JP6468152B2 - エアバッグの折畳完了体とエアバッグ - Google Patents

エアバッグの折畳完了体とエアバッグ Download PDF

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Description

本発明は、車両の車内側における窓の上縁側に、取り付けられ、かつ、折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張し、窓の車内側を覆う構成のエアバッグの折畳完了体とエアバッグに関する。
従来、頭部保護エアバッグ装置のエアバッグでは、車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張して窓の車内側を覆う構成のバッグ本体と、バッグ本体の上縁側から延びて、バッグ本体を窓の上縁側に取り付ける複数の取付片部と、を備えて構成されていた(例えば、特許文献1,2参照)。そして、取付片部がバッグ本体の上縁から突出する長さ寸法を長くしている場合には、エアバッグを折り畳んでなる折畳完了体を窓の上縁側の適正位置に取り付ける際、折畳完了体が窓側に露出しないように、取付片部の長さ寸法を短くするために、取付片部を折り畳み、さらに、その折畳形状を維持できるように、エアバッグの展開膨張時に破断可能な縫合糸による縫製を行なったり、あるいは、取付片部の折り重ねた部位に破断可能なテープ材を巻き付けていた。
特開2011−068159号公報 米国特許第7,357,408号明細書
しかしながら、従来のエアバッグの折畳完了体では、取付片部を部分的に折り重ねて、縫製したり、あるいは、取付片部の折り重ねた部位をテープ材で巻いていたことから、バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように折り畳み、その折り崩れを防止するように、折り崩れ防止材を組み付けて、エアバッグの折畳完了体を形成する際、その折り崩れ防止材の組み付けとは別工程として、取付片部の縫製作業やテープ材の巻き付け作業が必要となって、エアバッグの折畳完了体を窓の上縁側の適正位置に取付可能とするための取付片部を短くする作業に、手間がかかることとなっていた。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、窓の上縁側の適正位置に簡便に取付可能なエアバッグの折畳完了体、及び、その折畳完了体に好適なエアバッグ、を提供することを目的とする。
本発明に係るエアバッグの折畳完了体は、エアバッグが、
車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張して前記窓の車内側を覆う構成のバッグ本体と、
該バッグ本体の上縁側から延びて、前記バッグ本体を前記窓の上縁側に取り付ける複数の取付片部と、
を備えて構成され、
平らに展開した状態の前記バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように、前後方向に沿った棒状に折り畳むとともに、前記取付片部の少なくも一つを短く折り畳んだ状態として、複数の前記取付片部を前記窓の上縁側に取り付けて、前記窓の上縁側に収納されるエアバッグの折畳完了体であって、
前記折畳完了体が、平らに展開した状態の前記バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように、前後方向に沿った棒状に折り畳んだ折畳体に、折り崩れ防止材を組み付けて、形成される構成とするとともに、
短くするように複数の折目を付けて折り畳まれる前記取付片部が、前記バッグ本体の上縁側の元部から前記窓の上縁側に取り付けられる取付部までの間の中間部の前後方向の縁に、前後方向に部分的に突出させた耳部を備え、
該耳部を有した前記取付片部が、前記折畳体における前記バッグ本体の上縁側に折り重ねられた状態として、前記耳部が、前記折畳体に組み付けられる前記折り崩れ防止材と前記折畳体の表面側との間に挟まれて、前記折畳体に固定されていることを特徴とする。
本発明に係る折畳完了体では、バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように折り畳んで折畳体を形成し、折り崩れ防止材を組み付ける際、単に、耳部を有した取付片部を、折畳体におけるバッグ本体の上縁側に折り重ねておき、折畳体に組み付ける折り崩れ防止材を利用し、折り崩れ防止材と折畳体の間に挟むようにして、耳部を折畳体に固定すれば、取付片部単体を縫製やテープ材を利用して短くする場合に比べて、簡単に、耳部を有した取付片部を短くして、折畳体の折り崩れを防止した状態の所定の折畳完了体を、得ることができる。
したがって、本発明に係るエアバッグの折畳完了体では、折り崩れ防止材を利用して簡単に取付片部を簡便に短くできて、窓の上縁側の適正位置に簡便に取付可能に構成できる。
そして、本発明に係る折畳完了体では、複数の前記取付片部が、前記耳部を備えた耳付き取付片部と、短くするように折り畳まれない前記耳部を備えていない耳無し取付片部と、を備えて構成されていることが望ましい。
このような構成では、全ての取付片部を短くせずに済み、折畳体に組み付ける折り崩れ防止材の配置自由度を、向上させることができる。
この場合、前記取付片部における前記バッグ本体の上縁側の元部から前記窓の上縁側に取り付けられる取付部までの長さ寸法において、前記耳無し取付片部の長さ寸法と、前記折り崩れ防止材により前記耳部を前記折畳体に固定された状態の前記耳付き取付片部の長さ寸法と、が略同等としていることが望ましい。
このような構成では、折畳完了体から上方へ突出する複数の取付片部が、折畳体からの取付部の高さ位置を、全て、同等にできて、折畳完了体を取り付ける車両の窓の上縁側の上下方向のスペースを、折畳完了体の全長にわたって、均等に小さくでき、折畳完了体の車両への搭載スペースを、嵩張らずに設定でき、また、各取付片部の取付部の高さ位置を揃えることができて、各取付片部の取付作業性も良好となる。
さらに、本発明に係るエアバッグの折畳完了体では、前記耳部が、該耳部を有した前記取付片部の前後方向の両縁側に配設されていることが望ましい。
このような構成では、短くするように折り畳まれる取付片部が、両側の耳部を折畳体に固定させることができて、傾斜させずに、安定して窓の上縁側に取付可能となる。
さらにまた、本発明に係るエアバッグの折畳完了体では、前記バッグ本体が、車両側面の車内側における窓を覆うように、配設される構成として、
全ての前記取付片部が、車両のルーフサイドレール部に取り付けられる構成としていることが望ましい。
このような構成では、短くするように折り畳まれた取付片部を含めた全ての取付片部を利用して、折畳完了体を、車両への収納部位としての窓の上縁側のルーフサイドレール部に収納する際、その収納部位が上下方向に狭いスペースであっても、長かった耳部を有した取付片部の長さ寸法を短くできて、折畳完了体の上下方向の幅寸法を均等に小さくすることが可能となり、その結果、円滑に、ルーフサイドレール部に折畳完了体を取り付けて収納できる。
さらに、この場合のエアバッグの折畳完了体では、前記折畳体が、前後方向の端部側に折重部を備えた構成として、
前記折重部が、平らに展開させた前記バッグ本体の前後方向の端部を、上下方向に沿う折目を付けて、前記バッグ本体の前記端部に隣接した中間部に、折り重ねた折畳部位を有して、構成され、
前記耳部を有した取付片部が、前記バッグ本体の前記中間部側における前記折重部のエリアに配設され、
前記耳部を前記折畳体に固定する折り崩れ防止材が、前記折重部の位置の前記折畳体に組み付けられて配設されていることが望ましい。
このような構成では、バッグ本体における折重部の展開した端部が、ルーフサイドレール部の縁から窓の下縁側に延びるピラー部の車内側を覆う構成としていても、膨張するバッグ本体の端部側を、ピラー部に収納せずに、ルーフサイドレール部に収納できる。そのため、ピラー部にバッグ本体の収納スペースが無くとも、展開膨張を完了させたバッグ本体により、円滑に、ピラー部の車内側を覆うことができて、乗員の保護性能を向上させることができる。
さらに、上記の構成では、耳部を固定させた折り崩れ防止材により、折重部を止めており、スプリングバッグの防止用の別部材を利用すること無く、嵩張った折重部を、部品点数の増加を抑えて、止めておくことが可能となる。
そして、本発明に係るエアバッグでは、車両の車内側における窓の上縁側に、取り付けられ、かつ、前後方向に沿った棒状に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張し、前記窓の車内側を覆う構成のバッグ本体と、
該バッグ本体の上縁側から延びて、前記バッグ本体を前記窓の上縁側に取り付ける複数の取付片部と、
を備えて構成されるエアバッグであって、
前記取付片部の少なくとも一つが、前記バッグ本体の上縁側の元部から前記窓の上縁側に取り付けられる取付部までの間の中間部における前後方向の両縁側に、前後方向に部分的に突出させた耳部を備えて構成され、
該耳部が、該耳部を備えた取付片部における前記バッグ本体の上縁側の元部から離れて前記窓の上縁側に取り付けられる取付部を、前記バッグ本体の上縁側に接近させるように、前記取付片部を複数の折目を付けて折った際に、前記バッグ本体の上縁側における前記エアバッグの部位に重ね可能な位置に、配設されていることを特徴とする。
本発明に係るエアバッグでは、短くする取付片部には、元部から取付部との間の両側に、取付片部を短くするように折った際に、バッグ本体の上縁側におけるエアバッグの部位に重ね可能な耳部が、突出しており、バッグ本体を折り畳んだ際に組み付ける折り崩れ防止材を利用し、突出した耳部を、折り畳んだバッグ本体と折り崩れ防止材との間に挟んで固定するように、折り崩れ防止材を折り畳んだバッグ本体に組み付ければ、簡単に、耳部を有した取付片部の取付部側をバッグ本体側から傾斜させずに安定させた状態として、取付片部を短く維持できる。そのため、バッグ本体を折り畳んで折り崩れ防止材を巻き付けた折畳完了体を車両の窓の上縁側に取り付ける際、取付片部を短くする処理を簡便に行える。
したがって、本発明に係るエアバッグでは、折り崩れ防止材を利用して簡単に取付片部を簡便に短くできて、窓の上縁側の適正位置に簡便に取付可能に構成できる折畳完了体に、好適に使用できる。
そして、本発明に係るエアバッグでは、複数の前記取付片部が、前記耳部を備えた耳付き取付片部と、前記耳部を備えていない耳無し取付片部と、を備えて構成され、
前記耳付き取付片部における前記耳部の上縁から前記取付部までの長さ寸法と、前記耳無し取付片部における前記バッグ本体の上縁側から前記取付部までの長さ寸法と、が略同等としていることが望ましい。
このような構成では、折り崩れ防止材を使用して、折り畳んだバッグ本体に耳部を固定すれば、耳付き取付片部と耳無し取付片部とにおける各取付部におけるバッグ本体の上縁側からの高さ位置を、略同等とすることができる。そのため、折畳完了体から上方へ突出する複数の取付片部が、バッグ本体の上縁側からの取付部の高さ位置を、全て、略同等にできて、折畳完了体を取り付ける車両の窓の上縁側の上下方向のスペースを、折畳完了体の全長にわたって、略均等に小さくでき、折畳完了体の車両への搭載スペースを、嵩張らずに設定でき、また、各取付片部の取付部の高さ位置を揃えることができて、各取付片部の取付作業性も良好となる。
本発明の一実施形態の折畳完了体を使用した頭部保護エアバッグ装置の車両搭載状態を、車内側から見た概略正面図である。 実施形態で使用するエアバッグを平らに展開した状態を示す正面図である。 実施形態のエアバッグにおける耳付き取付片部付近を示す部分拡大正面図である。 実施形態のエアバッグ単体での膨張時における断面図であり、図2のIV−IV部位の部分拡大断面図である。 実施形態のエアバッグ単体での膨張時における断面図であり、図2のV−V部位の部分拡大断面図である。 実施形態のエアバッグを構成する取付片部、バッグ本体、及び、テンションクロス、を並べた状態を示す正面図である。 実施形態の折畳完了体を形成する折畳工程を説明する図である。 実施形態の折畳完了体を形成する工程を説明するとともに、エアバッグ組付体を形成する工程を説明する図であり、図7の後の工程を示す。 実施形態の耳付き取付片部を折畳体に固定する状態を説明する概略斜視図である。 実施形態のエアバッグを使用した頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に説明する図である。 実施形態の頭部保護エアバッグ装置の作動時を順に説明する図であり、図10の後の状態を示す。 実施形態のエアバッグが膨張を完了させた状態を車内側から見た概略正面図である。 実施形態のエアバッグが膨張を完了させた状態を示す前後方向に沿った概略部分拡大横断面図である。 実施形態のエアバッグが膨張を完了させた状態を示す上下方向に沿った概略縦断面図であり、図11のBのXIV−XIV部位に対応する。 実施形態のエアバッグが膨張を完了させた状態を示す上下方向に沿った概略縦断面図であり、図11のBのXV−XV部位に対応する。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ20の折畳完了体81が使用される頭部保護エアバッグ装置HMは、図1に示すように、2つの窓(サイドウィンド)W1,W2を有した二列シートタイプの車両Vに搭載されている。実施形態の頭部保護エアバッグ装置HMは、図1に示すように、エアバッグ20と、インフレーター14と、取付ブラケット11,16と、エアバッグカバー9と、を備えて構成されている。エアバッグ20は、図1に示すように、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁側において、フロントピラー部FPの下縁側から、ルーフサイドレール部RRの下縁側を経て、リヤピラー部RPの上方の領域まで、折り畳まれて収納されている。
エアバッグカバー9は、図1,13〜15に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5と、のそれぞれの下縁4a,5aから、構成されている。フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5とは、合成樹脂製として、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとにおいて、それぞれ、ボディ(車体)1側のインナパネル2における車内側Iに、取付固定されている。また、エアバッグカバー9は、折り畳まれて収納されるエアバッグ20の車内側Iを覆って、展開膨張時のエアバッグ20を車内側下方へ突出可能とするために、エアバッグ20に押されて車内側Iに開き可能に、構成されている。
インフレーター14は、エアバッグ20に膨張用ガスを供給するもので、図1に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、先端側に、膨張用ガスを吐出可能な図示しないガス吐出口を、配設させている。インフレーター14は、ガス吐出口付近を含めた先端側を、エアバッグ20の後述する接続口部24に挿入させ、接続口部24の外周側に配置されるクランプ15を用いて、エアバッグ20に対して連結されている。また、インフレーター14は、インフレーター14を保持する取付ブラケット16と、取付ブラケット16をボディ1側のインナパネル2に固定するためのボルト17と、を利用して、インナパネル2において窓W2の上方となる位置に、取り付けられている(図1参照)。インフレーター14は、図示しないリード線を介して、車両Vの図示しない制御装置と電気的に接続されており、制御装置が、車両Vの側面衝突や斜突、ロールオーバーを検知した際に、制御装置からの作動信号を入力させて、作動するように構成されている。
各取付ブラケット11は、2枚の板金製のプレートから構成されるもので、エアバッグ20の後述する各取付片部60(耳無し(一般)取付片部61、耳付き(端側)取付片部62)や取付部72を、表裏から挟むようにして、各取付片部60、取付部72に取り付けられ、ボルト12を利用して、各取付片部60、取付部72を、ボディ1側のインナパネル2に取付固定している(図13〜15参照)。
エアバッグ20は、図2〜6に示すように、バッグ本体21と、バッグ本体21の上縁21a側をボディ1側のインナパネル2に固定させる取付片部60と、バッグ本体21の前後方向の一端側(実施形態の場合、前端21c側)から延びて先端(前端)側(取付部72側)をフロントピラー部FPのインナパネル2に固定されるテンションクロス70と、を備えている。
バッグ本体21は、図1の二点鎖線及び図12に示すように、インフレーター14からの膨張用ガスを内部に流入させて、折り畳み状態から展開して、窓W1,W2や、各ピラー部FP,CP,RPのピラーガーニッシュ4,6,7の車内側Iを覆うように構成されるもので、外形形状を、膨張完了時に、窓W1からセンターピラー部CP,窓W2を経て、リヤピラー部RPの前側にかけての車内側を覆い可能に、長手方向を前後方向に略沿わせた略長方形板状とされている(図2,6参照)。また、バッグ本体21は、図12に示すように、膨張完了時の下縁21bを、窓W1,W2の下縁から構成されるベルトラインBLより下方に位置させるように、上下の幅寸法を設定されている。
実施形態の場合、バッグ本体21は、ポリアミド糸やポリエステル糸等を使用した袋織りによって、製造されている。バッグ本体21は、図2,4〜6に示すように、膨張完了時に車内側Iに位置する車内側壁部22aと車外側Oに位置する車外側壁部22bとを離隔させるように内部に膨張用ガスを流入させて膨張するガス流入部22と、車内側壁部22aと車外側壁部22bとを結合させて膨張用ガスを流入させない非流入部40と、を有している。
ガス流入部22は、後端にインフレーター14を挿入させる開口24aを設けた円筒状の接続口部24と、接続口部24を経て流入する膨張用ガスにより厚く膨張する保護膨張部25と、を備えて構成されている。保護膨張部25は、供給路部27、主膨張部29,30、副膨張部32,33、及び、端側膨張部35を備えて構成されている。
供給路部27は、接続口部24からの膨張用ガスGを前後両側に流すように、バッグ本体21の上縁21a側の前後方向の中央付近で、接続口部24と連通して、前後方向に沿うように配設されている。
主膨張部29は、供給路部27の前端27aと上部29a側を連通させる前主膨張部29であり、膨張完了時に窓W1を覆うように配設され、前席に着座した乗員(助手席の乗員だけでなく、運転席に着座した運転者も含む)の頭部を保護するための部位である。主膨張部30は、供給路部27の後端27bと上部30a側を連通させる後主膨張部30であり、膨張完了時に窓W2を覆うように配設され、後席に着座した乗員の頭部を保護するための部位である。
副膨張部32は、前主膨張部29の後側に配置されて、流入口32aにより、前主膨張部29からの膨張用ガスGを流入させて膨張する前副膨張部32である。副膨張部33は、後主膨張部30の前側に配置されて、流入口33aにより、後主膨張部30からの膨張用ガスGを流入させて膨張する後副膨張部33である。これらの副膨張部32,33は、主膨張部29,30が乗員を受け止めた際に、主膨張部29,30から膨張用ガスGを流入させて、主膨張部29,30の内圧の急激な上昇を抑制する調圧室としての機能を果たす。
端側膨張部35は、前主膨張部29に隣接してバッグ本体21の前後方向の端部側、すなわち、前端21c側に配置されて、上下方向に延びた略長方形としている。端側膨張部35は、上下の流通口36,37により、前主膨張部29から膨張用ガスGを流入させて膨張するように、前主膨張部29より膨張用ガスGの下流側に配置されている。端側膨張部35は、膨張完了時、窓W1の前部側からフロントピラー部FPにわたる車内側Iを覆うように配設される。さらに、端側膨張部35は、膨張完了時の下縁35b側に、窓W1の下縁WD側のベルトラインBLより下方に延びて、窓W1の下縁WD側における車体側部材としてのドアトリムDTに支持可能な延設部35c、を備えて構成されている(図12参照)。
なお、バッグ本体21の接続口部24から供給路部27における接続口部24近傍の内側部位には、耐熱性を高めるための別体の三叉状のインナチューブ65が、配設されている(図2,6参照)。
非流入部40は、ガス流入部22の外周縁を構成する周縁部42と、ガス流入部22の膨張部位としての保護膨張部25の厚さを規制し、若しくは、保護膨張部25を区画するために配設される閉じ部44と、エアバッグ20のバッグ本体21おける上縁21a側に上方へ延びるように配置されて、窓W1,W2の上縁WU側に取り付けられる複数の取付片部60と、を備えて構成されている。
周縁部42は、接続口部24の後端の開口24aを除いて、ガス流入部22の周囲を全周にわたって囲むように、配置されている。
閉じ部44は、中央閉じ部45、中央前下閉じ部47、中央後下閉じ部48、及び、境界閉じ部50、を備えて構成されている。中央閉じ部45は、供給路部27と副膨張部32,33とを区画するもので、横棒部45aと縦棒部45bとを備えたT字状に配設されている。縦棒部45bは、周縁部42の下縁42bの前後方向の中央付近から上方に延びて、前副膨張部32と後副膨張部33とを区画している。横棒部45aは、縦棒部45bの上端で前後両側に延びて、供給路部27の下縁側で、供給路部27と前後の副膨張部32,33とを区画している。
中央前下閉じ部47は、前副膨張部32と前主膨張部29とを区画するもので、中央閉じ部45の横棒部45aの前端との間に、流入口32aを形成するように、流入口32aの直下における周縁部42の下縁42bの部位から、上方へ、線状に延びるように配設されている。中央後下閉じ部48は、後副膨張部33と後主膨張部30とを区画するもので、中央閉じ部45の横棒部45aの後端との間に、流入口33aを形成するように、流入口33aの直下における周縁部42の下縁42bの部位から、上方へ、線状に延びるように配設されている。
境界閉じ部50は、前主膨張部29と端側膨張部35との間に配設されて、前主膨張部29と端側膨張部35とを区画している。境界閉じ部50は、上下の両端50a,50bが周縁部42の上縁42aや下縁42bから離れて配設され、上縁42a側と下縁42b側とのそれぞれの間に、前主膨張部29からの膨張用ガスGを端側膨張部35側に流し可能な流通口36,37を設けて、配設されている。
さらに、境界閉じ部50は、略上下方向に沿って線状に配置される下部側の縦閉じ部52と、縦閉じ部52の上端52a側から前主膨張部29側の斜め上後方に線状に延びるように配設される傾斜閉じ部54と、を備えて構成されている。実施形態の場合、境界閉じ部50は、縦閉じ部52の上端52aと傾斜閉じ部54の下端54bとが一致するように結合されて、縦閉じ部52と傾斜閉じ部54とが、一体的に連続させるように配設されている。
取付片部60は、バッグ本体21の上縁21a側を車両Vのボディ1側のインナパネル2に、特に、実施形態では、ルーフサイドレール部RRのインナパネル2に取り付けるための部位であり、バッグ本体21の上縁21aから上方に突出するようにして、前後方向に沿った複数個所に配置されている。実施形態の場合、バッグ本体21と別体として、バッグ本体21と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されて、下端側の幅広の元部60aを、バッグ本体21の上縁21aに、縫合糸を用いて縫着させて、配設されている。そして、取付片部60の上端部には、取付ボルト12を貫通させる取付孔60dを有して、取付ブラケット11が取り付けられる取付部60cが配設されている。なお、各取付片部60は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布を上端側に折目を設けて折り重ねた二枚重ね構造としている(図4参照)。
そして、取付片部60は、図2に示すように、端側膨張部35側となる前端側の上縁側に配置される1個の端側取付片部62と、端側取付片部62より後方となる他の一般取付片部61と、を備える構成とされている。一般取付片部61は、実施形態の場合、前後方向に沿って4個配置されている。
これらの一般取付片部61は、バッグ本体21の上縁側を窓W1,W2の上縁WU側に固定させるための部位であり、一般取付片部61におけるバッグ本体21の上縁21aから取付部60cの取付孔60dまでの長さ寸法LNは、エアバッグ20の膨張完了時に、一般取付片部61をルーフヘッドライニング5から下方に露出させず、全体をルーフヘッドライニング5に覆われるような寸法に、設定されている。
端側取付片部62は、実施形態の場合、境界閉じ部50における縦閉じ部52の直上エリアから前主膨張部29側の後方にずれた境界閉じ部50近傍におけるバッグ本体21の上縁21aから、上方に延びるように配設されて、上端の取付部60cを、フロントピラー部FPの近傍のルーフサイドレール部RRのインナパネル2に固定させる構成とされている。そして、端側取付片部62は、図3,4に示すように、平らに展開した状態でのバッグ本体21の上縁21aから取付部60cの取付孔60dまでの長さ寸法LFを、一般取付片部61におけるバッグ本体21の上縁21aから取付孔60dまでの長さ寸法LNよりも、大きく設定されている。実施形態の場合、端側膨張部35が、エアバッグ20の膨張完了時に、図12,13に示すように、上縁35a側をフロントピラーガーニッシュ4の上部4bの車内側Iを覆うように配置される構成であり、端側取付片部62は、エアバッグ20の膨張完了時に、図14に示すように、ルーフヘッドライニング5の下縁5aの部位(エアバッグカバー9)を潜り抜けるように迂回して、配置されることとなる。そのため、端側取付片部62は、バッグ本体21からの長さ寸法LFを、端側膨張部35を過度に牽引することなく、端側膨張部35の上縁35a側をフロントピラーガーニッシュ4の上部4b側やその近傍のルーフヘッドライニング5の部位5bに支持されるような位置に、配置可能な寸法に、設定されている。実施形態の場合、端側取付片部62の長さ寸法LFは、一般取付片部61の長さ寸法LNの4倍程度に、設定されている。
なお、他の一般取付片部61の部位では、エアバッグ20の膨張完了時、図15に示すように、一般取付片部61が、ルーフヘッドライニング5より下方へ突出しない構成としている。
そして、端側取付片部62における元部60aと取付部60cとの間の中間部60bには、前後方向の両側縁に、部分的に前後方向に突出する略半円形板状の耳部62a,62aが形成されている。耳部62a,62aは、エアバッグ20を折り畳んでなる折畳完了体81を車両Vに取り付ける際、端側取付片部62のバッグ本体21の上縁21aから取付部60cの取付孔60dまでの取付長さ寸法LAを、一般取付片部61の長さ寸法LNと同様となるように、利用するものである。すなわち、下縁21b側を上縁21aに接近させるようにエアバッグ20を折り畳んで、エアバッグ20を前後方向に沿った棒状の折畳体80(図8のA参照)を形成した際、端側取付片部62の長さ寸法LFが長いままであれば、他の一般取付片部61と同じ高さのルーフサイドレール部RRの配置位置で、その端側取付片部62を取り付けてしまうと、折畳体80における端側取付片部62の部位が下がり、ルーフヘッドライニング5の下縁5a側に接近し過ぎて、若しくは、下縁5aから露出して、好ましくない。そのため、エアバッグ20の車両Vへの取付前に、図9に示すように、端側取付片部62を、エアバッグ20の前後方向に沿う複数の折目62bで蛇腹折りし、取付孔60dをバッグ本体21の上縁21aに接近させて、上縁21aからの取付孔60dまでの長さ寸法LAを、一般取付片部61の上縁21aから取付孔61aまでの長さ寸法LNと一致させている。そして、その配置状態を維持するため、耳部62a,62aを折畳体80の外周面80a(実施形態では、後述する折り返し部78b(端側膨張部35)の上縁21aの部位)に当て、さらに、折畳体80の外周面80aに、耳部62a,62aごと、接着性を有した折り崩れ防止材(テープ材)75を巻き付けるように組み付けて、耳部62a,62aを、折り崩れ防止材75と折畳体80との間に挟んで、折畳体80の外周面80aに固定している。なお、折り崩れ防止材75は、実施形態の場合、折畳体80の折り崩れを防止できるように、折畳体80の外周面に、一巻き以上、巻き付けているが、エアバッグ本体21の膨張時には、容易に破断する。
換言すれば、端側取付片部62、すなわち、耳付き取付片部62では、耳部62aの上縁62afから取付孔60dまでの長さ寸法LAを、一般取付片部61、すなわち、耳無し取付片部61におけるバッグ本体21の上縁21aから取付孔60dまでの長さ寸法LNと一致させるように、耳部62aの配置位置を設定させ、耳付き取付片部62の中間部60bを蛇腹折りする際、耳部62aの上縁62afをバッグ本体21の上縁21aに一致させるように、蛇腹折りする構成とすれば、耳付き取付片部62を平らに展開した長さ寸法LFが長くとも、容易に、蛇腹折り部62cを形成して、耳付き取付片部(端側取付片部)62と耳無し取付片部(一般取付片部)61との取付孔60dのバッグ本体21の上縁からの高さ位置HF,HNを、同等に設定することができる。
テンションクロス70は、可撓性を有したシート材から構成されるもので、実施形態の場合、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布から形成されている。テンションクロス70は、図3〜5に示すように、バッグ本体21の膨張完了時に、端側膨張部35の車外側Oに配置されるもので、元部側となる後端部71側を、境界閉じ部50の縦閉じ部52に、縫合により、結合させている。実施形態の場合、テンションクロス70は、外形形状を、図3,6に示すように、後端部71を底辺とした略三角板形状として、先端部側となる前端部72に、取付孔72aを配設させている。テンションクロス70は、後端部71と前端部72との間の中間部73により、端側膨張部35の上下方向の中間部位の領域の車外側Oを覆うように、構成されている。そして、テンションクロス70の前端部72は、端側膨張部35の前方側におけるフロントピラー部FPの部位においてボディ1側のインナパネル2の位置に固定される取付部、を構成しており、前端部72は、取付片部60と同様に、取付ブラケット11と取付ボルト12とを用いて、インナパネル2に固定される構成であり(図13参照)、取付ボルト12を挿通可能な取付孔72aを備えている。
そして、実施形態のエアバッグ20では、車両搭載時における膨張完了時に、保護膨張部25が非膨張の状態から前後方向の幅寸法を縮めるように膨張することとなり、テンションクロス70の先端側に配置される前端部72と、バッグ本体21の後端側に配置される耳無し取付片部61Bと、の間に、図12に示すごとく、前後方向に略沿うようなテンションTが、発生することとなる。
次に、実施形態の頭部保護エアバッグ装置HMの車両Vへの搭載について説明する。予めテンションクロス70を縫着させて、車内側壁部22aと車外側壁部22bとを重ねて平らに展開した状態のバッグ本体21を、図7のA,Bに示すように、境界閉じ部50の縦閉じ部52に折目77を設けて、端側膨張部35を折り返し部78bとし、折目77より前主膨張部29側の車内側壁部22aとなる被折り返し部78a側に折って、折重部78を形成する。そして、図7のB、図8のAに示すように、下縁21b側を上縁21a側に接近させるように、テンションクロス70や折重部78ごと、折り畳んで、エアバッグ20の折畳体80を形成する。
ついで、図8のBに示すように、折り崩れ防止材(テープ)75により、折畳体80を所定箇所で包むとともに、既述したように、耳付き(端側)取付片部62の中間部60bを蛇腹折りして、耳部62a,62aを外周面80aにおけるバッグ本体21の上縁21a側に止めるように、耳部62a,62aの部位でも、折り崩れ防止材75を巻き付けて、折畳完了体81を形成する。
その後、図8のCに示すように、テンションクロス70の取付部72と、耳付き取付片部62と、各耳無し取付片部61と、に、取付ブラケット11を固着させるとともに、取付ブラケット16を取付済みのインフレーター14を、クランプ15を利用して、エアバッグ20の接続口部24と接続させて、エアバッグ組付体82を形成する。
次いで、取付ブラケット11,16を、ボディ1側のインナパネル2の所定位置に配置させて、ボルト12,17止めし、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を、インフレーター14に結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1側のインナパネル2に取り付け、さらに、ピラーガーニッシュ6,7をボディ1側のインナパネル2に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置HMを車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置HMの車両Vへの搭載後において、車両Vの側面衝突時、斜突時、もしくは、ロールオーバー時に、制御装置からの作動信号を受けてインフレーター14が作動されれば、インフレーター14から吐出される膨張用ガスが、バッグ本体21内に流入して、膨張するバッグ本体21が、各折り崩れ防止材75を破断させて、耳無し取付片部62の蛇腹折り部62cの折りを解消させるとともに、フロントピラーガーニッシュ4とルーフヘッドライニング5との下縁4a,5aから構成されるエアバッグカバー9を押し開いて、下方へ突出する。そして、図10のA〜Cに示すように、バッグ本体21は、折目77の折りを解消して、折り返し部78bを展開させつつ、下縁21b側まで展開膨張し、図1の二点鎖線、図11のA,B、図12に示すように、窓W1,W2、フロントピラー部FP,センターピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側Iを覆うように、大きく膨張することとなる。すなわち、バッグ本体21における主膨張部29,30と端側膨張部35とが、展開膨張して、膨張を完了させ、さらに、副膨張部32,33も膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態の折畳完了体81では、バッグ本体21の下縁21b側を上縁21a側に接近させるように折り畳んで折畳体80を形成し、折り崩れ防止材75を巻き付ける際、単に、耳部62aを有した取付片部62を、折畳体80におけるバッグ本体21の上縁21a側に折り重ねておき、折畳体80に巻き付ける折り崩れ防止材75を利用し、折り崩れ防止材75と折畳体80との間に挟んで、耳部62aを折畳体80に固定すれば、取付片部62単体を縫製やテープ材を利用して短くする場合に比べて、簡単に、耳部62aを有した取付片部62を短くして、折畳体80の折り崩れを防止した状態の所定の折畳完了体81を、得ることができる。
したがって、実施形態のエアバッグ20の折畳完了体81では、折り崩れ防止材75を利用して簡単に取付片部62を簡便に短くできて、窓W1の上縁WU側の適正位置に簡便に取付可能に構成できる。
そして、実施形態の折畳完了体81では、複数(実施形態では5個)の取付片部60が、耳部62aを備えた耳付き取付片部62と、短くするように折り畳まれない耳部62aを備えていない耳無し取付片部61と、を備えて構成されている。
そのため、実施形態では、全ての取付片部60を短くせずに済み、すなわち、耳無し取付片部61は短くせずに済み、折畳体80に巻き付ける折り崩れ防止材75の配置自由度を、向上させることができる。
この場合、実施形態では、取付片部60におけるバッグ本体21の上縁21a側の元部60aから窓W1,W2の上縁WU側に取り付けられる取付部60cまでの長さ寸法において、耳無し取付片部61の長さ寸法LNと、折り崩れ防止材75により耳部62aを折畳体80に固定された状態の耳付き取付片部62の長さ寸法LAと、が略同等としている。
そのため、実施形態では、折畳完了体81から上方へ突出する複数の取付片部60(61,62)が、折畳体80からの取付部60cの取付孔60dの高さ位置HN,HFを、全て、同等にできて、折畳完了体81を取り付ける車両Vの窓W1,W2の上縁WU側の上下方向のスペースを、折畳完了体81の全長にわたって、均等に小さくでき、折畳完了体81の車両Vへの搭載スペースを、嵩張らずに設定でき、また、各取付片部60(61,62)の取付部60cにおける取付孔60dの高さ位置HN,HFを揃えることができて、各取付片部60(61,62)の取付作業性も良好となる。
さらに、実施形態のエアバッグ20の折畳完了体81では、耳部62aが、耳部62aを有した取付片部62の両側に配設されている。
そのため、実施形態では、短くするように折り畳まれる取付片部62が、両側の耳部62a,62aを折畳体80に固定させることができて、傾斜させずに、安定して窓W1の上縁WU側に取付可能となる。
なお、上記の点を考慮しなれば、耳部62aは、中間部60bの両側で無く、片側に、一つだけ配設しても良い。また、耳部62aの形状も、実施形態のような半円形板状とせずに、長円形板状、長方形板状等と、種々の形状を採用できる。
さらにまた、実施形態のエアバッグ20の折畳完了体81では、バッグ本体21が、車両Vの側面の車内側における窓(サイドウインド)W1,W2を覆うように、配設される構成として、全ての取付片部60(61,62)が、車両Vのルーフサイドレール部RRに取り付けられる構成としている。
そのため、実施形態では、短くするように折り畳まれた取付片部62を含めた全ての取付片部60を利用して、折畳完了体81を、車両Vへの収納部位としての窓(サイドウインド)W1,W2の上縁WU側のルーフサイドレール部RRに収納する際、その収納部位が上下方向に狭いスペースであっても、長かった耳部62aを有した取付片部62の長さ寸法を短くできて、折畳完了体81の上下方向の幅寸法を均等に小さくすることが可能となり、その結果、円滑に、ルーフサイドレール部RRに折畳完了体81を取り付けて収納できる。
さらに、この場合のエアバッグ20の折畳完了体81では、折畳体80が、前後方向の端部80b側(実施形態では前端部側)に折重部78を備えた構成として、折重部78が、平らに展開させたバッグ本体21の前後方向の端部21c(実施形態では前端部)を、上下方向に沿う折目77を付けて、バッグ本体21の端部21c側の折り返し部78bを、折り返し部78bに隣接した前主膨張部29側の中間部としての非折り返し部78aに、折り重ねた折畳部位を有して、構成されている。そして、耳部62aを有した取付片部62が、バッグ本体21の中間部側(非折り返し部78a)における折重部78のエリアに配設されて、耳部62aを折畳体80に固定する折り崩れ防止材75が、折重部78の位置の折畳体80に巻き付けられて配設されている。
そのため、実施形態では、バッグ本体21における折重部78の展開した端部21c側の端側膨張部35が、ルーフサイドレール部RRの前縁の部位5bから窓W1の下縁WD側に延びるフロントピラー部FPの車内側を覆う構成としていても、膨張するバッグ本体21の端側膨張部35側を、ピラー部FPに収納せずに、ルーフサイドレール部RRに収納できる。そのため、ピラー部FPにバッグ本体21の収納スペースが無くとも、展開膨張を完了させたバッグ本体21により、円滑に、ピラー部FPの車内側を覆うことができて、乗員Pの保護性能を向上させることができる。
さらに、上記の構成では、耳部62aを固定させた折り崩れ防止材75により、折重部78を止めており、スプリングバッグの防止用の別部材を利用すること無く、嵩張った折重部78を、部品点数の増加を抑えて、止めておくことが可能となる。
そして、実施形態のエアバッグ20では、車両Vの車内側における窓W1,W2の上縁WU側に、取り付けられ、かつ、折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張し、窓W1,W2の車内側を覆う構成のバッグ本体21と、バッグ本体21の上縁21a側から延びて、バッグ本体21を窓W1,W2の上縁WU側に取り付ける複数の取付片部60と、を備えて構成されている。そして、取付片部60の少なくとも一つの取付片部62が、バッグ本体21の上縁21a側の元部60aから窓W1の上縁WU側に取り付けられる取付部60cまでの間の中間部60bに、両側に突出させた耳部62a,62aを備えて構成されている。さらに、これらの耳部62a,62aが、耳部62aを備えた取付片部62におけるバッグ本体21の上縁21a側の元部60aから離れて窓W1の上縁WU側に取り付けられる取付部60cを、バッグ本体21の上縁21a側に接近させるように、取付片部62を折った際に、バッグ本体21の上縁21a側のエアバッグ20の部位に重ね可能な位置に、配設されている。
そのため、実施形態のエアバッグ20では、短くする取付片部62には、元部60aから取付部60cとの間の中間部60bの両側に、取付片部62を短くするように折った際に、バッグ本体21に重ね可能な耳部62a,62aが、突出しており、突出した耳部62a,62aに、バッグ本体21を折り畳んだ際に巻く折り崩れ防止材75を巻き付ければ、簡単に、耳部62aを有した取付片部62の取付部60c側をバッグ本体21側から傾斜させずに安定させた状態として、取付片部62を短く維持できる。そのため、バッグ本体21を折り畳んで折り崩れ防止材75を巻き付けた折畳完了体81を、車両Vの窓W1,W2の上縁WU側に取り付ける際、取付片部62を短くする処理を簡便に行える。
したがって、実施形態のエアバッグ20では、折り崩れ防止材75を利用して簡単に取付片部62を簡便に短くできて、窓W1,W2の上縁WU側の適正位置に簡便に取付可能に構成できる折畳完了体81に、好適に使用できる。
そして、実施形態のエアバッグ20では、複数の取付片部60が、耳部62aを備えた耳付き取付片部62と、耳部62aを備えていない耳無し取付片部61と、を備えて構成され、耳付き取付片部62における耳部62aの上縁62afから取付部60cの取付孔60dまでの長さ寸法LAと、耳無し取付片部61におけるバッグ本体21の上縁21a側から取付部60cの取付孔60dまでの長さ寸法LNと、が略同等としている。
そのため、実施形態では、折り崩れ防止材75を使用して、折り畳んだバッグ本体21に耳部62aを固定すれば、耳付き取付片部62と耳無し取付片部61とにおける各取付部60c(取付孔60d)におけるバッグ本体21の上縁21a側からの高さ位置HF,HNを、略同等とすることができる。そのため、折畳完了体81から上方へ突出する複数の取付片部60が、バッグ本体21の上縁21a側からの取付部60c(60d)の高さ位置HF,HNを、全て、略同等にできて、折畳完了体81を取り付ける車両Vの窓W1,W2の上縁WU側の上下方向のスペースを、折畳完了体81の全長にわたって、略均等に小さくでき、折畳完了体81の車両Vへの搭載スペースを、嵩張らずに設定でき、また、各取付片部60の取付部60cの高さ位置HF,HNを、前後方向に沿った直線状の取付ラインAL上に揃えることができて(図10のA参照)、各取付片部60の取付作業性も良好となる。
なお、実施形態の折畳完了体81やエアバッグ20では、耳付き取付片部62を、ルーフサイドレール部RR側のインナパネル2に固定させる場合を示したが、端側膨張部35を折り返し部78bとして、主膨張部29側の被折り返し部78aに折り返す構成としなければ、耳付き取付片部62を、フロントピラー部FPとルーフサイドレール部RRとの境界部位、あるいは、フロントピラー部FPにおけるルーフサイドレール部RR近傍の部位のボディ側に固定させる構成としてもよく、そのような場合にも、折り崩れ防止材75を破断させて長くなった取付片部62では、エアバッグカバー9としてのルーフヘッドライニング5の下縁5aやフロントピラーガーニッシュ4の下縁4aの下端を潜り抜けて、端側膨張部35の上縁35a側を、ピラー部FPの車内側を覆う位置に配置させることができて、乗員Pをピラー部FPから好適に覆うことができる。
また、実施形態の折畳完了体81やエアバッグ20では、耳付き取付片部62を、一つだけ配設させた場合を示したが、適宜、複数配設させてもよい。勿論、必要であれば、配設する取付片部60を、全て、耳付き取付片部として、耳部を有した取付片部62を、耳部62aに折り崩れ防止材75を巻き付けて、短くして、窓W1,W2の上縁WU側に取り付けてもよい。
さらに、実施形態では、折り崩れ防止材75として、接着性を有したテープ材を例示したが、折畳体80の巻き付ける量としては、折り崩れを防止して耳部62を固定できれば、折畳体80の周囲の全周を巻かなくともよい。また、折り崩れ防止材75は、テープ材でなくともよく、折畳体80(エアバッグ本体21)の膨張時に、破断したり、あるいは、両端部付近の係合部相互を係合解除するように外れたり、変形して組付力を解除するようなバンド材やクリップ等から、構成してもよい。これらのクリップ材等から構成する折り崩れ防止材でも、折畳体80の折り崩れを防止して、耳部62をエアバッグ本体21の表面側に固定できれば、全周を覆うように折畳体80に組み付ける構成としなくともよい。
さらにまた、実施形態の場合、取付片部60をバッグ本体21と別体として構成したが、取付片部60は、バッグ本体21に一体的に形成されていてもよい。
20…エアバッグ、21…バッグ本体、21a…上縁、21b…下縁、21c…(前)端部、29…(中間部)前主膨張部、35…端側膨張部、60…取付片部、60a…元部、60c…取付部、60d…取付孔、61(61B)…(一般)耳無し取付片部、62…(端側)耳付き取付片部、62a…耳部、62af…上縁、62c…蛇腹折り部、75…折り崩れ防止材、77…折目、78…折重部、78a…(中間部)被折り返し部、78b…折り返し部、80…(エアバッグを折った)折畳体、80a…外周面、81…(折り崩れ防止材を貼着させた)折畳完了体、
V…車両、FP…フロントピラー部、RR…ルーフサイドレール部、W1…(前)窓、W2…(後)窓、WU…上縁、LN…(耳無し取付片部の)長さ寸法、LF…(耳付き取付片部の)長さ寸法、LA…(耳付き取付片部の)取付長さ寸法、HN…(耳無し取付片部の上縁からの取付孔)高さ位置、HF…(耳付き取付片部の上縁からの取付孔)高さ位置。

Claims (11)

  1. エアバッグが、
    車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張して前記窓の車内側を覆う構成のバッグ本体と、
    該バッグ本体の上縁側から延びて、前記バッグ本体を前記窓の上縁側に取り付ける複数の取付片部と、
    を備えて構成され、
    平らに展開した状態の前記バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように、前後方向に沿った棒状に折り畳むとともに、前記取付片部の少なくも一つを短く折り畳んだ状態として、複数の前記取付片部を前記窓の上縁側に取り付けて、前記窓の上縁側に収納されるエアバッグの折畳完了体であって、
    前記折畳完了体が、平らに展開した状態の前記バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように、前後方向に沿った棒状に折り畳んだ折畳体に、折り崩れ防止材を組み付けて、形成される構成とするとともに、
    短くするように複数の折目を付けて折り畳まれる前記取付片部が、前記バッグ本体の上縁側の元部から前記窓の上縁側に取り付けられる取付部までの間の中間部の前後方向の縁に、前後方向に部分的に突出させた耳部を備え、
    該耳部を有した前記取付片部が、前記折畳体における前記バッグ本体の上縁側に折り重ねられた状態として、前記耳部が、前記折畳体に組み付けられる前記折り崩れ防止材と前記折畳体の表面側との間に挟まれて、前記折畳体に固定されていることを特徴とするエアバッグの折畳完了体。
  2. 複数の前記取付片部が、前記耳部を備えた耳付き取付片部と、短くするように折り畳まれない前記耳部を備えていない耳無し取付片部と、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグの折畳完了体。
  3. 前記取付片部における前記バッグ本体の上縁側の元部から前記窓の上縁側に取り付けられる取付部までの長さ寸法において、前記耳無し取付片部の長さ寸法と、前記折り崩れ防止材により前記耳部を前記折畳体に固定された状態の前記耳付き取付片部の長さ寸法と、が略同等としていることを特徴とする請求項2に記載のエアバッグの折畳完了体。
  4. 前記耳部が、該耳部を有した前記取付片部の前後方向の両縁側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のエアバッグの折畳完了体。
  5. 前記バッグ本体が、車両側面の車内側における窓を覆うように、配設される構成として、
    全ての前記取付片部が、車両のルーフサイドレール部に取り付けられる構成としていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のエアバッグの折畳完了体。
  6. 前記折畳体が、前後方向の端部側に折重部を備えた構成として、
    前記折重部が、平らに展開させた前記バッグ本体の前後方向の端部を、上下方向に沿う折目を付けて、前記バッグ本体の前記端部に隣接した中間部に、折り重ねた折畳部位を有して、構成され、
    前記耳部を有した取付片部が、前記バッグ本体の前記中間部側における前記折重部のエリアに配設され、
    前記耳部を前記折畳体に固定する折り崩れ防止材が、前記折重部の位置の前記折畳体に組み付けられて配設されていることを特徴とする請求項5に記載のエアバッグの折畳完了体。
  7. 車両の車内側における窓の上縁側に、取り付けられ、かつ、前後方向に沿った棒状に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張し、前記窓の車内側を覆う構成のバッグ本体と、
    該バッグ本体の上縁側から延びて、前記バッグ本体を前記窓の上縁側に取り付ける複数の取付片部と、
    を備えて構成されるエアバッグであって、
    前記取付片部の少なくとも一つが、前記バッグ本体の上縁側の元部から前記窓の上縁側に取り付けられる取付部までの間の中間部における前後方向の両縁側に、前後方向に部分的に突出させた耳部を備えて構成され、
    該耳部が、該耳部を備えた取付片部における前記バッグ本体の上縁側の元部から離れて前記窓の上縁側に取り付けられる取付部を、前記バッグ本体の上縁側に接近させるように、前記取付片部を複数の折目を付けて折った際に、前記バッグ本体の上縁側における前記エアバッグの部位に重ね可能な位置に、配設されていることを特徴とするエアバッグ。
  8. 複数の前記取付片部が、前記耳部を備えた耳付き取付片部と、前記耳部を備えていない耳無し取付片部と、を備えて構成され、
    前記耳付き取付片部における前記耳部の上縁から前記取付部までの長さ寸法と、前記耳無し取付片部における前記バッグ本体の上縁側から前記取付部までの長さ寸法と、が略同等としていることを特徴とする請求項7に記載のエアバッグ。
  9. エアバッグが、
    車両の車内側における窓の上縁側に折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時に、下方に展開膨張して前記窓の車内側を覆う構成のバッグ本体と、
    該バッグ本体の上縁側から延びて、前記バッグ本体を前記窓の上縁側に取り付ける複数の取付片部と、
    を備えて構成され、
    平らに展開した状態の前記バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように折り畳むとともに、前記取付片部の少なくも一つを短く折り畳んだ状態として、複数の前記取付片部を、前後方向に沿った直線状の取付ラインに揃えて、前記窓の上縁側に取り付けて、前記窓の上縁側に収納されるエアバッグの折畳完了体であって、
    前記折畳完了体が、平らに展開した状態の前記バッグ本体の下縁側を上縁側に接近させるように前後方向に沿った棒状に折り畳んだ折畳体に、折り崩れ防止材を組み付けて、形成される構成とし、
    複数の前記取付片部が、
    前記バッグ本体の上縁側の元部から前記窓の上縁側に取り付けられる取付部までの間に、部分的に側方に突出させた耳部を備えて、短くするように折り畳まれる耳付き取付片部と、
    短くするように折り畳まれない前記耳部を備えていない耳無し取付片部と、
    を備えて構成され、
    前記耳付き取付片部における前記耳部の上縁から前記取付部までの長さ寸法と、前記耳無し取付片部における前記バッグ本体の上縁側から前記取付部までの長さ寸法と、が略同等として、
    前記耳付き取付片部が、前記耳部の上縁を前記エアバッグ本体の上縁に一致させるように複数の折目を付けて蛇腹折りされて、前記折畳体における前記バッグ本体の上縁側に折り重ねられた状態として、
    前記耳部が、前記折畳体に組み付けられる前記折り崩れ防止材と前記折畳体の表面側との間に挟まれて、前記折畳体に固定されていることを特徴とするエアバッグの折畳完了体。
  10. 前記耳部が、該耳部を有した前記取付片部の前後方向の両縁側に配設されていることを特徴とする請求項9に記載のエアバッグの折畳完了体。
  11. 前記バッグ本体が、車両側面の車内側における窓を覆うように、配設される構成とするとともに、前後方向の端部側に、前側の前記窓の前部側とフロントピラー部との車内側を覆い可能な端側膨張部を備える構成として、
    前記耳付き取付片部が、前記端側膨張部側の前記バッグ本体における前端側の上縁側に配置される一つの端側取付片部とし、前記耳無し取付片部が、前記耳付き取付片部より後方に配置される一般取付片部として、配設され、
    全ての前記取付片部が、車両のルーフサイドレール部に取り付けられる構成としていることを特徴とする請求項9若しくは請求項10に記載のエアバッグの折畳完了体。
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