JP2002345447A - 惣菜用日持ち向上剤 - Google Patents

惣菜用日持ち向上剤

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JP2002345447A
JP2002345447A JP2002073411A JP2002073411A JP2002345447A JP 2002345447 A JP2002345447 A JP 2002345447A JP 2002073411 A JP2002073411 A JP 2002073411A JP 2002073411 A JP2002073411 A JP 2002073411A JP 2002345447 A JP2002345447 A JP 2002345447A
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Japan
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lysozyme
fatty acid
sucrose fatty
acid ester
heat
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JP2002073411A
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Kazuyuki Sakagami
和之 坂上
Hiroyoshi Mine
裕喜 峯
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San Ei Gen FFI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】惣菜中の耐熱性菌に対して抗菌性を発揮し、加
熱殺菌後の「体熱性菌の発育を抑制し、かつ、惣菜の風
味や味に影響を与えない、想像用日持ち向上剤の提供を
目的とする。 【解決手段】HLB値15以上のショ糖脂肪酸エステル
とリゾチームを混合、加熱し複合体を形成し、これを含
有する日持ち向上剤を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は惣菜用の日持ち向上剤に
関する。より詳細には、惣菜中の耐熱性菌に対して抗菌
性を発揮し、加熱殺菌後の耐熱性菌の発育を抑制するこ
とができ、かつ、惣菜の風味や味に影響を与えない、惣
菜用の日持ち向上剤である。
【0002】
【従来の技術】近年、惣菜の嗜好性を高めるために、照
明器具、ヒートポンプ、スチーム、ヒーター等にて50
℃程度に加温した状態で市販される惣菜が多くなってい
る。しかしながら、市場に流通する惣菜中に耐熱性菌等
が少量でも存在していた場合、この菌が加温により増殖
し、容器中の惣菜が数日で変敗し、商品価値が低下して
しまう問題があった。惣菜に対する通常の殺菌条件(8
5℃15分間の加熱)では、一般細菌、かび、酵母等は
死滅するが、耐熱性菌は死滅しないため、商品価値が保
持される期間は短いものとなっていた。一方、十分に耐
熱性菌が死滅する条件で殺菌を施すと、商品価値を保持
できる期間は長くなるものの、タンパク質変性、油脂酸
化等により惣菜の食感、物性や風味に変化をきたしてい
た。
【0003】このようなことから、耐熱性菌の抗菌を目
的として、種々の日持ち向上剤が提案されている。例え
ば、グルコン酸ナトリウム及びグリシンの混合物に、シ
ョ糖脂肪酸エステル、リゾチーム、プロタミン等を含有
する食品用保存剤(特開2000−201660)、ジグリセリン
モノカプリル酸エステル、テトラグリセリンモノカプリ
ン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステ
ルとリゾチーム、ポリリジンまたはそのグリシン、有機
酸およびまたは有機酸塩類等を組み合わせた食品保存剤
(特開平6-261725号)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグ
リセリン脂肪酸エステル、レシチンからなる静菌剤(特
開平10-225282号)等が挙げられる。しかしながら、従
来のショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル、ジグリセリン脂肪酸エステル、リゾチーム、グリ
シン、プロタミン等を単に組合せた日持ち向上剤では、
耐熱性菌を十分に抑制し得るものではなく、また、商品
価値を長く保持するためには、多量の日持ち向上剤添加
する必要があり、食品の風味、味に影響せざるを得ない
のが実情であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑み、惣菜の風味、味に影響を与えることなく、
かつ、優れた抗菌力を発揮する日持ち向上剤を提供する
ために鋭意研究を重ねたところ、HLB値15以上のシ
ョ糖脂肪酸エステルとリゾチームを混合、加温し、HL
B値15以上のショ糖脂肪エステルとリゾチームからな
る複合体を形成し、これを含有する日持ち向上剤が、惣
菜中の耐熱性菌に対して抗菌性を発揮し、加熱殺菌後の
耐熱性菌の発育を抑制することができ、かつ、惣菜の風
味や味に影響を与えないことを見いだした。
【0005】本発明の目的は、惣菜において耐熱性菌を
抑制することができる惣菜用の日持ち向上剤を提供する
ことにある。なお、本発明でいう耐熱性菌とは、食品の
pHを低下させ、外観、容器の形状を変化させる腐敗菌を
示す。詳しくは、シュードモナス属(Pseudmonas)を含
む、Achromobacter、Vibrio、Flavobacterium、Microco
ccusなどの耐熱性を有する腐敗菌、バシラス属(B.stea
rothermophilus、B.subtilis、B.cereus、B.coagulans
など)やクロストリジウム属(Cl.thermoaceticum、Cl.
thermosulfricum、Cl.sporogenesなど)およびDesulfot
omaculum nigrificansなどの耐熱性菌が酢酸、乳酸を遊
離しながら、トリメチルアミンなどの腐敗臭を発生させ
る菌や食品のpHを低下させる菌をいう。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の対象となる惣菜
とは、冷凍、冷蔵あるいは常温流通される調理加工品、
半調理加工品を総称する食品であり、具体的には、炒め
物(ツナピラフ、チャーハン、焼きそば、焼きうどん、
スパゲティー)、肉類を原料とする弁当(牛カルビ,牛
丼などの牛肉類、生姜焼き肉などの豚肉類、鶏の照り焼
き、鶏重などの鶏肉類)、山菜、たけのこなどを原料と
する弁当(山菜まぜこはんなど)、むすび類、調理パン
(ハム、タマゴ、野菜、サラダなどを具材とするサンド
もの)、キャベツサラダ、ポテトサラダ、白あえ、ハン
バーグ、ミートボール、シューマイ、グラタン、茶碗蒸
しなどの調理済み食品、ソース、ホワイトソース、マヨ
ネーズ、ドレッシング、たれなどの調味料で味付けした
食肉加工品、ピラフ、ピザパイなどのステープル等が挙
げられる。特に、厚焼き卵などの卵加工品、焼きプリン
などの乳加工品、おにぎりなどの米飯加工品において
は、本発明の日持ち向上剤の抗菌効果が高いことから好
ましい。
【0007】本発明のHLB値15以上のショ糖脂肪酸
エステルとしては、ショ糖に炭素12〜18の脂肪酸を
エステル化したものを主として用いることができる。耐
熱性菌の抗菌性より、好ましくは、脂肪酸としてステア
リン酸、パルミチン酸のものが好ましく、更に、構成脂
肪酸の割合がステアリン酸:パルミチン酸=2:8〜
7:3のもの、特に3:7が好適である。また、エステ
ル組成の割合がモノエステル:ジエステル及びポリエス
テル=6:4〜8:2のものが好ましく、特に7:3の
ショ糖脂肪酸エステル(エステル化度1.2)が好適であ
る。エステル化度の異なるショ糖脂肪酸エステルを1種
使用あるいは2種類以上混合して利用してもよい。本発
明のHLB値15以上のショ糖脂肪酸エステルは市場に
て入手可能であり、市販されているHLB値15以上の
ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、リョートシュ
ガーエステルP1670、リョートーシュガーエステル
P1570、モノスターP(三菱化学社製)、DKエス
テルF−150、DKエステルF−170、DKエステ
ルSS(第一工業製薬社製)等が挙げられる。
【0008】一般的にリゾチームとは、分子量14,4
00、129個のアミノ酸からなる塩基性タンパク質
で、N−アセチルムラミン酸とN−アセチルグルコサミ
ン間のβ−1,4−ムラミド結合を、加水分解する酵素
物質をいうが、本発明にいうリゾチームとは、食品への
使用が許可されているものであればよく、通常のリゾチ
ームのほかにも、化学的、物理的に改良されたリゾチー
ムも本発明のリゾチームとして用いることができる。具
体的に本発明のリゾチームとして利用されるものとし
て、卵白由来、魚類の体表粘液由来、微生物由来、バク
テリオファージ由来等の各種由来精製リゾチームや遺伝
子操作技術を利用して調製されたリゾチーム、及び、こ
れらのリゾチームを酸やアルカリ、加熱、加圧等により
化学的・物理的に処理した改良リゾチーム等も挙げられ
る。本発明のリゾチームは市場で入手可能であり、市販
されているリゾチームとしては、卵白リゾチーム(キユ
ーピー、エーザイ、太陽化学社製他)、うずら卵リゾチ
ーム等が挙げられる。
【0009】本発明の日持ち向上剤は、惣菜中にHLB
値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームからな
る複合体を含むことによりその効果を発揮する。本発明
のHLB値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチー
ムからなる複合体(以下「複合体」という)は、HLB
値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームを混合
し、50℃以上、より好ましくは65℃以上まで加温す
ることにより調製される。HLB値15以上のショ糖脂
肪酸エステルとリゾチームを混合する方法としては、H
LB値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームの
粉体を混合する方法、リゾチーム及び/又はショ糖脂肪
酸エステルを水、エタノール、有機溶媒等に溶解・分散
することにより混合する方法が挙げられる。加温の方法
としては、混合された紛状の混合物、ペースト状の混合
物、液状の混合物を周知・公知の技術により加温すれば
よい。調製された複合体は、粉末状、液体状、ペースト
状にして利用することができる。得られた複合体は約60
℃付近にガラス転移状態を持つ物質であり、示差走査熱
分析機器を用いて、変性温度及び融解ピークを観察する
ことにより確認することもできる。
【0010】HLB値15以上のショ糖脂肪酸エステル
とリゾチームの複合体の調製例として、例えば、HLB
値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームとを
水、エタノール、溶媒等を利用し溶解せし、得られた溶
液を65℃まで加温した後、得られた複合体を含む溶液
を二流体型、ディスク型等の噴霧乾燥装置、好ましくは
溶媒回収型のものを用いて噴霧乾燥することにより目的
とする複合体を粉末、油、半固形の状態で得る調製方法
やHLB値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチー
ムを粉体混合し、65℃までゆっくりと加温、冷却し、
粉砕、篩過して得られた複合体を、粉末、顆粒、ペレッ
ト状にして得る方法が挙げられる。
【0011】HLB値15以上のショ糖脂肪酸エステル
とリゾチームの配合量は、複合体中では、HLB値15
以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームの比率は2:
8〜8:2がよく、好ましくは4:6〜6:4がよい。こ
の範囲でHLB値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリ
ゾチームを配合することにより、効率よくHLB値15
以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームの複合体を得
ることができるからである。比率をまた両物質の配合量
は惣菜全体重量中、ショ糖脂肪酸エステル0.001〜
2重量%、好ましくは0.01〜1重量%、リゾチーム
が0.005〜4重量%、好ましくは0.01〜0.5
重量%とすることが好適である。ショ糖脂肪酸エステル
0.001重量%若しくはリゾチーム0.005重量%
未満の場合、耐熱性菌に対する抗菌力を発揮するのが困
難となる傾向にある。また、ショ糖脂肪酸エステル2%
以上やリゾチーム4%以上の添加は、惣菜にそれぞれの
味を呈し、風味を損なうので好ましくない。本発明は上
記HLB値15以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチー
ムとを混合し、複合体を調製することにより、耐熱性菌
への抗菌性が発揮され、加熱殺菌後のリゾチーム菌の発
育を抑制し得るものであり、HLB値15以上のショ糖
脂肪酸エステルとリゾチームを各々単独で使用した場合
には得られない効果である。
【0012】本発明の日持ち向上剤には、その効果を妨
げない範囲において、上記ショ糖脂肪酸エステルとリゾ
チームとともに、グリシン、酢酸、アジピン酸、クエン
酸、グルコン酸などの酸味料、メタリン酸ナトリウムな
どの重合リン酸塩、酸化防止剤、食塩、デキストリン、
油脂、エタノール、グリセリン、キトサンなどのガム
類、タンパク質、アミノ酸、香辛料抽出物、香料などの
素材等を含有させるようにしてもよい。また、グリセリ
ン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピ
レングリコール脂肪酸エステル、レシチン、プロタミ
ン、ポリリジン、クルペイン、ナイシン等を使用しても
よい。
【0013】惣菜への利用は、本発明のHLB15以上
のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームからなる複合体を
含むことを特徴とする日持ち向上剤が、添加されていれ
ばよく、その添加方法に関しては、従来、公知の方法を
とることができる。
【0014】
【発明の効果】HLB値15以上のショ糖脂肪酸エステ
ルとリゾチームの複合体からなる日持ち向上剤をもちい
ることにより、惣菜中に、使用原料及び製造工程由来の
耐熱性菌が存在していても、優れた抗菌効果を示し、加
熱殺菌後の耐熱性菌の発育を抑制することができ、陳列
棚上で加温しても品質が安定した良好な惣菜を得ること
ができる。また、両者を添加しても、惣菜の品質、風味
に影響を与えることはない。
【0015】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例及び実験
例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら
限定されるものではない。尚、実施例中の「*」は三栄
源エフ・エフ・アイ株式会社製品を示す。
【0016】
【実験例1】リゾチーム、ショ糖脂肪酸エステル(P1
6)および複合物の耐熱性菌に対する抑制効果
【0017】使用した試料 実施例 リゾチーム及びショ糖脂肪酸エステルの複合
体:リゾチーム(キューピー社製 卵白リゾチーム)と
ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学社製 リョートーエス
テルP1670)を粉末混合し、65℃10分間加温後に冷
却し、乳鉢で粉末状にし、HLB値15以上のショ糖脂
肪酸エステルとリゾチームの複合体を調製した。また、
ガラス転移温度を測定することによりHLB値15以上
のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームの複合体が得られ
ているかどうかを確認した。 比較例1 リゾチーム(キューピー社製 卵白リゾチー
ム) 比較例2 ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学社製リョー
トーエステルP1670、パルミチン酸70%配合HLB
16(以下、P16と記載))
【0018】抗菌試験方法 標準寒天培地に上記抗菌性物質を加えて、Bacillus cer
eus IFO15305、Bacillussubtilis subsp.subtilis IFO1
3719(105個/g)を培養し、35℃48時間後の微生物の発
育を観察した。その結果を表1に示す。
【表1】Bacillus cereus IFO15305及び Bacillus sub
tilis subsp.subtilis IFO13719に対する抗菌効果 表中の記号の意味 +++:対照と同じ活発な生育。++:よく生育。+:
生育。−:生育せず。
【0019】表1に示すようにリゾチームを使用した比
較例1の結果から、リゾチームはB.cereusに効果を認め
ないが、B.subtilisには0.025%で効果が得られ
る。一方、ショ糖脂肪酸エステルを使用した比較例2の
結果から、ショ糖脂肪酸エステルはB.cereusには0.0
375%で菌の抑制効果が得られるが、B.subtilisには
効果が認められない。実施例のP16とリゾチームから
なる複合体においては、単独で利用した場合に比べて、
少ない添加量で菌の生育を抑制する効果が見られた。例
えば、P16 0.0125%、リゾチーム0.012
5%からなる実施例の複合体は、B.cereus及びB.subtil
isの抑制効果を示したが、P16を0.0125%、単
独で利用した比較例2は、B.subtilisおよびB.cereusに
おいても十分な効果が示されなかった。また、リゾチー
ムを0.0125%を単独で利用した比較例1において
も、B.cereus及びB.subtilisにおいても十分な抗菌の効
果が得られなかった。つまり、HLB16のショ糖脂肪
酸エステルとリゾチームからなる複合体を調製すること
によって、HLB16のショ糖脂肪酸エステルとリゾチ
ームを単に併用する以上の効果が得られることが示され
た。
【0020】
【実験例2】1)実験方法 供試菌を有する試料 耐熱性菌を含む試料を選択するため、一般的な高温性有
芽胞菌測定法(全国清涼飲料工業会:改訂新版ソフトド
リンクス、光琳、p733(1989))を用い、 5〜10個/gの
耐熱性菌(クロストリジウム属、バシラス属)を有する
試料として海藻粉末を選択した。
【0021】2)実施例の調製 使用したショ糖脂肪酸エステルの種類として、P15:シ
ョ糖脂肪酸エステル(三菱化学社製リョートーエステル
P1570、パルミチン酸70%、HLB=15)、P16:ショ糖脂肪
酸エステル(三菱化学社製リョートーエステルP1670、
パルミチン酸70%、HLB16)、C8モノグリ:グリセリン脂
肪酸エステル(太陽化学社製、サンソフトNo.700P2、中
級脂肪酸C8:カプリル酸、HLB7.2)を用い、これをリゾ
チームと組合せ複合体を調製し、本発明の日持ち向上剤
を得た。惣菜への添加量は表3に示す。尚、複合物の調
製方法は実験例1と同様に行った。
【0022】また、比較例として、P15:ショ糖脂肪酸
エステル(三菱化学社製リョートーエステルP1570、パ
ルミチン酸70%、HLB=15)、P16:ショ糖脂肪酸エステ
ル(三菱化学社製リョートーエステルP1670、パルミチ
ン酸70%、HLB16)、C8モノグリ:グリセリン脂肪酸エス
テル(太陽化学社製、サンソフトNo.700P2、中級脂肪酸
C8:カプリル酸、HLB7.2)、リゾチームをそれぞれ単独
で用いた日持ち向上剤を得た。惣菜への添加量は表3に
示す。
【0023】3)惣菜(厚焼きたまご)の処方とその調
製方法 (処方) 全 卵 72.0 (%) 砂 糖 3.5 加工でん粉 2.0 (コルフロ67:日本NSC社製) キサンタンガム 0.1 (サンエース*) ゼラチン 0.5 サンライク和風だし* 2.0 海藻粉末 1.0 惣菜用日持ち向上剤 表3参照 水にて 全量100とする
【0024】砂糖、でんぷん、サンエース、ゼラチン、
サンライク和風だし、海藻粉末及び惣菜用日持ち向上剤
を混合する。水を撹拌しながら、を加え分散溶解させ
る。にときほぐした卵を加え混合する。をフライパ
ンにて焼く(中心温度80℃達温)。50℃にて経日的に保
存試験を行い、菌数測定を行った。変敗の確認は7日間
保管した後、厚焼きたまごを10%水溶液に分散させ、溶
液のpHの変化を調べ、pH6未満のものを変敗とみなして
判定した。
【0025】
【表2】惣菜用日持ち向上剤による耐熱性菌への効果 備考 表中の記号の意味 +:pH6未満のpHとなり、変敗したもの −:pH6以上でpHの変化がなく、変敗が認められないも
の。
【0026】ショ糖脂肪酸エステル(P15、P16)単独、
リゾチーム単独及びC8モノグリ単独及びリゾチームとC8
モノグリを併用したものを使用した場合、菌の抑制効果
は得られなかった。一方、ショ糖脂肪酸エステル(P1
5、P16)とリゾチームとを併用した複合物を使用した場
合では菌を抑制した。
【0027】
【実験例3】実験例1及び実験例2で用いたHLB値1
5以上のショ糖脂肪酸エステルとリゾチームとの複合物
を示差走査熱分析機器(micro-DSC3、セタラム社製)を
用いて、リゾチームの変性温度及びショ糖脂肪酸エステ
ルの融解ピークを観察し、物質単独あるいは混合した製
剤の熱に対する特性を評価した。
【0028】(試料) 実験に用いた乳化剤は、実験例1で使用したP16、実験
例2で用いたC8モノグリ、ショ糖脂肪酸エステル(DKエ
ステルF110、第一工業製薬社製、HLB=11)である。リ
ゾチームは実験例1と同じものを用いた。示差走査熱分
析機器の結果を図1〜図5に示す。
【0029】
【図1】 リゾチーム単品
【0030】図1に示すように77℃付近にリゾチームの
変性温度ピークを見出した。
【0031】
【図2】 HLB16のショ糖脂肪酸エステル
【0032】50℃付近に熱で溶融するHLB16のショ
糖脂肪酸エステルの融解ピークを見出した。
【0033】
【図3】 HLB16のショ糖脂肪酸エステルとリゾチ
ームからなる複合物
【0034】リゾチームが77℃付近で変性するピークあ
るいは使用したHLB16のショ糖脂肪酸エステルが50
℃付近で熱で溶融するピークは見出されず、約60℃付近
にガラス転移状態を持つ特性の物質変化が見出され、複
合体が得られていることが示された。
【0035】
【図4】 リゾチームとモノグリC8とを併用した複合物
【0036】
【図5】 HLB値11のショ糖脂肪酸エステルとリゾ
チームの併用によるもの。
【0037】図4に示すようにモノグリC8とリゾチーム
を併用した場合、使用したリゾチームの変性ピークとモ
ノグリC8の融解ピークは見出されるが、ガラス転移状
態を現すピークあるいは新しいピークは見出すことがで
きなかった。
【0038】また、図5に示されるHLB11のショ糖脂
肪酸エステルとリゾチームを併用した場合、使用したリ
ゾチームの変性ピークとHLB11のショ糖脂肪酸エステ
の融解ピークは見出されるが、ガラス転移状態を現すピ
ークあるいは十分な新しいピークは見出すことができな
かった。
【0039】モノグリC8とリゾチームを併用したも
の、及びHLB11のショ糖脂肪酸エステルとリゾチー
ムを併用したものの場合は、いずれにおいても使用した
原料の変性あるいは溶解のピークがそれぞれ観察するこ
とができるが、図3と異なり、ガラス転移状態や新規の
ピークを発見することができなかった、すなわち、混合
併用しても新しい相互作用がモノグリC8とHLB11のシ
ョ糖脂肪酸エステルでは見出されなかったこと、つまり
複合体が形成されていない、もしくは十分な複合体が形
成されていないことが示された。
【0040】
【実施例1】蒸しギョウザ 豚ひき肉50%、キャベツ15%、はくさい15%、ニラ5.9%、
ラード5%、パン粉2%、しょう油4.5%、砂糖1%、食塩0.5
%、コショウ0.5%、調味料(サンライク旨味スーパーN
*)0.05%、グリシン0.5%、酢酸ナトリウム0.3%、酸性
メタリン酸ナトリウム0.01%、複合物0.1%(内訳:ショ
糖脂肪酸エステル(P15)0.05%+リゾチーム0.05%を粉体
混合し、65℃まで加温後、冷却し粉砕したもの)を水で
全量調製し、ギョウザの皮に15gずつ包む。充填後、125
℃20分で蒸し加熱した蒸しギョウザを30℃で1週間保持
したとき、耐熱性菌による腐敗が認められず、味風味と
もに良好であった。
【0041】
【実施例2】ポテトサラダ(加熱調理タイプ) じゃがいも(ゆでたもの)64%、きゅうり10%、にんじん
(ゆでたもの)10%、スライスハム2.5%、マヨネーズ13
%、食塩0.3%、レモン汁0.1%、こしょう0.1%、グリシン2
%、複合物0.07%(内訳:ショ糖脂肪酸エステル(P16)0.0
3%、リゾチーム0.01%、コハク酸モノク゛リ0.03%を粉体混合
し、65℃まで加温後、冷却し粉砕したもの)で全量を混
合し、レトルト容器に真空充填し、100℃30分間のレト
ルト殺菌したポトトサラダを55℃、7日間保管した時、
耐熱性菌による腐敗がなく、味、風味ともに良好であっ
た。
【0042】
【実施例3】ハンバーグ 豚ひき肉40%、牛ひき肉28%、タマネギソテー11%、パン
粉7.2%、牛乳9%、玉子5%、サンライクハンバーグシーズ
ニング0.5%、複合物0.15%(内訳:ショ糖脂肪酸エステ
ル(DKエステルSS、ステアリン酸70%、HLB=20)0.03%、
リゾチーム0.1%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(デカ
グリ、MSW760)0.02%を水を用いて溶解混合し、65℃ま
で加温した後、常法により噴霧乾燥したもの)の全量を
混合調製し、95gずつ成形し、オーブン(170℃)にて焼成
する(中心温度80℃達温)。40℃で6日間保管したと
き、耐熱性菌による腐敗はなく、味、風味ともに良好で
あった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】HLB値が15以上のショ糖脂肪酸エステ
    ルとリゾチームからなる複合体を含むことを特徴とする
    惣菜用の日持ち向上剤
  2. 【請求項2】HLB値15以上のショ糖脂肪酸エステル
    とリゾチームの複合体中の配合量がHLB値15以上の
    ショ糖脂肪酸エステル:リゾチーム=2:8〜8:2で
    ある請求項1記載の惣菜用の日持ち向上剤。
  3. 【請求項3】惣菜全体に対し0.001〜0.5重量%
    のHLB値15以上のショ糖脂肪酸エステルと、同じく
    惣菜全体に対し0.005〜0.1重量%のリゾチーム
    からなる請求項1及び2記載の惣菜用日持ち向上剤。
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