JP6472737B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は、電解質の両側に電極が配設される電解質・電極構造体とセパレータとを有する発電セルを備え、複数の前記発電セルが積層される積層体の積層方向両側には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設される燃料電池スタックに関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜を採用している。燃料電池は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノード電極が、前記固体高分子電解質膜の他方の面にカソード電極が、それぞれ配設された電解質膜・電極構造体(MEA)を備えている。アノード電極及びカソード電極は、それぞれ触媒層(電極触媒層)とガス拡散層(多孔質カーボン)とを有している。
電解質膜・電極構造体は、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持されることにより、発電セル(単位燃料電池)を構成している。この発電セルは、所定の数だけ積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。
燃料電池スタックでは、外部への放熱により他の発電セルに比べて温度低下が惹起され易い発電セルが存在している。例えば、積層方向端部に配置されている発電セル(以下、端部発電セルともいう)は、この端部発電セルに隣接するターミナルプレートやエンドプレート等からの放熱が多く、上記の温度低下が顕著になっている。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池が知られている。この燃料電池は、図6に示すように、複数のセルユニット1が積層された積層体2を備えている。積層体2の積層方向両端には、一対の集電板3a、3bが設けられ、前記集電板3a、3bの外側には、電気的絶縁のための一対の絶縁板4a、4bが設けられている。
絶縁板4a、4bの外側には、マニホールドプレート5a、5bが配置され、前記マニホールドプレート5a、5bにより燃料電池全体に締結力が付与されている。
各セルユニット1には、電極面方向に沿って、冷却水流路6が形成されるとともに、前記冷却水流路6の入口及び出口は、冷却水供給マニホールド7a及び導水マニホールド7bに連通している。
マニホールドプレート5aには、冷却水入口8aと冷却水出口8bとが形成されている。冷却水入口8aは、積層方向に連通する冷却水供給マニホールド7aに連通する一方、冷却水出口8bは、マニホールドプレート5bに上下に折り返して形成される冷却水流路9を介して導水マニホールド7bに連通している。
特開2001−68141号公報
しかしながら、上記の特許文献1では、特に、マニホールドプレート5bには、上下に折り返すようにして冷却水流路9が形成されており、前記マニホールドプレート5bの厚さ(積層方向の寸法)が相当に大きくなってしまう。このため、燃料電池全体として積層方向に長尺化し易く、前記燃料電池のコンパクト化を図ることができず、しかも、構成が複雑化するという問題がある。
本発明は、この種の問題を解決するものであり、簡単且つコンパクトな構成で、端部発電セルを良好に保温することができ、所望の発電性能を維持することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。また、本発明は、流路プレートの面内での温度分布を抑制することにより、燃料電池スタックの端部に発生する温度分布を抑制することを目的とする。
本発明に係る燃料電池スタックは、電解質の両側に電極が配設される電解質・電極構造体とセパレータとを有する発電セルを備えている。複数の発電セルが積層される積層体の積層方向両側には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設されている。
燃料電池スタックでは、電極面方向に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体流路と、前記冷却媒体流路に連通し積層方向に前記冷却媒体を流通させる冷却媒体連通孔とが設けられている。そして、冷却媒体連通孔は、互いに独立した第1冷却媒体入口連通孔及び第2冷却媒体入口連通孔と、互いに独立した第1冷却媒体出口連通孔及び第2冷却媒体出口連通孔と、を有している。
絶縁部材とエンドプレートとの間には、該エンドプレートのプレート面方向に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体通路が形成された流路プレートが配置されている。冷却媒体通路は、第1冷却媒体入口連通孔と第1冷却媒体出口連通孔とに連通する第1冷却媒体通路と、第2冷却媒体入口連通孔と第2冷却媒体出口連通孔とに連通する第2冷却媒体通路と、を有している。前記第1冷却媒体通路と前記第2冷却媒体通路に導入される前記冷却媒体は、前記冷却媒体流路を通って加温されたものである。
前記第1冷却媒体通路の前記冷却媒体の流量と、前記第2冷却媒体通路の前記冷却媒体の流量とを合計した流量が、前記冷却媒体通路全体の前記冷却媒体の流量である。ターミナルプレートには、電力取り出し端子が設けられ、前記電力取り出し端子は、前記第1冷却媒体通路と前記第2冷却媒体通路との間に配置されるとともに、前記エンドプレートのプレート面方向の中央よりも一端側に寄った位置に配置されており、これにより、前記冷却媒体通路は、前記エンドプレートのプレート面方向に関し、前記電力取り出し端子の位置を基準に、前記一端側の相対的に狭い領域と、前記一端側とは反対の他端側に相対的に広い領域とに設けられ、前記第1冷却媒体通路は、前記相対的に広い領域の全体に亘って設けられ、前記第2冷却媒体通路は、前記相対的に狭い領域の全体に亘って設けられている。第1冷却媒体通路を流通する冷却媒体の流量は、第2冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体の流量よりも多く設定されている。前記第1冷却媒体通路の通路断面積は、前記第2冷却媒体通路の通路断面積よりも大きく設定されている。前記第1冷却媒体通路及び前記第2冷却媒体通路は、それぞれ蛇行する通路形状を有する。
さらに、この燃料電池スタックでは、エンドプレートは、長方形に構成されるとともに、電力取り出し端子は、前記エンドプレートの長手方向にオフセットして配置されることが好ましい。
また、この燃料電池スタックでは、第1冷却媒体通路及び第2冷却媒体通路は、それぞれの通路長さが異なることが好ましい。
また、この燃料電池スタックでは、第1冷却媒体通路及び第2冷却媒体通路は、それぞれ冷却媒体を下方から上方に向けて流通させる部位及び水平方向に向けて流通させる部位だけを有することが好ましい。
本発明によれば、第1冷却媒体通路が設けられる表面積は、第2冷却媒体通路が設けられる表面積よりも大きく設定されている。その際、第1冷却媒体通路を流通する冷却媒体の流量は、第2冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体の流量よりも多く設定されている。このため、冷却媒体通路全体の流量を面内で均一にすることができ、燃料電池スタックの端部に発生する温度分布を抑制することが可能になる。
従って、簡単な構成で、積層体の端部に配置されている端部発電セルの温度低下を確実に阻止するとともに、前記端部発電セル全体の温度を一定に維持することができ、良好な発電性能を確保することが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの分解概略斜視図である。 前記燃料電池スタックの、図1中、II−II線断面図である。 前記燃料電池スタックを構成する発電セルの分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する一方の流路プレートの正面説明図である。 前記燃料電池スタックを構成する他方の流路プレートの正面説明図である。 特許文献1に開示されている燃料電池の概略説明図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10は、複数の発電セル12が水平方向(矢印A方向)、又は垂直方向(矢印C方向)に積層された積層体14を備える。燃料電池スタック10は、例えば、車載用燃料電池スタックとして燃料電池電気自動車(図示せず)に搭載される。
図1及び図2に示すように、積層体14の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート16a、絶縁部材18a、流路プレート20a及びエンドプレート22aが外方に向かって、順次、配設される。図1に示すように、積層体14の積層方向他端には、ターミナルプレート16b、絶縁部材18b、流路プレート20b及びエンドプレート22bが外方に向かって、順次、配設される。
燃料電池スタック10は、例えば、長方形に構成されるエンドプレート22a、22bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持される。なお、燃料電池スタック10は、例えば、矢印A方向に延在する複数のタイロッド(図示せず)により一体的に締め付け保持されてもよい。
発電セル12は、図2及び図3に示すように、第1金属セパレータ23、第1電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)(MEA)24a、第2金属セパレータ26、第2電解質膜・電極構造体(MEA)24b及び第3金属セパレータ28を設ける。第1金属セパレータ23、第2金属セパレータ26及び第3金属セパレータ28は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等の縦長形状の金属板により構成される。
なお、第1金属セパレータ23、第2金属セパレータ26及び第3金属セパレータ28に代えて、カーボンセパレータを用いてもよい。また、発電セル12は、単一のMEAを有し、前記MEAを第1セパレータと第2セパレータとの間に挟持して構成してもよい。
図2に示すように、第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜30を備える。固体高分子電解質膜30は、アノード電極32及びカソード電極34により挟持される。アノード電極32は、カソード電極34よりも小さな平面寸法を有する段差MEAを構成しているが、これとは逆に、前記カソード電極34よりも大きな平面寸法を有することもできる。また、アノード電極32とカソード電極34とは、同一の平面寸法に設定されてもよい。
アノード電極32及びカソード電極34は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子を前記ガス拡散層の表面に一様に塗布して形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜30の両面に形成される。
図3に示すように、発電セル12の長辺方向(矢印B方向)(水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス入口連通孔36a及び燃料ガス入口連通孔38aが設けられる。酸化剤ガス入口連通孔36aは、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給する。燃料ガス入口連通孔38aは、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給する。
発電セル12の長辺方向(矢印B方向)の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出する燃料ガス出口連通孔38b及び酸化剤ガスを排出する酸化剤ガス出口連通孔36bが設けられる。
発電セル12の短辺方向(矢印C方向)(鉛直方向)の両端縁部一方(酸化剤ガス入口連通孔36a側)には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するそれぞれ一対の冷却媒体入口連通孔40a1、40a2が設けられる。冷却媒体入口連通孔40a1、40a2は、水平方向に長尺な長方形開口部の長手方向の中間部位にリブ部41aを設けることにより、互いに独立して分割形成される。
発電セル12の短辺方向の他方(酸化剤ガス出口連通孔36b側)には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を排出するそれぞれ一対の冷却媒体出口連通孔40b1、40b2が設けられる。冷却媒体出口連通孔40b1、40b2は、水平方向に長尺な長方形開口部の長手方向の中間部位にリブ部41bを設けることにより、互いに独立して分割形成される。なお、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを入れ替えて構成してもよい。
第1金属セパレータ23の第1電解質膜・電極構造体24aに向かう面23aには、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する第1燃料ガス流路42が形成される。第1燃料ガス流路42は、複数本の波状又は直線状の流路溝を有する。
燃料ガス入口連通孔38aと第1燃料ガス流路42とは、複数の入口連結流路43aを介して連通する一方、燃料ガス出口連通孔38bと前記第1燃料ガス流路42とは、複数の出口連結流路43bを介して連通する。入口連結流路43a及び出口連結流路43bは、蓋体45a及び蓋体45bにより覆われる。第1金属セパレータ23の面23bには、それぞれ一対の冷却媒体入口連通孔40a1、40a2とそれぞれ一対の冷却媒体出口連通孔40b1、40b2とを連通する冷却媒体流路44の一部が形成される。
第2金属セパレータ26の第1電解質膜・電極構造体24aに向かう面26aには、酸化剤ガス入口連通孔36aと酸化剤ガス出口連通孔36bとを連通する第1酸化剤ガス流路46が形成される。第1酸化剤ガス流路46は、複数本の波状又は直線状の流路溝を有する。
第2金属セパレータ26の第2電解質膜・電極構造体24bに向かう面26bには、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する第2燃料ガス流路48が形成される。第2燃料ガス流路48は、複数本の波状又は直線状の流路溝を有する。
燃料ガス入口連通孔38aと第2燃料ガス流路48とは、複数の入口連結流路47aを介して連通する一方、燃料ガス出口連通孔38bと前記第2燃料ガス流路48とは、複数の出口連結流路47bを介して連通する。入口連結流路47a及び出口連結流路47bは、蓋体49a及び蓋体49bにより覆われる。
第3金属セパレータ28の第2電解質膜・電極構造体24bに向かう面28aには、酸化剤ガス入口連通孔36aと酸化剤ガス出口連通孔36bとを連通する第2酸化剤ガス流路50が形成される。第2酸化剤ガス流路50は、複数本の波状又は直線状の流路溝を有する。第3金属セパレータ28の面28bには、冷却媒体流路44の一部が形成される。
第1金属セパレータ23の面23a、23bには、この第1金属セパレータ23の外周端縁部を周回して第1シール部材52が一体成形される。第2金属セパレータ26の面26a、26bには、この第2金属セパレータ26の外周端縁部を周回して第2シール部材54が一体成形される。第3金属セパレータ28の面28a、28bには、この第3金属セパレータ28の外周端縁部を周回して第3シール部材56が一体成形される。
第1シール部材52、第2シール部材54及び第3シール部材56には、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
図1に示すように、ターミナルプレート16a、16bの面内中央から離間した位置には、積層方向外方に延在する電力取り出し端子58a、58bが設けられる。電力取り出し端子58a、58bは、好ましくは、冷却媒体流路44の冷却媒体入口連通孔40a1、40a2よりも冷却媒体出口連通孔40b1、40b2に近い位置に設定される。
絶縁部材18a、18bは、絶縁性材料、例えば、ポリカーボネート(PC)やフェノール樹脂等で形成されている。絶縁部材18aのターミナルプレート16aに対向する面には、中央部に矩形状の凹部60aが設けられるとともに、この凹部60aに孔部62aが連通する。ターミナルプレート16aの電力取り出し端子58aは、絶縁部材18aの孔部62a、流路プレート20aの孔部64a及びエンドプレート22aの孔部66aを介して外部に露出する。
絶縁部材18bのターミナルプレート16bに対向する面には、中央部に矩形状の凹部60bが設けられるとともに、この凹部60bに孔部62bが連通する。ターミナルプレート16bの電力取り出し端子58bは、孔部62bから流路プレート20bの孔部64b及びエンドプレート22bの孔部66bを介して外部に露呈する。
絶縁部材18a、18b、流路プレート20a、20b及びエンドプレート22aには、それぞれ一対の冷却媒体入口連通孔40a1、40a2及びそれぞれ一対の冷却媒体出口連通孔40b1、40b2が形成される。絶縁部材18b、流路プレート20b及びエンドプレート22bには、酸化剤ガス入口連通孔36a、酸化剤ガス出口連通孔36b、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bが形成される。
図1及び図4に示すように、流路プレート20aの絶縁部材18aに対向する面20asには、エンドプレート22aのプレート面方向に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体通路が形成される。
冷却媒体通路は、下方に配置される冷却媒体入口連通孔40a1(第1冷却媒体入口連通孔)と、上方に配置される冷却媒体出口連通孔40b1(第1冷却媒体出口連通孔)とに連通する第1冷却媒体通路68を有する。冷却媒体通路は、下方に配置される冷却媒体入口連通孔40a2(第2冷却媒体入口連通孔)と、上方に配置される冷却媒体出口連通孔40b2(第2冷却媒体出口連通孔)とに連通する第2冷却媒体通路70を有する。第1冷却媒体通路68と第2冷却媒体通路70に導入される冷却媒体は、冷却媒体流路44を通って加温されたものである
第1冷却媒体通路68は、複数本、例えば、7本の第1冷却媒体通路溝68aを有する。第1冷却媒体通路溝68aは、冷却媒体入口連通孔40a1を入口側とし、冷却媒体出口連通孔40b1を出口側とするサーペンタイン流路溝(蛇行する通路形状)を構成する。第1冷却媒体通路溝68aは、冷却媒体を下方から上方に向けて流通させる部位68a(v)及び水平方向に向けて流通させる部位68a(h)だけを有し、前記部位68a(v)と前記部位68a(h)とが交互に設けられる。
第2冷却媒体通路70は、複数本、例えば、4本の第2冷却媒体通路溝70aを有する。第2冷却媒体通路溝70aは、冷却媒体入口連通孔40a2を入口側とし、冷却媒体出口連通孔40b2を出口側とするサーペンタイン流路溝(蛇行する通路形状)を構成する。第2冷却媒体通路溝70aは、冷却媒体を下方から上方に向けて流通させる部位70a(v)及び水平方向に向けて流通させる部位70a(h)だけを有し、前記部位70a(v)と前記部位70a(h)とが交互に設けられる。
流路プレート20aの面20asにおいて、第1冷却媒体通路68が設けられる表面積は、第2冷却媒体通路70が設けられる表面積よりも大きく設定される。すなわち、面20as内では、第1冷却媒体通路68は、第2冷却媒体通路70よりも広範囲に亘って設けられる。第1冷却媒体通路68を流通する冷却媒体の流量は、第2冷却媒体通路70を流通する冷却媒体の流量よりも多く設定される。
第1冷却媒体通路溝68aの幅寸法t1は、第2冷却媒体通路溝70aの幅寸法t2よりも大きな寸法に設定される(t1>t2)。第1冷却媒体通路溝68a同士の間隔(リブ間隔)S1は、第2冷却媒体通路溝70a同士の間隔(リブ間隔)S2よりも小さな寸法に設定される(S1<S2)。第1冷却媒体通路68の深さを、第2冷却媒体通路70の深さよりも大きくしてもよい。
第1冷却媒体通路溝68aと第2冷却媒体通路溝70aとは、それぞれの通路断面積が異なる。具体的には、第1冷却媒体通路溝68aの通路断面積は、第2冷却媒体通路溝70aの通路断面積よりも大きく設定される。
図5に示すように、流路プレート20bの絶縁部材18bに対向する面20bsには、エンドプレート22bのプレート面方向に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体通路が形成される。
冷却媒体通路は、下方に配置される冷却媒体入口連通孔40a1(第1冷却媒体入口連通孔)と、上方に配置される冷却媒体出口連通孔40b1(第1冷却媒体出口連通孔)とに連通する第1冷却媒体通路72を有する。冷却媒体通路は、下方に配置される冷却媒体入口連通孔40a2(第2冷却媒体入口連通孔)と、上方に配置される冷却媒体出口連通孔40b2(第2冷却媒体出口連通孔)とに連通する第2冷却媒体通路74を有する。
第1冷却媒体通路72は、複数本、例えば、7本の第1冷却媒体通路溝72aを有する。第1冷却媒体通路溝72aは、冷却媒体入口連通孔40a1を入口側とし、冷却媒体出口連通孔40b1を出口側とするサーペンタイン流路溝(蛇行する通路形状)を構成する。第1冷却媒体通路溝72aは、冷却媒体を下方から上方に向けて流通させる部位72a(v)及び水平方向に向けて流通させる部位72a(h)だけを有し、前記部位72a(v)と前記部位72a(h)とが交互に設けられる。
第2冷却媒体通路74は、複数本、例えば、4本の第2冷却媒体通路溝74aを有する。第2冷却媒体通路溝74aは、冷却媒体入口連通孔40a2を入口側とし、冷却媒体出口連通孔40b2を出口側とするサーペンタイン流路溝(蛇行する通路形状)を構成する。第2冷却媒体通路溝74aは、冷却媒体を下方から上方に向けて流通させる部位74a(v)及び水平方向に向けて流通させる部位74a(h)だけを有し、前記部位74a(v)と前記部位74a(h)とが交互に設けられる。
流路プレート20bの面20bsにおいて、第1冷却媒体通路72が設けられる表面積は、第2冷却媒体通路74が設けられる表面積よりも大きく設定される。すなわち、面20bs内では、第1冷却媒体通路72は、第2冷却媒体通路74よりも広範囲に亘って設けられる。第1冷却媒体通路72を流通する冷却媒体の流量は、第2冷却媒体通路74を流通する冷却媒体の流量よりも多く設定される。
第1冷却媒体通路溝72aの幅寸法t3は、第2冷却媒体通路溝74aの幅寸法t4よりも大きな寸法に設定される(t3>t4)。第1冷却媒体通路溝72a同士の間隔(リブ間隔)s3は、第2冷却媒体通路溝74a同士の間隔(リブ間隔)s4よりも小さな寸法に設定される(s3<s4)。第1冷却媒体通路72の深さを、第2冷却媒体通路74の深さよりも大きくしてもよい。
第1冷却媒体通路溝72aと第2冷却媒体通路溝74aとは、それぞれの通路断面積が異なる。具体的には、第1冷却媒体通路溝72aの通路断面積は、第2冷却媒体通路溝74aの通路断面積よりも大きく設定される。
図1及び図2に示すように、絶縁部材18aの凹部60aには、断熱部材80及びターミナルプレート16aが収容される。断熱部材80は、例えば、それぞれ材質の異なる少なくとも第1断熱部材82と第2断熱部材84とを備え、前記第1断熱部材82と前記第2断熱部材84とが交互に積層される。第1断熱部材82は、例えば、金属プレートで構成される一方、第2断熱部材84は、例えば、多孔性カーボンプレートで構成される。図示しないが、絶縁部材18bの凹部60bにも、同様に断熱部材80及びターミナルプレート16bが収容される。
なお、断熱部材80は、例えば、波板状の2種類の金属プレートを交互に、例えば、2組(あるいは、3組)積層して構成してもよい。また、断熱部材80は、空孔を保持し且つ電気導電性を有する部材であればよく、電気導電性を有する発泡金属、ハニカム形状金属(ハニカム部材)、又は多孔質カーボン(例えば、カーボンペーパ)のいずれかにより構成してもよい。断熱部材80は、1枚でもよく、又は、複数枚を重ねてもよい。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、酸素含有ガス等の酸化剤ガスは、エンドプレート22bの酸化剤ガス入口連通孔36aに供給される。水素含有ガス等の燃料ガスは、エンドプレート22bの燃料ガス入口連通孔38aに供給される。一方、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体は、エンドプレート22aのそれぞれ一対の冷却媒体入口連通孔40a1、40a2に供給される。
酸化剤ガスは、図3に示すように、酸化剤ガス入口連通孔36aから第2金属セパレータ26の第1酸化剤ガス流路46及び第3金属セパレータ28の第2酸化剤ガス流路50に導入される。酸化剤ガスは、矢印B方向に移動して第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bの各カソード電極34に供給される。
一方、燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔38aから第1金属セパレータ23の第1燃料ガス流路42及び第2金属セパレータ26の第2燃料ガス流路48に導入される。燃料ガスは、第1燃料ガス流路42及び第2燃料ガス流路48に沿って矢印B方向に移動し、第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bの各アノード電極32に供給される。
従って、第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bでは、各カソード電極34に供給される酸化剤ガスと、各アノード電極32に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費されて発電が行われる。
次いで、各カソード電極34に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔36bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、各アノード電極32に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔38bに沿って矢印A方向に排出される。
また、図3に示すように、各冷却媒体入口連通孔40a1、40a2に供給された冷却媒体は、互いに隣接する第1金属セパレータ23と第3金属セパレータ28との間の冷却媒体流路44に導入される。冷却媒体は、互いに近接するように、矢印C方向に流通する。冷却媒体は、さらに矢印B方向(セパレータ長辺方向)に流通して第1電解質膜・電極構造体24a及び第2電解質膜・電極構造体24bを冷却する。次いで、冷却媒体は、互いに離間するように、矢印C方向に流通して各冷却媒体出口連通孔40b1、40b2から排出される。
この場合、本実施形態では、例えば、図1及び図4に示すように、流路プレート20aには、冷却媒体通路が形成されている。具体的には、下方の冷却媒体入口連通孔40a1と上方の冷却媒体出口連通孔40b1とに連通する第1冷却媒体通路68、及び、下方の冷却媒体入口連通孔40a2と上方の冷却媒体出口連通孔40b2とに連通する第2冷却媒体通路70を有している。
図4に示すように、流路プレート20aの面20asにおいて、第1冷却媒体通路68が設けられる表面積は、第2冷却媒体通路70が設けられる表面積よりも大きく設定されている。すなわち、面20as内では、第1冷却媒体通路68は、第2冷却媒体通路70よりも広範囲に亘って設けられている。
その際、第1冷却媒体通路68は、例えば、7本の第1冷却媒体通路溝68aを有する一方、第2冷却媒体通路70は、例えば、4本の第2冷却媒体通路溝70aを有している。さらに、第1冷却媒体通路溝68aの幅寸法t1は、第2冷却媒体通路溝70aの幅寸法t2よりも大きな寸法に設定されている。このため、第1冷却媒体通路68を流通する冷却媒体の流量は、第2冷却媒体通路70を流通する前記冷却媒体の流量よりも多く設定されている。
従って、冷却媒体通路全体の流量を、流路プレート20aの面20as内で均一にすることができ、燃料電池スタック10の端部に発生する温度分布を抑制することが可能になる。
従って、簡単な構成で、積層体14の端部に配置されている端部発電セル12end(図2参照)の温度低下を確実に阻止するとともに、前記端部発電セル12end全体の温度を一定に維持することができる。一方、流路プレート20b側でも、上記の流路プレート20aと同様の機能が得られる。これにより、積層体14全体として、すなわち、燃料電池スタック10全体として、良好な発電性能を確保することが可能になるという効果が得られる。
また、流路プレート20aでは、図4に示すように、第1冷却媒体通路溝68aは、冷却媒体を下方から上方に向けて流通させる部位68a(v)及び水平方向に向けて流通させる部位68a(h)だけを有している。このため、第1冷却媒体通路溝68aには、冷却媒体が上方から下方に流通した後に下方から上方に流通する部分が存在することがない。従って、第1冷却媒体通路溝68aの途上で、水溜まり又は水泡が発生することを可及的に抑制することができ、冷却効率を良好に維持することが可能になる。
さらに、第2冷却媒体通路溝70aでも、上記の第1冷却媒体通路溝68aと同様に構成されており、同様の効果が得られる。また、流路プレート20bでは、上記の流路プレート20aと同様に構成されており、同様の効果が得られる。
10…燃料電池スタック 12…発電セル
12end…端部発電セル 14…積層体
16a、16b…ターミナルプレート 18a、18b…絶縁部材
20a、20b…流路プレート 22a、22b…エンドプレート
23、26、28…金属セパレータ 24a、24b…電解質膜・電極構造体
30…固体高分子電解質膜 32…アノード電極
34…カソード電極 36a…酸化剤ガス入口連通孔
36b…酸化剤ガス出口連通孔 38a…燃料ガス入口連通孔
38b…燃料ガス出口連通孔 40a1、40a2…冷却媒体入口連通孔
40b1、40b2…冷却媒体出口連通孔
42、48…燃料ガス流路 44…冷却媒体流路
46、50…酸化剤ガス流路 52、54、56…シール部材
68、70、72、74…冷却媒体通路 68a、70a、72a、74a…冷却媒体通路溝
80…断熱部材

Claims (4)

  1. 電解質の両側に電極が配設される電解質・電極構造体とセパレータとを有する発電セルを備え、複数の前記発電セルが積層される積層体の積層方向両側には、ターミナルプレート、絶縁部材及びエンドプレートが配設されるとともに、電極面方向に沿って冷却媒体を流通させる冷却媒体流路と、前記冷却媒体流路に連通し積層方向に前記冷却媒体を流通させる冷却媒体連通孔とが設けられる燃料電池スタックであって、
    前記冷却媒体連通孔は、互いに独立した第1冷却媒体入口連通孔及び第2冷却媒体入口連通孔と、
    互いに独立した第1冷却媒体出口連通孔及び第2冷却媒体出口連通孔と、
    を有し、
    前記絶縁部材と前記エンドプレートとの間には、該エンドプレートのプレート面方向に沿って前記冷却媒体を流通させる冷却媒体通路が形成された流路プレートが配置されるとともに、
    前記冷却媒体通路は、前記第1冷却媒体入口連通孔と前記第1冷却媒体出口連通孔とに連通する第1冷却媒体通路と、
    前記第2冷却媒体入口連通孔と前記第2冷却媒体出口連通孔とに連通する第2冷却媒体通路と、
    を有し、
    前記第1冷却媒体通路と前記第2冷却媒体通路に導入される前記冷却媒体は、前記冷却媒体流路を通って加温されたものであり、
    前記第1冷却媒体通路の前記冷却媒体の流量と、前記第2冷却媒体通路の前記冷却媒体の流量とを合計した流量が、前記冷却媒体通路全体の前記冷却媒体の流量であり、
    前記ターミナルプレートには、電力取り出し端子が設けられ、
    前記電力取り出し端子は、前記第1冷却媒体通路と前記第2冷却媒体通路との間に配置されるとともに、前記エンドプレートのプレート面方向の中央よりも一端側に寄った位置に配置されており、これにより、前記冷却媒体通路は、前記エンドプレートのプレート面方向に関し、前記電力取り出し端子の位置を基準に、前記一端側の相対的に狭い領域と、前記一端側とは反対の他端側の相対的に広い領域とに設けられ、
    前記第1冷却媒体通路は、前記相対的に広い領域の全体に亘って設けられ、
    前記第2冷却媒体通路は、前記相対的に狭い領域の全体に亘って設けられ、
    前記第1冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体の流量は、前記第2冷却媒体通路を流通する前記冷却媒体の流量よりも多く、且つ前記第1冷却媒体通路の通路断面積は、前記第2冷却媒体通路の通路断面積よりも大きく設定され、
    前記第1冷却媒体通路及び前記第2冷却媒体通路は、それぞれ蛇行する通路形状を有することを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記エンドプレートは、長方形に構成されるとともに、
    前記電力取り出し端子は、前記エンドプレートの長手方向にオフセットして配置されることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1又は2記載の燃料電池スタックにおいて、前記第1冷却媒体通路及び前記第2冷却媒体通路は、それぞれの通路長さが異なることを特徴とする燃料電池スタック。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池スタックにおいて、前記第1冷却媒体通路及び前記第2冷却媒体通路は、それぞれ前記冷却媒体を下方から上方に向けて流通させる部位及び水平方向に向けて流通させる部位だけを有することを特徴とする燃料電池スタック。
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