遊離アミノ酸は、L体に限られず、光学異性体であるD体、又はDL体でもよい。
また、本発明の遊離アミノ酸は、食品上許容される遊離アミノ酸の塩でもよい。遊離アミノ酸の塩としては、例えば、無機塩基との塩及び無機酸との塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩等が挙げられる。無機酸との塩としては、例えば、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が挙げられる。
<遊離アミノ酸/グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びリジン並びにこれらの塩>
本発明の遊離アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びリジン並びにこれらの塩を含む。例えば、グルタミン酸及びアスパラギン酸は、特有の旨みを有する。例えば、バリン、ロイシン及びリジンは、適量含有されることで、苦味とともにコクを付与し、味に深みを持たせることができる。上記アミノ酸が所定の含有量の範囲で複合的に混ざることで、奥深い味わいを得ることができる。
<グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシンおよびリジン並びにこれらの塩の含有量>
さらに、本発明において、遊離アミノ酸としてのグルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びリジン並びにこれらの塩の含有量が、タンパク質100g当たり2g以上7g以下であり、さらに2g以上6g以下、2g以上5g以下であるとよい。これにより、グルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びリジン等を十分に含み、旨味とコクを高めることができるとともに、過剰な遊離アミノ酸による苦みやえぐみを抑えることができる。
また、旨味に関するアミノ酸であるグルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量は、タンパク質100g当たり0.8g以上2.5g以下であるとよい。
また、苦味やコクに関するアミノ酸であるバリン及びロイシンの含有量は、タンパク質100g当たり0.7g以上2.5g以下であるとよい。
遊離アミノ酸の含有量は、通常に用いられる測定法によって求めればよく、例えば、後述する実施例1,2及び比較例のように、アミノ酸自動分析計を用いて測定することができる。
なお、本発明のタンパク質100g当たりの遊離アミノ酸の合計の含有量は、2.5g以上10g以下であり、3g以上9.5g以下であるとよく、さらに4g以上9.5g以下であるとよい。
<加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度>
本発明では、遊離アミノ酸及びペプチドを含む卵黄タンパク質分解物全体の含有量の指標として、下記方法により測定及び算出された、加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度の値を用いる。
本発明の吸光度とは、加塩卵黄及び熟成卵黄にそれぞれTCA(トリクロロ酢酸)溶液を加えて調製された溶液の、280nmにおける吸光度を言い、詳細には下記測定方法で測定された吸光度を言う。加塩卵黄及び熟成卵黄等のサンプルにTCA溶液を加えることで、サンプル内のタンパク質を沈殿させることができ、例えば、アミノ酸、ペプチド、アミン、アンモニア、尿素等の非タンパク態窒素化合物を含む上清が得られる。この上清の吸光度を測定することで、遊離アミノ酸を含む卵黄タンパク質分解物全体を定量化することができる。
本発明の加塩卵黄とは、熟成卵黄の対照として用いられるものであって、液卵黄に熟成卵黄と同一の含有量の食塩のみを加えたものをいい、麹等のカビが添加されていないものをいう。
液卵黄とは、鶏等の鳥類の卵を割卵し卵白を分離したものをいい、割卵及び分離後、所定期間冷蔵保存したもの並びに凍結後解凍させたものを含むものとする。
<加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度の測定方法>
(1)前記熟成卵黄と、前記熟成卵黄と同一の食塩濃度(質量%)の加塩卵黄を、それぞれ0.5g精秤し、精秤された前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄にイオン交換水を20mLずつ添加し、攪拌して均一に懸濁させる。
(2)10質量%TCA溶液を前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄に10mLずつ添加し、再び撹拌して均一に懸濁させた後、30分静置する。
(3)静置後の前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄を3500rpmで10分間遠心分離し、さらに遠心分離後の前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄を孔径0.45μmフィルターで濾過してそれぞれ上清を得る。
(4)分光光度計により、前記熟成卵黄と前記加塩卵黄それぞれの上清の280nmにおける吸光度を測定し、測定された値をそれぞれ前記熟成卵黄の吸光度、前記加塩卵黄の吸光度とし、前記熟成卵黄の吸光度を前記加塩卵黄の吸光度で除することにより、加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度を算出する。
このように加塩卵黄を対照として吸光度を求めることで、熟成により増加した卵黄タンパク質分解物を定量的に求めることができる。
なお、上清を分離した後、限外濾過等の処理を行うことで、所定範囲の分子量(例えば分子量3000以下)の画分の吸光度及び割合を求めることもできる。
<加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度の範囲>
本発明の熟成卵黄の上記吸光度は、加塩卵黄の当該吸光度に対して1.5倍以上15.0倍以下であり、さらに1.5倍以上10.0倍以下であるとよく、さらに1.5倍以上5.0倍以下であるとよい。
上記吸光度が1.5倍以上であることで、卵黄タンパク質分解物を豊富に含む熟成卵黄が得られる。例えば、ジペプチド、トリペプチド等のペプチドも、旨味やコクを有することが知られている。このため、上記アミノ酸に加えて、ペプチドを豊富に含むことで、熟成卵黄の旨味やコクをより一層高めることができる。
上記吸光度が15.0倍以下であることで、過剰な卵黄タンパク質分解物による苦みやえぐみを抑えることができる。
なお、本発明の熟成卵黄の上記上清のうち、分子量3000以下の画分における吸光度は、加塩卵黄の当該吸光度に対して1.2倍以上5.0倍以下であるとよく、さらに1.4倍以上3.0倍以下であるとよい。これにより、分子量の低いアミノ酸やペプチドを豊富に含む熟成卵黄とすることができ、旨味やコクをさらに高めることができる。
<熟成卵黄の食塩含有量>
さらに、本発明の熟成卵黄は、所定範囲の食塩を含有する。
本発明の熟成卵黄の食塩含有量は、1質量%以上12質量%以下であり、2質量%以上10質量%以下であるとよく、さらに3質量%以上8質量%以下であるとよい。
食塩含有量が12質量%以下であることで、塩味が抑えられ、卵黄本来の風味や、卵黄タンパク質分解物由来の旨味、コク等を引き立たせることができる。また、そのまま食した場合の食塩摂取量を抑えられるとともに、他の食品と組み合わせたときにも総食塩含有量を調整しやすくなる。
食塩含有量が1質量%以上であることで、保存性に優れた熟成卵黄が得られ、流通の観点からも好ましい。また、熟成に際し上記含有量となるように食塩を添加することで、卵黄タンパク質の酵素分解が促進され、比較的短い熟成期間で所望の熟成卵黄を得ることができる。
<熟成卵黄の食塩含有量の測定方法>
本発明の熟成卵黄の食塩含有量の値は、モール法を用いて測定した値である。
<熟成卵黄のpH>
本発明の熟成卵黄のpHは、4.5以上7.0以下であるとよく、5.0以上6.5以下あるとよい。熟成卵黄のpHを4.5以上7.0以下とすることで、酸味が抑えられ、卵黄特有のまろやかな風味を感じやすくなる。さらに、pHを5.0以上6.5以下とすることで、熟成卵黄のpHを通常の卵黄のpH(6〜7程度)により近づけることができ、卵黄本来のまろやかな風味の熟成卵黄が特に得られやすくなる。
<熟成卵黄のpHの測定方法>
本発明の熟成卵黄のpHの値は、1気圧、品温20℃とした時に、pH測定器(株式会社堀場製作所製 卓上型pHメータF−72)を用いて測定した値である。
<熟成卵黄の粘度>
本発明の熟成卵黄の粘度は、品温20℃で測定した粘度であって、1Pa・S以上500Pa・S以下であるとよく、1.5Pa・S以上400Pa・S以下であるとよく、1.5Pa・S以上100Pa・S以下であるとよく、さらに1.5Pa・S以上30Pa・S以下であるとよりよい。本発明の粘度は、BH型粘度計で測定する。ローターは例えばNo.5などを適宜選択し、回転数も適宜選択できる。これにより、生卵黄又は半生卵黄のような粘性やまろやかさを感じやすく、そのままでも食しやすい、舌触りの良好な熟成卵黄が得られる。
<熟成卵黄の卵黄脂質酸化物>
本発明の熟成卵黄では、卵黄脂質が酸化された卵黄脂質酸化物の生成量が少ない。
ここで、卵黄脂質の酸化メカニズムについて説明する。例えば、不飽和脂肪酸の場合、飽和結合の水素引抜反応により脂質ラジカルが生じて自動酸化反応が開始され過酸化物(1次酸化生成物)が生成される。また、1次酸化生成物である過酸化物が重合したり、反応部位において炭素鎖が切れることでカルボニル化合物等の2次酸化生成物が生じる。さらに、2次酸化生成物であるカルボニル化合物のうち、アルデヒド類が周囲のタンパク質等のアミノ基と反応することにより(アミノカルボニル反応)、3次酸化生成物(アミノカルボニル反応生成物)が生じる。この3次酸化生成物は、風味の劣化及び退色等の性状の変化の原因物質の一つである。
本発明の熟成卵黄では、上述の通り、卵黄タンパク質を十分に分解するため高いプロテアーゼ活性を有する。プロテアーゼは、旨味改善作用を有することに加え、酸化損傷を受けた分子を分解するという酸化防御機構を有し、非常に優れた抗酸化活性を有する。このため、本願発明の熟成卵黄では、卵黄脂質の酸化が抑制され、収斂味等を呈する3次酸化生成物(卵黄脂質酸化物)の生成が少なくなり、より食味の良い熟成卵黄が得られる。
<卵黄脂質酸化物の評価/相対蛍光強度>
本願発明の熟成卵黄における卵黄脂質酸化物の生成量を評価するために、相対蛍光強度の値を測定することができる。相対蛍光強度は、3次酸化生成物(アミノカルボニル反応生成物)の含量を示す指標となる。相対蛍光強度の測定方法については、後述する。
相対蛍光強度は、1.5×10−2以上5.0×10−2以下であるとよく、さらに2.0×10−2以上4.0以下×10−2であるとよい。これにより、卵黄脂質の酸化が抑制され、収斂味が抑えられ旨味やコクの強い熟成卵黄を得ることができる。
<熟成卵黄に含まれる香気成分>
本発明の熟成卵黄は、チグリンアルデヒド、2−ペンチルフラン、メチルピラジン、トランス−2−(2−ペンテニル)フラン、2,4−ヘプタジエナール、メチオナール、フェニルアセトアルデヒドから選ばれる少なくとも1種以上の香気成分を含有してもよい。
上記の香気成分は、主に、熟成卵黄が熟成時に加熱されることで生成される。上記の香気成分を含有することで、卵黄が適度に加熱された香ばしい風味を付与することができる。
本発明の香気成分は、例えば固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ分析質量分析法で測定することができる。
<熟成卵黄のタンパク質含有量>
本発明の熟成卵黄では、卵黄タンパク質が十分に分解されているため、通常の卵黄と比較して卵黄タンパク質の含有量が少なくてもよい。
本発明の熟成卵黄中のタンパク質含有量は、16質量%以下であるとよく、15.5質量%以下であるとよい。これにより、卵黄タンパク質分解物を豊富に含む熟成卵黄が得られる。
<熟成卵黄のタンパク質含有量の測定方法>
本発明の熟成卵黄のタンパク質含有量は、ケルダール法により測定した値である。
<加工食品>
本発明の加工食品は、上記熟成卵黄を用いることを特徴とする。加工食品の形態は、特に限定するものではないが、例えば、マヨネーズ、タルタルソース、ドレッシング、バーベキューソース等の調味料やカルボナーラソース等のパスタ用ソース、玉子かけご飯用のソース、タマゴとじ、スプレッド等の卵加工品、玉子かけご飯用のソース、ポテトサラダ、マカロニサラダ等のサラダ等が挙げられる。
特に、本発明の効果を奏しやすいことから、マヨネーズ、カルボナーラソース等の卵黄を含む加工食品に用いるとよい。
<その他の添加物>
本発明の熟成卵黄には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、増粘多糖類、ショ糖、乳糖、デキストリン等を添加することができる。
<熟成卵黄の製造方法>
本発明の熟成卵黄の製造方法は、カビと、卵黄と、食塩と、を混合した混合物を製する工程と、上記混合物を40℃以上65℃以下で加熱しながら熟成させることで、食塩含有量が1質量%以上12質量%以下である熟成卵黄を製する工程と、を含む。以下具体的に説明する。
<混合物を製する工程>
まず、カビと、卵黄と、食塩と、を常法にしたがって均一に混合し、混合物を製する。
混合物中の各材料の割合は、上記熟成卵黄を製することができれば特に限定されない。
例えば、卵黄の含有量は、50質量%以上95質量%以下であるとよく、さらに80質量%以上90質量%以下であるとよい。
食塩の含有量は、熟成卵黄が上記食塩含有量となるように適宜調整され、例えば1質量%以上10質量%以下であるとよく、さらに1質量%以上6質量%以下であるとよい。
また、本発明の混合物には、上記各材料に加え、所定量の水が加えられてもよい。
本発明の混合物は、例えば、ニーダー、ミキサー等の一般の撹拌機を用いて攪拌してもよい。これにより、各材料が均一に混ざり合い、熟成を進行させることができる。
<混合物に含まれるカビ>
本発明の混合物に含まれるカビとしては、卵黄タンパク質分解酵素を生成することができる麹菌、青カビ、白カビ等が挙げられる。麹菌については、後述する麹として混合される。
麹菌としては、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)やアスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)等に代表される黄麹菌、アスペルギルス・リューチュウエンシス(Aspergillus luchuensis)等に代表される黒麹菌及びその変異種が挙げられる。
青カビ及び白カビとしては、ペニシリウム(Penicillium)属に属する食用のカビが挙げられる。
<混合物に含まれる麹>
本発明の混合物は、麹と、卵黄と、食塩と、を混合して製することができる。
本発明の麹とは、卵や豆などのタンパク質原料や、米などの炭水化物原料等の培地に上記麹菌を接種して、培養することで得られたものをいう。
本発明で用いられる麹として、例えば、麹菌を卵で培養した卵麹や、麹菌を米で培養した米麹、麹菌を大豆で培養した大豆麹、麹菌を麦で培養した麦麹等を用いることができる。麹菌は、培地の種類や培養条件に応じた酵素を選択的に生成する。このため、各麹が異なる酵素群を含有することとなり、異なる麹を用いることで、風味や味わいの異なる熟成卵黄を得ることができる。
本発明では、卵黄由来の旨味とコクを有する熟成卵黄が得られやすいことから、卵麹や米麹を用いるとよく、さらに卵麹を用いるとよい。卵麹に含まれる麹菌は、卵黄タンパク質を分解するのに適したタンパク質分解酵素を多く生成することができる。すなわち、卵麹を用いることで、卵黄タンパク質が効率よく分解され、熟成を進行させることができる。
麹の含有量は、例えば卵麹を用いる場合、1質量%以上10質量%以下であるとよく、さらに1質量%以上5質量%以下であるとよい。
<混合物に含まれる他の材料>
なお、本発明の混合物を製する工程においては、上述した各材料の他に、本発明の効果を損なわない範囲で他の材料を適宜選択し添加することができる。
また、上記混合物中に他の炭素源又は窒素源や、無機塩類を併用して添加し、酵素活性を増強させてもよい。
また、pH調整剤、防腐剤等の添加物を適宜添加してもよい。
<熟成卵黄を製する工程>
上記混合物を製する工程に続いて、上記混合物を40℃以上65℃以下で加熱しながら熟成させることで、食塩含有量が1質量%以上12質量%以下である熟成卵黄を製する。
<熟成>
本発明の熟成とは、カビにより生成される酵素の作用により、卵黄が腐敗することなく、卵黄タンパク質等の卵黄成分が分解され、卵黄タンパク質分解物等が生成されることをいう。これにより、カビの種類に応じた多種多様な卵黄タンパク質分解物等が生成され、複雑な味わいを有する熟成卵黄が得られる。
本発明における熟成は、麹菌等のカビが死滅した状態で行われてもよいが、少なくとも一部が生存したままの状態が好ましい。これにより、特有の旨味とコクを強めることができる。
<熟成温度>
本発明の熟成温度は、40℃以上65℃以下であり、45℃以上60℃以下であるとよく、さらに50℃以上60℃以下であるとよい。
40℃以上とすることで、酵素を活性化させることができる。また、加熱により上記香気成分が生成されることで、香ばしい風味を有する熟成卵黄が得られる。さらに、麹菌以外の雑菌に対してもある程度の殺菌効果が得られるため、加工製造時の汚染リスクが低減される。
65℃以下とすることで、卵黄タンパク質の加熱変性を抑制でき、生卵黄に近い滑らかな感じを保持することができる。また、卵黄脂質酸化物の生成を抑制し、収斂味を抑えることができる。
本発明の熟成温度は、後述する熟成時間の間ほぼ一定に維持される温度であるが、上記範囲内で上昇及び下降してもよい。
また、上記熟成温度で混合物を加熱しながら熟成させることで、酵素の至適温度となり分解速度を向上させることができるため、熟成期間を短縮することができる。さらに、熟成期間が短縮されることで、保存性の観点から食塩の添加量を低減できるため、過剰な塩味により旨味やコクが損なわれることを防止することができる。
<熟成時間>
本発明の熟成時間は、24時間以上300時間以下であるとよく、24時間以上240時間以下であるとよく、48時間以上192時間以下であるとよい。
熟成時間を24時間以上300時間以下とすることで、遊離アミノ酸の含有量及び上記吸光度の値を上述の範囲とすることができる。さらに、熟成時間を240時間以下、192時間以下とすることで、卵黄脂質酸化物の生成を抑制し、収斂味を抑えることができる。
<本発明の作用効果>
以上のように、本発明の熟成卵黄は、麹等のカビを加えた卵黄を40℃以上65℃以下で加熱しながら熟成させることで製造される。このような温度範囲で熟成させることで、麹に含まれるタンパク質分解酵素等を活性化させ、卵黄タンパク質を十分に分解させることができる。
これにより本発明の熟成卵黄は、TCA溶液による処理における上清の吸光度が、加塩卵黄に対して1.5倍以上15.0倍以下となる。すなわち、本発明の熟成卵黄は、遊離アミノ酸、ペプチド等の様な卵黄タンパク質分解物に由来する旨味やコクを有する。さらに、これらが卵黄本来の風味と混ざり合い、深みのある味わいの熟成卵黄を得ることができる。
さらに、本発明の熟成卵黄は、1質量%以上12質量%以下の食塩を含有する。これにより、流通に必要な保存性を確保できるとともに、塩味を抑え、熟成卵黄本来の味わいを引き立たせることができる。したがって、卵黄タンパク質分解物由来の旨味やコクに加え、卵黄本来の旨味や風味も引き出された食味の良い熟成卵黄を得ることができる。
このように、本発明によれば、そのまま食しても深みのある味わいを有し、他の食品の素材や具材として用いても特有の風味やコク、卵黄特有のまろやかさを呈する熟成卵黄を得ることができる。
以下、本発明を実施例等に基づき、さらに説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
<試験例1:卵黄タンパク質分解物の評価>
試験例1として、熟成卵黄において卵黄タンパク質分解物が生成されているか確認するため、実施例1,2及び比較例を用いて、タンパク含有量の測定、遊離アミノ酸の組成分析及びTCA溶液による処理における上清の吸光度の測定等を行った。
[実施例1]
まず、ゆで卵をすり潰して乾燥させた乾燥全卵(製品名:凍結クックドエッグパウダー、キユーピー株式会社製、以下CEPと称する)を水で溶き、水分含量30%としたものに、焼酎用麹菌Aspergillus luchuensis(株式会社樋口松之助商店製)を接種し、32℃〜34℃で約42時間培養を行い、卵麹を得た。
続いて、液卵黄86質量部に対し、食塩4質量部と卵麹10質量部を混合し、55℃の恒温器中で3日間熟成させ、−30℃の冷凍庫で一旦凍結した後に解凍し、実施例1の熟成卵黄を得た。なお、得られた熟成卵黄を4℃の低温室で保管していたものを、後述する各分析に用いた。
得られた熟成卵黄の食塩含有量は4質量%であった。
[実施例2]
実施例1の焼酎用麹菌Aspergillus luchuensisを味噌用麹菌(株式会社樋口松之助商店製)に変更した以外は、実施例1と同様に実施例2の熟成卵黄を製した。
得られた熟成卵黄の食塩含有量は4質量%であった。
[比較例1]
液卵黄86質量部に対し、食塩4質量部と乾燥全卵(CEP)10質量部を混合し、CEP入り加塩卵黄を得た(比較例1)。すなわち、比較例1の加塩卵黄は、実施例の卵麹に替えてCEPを用い、実施例と同様に55℃の恒温器中で3日間維持したものである。
得られたCEP入り加塩卵黄の食塩含有量は4質量%であった。
[タンパク質含有量の測定]
実施例1,2及び比較例1のタンパク質含有量は、ケルダール法により窒素を定量し、タンパク質換算係数6.25を乗じて算出した。
算出結果を表1に示す。同表に示すように、実施例1,2のサンプル100g当たりのタンパク質(窒素定量換算)の含有量は、15.0gであった。これに対して、比較例1のサンプル100g当たりのタンパク質の含有量は、17.1gであった。
Figure 0006473855
[遊離アミノ酸の組成分析]
続いて、卵黄タンパク質が分解されて遊離アミノ酸が生成されていることを確認するため、実施例1,2及び比較例1のサンプル100g当たりの遊離アミノ酸量をアミノ酸自動分析機により測定した。各サンプルの遊離アミノ酸量及び上記測定したタンパク質含有量の値を用いて、実施例1,2及び比較例1のサンプルのタンパク質100gあたりの各遊離アミノ酸量を算出した結果を表2に示す。同表に示すように、実施例1,2のサンプルの遊離アミノ酸の合計含有量は、それぞれタンパク質100gあたり9640mg、5487mgであった。これに対して、比較例1の遊離アミノ酸の合計含有量は、タンパク質100gあたり2181mgであり、実施例1,2よりも少なかった。
さらに、実施例1,2のサンプルのGlu,Asp,Val,Leu,Lysの合計含有量が、それぞれタンパク質100gあたり4160mg、2307mgであった。これに対して、比較例1では、Glu,Asp,Val,Leu,Lysの合計含有量がタンパク質100gあたり924mgであり、やはり実施例1,2よりも少なかった。
これにより、実施例1,2は、比較例1と比較して、Glu,Asp,Val,Leu,Lysを含む遊離アミノ酸を豊富に含むことが確認された。
Figure 0006473855
[TCA溶液による処理及び吸光度の測定]
続いて、遊離アミノ酸以外の卵黄タンパク質分解物についても確認するため、実施例1,2及び比較例1並びに対照である加塩卵黄のサンプルに対してTCA溶液による処理を行ってタンパク質を沈殿させ、上清の波長280nmの吸光度を測定した。なお、加塩卵黄として、液卵黄に、麹やCEPを添加せず食塩のみを4質量%となるように添加したものを準備した。
まず、各サンプルからそれぞれ0.5gを精秤し、イオン交換水を20mLずつ添加した。これらをボルテックスミキサーで撹拌後、10質量%TCAを10mLずつ添加し、再びボルテックスミキサーで撹拌し、30分静置した。その後、3500rpmで10分間遠心分離し、さらに孔径0.45μmフィルターで濾過して上清を得た。
続いて、分光光度計(製品名:UV−2450、株式会社島津製作所製)を用いて上清の吸光度を測定した。
さらに、TCA溶液の上清に含まれる遊離アミノ酸や、ペプチドの中でも、分子量3000以下の旨味やコクを呈する成分(遊離アミノ酸、ジペプチド、トリペプチド等)のおおよその濃度を確認するために、上清を限外濾過し、分子量3000以下の画分の波長280nmの吸光度を測定した。なお、限外濾過には、遠心式限外濾過フィルター(製品名:Amicon Ultra UltraCel 3K、メルク株式会社製)を用いた。
実施例1,2、比較例1、加塩卵黄(対照)の分子量3000以下の画分の波長280nmの吸光度の測定結果を表3に示す。
Figure 0006473855
さらに、実施例1,2及び比較例1の吸光度の値を加塩卵黄の吸光度の値で除した結果を、表4に示す。
Figure 0006473855
表3及び表4に示すように、実施例1,2の上清の吸光度は、それぞれ0.473,0.305であり、加塩卵黄における上清の吸光度0.120に対して、それぞれ3.94倍、2.54倍といずれも大幅に増加していることが確認された。同様に、実施例1,2の分子量3000以下の画分の吸光度も、加塩卵黄と比してそれぞれ増加していることが確認された。
これに対して、麹の代わりにCEPを添加した比較例1の上清の吸光度は、0.145であり、加塩卵黄における上清の吸光度0.120に対して1.21倍であり、1.5倍未満の低い値であることが確認された。同様に、比較例1の分子量3000以下の画分の吸光度も、加塩卵黄に対して1.16倍であり、ほとんど変化していないことが確認された。
これにより、実施例1,2では、比較例1よりも旨味やコクを有する遊離アミノ酸やペプチドが豊富に含まれており、熟成によりタンパク質の分解が促進されていることが確認された。
さらに、実施例1及び2の熟成卵黄を喫食したところ、卵黄特有のまろやかな風味に、遊離アミノ酸やペプチドに由来すると思われる旨味やコク、わずかな苦みが加わり、比較例1の加塩卵黄とは全く異なる深みのある味わいであった。さらに、実施例1及び2の熟成卵黄は、独特の香ばしい風味を呈していたため、以下のように香気成分を測定した。
[香気成分の測定]
実施例1,2及び比較例1の香気成分を以下の測定方法に従って測定した。
(香気成分の測定方法)
実施例1,2及び比較例1の香気成分の香気成分は、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ質量分析法(SPME−GC−MS)で測定した。
<分析条件>
(1)香気成分の分離濃縮方法
SPMEファイバーと揮発性成分抽出装置を用い、以下の条件に従って、固相マイクロ抽出法で香気成分の分離濃縮を行った。
<固相マイクロ抽出条件>
・SPMEファイバー:外側に膜厚50μmのジビニルベンゼン分散ポリジ6メチルシロキサン層、内側に膜厚30μmのCarboxen分散ポリジメチルシロキサン層を有する、2層積層コーティングされたSPMEファイバー(製品名:StableFlex 50/30μm、DVB/Carboxen/PDMS(Sigma−Aldrich社製))
・揮発性成分抽出装置:Combi PAL、CTC Analitics製
・予備加温:40℃,15min
・攪拌速度:500rpm
・揮発性成分抽出:40℃,20min
・脱着時間:10min
(2)香気成分の測定方法
ガスクロマトグラフ法及び質量分析法を用い、以下の条件に従って、各ピーク面積を測定する。
なお、各成分の定量イオン質量は以下の通りである。
・チグリンアルデヒド定量イオン質量m/z84
・2−ペンチルフラン定量イオン質量m/z81
・メチルピラジン定量イオン質量m/z94
・トランス−2−(2−ペンテニル)フラン定量イオン質量m/z136
・2,4−ヘプタジエナール定量イオン質量m/z55
・メチオナール定量イオン質量m/z79
・フェニルアセトアルデヒド定量イオン質量m/z91
<ガスクロマトグラフ条件>
・測定機器:Agilent 7890B(Agilent Technologies社製)
・カラム:素材内壁にポリエチレングリコールからなる液相を膜厚0.25μmでコーティングしたキャピラリーカラム長さ30m、口径0.25mm、膜厚0.25μm(製品名:SOLGEL−WAX(SGE社製)長さ30m、口径0.25mm、膜厚0.25μm)
・温度条件:35℃(5min)保持→60℃まで5℃/min昇温→200℃まで10℃/min昇温→220℃まで15℃/min昇温その後220℃で9.7min保持
・キャリアー:Heガス、ガス流量:1.2mL/min
・インジェクション方法:パルスド・スプリットレス:スプリットレス1.6min保持→パージ50mL/minで保持
パルス圧120kPa 1.6 min保持→60kPaで保持
(スタート時)
・インレット温度:250℃
・ワークステションMSD ChemStation Build 75(Agilent Technologies, Inc.)
<質量分析条件>
・質量分析計:四重極型質量分析計(製品名:Agilent 5977A(Agilent Technologies社製))
・スキャン質量m/z 29.0〜290.0
・イオン化方式EI(イオン化電圧70eV)
その結果、実施例1,2では、香気成分として、いずれもチグリンアルデヒド、2−ペンチルフラン、メチルピラジン、トランス−2−(2−ペンテニル)フラン、2,4−ヘプタジエナール、メチオナール、フェニルアセトアルデヒドが検出された。これに対して、比較例1では、上記の香気成分が検出されなかった。
これにより、実施例1,2では、比較例1からは検出されない上記香気成分が生成されることで、熟成卵黄特有の香ばしい風味を呈することが確認された。
<試験例2:加塩卵黄に対する各サンプルの吸光度についての検討>
試験例1の吸光度の測定の結果等から、本発明の熟成卵黄において卵黄タンパク質分解物が多く生成されていることが確認された。そこで、多様な条件で製した熟成卵黄に対し、試験例1と同様に、加塩卵黄に対する吸光度について検討した。
[実施例3〜5の作製及び吸光度の測定]
熟成温度と上記吸光度の関係を調べるため、熟成温度の異なる実施例3〜5を製した。なお、本実施例において、熟成温度とは、熟成時の恒温器における温度とする。
まず、麹菌を接種する前に蒸気によって培地を加熱殺菌した以外は、実施例2と同様の方法により卵麹を得た。
次に、得られた卵麹3質量%と、卵黄83質量%と、食塩4質量%と、水10質量%とを含む混合物を、表5に記載の温度で加熱し、3日間熟成させ、実施例3〜5の熟成卵黄を得た。
続いて、実施例3〜5及び上記加塩卵黄のサンプルに対して、試験例1と同様にTCA溶液による処理を行い、タンパク質を沈殿させ、上清の波長280nmの吸光度を測定した。そして、加塩卵黄に対する各実施例の熟成卵黄の吸光度の値を求めた。結果を、表5に示す。
Figure 0006473855
[吸光度の結果(実施例3〜5)]
表5に示すように、加塩卵黄に対する実施例3〜5のサンプルの吸光度の値は、2.7(実施例3)以上3.5(実施例5)以下の範囲内であり、上述の比較例1(吸光度の値が1.21)と比較しても十分に高い値であった。
また、熟成温度が57℃(実施例5)から61℃(実施例3)まで上昇するに従い、吸光度の値は若干減少することが確認された。この結果から、上記卵麹を用いた場合には、60℃前後、特に57℃程度で卵黄タンパク質分解物が多く生成されることが確認された。
なお、実施例3〜5については、熟成温度が上昇するに従い、粘性が高まる傾向も見られた。これについては後述する。
[実施例6〜26の作製及び吸光度の測定]
続いて、より多様な条件について検討するため、実施例6〜26の熟成卵黄を準備した。まず、実施例2と同様の方法により卵麹を得た。次に、得られた卵麹、卵黄及び食塩並びに水を表6及び7に示すような割合で混合した。続いて、混合物を所定の温度で加熱し、各表に記載の時間熟成させ、実施例6〜26の熟成卵黄を得た。
一方、比較例2,3は、いずれも各表に記載の割合で混合物を製したものであり、加熱熟成せずに試験に用いた。
そして、実施例6〜26のサンプルに対して、実施例1〜5と同様に加塩卵黄に対するサンプルの吸光度を求めた。結果を、表6及び7に示す。
Figure 0006473855
Figure 0006473855
[吸光度の結果(実施例6〜11及び比較例2)]
表6に示すように、実施例6〜11及び比較例2では、主に、卵麹の量及び熟成時間が異なっていた。
卵麹の量が3質量%の実施例6及び7並びに比較例2では、熟成時間が0時間(比較例2)、170時間(実施例6)、288時間(実施例7)と長くなるに従い、上記吸光度の値が1.2、6.5、8.1と上昇することが確認された。特に熟成させていない比較例2では、上記吸光度の値が1.2であり、1.5未満の低い値であった。
また、卵麹の量が1質量%の実施例8及び9、並びに10質量%の実施例10及び11でも、同様の傾向が見られた。
これらの結果より、熟成時間が300時間以下の範囲内では、熟成時間が長い方が上記吸光度の値が上昇する傾向が確認された。
一方、熟成時間がともに170時間の実施例6及び8では、卵麹の量が1質量%の実施例8よりも、卵麹の量が3質量%の実施例6の方が、上記吸光度の値が大きくなることが確認された(実施例6では6.5、実施例8では2.9)。さらに、卵麹の量を10質量%に増加させ、熟成時間を72時間とした実施例10では、上記吸光度の値が3.8であった。この値は、卵麹の量が1質量%で245時間熟成させた実施例9(上記吸光度は3.4)よりも大きく、熟成時間及び熟成温度が同一の実施例4(吸光度の値は2.8)よりも大きい値であった。
これにより、卵麹の量を増やすことで、卵黄タンパク質分解物が多く生成され、熟成時間を短縮できることが確認された。
また、卵麹の量が10質量%と多く、さらに熟成時間も200時間と長い実施例11では、上記吸光度の値が10.8と非常に高く、やはり卵麹の量と熟成時間の双方が上記吸光度の値と相関を有することが確認された。
[吸光度の結果(実施例12〜21及び比較例3)]
表7に示すように、実施例12〜21では、158時間(実施例12)から180時間(実施例21)の間で熟成時間が異なっていた。
熟成時間が上記範囲の実施例12〜21では、上記吸光度の値が6.5(実施例18,19及び20)以上7.2(実施例14)以下であり、いずれも高い値であった。一方で、実施例12〜21では、熟成時間が上昇するに従い上記吸光度の値が高くなるような関係は見られなかった。このことから、熟成時間が160時間程度〜180時間程度であれば、安定して高い吸光度が得られることが確認された。
一方で、熟成させていない比較例3では、上記吸光度の値が1.3であり、比較例2と同様に、1.5未満の低い値であった。
[吸光度の結果(実施例17、22及び23)]
表7に示すように、実施例17、22及び23では、卵黄の含有量及び加水率が異なっていた。なお、加水率は、卵黄の含有量が少ないほど多くなるように設定された。
これらの結果から、卵黄の含有量が91.8質量%(実施例17)、83.0質量%(実施例22)、及び73.0質量%(実施例23)と減少するに従い、吸光度の値は6.5(実施例17)、6.2(実施例22)及び5.5(実施例23)と減少することが確認された。これにより、卵黄タンパク質分解物のベースとなる卵黄の量が多い方が、上記吸光度の値が大きくなることが確認された。
[吸光度の結果(実施例24〜26)]
表7に示すように、実施例24〜26では、熟成温度が55℃〜65℃の範囲内で異なっていた。
熟成温度が55℃の実施例24では上記吸光度の値が6.9、熟成温度が57.5℃の実施例25では7.0であり、ほぼ同様の値であった。一方で、熟成温度が65℃の実施例26では上記吸光度の値が3.6であり、実施例24,25と比較して大幅に低い値になった。このことから、上記卵麹を用いた場合、熟成温度が55℃〜60℃程度で特に熟成が進み、卵黄タンパク質分解物が多く生成されることが確認された。
<試験例3:粘度及びpHの測定>
本発明の熟成卵黄の物性についてさらに解析するため、上述の実施例3〜5,22及び実施例27,28を用いて粘度の測定及びpHの測定を行った。
[実施例27及び28の作製]
凍結及び解凍や、加熱による物性の変化についても確認するため、実施例22の熟成卵黄にさらに処理を加えて実施例27,28を製した。
実施例27は、実施例22の熟成卵黄を−30℃で1か月冷凍保存し、解凍したものとした。
実施例28は、実施例22の熟成卵黄を75℃で30分間加熱したものとした。
[pHの測定及び結果]
57℃〜61℃の各温度で熟成させた熟成卵黄(実施例3〜5)及び上記実施例22、27,28に対し、20℃において、pH測定器(株式会社堀場製作所製 卓上型pHメータF−72)によりpHを測定した。測定した結果を表8に示す。
実施例3〜5、22、27、28の熟成卵黄では、pHがそれぞれ5.8であった。これにより、実施例3〜5、22、27、28のpHは、5.0以上6.5以下であり、卵黄本来のpHに近いことが確認された。
さらに、実施例1,2及び比較例1のpHを同様に測定したところ、実施例1ではpH5.1、実施例2ではpH5.5、比較例1ではpH6.7であって、いずれもpHが4.5以上7.0以下であった。これらのサンプルを喫食したところ、卵黄特有のまろやかさを感じることができた。なお、実施例6〜26のpHを同様に測定したところ、いずれも4.5以上7.0以下の範囲であった。
Figure 0006473855
[粘度の測定及び結果]
57℃〜61℃の各温度で熟成させた熟成卵黄(実施例3〜5、22)及び上記実施例27、28の熟成卵黄に対し、品温20℃における粘度を、BH形粘度計(東機産業株式会社製、型番:BII型、使用ローター:No.5、回転数:20rpm)により測定した。
測定した結果を表8に示す。
同表に示すように、実施例3〜5において、熟成温度が高いほど粘度が高くなる傾向が見られた。すなわち、熟成温度が最も低い57℃の実施例5の粘度は1.8Pa・sであり、60℃の実施例4で7.4Pa・s、61℃の実施例3で10.8Pa・sという結果が得られた。実施例3〜5は、さらりとした液体とは異なり、生卵黄又は半生卵黄のような粘性(とろみ感)が維持されていることが確認された。
また、熟成温度が60℃の実施例22の粘度は9.8Pa・sであり、実施例4と近い値であった。
一方、実施例22に冷凍及び解凍処理を加えた実施例27は、16Pa・sであり、実施例22よりも大幅に値が高くなった。さらに、実施例22を加熱して酵素を失活させた実施例28では、さらに高い74Pa・sであった。これにより、熟成後、冷凍及び解凍処理、又は加熱処理を加えた熟成卵黄は、粘性が高まることが確認された。
さらに、実施例1,2,6〜21,23〜26及び比較例1の粘度を同様に測定したところ、いずれも1Pa・S以上500Pa・S以下であることが確認された。
<試験例4:脂質酸化物の評価>
さらに、熟成卵黄中の脂質酸化物を評価するため、試験例1〜3で用いたサンプルに対して相対蛍光強度を測定した。
[蛍光強度の測定(加塩卵黄、実施例1,2及び比較例1)]
まず、加塩卵黄、実施例1,2及び比較例1のサンプルからサンプル溶液を作製し、蛍光強度を測定した。
15mLファルコンチューブに卵黄1gを精秤し、ピペットマンでイオン交換水3mLを添加する。ボルテックスミキサーで撹拌し、懸濁液を得た後、懸濁液から400μLを15mLコニカルチューブに採取する。前記チューブにジエチルエーテル:エタノール(1:3)の混合液3mLを添加し、ボルテックスミキサーで良く撹拌した。
1,200gで5分間遠心分離した後、孔径0.45μmフィルターでろ過し、得られた上清をサンプル溶液とした。
得られたサンプル溶液を石英セルに入れ、蛍光分光光度計(型名「U−3210」、(株)日立製作所製)にてEx360nm,Em440nmの蛍光強度を測定した。ただし、各蛍光強度は、標準溶液(標準溶液は、1μgの硫酸キニーネを0.05mol/L硫酸水溶液1mLに溶解させて得られた)の同条件での蛍光強度を相対蛍光強度で示した。
測定した結果を表9に示す。なお、表9では、相対蛍光強度に100倍した値を記載している。
Figure 0006473855
[蛍光強度の結果(加塩卵黄、実施例1,2及び比較例1)]
表9に示すように、対照として用いた加塩卵黄は、相対蛍光強度が1.10であり、低い値であった。一方、実施例1、2は、それぞれ相対蛍光強度が2.31、2.18であり、いずれも2.0×10−2以上(1.5×10−2以上)であった。また、比較例1についても相対蛍光強度が2.16であり、実施例1,2と同程度であった。
このことから、所定の温度(例えば55℃)で3日間維持することで、脂質酸化物が増加することが確認された。
[蛍光強度の測定(実施例7〜10,14,20,22〜26及び比較例2,3)]
実施例1等の結果を受けて、多様な条件で製した熟成卵黄について、同様に相対蛍光強度を測定し、脂質酸化物の評価を行った。結果を、表10に示す。
Figure 0006473855
[蛍光強度の結果(実施例7〜10,14,20,22〜26及び比較例2,3)]
表10に示すように、実施例7〜10,14では、熟成時間が長くなるに従い、相対蛍光強度の値も大きくなる傾向が確認された。
具体的には、熟成時間が72時間の実施例10、熟成時間が170時間の実施例8では、相対蛍光強度がそれぞれ2.27×10−2、3.74×10−2であり、4.0×10−2以下であった。これに対し、熟成時間が245時間の実施例9、熟成時間が288時間の実施例7では、相対蛍光強度がそれぞれ6.60×10−2、8.87×10−2であり、5.0×10−2より大きい値であった。
なお、熟成時間が0時間の比較例2,3の相対蛍光強度はそれぞれ0.90×10−2、1.00×10−2であり、1.5×10−2未満の低い値であった。
これにより、熟成時間を24時間以上240時間以下、例えば192時間以下とすることで、相対蛍光強度を1.5×10−2以上5.0×10−2以下、さらには2.0×10−2以上4.0×10−2以下に抑えられることが確認された。
また、実施例7〜10、14のサンプルを喫食したところ、相対蛍光強度が2.0×10−2以下4.0×10−2以下の実施例8,10及び14では渋み(収斂味)がほとんどなく旨味やコクが十分感じられ、非常に良好な味わいであった。一方、相対蛍光強度が5.0×10−2より大きい実施例7及び9では良好な味わいであるものの、若干収斂味が感じられた。これにより、卵麹の相対蛍光強度を1.5×10−2以下5.0×10−2以下とすることで収斂味を抑えることができ、さらに2.0×10−2以下4.0×10−2以下とすることで、より良好な味わいになることが確認された。
また、熟成時間が170時間前後の実施例20,22及び23の結果から、相対蛍光強度の値は、卵黄の含有量とも相関を有することが確認された。
具体的には、卵黄の含有量が73.0質量%の実施例23の相対蛍光強度は3.16×10−2であった。これに対し、卵黄の含有量が83.0質量%の実施例22では3.40×10−2、卵黄の含有量が91.8質量%の実施例22では3.77×10−2であり、卵黄の含有量が増加するに従い相対蛍光強度の値が次第に高くなった。これにより、卵黄脂質を含む卵黄の含有量を90%以下にすることで、卵黄脂質酸化物の生成を抑制し、相対蛍光強度の値を4.0×10−2以下に調整しやすくなることが確認された。
さらに、熟成温度が55℃及び57.5℃の実施例24及び25の蛍光強度は、それぞれ4.17×10−2及び4.49×10−2であり、1.5×10−2以上5.0×10−2以下であった。一方、熟成温度が65℃の実施例26の蛍光強度は、8.60×10−2であり、5.0×10−2より大きかった。これらの熟成卵黄を喫食したところ、いずれも良好な味わいではあったが、実施例26では実施例24及び25よりも収斂味が強く感じられた。
したがって、熟成温度を45℃(50℃)以上60℃以下とすることで、脂質酸化物の生成を抑制し、収斂味を抑えられることが確認された。
<試験例5:米麹を用いて熟成させた熟成卵黄>
続いて、卵麹に代えて、米麹を用いて熟成卵黄を製し、吸光度及びその他の物性について確認した。
[実施例29]
実施例19の卵麹を、米麹(マルコメ株式会社製)に変更した以外は、実施例19と同様に実施例29の熟成卵黄を製した。
得られた熟成卵黄の食塩含有量は4質量%であった。
なお、得られた熟成卵黄を4℃の低温室で保管していたものを、後述する各分析に用いた。
実施例29の熟成卵黄と、同一の食塩含有量(4質量%)の加塩卵黄とに対し、上述の方法で、それぞれの上清の280nmにおける吸光度を測定した。その結果、上記熟成卵黄の吸光度は0.504、加塩卵黄は0.110であり、加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度は4.6であった。
また、相対蛍光強度は7.7×10−2であった。
なお、品温20℃でのpHは5.8、粘度は35Pa・S(ローター:No.6、20rpm、品温20℃の時)であった。
実施例29の熟成卵黄を喫食したところ、卵黄特有のまろやかな風味が感じられ良好な味わいであった。このことから、本発明の熟成卵黄は、卵麹に限定されず、他の原料から製麹された麹も用いることができることが確認された。
<試験例6:チーズを用いて熟成させた熟成卵黄>
続いて、麹に代えて、青かび及び白かびが繁殖しているチーズを用いて熟成卵黄を製し、吸光度及びその他の物性について確認した。
[実施例30]
まず、市販のブルーチーズを用いて、液卵黄93質量部に対し、食塩4質量部とブルーチーズ3質量部を混合し、60℃の恒温器中で156時間熟成させ、実施例30の熟成卵黄を得た。実施例30の熟成卵黄の食塩含有量は4.1質量%であった。なお、得られた熟成卵黄を4℃の低温室で保管していたものを、後述する各分析に用いた。
実施例30の熟成卵黄と、同一の食塩含有量(4.1質量%)の加塩卵黄とに対し、上述の方法で、それぞれの上清の280nmにおける吸光度を測定した。その結果、上記熟成卵黄の吸光度は0.188、加塩卵黄は0.110であり、加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度は1.7であった。
また、相対蛍光強度は1.8×10−2であった。
なお品温20℃でのpHは6.1、粘度は368Pa・S(ローターNo.7、10rpm、品温20℃の時)であった。
さらに、実施例30の熟成卵黄を喫食したところ、卵黄特有のまろやかな風味に、旨味やコク、わずかな苦みが加わり、深みのある味わいであった。
[実施例31]
市販のブルーチーズに代え、市販のカマンベールチーズを用いた以外は、実施例30と同様に実施例31の熟成卵黄を製した。得られた熟成卵黄の食塩含有量は、4.1質量%であった。
実施例30の熟成卵黄と、同一の食塩含有量(4.1質量%)の加塩卵黄とに対し、上述の方法で、それぞれの上清の280nmにおける吸光度を測定した。その結果、上記熟成卵黄の吸光度は0.190、加塩卵黄は0.110であり、加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度は1.7であった。
また、相対蛍光強度は2.1×10−2であった。
なお20℃でのpHは6.1、粘度は384Pa・S(ローターNo.7、10rpm、20℃の時)であった。
さらに、実施例31の熟成卵黄を喫食したところ、卵黄特有のまろやかな風味に、旨味やコク、わずかな苦みが加わり、深みのある味わいであった。
<試験例7:熟成卵黄を用いた加工食品>
最後に、熟成卵黄を用いて様々な加工食品を製した。
[実施例32]
下記の配合割合に準じ、実施例1で得られた熟成卵黄を用いて、常法によりマヨネーズを製造した。
(マヨネーズの配合割合)
食用油脂 70%
食酢 9%
卵黄 5%
熟成卵黄(食塩含有量4%) 1%
グルタミン酸ナトリウム 2%
食塩 2%
清水 11%
――――――――――――――――――
合計100%
得られたマヨネーズを喫食したところ、マヨネーズに適した食味の良い熟成卵黄の味が感じられた。
[実施例33]
下記の配合割合に準じ、実施例1で得られた熟成卵黄を用いて、常法によりカルボナーラソースを製造した。
(カルボナーラソースの配合割合)
食用油脂 40%
還元澱粉糖化物(日研化成株式会社製、「エスイー30」) 32%
全粉乳 15%
チーズパウダー 5%
食塩 4%
卵黄 2%
熟成卵黄(食塩含有量4%) 1%
グルタミン酸ナトリウム 0.8%
キサンタンガム 0.1%
ブラックペッパー 0.1%
―――――――――――――――――――――――――――――――
合計100%
得られたカルボナーラソースを喫食したところ、カルボナーラソースに適した食味の良い熟成卵黄の味が感じられた。
[実施例34]
下記の配合割合に準じ、実施例2で得られた熟成卵黄を用いて、常法により卵スプレッドを製造した。
(卵スプレッドの配合割合)
ゆで卵 76%
マヨネーズ 17%
加工澱粉 1%
ナイシン 0.5%
食塩 0.2%
熟成卵黄(食塩含有量4%) 1%
グルタミン酸ナトリウム 0.8%
キサンタンガム 0.1%
清水 3.4%
――――――――――――――――――――――
合計100%
得られた卵スプレッドを喫食したところ、卵スプレッドに適した食味の良い熟成卵黄の味が感じられた。
[実施例35]
下記の配合割合に準じ、実施例2で得られた熟成卵黄を用いて、常法によりポテトサラダを製造した。
(ポテトサラダの配合割合)
マヨネーズ 14%
ジャガイモ 48%
きゅうり 6%
人参 6%
玉葱 6%
コーン 6%
キャベツ 6%
レタス 6%
熟成卵黄(食塩含有量4%) 1.5%
上白糖 0.3%
食塩 0.2%
――――――――――――――――――――――――
合計100%
得られたポテトサラダを喫食したところ、ポテトサラダに適した食味の良い熟成卵黄の味が感じられた。
[総括]
以上の結果から、麹と食塩を加えた卵黄を40℃〜65℃の低温で加熱しながら熟成することで、TCA溶液による処理後の上清における加塩卵黄に対する吸光度が1.5倍以上15.0倍以下の熟成卵黄を製造できることが確認された。
上記吸光度の範囲とすることで、卵黄タンパク質分解物由来の旨味やコクを十分有するとともに、これらが卵黄本来の風味と混ざり合い、食味のよい熟成卵黄を得ることができる。また、遊離アミノ酸としてのグルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びリジンの含有量をタンパク質100g当たり2g以上7g以下とすることで、アミノ酸特有の旨味やコクが混ざり合い、より好ましい熟成卵黄を得ることができる。
さらに、食塩添加量等を調整することで熟成卵黄の食塩含有量を12質量%以下とすることができ、旨味やコクを損なうような過剰な食塩を含有しない熟成卵黄を製造できることが確認された。
加えて、熟成時間を10日(240時間)以下、さらに8日(192時間)以下とし、熟成温度を45℃(50℃)以上60℃以下とすることで、脂質酸化物の相対蛍光強度を1.5×10−2以上5.0×10−2以下の範囲に調整することができる。したがって、本発明の熟成卵黄では、脂質酸化物の生成を適度に抑制し、収斂味の少ない良好な味わいを得られることが確認された。
また、実施例30,31の結果から、麹に代えてカビが繁殖したチーズを用いて熟成卵黄を製しても、やはり卵黄のまろやかな風味に独特のコクや旨味が加わり、良好な食味と風味を有する熟成卵黄が得られた。これにより、麹菌以外のカビを用いても、旨味とコクを有し食味の良い熟成卵黄が得られることが確認された。
そして、実施例32〜35の結果から、本発明の熟成卵黄は様々な加工食品に用いることができ、当該加工食品の味わいを深められることが確認された。

Claims (12)

  1. タンパク質分解酵素を生成する食用のカビと卵黄と食塩とを含む混合物を熟成させた熟成卵黄であって、
    食塩含有量が、1質量%以上12質量%以下であり、
    下記の方法で測定した加塩卵黄に対する前記熟成卵黄の吸光度が1.5倍以上15.0倍以下である
    熟成卵黄。
    <熟成卵黄と加塩卵黄の吸光度の測定方法>
    (1)前記熟成卵黄及び前記熟成卵黄と同一の食塩濃度(質量%)の加塩卵黄を、それぞれ0.5g精秤し、精秤された前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄にイオン交換水を20mLずつ添加し、攪拌して均一に懸濁させる。
    (2)10質量%トリクロロ酢酸溶液を前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄に10mLずつ添加し、再び撹拌して均一に懸濁させた後、30分静置する。
    (3)静置後の前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄を3500rpmで10分間遠心分離し、さらに遠心分離後の前記熟成卵黄及び前記加塩卵黄を孔径0.45μmフィルターで濾過してそれぞれ上清を得る。
    (4)分光光度計により、前記熟成卵黄と前記加塩卵黄それぞれの上清の280nmにおける吸光度を測定し、測定された値をそれぞれ前記熟成卵黄の吸光度、前記加塩卵黄の吸光度とし、前記熟成卵黄の吸光度を前記加塩卵黄の吸光度で除することにより、加塩卵黄に対する熟成卵黄の吸光度を算出する。
  2. 請求項1に記載の熟成卵黄であって、
    麹を含む
    熟成卵黄。
  3. 請求項2に記載の熟成卵黄であって、
    前記麹が、麹菌を卵で培養した卵麹である
    熟成卵黄。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熟成卵黄であって、
    前記熟成卵黄中に含まれる遊離アミノ酸としてのグルタミン酸、アスパラギン酸、バリン、ロイシン及びリジン並びにこれらの塩の含有量が、タンパク質100g当たり2g以上7g以下である
    熟成卵黄。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熟成卵黄であって、
    pHが4.5以上7.0以下である
    熟成卵黄。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熟成卵黄であって、
    品温20℃にて測定した粘度が、1Pa・S以上500Pa・S以下である
    熟成卵黄。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熟成卵黄であって、
    チグリンアルデヒド、2−ペンチルフラン、メチルピラジン、トランス−2−(2−ペンテニル)フラン、2,4−ヘプタジエナール、メチオナール、フェニルアセトアルデヒドから選ばれる少なくとも1種以上の香気成分を含有する
    熟成卵黄。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の熟成卵黄であって、
    タンパク質含有量が16質量%以下である
    熟成卵黄。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の熟成卵黄を用いた
    加工食品。
  10. タンパク質分解酵素を生成する食用のカビと、卵黄と、食塩と、を混合した混合物を製する工程と、
    前記混合物を40℃以上65℃以下で加熱しながら熟成させることで、食塩含有量が1質量%以上12質量%以下である熟成卵黄を製する工程と、を含む
    熟成卵黄の製造方法。
  11. 麹菌を培養した麹と、卵黄と、食塩と、を混合した混合物を製する工程と、
    前記混合物を40℃以上65℃以下で加熱しながら熟成させることで、食塩含有量が1質量%以上12質量%以下である熟成卵黄を製する工程と、を含む
    熟成卵黄の製造方法。
  12. 請求項11に記載の熟成卵黄の製造方法であって、
    前記麹が、麹菌を卵で培養した卵麹である
    熟成卵黄の製造方法。
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