JP6468956B2 - 基板処理方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)に対して、燐酸を含む処理液を供給して処理を行う基板処理方法及びその装置に関する。
従来、この種の方法として、燐酸を含む処理液を約160℃の高温に加熱し、その処理液を処理槽に貯留し、処理液にシリコン製の基板を浸漬させることにより、例えば、基板に成膜されている窒化膜(SiN)をエッチングする基板処理方法がある(例えば、特許文献1参照)。
燐酸溶液を含む処理液によるエッチング処理では、処理を制御しやすくするために、酸化膜(SiO)及び窒化膜のエッチングレートの比率である選択比をできるだけ高く所定範囲内に収めるようにしている。具体的には、処理液中にシリコンを意図的に溶解させることで選択比を所定範囲内に収めている。
ところで、同じ処理液で処理を継続すると、基板の処理枚数や処理時間などに応じて基板から溶出したシリコンが処理液中に蓄積していくので、処理液中におけるシリコン濃度(シロキ酸(SiO成分)濃度とも呼ばれる)が高くなる。すると、その処理液における酸化膜(SiO)及び窒化膜のエッチングレートがともに低下してゆくが、窒化膜のエッチングレートの低下度合いが酸化膜のエッチングレートの低下度合いよりも低い。そのため、相対的に窒化膜のエッチングレートが酸化膜のエッチングレートよりも高くなって、所望する選択比よりも高くなる傾向となる。そこで、選択比が上記の所定範囲を超える場合や、処理液が劣化して処理に不適である場合には、処理液の一部あるいは全部を定期的に交換する必要がある。
特開2010−86982号公報
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の方法は、基板を処理液で処理した後、処理槽から引き上げて基板を水洗処理して処理液を洗い流した後に、基板をパーティクルカウンタで計測すると、基板から多くのパーティクルが検出されることがある。つまり、上述したように処理を制御しやすくした処理液による処理では、基板のパーティクル性能が低下することがあるという問題がある。また、選択比を高く維持して処理を行う関係上、選択比が所定範囲を超えることによる処理液の交換頻度が高いという問題もある。処理液の交換頻度を抑制することは、スループットに大きく影響するので、重要な問題である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、選択比を高く維持し処理液の交換頻度を少なくしつつも、パーティクル性能を向上させることができる基板処理方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
処理液から基板を引き上げた後、基板を水洗するまでの間に基板や基板に付着している処理液の温度が低下すると、基板に付着している処理液中に溶け込んでいるシリコンが飽和するので、シリコンが基板に析出する。したがって、基板に析出したシリコンがパーティクルとして検出されるので、パーティクル性能が低下することが判明した。このような知見に基づく本発明は、次のように構成されている。
すなわち、請求項1に記載の発明は、燐酸を含む処理液で基板を処理する基板処理方法において、前記処理液を所定温度に加熱し、加熱された処理液に基板を浸漬させることにより、基板に対する処理を行う浸漬処理過程と、前記基板を水洗処理する水洗過程と、をその順で実施するとともに、前記浸漬処理過程を実施した後、前記水洗過程を実施するまでの間に前記基板に対して燐酸を含む抑制液を供給する供給過程を実施することを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、浸漬処理過程にて基板を処理液で処理した後、基板に付着した処理液を洗い流すために水洗過程を実施する。その際に、処理液や基板の温度が低下したり、処理液の量が急激に減少したりすることにより、処理液中のシリコンが飽和して基板に析出する現象が生じる。基板面におけるシリコンの析出がパーティクル性能を低下させているので、浸漬処理過程から水洗過程に移行するまでの間に、基板に抑制液を供給する。これにより、基板面における燐酸の量が増加するので、シリコンが飽和して析出することを抑制でき、パーティクル性能を向上できる。また、処理液中におけるシリコンの濃度が高くなっても処理後にシリコンの析出を抑制できるので、処理液における選択比を維持し処理液の交換頻度を少なくできる。
また、本発明において、前記供給過程は、前記浸漬処理過程から前記水洗過程へ移行する際に基板が処理液面から露出した時点から実施されることが好ましい(請求項2)。
浸漬処理過程にて基板が処理液面から露出した時点から抑制液を供給するので、シリコンの析出を早いタイミングで抑制できる。したがって、よりパーティクル性能を向上できる。
また、本発明において、前記供給過程は、前記浸漬処理過程が実施されるチャンバ内で実施されることが好ましい(請求項3)。
同じ燐酸を含むチャンバ内で供給過程を実施するので、抑制液を基板に供給しても、使用した抑制液の回収を容易に行うことができる。
また、本発明において、前記供給過程は、前記処理液を貯留する処理槽の上方で実施され、前記処理槽を開閉するカバーを閉止した状態であることが好ましい(請求項4)。
同じ燐酸が含まれる抑制液であっても、処理槽内に貯留されている処理液に混合されると、処理液中のシリコン濃度が変動して処理に影響を与える恐れがある。したがって、カバーを閉止することにより、処理液中におけるシリコンの濃度変動を抑制することができる。
また、本発明において、前記抑制液は、前記浸漬処理過程における処理液の温度と同じ温度であることが好ましい(請求項5)。
抑制液が処理液と同じ温度であるので、温度が低下せず処理液中のシリコンが飽和し難くできる。したがって、シリコンの析出をさらに抑制できる。
また、本発明において、前記抑制液は、前記浸漬処理過程における処理液中のシリコン濃度よりも低いシリコン濃度であることが好ましい(請求項6)。
抑制液が処理液のシリコン濃度よりも低いので、抑制液を供給することによってシリコンが析出することを抑制できる。また、処理液に抑制液が混入したとしても、処理液におけるシリコン濃度が高くなる方向に変動することを抑制できるので、浸漬処理過程における処理への悪影響を抑制できる。
また、請求項7に記載の発明は、燐酸を含む処理液で基板を処理する基板処理装置において、処理液を貯留し、所定温度に加熱された処理液に基板を浸漬させて基板に対する処理を行う処理槽と、純水を貯留し、前記処理槽で処理された基板を純水に浸漬させて水洗処理を行う水洗槽と、燐酸を含む抑制液を基板に対して供給する抑制液供給手段と、前記処理槽で処理された基板を前記水洗槽へ移動させるまでの間に、前記抑制液供給手段から抑制液を供給させる制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項7に記載の発明によれば、制御手段は、処理槽で処理された基板を水洗槽へ移動させるまでの間に、抑制液供給手段から抑制液を供給させる。これにより、基板面における燐酸の量が増加するので、シリコンが飽和して析出することを抑制でき、パーティクル性能を向上できる。また、処理液中におけるシリコンの濃度が高くなっても処理後にシリコンの析出を抑制できるので、処理液における選択比を維持し処理液の交換頻度を少なくできる。
本発明に係る基板処理方法によれば、浸漬処理過程にて基板を処理液で処理した後、基板に付着した処理液を洗い流すために水洗過程を実施する。その際に、処理液や基板の温度が低下したり、処理液の量が急激に減少したりすることにより、処理液中のシリコンが飽和して基板に析出する現象が生じる。基板面におけるシリコンの析出がパーティクル性能を低下させているので、浸漬処理過程から水洗過程に移行するまでの間に、基板に抑制液を供給する。これにより、基板面における燐酸の量が増加するので、シリコンが飽和して析出することを抑制でき、パーティクル性能を向上できる。また、処理液中におけるシリコンの濃度が高くなっても処理後にシリコンの析出を抑制できるので、処理液における選択比を維持し処理液の交換頻度を少なくできる。
実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。 エッチング処理部の構成を示す縦断面図である。 累積エッチング厚さと酸化膜及び窒化膜のエッチングレートとを示すグラフである。 エッチング処理におけるエッチングの選択比と部分液交換の関係をタイムチャートである。 シリコン濃度と温度との関係を示すグラフである。 処理状態を示す模式図である。 処理状態を示す模式図である。 処理状態を示す模式図である。 処理状態を示す模式図である。 処理状態を示す模式図である。 処理状態を示す模式図である。 抑制液の供給態様の変形例を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示すブロック図である。
基板Wは、例えば、シリコン製であり、表面に酸化膜(SiO)と窒化膜(SiN)が成膜されている。基板処理装置は、この基板Wに対して浸漬処理によるエッチング処理及び水洗処理を行う。エッチング処理は、エッチング処理部1で実施され、水洗処理は、水洗処理部3で実施される。
エッチング処理部1は、チャンバ5と、回収槽7と、内槽9と、外槽11と、リフタ13とを備えている。チャンバ5は、回収槽7の全体を囲い、リフタ13が基板Wを搬入や搬出を行うための搬入出口15を上部に備えている。チャンバ5の内部には、回収槽7が配置され、回収槽7の内部には、内槽9と外槽11とが配置されている。
内槽9は、燐酸を含む処理液が下部から供給される。内槽9の上縁から外部へ溢れる処理液は、外槽11によって回収される。リフタ13は、複数枚の基板Wを起立姿勢で保持可能に構成され、チャンバ5の外部と、内部の少なくとも二箇所に移動可能に構成されている。リフタ13の内部における少なくとも二箇所は、例えば、内槽9の内部にあたる「処理位置」と、内槽9の上方にあたる「供給位置」とである。処理位置は、内槽9による浸漬処理であるエッチング処理を行う高さ位置であり、供給位置は、後述する抑制液を供給する高さ位置である。
上述した内槽9と外槽11の上部には、開閉自在の一対のカバー17が取り付けられている。一対のカバー17は、内槽9と外槽11の開口部を露出させた開放状態と、内槽9と外槽11の開口部を閉塞した閉塞状態とにわたって開閉動作を行う。また、一対のカバー17は、中央部が両端部よりも高い位置となるように傾斜して配置されている。一対のカバー17の両端部は、平面視で回収槽7の開口部に収まっている。
チャンバ5は、回収槽7と、内槽9と、外槽11との上方かつ搬入出口15より下方の両内壁の対向位置に、上下方向に離間して二つの供給ノズル19が取り付けられている。供給ノズル19は、供給位置にある基板Wに対して後述する抑制液を供給する。
上述した内槽9と外槽11とは、循環配管21で連通接続されており、循環配管21を介して内槽9に供給された処理液が外槽11から循環配管21に流通する。循環配管21には、外槽11側から内槽9側に向かって、第1分岐管23と、第2分岐管25と、三方弁27,29と、ポンプ31と、インラインヒータ33と、フィルタ35とが設けられている。
第1分岐管23は、循環配管21を流通する処理液を少量だけ取り込むためのものである。この第2分岐管23には、シリコン濃度モニタ37が取り付けられている。シリコン濃度モニタ37は、第1分岐管23により取り込んだ処理液中のシリコン濃度を測定する。シリコン濃度を監視することで、処理液の適不適が判断できるようになっている。
第2分岐管25は、内槽9と、外槽11と、循環配管21の内部に貯留している処理液を外部へ排出させるために用いられる。第2分岐管25は、開閉弁39が設けられている。この開閉弁39は、通常の処理の際には閉止され、処理液を排液する際には開放される。
三方弁27は、循環配管21を流通する処理液を燐酸再生ユニット41に取り込む。と三方弁29は、燐酸再生ユニット41で再生された燐酸を含む処理液を循環配管21に戻す。燐酸再生ユニット41は、処理液中のシリコン濃度を下げる機能を有する。具体的には、取り込んだ処理液を冷却手段(不図示)で強制的に冷却して、処理液中に溶解しているシリコンを析出させ、析出物をフィルタで濾過して処理液中のシリコン濃度を下げる。この燐酸再生ユニット41は、シリコン濃度モニタ37によって監視されていた処理液のシリコン濃度が処理に不適な状態になった場合に使用される。この燐酸再生ユニット41を稼働させることにより、処理液の交換頻度を低減することができる。
ポンプ31は、循環配管21に貯留する処理液を内槽9に圧送する。インラインフィルタ33は、循環配管21を流通している処理液を処理温度(例えば160℃)に加熱する。フィルタ35は、循環配管21を流通している処理液中のパーティクルを濾過して除去する。
4個の供給ノズル19には、供給管43の一端側が連通接続されている。供給管43の他端側は、調整タンク45に連通接続されている。調整タンク45は、シリコン濃度や温度が調整された抑制液が貯留されている。供給管43は、開閉弁47を備え、開閉弁47が開放されると、4個の供給ノズル19から調整タンク45内の抑制液が供給される。調整タンク45には、下部と上部に循環配管49が連通接続されている。循環配管49は、調整タンク45の下部である上流側から順にポンプ51と、インラインヒータ53と、フィルタ55とが配置されている。ポンプ51は、抑制液を循環配管49で圧送し、インラインヒータ53は、例えば、流通する抑制液を処理液と同じ温度に加熱する。フィルタ55は、循環配管49を流通する抑制液に含まれているパーティクルを濾過して除去する。
調整タンク45には、抑制液源(不図示)から燐酸を含む抑制液が供給される。そして、インラインヒータ53で抑制液を処理温度に加熱しつつポンプ51で循環させる。これにより、抑制液の温度を処理温度に精度良く加熱できる。抑制液源から調整タンク45に供給される抑制液は、シリコン濃度が処理液中のシリコン濃度より低くされていることが好ましい。
水洗処理部3は、チャンバ57内に、内槽59と、外槽61とを備えている。チャンバ57は、リフタ13が基板Wを搬入や搬出を行うための搬入出口62を上部に有する。内槽59は、純水を貯留し、基板Wを保持したリフタ13を受け入れて、基板Wに対して水洗処理を行う。内槽59と外槽61とは、循環配管63で連通接続されている。循環配管63の外槽61側から内槽59側に向かって順にポンプ65と、インラインヒータ67と、フィルタ69とが配置されている。ポンプ65は、循環配管63内の純水を圧送し、インラインヒータ67は、循環配管65内の純水を所定温度に加熱し、フィルタ69は、循環配管65を流通する純水中のパーティクルを除去する。
上述したリフタ13は、エッチング処理部1と水洗処理部3との間を移動可能に構成されている。水洗処理部3内では、内槽59の内部にあたる「処理位置」と、内槽59の上方にあたる「待機位置」とにわたって移動可能である。
上述した各部は、CPUなどを備えた制御部71によって統括的に制御される。具体的には、リフタ13の移動動作、カバー17の開閉動作、三方弁27,29及び開閉弁39,47の開閉動作、燐酸再生ユニット41の処理動作、ポンプ31,51,65の動作、インラインヒータ33,53,67による温調動作などが制御部71によって行われる。
ここで、図2を参照して、上述したエッチング処理部1の詳細について説明する。なお、図2は、エッチング処理部の構成を示す縦断面図である。
上述したように、チャンバ5は、内壁の上下方向に離間して二つの供給ノズル19が取り付けられ、合計4個の供給ノズル19が配置されている。各供給ノズル19は、抑制液を扇状に拡げて広範囲に供給する。その供給は、内槽9の上方にあたる供給位置(図2中の実線で示す位置)に位置している基板Wの全面が抑制液で覆われるように行われる。このとき、カバー17は、閉止されており、基板Wに向けて供給された抑制液は、内槽9及び外槽11に流れ込まないようにされている。カバー17を流下した抑制液は、回収槽7によって回収される。
なお、上述した内槽9が本発明における「処理槽」に相当し、内槽59が本発明における「水洗槽」に相当する。また、上述した供給ノズル19が本発明における「抑制液供給手段」に相当し、制御部71が本発明における「制御手段」に相当する。
ここで、図3〜図5を参照して、本実施例における処理液、つまり、燐酸を含む燐酸溶液である処理液について説明する。なお、図3は、累積エッチング厚さと酸化膜及び窒化膜のエッチングレートとを示すグラフであり、図4は、エッチング処理におけるエッチングの選択比と部分液交換の関係をタイムチャートであり、図5は、シリコン濃度と温度との関係を示すグラフである。
燐酸を含む処理液は、基板Wに成膜された窒化膜をエッチングすることができる。しかし、基板Wには酸化膜も成膜されており、この酸化膜も同様にエッチングされる。但し、処理液に含まれるシリコンの濃度によって窒化膜と酸化膜のエッチングレートが低下していく。図3に示すように、窒化膜に比較して酸化膜のエッチングレートは、累積エッチング厚さが増えるにしたがって大きく下がっているので、相対的に窒化膜のエッチングレートが高くなる。つまり、窒化膜の選択比が高くなるので、処理液中におけるシリコン濃度が高くなるのは、窒化膜のエッチング処理には好適である。
但し、シリコン濃度が高すぎると、基板Wに付着している処理液のシリコンが飽和して基板Wにシリコンが析出することに起因して、パーティクル性能が低下するという問題がある。そこで、図4に示すように、燐酸を含む処理液を生成した後、窒化膜を成膜されたダミー基板をエッチング処理部1で処理し、処理液中にシリコンを溶け込ませる(t1時点まで)。そして、選択比が下限LPと上限UPとの間の処理範囲TRに入った状態で、製品となる基板Wの処理を開始する。なお、上限UPを越える符号SSPは、シリコン(シロキ酸)が飽和する選択比を表している。選択比が上限UPに達した場合(例えばt2,t4時点)には、処理液の一部を排出して、その量に応じた処理液の新液を補充する部分液交換を実施して、選択比を下限LPの近くにまで下げることが行われる(例えばt3,t5時点)。
なお、図5に示すシリコン濃度と温度との関係を示すグラフから明らかなように、シリコンを溶存させておくことができる量は、温度に依存していることがわかる。具体的には、160℃では、120PPM程度のシリコン濃度で飽和が生じず、40℃では、40PPM程度の濃度しか飽和しない状態にできず、20℃では、18PPM程度の濃度しか飽和しない状態にできないことがわかる。つまり、温度が高いほどシリコンが析出しないことがわかる。そのため、上述した抑制液は、処理液と同じ160℃の処理温度に温調されて基板Wに供給され、シリコンが析出し難くされている。これらのことから、上述した抑制液は、処理温度と同じ高温であるか、処理液におけるシリコン濃度よりも低いことが好ましい。
次に、図6から図11を参照して、基板Wに対するエッチング処理について説明する。なお、図6〜図11は、処理状態を示す模式図である。
まず、制御部71は、処理液を循環させつつ、処理液の温度が処理温度である160℃になるようにインラインヒータ33によって温調する。なお、この処理液は、選択比が図4で示した処理範囲TR内にあるものとする。そして、処理液の温度が160℃に達したら、カバー17を開放させた状態で、リフタ13をチャンバ5内に移動させる(図6)。そして、内槽9内の処理位置にリフタ13を下降させるとともに、カバー17を閉止させる(図7)。この状態を処理時間(例えば、180秒間)だけ維持させて、基板Wに対してエッチング処理を施す。
なお、上記のエッチング処理が本発明における「浸漬処理過程」に相当する。
処理時間が経過すると、制御部71は、カバー17を開放させるとともに、リフタ13を供給位置に上昇させ、カバー17を閉止させる(図8)。そして、制御部71は、開閉弁47を開放させる。すると、供給ノズル19から抑制液が供給され、供給位置にある基板Wの全体に抑制液が所定時間(例えば、10秒間)だけ供給される(図9)。これにより、選択比が高くされている処理液で覆われている基板Wが、供給位置に上昇されて基板Wの温度が低下して処理液中に溶解しているシリコンが飽和し、基板Wにシリコンが析出することを抑制できる。このとき、供給された抑制液は、カバー17の両側へ流下して回収槽7で回収される。
なお、上記の抑制液の供給が本発明における「供給過程」に相当する。
次に、基板Wに対して水洗処理を施す。なお、水洗処理部3は、内槽59に対して所定温度に温調された純水が供給され、溢れた純水が外槽61に回収されて循環されているものとする。
制御部71は、リフタ13をエッチング処理部1の搬入出口15から搬出させ、水洗処理部3の上方へ移動させる(図10)。このとき、基板Wの温度が低下するが、基板Wには抑制液が供給された後であるので、シリコンが析出することはない。
次に、制御部71は、リフタ13を下降させて、水洗処理部3の内槽59の純水に基板Wを浸漬させる(図11)。この状態を所定時間だけ継続させ、基板Wを水洗処理する。この水洗処理によっても基板Wの温度が低下するが、基板Wには抑制液が供給された後であるので、シリコンが析出することはない。制御部71は、水洗処理を終えると、リフタ13を上昇させた後、図示しない乾燥処理部で乾燥処理を行わせる。
なお、上記の水洗処理が本発明における「水洗過程」に相当する。
上述したように、本実施例によると、制御部71は、エッチング処理部1で処理液による処理を施された基板Wを水洗処理部3へ移動させるまでの間に、供給ノズル19から抑制液を供給させる。これにより、基板W面における燐酸の量が増加するので、シリコンが飽和して析出することを抑制でき、パーティクル性能を向上できる。また、エッチング処理部1における処理液中におけるシリコンの濃度が高くなっても処理後にシリコンの析出を抑制できるので、処理液における選択比を維持し処理液の交換頻度を少なくできる。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、エッチング処理部1のチャンバ5内で基板Wに対して抑制液を供給しているが、本発明はこのような抑制液の供給形態に限定されない。本発明は、処理液によるエッチング処理を終えた後、基板Wを水洗処理するまでに抑制液を供給すればよいので、エッチング処理部1の外部で基板Wに抑制液を供給したり、水洗処理部3で内槽59の純水に基板Wを浸漬するまでに、チャンバ57内で基板Wに抑制液を供給したりするようにしてもよい。換言すると、基板Wの温度が低下して処理液中のシリコンが析出する前に抑制液を供給すればよい。
(2)上述した実施例では、内槽9の処理液中から基板Wの全体が露出した後に供給位置で抑制液を供給したが、本発明はこのような形態に限定されない。本発明は、例えば、図12に示すようなタイミングで基板Wに抑制液を供給してもよい。つまり、リフタ13で基板Wが上昇され始め、基板Wの一部(上縁)が処理液の液面から露出した時点から抑制液を供給し始めるようにしてもよい。これにより、シリコンの析出を早いタイミングで抑制できるので、よりパーティクル性能を向上できる。
(3)上述した実施例では、抑制液を供給する供給ノズル19を内壁の高さ方向に離間させて2個設けているが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。つまり、基板Wの全体に抑制液を供給できれば、供給ノズル19を1個だけとしてもよい。
(4)上述した実施例では、エッチング処理部1の供給位置に基板Wを上昇させた後、カバー17を閉止させて抑制液が内槽9に流れ込まないようにしたが、本発明はカバー17を閉止させることが必須ではない。つまり、抑制液を供給ノズル19から供給する時間が短時間であるので、内槽9に抑制液が流れ込んでも処理液におけるエッチングレートに影響を与え難いので、カバー17を開放させておいてもよい。これにより、回収槽7を配置する必要がなくなり、構成を簡易化できて装置コストを抑制できる。
(5)上述した実施例では、抑制液の温度を処理液の温度と同じ温度としているが、本発明は、そのような温度設定に限定されない。つまり、図5のグラフのように、シリコンが飽和せずに溶解できる温度以上の温度設定であればよい。また、実施例における抑制液のシリコン濃度は、処理液中のシリコン濃度より低いとしたが、処理液よりも抑制液の温度が高ければ処理液のシリコン濃度よりも抑制液のシリコン濃度が高くてもよい。抑制液は基板Wに短時間だけ流しかけるものであるので、処理液より温度が高くてもエッチングが進行したり選択比が変動するなど基板W面に対する悪影響はない。
W … 基板
1 … エッチング処理部
3 … 水洗処理部
5,57 … チャンバ
7 … 回収槽
9,59 … 内槽
11,61 … 外槽
13 … リフタ
21,49,63 … 循環配管
31,51,65 … ポンプ
33,53,67 … インラインヒータ
71 … 制御部
LP … 下限
UP … 上限
TR … 処理範囲

Claims (7)

  1. 燐酸を含む処理液で基板を処理する基板処理方法において、
    前記処理液を所定温度に加熱し、加熱された処理液に基板を浸漬させることにより、基板に対する処理を行う浸漬処理過程と、
    前記基板を水洗処理する水洗過程と、
    をその順で実施するとともに、
    前記浸漬処理過程を実施した後、前記水洗過程を実施するまでの間に前記基板に対して燐酸を含む抑制液を供給する供給過程を実施することを特徴とする基板処理方法。
  2. 請求項1に記載の基板処理方法において、
    前記供給過程は、前記浸漬処理過程から前記水洗過程へ移行する際に基板が処理液面から露出した時点から実施されることを特徴とする基板処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の基板処理方法において、
    前記供給過程は、前記浸漬処理過程が実施されるチャンバ内で実施されることを特徴とする基板処理方法。
  4. 請求項3に記載の基板処理方法において、
    前記供給過程は、前記処理液を貯留する処理槽の上方で実施され、前記処理槽を開閉するカバーを閉止した状態であることを特徴とする基板処理方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法において、
    前記抑制液は、前記浸漬処理過程における処理液の温度と同じ温度であることを特徴とする基板処理方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の基板処理方法において、
    前記抑制液は、前記浸漬処理過程における処理液中のシリコン濃度よりも低いシリコン濃度であることを特徴とする基板処理方法。
  7. 燐酸を含む処理液で基板を処理する基板処理装置において、
    処理液を貯留し、所定温度に加熱された処理液に基板を浸漬させて基板に対する処理を行う処理槽と、
    純水を貯留し、前記処理槽で処理された基板を純水に浸漬させて水洗処理を行う水洗槽と、
    燐酸を含む抑制液を基板に対して供給する抑制液供給手段と、
    前記処理槽で処理された基板を前記水洗槽へ移動させるまでの間に、前記抑制液供給手段から抑制液を供給させる制御手段と、
    を備えていることを特徴とする基板処理装置。
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