JP6466699B2 - 伸縮駆動装置及び開閉機構 - Google Patents

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Description

本発明は、伸縮駆動装置及び開閉機構に関する。
例えば自動車のバックドアのような開閉体を開閉作動する装置として、開閉体駆動装置が知られている。開閉体駆動装置は、例えば、モータによってシャフトを伸縮させ、それにより開閉体を開閉させる(例えば、特許文献1を参照)。
特開2013−104228号公報
特許文献1に記載の開閉体駆動装置としての駆動スピンドル21は、本体部23と、スピンドル25とを有している。スピンドル25は、本体部23に対してスライド可能に係合している。本体部23はボデー13に連結され、スピンドル25は開閉体3に連結されている。スピンドル25は、モータ及び回転運動を直線運動に変換する運動方向変換機構によって、本体部23に対して移動する。これにより、駆動スピンドル21が伸縮され、それにより開閉体3が開閉される。
この場合、開閉体3が開いた状態では、駆動スピンドル21は斜め上方に延びており、つまり、スピンドル25が本体部23に対して上側に位置している。この場合、雨又は洗浄水が自動車にかけられると、スピンドル25と本体部23との接触部分の隙間から、伸縮駆動による内部の体積増加のために繋ぎ目部分から空気が取り込まれ、同時に水分も駆動スピンドル21内に侵入する。そして、侵入した水分は駆動スピンドル21内に入り込むこととなるが、入り込んだ水分は、スピンドル25と本体部23との接触部分の隙間からは抜けにくく、駆動スピンドル21内に水分が貯まることとなる。駆動スピンドル21内に水分が貯まると、運動変換機構が錆び付いてしまい、その結果スピンドル25の伸縮運動がスムーズに行われなくなる。また、スピンドル25と本体部23との接触部分は、摩耗が生じやすく、水分が付着すると錆びの原因となりやすい。
本発明の課題は、伸縮駆動装置において、水分の侵入による不具合を低減することにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る伸縮駆動装置は、外筒と、内筒と、回転駆動部材と、駆動力伝達部材と、弾性部材と、を備えている。
外筒は、駆動部が内部に設けられている。
内筒は、外筒の内側に設けられ、先端に閉構造を有し、外筒に対して軸方向に相対移動する。
回転駆動部材は、駆動部の駆動力により回転駆動される。
駆動力伝達部材は、回転駆動部材により駆動され、回転駆動部材の回転軸方向へ移動する。
弾性部材は、駆動力伝達部材の外周に配置され、内筒の先端と接触し、駆動力伝達部材に対して回転軸方向に付勢力を与える。なお、弾性部材は駆動力伝達部材に対して直接に又は内筒を介して間接的に付勢力を与えることができる。
回転駆動部材、駆動力伝達部材及び弾性部材は、外筒と内筒とにより形成された内側空間に収納されている。
内筒の先端部に流体の吸排口が設けられている。
この装置では、駆動部が回転駆動部材を駆動すると、駆動力伝達部材が内筒を外筒に対して軸方向に移動させる。これにより、外筒と内筒とが伸縮される
水分が外筒と内筒とにより形成された内側空間に進入すれば、当該水分は、内側空間を例えば弾性部材を伝わって内筒の先端にまで移動して、最後に内筒の流体の吸排口から排出される。したがって、水分が内側空間内に長期間にわたって滞在しにくい。
なお、内筒の先端部とは、吸排口を設けることによって効果的に排水可能な位置であればよく、例えば、内筒の先端面、及び内筒の先端側の周面を含む。
伸縮駆動装置は、弾性部材の外周に配置され、駆動力伝達部材をガイドするガイド部材をさらに備えていてもよい。
ガイド部材は、駆動力伝達部材の回転を規制しつつ、駆動力伝達部材を回転軸方向へガイドするガイド部を有する
この装置では、駆動力伝達部材は、ガイド部材によって回転を規制されつつ、さらに、回転軸方向へガイドされる。この場合、ガイド部材が弾性部材の外周に配置されているので、例えば弾性部材を伝わって移動する水分は、ガイド部材によって遮られることで、外筒側に移動しにしにくい。したがって、水分が外筒を伝わって駆動部側に移動することが生じにくい。その結果、駆動部の不具合が生じにくい。
伸縮駆動装置は、外筒の先端縁に設けられ、内筒の外周面に当接するシール部材をさらに備えていてもよい。
この装置では、シール部材によって、内側空間に水分が侵入しにくい。
本発明の他の見地に係る開閉機構は、上記の伸縮駆動装置と、開閉体と、伸縮駆動装置がその位置が固定される固定対象物とを備え、伸縮駆動装置の駆動によって開閉体が駆動するように、伸縮駆動装置の基端が固定対象物に接続され、伸縮駆動装置の先端が開閉体に接続され、開閉体を開閉作動させる。
本発明に係る伸縮駆動装置及び開閉機構では、水分の侵入による不具合が低減される。
車両後部の概略側面図。 第1実施形態の伸縮駆動装置の断面図。 第1実施形態の伸縮駆動装置の断面図。 第1実施形態の内筒とガイド部材との関係を示す概略斜視図。 第1実施形態の開閉体を開いた状態と閉じた状態における伸縮駆動装置の断面図。 第2実施形態の伸縮駆動装置の内筒の先端部の断面図。 第2実施形態の内筒の概略正面図。
1.第1実施形態
(1)伸縮駆動装置の概略構成
以下、図1を用いて、本発明の実施形態としての伸縮駆動装置1を説明する。図1は、車両後部の概略側面図である。
伸縮駆動装置1は、開閉体3を開閉するための装置である。なお、伸縮駆動装置は、開閉駆動装置に限定されず、例えば物品又は構造を上下、左右又は斜めに移動させる装置にも適用できる。なお、本発明は水分の侵入対策を行うことが目的であるので、伸縮駆動装置は屋外又は水がかかってしまう環境などの伸縮駆動装置1に水分がかかる状況で使用に好適に用いることができる。伸縮駆動装置1は、伸縮駆動装置1の駆動によって開閉体が駆動するように、基端が固定対象物に接続され、先端が当該開閉体に接続され、当該開閉体を開閉作動させる開閉機構の駆動装置として用いられる。なお、伸縮駆動装置1は、固定対象物に固定されることにより位置が固定されればよく、固定対象物との接続部位を中心とした旋回作動をするように固定されてもよい。
開閉体3は、図1に示す例においては、車両5の後部を開閉するためのバックドアである。これに限られず、開閉体3は、例えば、側面の開口の開閉を行うスライドドアであってもよいし、自動開閉窓などの窓であってもよい。その他、開閉体3は、1つの空間を他の空間から隔てる開閉式の壁(ドア)であってもよい。
伸縮駆動装置1は、モータなどの回転運動を直線方向の伸縮運動に変換することで、開閉体3を駆動する装置である。伸縮駆動装置1は、長さ方向の一端が開閉体3の車体内部側に接続され、他端が車両5の車体の後部端に接続される。伸縮駆動装置1は、長さ方向に伸縮して開閉体3を駆動可能であり、開閉体3を全開位置又は全閉位置に移動できるように設けられている。
なお、伸縮駆動装置1は、開閉体3の開閉が可能であれば配置位置や使用数は特に限定されず、車両5及び開閉体3の左右両側に1つずつ配置されてもよいし、車体の左右のいずれか一方に1つ配置されていてもよい。さらに、伸縮駆動装置1は2以上配置されていてもよい。また、伸縮駆動装置1とガスダンパーとを組み合わせて用いてもよい。
(2)伸縮駆動装置の詳細構成
図2及び図3を用いて、伸縮駆動装置1の構成を説明する。図2及び図3は、第1実施形態の伸縮駆動装置の断面図である。
伸縮駆動装置1は、外筒7と、内筒9と、スクリュー11と、モータ13と、ガイドナット15と、コイルスプリング17とを有している。外筒7と内筒9とにより内側空間25が形成されており、スクリュー11、ガイドナット15及びコイルスプリング17は内側空間25に収納されている。なお、以下の説明では、外筒7及び内筒9が延びる長手方向を軸方向という。
具体的には、外筒7は、一方の端面が開放面となった有底円筒状の部材である。外筒7の閉鎖端7aには、第1取付部材(図示せず)が設けられている。第1取付部材は、例えばボールソケットジョイントであり、車両5の後部に設けられた取付部材(図示せず)と回動自在に接続される。
内筒9は、外筒7の内側に設けられ、基端に閉構造を有し、外筒7に対して軸方向に相対移動する。具体的には、内筒9は、一方の端面が開放面となった有底円筒状の部材である。内筒9の外径は外筒7の内径より短く、内筒9は外筒7の先端に設けられた開口部より外筒7に嵌入されている。具体的には、外筒7の先端に設けられた開口部に、内筒9の基端の開口部が挿入されて内筒9と外筒7は嵌合しており、その状態で内筒9は外筒7に対して進退可能である。図2は内筒9が外筒7に対して最も突出した状態を示しており、図3は内筒9が外筒7に対して最も引き込まれた状態を示している。内筒9の先端面9aには、第2取付部材(図示せず)が設けられている。第2取付部材は、例えばボールソケットジョイントであり、開閉体3の取付部材(図示せず)と回動自在に接続される。
前述のように外筒7と内筒9により、伸縮駆動装置1の外部から画定される空間が、内側空間25である。内側空間25は、内筒9の外筒7に対する移動によって体積及びその占める位置が変更される。例えば、図2に示すように内筒9が外筒7に対して最も突出した状態では、内側空間25は、体積が最も大きくなって先端側に増加し、増加した分だけ内側空間25が占める位置も変更されている。また、図3に示すように内筒9が外筒7に対して最も引き込まれた状態では、内側空間25の体積は最も小さくなっている。
回転駆動部材としてのスクリュー11は、モータ13の駆動力により回転駆動される。具体的には、スクリュー11は、外周面にネジ山が周方向外側へ凸状に形成された棒状の部材であり、外筒7の内側部分に固定されたベアリング(図示せず)によって軸回りに回動可能に支持されている。
モータ13は、外筒7の内部に設けられている。モータ13の出力回転軸にスクリュー11が接続されている。これにより、モータ13は、制御部(図示せず)からのモータ制御信号に基づいて、電源(図示せず)に電力が供給されて駆動し、スクリュー11を軸回りに回転できる。なお、スクリュー11は、モータ13の出力回転軸に直接接続されてもよいし、又は減速機構などを介してモータ13の出力回転軸に接続されてもよい。
実施形態では、モータ13は、電動モータであり、直流モータ、又は交流モータである。伸縮駆動装置1が自動車のドアの開閉駆動装置として用いられる場合は自動車の直流電源を用いることができるので、直流モータが好ましい。モータ13は、外筒7の基端側に設けられ、外筒7の内部に固定されている。
駆動力伝達部材としてのガイドナット15は、スクリュー11により駆動され、スクリュー11の回転軸方向へ移動する。具体的には、ガイドナット15は、スクリュー11に螺合するネジ部15aと、ネジ部15aからネジ部15aと同軸に延びる円筒部15bとを有している。円筒部15bの先端は、内筒9の先端面9aの内面に固定されている。これにより、ガイドナット15は、内筒9と一体に動くようになっている。駆動力伝達部材であるガイドナット15は、回転駆動部材であるスクリュー11の外周に螺合して、スクリュー11の回転によって相対回転し、スクリュー11が所定の回転方向に回転することによって、ガイドナット15の円筒部15bがスクリュー11の延在方向に延びるように移動する。円筒部15bがこのような移動をすることにより、内筒9が外筒7より突出する移動をすることができる。スクリュー11が前記所定回転の反対に回転することにより、内筒9が外筒7へ引き込まれる移動をすることもできる。
弾性部材としてのコイルスプリング17は、ガイドナット15の外周に配置され、内筒9の先端と接触し、ガイドナット15に対して回転軸方向に付勢力を与える。この実施例では、ガイドナット15は、外筒7から離れる方向に付勢されている。具体的には、コイルスプリング17は、ガイドナット15およびスクリュー11を覆い、軸方向に所定の付勢力を生じるように、一端が外筒7の内壁のモータ13が設けられた側の座面に当接するように配置され、他端が内筒9の先端面9aの内面に当接するように配置される。これにより、コイルスプリング17は、外筒7と内筒9に対して、軸方向の付勢力を与える。
なお、コイルスプリング17は、軸方向に所定の付勢力を生じるように、一端が外筒7の所定の位置に固定され、他端が内筒9の所定の位置に固定されてもよい。
コイルスプリング17により軸方向の付勢力が内筒9に与えられることにより、ガイドナット15とスクリュー11との螺合に生じる「遊び」を抑制できる。その結果、例えば、モータ13の回転開始からガイドナット15及び内筒9の軸方向の進退動作の開始までのタイムラグを抑制できる。すなわち、制御部から出力される伸縮駆動装置1への駆動信号に対して、遅れなどの制御ロスを生じることなく、伸縮駆動装置1を駆動できる。
内筒9の先端部に流体の吸排口29が設けられている。吸排口29は、内側空間25が縮小されるときに内側空間25から外部に空気を排出し、内側空間25が拡張されるときに外部から内側空間25に空気を吸い込むための構造である。なお、内筒9の先端部とは、吸排口を設けることによって効果的に排水可能な位置であればよく、例えば、内筒9の先端面9a、及び内筒9の先端側の周面を含む。ここで、伸縮駆動装置1が収縮したときに内筒9の先端部に設けられた吸排口29から空気の排気が行われ、吸排口の周囲において伸縮駆動装置1の外側へ向かう空気の流れが生じることとなる。この空気の流れは、内筒9の先端までの流れであり、吸排口が外筒先端に設けられた場合と異なって、吸排口が設けられた部位よりも先端側には部位が存在しないので、収縮時に空気が吸排口が設けられた部位を越えて拡散することがない。そのため、伸縮駆動装置1の伸長時に吸排口29から吸気される際に吸引された水分は、排気時に吸排口29から容易に排出することができる。
この実施形態では、具体的には、吸排口29は、内筒9の先端面9aに形成された穴、つまり伸縮駆動装置1の内側と外側とを軸方向に貫通する穴である。また、内側空間25に侵入した水分も、吸排口29によって外部に排出が容易である。
なお、吸排口29は、内筒9の先端側の周面のみに形成されていてもよいし、内筒9の先端面9a及び先端側の周面の両方に形成されていてもよい。
さらに、吸排口29の径又は面積は特に限定されないが、外部からゴミや埃が入り込まない程度であり、かつ内筒9が外筒7に対してスムーズに進退可能な程度であることが好ましい。
この実施形態では、吸排口29は、図4に示すように、先端面9aにおいて円周方向に等間隔で配置された複数の穴である。ただし、吸排口29の数及び位置は特に限定されない。
水分が外筒7と内筒9とにより形成された内側空間25に侵入すれば、当該水分は、内側空間25を例えばコイルスプリング17を伝わって内筒9の先端にまで移動して、最後に内筒9の流体の吸排口から排出される。したがって、水分が内側空間25内に長期間にわたって滞在しにくい。
その結果、伸縮時に吸引された水分は、排出されやすく、しかもスクリュー11とガイドナット15とがコイルスプリング17に覆われているため、スクリュー11とガイドナット15との接触部分に水分が直接付き難いので、スクリュー11とガイドナット15からなる運動変換機構の不具合が生じにくく、つまり、伸縮駆動装置1の伸縮運動がスムーズに行われる。また、伸縮駆動装置1の外筒7と内筒9との摺動部位にも水分が付き難くなっているので、摺動部位での錆びの発生も抑制されている。
伸縮駆動装置1は、コイルスプリング17の外周に配置され、ガイドナット15の回転を規制するように内筒9をガイドするガイド部材31をさらに備えている。以下、図4を用いてガイド部材31を説明する。図4は、内筒とガイド部材との関係を示す概略斜視図である。
ガイド部材31は、ガイドナット15の回転を規制しつつ、スクリュー11の回転軸方向へのガイドナット15の移動をガイドするガイド部31aを有する。ガイド部31aは、軸方向に延びるスリットである。ガイド部材31は、外筒7に対して相対回転不能に係合している。ガイド部材31は例えば樹脂製である。
内筒9は、その半径方向外側に凸状であり、ガイド部31a内でガイド部31aと摺動する突起部9bを有する。突起部9bはガイド部31aに係合しており、それにより内筒9及びガイドナット15は、ガイド部材31に対して軸方向に移動可能であるが、相対回転不能になっている。したがって、モータ13がスクリュー11を駆動すると、ガイドナット15及び内筒9が外筒7に対して軸方向に移動する。これにより、外筒7と内筒9とが伸縮される。
この装置では、前述のように、ガイドナット15は、内筒9を介してガイド部材31によって回転を規制されつつ、さらに、回転軸方向へガイドされる。しかし、ガイド部材は、コイルスプリング17の内側に配置してガイドナットの回転を抑制するようにガイドナットを直接ガイドするように構成することもできる。また、本実施形態においては、ガイド部材31がコイルスプリング17の外周に配置されているので、例えばコイルスプリング17を伝わって移動する水分は、ガイド部材31によって遮られることで、外筒7に移動しにしにくい。したがって、水分が外筒7を伝わってモータ13などの駆動部側に移動することが生じにくい。その結果、モータ13及び駆動力伝達構造における不具合が生じにくい。
なお、ガイド部は、半径方向の片側に突出した形状であってもよく、その場合に内筒はガイド部に係合する係合部を有している。また、ガイド部材の形状及び位置は必ずしも前記実施形態通りでなくてもよく、ガイド部材が弾性部材の内周側に配置されてガイドナットと係合していてもよい。
伸縮駆動装置1は、外筒7の先端縁に設けられ、内筒9の外周面に当接するシール部材33をさらに備えている。シール部材33は、外筒7と内筒9との間に生じた隙間をシールすることができる。
この装置では、シール部材33によって、外筒7と内筒9との隙間から内側空間25に水分が侵入しにくくされており、シール部材33が設けられていることが好ましい。
(3)伸縮駆動装置の動作
以下、図5を用いて、伸縮駆動装置1による開閉体3の開閉動作を説明する。図5は、開閉体を開いた状態と閉じた状態における伸縮駆動装置の模式的な断面図である。
図5の上側に示すように、開閉体3を開いた状態では、伸縮駆動装置1は斜め上方に延び、内筒9は外筒7から最も伸びた状態になっている。つまり、外筒7のモータ13側部分が下方に配置され、内筒9の先端面9aが上方に配置されている。この状態で、吸排口29から水分が内側空間25に進入したとする。その場合、水分は、図5に示すように、コイルスプリング17を伝わって下方に移動する。より具体的には、水分はコイルスプリング17に沿って螺旋状に移動する。
次に、モータ13が回転してガイドナット15をモータ13側に移動させると、内筒9が外筒7内に引き込まれていく。それにより、開閉体3は下方に回動して閉じられる。また、上記の動作に伴って伸縮駆動装置1は回動して姿勢が変わる。つまり、図5の下側に示すように、外筒7のモータ13側部分が上方に配置され、内筒9の先端面9aが下方に配置される。
この状態で、内側空間25に先に進入していた水分は、図5に示すように、コイルスプリング17を伝わって下方に移動し、最後に、吸排口29を通って外部に排出される。
内筒9の先端面9aが下側に位置するので、先端面9aの内側付近が最も水が溜まりやすい部分である。そのような位置に吸排口29が形成されているので、内側空間25内の水分を効果的に除去できる。
また、上記の姿勢変更中に内側空間25は圧縮されるので、水分は、内側空間25で発生する空気圧によって、吸排口29からスムーズに排出される。
なお、水分は、主にコイルスプリング17を伝わって移動するので、ガイドナット15及びスクリュー11に付着しにくい。したがって、水分は、ガイドナット15とスクリュー11の螺合部分に移動しにくいし、さらにはモータ13側にも移動しにくい。したがって、モータ13及び駆動力伝達構造における不具合が生じにくい。
なお、ガイド部材31がコイルスプリング17の外周に配置されているので、例えばコイルスプリング17を伝わって移動する水分は、ガイド部材31によって遮られることで、外筒7側に移動しにしにくい。したがって、水分が外筒7を伝わってモータ13などの駆動部側に移動することが生じにくい。その結果、モータ13及び駆動力伝達構造における不具合が生じにくい。
2.第2実施形態
第1実施形態では、内筒の先端部及びそこに形成された吸排口について、模式的な図面を用いて説明した。しかし、実際の伸縮駆動装置では、内筒の先端部及びそこに形成された吸排口は複数の部材の組み合わせによって実現されることがある。以下、そのような実施形態を説明する。
図6及び図7を用いて、内筒の吸排口についての第2実施形態を説明する。図6は、第2実施形態の伸縮駆動装置の内筒の先端部の断面図である。図7は、内筒の概略正面図である。
図6に示すように、内筒71の先端には、エンド部材73が取り付けられている。エンド部材73は、内筒71の先端面を構成する部材であり、例えば、コイルスプリング77の一端を支持している。エンド部材73は、概形として円形状の外周面73aを有しており、さらに、外周面73aの一部がカットされ、内筒71の装着した際に内筒71の軸方向に延びた平面である平坦面73bを有している。平坦面73bは、正面視において、円形の一部がカットされた小径形状である。この実施形態では、平坦面73bは、半径方向に対向する2箇所に形成されている。平坦面73bと内筒71と間に生じた間隙は、内側空間25と吸排口29との間の、流体が流れる通路として機能する。
エンド部材73には、キャップ75が取り付けられている。キャップ75は、ゴム等の弾性部材であり、エンド部材73の外周面73aを覆うと共に、内筒71の先端外周面に密着している。
キャップ75は外周面73aにも密着しているが、キャップ75の内周面と平坦面73bとの間には軸方向に延びる隙間79が確保されている。隙間79は、内筒9の内側空間81と連通しており、内側空間81からさらに軸方向に延びる空間である。
キャップ75において、軸方向に向いた面には、複数の吸排口75aが形成されている。図7に示すように、2個の吸排口75aが隙間79に対応して互いに連通している。それにより、内側空間25内の水分は、隙間79を通って移動し、最後に吸排口75aから排出される。これにより得られる効果は、第1実施形態と同じである。
この実施形態では、エンド部材73及びキャップ75によって、内筒71の先端面が形成されていることになる。
この実施形態でも、吸排口75aの数及び位置は特に限定されない。
なお、この実施形態では、吸排口75aが円周方向に複数(4個)形成されているので、キャップ75をエンド部材73に取り付ける際に正確に位置決めしなくても、隙間79に必ず吸排口75aが対応して配置される。
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
例えば、回転駆動部材がナットで、駆動力伝達部材がスクリューであってもよい。
本発明は、伸縮駆動装置に広く適用可能である。特に、本発明の伸縮駆動装置は、バックドアの開閉に用いられる開閉駆動装置として好適に用いることができる。例えば、図1に示すように、前記伸縮駆動装置の外筒における駆動部側の端部を車体に接続し、内筒における先端部をバックドア側に接続して、閉状態において内筒の先端部が下側となり外筒の駆動部側端部が上側となるように前記伸縮駆動装置を車体に取り付ける。前記伸縮駆動装置が伸長することにより、ヒンジを介して旋回可能に車体に取り付けられた前記バックドアが旋回し、この旋回に伴って前記伸縮駆動装置も内筒の先端が弧を描くように旋回し、内筒の先端がバックドアの閉状態における位置よりも上側に移動する。この時、伸縮駆動装置は、伸長による減圧を緩和するため、内筒の先端が外筒における駆動部側の端部よりも下側に位置する状態で、内筒の先端に設けられた吸排口より空気を吸入する。そのため、前記吸排口に直接雨がかかることがない。また、吸排口から雨水等の水分が前記伸縮駆動装置内に侵入した場合であっても、バックドアの閉操作時に、内筒の先端が外筒における駆動部側の端部よりも下側に位置する状態で前記伸縮駆動装置が収縮するために、内筒の先端に水分が集められた状態で、前記伸縮駆動装置の内部の気体が吸排口から排出され、当該排出と共に水分も排出される。上記のように前記伸縮駆動装置を車両に取付けることにより、吸排口が下向きとなり、前記伸縮駆動装置内に水分が入り難く入った水分を排出しやすい開閉体駆動機構とすることで、開閉体駆動機構の水分による不具合の抑制を図ることができる。
1 :伸縮駆動装置
3 :開閉体
5 :車両
7 :外筒
9 :内筒
9a :先端面
9b :突起部
11 :スクリュー
15 :ガイドナット
15a :ネジ部
15b :円筒部
17 :コイルスプリング
21 :駆動スピンドル
23 :本体部
25 :内側空間
29 :吸排口
31 :ガイド部材
31a :ガイド部
33 :シール部材

Claims (4)

  1. 駆動部が内部に設けられた外筒と、
    前記外筒の内側に設けられ、先端に閉構造を有し、前記外筒に対して軸方向に相対移動する内筒と、
    前記駆動部の駆動力により回転駆動される回転駆動部材と、
    前記回転駆動部材により駆動され、前記回転駆動部材の回転軸方向へ移動する駆動力伝達部材と、
    一端と他端とを有し、前記駆動力伝達部材の外周に配置され、前記内筒の先端と接触し、前記駆動力伝達部材に対して前記回転軸方向に付勢力を与える弾性部材と、
    を備え、
    前記回転駆動部材、前記駆動力伝達部材及び前記弾性部材は、前記外筒と前記内筒とにより形成された内側空間に収納され、
    前記内筒の先端面に流体の吸排口が設けられ、
    前記駆動力伝達部材は、前記内筒の前記先端面の内面に固定されており、
    前記弾性部材は、前記他端が前記内筒の先端の先端面の内面に当接して、前記外筒と前記内筒とにより形成された内側空間に侵入した水分が前記弾性部材を伝わって前記内筒の先端までに移動して前記吸排口から排出されるように配置され、
    前記弾性部材の外周に配置され、前記駆動力伝達部材の回転を規制するように前記内筒をガイドするガイド部材をさらに備え、
    前記ガイド部材は、前記駆動力伝達部材の回転を規制しつつ、前記駆動力伝達部材を前記回転軸方向へガイドするガイド部を有し、
    前記ガイド部は、前記ガイド部材の軸方向に延びるスリットであり、
    前記内筒は、半径方向外側に凸状であり、前記ガイド部と摺動する突起部を有し、
    前記ガイド部と前記突起部との係合により、前記ガイド部と前記内筒とは軸方向に移動可能であって、相対回転不能になっている、
    伸縮駆動装置。
  2. 前記ガイド部材は、前記外筒の内側で且つ前記内筒の外側に配置され
    請求項1に記載の伸縮駆動装置。
  3. 前記外筒の先端縁に設けられ、前記内筒の外周面に当接するシール部材をさらに備えている、請求項1又は2に記載の伸縮駆動装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の伸縮駆動装置と、開閉体と、前記伸縮駆動装置がその位置が固定される固定対象物とを備え、前記伸縮駆動装置の駆動によって前記開閉体が駆動するように、前記伸縮駆動装置の基端が前記固定対象物に接続され、前記伸縮駆動装置の先端が前記開閉体に接続され、前記開閉体を開閉作動させる開閉機構。
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