以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の構成]
図1(A)及び(B)に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2は、上下左右の各側面を覆うメインパネル3、前側の上半分を覆うフロントパネル4、前側の下半分を覆うフロントロアパネル5及び後側を覆うリアパネル6により構成されている。メインパネル3は、全体として直方体状でなり、その前側の上半分に大きく開口された開口部3Hが形成されている。
因みにフロントロアパネル5及びリアパネル6は、左右何れかの端部に配置された蝶番(図示せず)によりメインパネル3に固定されており、この蝶番を介して回動することにより、当該メインパネル3の前面下側及び後面をそれぞれ開閉することができる。
フロントパネル4は、開口部3Hを閉塞しており、顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所となっている。このフロントパネル4は、その後面の上端近傍において、回動支持部4Sを介してメインパネル3に取り付けられている。回動支持部4Sは、いわゆる蝶番となっており、その回動軸を左右方向に向けている。
このためフロントパネル4は、例えば製造や保守作業が行われる場合に、その下端が前上方向へ引き上げられることにより、図2に示すように、回動しながらメインパネル3から引き離され、当該メインパネル3の開口部3Hを外部に露出させた状態となる。以下、メインパネル3の開口部3Hを開放した状態(図2)を開放状態と呼び、当該開口部3Hを閉塞した状態(図1)を閉塞状態と呼ぶ。
またフロントパネル4は、中央を含む広い範囲において概ね垂直であり上側よりも下側を前方へせり出すよう傾斜した第1傾斜面4Aと、概ね水平であり後側よりも前側を低くするよう傾斜させた第2傾斜面4Bとにより構成されている。第1傾斜面4Aには、操作表示部11、カード入出口12及びレシート発行口13が設けられている。また第2傾斜面4Bには、外通過孔4BHが形成されると共に、フロント開閉部14が設けられている。
操作表示部11(図1)は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。カード入出口12は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口12の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。レシート発行口13は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口13の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
第2傾斜面4Bの外通過孔4BHは、当該第2傾斜面4Bのほぼ中央に形成された長方形の孔であり、当該第2傾斜面4Bを概ね上下方向に貫通している。この外通過孔4BHは、集積された紙幣の紙面を前後に向け、長辺を上下に位置させ短辺を左右に位置させ、且つ顧客の手により把持された状態で、当該紙幣及び顧客の手を通過させ得る程度の大きさに形成されている。
フロント開閉部14には、外通過孔4BHを開放又は閉塞する外シャッタ16及び当該外シャッタ16を駆動するアクチュエータ17が設けられている。外シャッタ16は、1枚の板状に形成されており、アクチュエータ17から供給される駆動力により、前後方向へ移動し得るようになっている。この外シャッタ16は、前方へ移動した場合には外通過孔4BHを閉塞し、後方へ移動した場合には外通過孔4BHを開放するようになっている。アクチュエータ17は、電力及び制御信号の供給を受けることにより、駆動力を発生して外シャッタ16に伝達する。
筐体2のメインパネル3内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部8や、各部に電力を供給する電源部9等が設けられている。主制御部8は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部8は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
また筐体2のメインパネル3内における下側部分には、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機20が収納されている。紙幣入出金機20は、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機20は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット21と、その下側部分を占める下部ユニット22とにより構成されている。
上部ユニット21は、筐体2に対し図示しないスライドレールを介して取り付けられている。このため上部ユニット21は、筐体2のリアパネル6が開放された状態において、前後方向へ移動されることにより、当該筐体2の内部に収納された収納状態(図1)、又は当該筐体2の後方へ引き出された引出状態(図2)へ遷移することができる。因みに上部ユニット21は、筐体2内に取り付けられた主制御部8及び電源部9等との間を、比較的長い接続ケーブルにより接続されている。このため上部ユニット21は、収納状態及び引出状態の何れにおいても、主制御部8及び電源部9等との間で電気的な接続を維持することができる。因みに下部ユニット22は、上部ユニット21と同様、後方へ引き出すことが可能となっている。
上部ユニット21(図1)には、全体を統括制御する紙幣制御部23、顧客との間で紙幣を授受する入出金部24、紙幣を各部へ搬送する上搬送部25、紙幣を鑑別する鑑別部26及び紙幣を一時的に収納する一時保留部27が設けられている。
紙幣制御部23は、主制御部8と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の入金処理や出金処理、或いは各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部23は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
入出金部24は、上部ユニット21内における前上部に位置している。この入出金部24は、利用者から受け取った紙幣及び利用者へ引き渡す紙幣を収容する収容器31を内部に有している。収容器31は、複数の紙幣が紙面を前後方向に向けて集積された状態で収容される。収容器31の上方には、紙幣を通過させるための内通過孔32が形成されている。この内通過孔32は、フロント開閉部14の外通過孔4BHと同様の大きさ、すなわち長辺を上下に位置させて集積され顧客の手により把持された紙幣を通過させる程度の大きさとなっている。
また入出金部24には、外シャッタ16と同様の構成でなる内シャッタ33が設けられている。内シャッタ33は、紙幣制御部23の制御に基づき、アクチュエータ34によって前後方向へ移動されることにより、内通過孔32を開放又は閉塞することができる。さらに入出金部24内には、収容器31内の紙幣を1枚ずつに分離して上搬送部25に引き渡すと共に、当該上搬送部25から受け取った紙幣を収容器31内へ放出して集積させる分離集積部が組み込まれている。
上搬送部25は、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等により構成されており、上部ユニット21の内部において各部の間で紙幣を搬送する。鑑別部26は、内部に厚みセンサ、イメージセンサ及び磁気センサといった複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を認識し、その認識結果を紙幣制御部23へ送出する。一時保留部27は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムを回転させ、その周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またドラムを反対方向に回転させると共に周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。
さらに図3(A)に示すように、上部ユニット21の前面には、収納検出部28が設けられている。収納検出部28は、プッシュ式のスイッチでなり、紙幣制御部23と電気的に接続されている。この収納検出部28は、自然状態では「オフ」となり、後方向へ押し込まれると「オン」となる。また上部ユニット21が筐体2内に収納されたときに収納検出部28と対向する箇所には、当接片7が設けられている。このため収納検出部28は、収納状態であれば当接片7により押し込まれて「オン」となり、この収納状態から上部ユニット21が後方へ引き出されると、当接片7から離隔して「オフ」となる。
下部ユニット22には、下搬送部41及び複数の紙幣収納庫42が設けられている。下搬送部41は、上搬送部25と同様、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等により構成されており、下部ユニット22の内部や上部ユニット21との間で紙幣を搬送する。紙幣収納庫42は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に、内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。この紙幣収納庫42は、下搬送部41により紙幣が搬送されてくると、当該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫42は、紙幣制御部23から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、下搬送部41に引き渡す。因みに紙幣収納庫42は、収納する紙幣の金種が予め割り当てられている。
かかる構成に加えて、上部ユニット21は、フロントパネル4のフロント開閉部14との間で光を用いた非接触による信号の通信処理を行うようになっている。具体的に上部ユニット21は、図3(B)に示すように、右側における上側であって、前後の中央よりもやや前寄りとなる位置に、光通信部29を有している。
この光通信部29は、光を発光及び受光する受発光素子29Aを有しており、また紙幣制御部23と接続されている。この光通信部29は、紙幣制御部23から供給される信号に対して所定の変調処理等を施し、変調後の信号に応じた発光パターンの光を受発光素子29Aから右方向へ向けて発光する。また光通信部29は、右側から進行してくる光を受発光素子29Aにより受光し、所定の復調処理等を施して電気信号に変換し、これを紙幣制御部23に供給する。
一方、フロントパネル4のフロント開閉部14には、上述した外シャッタ16及びアクチュエータ17に加えて、フロント制御部18及び光通信部19が設けられている。フロント制御部18及び光通信部19は、電源部9から引き回された配線材により、すなわち有線により、電力の供給を受けて動作する。光通信部19は、小さな直方体状に形成されており、フロントパネル4における第2傾斜面4Bの右寄りに、その下側部分を当該フロントパネル4の下面よりも下方へ突出させるように取り付けられている。この光通信部19の左側面は、上部ユニット21の右側面よりも右側に位置している。
光通信部19は、光通信部29と同様に構成されており、受発光素子29Aと対応する受発光素子19Aを有している。受発光素子19Aは、フロントパネル4が閉塞状態であり、且つ上部ユニット21が収納状態である時に、受発光素子29Aのほぼ右側に位置するよう、その取付位置が調整されている。
このため光通信部19は、フロントパネル4が閉塞状態であり、且つ上部ユニット21が収納状態である時に、光通信部29との間で光を介した通信処理を行うことができる。このように光通信部29及び19の間で通信が確立されている場合、紙幣制御部23は、当該光通信部29及び19を介して、フロント制御部18に対し制御信号を送信することができる。
フロント制御部18は、紙幣制御部23と比較して小規模の制御回路となっており、図示しないCPU、ROM及びRAM等により構成されている。このフロント制御部18は、紙幣制御部23から光通信部19を介して取得した制御信号をそのまま中継し、フロント開閉部14のアクチュエータ17に供給する。すなわち紙幣制御部23は、光通信部29及び19の間で通信が確立されている場合、フロント開閉部14のアクチュエータ17により外シャッタ16を駆動させ、開放又は閉塞させることができる。
因みに紙幣制御部23及びフロント制御部18は、それぞれ光通信部29及び19の間で通信が確立されているか否かを検出し得るようになっている。またフロント制御部18は、図示しないセンサにより外シャッタ16の開閉状態を検出し得るようになっている。
ここで、現金自動預払機1における外シャッタ16及び内シャッタ33に関する部分をブロック図により表すと、図4のように表すことができる。因みに図4では、電力の供給を表す線を、各信号の供給を表す線よりも太く表示している。この図4から分かるように、外シャッタ16及び内シャッタ33は、基本的に、何れも紙幣制御部23からの制御に基づいて開閉される。
[1−2.現金自動預払機による入出金処理及び処理手順]
次に、現金自動預払機1における入金処理及び出金処理について説明する。現金自動預払機1の主制御部8は、顧客との取引の開始を待ち受ける際、操作表示部11(図1)に所定の待受画面を表示させる。この待受画面には、例えば入金取引の開始を意味する「預金」や出金取引の開始を意味する「引出」等のように、取引の種類に応じた選択項目がGUI(Graphical User Interface)により表示されている。
主制御部8は、この待受画面の「預金」項目が選択されると、顧客との間で入金取引を開始し、紙幣入出金機20の紙幣制御部23に対して入金処理の開始を指示する。これに応じて紙幣制御部23は、入金処理を開始し、最初の処理として、顧客に入出金部24へ紙幣を投入させる。
具体的に紙幣制御部23は、まず入出金部24のアクチュエータ34を制御して内シャッタ33を開放させ、続いてフロント開閉部14のアクチュエータ17を制御して外シャッタ16を開放させる。これにより入出金部24の収容器31は、内通過孔32及び外通過孔4BHを介して外部の空間と連通し、顧客により紙幣を投入させ得る状態となる。
この状態において紙幣制御部23は、顧客により収容器31内に紙幣が投入され、操作表示部11(図1)を介して紙幣の取込を開始する指示を受け付けると、まずフロント開閉部14のアクチュエータ17を制御して外シャッタ16を閉塞させ、続いて入出金部24のアクチュエータ34を制御して内シャッタ33を閉塞させる。次に紙幣制御部23は、入出金部24の分離集積部により、収容器31内の紙幣を1枚ずつに分離しながら取り込み、上搬送部25に順次受け渡す。
上搬送部25は、紙幣を鑑別部26へ搬送して鑑別させ、得られた鑑別結果を紙幣制御部23へ送出させる。紙幣制御部23は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣が受け入れ可能な紙幣であるか否かを判断し、受け入れ可能であれば一時保留部27へ搬送させ、受け入れ不可能であれば入出金部24へ搬送させる。ここで入出金部24に搬送された紙幣は、顧客に返却される。
やがて紙幣制御部23は、入出金部24の収容器31から全ての紙幣を取り込み終えると、取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部11に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金処理を継続するか否かを顧客に選択させる。ここで紙幣制御部23は、顧客により入金処理の中止が指示された場合、一時保留部27に保留している全ての紙幣を上搬送部25により入出金部24へ搬送し、外シャッタ16及び内シャッタ33を開放させることにより、紙幣を顧客に返却する。
顧客から入金処理の継続が指示された場合、紙幣制御部23は、一時保留部27から紙幣を繰り出させ、上搬送部25により搬送し、鑑別部26を通過させる。このとき紙幣制御部23は、鑑別部26により紙幣の金種を鑑別させ、収納すべき紙幣収納庫42を決定した上で、各紙幣を下部ユニット22の下搬送部41により各紙幣収納庫42へ搬送し、収納させる。
また主制御部8は、待受画面において「引出」項目が選択されると、顧客との間で出金取引を開始し、操作表示部11(図1)を介して顧客に出金額を入力させた後、紙幣入出金機20の紙幣制御部23に対し出金処理の開始を指示する。これに応じて紙幣制御部23は、出金処理を開始し、出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を紙幣収納庫42から繰り出させ、下搬送部41及び上搬送部25により入出金部24へ順次搬送させて、収容器31内に収容させる。
やがて紙幣制御部23は、出金額に応じた全ての紙幣を入出金部24の収容器31内に収容し終えると、外シャッタ16及び内シャッタ33を開放させることにより紙幣を顧客に取り出させ、その後外シャッタ16及び内シャッタ33を閉塞させて出金処理を終了する。
このように主制御部8は、入金取引及び出金取引の何れにおいても、紙幣制御部23に対して取引処理の開始を指示した後、何ら処理を行わない。具体的に主制御部8は、各取引を開始する場合、図5に示すフローチャートに従って取引開始指示処理手順RT1に従った処理を実行する。
主制御部8は、電源が投入されると、取引開始指示処理手順RT1を開始してステップSP1へ移る。このステップSP1において主制御部8は、操作表示部11(図1)を介して、顧客による取引の開始指示を受け付け、次のステップSP2へ移る。このとき主制御部8は、その取引の種類に応じて、例えば操作表示部11を介した出金額の入力といった、その取引に必要な処理を適宜実行する。
ステップSP2において主制御部8は、紙幣制御部23に対し、指示された取引(入金取引や出金取引等)に応じた処理(入金処理や出金処理等)の開始を指示した後、次のステップSP3へ移って取引開始指示処理手順RT1を終了する。これに応じて紙幣制御部23は、指示された処理(入金処理や出金処理等)を開始する。これを換言すれば、主制御部8は、紙幣制御部23に入金処理や出金処理等の開始を指示した後、外シャッタ16の開閉制御のような処理を行う必要が無い。
また紙幣制御部23は、これらの処理(入金処理や出金処理等)において入出金部24の収容器31に紙幣を投入させ、或いは当該収容器31から紙幣を取り出させる場合、外シャッタ16及び内シャッタ33を連動して開放させ、また連動して閉塞させる。
具体的に紙幣制御部23は、外シャッタ16及び内シャッタ33を開放する場合、サブルーチンとして、図6に示すシャッタ開放処理手順RT2を開始してステップSP11へ移る。ステップSP11において紙幣制御部23は、入出金部24のアクチュエータ34を制御して内シャッタ33を開放させ、次のステップSP12へ移る。
ステップSP12において紙幣制御部23は、光通信部29及び19並びにフロント制御部18を介し、フロント開閉部14のアクチュエータ17を制御して外シャッタ16を開放させ、次のステップSP13へ移ってシャッタ開放処理手順RT2を終了する。これにより現金自動預払機1は、内通過孔32及び外通過孔4BHを介して入出金部24の収容器31を外部の空間と連通させることができ、顧客に対して当該収容器31への紙幣の投入や当該収容器31からの紙幣の取出を行わせることができる。
その後、紙幣制御部23は、外シャッタ16及び内シャッタ33を閉塞するべく、サブルーチンとして、図7に示すシャッタ閉塞処理手順RT3を開始してステップSP21へ移る。ステップSP21において紙幣制御部23は、光通信部29及び19並びにフロント制御部18を介し、フロント開閉部14のアクチュエータ17を制御して外シャッタ16を閉塞させ、次のステップSP22へ移る。
ステップSP22において紙幣制御部23は、入出金部24のアクチュエータ34を制御して内シャッタ33を閉塞させ、次のステップSP12へ移ってシャッタ閉塞処理手順RT3を終了する。
これにより現金自動預払機1は、収容器31を外部の空間から隔離し、外部から当該収容器31内へ顧客の手や異物が投入されること、或いは当該収容器31内の紙幣が不用意に取り出されることを防止できる。これを換言すれば、紙幣制御部23は、アクチュエータ34及び17を直接的に制御することにより、フロント開閉部14の外シャッタ16及び入出金部24の内シャッタ33の双方を開閉させることができる。
[1−3.フロントパネルの開閉検出]
ところで紙幣制御部23は、上述したように、光通信部29及び19の間で通信が確立されているか否か、すなわち当該光通信部29及び19の接続状態(すなわち通信状態)を検出することができる。また紙幣制御部23は、上述したように、収納検出部28による検出結果を基に上部ユニット21が筐体2内に収納されているか否かを認識することもできる。
そこで紙幣制御部23は、光通信部29及び19の接続状態と収納検出部28の検出結果とを組み合わせることにより、フロントパネル4が開放状態又は閉塞状態の何れであるかを判断することができる。
例えば図3に示したように、現金自動預払機1では、筐体2内に上部ユニット21が収納され、且つフロントパネル4が閉塞状態であるとき、収納検出部28が「オン」となり、且つ光通信部29及び19の間で通信が接続された状態となる。
また図8に示すように、現金自動預払機1では、筐体2内に上部ユニット21が収納され、且つフロントパネル4が開放状態であるとき、収納検出部28が「オン」となり、且つ光通信部29及び19の間は通信が切断された状態となる。
さらに、図9に示すように、現金自動預払機1では、筐体2の後方に上部ユニット21が引き出された場合、フロントパネル4が閉塞状態又は開放状態の何れであっても、収納検出部28が「オフ」となり、且つ光通信部29及び19の間で通信が切断された状態となる。
ここで、光通信部29及び19の接続状態並びに収納検出部28の検出結果と、上部ユニット21及びフロントパネル4の状態との関係をまとめると、図10に示す状態テーブルのように表すことができる。すなわち現金自動預払機1は、収納検出部28が「オン」であれば、光通信部29及び19の間で通信が接続されているか否かを基に、フロントパネル4が閉塞されているか否かを判断することができる。
[1−4.外シャッタの強制閉塞]
ところで現金自動預払機1は、例えば金融機関の一角に設けられたATMコーナー等において、建物の壁面に埋め込まれるようにして設置される場合がある。このようなATMコーナーでは、現金自動預払機1の前側に空間が設けられており、当該現金自動預払機1を利用する顧客の操作性等を確保している。またATMコーナーにおける現金自動預払機1の後側、すなわち壁面の後側である隣の部屋には、空間が設けられており、保守作業等の作業性を確保している。因みにATMコーナーには、複数台の現金自動預払機1が設置されることが多い。
例えば現金自動預払機1において上部ユニット21の保守作業が行われる場合、当該上部ユニット21は、図9に示したように、筐体2の後方へ引き出され、保守作業員等により保守作業が行われる。このとき保守作業員は、現金自動預払機1の後側、すなわちATMコーナーの隣の部屋において保守作業を行うことになる。このため保守作業員は、ATMコーナー内の様子を視認し得ない可能性が高い。
ところで現金自動預払機1は、ATMコーナーの利用可能時間内に保守作業が行われる場合がある。このATMコーナー内には、顧客が利用可能な他の現金自動預払機がある。すなわちATMコーナー内には、顧客がいる可能性がある。ここで、仮に、保守作業が行われている現金自動預払機1の外シャッタ16が開放されていた場合、外通過孔4BHを介して顧客が筐体2内に手や異物を差し入れることが可能となる。特に現金自動預払機1は、外通過孔4BHから筐体2内に顧客の手が差し入れられた状態で、保守作業員がこのことに気付かないまま、上部ユニット21が引出状態から収納状態に戻された場合、当該上部ユニット21との接触により顧客の手を負傷させてしまう恐れがある。
そこで現金自動預払機1は、フロントパネル4が閉塞状態にあり、且つ上部ユニット21が収納状態から引き出される際に、外シャッタ16が開放されていれば、これを強制的に閉塞させるようになっている。ここで現金自動預払機1では、光通信部29及び19の間における通信が切断されるため、紙幣制御部23からアクチュエータ17に対し制御信号を送信できない。そこで現金自動預払機1では、フロント制御部18の制御により、外シャッタ16を閉塞するようになっている。
具体的にフロント制御部18は、図11に示す外シャッタ強制閉塞処理手順RT4を開始し、ステップSP31へ移る。ステップSP31においてフロント制御部18は、光通信部29及び19の間における通信状態を確認し、次のステップSP32へ移る。ステップSP32においてフロント制御部18は、光通信部29及び19の間で通信が接続されているか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは上部ユニット21が筐体2の後方へ引き出されている可能性があることを表している。このときフロント制御部18は、次のステップSP33へ移り、外シャッタ16の開閉状態を検出し、次のステップSP34へ移る。
ステップSP34においてフロント制御部18は、外シャッタ16が開放状態であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、フロント制御部18は、次のステップSP35へ移り、アクチュエータ17を制御することにより外シャッタ16を強制的に閉塞させた後、その次のステップSP36へ移って外シャッタ強制閉塞処理手順RT4を終了する。
一方、ステップSP32において肯定結果が得られた場合、このことは図10からも分かるように、フロントパネル4が閉塞状態にあり、且つ上部ユニット21が収納状態にあるため、外シャッタ16を強制的に閉塞させる必要が無いことを表している。このときフロント制御部18は、外シャッタ16に対する制御を行うこと無く、ステップSP36へ移って外シャッタ強制閉塞処理手順RT4を終了する。
またステップSP34において否定結果が得られた場合、このことは既に外シャッタ16が閉塞状態であり、当該外シャッタ16を特に駆動させる必要が無いことを表している。このときフロント制御部18は、ステップSP36へ移って外シャッタ強制閉塞処理手順RT4を終了する。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1は、フロント開閉部14の外シャッタ16を開閉させるための制御信号を、光通信部29及び19の間で光通信により送信するようにした。
このため現金自動預払機1では、メインパネル3に対し開閉するフロントパネル4に、フロント開閉部14への制御信号を伝達するための配線材を取り付けること無く、外シャッタ16を開閉させることができる。これにより、現金自動預払機1を製造する場合に、フロントパネル4を開閉可能とするための比較的長い配線材をメインパネル3や当該フロントパネル4の内側に沿って取り付けるといった、煩雑な作業工程を省略できる。
また現金自動預払機1は、フロントパネル4のフロント開閉部14に対し、電源部9から有線により電力を供給するようにした。このため現金自動預払機1は、フロントパネル4の開閉状態や上部ユニット21の収納状態に関わらず、フロント開閉部14に対し常に電力を供給することができる。
ところで従来の現金自動預払機301(図17)では、主制御部308とフロント制御部18とが有線により接続されている。このため現金自動預払機301は、各取引において内シャッタ33と共に外シャッタ16を開閉する場合、紙幣制御部323から主制御部308に対し外シャッタ16の開閉を依頼し、当該主制御部308からフロント制御部18に制御信号を供給し、また開閉動作の完了を通知する、といった複雑な処理手順を経る必要があった。
この点において現金自動預払機1は、光通信部29を筐体2のメインパネル3内では無く、紙幣入出金機20の上部ユニット21内に設け、紙幣制御部23と接続させた。これにより現金自動預払機1は、フロント制御部18による単純な中継処理を利用しながら、紙幣制御部23からアクチュエータ17を直接的に制御することができる。
すなわち紙幣制御部23は、外シャッタ16及び内シャッタ33の双方を統括的に制御することにより、互いを連動させながら、円滑に開閉させることができる。また他の観点から見れば、現金自動預払機1は、紙幣制御部23が主体的に外シャッタ16及び内シャッタ33の開閉を制御できるので、他との連携を考慮する必要なく、必要に応じてこれらを迅速に閉塞することにより、紙幣入出金機20の内部に保有する紙幣を積極的に保護することができる。
さらに現金自動預払機1は、光通信部29及び19の間における通信の接続又は切断を紙幣制御部23により検出でき、且つ収納検出部28により上部ユニット21が収納状態又は引出状態の何れにあるかを検出できる。このため紙幣制御部23は、上部ユニット21が収納状態である場合、専用のセンサ等を設ける必要なく、光通信部29及び19の間における接続状態を基に、フロントパネル4の開閉状態を判断することができる(図10)。
そのうえ現金自動預払機1は、光通信部29及び19の間における通信が切断された場合、フロント制御部18の制御により外シャッタ16を強制的に閉塞させるようにした。このため現金自動預払機1は、保守作業等のために上部ユニット21が後方へ引き出された時点で、外シャッタ16が開放状態の場合、当該外シャッタ16を強制的に閉塞させることができる。これにより現金自動預払機1は、上部ユニット21が後方へ引き出された状態で、顧客が誤って外通過孔4BHに手を差し入れてしまうこと、及びこのような状態で上部ユニット21を収納することにより顧客の手を負傷させてしまうことを未然に回避できる。
また現金自動預払機1は、光通信部29及び19の間で、光を水平方向へ進行させることにより相互に通信を行うようにした。このため光通信部29及び19は光の発光面及び受光面をほぼ水平とすることができるので、これらをほぼ垂直に設けた場合に生じ得る、埃や異物等の堆積による通信不良の発生を排除することができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1は、メインパネル3内に収納された上部ユニット21の紙幣制御部23から供給され、フロント開閉部14の外シャッタ16を開閉させる制御信号を、光通信部29及び19の間を光により通信させるようにした。これにより現金自動預払機1は、メインパネル3とフロントパネル4との間で制御信号を伝達するための配線材を省略できるので、従来よりも部材や組立作業の工数を低減でき、製造コストの低廉化を図ることができる。
[2.第2の実施の形態]
[2−1.現金自動預払機の構成]
第2の実施の形態による現金自動預払機101は、図3と対応する図12に示すように、第1の実施の形態における主制御部8及びフロント開閉部14に代えて、主制御部108及びフロント開閉部114を有している。またメインパネル3内には、無線通信部151及び電力送信部152が設けられている。
主制御部108は、第1の実施の形態による主制御部8と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有する一方、第1の実施の形態とは異なり、外シャッタ16を駆動するアクチュエータ17に対し制御信号を送信するようになっている。すなわち主制御部108は、外シャッタ16の開閉を直接制御するようになっている。また主制御部108は、図示しないセンサにより外シャッタ16の開閉状態を検出し得るようになっている。
無線通信部151は、内部に変復調回路や増幅回路等を有すると共に、アンテナを有しており、電気信号及び無線信号を相互に変換するようになっている。この無線通信部151は、主制御部108と接続されており、当該主制御部108から供給される制御信号を無線信号に変換してアンテナから放射し、またこのアンテナにより受信した無線信号を電気信号に変換して当該主制御部108へ供給する。因みに無線通信部151は、ISM(Industrial, Scientific and Medical)バンドである2.4GHzの周波数帯を使用する。また電力送信部152は、内部にコイル等を有し、電源部9と接続されている。この電力送信部152は、電源部9から供給される電力を電磁波に変換して放射する。
フロント開閉部114は、フロント開閉部14と比較して、光通信部19が省略される一方、フロント制御部18に代わるフロント制御部118を有しており、さらに無線通信部161及び電力受信部162が追加されている。
フロント制御部118は、第1の実施の形態によるフロント制御部18と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等により構成されており、アクチュエータ17に対する制御信号を中継する一方、外シャッタ16の強制閉塞処理を行わない。
無線通信部161は、無線通信部151と同様に構成され、フロント制御部118と接続されている。この無線通信部161は、フロントパネル4が閉塞状態にあるとき、そのアンテナを無線通信部151のアンテナと対向させており、当該無線通信部151との間で無線信号を送受信することができる。すなわち無線通信部161は、フロントパネル4が閉塞状態にあるとき、無線通信部151から無線により送信される制御信号を受信し、電気信号に復元してフロント制御部118に供給することができる。因みに主制御部108は、無線通信部151及び161の間で通信が確立されているか否かを検出し得るようになっている。
電力受信部162は、フロントパネル4が閉塞状態であるときに電力送信部152と近接し且つ対向する位置に設けられている。この電力受信部162は、フロントパネル4が閉塞状態であるとき、電力送信部152から放射される電磁波を受信して電力に変換し、これをフロント制御部118に供給する。
かかる構成によりフロントパネル4側のフロント開閉部114は、筐体2のメインパネル3側との間において、無線による制御信号の及び電力の供給等を行うことができるため、配線材を用いた有線接続がされていない。
また現金自動預払機101の筐体2には、紙幣入出金機20に代わる紙幣入出金機120が収納される。紙幣入出金機120は、上部ユニット21に代わる上部ユニット121を有している。上部ユニット121は、上部ユニット21と比較して、光通信部29が省略され、紙幣制御部23に代わる紙幣制御部123を有している。紙幣制御部123は、紙幣制御部23と同様、図示しないCPU、ROM及びRAM等を有する一方、第1の実施の形態とは異なる入金処理及び出金処理を行うようになっている(詳しくは後述する)。
このように現金自動預払機101は、フロント制御部118に対して無線により制御信号を送信すると共に非接触により電力を供給し、また主制御部108から外シャッタ16の開閉を制御するようになっている。
ここで、現金自動預払機101における外シャッタ16及び内シャッタ33に関する部分をブロック図により表すと、図4と対応する図13のように表すことができる。この図13から分かるように、現金自動預払機101では、紙幣制御部123の制御により内シャッタ33を開閉させる一方、主制御部108の制御により外シャッタ16を開閉させるようになっている。
[2−2.現金自動預払機による入出金処理及び処理手順]
次に、現金自動預払機101における入金処理及び出金処理について説明する。現金自動預払機101の主制御部108は、入金取引又は出金取引が行われる場合、紙幣入出金機120の紙幣制御部123に対して入金処理又は出金取引の開始を指示する。
紙幣制御部123は、外シャッタ16及び内シャッタ33を開閉させる場合、内シャッタ33についてはアクチュエータ34に制御信号を直接送信する一方、外シャッタ16については主制御部108に開閉の制御を指示するようになっている。主制御部108は、この指示に応じて、無線通信部151及び161を介してアクチュエータ17に制御信号を送信するようになっている。
例えば紙幣制御部123及び主制御部108は、外シャッタ16及び内シャッタ33を開放する場合、図14に示すシャッタ開放シーケンスに従い、互いに連携して処理を実行する。まず紙幣制御部123は、入金処理や出金処理等におけるサブルーチンとしてシャッタ開放処理手順RT5を開始し、ステップSP41へ移る。
ステップSP41において紙幣制御部123は、ステップSP11(図6)と同様、入出金部24のアクチュエータ34を制御して内シャッタ33を開放させ、次のステップSP42へ移る。ステップSP42において紙幣制御部123は、主制御部108に対し、外シャッタ16の開放を指示して次のステップSP43へ移る。
一方、主制御部108は、シャッタ開放処理手順RT6を開始し、ステップSP51へ移る。ステップSP51において主制御部108は、紙幣制御部123からの指示を取得し、次のステップSP52へ移ってこの指示に従った処理として外シャッタ16を開放させ、次のステップSP53へ移る。具体的に主制御部108は、無線通信部151及び161並びにフロント制御部118を介して、制御信号をアクチュエータ17へ送信することにより外シャッタ16を駆動させる。
ステップSP53において主制御部108は、所定のセンサにより外シャッタ16が開放されたことを検出すると、次のステップSP54へ移って当該外シャッタ16の開放動作が完了したことを紙幣制御部123へ通知した後、その次のステップSP55へ移ってシャッタ開放処理手順RT6を完了する。
これに応じて紙幣制御部123は、ステップSP43において外シャッタ16の開放動作が完了したことを表す通知を取得すると、次のステップSP44へ移ってシャッタ開放処理手順RT5を終了する。
また紙幣制御部123及び主制御部108は、外シャッタ16及び内シャッタ33を閉塞する場合、図15に示すシャッタ閉塞シーケンスに従い、互いに連携して処理を実行する。まず紙幣制御部123は、入金処理や出金処理等におけるサブルーチンとしてシャッタ閉塞処理手順RT7を開始し、ステップSP61へ移る。ステップSP61において紙幣制御部123は、主制御部108に対し、外シャッタ16の閉塞を指示して次のステップSP62へ移る。
一方、主制御部108は、シャッタ閉塞処理手順RT8を開始し、ステップSP71へ移って紙幣制御部123からの指示を取得し、次のステップSP72へ移る。ステップSP72において主制御部108は、取得した指示に従った処理として外シャッタ16を閉塞させ、次のステップSP73へ移る。具体的に主制御部108は、無線通信部151及び161並びにフロント制御部118を介して、制御信号をアクチュエータ17へ送信することにより外シャッタ16を駆動させる。
ステップSP73において主制御部108は、所定のセンサにより外シャッタ16が閉塞されたことを検出すると、次のステップSP74へ移って当該外シャッタ16の閉塞動作が完了したことを紙幣制御部123へ通知した後、その次のステップSP75へ移ってシャッタ閉塞処理手順RT8を完了する。
これに応じて紙幣制御部123は、ステップSP62において外シャッタ16の閉塞動作が完了したことを表す通知を取得すると、次のステップSP63へ移る。ステップSP63において紙幣制御部123は、ステップSP22(図7)と同様、入出金部24のアクチュエータ34を制御して内シャッタ33を閉塞させ、次のステップSP64へ移ってシャッタ閉塞処理手順RT7を終了する。
[2−3.フロントパネルの開閉検出及び外シャッタの強制閉塞]
ところで無線通信部151及び161は、比較的近い距離のみ無線信号を到達させるよう、その出力が比較的弱く設定されている。このため無線通信部151及び161は、フロントパネル4が閉塞状態であれば互いに通信できるものの、開放されると互いの通信が切断される。
また電力送信部152は、放射する電磁波の強度が比較的弱く設定されている。このため電力受信部162は、フロントパネル4が開放状態であれば、電力送信部152からの電磁波を受信できず、電力をフロント制御部18等へ供給することができない。このときフロント開閉部114では、無線通信部161にも電力が供給されなくなるため、無線通信が切断されることになる。
すなわち現金自動預払機101では、フロントパネル4が閉塞状態であれば、電力送信部152から電力受信部162へ電力を伝達でき、また無線通信部151及び161の間で無線通信を接続させることができる。その一方で現金自動預払機101では、フロントパネル4が開放状態であれば、電力送信部152から電力受信部162へ電力を伝達できず、無線通信部151及び161の間における無線通信が切断される。
そこで主制御部108は、無線通信部151及び161の間で無線通信が接続されているか否かを検出し、その検出結果を基にフロントパネル4の開閉を検出するようになっている。具体的に主制御部108は、無線通信部151及び161の間で無線通信が接続されている場合には、フロントパネル4が閉塞状態であると判断し、この無線通信が切断されている場合には、フロントパネル4が開放状態であると判断する。
このように主制御部108は、無線通信部151及び161の間における無線通信の接続状態に応じて、専用のセンサ等を設けること無く、フロントパネル4の開閉を検出することができる。
また、現金自動預払機101では、第1の実施の形態と同様、紙幣入出金機120の上部ユニット121が引出状態である場合、外シャッタ16を閉塞させておくことが望ましい。そこで主制御部108は、上部ユニット121が引き出し状態である場合、外シャッタ16が開放されていれば、強制的に閉塞させるようになっている。
具体的に紙幣制御部123は、収納検出部28が「オン」から「オフ」になったことを検出すると、このことを主制御部108へ通知する。主制御部108は、第1の実施の形態と同様、外シャッタ強制閉塞処理手順RT4(図11)を実行することにより、フロントパネル4が閉塞状態であり、且つ外シャッタ16が開放されていれば、当該外シャッタ16を強制閉塞させる。
[2−4.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101は、フロント開閉部114の外シャッタ16を開閉させるための制御信号を、無線通信部151及び161の間で無線信号に変換して送信するようにした。このため現金自動預払機101では、第1の実施の形態と同様、制御信号を伝達するための配線材をフロントパネル4に取り付けること無く、外シャッタ16を開閉させることができる。
また現金自動預払機101は、フロント開閉部114に供給する電力を、電力送信部152及び電力受信部162の間で電磁波に変換して無線により供給するようにした。
このため現金自動預払機101では、制御信号を伝達するための配線材に加えて電力を供給するための配線材についてもフロントパネル4に取り付けること無く、外シャッタ16を開閉させることができる。
これにより現金自動預払機101では、製造時にフロントパネル4及びメインパネル3の内側に沿って配線材を取り付けるといった煩雑な作業工程を、第1の実施の形態よりもさらに軽減させることができる。
その他の点においても、現金自動預払機101は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101は、主制御部108から供給されフロント開閉部114の外シャッタ16を開閉させる制御信号を、無線通信部151及び161の間で無線により通信させ、アクチュエータ17へ供給するようにした。また現金自動預払機101は、フロント開閉部114へ供給する電力を電力送信部152及び電力受信部162の間で電磁波に変換して無線で伝達するようにした。これにより現金自動預払機101は、メインパネル3とフロントパネル4との間で制御信号や電力を伝達するための配線材を削減できるので、部材や組立作業の工数を大幅に低減でき、製造コストのさらなる低廉化を図ることができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、紙幣制御部23から供給される制御信号を、光通信部29及び19の間で光に変換して伝達し、フロント開閉部14のアクチュエータ17に供給する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光通信部19及び29に代えて、第2の実施の形態における無線通信部151及び161を設けることにより、制御信号を無線信号に変換して伝達しても良い。また第2の実施の形態においては、これと反対に、無線通信部151及び161に代えて光通信部19及び29を設け、光により制御信号を伝達しても良い。要は、外シャッタ16を開閉させるための制御信号を、配線材を用いること無く、非接触によりフロントパネル4のフロント開閉部14へ伝達できれば良い。
また上述した第1の実施の形態においては、光通信部29を紙幣入出金機20の上部ユニット21に設けると共に、紙幣制御部23からアクチュエータ17へ制御信号を供給することにより外シャッタ16の開閉を制御する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光通信部29を筐体2のメインパネル3内に設け、第2の実施の形態と同様に主制御部8からアクチュエータ17へ制御信号を供給することにより外シャッタ16の開閉を制御するようにしても良い。また第2の実施の形態において、無線通信部151を第1の実施の形態と同様に紙幣入出金機120の上部ユニット121内に設け、紙幣制御部123により外シャッタ16の開閉を制御しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、シャッタ開放処理手順RT2(図6)において内シャッタ33を開放させた後に外シャッタ16を開放させ、またシャッタ閉塞処理手順RT3(図7)において外シャッタ16を閉塞させた後に内シャッタ33を閉塞させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばこれらの順序を逆転させても良く、或いは両シャッタを並行して開放又は閉塞させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光通信部29及び19の間で、光を水平方向へ進行させることにより相互に通信を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光通信部29及び19の相対位置を変更し、光を斜め方向や上下方向へ進行させることにより相互に通信を行っても良い。また、光通信部29及び19の間における光の伝達についても、光通信部29及び19の間で直接送受信する構成に限らず、例えば鏡により反射させ、或いは光ファイバ等の光学部品により中継させても良い。因みに光通信部29及び19により受発光する光は、例えばIrDA(Infrared Data Association)規格に準じた赤外線でも良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、無線通信部151及び161の間において、ISMバンドである2.4GHzの周波数帯を使用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、他の種々の周波数帯を使用しても良い。ただし、例えば900MHzや5.2GHz等といった他のISMバンドのように、管理当局の免許や認可等を必要としない周波数帯を使用することが好ましい。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光通信部29及び19の間における通信の接続状態を基に、紙幣制御部23によりフロントパネル4の開閉状態を検出する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば収納検出部28と同様の構成でなる開閉検出部をフロントパネル4又はメインパネル3に設けても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、メインパネル3内から上部ユニット21が引き出された場合、外シャッタ16を強制的に閉塞させる場合について述べた(図11)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばメインパネル3内から上部ユニット21が引き出された場合であっても、外シャッタ16を開放させたままとしても良い。この場合、例えばフロントパネル4の操作表示部11に、外通過孔4BHに手や指先等を差し入れないように注意を喚起する画面を表示することが考えられる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣入出金機20の上部ユニット21に収納検出部28を設け、これを紙幣制御部23と電気的に接続する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばメインパネル3内に収納検出部を設け、これを主制御部8と電気的に接続しても良い。この場合、収納検出部による検出結果を主制御部8から紙幣制御部23へ通知すれば良い。第2の実施の形態についても同様であり、この場合、主制御部108は、収納検出部から直接得られる検出結果を基に、外シャッタ16を強制閉塞させることができる。
さらに上述した第2の実施の形態においては、電力送信部152をメインパネル3内に設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば電力送信部152を紙幣入出金機120の上部ユニット121内に設けても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、筐体2のメインパネル3内に収納されている紙幣入出金機20の上部ユニット21及び下部ユニット22を、後方へ引き出すことにより当該メインパネル3の外部へ露出させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図3と対応する図16に示す現金自動預払機201のように、上部ユニット221及び下部ユニット222を、メインパネル3の前方へ引き出すようにしても良い。この場合、収納検出部28及び当接片7を後側に配置すれば良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、メインパネル3に対し、フロントパネル4を上端近傍に設けた回動支持部4Sを介して回動可能に取り付ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばメインパネル3に対し、周知のリンク機構やスライド機構等を介してフロントパネル4を取り付け、移動や移動及び回動の組み合わせ等により開閉させるようにしても良く、また回動支持部4Sをフロントパネル4の後面における左端や右端に設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、光通信部29及び19の間で外シャッタ16を開閉させるための制御信号を送信する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば操作表示部11に所定の表示画面を表示させるための映像信号や、当該操作表示部11に対するタッチ操作の検出結果を表す操作信号等、種々の信号を光通信部29及び19の間で通信させるようにしても良い。これにより、メインパネル3とフロントパネル4との間を結ぶ配線材をさらに削減させることができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、金融機関の店舗等に設置され、顧客との間で現金に関する種々の取引を行う現金自動預払機1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金融機関の窓口等に設置され、主に金融機関の職員等が使用する紙幣処理装置(いわゆるテラーマシン)等、種々の装置に適用しても良い。或いは、紙幣に限らず、例えば硬貨、或いは証券や金券等、種々の媒体を取り扱う種々の装置に適用しても良い。要は、媒体を装置の内外で受け渡す箇所において、開閉可能なフロントパネルに設けられた外シャッタとその内側に設けられた内シャッタとを連動して開閉させる構成を有している装置であれば、適用することができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、フロントパネルとしてのフロントパネル4と、媒体処理ユニットとしての上部ユニット21と、フロントシャッタとしての外シャッタ16と、ユニットシャッタとしての内シャッタ33と、無線通信部としての光通信部29及び19と、制御部としての紙幣制御部23とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるフロントパネルと、媒体処理ユニットと、フロントシャッタと、ユニットシャッタと、無線通信部と、制御部とによって媒体取引装置を構成しても良い。