JP6471927B2 - 窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、窒化ケイ素セラミックス基板製造方法関する。
窒化ケイ素(Si)は、熱伝導性と機械的強度に優れた材料であり、炭化ケイ素(SiC)半導体の放熱基板としての実用化が期待されている。窒化ケイ素の結晶構造は、六方晶系であり、c軸方向に粒成長することが知られている。また、窒化ケイ素は、c軸方向に高い熱伝導率を示すことから、c軸を特定方向に配向させることによって、高熱伝導率化が期待できる。
窒化ケイ素の製造方法としては、次のような方法が知られている。窒化ケイ素粉末と柱状のβ窒化ケイ素粒子の混合物に、焼結助剤として、酸化イットリウムと酸化ネオジウムを添加した混練体を調製する。次いで、その混練体を用いて、押出成形により、柱状のβ窒化ケイ素粒子を長手方向に配向させた成形体を作製する。次いで、その成形体を焼結して緻密化し、配向方向の熱伝導率が90W/mK以上の窒化ケイ素セラミックスを得る(例えば、特許文献1参照)。
また、窒化ケイ素の製造方法としては、次のような方法も知られている。90質量%以上のβ窒化ケイ素粒子と、α窒化ケイ素粒子と、焼結助剤とからなる混練体を調製する。次いで、その混練体を用いて、押出成形により、柱状のβ窒化ケイ素粒子を長手方向に配向させた成形体を作製する。次いで、その成形体を焼結して緻密化し、配向方向の熱伝導率が70W/mK以上の窒化ケイ素セラミックスを得る(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−194842号公報 特開2000−185986号公報
特許文献1や特許文献2のように、押出成形によって生じる応力を利用する配向方法では、β窒化ケイ素粒子の形状に依存した配向方向しか選択できなかった。そのため、特許文献1や特許文献2に記載されている製造方法により、板状の窒化ケイ素セラミックスを作製したとしても、板厚方向にβ窒化ケイ素粒子が配向したものは得られなかった。
また、従来の窒化ケイ素セラミックスの製造方法では、焼結助剤として、酸化アルミニウムが用いられている。しかしながら、酸化アルミニウムは、窒化ケイ素中に固溶するため、窒化ケイ素セラミックスの熱伝導率が低くなるという課題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、板厚方向に熱伝導率が高い窒化ケイ素セラミックス基板製造方法提供することを目的とする。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法は、柱状のβ窒化ケイ素粒子を含んでなる基板であって、前記β窒化ケイ素粒子のc軸が前記基板の厚み方向に配向しており、前記β窒化ケイ素粒子のうち90%以上の粒子は、前記基板の厚み方向に対するc軸の傾きが±20度以内であり、前記β窒化ケイ素粒子のうち50%以上の粒子は、前記基板の厚み方向に対するc軸の傾きが±5度以内である窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法であって、平均粒径が0.1〜0.5μmのα窒化ケイ素粉および平均粒径が0.1〜0.5μmのβ窒化ケイ素粉からなる窒化ケイ素粉、平均粒径が0.5μm以上の種結晶β窒化ケイ素粉および焼結助剤を含む原料粉を、分散剤を含む溶媒に加えて、前記原料粉と前記溶媒を攪拌、混合しながら、前記溶媒に前記原料粉を分散させて、前記原料粉および前記溶媒からなるスラリーを調製する工程と、前記スラリーを成形用の型に容れて、前記型の厚み方向に沿う中心軸を中心とした回転磁場中で前記スラリーを乾燥し、前記原料粉からなる成形体を成形する工程と、前記成形体をガス圧焼結法により焼結する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記種結晶β窒化ケイ素粉は、平均粒径が0.5μm以上、短軸径に対する長軸径の比(長軸径/短軸径)が3.0以下であることが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記原料粉に対する前記種結晶β窒化ケイ素粉の配合割合は、0.1〜10質量%であることが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記焼結助剤は、希土類酸化物、遷移金属酸化物および典型金属酸化物から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において前記回転磁場の強さは、3テスラ(T)以上であることが好ましい
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記ガス圧焼結法による前記成形体の焼結を、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記ガス圧焼結法による前記成形体の焼結温度は1850〜1950℃、焼結時間は0.5〜60時間、前記窒素雰囲気の圧力は0.2〜10MPaであることが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記β窒化ケイ素粒子の短軸径に対する長軸径の比(長軸径/短軸径)は、2.5以上であることが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記β窒化ケイ素粒子のc軸の配向度は、0.5以上であることが好ましい。
本発明の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法において、前記基板の厚み方向における熱伝導率は、100W/mK以上であることが好ましい。
本発明によれば、β窒化ケイ素粒子のc軸が板厚方向に配向し、板厚方向に熱伝導率が高い板状の窒化ケイ素セラミックスが得られる。
本発明の窒化ケイ素セラミックスの一実施形態を示し、板状の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向に沿う断面を示す模式図である。 窒化ケイ素セラミックスを走査型電子顕微鏡で観察した画像データをもとにして、β窒化ケイ素粒子の粒子形状を線画で抽出した画像データを示す図である。 図2に示す画像データを、画像データを解析ソフトにて2値化した後、抽出した粒子を対象として、絶対最大長AB、パターン幅CD、パターン方向を計測する方法を説明する図である。 実施例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。 実施例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と垂直な面を示す走査型電子顕微鏡像である。 実施例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。 実施例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と垂直な面を示す走査型電子顕微鏡像である。 実施例3の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。 実施例3の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と垂直な面を示す走査型電子顕微鏡像である。 比較例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。 比較例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。
本発明の窒化ケイ素セラミックスおよびその製造方法、並びに、窒化ケイ素セラミックスを備えた半導体素子の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「窒化ケイ素セラミックス」
図1は、本発明の窒化ケイ素セラミックスの一実施形態を示し、板状の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向に沿う断面を示す模式図である。
本実施形態の窒化ケイ素セラミックス10は、柱状のβ窒化ケイ素粒子11を含んでいる基板12であって、β窒化ケイ素粒子11のc軸(長軸方向)が基板12の厚み方向(図1における紙面の上下方向)に配向している構造を有するものである。
窒化ケイ素セラミックス10は、後述するように、β窒化ケイ素粉を含む原料を焼結してなる焼結体である。
なお、図1に示す断面図において、多数の長方形状の物体は全て、β窒化ケイ素粒子11を示す。すなわち、窒化ケイ素セラミックス10は、多数のβ窒化ケイ素粒子11が密集してなるものである。そして、多数のβ窒化ケイ素粒子11のc軸は、基板12の厚み方向に配向している。多数のβ窒化ケイ素粒子11のc軸が基板12の厚み方向に配向しているとは、多数のβ窒化ケイ素粒子11のc軸が基板12の厚み方向に沿って揃っていることを言う。
また、β窒化ケイ素粒子11は、六角柱状をなしている。
また、窒化ケイ素セラミックス10において、β窒化ケイ素粒子11のc軸の基板12の厚み方向に対する傾き、すなわち、β窒化ケイ素粒子11のc軸が基板12の厚み方向となす角度は、±5度〜±20度であることが好ましく、±5度未満であることがより好ましい。より詳細には、窒化ケイ素セラミックス10において、多数のβ窒化ケイ素粒子のうち90%以上の粒子は、基板12の厚み方向に対するc軸の傾きが±20度以内であり、多数のβ窒化ケイ素粒子のうち50%以上の粒子は、基板12の厚み方向に対するc軸の傾きが±5度以内であることが好ましい。
多数のβ窒化ケイ素粒子11のc軸の基板12の厚み方向に対する傾きが上記の範囲内であれば、多数のβ窒化ケイ素粒子11のc軸が基板12の厚み方向に配向していると言える。
ここで、β窒化ケイ素粒子11のc軸の傾きを、以下のようにして求める。
窒化ケイ素セラミックスを走査型電子顕微鏡で観察した画像データをもとにして、図2に示すように、β窒化ケイ素粒子の粒子形状を線画で抽出した画像データを作成する。
この画像データを解析ソフト(有限会社デジタル・ビーイング・キッズ製、PopImaging)にて2値化した後、抽出した全粒子を対象として、図3に示す絶対最大長AB、パターン幅CD、パターン方向を計測する。絶対最大長ABは、パターン領域の輪郭線上の任意の2点間の距離の最大値である。パターン幅CDは、絶対最大長ABの方向にパターン領域をはさむ2直線間の距離である。パターン方向は、画像の垂直方向と絶対最大長ABのなす角度θである。β窒化ケイ素粒子11のc軸の基板12の厚み方向に対する傾きは、パターン方向に相当する。
β窒化ケイ素粒子11の短軸径(図1に示すd)に対する長軸径(図1に示すl)の比(長軸径/短軸径)、すなわち、アスペクト比は、2.5以上であることが好ましく、5.0以上であることがより好ましい。
β窒化ケイ素粒子11のアスペクト比が上記の範囲内であれば、多数のβ窒化ケイ素粒子11が密集してなる窒化ケイ素セラミックス10は、基板12の厚み方向に熱伝導率が高いものとなる。
ここで、β窒化ケイ素粒子11のアスペクト比を、以下のようにして求める。
窒化ケイ素セラミックスを走査型電子顕微鏡で観察した画像データをもとにして、図2に示すように、β窒化ケイ素粒子の粒子形状を線画で抽出した画像データを作成する。
この画像データを解析ソフト(有限会社デジタル・ビーイング・キッズ製、PopImaging)にて2値化した後、抽出した全粒子を対象として、図3に示す絶対最大長AB、パターン幅CD、パターン方向を計測する。絶対最大長ABは、パターン領域の輪郭線上の任意の2点間の距離の最大値である。パターン幅CDは、絶対最大長ABの方向にパターン領域をはさむ2直線間の距離である。アスペクト比は、パターン幅CDに対する絶対最大長ABの比(AB/CD)である。
β窒化ケイ素粒子11のc軸の配向度は、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。
β窒化ケイ素粒子11のc軸の配向度が上記の範囲内であれば、窒化ケイ素セラミックス10は、基板12の厚み方向に熱伝導率が高いものとなる。
なお、β窒化ケイ素粒子11のc軸の配向度が1の場合、全てのβ窒化ケイ素粒子11のc軸が基板12の厚み方向に配向していることになるため、配向度が1に近いことが好ましい。
β窒化ケイ素粒子11のc軸の配向度は、X線回折(X−ray diffraction、XRD)によって得られたピーク強度の比によって算出されるものである。詳細には、下記の式(1)で示されるLotgering法により、Lotgering Factorを求めた。
上記の式(1)におけるρは、配向していない窒化ケイ素セラミックスにおいて、回折X線の2θ範囲が20.0度から70.0度の間に出現した全回折反射の強度の合計と、回折面指数が002の回折反射の強度とを用いて、下記の式(2)によって求められる。
上記の式(2)におけるΣI(hkl)は、2θ範囲が20.0度から70.0度の間に出現した全回折反射の強度の合計を表し、上記の式(2)におけるΣI(00l)は、回折面指数が002の回折反射の強度を表す。
また、上記の式(1)におけるρは、配向した窒化ケイ素セラミックスにおいて、回折X線の2θ範囲が20.0度から70.0度の間に出現した全回折反射の強度の合計と、回折面指数が002の回折反射の強度とを用いて、下記の式(3)によって求められる。
上記の式(3)におけるΣI(hkl)は、2θ範囲が20.0度から70.0度の間に出現した全回折反射の強度の合計を表し、上記の式(3)におけるΣI(00l)は回折面指数が002の回折反射の強度を表す。
また、後述する窒化ケイ素セラミックスの製造方法において、原料の組成から求めた計算密度を真密度としたとき、β窒化ケイ素粒子を含む原料の焼結体である窒化ケイ素セラミックス10の相対密度は、99%以上である。すなわち、窒化ケイ素セラミックス10は緻密な構造をなしている。
焼結体の相対密度は、アルキメデス法(JIS Z 8807)により測定する。測定溶媒としては、蒸留水を用いる。
このような構成の窒化ケイ素セラミックス10は、基板12の厚み方向における熱伝導率が100W/mK以上であり、基板12の厚み方向において熱伝導率が高くなっている。したがって、窒化ケイ素セラミックス10を、炭化ケイ素半導体の放熱基板として使用した場合、炭化ケイ素半導体が発生する熱を効率的に放出(放熱)することができる。ゆえに、炭化ケイ素半導体と、窒化ケイ素セラミックス10と、を備えた半導体素子は、放熱効率に優れたものとなる。
また、窒化ケイ素セラミックス10は、β窒化ケイ素粒子11のc軸が基板12の厚み方向に配向しているので、機械的強度が高くなっている。
「窒化ケイ素セラミックスの製造方法」
次に、本実施形態の窒化ケイ素セラミックスの製造方法を説明する。
窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉および焼結助剤を含む原料粉を、分散剤を含む溶媒に加えて、原料粉と溶媒を攪拌、混合しながら、原料粉および溶媒に超音波による振動を加え、溶媒に原料粉を分散させて、原料粉および溶媒からなるスラリーを調製する(工程A)。
窒化ケイ素粉は、平均粒径が0.1〜0.5μmのα窒化ケイ素粉およびβ窒化ケイ素粉からなるものが好ましい。また、窒化ケイ素粉の代わりに、シリコン粉末を用いることもできる。この場合は、成形後の窒化工程によりシリコンを窒化ケイ素に転換する。
また、種結晶β窒化ケイ素粉は、レーザー回折法で測定した一次粒子を球形と仮定した場合の平均粒径が0.5μm以上、短軸径に対する長軸径の比(長軸径/短軸径)、すなわち、アスペクト比は、3.0以下であることが好ましい。
なお、窒化ケイ素粉(α窒化ケイ素粉およびβ窒化ケイ素粉)や種結晶β窒化ケイ素粉の粒径は、上述のβ窒化ケイ素粒子11のアスペクト比の測定方法に準ずる方法により測定される。
焼結助剤としては、酸化イットリウムなどの希土類酸化物、酸化ハフニウムなどの遷移金属酸化物、酸化アルミニウムを除く酸化マグネシウムや二酸化ケイ素などの典型金属酸化物が用いられる。
焼結助剤は、β窒化ケイ素粒子の結晶粒の成長を促し、窒化ケイ素セラミックスの相対密度を高くするために用いられる。また、これらの焼結助剤は、窒化ケイ素に固溶しない。
溶媒としては、主に水や、キシレン、トルエン、エタノールなどの有機溶媒が用いられる。
分散剤としては、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、高級脂肪酸エステルなどが用いられる。
窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉および焼結助剤を含む原料粉において、それぞれの成分の配合割合は、窒化ケイ素粉:β窒化ケイ素粉:酸化ハフニウム:酸化イットリウム:二酸化ケイ素=82〜87質量%:0.1〜10質量%:2.5〜10質量%:2.5〜5質量%:0.2〜1.0質量%、または、窒化ケイ素粉:種結晶β窒化ケイ素粉:酸化イットリウム:二酸化マグネシウム=82〜94質量%:0.1〜10質量%:1〜10質量%:1〜10質量%であることが好ましい。
窒化ケイ素粉と、種結晶β窒化ケイ素粉と、焼結助剤との配合割合を上記の範囲内とすることにより、β窒化ケイ素粒子のc軸が基板の厚み方向に配向し、かつ相対密度が高い窒化ケイ素セラミックスが得られる。
また、上記の原料粉と溶媒との配合割合は、原料粉:溶媒=10〜30体積%:70〜90体積%であることが好ましい。
原料粉と溶媒との配合割合を上記の範囲内とすることにより、窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉、焼結助剤を溶媒に分散することができる。
さらに、窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉および焼結助剤を含む原料粉に対する分散剤の添加量は、原料粉100質量%に対して、1.0〜1.5質量%であることが好ましい。
工程Aでは、上記の原料粉と溶媒を、マグネチックスターラーや攪拌翼などの攪拌装置で攪拌、混合しながら、原料粉および溶媒に、例えば、超音波ホモジナイザーなどの超音波発生装置から発した超音波による振動を加え、溶媒に原料粉を分散させる。これにより、窒化ケイ素粉の二次粒子がばらばらになり、窒化ケイ素の一次粒子として溶媒に分散するとともに、種結晶β窒化ケイ素の二次粒子がばらばらになり、種結晶β窒化ケイ素の一次粒子として溶媒に分散する。
なお、本実施形態では、原料粉および溶媒に超音波による振動を加えた場合を例示したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。本実施形態にあっては、超音波以外の手段を用いて、原料粉および溶媒を分散させてもよい。
原料粉と溶媒を攪拌することと、原料粉および溶媒に超音波による振動を加える(超音波処理)こととは同時に行われるが、超音波処理時間は、5分以上であることが好ましく、25〜30分であることがより好ましい。
超音波処理時間を上記の範囲内とすることにより、種結晶β窒化ケイ素の二次粒子をばらばらにして、種結晶β窒化ケイ素の一次粒子とすることができる。
次いで、工程Aで調製したスラリーを成形用の型に容れて、その型の厚み(高さ)方向に沿う中心軸を中心とした回転磁場中で前記スラリーを乾燥し、上記の原料粉からなる成形体を成形する(工程B)。
工程Bでは、スラリーを乾燥して成形体を成形するとともに、回転磁場により、スラリーに含まれる種結晶β窒化ケイ素の一次粒子のc軸を成形用の型の厚み方向に配向させる。
工程Bにおいて、回転磁場の強さは、3テスラ(T)以上であることが好ましく、10テスラ(T)以上であることがより好ましい。
回転磁場の強さを上記の範囲とすることにより、スラリーに含まれる種結晶β窒化ケイ素の一次粒子のc軸を成形用の型の厚み方向に配向させることができる。
また、工程Bにおいて、成形用の型に容れたスラリーを乾燥する温度は、15〜30℃であることが好ましく、15〜20℃であることがより好ましい。
また、成形用の型に容れたスラリーを乾燥する時間は、20分以上であることが好ましく、12時間以上であることがより好ましい。
成形用の型に容れたスラリーを乾燥する温度および時間を上記の範囲内とすることにより、回転磁場により、スラリーに含まれる種結晶β窒化ケイ素の一次粒子のc軸を成形用の型の厚み方向に配向させながら、型の形状に沿った形状をなす成形体を成形することができる。なお、得られた成形体では、種結晶β窒化ケイ素の一次粒子のc軸を成形用の型の厚み方向(成形体の厚み方向)に配向した状態が維持されている。
次いで、工程Bで成形した成形体を型から離型し、その成形体をガス圧焼結法により焼結し(工程C)、柱状のβ窒化ケイ素粒子を含んでなる基板であって、β窒化ケイ素粒子のc軸が基板の厚み方向に配向した板状の窒化ケイ素セラミックス(焼結体)を得る。
工程Cでは、ガス圧焼結法による成形体の焼結を、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
成形体の焼結を窒素雰囲気下で行うことにより、単結晶のβ窒化ケイ素粒子の粒成長を促すことができる。
また、工程Cでは、ガス圧焼結法による成形体の焼結温度は、1850〜1950℃であることが好ましい。
また、成形体を焼結する時間は、0.5〜60時間であることが好ましい。
さらに、窒素雰囲気の圧力は、0.2〜10MPaであることが好ましい。
ガス圧焼結法による成形体の焼結温度、焼結時間、および、窒素雰囲気の圧力を上記の範囲内とすることにより、上記のように、β窒化ケイ素粒子のアスペクト比が2.5以上であり、β窒化ケイ素粒子のc軸が基板の厚み方向に配向した窒化ケイ素セラミックスが得られる。
また、工程Cでは、工程Bで成形した成形体をガス圧焼結法により焼結することにより、スラリーに含まれていた、アスペクト比が3以下の種結晶β窒化ケイ素の一次粒子が成長して、アスペクト比が2.5以上のβ窒化ケイ素粒子となり、このβ窒化ケイ素粒子が多数密集して、緻密な構造をなす窒化ケイ素セラミックスとなる。
ここで、スラリーに含まれていた種結晶β窒化ケイ素粒子(一次粒子)が成長する過程を説明する。
上記の成形体を焼結する温度まで加熱すると、成形体に含まれるα窒化ケイ素粒子(一次粒子)の表面に存在する二酸化ケイ素と焼結助剤が融解して、種結晶β窒化ケイ素粒子の周囲で液相を形成する。
そして、その液相にα窒化ケイ素が溶解して、種結晶β窒化ケイ素粒子の表面にα窒化ケイ素が移動し、種結晶β窒化ケイ素粒子の表面でα窒化ケイ素が結晶化することにより、β窒化ケイ素粒子が短軸方向および長軸方向(c軸方向)に成長する。なお、β窒化ケイ素粒子は六角柱状に成長する。
本実施形態の窒化ケイ素セラミックスの製造方法によれば、β窒化ケイ素粒子のc軸が基板の厚み方向に配向し、かつ相対密度が高く、厚み方向における熱伝導率が高い板状の窒化ケイ素セラミックスを製造することができる。また、焼結助剤として、酸化アルミニウムのように窒化ケイ素に固溶するものを用いることなく、窒化ケイ素に固溶しないものを用いるので、厚み方向における熱伝導率が高い板状の窒化ケイ素セラミックスを製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉および焼結助剤を含む原料粉を、分散剤を含む純水に加えて、原料と純水をマグネチックスターラーで攪拌、混合しながら、原料粉および純水に、超音波ホモジナイザーから発する超音波による振動を加え、純水に原料粉を分散させて、原料粉および純水からなるスラリーを調製した。原料粉と純水の攪拌、並びに、原料粉および純水に対する超音波による振動の印加を5分間行った。
窒化ケイ素粉としては、宇部興産社製のSN−E10を用いた。種結晶β窒化ケイ素粉としては、電気化学工業社製のNP−500を用いた。
焼結助剤として、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、二酸化ケイ素を用いた。
分散剤として、ポリエチレンイミンを用いた。
窒化ケイ素粉と、種結晶β窒化ケイ素粉と、酸化ハフニウムと、酸化イットリウムと、二酸化ケイ素との配合割合を、窒化ケイ素粉:種結晶β窒化ケイ素粉:酸化ハフニウム:酸化イットリウム:二酸化ケイ素=82質量%:10質量%:5質量%:2.5質量%:0.5質量%とした。
また、原料粉(窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、二酸化ケイ素)に対するポリエチレンイミンの添加量を、原料粉100質量%に対して、1.5質量%とした。
次いで、上記のように調製したスラリー4mlを深さ2.5cm、内径2.5cmの円筒形状の成形用の型に容れて、その型の厚み方向に沿う中心軸を中心とした回転磁場中でスラリーを乾燥し、上記の原料粉からなる成形体を成形した。
なお、回転磁場の強さは、10テスラ(T)とした。また、スラリーの乾燥時間を12時間とした。
次いで、上記のように成形した成形体を型から離型し、窒素雰囲気下、その成形体をガス圧焼結法により焼結して、厚み0.3cm、直径2cmの円盤状の窒化ケイ素セラミックス(焼結体)を得た。
なお、ガス圧焼結法による成形体の焼結温度の最高温度を1900℃、最高温度の保持時間を6時間、窒素雰囲気の圧力を0.9MPaとした。
「実施例2」
窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉および焼結助剤を含む原料粉を、分散剤を含むトルエンに加えて、原料とトルエンをマグネチックスターラーで攪拌、混合しながら、原料粉およびトルエンに、超音波ホモジナイザーから発する超音波による振動を加え、トルエンに原料粉を分散させて、原料粉およびトルエンからなるスラリーを調製した。原料粉とトルエンの攪拌、並びに、原料粉およびトルエンに対する超音波による振動の印加を30分間行った。
窒化ケイ素粉としては、宇部興産社製のSN−E10を用いた。種結晶β窒化ケイ素粉としては、電気化学工業社製のNP−500を用いた。
焼結助剤として、酸化イットリウム、酸化マグネシウムを用いた。
分散剤として、高級脂肪酸エステル(商品名:アジスパーPN−411、味の素社製)を用いた。
窒化ケイ素粉と、種結晶β窒化ケイ素粉と、酸化イットリウムと、酸化マグネシウムとの配合割合を、窒化ケイ素粉:種結晶β窒化ケイ素粉:酸化イットリウム:酸化マグネシウム=82質量%:2質量%:5質量%:2質量%とした。
また、原料粉(窒化ケイ素粉、種結晶β窒化ケイ素粉、酸化イットリウム、酸化マグネシウム)に対する高級脂肪酸エステルの添加量を、原料粉100質量%に対して、3.0質量%とした。
以下、実施例1と同様にして、厚み0.3cm、直径2cmの円盤状の窒化ケイ素セラミックス(焼結体)を得た。
「実施例3」
窒化ケイ素粉と、種結晶β窒化ケイ素粉と、酸化イットリウムと、酸化マグネシウムとの配合割合を、窒化ケイ素粉:種結晶β窒化ケイ素粉:酸化イットリウム:酸化マグネシウム=82質量%:1質量%:5質量%:2質量%とした以外は実施例1と同様にして、厚み0.3cm、直径2cmの円盤状の窒化ケイ素セラミックス(焼結体)を得た。
「比較例1」
回転磁場中でスラリーを乾燥することなく、成形体を成形した以外は実施例1と同様にして、厚み0.3cm、直径2cmの円盤状の窒化ケイ素セラミックス(焼結体)を得た。
「比較例2」
回転磁場中でスラリーを乾燥することなく、成形体を成形した以外は実施例2と同様にして、厚み0.3cm、直径2cmの円盤状の窒化ケイ素セラミックス(焼結体)を得た。
「評価」
実施例1〜3並びに比較例1および2の窒化ケイ素セラミックスについて、配向度、相対密度および熱伝導率を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例1〜3および比較例の窒化ケイ素セラミックスについて、プラズマエッチング面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、窒化ケイ素セラミックスの微細構造を観察した。結果を図4〜図11に示す。
「配向度の測定」
粉末X線回折装置(商品名:MultiFlex 2kW、Rigaku製)を用い、測定角度(2θ)範囲を20°〜70°、測定面を、窒化ケイ素粒子セラミックスの厚さ方向に対して垂直な断面とし、Lotgering法により、実施例1の窒化ケイ素セラミックスの配向度を測定した結果、配向度は0.7であった。回転磁場中でスラリーを乾燥したことにより、β窒化ケイ素粒子のc軸が厚み方向に高度に配向した板状の窒化ケイ素セラミックスが得られていることが確認された。
実施例1と同様にして、Lotgering法により、実施例2の窒化ケイ素セラミックスの配向度を測定した結果、配向度は0.6であった。回転磁場中でスラリーを乾燥したことにより、β窒化ケイ素粒子のc軸が厚み方向に高度に配向した板状の窒化ケイ素セラミックスが得られていることが確認された。
実施例1と同様にして、Lotgering法により、実施例3の窒化ケイ素セラミックスの配向度を測定した結果、配向度は0.5であった。回転磁場中でスラリーを乾燥したことにより、β窒化ケイ素粒子のc軸が厚み方向に高度に配向した板状の窒化ケイ素セラミックスが得られていることが確認された。
実施例1と同様にして、Lotgering法により、比較例1および2の窒化ケイ素セラミックスの配向度を測定した結果、配向度は0であった。β窒化ケイ素粒子のc軸が厚み方向に高度に配向していないことが確認された。
「相対密度の測定」
実施例1の窒化ケイ素セラミックスは、原料の組成から求めた計算密度(3.318g/cm)を真密度としたとき、相対密度が99%であった。
実施例2の窒化ケイ素セラミックスは、原料の組成から求めた計算密度(3.250g/cm)を真密度としたとき、相対密度が98%であった。
実施例3の窒化ケイ素セラミックスは、原料の組成から求めた計算密度(3.250g/cm)を真密度としたとき、相対密度が98%であった。
比較例1の窒化ケイ素セラミックスは、原料の組成から求めた計算密度(3.318g/cm)を真密度としたとき、相対密度が98%であった。
比較例2の窒化ケイ素セラミックスは、原料の組成から求めた計算密度(3.250g/cm)を真密度としたとき、相対密度が98%であった。
このように、実施例1〜3並びに比較例1および2において、緻密な窒化ケイ素セラミックスが得られた。
「熱伝導率の測定」
レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(商品名:TC−9000H、ULVAC社製)を用い、室温で、レーザーフラッシュ法により、実施例1〜3並びに比較例1および2の窒化ケイ素セラミックスの熱拡散率αを測定した。ここでは、イオンスパッタ装置(商品名:E−1030、日立ハイテク社製)を用いて、窒化ケイ素セラミックスの片面にAuコーティングを施した後、市販のカーボンスプレーにより、窒化ケイ素セラミックスの両面にカーボンコーティングを施したものを試料とした。
上記のようにして測定した熱拡散率αと、アルキメデス法で求めた密度ρとを用いて、下記の式(4)より、実施例1〜3並びに比較例1および2の窒化ケイ素セラミックスの熱伝導率κを算出した。
κ=ρ・α・Cp (4)
ここで、比熱Cpは、一般的な窒化ケイ素の比熱0.68kJ/kg・Kを用いた。
実施例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向(磁場に対して垂直方向)に対する熱伝導率κは、102W/m・Kであった。
実施例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向(磁場に対して垂直方向)に対する熱伝導率κは、149W/m・Kであった。
実施例3の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向(磁場に対して垂直方向)に対する熱伝導率κは、112W/m・Kであった。
比較例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向の熱伝導率κは、65W/m・Kであった。
比較例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向の熱伝導率κは、55W/m・Kであった。
「微細構造の観察:実施例1、比較例1について」
走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−6390LV、日本電子社製)を用いて、実施例1および比較例1の窒化ケイ素セラミックスの微細構造を観察した。ここでは、窒化ケイ素セラミックスの観察面を鏡面研磨し、その観察面をプラズマエッチングした後、イオンスパッタ装置(商品名:JFC−1100、日本電子社製)を用いて、その観察面にAuコーティングを施したものを試料とした。
図4は、実施例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。図5は、実施例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と垂直な面(ここでは、上面)を示す走査型電子顕微鏡像である。図10は、比較例1の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。
図4の走査型電子顕微鏡像から、実施例の窒化ケイ素セラミックスは、磁場に対して垂直な面(厚み方向と平行な断面)では、c軸方向に成長し、かつ、大きさ粒径が所定の範囲内にある柱状のβ窒化ケイ素粒子が緻密に整列している様子が観察された。
一方、図10の走査型電子顕微鏡像から、比較例の窒化ケイ素セラミックスは、磁場に対して垂直な面(厚み方向と平行な断面)では、粒径にばらつきがあるβ窒化ケイ素粒子がランダムに存在する様子が観察された。
実施例1と比較例1を比較すると、実施例1の窒化ケイ素セラミックスは、アスペクト比が大きく、長軸径が長く、短軸径が短く、粒径のばらつきが小さいことが確認された。
このように、顕著で均一なβ窒化ケイ素粒子の成長は、β窒化ケイ素粒子の種結晶(一次粒子)に回転磁場を印加したことにより、その種結晶のc軸が配向し、β窒化ケイ素粒子の成長の方向が揃ったため、柱状のβ窒化ケイ素粒子同士の成長の阻害が抑制されたことに起因すると考えられる。
一方、図5の走査型電子顕微鏡像から、実施例1の窒化ケイ素セラミックスは、磁場に対して平行な面(厚み方向と垂直な断面)では、等方的に成長した六角形粒子のみが観察され、柱状のβ窒化ケイ素粒子が高度に配向している様子が確認された。
「微細構造の観察:実施例2、比較例2について」
走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−6390LV、日本電子社製)を用いて、実施例2および比較例2の窒化ケイ素セラミックスの微細構造を観察した。ここでは、窒化ケイ素セラミックスの観察面を鏡面研磨し、その観察面をプラズマエッチングした後、イオンスパッタ装置(商品名:JFC−1100、日本電子社製)を用いて、その観察面にAuコーティングを施したものを試料とした。
図6は、実施例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。図7は、実施例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と垂直な面(ここでは、上面)を示す走査型電子顕微鏡像である。図11は、比較例2の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。
図6の走査型電子顕微鏡像から、実施例2の窒化ケイ素セラミックスは、磁場に対して垂直な面(厚み方向と平行な断面)では、c軸方向に成長し、かつ、大きさ粒径が所定の範囲内にある柱状のβ窒化ケイ素粒子が緻密に整列している様子が観察された。一方、図11の走査型電子顕微鏡像から、比較例2の窒化ケイ素セラミックスは、粒径にばらつきがあるβ窒化ケイ素粒子がランダムに存在する様子が観察された。
実施例2と比較例2を比較すると、実施例2の窒化ケイ素セラミックスは、アスペクト比の大きい粒子が厚さ方向に配列した緻密な構造が観察された。また、実施例2と、図4に示す酸化ハフニウムを添加した実施例1と比較すると、実施例2の窒化ケイ素セラミックスは、粒子が明らかに成長しており、全体的に図4で観察されたような微細粒子はほとんど見られなかった。
一方、図7の走査型電子顕微鏡像から、実施例2の窒化ケイ素セラミックスは、磁場に対して平行な面(厚み方向と垂直な断面)では、等方的に成長した六角形粒子のみが観察され、柱状のβ窒化ケイ素粒子が高度に配向している様子が確認された。
「微細構造の観察:実施例3について」
走査型電子顕微鏡(商品名:JSM−6390LV、日本電子社製)を用いて、実施例3の窒化ケイ素セラミックスの微細構造を観察した。ここでは、窒化ケイ素セラミックスの観察面を鏡面研磨し、その観察面をプラズマエッチングした後、イオンスパッタ装置(商品名:JFC−1100、日本電子社製)を用いて、その観察面にAuコーティングを施したものを試料とした。
図8は、実施例3の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と平行な断面を示す走査型電子顕微鏡像である。図9は、実施例3の窒化ケイ素セラミックスの厚み方向と垂直な面(ここでは、上面)を示す走査型電子顕微鏡像である。
図8の走査型電子顕微鏡像から、実施例3の窒化ケイ素セラミックスは、磁場に対して垂直な面(厚み方向と平行な断面)では、c軸方向に成長し、かつ、大きさ粒径が所定の範囲内にある柱状のβ窒化ケイ素粒子が緻密に整列している様子が観察された。
実施例3と比較例2を比較すると、実施例3の窒化ケイ素セラミックスは、アスペクト比の大きい粒子が厚さ方向に配列した緻密な構造が観察された。また、実施例3と、図4に示す酸化ハフニウムを添加した実施例1と比較すると、実施例3の窒化ケイ素セラミックスは、粒子が明らかに成長しており、全体的に図4で観察されたような微細粒子はほとんど見られなかった。
一方、図9の走査型電子顕微鏡像から、実施例3の窒化ケイ素セラミックスは、磁場に対して平行な面(厚み方向と垂直な断面)では、等方的に成長した六角形粒子のみが観察され、柱状のβ窒化ケイ素粒子が高度に配向している様子が確認された。
表1の結果から、実施例1〜3の窒化ケイ素セラミックスは、比較例1および2の窒化ケイ素セラミックスよりも熱伝導率が高いことが分かった。
10・・・窒化ケイ素セラミックス、11・・・β窒化ケイ素粒子、12・・・基板。

Claims (10)

  1. 柱状のβ窒化ケイ素粒子を含んでなる基板であって、
    前記β窒化ケイ素粒子のc軸が前記基板の厚み方向に配向しており、
    前記β窒化ケイ素粒子のうち90%以上の粒子は、前記基板の厚み方向に対するc軸の傾きが±20度以内であり、前記β窒化ケイ素粒子のうち50%以上の粒子は、前記基板の厚み方向に対するc軸の傾きが±5度以内である窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法であって、
    平均粒径が0.1〜0.5μmのα窒化ケイ素粉および平均粒径が0.1〜0.5μmのβ窒化ケイ素粉からなる窒化ケイ素粉、平均粒径が0.5μm以上の種結晶β窒化ケイ素粉および焼結助剤を含む原料粉を、分散剤を含む溶媒に加えて、前記原料粉と前記溶媒を攪拌、混合しながら、前記溶媒に前記原料粉を分散させて、前記原料粉および前記溶媒からなるスラリーを調製する工程と、
    前記スラリーを成形用の型に容れて、前記型の厚み方向に沿う中心軸を中心とした回転磁場中で前記スラリーを乾燥し、前記原料粉からなる成形体を成形する工程と、
    前記成形体をガス圧焼結法により焼結する工程と、を有することを特徴とする窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  2. 前記種結晶β窒化ケイ素粉は、平均粒径が0.5μm以上、短軸径に対する長軸径の比(長軸径/短軸径)が3.0以下であることを特徴とする請求項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  3. 前記原料粉に対する前記種結晶β窒化ケイ素粉の配合割合は、0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項またはに記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  4. 前記焼結助剤は、希土類酸化物、遷移金属酸化物および典型金属酸化物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  5. 前記回転磁場の強さは、3テスラ(T)以上であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  6. 前記ガス圧焼結法による前記成形体の焼結を、窒素雰囲気下で行うことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  7. 前記ガス圧焼結法による前記成形体の焼結温度は1850〜1950℃、焼結時間は0.5〜60時間、前記窒素雰囲気の圧力は0.2〜10MPaであることを特徴とする請求項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  8. 前記β窒化ケイ素粒子の短軸径に対する長軸径の比(長軸径/短軸径)は、2.5以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  9. 前記β窒化ケイ素粒子のc軸の配向度は、0.5以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
  10. 前記基板の厚み方向における熱伝導率は、100W/mK以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の窒化ケイ素セラミックス基板の製造方法。
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