以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、状態量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、状態量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。また、後述の任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる又は並列に実行できる。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態に係る給電機器1及び電子機器2の概略外観図である。但し、図1(a)は、給電機器1及び電子機器2が離間状態にあるときのそれらの外観図であり、図1(b)は、給電機器1及び電子機器2が基準配置状態にあるときのそれらの外観図である。離間状態及び基準配置状態の意義については後に詳説する。給電機器1及び電子機器2によって非接触給電システムが形成される。給電機器1は、商用交流電力を受けるための電源プラグ11と、樹脂材料にて形成された給電台12と、を備える。
図2に、給電機器1と電子機器2の概略内部構成図を示す。給電機器1は、電源プラグ11を介して入力された商用交流電圧から所定の電圧値を有する直流電圧を生成して出力するAC/DC変換部13と、AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する集積回路である送電側IC100(以下、IC100とも言う)と、IC100に接続された送電側共振回路TT(以下、共振回路TTとも言う)と、を備える。AC/DC変換部13、送電側IC100及び共振回路TTを、給電台12内に配置しておくことができる。AC/DC変換部13の出力電圧を用いて駆動する回路が、IC100以外にも、給電機器1に設けられうる。
電子機器2は、集積回路である受電側IC200(以下、IC200とも言う)と、IC200に接続された受電側共振回路RR(以下、共振回路RRとも言う)と、二次電池であるバッテリ21と、バッテリ21の出力電圧に基づき駆動する機能回路22と、を備える。詳細は後述するが、IC200はバッテリ21に対して充電電力を供給することができる。IC200は、バッテリ21の出力電圧にて駆動しても良いし、バッテリ21以外の電圧源からの電圧に基づき駆動しても良い。或いは、給電機器1から受信したNFC通信(詳細は後述)のための信号を整流することで得た直流電圧が、IC200の駆動電圧となっても良い。この場合、バッテリ21の残容量が無くなってもIC200は駆動可能となる。
電子機器2は、任意の電子機器であって良く、例えば、携帯電話機(スマートホンに分類される携帯電話機を含む)、携帯情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、MP3プレイヤー、歩数計、又は、Bluetooth(登録商標)ヘッドセットである。機能回路22は、電子機器2が実現すべき任意の機能を実現する。従って例えば、電子機器2がスマートホンであれば、機能回路22は、相手側機器との間の通話を実現するための通話処理部、及び、ネットワーク網を介して他機器と情報を送受信するための通信処理部などを含む。或いは例えば、電子機器2がデジタルカメラであれば、機能回路22は、撮像素子を駆動する駆動回路、撮像素子の出力信号から画像データを生成する画像処理回路などを含む。機能回路22は、電子機器2の外部装置に設けられる回路であると考えても良い。
図3に示す如く、共振回路TTは、送電側コイルであるコイルTLと送電側コンデンサであるコンデンサTCとを有し、共振回路RRは、受電側コイルであるコイルRLと受電側コンデンサであるコンデンサRCとを有する。以下では、説明の具体化のため、特に記述無き限り、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに並列接続されることで共振回路TTが並列共振回路として形成され、且つ、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに並列接続されることで共振回路RRが並列共振回路として形成されているものとする。但し、送電側コイルTL及び送電側コンデンサTCが互いに直列接続されることで共振回路TTが直列共振回路として形成されていても良いし、受電側コイルRL及び受電側コンデンサRCが互いに直列接続されることで共振回路RRが直列共振回路として形成されていても良い。
図1(b)に示す如く、電子機器2を給電台12上の所定領域内に載置したとき、磁界共鳴方式にて(即ち、磁界共鳴を利用して)、機器1及び2間における通信、送電及び受電が可能となる。磁界共鳴は、磁界共振などとも呼ばれる。
機器1及び2間における通信は、NFC(Near field communication)による無線通信(以下、NFC通信と呼ぶ)であり、通信の搬送波の周波数は13.56MHz(メガヘルツ)である。以下では、13.56MHzを基準周波数と呼ぶ。機器1及び2間におけるNFC通信は、共振回路TT及びRRを利用した磁界共鳴方式で行われるため、共振回路TT及びRRの共振周波数は、共に、基準周波数に設定されている。但し、後述されるように、共振回路RRの共振周波数は、一時的に基準周波数から変更され得る。
機器1及び2間における送電及び受電は、給電機器1から電子機器2に対するNFCによる送電と、電子機器2におけるNFCによる受電である。この送電と受電をまとめてNFC電力伝送又は単に電力伝送と称する。磁界共鳴方式によりコイルTLからコイルRLに対して電力を伝達することで、電力伝送が非接触で実現される。
磁界共鳴を利用した電力伝送では、送電側コイルTLに交流電流を流すことで送電側コイルTLに基準周波数の交番磁界を発生させる。すると、この交番磁界が、基準周波数で共鳴(換言すれば共振)する共振回路RRに伝わって受電側コイルRLに交流電流が流れる。つまり、送電側コイルTLを含む共振回路TTから受電側コイルRLを含む共振回路RRへ電力が伝達される。尚、以下では、記述が省略されることがあるが、NFC通信又は電力伝送においてコイルTL又はコイルRLにより発生する磁界は、特に記述無き限り、基準周波数で振動する交番磁界である。
電子機器2が給電台12上の所定の送電領域内に載置され(給電機器1と電子機器2が所定位置関係にあり)、上述のNFC通信及び電力伝送が実現できる状態を、基準配置状態と呼ぶ(図1(b)参照)。一方、電子機器2が給電台12から十分に離れていて上述のNFC通信及び電力伝送を実現できない状態を、離間状態と呼ぶ(図1(a)参照)。尚、図1(a)に示す給電台12では、表面が平らになっているが、載置されるべき電子機器2の形状に合わせた窪み等が給電台12に形成されていても構わない。基準配置状態は、給電機器1及び電子機器2間における電力の送受電が可能な所定の送電領域(換言すれば、送電及び受電を行うための領域)に電子機器2が存在している状態に属し、且つ、離間状態は、該送電領域に電子機器2が存在していない状態に属すると解して良い。
図4に、IC100の内部ブロック図を含む、給電機器1の一部の構成図を示す。IC100には、符号110、120、130、140、150及び160によって参照される各部位が設けられる。図5に、IC200の内部ブロック図を含む、電子機器2の一部の構成図を示す。IC200には、符号210、220、230、240及び250によって参照される各部位が設けられる。また、IC200に対し、IC200の駆動電圧を出力するコンデンサ23を接続しておいても良い。コンデンサ23は、給電機器1から受信したNFC通信のための信号を整流することで得た直流電圧を出力可能である。
切り替え回路110は、制御回路160の制御の下、NFC通信回路120及びNFC送電回路130のどちらかを共振回路TTに接続させる。共振回路TTと回路120及び130との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路110を構成することができる。本明細書にて述べる任意のスイッチは、電界効果トランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いて形成されて良い。
切り替え回路210は、制御回路250の制御の下、共振回路RRをNFC通信回路220及びNFC受電回路230のどちらかに接続させる。共振回路RRと回路220及び230との間に介在する複数のスイッチにて、切り替え回路210を構成することができる。
共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC通信回路120に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC通信回路220に接続されている状態を、通信用接続状態と呼ぶ。通信用接続状態にてNFC通信が可能となる。通信用接続状態において、NFC通信回路120は、基準周波数の交流信号(交流電圧)を共振回路TTに供給することができる。機器1及び2間のNFC通信は半二重方式で実行される。
通信用接続状態において給電機器1が送信側であるとき、NFC通信回路120が共振回路TTに供給する交流信号に任意の情報信号を重畳させることで、当該情報信号が給電機器側アンテナコイルとしてのコイルTLから送信され且つ電子機器側アンテナコイルとしてのコイルRLにて受信される。コイルRLにて受信された情報信号はNFC通信回路220にて抽出される。通信用接続状態において電子機器2が送信側であるとき、NFC通信回路220は、任意の情報信号(応答信号)を共振回路RRのコイルRLから共振回路TTのコイルTLに送信できる。この送信は、周知の如く、ISO規格(例えばISO14443規格)に基づき、コイルTL(給電機器側アンテナコイル)から見たコイルRL(電子機器側アンテナコイル)のインピーダンスを変化させる負荷変調方式にて実現される。電子機器2から伝達された情報信号はNFC通信回路120にて抽出される。
共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC送電回路130に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC受電回路230に接続されている状態を、給電用接続状態と呼ぶ。
給電用接続状態において、NFC送電回路130は送電動作を行うことができ、NFC受電回路230は受電動作を行うことができる。送電動作と受電動作にて電力伝送が実現される。送電動作において、送電回路130は、共振回路TTに基準周波数の送電用交流信号(送電用交流電圧)を供給することで送電側コイルTLに基準周波数の送電用磁界(送電用交番磁界)を発生させ、これによって、共振回路TT(送電側コイルTL)から共振回路RRに対し磁界共鳴方式で電力を送電する。送電動作に基づき受電側コイルRLにて受電された電力は受電回路230に送られ、受電動作において、受電回路230は、受電した電力から任意の直流電力を生成して出力する。受電回路230の出力電力にてバッテリ21を充電することができる。
通信用接続状態にてNFC通信を行う場合も、コイルTL又はRLにて磁界が発生するが、NFC通信における磁界強度は、所定の範囲内に収まる。その範囲の下限値及び上限値は、NFCの規格で定められ、夫々、1.5A/m、7.5A/mである。これに対し、電力伝送(即ち送電動作)において送電側コイルTLにて発生する磁界の強度(送電用磁界の磁界強度)は、上記の上限値より大きく、例えば45〜60A/m程度である。機器1及び2を含む非接触給電システムにおいて、NFC通信及び電力伝送(NFC電力伝送)を交互に行うことができ、その時の磁界強度の様子を図6に示す。
負荷検出回路140は、送電側コイルTLの負荷の大きさ、即ち、送電回路130から送電側コイルTLに交流信号が供給されるときにおける送電側コイルTLにとっての負荷の大きさを検出する。図7に、給電用接続状態における送電回路130と負荷検出回路140と共振回路TTとの関係を示す。尚、図7では、切り替え回路110の図示が省略されている。
送電回路130は、基準周波数の正弦波信号を生成する信号生成器131と、信号生成器131にて生成された正弦波信号を増幅し、増幅した正弦波信号をライン134の電位を基準としてライン134及び135間に出力する増幅器(パワーアンプ)132と、コンデンサ133とを備える。一方、負荷検出回路140は、センス抵抗141、包絡線検波器142、増幅器143及びA/D変換器144を備える。信号生成器131が生成する正弦波信号の信号強度は一定値に固定されているが、増幅器132の増幅率は制御回路160により可変設定される。
コンデンサ133の一端はライン135に接続される。給電用接続状態において、コンデンサ133の他端はコンデンサTC及びコイルTLの各一端に共通接続され、且つ、コイルTLの他端はセンス抵抗141を介してライン134及びコンデンサTCの他端に共通接続される。
送電動作は、増幅器132からコンデンサ133を介し共振回路TTに交流信号(送電用交流電圧)を供給することで実現される。給電用接続状態において、増幅器132からの交流信号が共振回路TTに供給されると送電側コイルTLに基準周波数の交流電流が流れ、結果、センス抵抗141に交流の電圧降下が発生する。図8の実線波形は、センス抵抗141における電圧降下の電圧波形である。共振回路TTに関し、送電側コイルTLの発生磁界強度が一定の下、電子機器2を給電台12に近づけると、送電側コイルTLの発生磁界に基づく電流が受電側コイルRLに流れる一方で、受電側コイルRLに流れた電流に基づく逆起電力が送電側コイルTLに発生し、その逆起電力は送電側コイルTLに流れる電流を低減するように作用する。このため、図8に示す如く、基準配置状態におけるセンス抵抗141の電圧降下の振幅は、離間状態におけるそれよりも小さい。
包絡線検波器142は、センス抵抗141における電圧降下の信号の包絡線を検波することで、図8の電圧vに比例するアナログの電圧信号を出力する。増幅器143は、包絡線検波器142の出力信号を増幅して出力する。A/D変換器144は、増幅器143の出力電圧信号をデジタル信号に変換することでデジタルの電圧値VDを出力する。上述の説明から理解されるように、電圧値VDは、センス抵抗141に流れる電流の振幅(従って、送電側コイルTLに流れる電流の振幅)に比例する値を持つ(当該振幅の増大に伴って電圧値VDも増大する)。故に、負荷検出回路140は、送電側コイルTLに流れる電流の振幅を検出する電流振幅検出回路であるとも言え、その振幅検出値が電圧値VDであると考えることができる。尚、包絡線検波器142を増幅器143の後段に設けるようにしても良い。但し、図7に示す如く、包絡線検波器142を増幅器143の前段に設けた方が、高周波への応答性能がより低いものを増幅器143として採用可能となり有利である。
磁界を発生させる送電側コイルTLにとって、受電側コイルRLのような、送電側コイルTLと磁気結合するコイルは、負荷であると考えることができ、その負荷の大きさに依存して、負荷検出回路140の検出値である電圧値VDが変化する。このため、負荷検出回路140は電圧値VDの出力によって負荷の大きさを検出している、と考えることもできる。ここにおける負荷の大きさとは、送電の際における送電側コイルTLにとっての負荷の大きさとも言えるし、送電の際における給電装置1から見た電子機器2の負荷としての大きさとも言える。尚、センス抵抗141はIC100の内部に設けられても良いし、IC100の外部に設けられても良い。
メモリ150(図4参照)は、不揮発性メモリから成り、任意の情報を不揮発的に記憶する。制御回路160は、IC100内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路160が行う制御には、例えば、切り替え回路110の切り替え動作の制御、通信回路120及び送電回路130による通信動作及び送電動作の内容制御及び実行有無制御、負荷検出回路140の動作制御、メモリ150の記憶制御及び読み出し制御が含まれる。制御回路160は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。
電子機器2における共振状態変更回路240(図5参照)は、共振回路RRの共振周波数を基準周波数から他の所定周波数fMに変更可能な共振周波数変更回路、又は、共振回路RRにおける受電側コイルRLを短絡可能なコイル短絡回路である。
図9の共振周波数変更回路240Aは、共振状態変更回路240としての共振周波数変更回路の例である。共振周波数変更回路240Aは、コンデンサ241とスイッチ242の直列回路から成り、該直列回路の一端はコンデンサRC及びコイルRLの各一端に共通接続される一方、該直列回路の他端はコンデンサRC及びコイルRLの各他端に共通接続される。スイッチ242は、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。スイッチ242がオフのとき、コンデンサ241はコンデンサRC及びコイルRLから切り離されるため、共振回路RRは、寄生インダクタンス及び寄生容量を無視すれば、コイルRL及びコンデンサRCのみで形成されて、共振回路RRの共振周波数は基準周波数と一致する。即ち、スイッチ242がオフのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、コンデンサRCそのものである。スイッチ242がオンのとき、コンデンサRCにコンデンサ241が並列接続されることになるため、共振回路RRはコイルRLとコンデンサRC及び241の合成容量とで形成され、結果、共振回路RRの共振周波数は基準周波数よりも低い周波数fMとなる。即ち、スイッチ242がオンのとき、共振回路RRの共振周波数を決定する受電側容量は、上記の合成容量である。ここでは、スイッチ242がオンのとき共振回路RRが送電側コイルTLの負荷として機能しない程度に(即ち、共振回路TT及びRR間で磁気共鳴が十分に発生しない程度に)、周波数fMが基準周波数から離れているものとする。例えば、スイッチ242のオンのときにおける共振回路RRの共振周波数(即ち周波数fM)は、数100kHz〜1MHzとされる。
共振回路RRの共振周波数を周波数fMに変更できる限り、変更回路240としての共振周波数変更回路は共振周波数変更回路240Aに限定されず、周波数fMは基準周波数より高くても良い。例えば、共振周波数変更回路はコイルRL及びコンデンサRCを接続する電流ループ上に直列に挿入されたスイッチのオン、オフによって、コイルRL及びコンデンサRC間の接続、非接続を切り替える回路であっても良い(非接続とされた場合、コイルRLと配線の寄生容量等とで共振回路RRの共振周波数(>>基準周波数)が定まる)。つまり、受電側共振回路RRが直列共振回路でありうることをも考慮すれば、以下のことが言える。受電側共振回路RRは受電側コイル(RL)と受電側容量の並列回路又は直列回路を有し、受電側容量が所定の基準容量と一致しているとき、受電側共振回路RRの共振周波数fOは基準周波数と一致する。共振周波数変更回路は、必要なタイミングにおいて、受電側容量を基準容量から増加又は減少させる。これにより、受電側共振回路RRにおいて、受電側コイル(RL)と、基準容量より大きい又は小さい受電側容量とで、並列回路又は直列回路が形成され、結果、受電側共振回路RRの共振周波数fOが基準周波数から変更される。
図10のコイル短絡回路240Bは、共振状態変更回路240としてのコイル短絡回路の例である。コイル短絡回路240Bは、共振回路RRにおけるコンデンサRCの一端及びコイルRLの一端が共通接続されるノードと、共振回路RRにおけるコンデンサRCの他端及びコイルRLの他端が共通接続されるノードとの間に接続(挿入)されたスイッチ243から成る。スイッチ243は、制御回路250の制御の下、オン又はオフとなる。スイッチ243がオンとなると共振回路RRにおけるコイルRLが短絡される(より詳細にはコイルRLの両端が短絡される)。受電側コイルRLが短絡された状態では受電側共振回路RRが存在しなくなる(受電側共振回路RRが存在しない状態と等価な状態となる)。従って、受電側コイルRLの短絡中では、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなる(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となる)。受電側コイルRLを短絡できる限り、変更回路240としてのコイル短絡回路はコイル短絡回路240Bに限定されない。
以下では、受電側共振回路RRの共振周波数fOを基準周波数から所定周波数fMに変更する動作を、共振周波数変更動作と呼び、コイル短絡回路を用いて受電側コイルRLを短絡する動作を、コイル短絡動作と呼ぶ。また、記述の簡略化上、共振周波数変更動作又はコイル短絡動作をfO変更/短絡動作と称することがある。
制御回路250(図5参照)は、IC200内の各部位の動作を統括的に制御する。制御回路250が行う制御には、例えば、切り替え回路210の切り替え動作の制御、通信回路220及び受電回路230による通信動作及び受電動作の内容制御及び実行有無制御、変更回路240の動作制御が含まれる。制御回路250は、タイマ(不図示)を内蔵しており任意のタイミング間の時間長さを計測できる。例えば、制御回路250におけるタイマは、fO変更/短絡動作による共振周波数fOの所定周波数fMへの変更又は受電側コイルRLの短絡が維持される時間の計測(即ち後述の時間TMの計測;図19のステップS207参照)を行うことできる。
ところで、給電機器1の制御回路160は、給電台12上における異物の存否を判断し、異物が無い場合にのみ送電動作を行うよう送電回路130を制御できる。本実施形態における異物は、電子機器2及び電子機器2の構成要素(受電側コイルRLなど)と異なり、給電機器1に近づいたときに、送電側コイルTLの発生磁界に基づいて電流(異物内での電流)を発生させられる物体を含む。本実施形態において、異物の存在とは、送電側コイルTLの発生磁界に基づく、無視できない程度の電流が異物内で流れるような位置に異物が存在することを意味する、と解して良い。尚、送電側コイルTLの発生磁界に基づき異物内で流れることになった電流は、異物に対向、結合するコイル(TLやRL)に起電力(又は逆起電力)を発生させるため、そのコイルを含む回路の特性に無視できない影響を与えうる。
図11(a)に、異物の一種である異物3の概略外形図を示し、図11(b)に異物3の概略内部構成図を示す。異物3は、コイルJL及びコンデンサJCの並列回路から成る共振回路JJと、共振回路JJに接続された異物内回路300と、を備える。共振回路JJの共振周波数は基準周波数に設定されている。異物3は、電子機器2とは異なり、給電機器1に対応しない機器である。例えば、異物3は、NFC通信に応答しない13.56MHzのアンテナコイル(コイルJL)を持つ無線ICタグを有した物体(非接触ICカード等)である。また例えば、異物3は、NFC通信機能自体は有しているものの、その機能が無効とされている電子機器である。例えば、NFC通信機能を有するスマートホンではあるが、ソフトウェア設定で当該機能をオフにされているスマートホンは、異物3となりうる。また、NFC通信機能が有効となっているスマートホンでも、受電機能を持たないスマートホンも異物3に分類される。
このような異物3が給電台12上に配置されている状態において、仮に、給電機器1が送電動作を行うと、送電側コイルTLが発生した強磁界(例えば、12A/m以上の磁界強度を持つ磁界)にて異物3が破壊されることがある。例えば、送電動作時における強磁界は、給電台12上の異物3のコイルJLの端子電圧を100V〜200Vまで増大させることもあり、そのような高電圧に耐えられるように異物3が形成されていなければ、異物3が破壊される。
[pFOD処理(電力伝送前のpFOD処理)]
図12を参照し、異物の存否を検出するための異物検出処理を説明する。図12は、電力伝送前に給電機器1により実行される異物検出処理(以下、pFOD処理という)のフローチャートである。
pFOD処理の実行時には、送電回路130が共振回路TTに接続される。pFOD処理において、制御回路160は、まずステップS11にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定する。磁界強度Hは、送電側コイルTLの発生磁界強度であって、より詳しくは、送電側コイルTLが発生した基準周波数で振動する交番磁界の磁界強度を指す。磁界強度Hをテスト強度に設定するとは、所定のテスト用交流信号(テスト用交流電圧)が共振回路TTに供給されるように送電回路130を制御することで、テスト強度を有し且つ基準周波数で振動する交番磁界であるテスト磁界を送電側コイルTLに発生させることを指す。テスト磁界の磁界強度であるテスト強度は、電力伝送(即ち送電動作)における送電側コイルTLの発生磁界強度(即ち送電用磁界の磁界強度;例えば、45〜60A/m)よりも相当に小さく、通信用磁界強度の下限値“1.5A/m”から上限値“7.5A/m”までの範囲内に収まる。故に、テスト磁界によって異物3が破損等するおそれは無い又は少ない。制御回路160は、増幅器132(図7参照)の増幅率を制御することで磁界強度Hを可変設定することができる。テスト磁界を発生させる場合には所定のテスト用交流電圧が共振回路TTに供給及び印加されるように、且つ、送電用磁界を発生させる場合にはテスト用交流電圧よりも大きな振幅を有する所定の送電用交流電圧が共振回路TTに供給及び印加されるように、増幅器132の増幅率を制御すれば良い。
ステップS11に続くステップS12において、制御回路160は、負荷検出回路140を用い、テスト磁界を発生させているときの電圧値VDを電流振幅検出値VpFODとして取得する。電流振幅検出値VpFODは、テスト磁界を送電側コイルTLに発生させているときの、送電側コイルTLに流れる電流の振幅に応じた値を持つ。尚、pFOD処理が実行される期間中には、NFC通信を介した給電機器1からの指示に従い電子機器2においてfO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)が実行されている。故に、共振回路RR(受電側コイルRL)は実質的に送電側コイルTLの負荷として機能せず、電流振幅検出値VpFODの減少を全く又は殆どもたらさない。
ステップS12に続くステップS13において、制御回路160は、電流振幅検出値VpFODが所定のpFOD正常範囲内に収まるか否かを判断する。そして、電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲内に収まる場合、制御回路160は、異物3が給電台12上に存在していないと判定する(ステップS14)。この判定を異物無判定と称する。一方、電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲を逸脱する場合、制御回路160は、異物3が給電台12上に存在していると判定する(ステップS15)。この判定を異物有判定と称する。制御回路160は、異物無判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が可能であると判断して送電動作の実行(共振回路TTを用いた送電)を許可し、異物有判定を成した場合、送電回路130による送電動作の実行が不可であると判断して送電動作の実行を禁止する。送電動作が実行可能と判断したとき、送電動作において、制御回路160は、所定の送電用磁界が送電側コイルTLにて発生されるよう送電回路130を制御することができる。
pFOD正常範囲は、所定の下限値VpREFL以上且つ所定の上限値VpREFH以下の範囲である(0<VpREFL<VpREFH)。故に、判定不等式“VpREFL≦VpFOD≦VpREFH”が満たされる場合には異物無判定が成され、そうでない場合には異物有判定が成される。
pFOD処理の実行時において、給電台12上に異物3が存在している場合、異物3の共振回路JJ(コイルJL)が送電側コイルTLの負荷として機能し、結果、給電台12上に異物3が存在しない場合と比べて、電流振幅検出値VpFODの減少がみられる。
また、異物として、異物3と異なる異物3a(不図示)も考えられる。異物3aは、例えば、アルミニウムを含んで形成された金属体(アルミニウム箔やアルミニウム板)や銅を含んで形成された金属体である。pFOD処理の実行時において、給電台12上に異物3aが存在している場合、給電台12上に異物3aが存在しない場合と比べて、電気的及び磁気的な作用により、電流振幅検出値VpFODの増大がみられる。
電力伝送の実行前において、給電台12上に異物3が存在している場合には電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFLを下回るように、且つ、給電台12上に異物3aが存在している場合には電流振幅検出値VpFODが上限値VpREFHを上回るように、且つ、給電台12上に異物(3又は3a)が存在していない場合には電流振幅検出値VpFODがpFOD正常範囲内に収まるように、実験等を介して、下限値VpREFL及び上限値VpREFHが予め設定されてメモリ150に記憶されている。
尚、給電台12上に異物3aが存在する状態で送電用磁界を発生させると、異物3aにて電力が吸収され、異物3aが発熱するおそれがある。本実施形態では、電力伝送の搬送波周波数としての基準周波数が13.56MHzであることを想定しているため、そのような発熱のおそれは十分に少ないとも言える。故に、異物3aの存在を考慮することなく、電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFLを下回った場合に限って異物有判定を行い、電流振幅検出値VpFODが下限値VpREFL以上であれば常に異物無判定を行うようにしてもよい(即ち上限値VpREFHを撤廃しても良い)。しかしながら、本実施形態に係る発明において基準周波数は13.56MHzに限定されず、基準周波数を例えば数100kHz程度にした場合には、異物3aの発熱のおそれが高くなるため、下限値VpREFLだけでなく上限値VpREFHをpFOD正常範囲に定める、上述の方法の採用が望ましい。
下限値VpREFLの決定方法について説明を加えておく。下限値VpREFLは初期設定処理にて決定される。図13は、初期設定処理の動作フローチャートである。初期設定処理は、以下の初期設定環境の下でIC100により実行される。初期設定環境では、送電側コイルTLに対する負荷が全く無く又は無視できる程度に小さく、送電側コイルTLの発生磁界により電流を生じさせられる物体(送電側コイルTLに磁気結合するコイルを含む)が、給電機器1の構成部品を除いて存在しない。図1(a)の離間状態は、初期設定環境を満たすと考えても良い。初期設定環境の確保を担保すべく、例えば、給電機器1の製造時又は出荷時などにおいて初期設定処理を行うようにしても良い。但し、初期設定環境を確保できるのであれば、任意のタイミングで初期設定処理を行うことができる。
初期設定処理の実行時には送電回路130が共振回路TTに接続される。そして、ステップS21にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定し、続くステップS22にて、その設定状態でA/D変換器144から取得される電圧値VDを電圧値VDOとして得る。その後のステップS23において、電圧値VDOに基づく下限値VpREFLをメモリ150に記憶させる。下限値VpREFLは、異物3の存在下においてのみpFOD処理にて異物有判定が成されるよう、電圧値VDOよりも低い値に設定される。例えば、“VpREFL=VDO−ΔV”、又は、“VpREFL=VDO×k”とすると良い。ΔVは、所定の正の微小値である(但し、ΔV=0とすることも可能)。kは、1未満の正の所定値を有する係数である。尚、初期設定環境下において磁界強度Hを所定のテスト強度に設定したときに得られるであろう電圧値VDを、設計段階で見積もることができる。この見積によって導出された値に基づき、初期設定処理を行うことなく、下限値VpREFLを決定してメモリ150に記憶させるようにしても良い。
図14(a)〜図14(d)を参照して、異物3の検出に関する第1〜第4ケースを考える。第1ケースでは、給電台12上に電子機器2のみが存在している。第2ケースでは、給電台12上に電子機器2及び異物3が存在している。第3ケースでは、給電台12上に異物3のみが存在している。第4ケースでは、給電台12上に電子機器2も異物3も存在していない。
上述したように、pFOD処理が実行される期間中には電子機器2においてfO変更/短絡動作が実行されているため、第1ケースでは、送電側コイルTLにとっての負荷が十分に軽くなり(即ち、あたかも、給電台12上に電子機器2が存在しないかのような状態となり)、電流振幅検出値VpFODが十分に大きくなって異物無判定が成される。一方、第2ケースでは、共振回路RRの共振周波数が上記周波数fMへと変更されるものの又は受電側コイルRLが短絡されるものの、異物3は送電側コイルTLの負荷として存在し続けるため(異物3の共振回路JJの共振周波数は基準周波数のままであるため)、電流振幅検出値VpFODが十分に小さくなって異物有判定が成される。
第3及び第4ケースでは、NFC通信に応答する電子機器2が給電台12上に存在しないため、そもそも送電動作は不要であり、従ってpFOD処理自体が実行されない。給電機器1は、NFC通信により、電力伝送に対応可能な電子機器2が給電台12上に存在しているか否かを判断できる。尚、異物3が給電台12上に存在する状態は、異物3が給電台12に直接接触している状態に限定されない。例えば、図15に示す如く、給電台12上に電子機器2が直接接触する形で存在し且つ電子機器2の上に異物3が存在しているような状態も、異物有判定が成される限り、異物3が給電台12上に存在する状態に属する。
[電力伝送までの信号のやりとり:図16]
図16を参照して、電力伝送が行われるまでの機器1及び2間の信号のやりとりを説明する。以下では、特に記述無き限り、電子機器2が基準配置状態(図1(b))にて給電台12上に存在していることを想定する。
まず、給電機器1が送信側且つ電子機器2が受信側となり、給電機器1(IC100)が、NFC通信によって、問い合わせ信号510を給電台2上の機器(以下、給電対象機器とも言う)に送信する。給電対象機器は、電子機器2を含み、異物3を含みうる。問い合わせ信号510は、例えば、給電対象機器の固有識別情報を問い合わせる信号、給電対象機器がNFC通信を実行可能な状態にあるかを問い合わせる信号、及び、給電対象機器が電力を受け取れるか又は電力の送電を求めているかを問い合わせる信号を含む。
問い合わせ信号510を受信した電子機器2(IC200)は、問い合わせ信号510の問い合わせ内容に答える応答信号520を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号520を受信した給電機器1(IC100)は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に、テスト用要求信号530をNFC通信によって給電対象機器に送信する。テスト用要求信号530を受信した給電対象機器としての電子機器2(IC200)は、テスト用要求信号530に対する応答信号540をNFC通信によって給電機器1に送信してから、速やかに、fO変更/短絡動作(共振周波数変更動作又はコイル短絡動作)を実行する。テスト用要求信号530は、例えば、fO変更/短絡動作の実行を要求、指示する信号であり、電子機器2の制御回路250は、テスト用要求信号530の受信を契機としてfO変更/短絡動作を共振状態変更回路240に実行させる。テスト用要求信号530の受信前においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。fO変更/短絡動作の実行の契機となるならばテスト用要求信号530はどのような信号でも良く、問い合わせ信号510に内包されるものであっても良い。
応答信号540を受信した給電機器1(IC100)は、上述のpFOD処理を実行する。pFOD処理の実行期間中、電子機器2(IC200)は、fO変更/短絡動作の実行を継続する。具体的には、電子機器2(IC200)は、内蔵タイマを用いて、pFOD処理の実行期間の長さに応じた時間だけfO変更/短絡動作の実行を維持してからfO変更/短絡動作を停止する。
pFOD処理において、給電台12上に異物が無いと判断すると、給電機器1(IC100)は、認証信号550をNFC通信により給電対象機器に送信する。認証信号550は、例えば、これから送電を行うことを給電対象機器に通知する信号を含む。認証信号550を受信した電子機器2(IC200)は、認証信号550に対応する応答信号560を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号560は、例えば、認証信号550が示す内容を認識したことを通知する信号又は認証信号550が示す内容に許可を与える信号を含む。応答信号560を受信した給電機器1(IC100)は、送電回路130を共振回路TTに接続して送電動作を実行し、これにより電力伝送570が実現される。
図14(a)の第1ケースでは、上記の流れで電力伝送570が実行されるが、図14(b)の第2ケースの場合においては、応答信号540の送受信まで処理が進行するものの、pFOD処理において給電台12上に異物があると判断されるため、電力伝送570が実行されない。1回分の電力伝送570は所定時間だけ行われるものであっても良く、問い合わせ信号510の送信から電力伝送570までの一連の処理を、繰り返し実行するようにしても良い。実際には、図17に示す如く、NFC通信とpFOD処理と電力伝送(NFC電力伝送)とを順番に且つ繰り返し実行することができる。つまり、非接触給電システムでは、NFC通信を行う動作とpFOD処理を行う動作と電力伝送(NFC電力伝送)を行う動作とを、時分割で順番に且つ繰り返し行うことができる。
[給電機器及び電子機器の動作フローチャート]
次に、給電機器1の動作の流れを説明する。図18は、給電機器1の動作フローチャートである。通信回路120及び送電回路130の動作は、制御回路160の制御の下で実行される。
給電機器1が起動すると、まずステップS101において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続する。続くステップS102において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により問い合わせ信号510を給電対象機器に送信し、その後、ステップS103において、応答信号520の受信を待機する。通信回路120にて応答信号520が受信されると、制御回路160は、応答信号520を解析し、給電対象機器がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に送電対象があると判断して(ステップS104のY)ステップS105に進み、そうでない場合(ステップS104のN)、ステップS102に戻る。
ステップS105において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信によりテスト用要求信号530を給電対象機器に送信し、その後、ステップS106において、応答信号540の受信を待機する。通信回路120にて応答信号540が受信されると、ステップS107において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、続くステップS108にて上述のpFOD処理を行う。
pFOD処理の後、ステップS109にて、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて通信回路120を共振回路TTに接続し、ステップS110に進む。ステップS108のpFOD処理にて、異物有判定が成されている場合にはステップS110からステップS102に戻るが、異物無判定が成されている場合にはステップS110からステップS111に進む。
ステップS111において、制御回路160は、通信回路120及び共振回路TTを用いたNFC通信により認証信号550を給電対象機器に送信し、その後、ステップS112において、応答信号560の受信を待機する。通信回路120にて応答信号560が受信されると、ステップS113において、制御回路160は、切り替え回路110の制御を通じて送電回路130を共振回路TTに接続し、ステップS114に進む。
制御回路160は、ステップS114にて送電許可フラグにONを設定すると共に、送電動作及びmFOD処理を開始し、その後、ステップS115に進む。詳細は後述されるが、mFOD処理によって電力伝送中における異物の存否が検出され、異物が検出された場合に送電許可フラグがOFFとされる。制御回路160は、送電動作の開始時点からの経過時間を計測し、ステップS115において、その経過時間を所定の時間tA(例えば10分)と比較すると共に送電許可フラグの状態をチェックする。その経過時間が所定の時間tAに達すると、又は、mFOD処理によって送電許可フラグにOFFが設定されると、ステップS116に進む。ステップS116において、制御回路160は、送電許可フラグをONからOFFに切り替える又は送電許可フラグをOFFに維持すると共に、送電動作及びmFOD処理を停止させ、その後ステップS101に戻る。
次に、電子機器2の動作の流れを説明する。図19は、電子機器2の動作フローチャートであり、ステップS201から始まる処理は、図18に示す給電機器1の動作に連動して実行される。通信回路220及び受電回路230の動作は、制御回路250の制御の下で実行される。
電子機器2が起動すると、まずステップS201において、制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて通信回路220を共振回路RRに接続する。電子機器2の起動時においてfO変更/短絡動作は非実行とされている。続くステップS202において、制御回路250は、通信回路220を用い、問い合わせ信号510の受信を待機する。通信回路220にて問い合わせ信号510が受信されると、ステップS203において、制御回路250は、問い合わせ信号510を解析して応答信号520を生成し、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号520を給電機器1に送信する。このとき、制御回路250は、バッテリ21の状態を確認し、バッテリ21が満充電状態でなく且つバッテリ21に異常が認められなければ、電力を受け取れる又は電力の送電を求める信号を応答信号520に含める。一方、バッテリ21が満充電状態あれば又はバッテリ21に異常が認められれば、電力を受け取れない旨の信号を応答信号520に含める。
その後のステップS204においてテスト用要求信号530が通信回路220にて受信されると、ステップS205に進む。ステップS205において、制御回路250は、通信回路220を用いたNFC通信により応答信号540を給電機器1に送信し、続くステップS206にて共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を実行する。即ち、共振周波数fOを基準周波数から周波数fMに変更する又は受電側コイルRLを短絡する。制御回路250は、fO変更/短絡動作の実行を開始してからの経過時間を計測し(ステップS207)、その経過時間が所定時間tMに達するとfO変更/短絡動作を停止する(ステップS208)。即ち、共振周波数fOを基準周波数に戻す又は受電側コイルRLの短絡を解消する。その後、ステップS209に進む。給電機器1にてpFOD処理が実行されている期間(即ちテスト磁界が発生されている期間)中、fO変更/短絡動作の実行が維持され、その期間が終了すると速やかにfO変更/短絡動作が停止されるように時間tMが予め設定されている。テスト用要求信号530の中で時間tMが指定されていても良い。
ステップS209において、制御回路250は、通信回路220を用い、認証信号550の受信を待機する。通信回路220にて認証信号550が受信されると、ステップS210において、制御回路250は、認証信号550に対する応答信号560を通信回路220を用いたNFC通信により給電機器1へ送信する。尚、異物が給電台12上に存在する場合には、認証信号550が給電機器1から送信されないので(図18のステップS110参照)、ステップS209にて認証信号550が一定時間受信されない場合にはステップS201に戻ると良い。
応答信号560の送信後、ステップS211において、制御回路250は、切り替え回路210の制御を通じて受電回路230を共振回路RRに接続し、続くステップS212にて受電回路230を用いた受電動作を開始させる。制御回路250は、受電動作の開始時点からの経過時間を計測し、その経過時間と所定の時間tBとを比較する(ステップS213)。そして、その経過時間が時間tBに達すると(ステップS213のY)、ステップS214にて、制御回路250は、受電動作を停止させてステップS201に戻る。
受電動作の行われる期間が給電機器1にて送電動作が行われている期間と実質的に一致するように、時間tBは、予め定められている又は認証信号550の中で指定されている。受電動作の開始後、制御回路250は、バッテリ21への充電電流を監視し、充電電流値が所定値以下になった時点で送電動作が終了したと判断して、受電動作の停止及びステップS201への移行を行うようにしても良い。
[mFOD処理]
送電動作の開始後に異物が給電台12上に置かれることもある。mFOD処理は、電力伝送中の異物検出処理として機能し、mFOD処理により電力伝送中において異物の存否が継続監視される。
図20は、mFOD処理の動作フローチャートである。制御回路160は、送電動作を行っている期間において、図20のmFOD処理を繰り返し実行する。mFOD処理において、制御回路160は、まずステップS51にて最新の電圧値VDを電流振幅検出値VmFODとして取得する。電流振幅検出値VmFODは、送電用磁界を送電側コイルTLに発生させているときの、送電側コイルTLに流れる電流の振幅に応じた値を持つ。続くステップS52において、制御回路160は、電流振幅検出値VmFODが所定のmFOD正常範囲に属しているか否かを判断する。電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲に属している場合、異物無判定が成されて(ステップS53)ステップS51に戻りステップS51及びS52の処理が繰り返されるが、電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲を逸脱している場合、ステップS54にて異物有判定が成されて送電許可フラグにOFFが設定される。送電許可フラグは、制御回路160にて管理されるフラグであってON又はOFFに設定される。送電許可フラグがONのとき制御回路160は送電動作の実行を許可し、送電許可フラグがOFFのとき制御回路160は送電動作の実行を禁止する又は送電動作を停止する。
mFOD正常範囲は、所定の下限値VmREFL以上且つ所定の上限値VmREFH以下の範囲である(0<VmREFL<VmREFH)。故に、判定不等式“VmREFL≦VmFOD≦VmREFH”が満たされる場合には異物無判定が成され、そうでない場合には異物有判定が成される。
図21(a)を参照し、例えば、送電動作が実行されているときに、給電機器1の給電台12と電子機器2との間に非接触ICカードとして形成された異物3が挿入された場合を考える。この場合、電子機器2の受電側コイルRLと異物3のコイルJLが磁気的に結合して、異物3の共振回路JJの共振周波数と共に電子機器2の共振回路RRの共振周波数が基準周波数(13.56MHz)からずれる。そうすると、受電側コイルRLでの受電電力が低下して送電側コイルTLから見た送電の負荷が軽くなり、結果として、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が大きくなる(この場合に“VmREFH<VmFOD”となるように上限値VmREFHを定めておけばよい)。
また例えば、図21(b)を参照し、送電動作が実行されているときに、給電機器1の給電台12と電子機器2との間に、鉄板又はフェライトシートとしての異物3bが挿入されると、電気的及び磁気的な作用を通じて異物3b内に電流が流れ、結果として、送電側コイルTLに流れる電流の振幅が小さくなる(この場合に“VmFOD<VmREFL”となるように下限値VmREFLを定めておけばよい)。
このように、異物3及び3bを含む異物の存否により電流振幅検出値VmFODに変化が生じる。考えられる異物の種類及び配置状態を想定した実験等を介し、予め適切に決定された下限値VmREFL及び上限値VmREFHを、メモリ150に記憶させておくと良い。また、電力伝送中に、異物が存在することで電流振幅検出値VmFODがどの程度変化するのかを理論計算により推定し、その推定結果に基づき、実験を必要とすることなく、下限値VmREFL及び上限値VmREFHを定めてメモリ150に記憶させても良い。この際例えば、mFOD正常範囲の中心値を基準として電流振幅検出値VmFODを所定の変化率以上変化させるような物体を異物と定義するようにしても良い。
図7に示す増幅器143の増幅率は可変となっている。送電側コイルTLに流れる電流の振幅は、pFOD処理を行っているときよりも、送電動作及びmFOD処理を行っているときの方が随分と大きい。故に、制御回路160は、mFOD処理を行う際において増幅器143の増幅率をpFOD処理を行う際よりも小さく設定し、これによってA/D変換器144の入力信号範囲をpFOD処理及びmFOD処理間で同程度とする。
また例えば、包絡線検波器142とA/D変換器144との間に(より具体的には、包絡線検波器142と増幅器143との間に、又は、増幅器143とA/D変換器144との間に)高域低減回路(不図示)を挿入するようにしても良い。この場合、センス抵抗141の電圧降下信号に高域低減処理(換言すれば平均化処理又は低域通過フィルタリング)を施して得られる振幅情報が、A/D変換器144から電圧値VDとして得られるようになる。ここにおける高域低減処理は、センス抵抗141の電圧降下信号における比較的低い周波数の信号成分を通過させる一方で比較的高い周波数の信号成分を低減(減衰)させる処理である。高域低減処理により、ノイズや給電台12上の電子機器2の軽度な振動などによって送電禁止の制御が行われることが抑制される。
或いは例えば、包絡線検波器142及びA/D変換器144間に高域低減回路を設ける代わりに、A/D変換器144の出力信号による電圧値VDに対し演算による高域低減処理を施して高域低減処理後の電圧値VDを電流振幅検出値VmFODとして用いるようにしても良い(pFOD処理における電流振幅検出値VpFODに対しても同様であって良い)。演算による高域低減処理は、制御回路160にて実行される処理であって、A/D変換器144の出力信号における比較的低い周波数の信号成分を通過させる一方で比較的高い周波数の信号成分を低減(減衰)させる処理である。
尚、mFOD処理の役割は、異物の存否判定だけに限られない。即ち、mFOD処理は、電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲を逸脱するような、送電動作の継続に不適切なあらゆる状況下で、送電許可フラグをOFFとする役割を持つ。例えば、送電動作の開始後、電子機器2が給電台12上から取り去られたとき、送電側コイルTLから見た送電の負荷が軽くなって電流振幅検出値VmFODが上限値VmREFHを超えるため送電許可フラグがOFFとされる(図20のステップS54)。
このように、制御回路160は、送電動作によって電力の送電が行われているとき、電流振幅検出値VmFODがmFOD正常範囲を逸脱しているか否かを監視することで送電の継続是非を制御する。これにより、送電動作の開始後に異物が給電台12上に置かれた場合など、送電動作の継続に不適切な状況下で、mFOD処理を通じて送電動作が停止されるため、送電動作の継続による異物の破損等を回避することができる。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2実施形態にも適用される。
第1実施形態では意識しなかったが、給電機器1における制御回路160は、通常モード及びテストモードを含む複数のモードの何れかを自身の動作モードに設定して設定した動作モードにて動作し、同様に、電子機器2における制御回路250は、通常モード及びテストモードを含む複数のモードの何れかを自身の動作モードに設定して設定した動作モードにて動作する。制御回路160についての複数のモードと、制御回路250についての複数のモードは、互いに一致していても良いし、互いに異なっていても良い。制御回路160、制御回路250についての複数のモードは、通常モード及びテストモード以外のモードを含みうるが、以下では、通常モード及びテストモードのみに注目する。
第1実施形態で述べた給電機器1及び電子機器2の動作は、全て、制御回路160及び250の動作モードが通常モードに設定されているときの動作である(但し、初期設定処理を除く)。
給電機器1の制御回路160は、給電機器1の起動時において又は給電機器1の起動後の任意のタイミングにおいて、予め定められたテストモード設定指示の入力を受けたときに限り自身の動作モードをテストモードに設定し、それ以外では自身の動作モードを通常モードに設定する。同様に、電子機器2の制御回路250は、電子機器2の起動時において又は電子機器2の起動後の任意のタイミングにおいて、予め定められたテストモード設定指示の入力を受けたときに限り自身の動作モードをテストモードに設定し、それ以外では自身の動作モードを通常モードに設定する。
図22を参照し、給電機器1はテストモード設定指示を含む様々な指示の入力を受けるための入力受付部170を有し、電子機器2はテストモード設定指示を含む様々な指示の入力を受けるための入力受付部270を有する。
入力受付部170は、例えば1以上の押しボタンスイッチにて構成されていて良い。この場合、操作者が入力受付部170における1つの押しボタンスイッチを押すことで、或いは、操作者が入力受付部170における複数の押しボタンスイッチを同時に押すことで、テストモード設定指示が給電機器1及び入力受付部170に入力される。給電機器1にタッチパネルが設けられている場合、入力受付部170に含まれうる押しボタンスイッチは、タッチパネル上のボタンであっても良い。
また例えば、入力受付部170は、外部機器から送信された信号を受信することが可能な通信ポートにて構成されていても良い。この場合、外部機器からの所定のテストモード移行要求信号が入力受付部170の通信ポートにて受信されることが、給電機器1及び入力受付部170に対するテストモード設定指示の入力に相当し、そのテストモード移行要求信号の受信により、制御回路160の動作モードがテストモードに設定される。
外部機器は、給電機器1及び電子機器2と異なる機器であって、例えば、後述のコンピュータ装置4(図23参照)であって良い。
入力受付部270は、例えば1以上の押しボタンスイッチにて構成されていて良い。この場合、操作者が入力受付部270における1つの押しボタンスイッチを押すことで、或いは、操作者が入力受付部270における複数の押しボタンスイッチを同時に押すことで、テストモード設定指示が電子機器2及び入力受付部270に入力される。電子機器2にタッチパネルが設けられている場合、入力受付部270に含まれうる押しボタンスイッチは、タッチパネル上のボタンであっても良い。
また例えば、入力受付部270は、外部機器から送信された信号を受信することが可能な通信ポートにて構成されていても良い。この場合、外部機器からの所定のテストモード移行要求信号が入力受付部270の通信ポートにて受信されることが、電子機器2及び入力受付部270に対するテストモード設定指示の入力に相当し、そのテストモード移行要求信号の受信により、制御回路250の動作モードがテストモードに設定される。
給電機器1の制御回路160において、動作モードがテストモードに設定された後、 給電機器1の電源をオフとし、給電機器1を再起動させると動作モードが通常モードとなる。また、制御回路160は、自身の動作モードをテストモードに設定した後、所定条件が成立すると(例えば入力受付部170にてテストモード設定指示と異なる通常モード移行指示の入力を受けたとき)自身の動作モードを通常モードに移行させることが可能であっても良い。
電子機器2の制御回路250において、動作モードがテストモードに設定された後、 電子機器2の電源をオフとし、電子機器2を再起動させると動作モードが通常モードとなる。また、制御回路250は、自身の動作モードをテストモードに設定した後、所定条件が成立すると(例えば入力受付部270にてテストモード設定指示と異なる通常モード移行指示の入力を受けたとき)自身の動作モードを通常モードに移行させることが可能であっても良い。
テストモードにおける電子機器2の動作について説明する。テストモードにおいて(即ち、制御回路250の動作モードがテストモードに設定されているときにおいて)、制御回路250は、共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を継続的に実行する。即ち、共振回路RRの共振周波数fOが周波数fMに変更されている状態又は受電側コイルRLが短絡されている状態を維持する。この維持は、制御回路250の動作モードがテストモードになっている限り保たれる。また、通常モードにおいてpFOD処理のためにfO変更/短絡動作が行われる時間tM(図19のステップS207参照)は、数10ミリ秒〜数100ミリ秒程度である。故に、テストモードでは、共振回路RRの共振周波数fOが周波数fMに変更されている状態又は受電側コイルRLが短絡されている状態が所定時間tMよりも長く維持されると言える。尚、テストモードにおいて、共振回路RRは切り替え回路210を介し通信回路220又は受電回路230に接続されて良い。
テストモードにおける給電機器1の動作について説明する。テストモードにおいて(即ち、制御回路160の動作モードがテストモードに設定されているときにおいて)、制御回路160は、切り替え回路110及び送電回路130への制御を通じて、共振回路TTが切り替え回路110を介して送電回路130に接続される状態、及び、所定のテスト用交流電圧が送電回路130から共振回路TTに供給及び印加されることでテスト磁界が送電側コイルTLにて発生している状態を維持する。この維持は、制御回路160の動作モードがテストモードになっている限り保たれる。即ち、テストモードにおいて、制御回路160は、切り替え回路110及び送電回路130への制御を通じて、テスト磁界を送電側コイルTLにて継続発生させる。
テストモードにおいても送電側コイルTLに流れる電流の振幅は継続的に検出されており、その検出結果が電圧値VD(図7参照)として得られる。テストモードにおいて送電側コイルTLがテスト磁界を発生しているときに得られる電圧値VD(即ち検出回路140による送電側コイルTLの電流振幅検出値)を、特にテストモード検出値と呼び、記号VTESTにて表す。テストモードが維持される限り、テストモード検出値VTESTは周期的に取得される(例えば1ミリ秒間隔で取得される)。
第2実施形態に係る非接触給電システムは、テストモード検出値VTESTに基づいて所定のテスト用処理を実行する処理部を備える。この処理部は、給電機器1の制御回路160に設けられていても良いし、給電機器1及び電子機器2と異なる外部機器に設けられていても良い。ここでは、当該処理部が外部機器に設けられていることを想定する。外部機器は非接触給電システムの構成要素に含まれると考えても良い。
図23に、外部機器の例としてのコンピュータ装置4の外観を給電機器1の外観と共に示す。図24は、コンピュータ装置4の概略内部ブロック図である。コンピュータ装置4は、符号41〜44によって参照される各部位を備える。
演算処理部41は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などから成り、各種の演算処理を実行すると共に、コンピュータ装置4内の各部位の動作を統括的に制御する。
表示部42は、液晶ディスプレイパネル等から成り、演算処理部41の制御の下、任意の情報を映像として表示する。記録部43は、磁気ディスク及び半導体メモリ等からなり、任意の情報を記録する。
通信処理部44は、コンピュータ装置4と異なる機器との間で無線又は有線による通信を行う。ここでは、給電機器1及びコンピュータ装置4間において所定の有線通信規格(例えば、USB(Universal Serial Bus)の規格)に従った有線通信が可能であるものとし、給電機器1に設けられた通信ポートとコンピュータ装置4に設けられた通信ポートとが所定の通信ケーブルにて接続されることで、給電機器1及びコンピュータ装置4間で任意の情報の双方向通信が可能であるものとする。但し、コンピュータ装置4との間で無線通信を行う機能が給電機器1に設けられている場合には、給電機器1及びコンピュータ装置4間の通信(給電機器1からコンピュータ装置4へのテストモード検出値VTESTの伝達を含む)は、無線通信であっても良い。
図25は、テストモードにおける給電機器1の動作フローチャートである。テストモードでは送電回路130が共振回路TTに接続される。そして、ステップS71にて送電側コイルTLによる磁界強度Hを所定のテスト強度に設定し、続くステップS72において、制御回路160は、その設定状態でA/D変換器144から取得される電圧値VDをテストモード検出値VTESTとして得る。その後のステップS73において、制御回路160は、得られたテストモード検出値VTESTを、給電機器1に設けられた通信ポートを介してコンピュータ装置4に送信する。以後、ステップS72及びS73の処理が周期的に繰り返し実行される。
演算処理部41は、テストモード検出値VTESTに基づいて所定のテスト用処理を実行することができる。
テスト用処理は、表示部42にテストモード検出値VTESTを表示させる処理を含んでいて良い。この際、テストモード検出値VTESTそのもの又はテストモード検出値VTESTに所定演算(例えば所定の四則演算)を施して得た値を表示部42に表示するようにしても良いし、テストモード検出値VTESTの時系列データ又はテストモード検出値VTESTに所定演算を施して得た値の時系列データをグラフ化して表示部42に表示するようにしても良い。
テスト用処理は、記録部43にテストモード検出値VTESTを記録させる処理を含んでいて良い。この際、テストモード検出値VTESTそのもの又はテストモード検出値VTESTに所定演算(例えば所定の四則演算)を施して得た値を記録部43に記録させて良い。テストモード検出値VTESTは周期的に順次得られるため、テストモード検出値VTESTの時系列データ又はテストモード検出値VTESTに所定演算を施して得た値の時系列データを、記録部43に記録させて良い。
テスト用処理は、テストモード検出値VTESTが、第1実施形態で述べたpFOD正常範囲内に収まるか否かの判断を含んでいると良い(図12参照)。この判断結果は、表示部42に表示されると良い。尚、図25のステップS73において、制御回路160も、テストモード検出値VTESTがpFOD正常範囲内に収まるか否かを判断しても良く、その判断結果を、給電機器1に設けられうる発光ダイオード等の発光態様にて表現するようにしても良い。
テスト用処理の対象となるテストモード検出値VTESTは、テストモードの電子機器2のみを給電台12上の所定の送電領域内に配置したときに取得されるテストモード検出値VTESTAと、テストモードの電子機器2と異物(例えば異物3)を給電台12上の所定の送電領域内に配置したときに取得されるテストモード検出値VTESTBを含んでいると良い。テストモードとなっている給電機器1及び電子機器2に異常がなければ、前者のテストモード検出値VTESTAはpFOD正常範囲内に収まるはずであり、後者のテストモード検出値VTESTBはpFOD正常範囲を逸脱するはずである。
通常モードでは、電子機器2が給電台12に載置されているときpFOD処理と電力伝送が交互に繰り返し実行されるが(図17参照)、この際、1回の電力伝送は数分から数時間程度に亘って実行されるのに対し1回のpFOD処理は100ミリ秒程度で終了する。
各回のpFOD処理にて異物の存否が判断される訳であるが、様々な状況下で異物の存否判断が所望通りに行われているのか等を評価したい場合もある。例えば、給電機器1又は電子機器2の出荷検査では、異物有判定が成されるべき様々な状況下(図14(b)の状況下や図15の状況下)で実際に異物有判定が成されるのか否かの評価及びその際に必要なマージンが確保されているか否かの評価を短時間且つ詳細に行いたいという要望があり、同様に、異物無判定が成されるべき様々な状況下で実際に異物無判定が成されるのか否かの評価及びその際に必要なマージンが確保されているか否かの評価を短時間且つ詳細に行いたいという要望がある。給電機器1又は電子機器2がNFC電力伝送の設計値に適合しているか否かを精査するための設計評価試験や出荷検査においても同様の要望が発生する。
これらの評価は、1回当たり100ミリ秒程度しかない、通常モードのpFOD処理で完結させ難い。これを考慮し、上述のようなテストモードでの動作を可能にしておく。テストモードでは、通常モードでpFOD処理が行われるときと同様の状況が継続的に実現され、通常モードのpFOD処理にて得られる電流振幅検出値VpFOD(図12参照)に相当するテストモード検出値VTESTを、様々な取得条件で効率良く取得することができる。即ち例えば、テストモードにて上述のテストモード検出値VTESTA及びVTESTBを順次取得することができ、テストモード検出値VTESTA及びVTESTBがpFOD正常範囲内に収まるのか否かをテスト用処理を通じて確認すれば良い。
更に例えば、給電台12上の所定位置に電子機器2を置き且つ給電台12から離れた所定位置に異物3を置いた第1の状態で第1のテストモード検出値VTESTを取得し、給電台12上の第1及び第2の所定位置に電子機器2及び異物3を置いた第2の状態で第2のテストモード検出値VTESTを取得するといったことも可能となる。そして例えば、第1の状態では異物無判定が成されるべきであるならば、第1のテストモード検出値VTESTがpFOD正常範囲内に収まるのかをテスト用処理を通じて確認すれば良く、第2の状態では異物有判定が成されるべきであるならば、第2のテストモード検出値VTESTがpFOD正常範囲を逸脱するのかをテスト用処理を通じて確認すれば良い。
このように、テストモードを設けておくことで、電力伝送前の異物検出処理に関わる動作確認(電力伝送前の異物検出処理が適正に行われているか否かの評価)を効率的に且つ詳細に行うことが可能となる。
尚、演算処理部41がコンピュータ装置4に設けられていることを想定したが、テストモード検出値VTESTに基づき所定のテスト用処理を実行する演算処理部41を制御回路160内に設けるようにしても良い。また、表示部42がコンピュータ装置4に設けられている場合、表示部42は通信処理部44を介して給電機器1に接続されていると言えるが、表示部42をコンピュータ装置4ではなく給電機器1に設けるようにしても良い。同様に、記録部43がコンピュータ装置4に設けられている場合、記録部43は通信処理部44を介して給電機器1に接続されていると言えるが、記録部43をコンピュータ装置4ではなく給電機器1に設けるようにしても良い。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態は第1及び第2実施形態を基礎とする実施形態であり、第3実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1及び第2実施形態の記載が第3実施形態にも適用される。第3実施形態において、第3実施形態と第1又は第2実施形態との間で矛盾する事項に関しては第3実施形態の記載が優先される。
図26を参照し、第3実施形態では、給電機器1における制御回路160のテストモードとしてモードMA1〜MA4が設けられており、電子機器2における制御回路250のテストモードとしてモードMB1及びMB2が設けられている。
例えば、給電機器1の制御回路160は、給電機器1の起動時において又は給電機器1の起動後の任意のタイミングにおいて、予め定められた第1〜第4テストモード設定指示の入力を受けたとき、自身の動作モードを夫々モードMA1〜MA4に設定し、それ以外では自身の動作モードを通常モードに設定する。同様に例えば、電子機器2の制御回路250は、電子機器2の起動時において又は電子機器2の起動後の任意のタイミングにおいて、予め定められた第1、第2テストモード設定指示の入力を受けたとき、自身の動作モードを夫々モードMB1、MB2に設定し、それ以外では自身の動作モードを通常モードに設定する。各テストモード設定指示の入力は、入力受付部170、270(図22参照)にて受け付けられると良い。
電子機器2において、モードMB1は第2実施形態で述べたテストモードそのものであり、モードMB1において(即ち、制御回路250の動作モードがモードMB1に設定されているときにおいて)、制御回路250は、共振状態変更回路240を用いてfO変更/短絡動作を継続的に実行する。即ち、共振回路RRの共振周波数fOが周波数fMに変更されている状態又は受電側コイルRLが短絡されている状態を維持する。この維持は、制御回路250の動作モードがモードMB1になっている限り保たれる。また、通常モードにおいてpFOD処理のためにfO変更/短絡動作が行われる時間tM(図19のステップS207参照)は、数10ミリ秒〜数100ミリ秒程度である。故に、モードMB1では、共振回路RRの共振周波数fOが周波数fMに変更されている状態又は受電側コイルRLが短絡されている状態が所定時間tMよりも長く維持されると言える。尚、モードMB1において、共振回路RRは切り替え回路210を介し通信回路220又は受電回路230に接続されて良い。
モードMB2において(即ち、制御回路250の動作モードがモードMB2に設定されているときにおいて)、制御回路250は、fO変更/短絡動作を継続的に非実行とし、従って共振回路RRの共振周波数fOは基準周波数に維持される。この維持は、制御回路250の動作モードがモードMB2になっている限り保たれる。また、モードMB2において、共振回路RRは切り替え回路210を介し受電回路230に接続される。つまり、モードMB2において、電子機器2は受電動作が行われるときと同じ状態となる。
モードMA1及びMA2において(即ち、制御回路160の動作モードがモードMA1又はMA2に設定されているときにおいて)、制御回路160は、切り替え回路110及び送電回路130への制御を通じて、共振回路TTが切り替え回路110を介して送電回路130に接続される状態、及び、所定のテスト用交流電圧が送電回路130から共振回路TTに供給及び印加されることでテスト磁界が送電側コイルTLにて発生している状態を維持する。この維持は、制御回路160の動作モードがモードMA1又はMA2になっている限り保たれる。即ち、モードMA1及びMA2において、制御回路160は、切り替え回路110及び送電回路130への制御を通じて、テスト磁界を送電側コイルTLにて継続発生させる。
モードMA3及びMA4おいて(即ち、制御回路160の動作モードがモードMA3又はMA4に設定されているときにおいて)、制御回路160は、切り替え回路110及び送電回路130への制御を通じて、共振回路TTが切り替え回路110を介して送電回路130に接続される状態、及び、所定の送電用交流電圧が送電回路130から共振回路TTに供給及び印加されることで送電用磁界が送電側コイルTLにて発生している状態を維持する。この維持は、制御回路160の動作モードがモードMA3又はMA4になっている限り保たれる。即ち、モードMA3及びMA4において、制御回路160は、切り替え回路110及び送電回路130への制御を通じて、送電用磁界を送電側コイルTLにて継続発生させる。
モードMA1〜MA4の何れにおいても送電側コイルTLに流れる電流の振幅は継続的に検出されており、その検出結果が電圧値VD(図7参照)として得られる。モードMA1〜MA4において得られる電圧値VD(即ち検出回路140による送電側コイルTLの電流振幅検出値)を特にテストモード検出値と呼ぶ。この内、モードMA1又はMA2において送電側コイルTLがテスト磁界を発生しているときに得られる電圧値VDを、記号VTESTにて表し、モードMA3又はMA4において送電側コイルTLが送電用磁界を発生しているときに得られる電圧値VDを、記号VTEST2にて表す。モードMA1又はMA2においてはテストモード検出値VTESTが、モードMA3又はMA4においてはテストモード検出値VTEST2が周期的に取得される(例えば1ミリ秒間隔で取得される)。順次取得されるテストモード検出値VTEST又はVTEST2は、図24の通信処理部44を介して演算処理部41に伝達されて良い。
ここにおけるテストモード検出値VTEST及びVTEST2の内、テストモード検出値VTESTは、第2実施形態で述べたテストモード検出値VTESTと同様のものである。故に、制御回路160の動作モードがモードMA1又はMA2に設定されているとき、非接触給電システムは、第2実施形態で述べたテストモードにおける各種動作(図25の動作やテスト用処理を含む)を実現して良い。制御回路160の動作モードがモードMA3又はMA4に設定されているときにも、図25の動作及びテスト用処理を適用及び実行可能である。但し、制御回路160の動作モードがモードMA3又はMA4に設定されている状態に対して図25の動作及びテスト用処理を適用する場合、第2実施形態の記述における“テスト強度”、“VTEST”、“pFOD正常範囲”、“テストモードの電子機器2”は、夫々、“送電用磁界”、“VTEST2”、“mFOD正常範囲”、“モードMB2の電子機器2”に読み替えられる。
モードMA1又はMA2を用いたテスト形態としての第1〜第4のテスト形態を説明する。
第1のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA1に設定し且つ上述の初期設定環境を整える(即ち給電台12上に電子機器2も異物も置かない)。この状態で得たテストモード検出値VTESTに基づき上述の値VpREFLを設定することができる(図13参照)。
第2のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA1に設定し且つモードMB1における電子機器2を給電台12上に置く。演算処理部41は、この状態で得たテストモード検出値VTESTに基づきfO変更/短絡動作が正しく実行されているか否かを評価することができる。例えば、第1のテスト形態で得た検出値VTESTと第2のテスト形態で得た検出値VTESTとの差が所定値以下である場合、fO変更/短絡動作が正しく実行されていると判断し、そうでない場合、fO変更/短絡動作が正しく実行されていないと判断する。理想的には、第1のテスト形態で得た検出値VTESTと第2のテスト形態で得た検出値VTESTとが等しくなる。
第3のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA2に設定し且つ上述の初期設定環境を整える(即ち給電台12上に電子機器2も異物も置かない)。この状態で得たテストモード検出値VTESTに基づき上述の値VpREFLを設定することができる(図13参照)。第3のテスト形態は上述の第1のテスト形態と等価である。
第4のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA2に設定し且つモードMB1における電子機器2及び異物3を給電台12上に置く。この状態で得たテストモード検出値VTESTに基づき、演算処理部41にて、異物3の存在に対し正しく異物有判定が成されるか(通常モードでのpFOD処理にて異物3の存在に対し正しく異物有判定が成されるか)が確認されると共にマージンの確認が成される。ここにおけるマージンは、第4のテスト形態にて得られた検出値VTEST(但し、異物として異物3を給電台12上に置いたときの検出値)を用いて、差(VpREFL−VTEST)にて表され、当該差が所定値以上であれば当該マージンが十分に確保されていると判断される。
或いは、第4のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA2に設定し且つモードMB1における電子機器2及び異物3a(アルミニウム板等)を給電台12上に置く。この状態で得たテストモード検出値VTESTに基づき、演算処理部41にて、異物3aの存在に対し正しく異物有判定が成されるか(通常モードでのpFOD処理にて異物3aの存在に対し正しく異物有判定が成されるか)が確認されると共にマージンの確認が成される。ここにおけるマージンは、第4のテスト形態にて得られた検出値VTEST(但し、異物として異物3aを給電台12上に置いたときの検出値)を用いて、差(VTEST−VpREFH)にて表され、当該差が所定値以上であれば当該マージンが十分に確保されていると判断される。
モードMA1及びMA2を利用することで、電力伝送前の異物検出処理に関わる動作確認(電力伝送前の異物検出処理が適正に行われているか否かの評価)等を効率的に且つ詳細に行うことが可能となる。
モードMA3又はMA4を用いたテスト形態としての第5〜第7のテスト形態を説明する。
第5のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA3に設定し且つモードMB2における電子機器2を給電台12上で又は給電台12近傍で様々に移動させる。より具体的には、モードMB2の電子機器2を給電台12上の所定の送電領域内の中心に載置した状態を基準として、給電台12及び電子機器2間の相対位置関係を互いに直交する3方向の夫々において変化させ、夫々の相対位置関係における電子機器2の受電電力を測定する。この測定結果を参照すれば、夫々の相対位置関係において正常な受電電力が得られているのかを確認できる。受電動作にて受電回路230にて受電される電力を実際に検出することで電子機器2の受電電力の測定を実現しても良いし、各相対位置関係での検出値VTEST2に基づき各相対位置関係での電子機器2の受電電力を推定することで当該測定を実現するようにしても良い。
第6のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA4に設定し且つモードMB2における電子機器2を給電台12上に置く。この状態で得たテストモード検出値VTEST2に基づき上述の値VmREFL及びVmREFHを設定することができる。
第7のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA4に設定し且つモードMB2における電子機器2及び異物3を給電台12上に置く。この状態で得たテストモード検出値VTEST2に基づき、演算処理部41にて、異物3の存在に対し正しく異物有判定が成されるか(通常モードでのmFOD処理にて異物3の存在に対し正しく異物有判定が成されるか)が確認されると共にマージンの確認が成される。ここにおけるマージンは、第7のテスト形態にて得られた検出値VTEST2(但し、異物として異物3を給電台12上に置いたときの検出値)を用いて、差(VTEST2−VmREFH)にて表され、当該差が所定値以上であれば当該マージンが十分に確保されていると判断される。
或いは、第7のテスト形態として、制御回路160の動作モードをモードMA4に設定し且つモードMB2における電子機器2及び異物3b(鉄板等)を給電台12上に置く。この状態で得たテストモード検出値VTEST2に基づき、演算処理部41にて、異物3bの存在に対し正しく異物有判定が成されるか(通常モードでのmFOD処理にて異物3bの存在に対し正しく異物有判定が成されるか)が確認されると共にマージンの確認が成される。ここにおけるマージンは、第7のテスト形態にて得られた検出値VTEST2(但し、異物として異物3bを給電台12上に置いたときの検出値)を用いて、差(VpREFL−VTEST2)にて表され、当該差が所定値以上であれば当該マージンが十分に確保されていると判断される。
モードMA3及びMA4を利用することで、電力伝送における電力量の確認及び電力伝送中の異物検出処理に関わる動作確認(電力伝送中の異物検出処理が適正に行われているか否かの評価)等を効率的に且つ詳細に行うことが可能となる。
<<本発明の第1考察>>
上述の各実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明の一側面に係る非接触給電システムW1は、送電装置及び受電装置を備え、磁界共鳴方式で電力の送受電が可能な非接触給電システムにおいて、前記送電装置は、前記電力を送電するための送電側コイル(TL)を含む送電側共振回路(TT)と、前記送電側共振回路に交流電圧を供給することで前記送電側コイルに磁界を発生させる送電回路(130)と、前記送電側コイルに流れる電流の振幅を検出する検出回路(140)と、第1モード(通常モード)及び第2モード(テストモード)を含む複数のモードの何れかを動作モードにして動作する送電側制御回路(160)と、を備え、前記受電装置は、前記電力を受電するための受電側コイル(RL)を含む受電側共振回路(RR)と、前記受電側共振回路の共振周波数を前記受電の際の共振周波数から変更可能な又は前記受電側コイルを短絡可能な変更/短絡回路(240)と、前記第1モード及び前記第2モードを含む複数のモードの何れかを動作モードにして動作する受電側制御回路(250)と、を備える。
そして、前記第1モードにおいて、前記受電側制御回路は、前記送電装置からの通信による信号に従い、前記変更/短絡回路を用いて所定時間だけ前記受電側共振回路の共振周波数の変更又は前記受電側コイルの短絡を行った後、該変更又は該短絡を解消させ、前記送電側制御回路は、前記受電側共振回路の共振周波数の変更又は前記受電側コイルの短絡が行われている期間において前記送電に先立ち所定のテスト磁界が前記送電側コイルで発生されるよう前記送電回路を制御し、前記第1モードにて前記テスト磁界が発生されているときの前記検出回路の振幅検出値を示す第1評価データ(VpFOD)に基づき前記送電の実行可否を判断して、前記送電を実行可能と判断した後に前記テスト磁界よりも大きな送電用磁界が前記送電側コイルで発生されるよう前記送電回路を制御して前記送電を実現する。
一方、前記第2モードにおいて、前記受電側制御回路は、前記変更/短絡回路を用いて、前記受電側共振回路の共振周波数の変更又は前記受電側コイルの短絡を維持し、前記送電側制御回路は、前記送電回路を制御して前記テスト磁界を前記送電側コイルにて継続発生させ、前記第2モードにて前記テスト磁界が発生されているときの前記検出回路の振幅検出値を示す第2評価データ(VTEST)を取得することを特徴とする。
送電側コイルの発生磁界に応答する場所に異物が存在しているとき、送電側コイルの電流振幅に変化が現れるという特性がある。この特性を利用すれば、電流振幅変化に基づき異物の存否を検出し、異物の存在が検出された場合には送電の実行を禁止するといった制御が可能となる。但し、異物の存否の検出の際に受電側コイルに共振電流が流れると、それによっても送電側コイルの電流振幅に変化が現われて、異物の存否による電流振幅の変化有無が観測し難くなる。故に、第1モードでは、受電側共振回路の共振周波数の変更又は受電側コイルの短絡が行われているときに送電側コイルの電流振幅に関する第1評価データを取得し、第1評価データに基づいて送電の実行可否を判断及び制御する。
他方、送電装置、受電装置、非接触給電システムの出荷検査等において、様々な種類の異物を用意して送電の実行可否判断が妥当であるかを評価したいこともある。第2モードでの動作を可能にしておくことで、この評価を様々な条件で効率的に行うことが可能となる。第1モードでは“第1評価データ取得→送電の実行可否判断→送電の実行有無制御”の流れの中で、限られたタイミングにて振幅検出値(第1評価データ)が得られるだけであるのに対し、第2モードでは、第1評価データに相当する第2評価データを必要なだけ取得することが可能だからである。つまり、第2モードでの動作を可能にしておくことで、第1モードでの送電の実行可否判断に関わる動作確認(例えば当該判断が適正に行われているか否かの評価)を効率的に又は詳細に行うことが可能となる。
具体的には例えば、非接触給電システムW1に関し、前記第1モードにおいて、前記送電側制御回路は、前記第1評価データに基づき、前記受電装置と異なり且つ前記送電側コイルの発生磁界に基づく電流を発生させられる異物の存否を判断し、その判断結果に基づいて前記送電の実行可否を制御すると良い。
より具体的には例えば、非接触給電システムW1に関し、前記第1モードにおいて、前記送電側制御回路は、前記異物が存在しないと判断した場合、前記送電の実行を許可し、前記異物が存在すると判断した場合、前記送電の実行を禁止すると良い。
これにより、異物の破損等を回避することが可能となる。
また例えば、非接触給電システムW1に関し、前記第1モードにおいて、前記送電側制御回路は、前記第1評価データが示す振幅検出値が所定範囲を逸脱しているか否かを判断することで、前記異物の存否を判断すると良い。
また例えば、前記第2評価データに基づく所定処理(テスト用処理)を実行する処理部(41)を非接触給電システムW1に設けておくと良く、前記処理部は、前記送電側制御回路に設けられる、又は、前記送電装置及び前記受電装置と異なる外部機器(4)に設けられると良い。
このような処理部を設けておくことで、所定処理の実行を通じ、第1モードでの送電の実行可否判断に関わる動作確認(例えば当該判断が適正に行われているか否かの評価)を効率的に又は詳細に行うことが可能となる。
具体的には例えば、非接触給電システムW1に関し、前記所定処理は、前記送電装置に設けられた又は前記送電装置に接続された表示装置に、前記第2評価データを表示させる処理を含んでいると良い。
また例えば、非接触給電システムW1に関し、前記所定処理は、前記送電装置に設けられた又は前記送電装置に接続された記録装置に、前記第2評価データを記録させる処理を含んでいると良い。
また例えば、前記第2評価データに基づく所定処理(テスト用処理)を実行する処理部(41)が非接触給電システムW1に設けられ、前記処理部が、前記送電側制御回路に設けられる、又は、前記送電装置及び前記受電装置と異なる外部機器(4)に設けられる場合において、前記所定処理は、前記第2評価データが示す振幅検出値が前記所定範囲を逸脱しているか否かの判断を含んでいると良い。
このような処理部を設けておくことで、所定処理の実行を通じ、第1モードでの送電の実行可否判断に関わる動作確認(例えば当該判断が適正に行われているか否かの評価)を効率的に又は詳細に行うことが可能となる。
また例えば、非接触給電システムW1に関し、前記送電側制御回路及び前記受電側制御回路の夫々は、特定指示の入力を受けたときに自身の動作モードを前記第2モードに設定し、それ以外では自身の動作モードを前記第1モードに設定すると良い。
これにより、原則としては第1モードにて動作し、特定指示が入力されたときに限って第2モードでの動作を行うといったことが可能となる。
この際において例えば、非接触給電システムW1に関し、前記送電装置及び前記受電装置の夫々は、前記特定指示の入力を受けるための入力受付部(170、270)を有していると良い。
また例えば、非接触給電システムW1に関し、前記送電側制御回路における前記複数のモードには、前記送電側コイルにて前記送電用磁界を継続発生させるモード(第3実施形態におけるモードMA3、MA4)が更に含まれ、且つ、前記受電側制御回路における前記複数のモードには、前記受電側共振回路の共振周波数の変更又は前記受電側コイルの短絡を継続的に非実行とするモード(第3実施形態におけるモードMB2)が更に含まれていても良い。
尚、上述の各実施形態における給電機器1そのものが本発明に係る送電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における給電機器1の一部が本発明に係る送電装置として機能しても良い。同様に、上述の各実施形態における電子機器2そのものが本発明に係る受電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における電子機器2の一部が本発明に係る受電装置として機能しても良い。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態は第1〜第3実施形態を基礎とする実施形態であり、第4実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1〜第3実施形態の記載が第4実施形態にも適用される。第4実施形態において、第4実施形態と第1、第2又は第3実施形態との間で矛盾する事項に関しては第4実施形態の記載が優先される。第4実施形態でも、IC100を有する給電機器1及びIC200を有する電子機器2から成る非接触給電システムの具体的な構成例及び動作例を説明する。
図27に、IC100の内部ブロック図を含む、給電機器1の一部の構成図を示す。IC100には、符号110、120、130及び160によって参照される各部位が設けられる。図28に、IC200の内部ブロック図を含む、電子機器2の一部の構成図を示す。IC200には、符号210、220、230及び250によって参照される各部位が設けられる。また、IC200に対し、IC200の駆動電圧を出力するコンデンサ23を接続しておいても良い。コンデンサ23は、給電機器1から受信したNFC通信のための信号を整流することで得た直流電圧を出力可能である。
給電機器1に設けられた切り替え回路110、NFC通信回路120、NFC送電回路130、制御回路160及び共振回路TTの構成及び動作並びにそれらの接続関係等は、第1〜第3実施形態で述べたものと同様であって良く、且つ、電子機器2に設けられた切り替え回路210、NFC通信回路220、NFC受電回路230、制御回路250及び共振回路RRの構成及び動作並びにそれらの接続関係等は、第1〜第3実施形態で述べたものと同様であって良い。
また、第4実施形態のIC100に対し、第1〜第3実施形態と同様、負荷検出回路140及びメモリ150(図4参照)を更に設けておいても良く、第4実施形態のIC200に対し、第1〜第3実施形態と同様、共振状態変更回路240(図5参照)を更に設けておいても良い。この場合も、給電機器1に設けられた切り替え回路110、NFC通信回路120、NFC送電回路130、負荷検出回路140、メモリ150、制御回路160及び共振回路TTの構成及び動作並びにそれらの接続関係等は、第1〜第3実施形態で述べたものと同様であって良く、且つ、電子機器2に設けられた切り替え回路210、NFC通信回路220、NFC受電回路230、共振状態変更回路240、制御回路250及び共振回路RRの構成及び動作並びにそれらの接続関係等は、第1〜第3実施形態で述べたものと同様であって良い。
共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC通信回路120に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC通信回路220に接続されている状態は、上述したように通信用接続状態と称される。共振回路TTが切り替え回路110を介してNFC送電回路130に接続され、且つ、共振回路RRが切り替え回路210を介してNFC受電回路230に接続されている状態は、上述したように給電用接続状態と称される。
通信用接続状態にてNFC通信を行う場合も、NFC通信回路120が所定の交流信号を、より具体的には所定振幅を有し且つ基準周波数の交流電圧を共振回路TTに供給することで、送電側コイルTLにて通信用磁界が発生するが、NFC通信における磁界強度(即ち通信用磁界の磁界強度)は、上述したように、所定の範囲内に収まる。その範囲の下限値及び上限値は、NFCの規格で定められ、夫々、1.5A/m、7.5A/mである。これに対し、電力伝送(即ち送電動作)において送電側コイルTLにて発生する磁界の強度(送電用磁界の磁界強度)は、上記の上限値より大きく、例えば45〜60A/m程度である。機器1及び2を含む非接触給電システムにおいて、NFC通信及び電力伝送(NFC電力伝送)を交互に行うことができ、その時の磁界強度の様子は、図6に示したようになる。
図29を参照して、電力伝送が行われるまでの機器1及び2間の信号のやりとりを説明する。まず、通信用接続状態において給電機器1が送信側且つ電子機器2が受信側となり、給電機器1(IC100)が、NFC通信によって、問い合わせ信号510を電子機器2に送信する。問い合わせ信号510は、例えば、電子機器2の固有識別情報を問い合わせる信号、電子機器2がNFC通信を実行可能な状態にあるかを問い合わせる信号、及び、電子機器2が電力を受け取れるか又は電力の送電を求めているかを問い合わせる信号を含む。
今、電子機器2が問い合わせ信号510を受信可能な位置に存在しているものとする。そうすると、問い合わせ信号510を受信した電子機器2(IC200)は、問い合わせ信号510の問い合わせ内容に答える応答信号520を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号520を受信した給電機器1(IC100)は、応答信号520を解析し、電子機器2がNFC通信を可能であって且つ電力を受け取れる又は電力の送電を求めている場合に、認証信号550をNFC通信により電子機器2に送信する。認証信号550は、例えば、これから送電を行うことを電子機器2に通知する信号を含む。認証信号550を受信した電子機器2(IC200)は、認証信号550に対応する応答信号560を、NFC通信によって給電機器1に送信する。応答信号560は、例えば、認証信号550が示す内容を認識したことを通知する信号又は認証信号550が示す内容に許可を与える信号を含む。応答信号560の送信後、制御回路250は速やかに共振回路RRを受電回路230に接続する。応答信号560を受信した給電機器1(IC100)は、送電回路130を共振回路TTに接続して送電動作を実行し、これにより電力伝送570が実現される。
尚、第1実施形態で述べたように、給電機器1(IC100)は、応答信号520の受信後、給電台12上に異物が存在するか否かを検出する異物検出処理を実行し、異物が存在しないと判断された場合に限って、認証信号550及び応答信号560の送受信を介して電力伝送570を行うようにしても良い。異物検出処理としては、第1実施形態で説明したpFOD処理を利用できる。異物とは、例えば、NFC通信に応答しない13.56MHzのアンテナコイルを持つ無線ICタグを有した物体(非接触ICカード等)である。
NFC通信を行うためには且つ所望の伝送効率にて電力伝送を行うためには、給電機器1及び電子機器2間の位置関係を所望の位置関係にする必要があるが、そのような位置関係を具体的に説明すべく、図30に示す、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。X軸及びY軸に平行な面、Y軸及びZ軸に平行な面、Z軸及びX軸に平行な面を、夫々、XY面、YZ面、ZX面と称することもある。X軸及びY軸は給電台12の一面である載置面12aに平行であり、従ってZ軸は載置面12aに直交している。給電台12の載置面12aは、電力伝送が行われるときに電子機器2が載置されるべき面であり、従って載置面12a上に電子機器2が載置されうる。
図31(a)、(b)は、基準配置状態での給電機器1及び電子機器2における送電側コイルTL及び受電側コイルRLの概略的な斜視図、断面図である。図31(a)では、図示の簡略化及び煩雑化防止のため、コイルTL及びRLの巻線を二重円にて表現している(後述の図34(b)等においても同様)。コイルの図示を含む図面において、コイルを表す二重円から側方に伸びる線分はコイルの引き出し線を表している。図31(b)の断面図における断面はYZ面に平行である。コイルTL及びRLの夫々はループアンテナを形成している。基準配置状態において、コイルTL及びRLとしてのループアンテナのループ面(即ち、コイルTL及びRLの巻線が配置されている面)はXY面に平行であり、従ってコイルTL及びRLの中心軸はZ軸に平行であり、更にコイルTL及びRLの中心軸は互いに重なり合うものとする。コイルTLは、自身の中心軸周りに巻線(銅線など)が巻かれることで形成される(コイルRLについても同様)。
コイルTL及びRL間の結合係数を高めるべく、XY面上においてコイルTL及びRLは互いに同じ形状を有している(但し、それらは互いに異なる形状を有し得る)。本明細書において、コイルの形状とは、コイルの大きさを含む概念である。任意のコイルに関し、コイルの大きさとは、コイルの中心軸に直交する方向においてコイルの外周が占有する面積を表すと考えて良い。コイルがループアンテナを形成している場合には、そのループアンテナのループ面(即ち、当該コイルの巻線が配置されている面)における、当該コイルの巻線に囲まれた部分の面積が当該コイルの大きさに相当する。
尚、図31(a)等ではコイルTL及びRLの外周形状(換言すれば外形形状)が円とされているが、コイルTL及びRLの夫々において、コイルの外周形状は円に限定されず、楕円又は多角形(長方形など)であっても良いし、直線と曲線がコイルの外周形状に混在していても良い。
上述の基準配置状態において、コイルTL及びRL間の結合係数が最大化され、結果、電力伝送の伝送効率も最大化される。効率の良い電力伝送が実現されるよう、非接触給電システムのユーザは、基準配置状態を目指して電子機器2を給電台12の載置面12aに置けばよいことになるが、通常、ユーザは、載置面12aのどのあたり位置に電子機器2を置けば基準配置状態が実現されるのかを理解できない。コイルTL及びRLは各々給電機器1及び電子機器2の筐体内に収まっているため、ユーザは、給電機器1及び電子機器2内におけるコイルTL及びRLの配置位置を認識できないからであり、また、その認識が可能であったとしても多くのユーザは磁気結合の原理を理解して図31(b)のような状態を目指す必要があるとは考えないからである。
図32を参照し、NFC通信を行う機器用の規格の一種では、電子機器2が載置面12a上に置かれているとき基準配置状態から見て電子機器2が半径10mmの領域内に位置しているときにNFC通信が可能であるべきと規定され、且つ、基準配置状態を起点として電子機器2を載置面12aから5mmだけ離した場合には、その離した状態から見て電子機器2がXY面における半径20mmの領域内に位置しているときにNFC通信が可能であるべきと規定される。そうすると、NFC通信が可能であるときに電力伝送が行われるのであるから(図29参照)、電力伝送を行わせるためには、ユーザは、電子機器2の載置位置と所定位置との誤差が10mm以内に収まるように、電子機器2を載置面12aに置くことが要求される。この要求は、ユーザにとって厳しいことも多い。NFC通信範囲の実力値は規格による範囲よりも大きいことも多く、電子機器2が規格による範囲外にあってもNFC通信は可能となりうるが、高い伝送効率での電力伝送を実現するためには機器1及び2の位置関係を基準配置状態に近づけることが肝要であり、載置面12aのどのあたりを狙って電子機器2を置けば良いかを支援するような仕組みの導入が切望される。尚、電子機器2の載置位置を所望位置に導くべく、給電台12に窪みを設けておく方法や電子機器2の外形枠ガイドを給電台12に記しておく方法も考えられるが、それらの方法は、電子機器2が一定の外形形状を持っていることが前提となるため、様々な外形形状の電子機器2が非接触給電システムの構成要素になりうることを考慮すれば汎用性に欠ける。
そこで、本実施形態に係る非接触給電システムでは、まず図33に示す如く、給電機器1の載置面12a上に所定の誘導マークMKを付与しておく。誘導マークMKは、誘導マークMKが印刷された樹脂シールを載置面12aに張り付けることで付与されても良いし、誘導マークMKを載置面12aに直接印刷することで付与されても良い。或いは、誘導マークMKの刻印を載置面12aに設けることで誘導マークMKが載置面12aに付与されても良い。後述のカメラ部による撮影画像上において誘導マークMKが識別可能となる限り、誘導マークMKはどのようなマークであっても良く、互いに分離した複数のマークによって誘導マークMKが形成されていても良い。ここでは、誘導マークMKは、X軸方向に沿って並ぶ文字マーク“N”及び“W”と、文字マーク“N”及び“W”を囲む長方形マークとで構成されているものとする。
送電側コイルTLの配置位置との関係において誘導マークMKの付与位置が決定されている。つまり、送電側コイルTLの配置位置に基づいて決定された、載置面12a上の所定位置に誘導マークMKが付与されているものとする。基準配置状態の実現に寄与すべく、送電側コイルTLの位置を電子機器2の知らしめる機能を誘導マークMKに持たせるためである。
図34(a)及び(b)に、誘導マークMKの中心位置620、及び、送電側コイルTLの中心の載置面12aへの投影位置630を示す。給電機器1の筐体としての機能する給電台12の内部に送電側コイルTLが配置及び固定されるが、送電側コイルTLの中心をZ軸に沿って載置面12aへ投影した点の位置が投影位置630に相当する。誘導マークMKの位置から電子機器2が送電側コイルTLの位置(投影位置630)を認識できるように、実空間上における中心位置620及び投影位置630間の位置関係を特定する情報を電子機器2に与えておくと良い。位置620及び630は互いに異なっていても良いし、互いに一致していても良い。
図35(a)は、本実施形態で想定される電子機器2の外観斜視図であり、図35(b)は、電子機器2の側面図である。図35(b)では、電子機器2の構成部品の内、電子機器2の筐体上又は筐体内に設置される、受電側コイルRL、カメラ部25及び表示画面26のみを破線にて示している。図35(c)は、電子機器2の一部機能ブロック図である。電子機器2は、カメラ部25、表示画面26、スピーカ部27及び制御部28を備える。カメラ部25、表示画面26、スピーカ部27及び制御部28は、機能回路22(図2参照)の構成要素であると考えても良い。
電子機器2の筐体は概略直方体形状を有しており、従って電子機器2の筐体は第1面と第1面に対向する第2面を有している。表示画面26は第1面に設けられ、第1面に正対するユーザは表示画面26を視認できる。カメラ部25は、第2面を起点として第1面から第2面に向かう向きに広がる撮影領域(視野)SRを有している。カメラ部25の光軸は第2面に直交する。第1及び第2面の内、第2面が載置面12aに向けられる。即ち、NFC通信及び電力伝送を行わせるべく、電子機器2を載置面12aに載置したとき、第2面が載置面12aと接することになる。
カメラ部25は、撮影を行うことで撮影画像を表す画像信号(画像データ)を生成及び取得する。より具体的には、カメラ部25は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサからなる撮像素子と、光学系とを含んで構成され、撮影領域SRからの入射光によって表される光学像を光電変換することで、撮影領域SR内の被写体の光学像を撮影画像として得る。ここでは、撮影領域SR内の被写体に、載置面12a及び誘導マークMKが含まれているものとする。カメラ部25の撮影画像は、水平及び垂直方向の夫々に複数の画素が配列された二次元画像である。受電側コイルRL及びカメラ部25は受電機器2の筐体の第1及び第2所定位置に固定設置され、受電側コイルRLとカメラ部25の位置関係(より詳細には受電側コイルRLの中心とカメラ部25の光学中心又は撮像素子の中心との位置関係)は、予め定まっている。
表示画面26は、液晶ディスプレイパネル等から成り、制御部28の制御の下、カメラ部25の撮影画像を含む任意の画像を表示する。スピーカ部27は、制御部28の制御の下、任意の音響信号を音として出力する。制御部28は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などから成り、各種の演算処理を実行すると共に、電子機器2内の各部位の動作を統括的に制御する。制御部28は制御回路250(図28参照)に含まれると解するようにしても良い。
[報知処理を含む誘導処理]
離間状態を起点として電子機器2を載置面12aに近づけてゆく際、制御部28は、予め自身のROMに記憶されている誘導プログラムを起動させ、該誘導プログラムに従う誘導処理を行うことできる。
誘導プログラムの起動は、電子機器2のユーザの指示に従って行われても良い。即ち例えば、電子機器2のユーザが電子機器2の操作部に対して所定操作を入力したとき、その入力に応答して誘導プログラムが起動しても良い。操作部は、電子機器2に設けられた図示されないボタン等にて形成されていても良いし、タッチパネルとして形成された表示画面26が操作部として機能しても良い。給電機器1は電力伝送を行っていないとき、図29の問い合わせ信号510を周期的に送信しており、離間状態を起点として電子機器2を載置面12aに或る程度近づけると、問い合わせ信号510が電子機器2にて受信される。制御部28は、問い合わせ信号510の受信を契機として、ユーザの指示に依らず、誘導プログラムを起動させるようにしても良い。光学的又は電子的に撮影画角が所定の画角範囲内で可変となるようにカメラ部25が形成されている場合、誘導処理の実行の際には、誘導マークMKが撮影領域SR内に収まりつづけやすくなるように、撮影画角を上記画角範囲の最大画角に固定すると良い。
図36は、誘導処理のフローチャートである。誘導処理では、ステップS231〜S233の処理が繰り返し実行される。ステップS231において、カメラ部25は、誘導マークMKの撮影画像を取得する。ステップS231で取得された撮影画像を含む以下の説明における各撮影画像は、特に記述無き限り、電子機器2が載置面12aに載置される前に取得された撮影画像であって且つ誘導マークMKが撮影領域SR内に収められた状態での撮影画像(即ち誘導マークMKの画像信号を含んだ画像信号による撮影画像)であるものとする。また、電子機器2の筐体における第2面は載置面12aに平行であり、従って、カメラ部25の光軸は載置面12aに直交しているものとする。
続くステップS232において、制御部28は、ステップS231にて得られた撮影画像の画像信号に基づき、当該撮影画像上における誘導マークMKを検出する。この検出には、当該撮影画像上における誘導マークMKの位置[p,q]及び大きさSIZEの検出が含まれる。位置[p,q]は、撮影画像上における誘導マークMKの中心位置(中心座標)を表す。撮影画像上の誘導マークMKの大きさSIZEとは、撮影画像において誘導マークMKの画像信号が存在する領域の大きさであって、当該領域に属する画素数にて表現される。制御部28は、誘導マークMKの画像であるテンプレート画像を予め保持しており、テンプレート画像を用いたテンプレートマッチングにより、ステップS232の検出を実現できる。
続くステップS233において、制御部28は、ステップS232での検出結果に応じた報知をユーザに行うための報知処理を実行する。報知処理では、機器1及び2間の位置関係の調整に関する指標が報知されるが、詳細については後述する。ステップS233の後、ステップS231に戻り、最新の撮影画像に基づくステップS231〜S233の処理が繰り返される。尚、カメラ部25は、所定のフレーム周期で撮影画像を順次取得する。
図37(a)、(b)に、電子機器2及び載置面12a間の距離d(より詳細には、電子機器2の筐体における第2面と載置面12aとの間の距離)が比較的大きいとき、比較的小さいときに得られた撮影画像の例を示す。尚、撮影画像を示す図面上では、撮影画像の縦横比が約5:3であると仮定し、誘導マークMKを除く載置面12aの画像領域をドット領域で表している。比較的大きな距離dに対応する図37(a)の撮影画像には、載置面12aの外形の像が含まれているが、比較的小さな距離dに対応する図37(b)の撮影画像には、載置面12aの外形の像が含まれていない。撮影画像は、画像空間上の水平方向に平行なP軸及び垂直方向に平行なQ軸の夫々に沿って複数の画素が配列されることで形成され、位置[p,q]におけるp、qは、夫々、P軸方向、Q軸方向の座標値を表している。
実空間上における誘導マークMKの大きさ及びカメラ部25の撮影パラメータ(カメラ部25の撮影画角及び焦点距離、撮像素子のサイズ及び有効画素数など)に基づけば、撮影画像上の誘導マークMKの大きさSIZEから電子機器2及び載置面12a間の距離d(より詳細には、電子機器2の筐体における第2面と載置面12aとの間の距離)が求まる。
制御部28は、撮影画像上の誘導マークMKの大きさSIZEと電子機器2及び載置面12a間の距離dとの関係を規定する、所定の演算式又は予め用意されたテーブルデータに基づき、大きさSIZEを距離dに変換することで距離dを判定し、判定距離dに基づき、撮影画像上における誘導マークMKの理想的な中心位置である理想中心位置[pO,qO]を特定する。例えば、図38に示すようなテーブルデータを制御部28のROMに予め保持させておけば良い。図38のテーブルデータでは、“1≦i≦n”を満たす各整数iについて、撮影画像上の誘導マークMKの大きさSIZEiと、電子機器2及び載置面12a間の距離diと、撮影画像上における誘導マークMKの理想中心位置[pOi,qOi]とが互いに対応付けられている(nは2以上の整数)。図38のテーブルデータを用いれば、撮影画像上の誘導マークMKの大きさSIZEiから距離di及び理想中心位置[pOi,qOi]が特定される。大きさSIZE1〜SIZEnは、互いに異なる第1〜第nの大きさSIZEであり、距離d1〜dnは、互いに異なる第1〜第nの距離dである。理想中心位置[pO1,qO1]〜[pOn,qOn]は、大きさSIZE1〜SIZEnに対応し且つ距離d1〜dnに対応する第1〜第nの理想中心位置[pO,qO]である。尚、検出された誘導マークMKの大きさSIZEが大きさSIZEiと大きさSIZEi+1との間の大きさである場合には、距離di及びdi+1に基づく補間処理並びに位置[pOi,qOi]及び[pOi+1,qOi+1]に基づく補間処理にて、距離d及び理想中心位置[pO,qO]を特定すれば良い。
撮影画像上における誘導マークMKの理想中心位置について説明を加える。図39、図40は、夫々、互いに分離して配置された給電機器1及び電子機器2の側面図(X軸方向から見た図)及び斜視図である。但し、便宜上、図39では、送電側コイルTL及び受電側コイルRLを破線にて表しており、図40では、送電側コイルTLのみを破線にて表している。図39及び図40において、位置630は、図34(b)に示したものと同じ、送電側コイルTLの中心の載置面12aへの投影位置(以下、送電側コイル投影位置と称することがある)を表し、位置640は、受電側コイルTLの中心の載置面12aへの投影位置(以下、受電側コイル投影位置と称することがある)を表す。ここでは、誘導マークMKの中心位置620と送電側コイル投影位置630はX軸に平行な直線上に並んでいて、送電側コイル投影位置630から見てX軸の負の向きに所定距離だけ離れた位置に誘導マークMKの中心位置620があるものとする。領域631は、送電側コイル投影位置630に基づいて定まる、載置面12aの所定領域(以下、目標配置領域と称することがある)であって、目標配置領域631の中心位置は送電側コイル投影位置630と同じである。
受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まった状態で電子機器2が載置面12aに載置されているとき、機器1及び2間のNFC通信が確実に可能になると共に、所定値以上の伝送効率にて電力伝送が可能となる。受電側コイル投影位置640が送電側コイル投影位置630と一致している状態で電子機器2が載置面12aに載置されているとき、上述の基準配置状態が実現され、コイルTL及びRL間の結合効率が最大化されて電力伝送の伝送効率も最大化される。図32を用いて説明した規格に従えば、目標配置領域631は半径10mmの円形領域となる。但し、目標配置領域631の形状及び大きさは、これに限定されない。
撮影画像上における誘導マークMKの理想中心位置[pO,qO]は、投影位置630及び640が一致しているときにおける撮影画像上の誘導マークMKの中心位置を表す。実空間上における誘導マークMKの中心位置620及び送電側コイル投影位置630間の位置関係を示す情報、受電側コイルRLの中心とカメラ部25の光学中心又は撮像素子の中心との位置関係を示す情報、及び、カメラ部25の撮影パラメータ(カメラ部25の撮影画角及び焦点距離、撮像素子のサイズ及び有効画素数など)を示す情報を含む既知情報を制御部28に予め与えておくことでき、制御部28は、既知情報を利用して、距離d1〜dnの夫々に対する理想中心位置[pO,qO]を特定することができる。
誘導処理では、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まることが促されるように、理想的には送電側コイル投影位置630と一致することが促されるように報知処理(図36のステップS233)が行われる。
つまり、誘導処理において、制御部28は、撮影画像の画像信号に基づき撮影画像上の誘導マークMKの位置[p,q]及び大きさSIZEを検出し、検出した大きさSIZEから理想中心位置[pO,qO]を特定した後、検出した位置[p,q]と特定した理想中心位置[pO,qO]とに基づく報知処理(図36のステップS233)を実行する。報知処理では、機器1及び2間の位置関係の調整に関する指標(以下、位置関係調整用指標と称する)が報知される。位置関係調整用指標の報知とは、位置関係調整用指標の明示及び示唆を含む。本明細書において、報知とは、非接触給電システムのユーザに対する報知である。報知は、ユーザの五感に訴える形態の報知であれば良く、例えばスピーカ部27を用いた音声出力による報知であっても良いが、少なくとも表示画面26を用いた表示による報知を含んでいると良い。
位置関係調整用指標に関わる機器1及び2間の位置関係とは、載置面12aに平行な面内(載置面12aに平行な方向)における機器1及び2間の位置関係を指す。以下の説明において、機器1及び2間の位置関係とは、載置面12aに平行な面内(載置面12aに平行な方向)における機器1及び2間の位置関係を指すと考えて良い。
位置関係調整用指標の一種としての必要移動方向(必要移動方向指標)とは、受電側コイル投影位置640を目標配置領域631内に収めるための(より詳細には例えば送電側コイル投影位置630に一致させるための)、従って電力伝送を可能とするための、給電機器1から見た電子機器2の必要移動方向を指す。つまり、必要移動方向は、受電側コイル投影位置640を目標配置領域631内に収めて(理想的には送電側コイル投影位置630に一致させて)電力伝送を可能とするために、給電機器1の位置を基準として電子機器2が移動せしめられるべき向き(XY面上の向き)を表す。必要移動方向の報知は、必要移動方向を示す矢印画像及び/又は文字画像の表示画面26への表示を含み(図41参照)、必要移動方向を示す音声のスピーカ部27からの出力を含みうる。必要移動方向の報知に関し、表示画面26での画像の表示は視覚に対する報知であり、スピーカ部27からの音声出力は聴覚に対する報知である(他の任意の報知についても同様)。
制御部28にとって、空間上における誘導マークMKの中心位置620及び送電側コイル投影位置630間の位置関係を示す情報、受電側コイルRLの中心とカメラ部25の光学中心又は撮像素子の中心との位置関係を示す情報、及び、カメラ部25の撮影パラメータ(カメラ部25の撮影画角及び焦点距離、撮像素子のサイズ及び有効画素数など)を示す情報は既知であるので、それらの情報と、撮影画像上の誘導マークMKの検出位置[p,q]及び理想中心位置[pO,qO]に基づき、必要移動方向が定まる。
より具体的には例えば、図42(a)〜(d)を参照し、撮影画像上の誘導マークMKの検出位置[p,q]が理想中心位置[pO,qO]から見てQ軸の正の向き、Q軸の負の向き、P軸の正の向き、P軸の負の向きにずれているとき、必要移動方向が、夫々、右、左、後、前であることが、上述の既知情報に基づき予め定まっているものとする。そうすると、撮影画像上の誘導マークMKの検出位置[p,q]が理想中心位置[pO,qO]から見てQ軸の正の向き、Q軸の負の向き、P軸の正の向き、P軸の負の向きにずれていることが分かったならば、制御部28は、夫々、右、左、後、前の必要移動方向を報知すれば良い。ここで、右、左、後、前とは、夫々、Y軸の正の向き、Y軸の負の向き、X軸の正の向き、X軸の負の向きに一致する(図40も参照)。ここにおける前後左右は、表示画面26及び載置面12aに正対して表示画面26を見るユーザから見た前後左右に相当する。但し、当該ユーザにとって、送電側コイル投影位置630から誘導マークMKの中心位置620に向かう向きが前の向きであるとする。
尚、ここでは、以下の基準撮影条件にて撮影画像の取得が行われていることを想定している。基準撮影条件では、撮影画像上において、誘導マークMK中の文字マーク“N”及び“M”の各中心がP軸に沿って並んでいて且つ文字マーク“N”が文字マーク“M”から見てP軸の負側に位置している。基準撮影条件では、撮影画像上における誘導マークMKの傾きはゼロである。仮に、基準撮影条件を起点としてカメラ部25の光軸周りに電子機器2が回転しているならば、その回転の向き及び回転角を、撮影画像上での誘導マークMKの傾きの向き及び大きさから検出し、その検出結果をも考慮して必要移動方向を決定すれば良い。
また、図43に示す如く、送電側コイル投影位置630及び受電側コイル投影位置640を互いに一致させているとき、誘導マークMKの中心位置620がカメラ部25の光軸上にのるように機器1及び2が形成されていても良い。この場合には、撮影画像上の誘導マークMKの中心位置[p,q]が撮影画像の中心にあるときに投影位置630及び640が重なり合うことになるため、距離dに関係なく、常に理想中心位置[pO,qO]は撮影画像の中心と一致することになる(故に、理想中心位置[pO,qO]を定めるための大きさSIZEの検出は必須ではなくなる)。
誘導処理において、制御部28は、撮影画像上の誘導マークMKの検出結果(位置[p,q]の検出結果、又は、位置[p,q]及び大きさSIZEの検出結果)に基づき、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっているか否かを判断し、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっていないと判断される場合には上述の如く必要移動方向の報知を行う一方、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっていると判断される場合には、必要移動方向(必要移動方向指標)の報知と異なる、所定の調整良好指標の報知を行うと良い。調整良好指標も、機器1及び2間の位置関係の調整に関する指標(位置関係調整用指標)の一種であると解して良い。
調整良好指標は、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっていることを示す指標である。故に、調整良好指標が報知されたとき、電子機器2をそのまま載置面12aに向かって垂直に下せば、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まった状態で電子機器2が載置面12aに載置されることになる。調整良好指標の報知は、機器1及び2間の位置関係が良好であることや機器2をそのまま載置面12aへおろして良いことを示す所定画像の表示画面26への表示を含み(図44参照)、機器1及び2間の位置関係が良好であることや機器2をそのまま載置面12aへおろして良いことを示す所定音声のスピーカ部27からの出力を含みうる。
実空間上における誘導マークMKの中心位置620と送電側コイル投影位置630及び目標配置領域631との間の位置関係を示す情報、受電側コイルRLの中心とカメラ部25の光学中心又は撮像素子の中心との位置関係を示す情報、及び、カメラ部25の撮影パラメータ(カメラ部25の撮影画角及び焦点距離、撮像素子のサイズ及び有効画素数など)を示す情報を含む既知情報を制御部28に予め与えておくことでき、制御部28は、その既知情報を利用して、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631に収まっているときに、撮影画像上において位置[p,q]が属すべき画像領域Aを特定できる。画像領域Aは、理想中心位置[pO,qO]が属する領域であって、距離d1〜dnの夫々に対して特定される。通常、画像領域Aは理想中心位置[pO,qO]を中心に持つ円形画像領域であって、画像領域Aの大きさは距離dが小さくなるほど大きくなる。制御部28は、撮影画像上の誘導マークMKの検出位置[p,q]が、所定の画像領域Aに属しているか否かを判断することで、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっているか否かを判断することができる。
或いは例えば、制御部28は、撮影画像上における誘導マークMKの検出位置[p,q]と理想中心位置[pO,qO]との距離を求め、撮影画像上において当該距離が所定値以下であるか否かを判断することで、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっているか否かを判断するようにしても良い。ここにおける所定値は機器1及び2間の距離dに依存する。
機器1及び2間の位置関係の調整に関する指標(位置関係調整用指標)の形態は任意であって良い。例えば、図45(a)及び(b)に示す如く、誘導処理において、制御部28は、所定の基準枠画像671を表示画面26に表示すると共に、撮影画像上における誘導マークMKの検出結果に応じた調整枠画像672を表示画面26に表示するようにしても良い。基準枠画像671は表示画面26の所定位置に固定表示されるが、調整枠画像672の表示位置は、撮影画像上における誘導マークMKの検出結果に応じ可変する。
具体的には例えば、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっていないと判断されていて且つ必要移動方向が右、左、後、前であるならば、調整枠画像672を基準枠画像671から見て、夫々、右、左、後、前側にシフトさせた位置に表示させる(図45(a)参照)。この際、制御部28は、撮影画像上における誘導マークMKの検出位置[p,q]と理想中心位置[pO,qO]との距離が増大するにつれて上記シフトの量を増大させると良い。受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっていると判断される場合には、表示画面26上において基準枠画像671と調整枠画像672とを重ねあわせる表示を行う又は基準枠画像671内に調整枠画像672を収める表示を行う(図45(b)参照)。
電子機器2のユーザは、シューティングゲームを行っているかのような感覚で、表示画面26上で基準枠画像671と調整枠画像672とが重なり合うように又は基準枠画像671内に調整枠画像672が収まるように、電子機器2のX軸又はY軸方向への位置調整を行うことになる。受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっていないと判断されている場合において調整枠画像672を基準枠画像671から見て右、左、後又は前側にシフトさせた位置に表示させることは、必要移動方向(必要移動方向指標)の報知に相当し、受電側コイル投影位置640が目標配置領域631内に収まっていると判断されている場合において基準枠画像671と調整枠画像672とを重ねあわせて表示すること又は基準枠画像671内に調整枠画像672を表示することは、調整良好指標の報知に相当する。
誘導処理の開始後、電子機器2が載置面12aに相当程度に近づいて電子機器2及び載置面12a間の距離dが一定距離以下になると、撮影画像がぼけて又は誘導マークMKの一部若しくは全部が撮影領域SRに収まらなくなって、撮影画像から誘導マークMKを検出不可となる。この検出不可の状態が所定時間(例えば数100ミリ秒)以上継続したとき、制御部28は誘導処理を終える。或いは例えば、誘導処理の開始後、電子機器2が載置面12aに相当に近づいて撮影画像における誘導マークMKの大きさSIZEが所定の大きさ以上になったときに誘導処理を終えるようにしても良い。
[第2報知処理]
制御部28は、誘導処理の開始前又は誘導処理の実行中において、NFC通信回路220による問い合わせ信号510又は認証信号550(図29参照)の受信が確認された際、例えば、誘導処理の終了後に応答信号520又は560の送信が行われるようにNFC通信回路220を制御すると良い。つまり、制御部28は、誘導処理の開始後、所定の終了条件が成立すると誘導処理を終了し、誘導処理の終了後にNFC通信回路220を用いて応答信号520又は560を給電機器1に送信すると良い。給電機器1では、応答信号520又は560の受信を経ないと電力伝送570が開始されないため(図29参照)、誘導処理の終了前において送電の実行が制限されることになる。誘導処理を通じて機器1及び2間の位置関係の適正化が担保されるため、その担保の後に電力伝送570が行われることが望ましいが、誘導処理の終了を待ってから送電を行うようにすることで当該担保が促進される。また、機器1及び2間の位置関係の適正化が不十分であると電力伝送時に送電回路130からの出力が不要輻射として放出される可能性があるが、誘導処理の終了を待ってから送電を行うようにすることで当該可能性が低くなることが期待される。以下では、例として、誘導処理の開始前又は誘導処理の実行中において、NFC通信回路220による問い合わせ信号510(図29参照)の受信が確認された際、制御部28は、誘導処理の終了後に応答信号520の送信が行われるようにNFC通信回路220を制御すると考える。制御部28は、応答信号520の送信後、電力伝送570が開始されるまでの間に、以下の第2報知処理を行うことができる。制御部28は、第2報知処理を、電子機器2が既に載置面12a上に置かれている状態でも実行できる。
第2報知処理では、給電機器1にて生成される電流振幅情報が利用される。給電機器1(例えばIC100)には、図46に示すような、送電側コイルTLに流れる電流の振幅(以下、送電側コイルTLの電流振幅とも称する)を検出する電流振幅検出回路140Aが設けられている。例えば、送電側コイルTLに直列接続され、送電側コイルTLに流れる電流と同じ電流が流れるセンス抵抗141Aと、センス抵抗141Aの電圧降下の信号の包絡線を検波する包絡線検波器142Aと、その検波された信号を増幅する増幅器143Aと、その増幅された信号をデジタル信号に変換するA/D変換器144Aとで電流振幅検出回路140Aを形成することができる。A/D変換器144Aの出力デジタル値VDは、送電側コイルTLの電流振幅を表すことになる。
給電機器1では、電力伝送570の開始前において、NFC通信のために、NFC通信回路120が所定振幅を有し且つ基準周波数の交流電圧を共振回路TTに供給し、これによって送電側コイルTLにて通信用磁界を発生させる。そして、制御回路160は、応答信号520の受信後且つ電力伝送570の開始前において、通信用磁界を送電側コイルTLに発生させているとき、A/D変換器144Aの出力デジタル値VDに基づき、送電側コイルTLの電流振幅を表す電流振幅情報を周期的に生成及び取得し、取得した電流振幅情報をNFC通信回路120を用いてNFC通信により電子機器2に対し周期的に送信することができる。この電流振幅情報は認証信号550(図29参照)に含められても良い。
制御部28は、NFC通信を介して給電機器1から受信した電流振幅情報に応じ、第2報知処理を行うことができる。磁界を発生させる送電側コイルTLにとって、受電側コイルRLのような、送電側コイルTLと磁気結合するコイルは、負荷であると考えることができ、その負荷の大きさに依存して、送電側コイルTLの電流振幅は変化する。具体的には、コイルTL及びRL間の磁気結合の度合いが大きくなるにつれて送電側コイルTLの電流振幅は減少する。故に、電流振幅情報に基づけば、機器1及び2間の位置関係が適正か否か等を判断することができる。
具体的には例えば、制御部28は、第2報知処理において、機器1及び2間の位置関係が適正か否かを報知すると良い。制御部28は、電流振幅情報にて示される送電側コイルTLの電流振幅IAMPを所定振幅と比較し、送電側コイルTLの電流振幅IAMPが所定振幅以下であれば機器1及び2間の位置関係が適正であると判断して、その旨を示す所定の適正用画像の表示画面26への表示及び/又はその旨を示す所定の適正用音声のスピーカ部27からの出力を行い、一方、送電側コイルTLの電流振幅IAMPが所定振幅より大きければ機器1及び2間の位置関係が適正でないと判断して、その旨を示す所定の非適正用画像の表示画面26への表示及び/又はその旨を示す所定の非適正用音声のスピーカ部27からの出力を行うと良い。
制御部28は、NFC通信回路220にて認証信号550が受信された後、電流振幅情報に基づき機器1及び2間の位置関係が適正であると判断されるまで、NFC通信回路220による応答信号560の送信を制限(禁止)するようにしても良い。これにより、電流振幅情報に基づき機器1及び2間の位置関係が適正であると判断された後に電力伝送570が行われるため、適正状態での電力伝送570が担保される。但し、NFC通信回路220にて認証信号550が受信されたならば、機器1及び2間の位置関係が適正であるか否かの判断結果に依存せず、速やかに、応答信号560を給電機器1に送信するようにしても良い。制御部28は、応答信号560の送信後、第2報知処理を終えて良い。
或いは例えば、制御部28は、第2報知処理において、機器1及び2間の位置関係の適正レベルを3段階以上に分類して報知するようにしても良い。機器1及び2間の位置関係の適正レベルを3段階に分類して報知する場合の例を説明する。表示画面26に、互いに異なる第1、第2及び第3の長さのバー画像の何れかを選択的に表示可能にしておく。第1〜第3の長さの内、第1の長さが最も短く且つ第3の長さが最も長い。第1、第2、第3の長さのバー画像の表示は、機器1及び2間の位置関係の適正レベルが、夫々、第1、第2、第3のレベルであることを示している。該適正レベルに関し、第1〜第3のレベルの内、第1のレベルが最も低く、第3のレベルが最も高い。
制御部28は、電流振幅情報にて示される送電側コイルTLの電流振幅IAMPを所定の第1基準振幅REF1及び第2基準振幅REF2の夫々と比較する(0<REF1<REF2)。そして、制御部28は、“IAMP≦REF1”の成立時には、機器1及び2間の位置関係の適正レベルが第3のレベルであると判断して第3の長さのバー画像を表示画面26に表示させ、“REF1<IAMP≦REF2”の成立時には、機器1及び2間の位置関係の適正レベルが第2のレベルであると判断して第2の長さのバー画像を表示画面26に表示させ、“REF2<IAMP”の成立時には、機器1及び2間の位置関係の適正レベルが第1のレベルであると判断して第1の長さのバー画像を表示画面26に表示させる。
制御部28は、NFC通信回路220にて認証信号550が受信された後、電流振幅情報に基づき機器1及び2間の位置関係の適正レベルが所定レベル以上であると判断されるまで、NFC通信回路220による応答信号560の送信を制限(禁止)するようにしても良い。所定レベルは第2又は第3レベルであり、第1レベルを含まない。これにより、電流振幅情報に基づき機器1及び2間の位置関係が第2レベル又は第3レベルであると判断された後に電力伝送570が行われるため、比較的良好な伝送効率での電力伝送570が担保される。但し、NFC通信回路220にて認証信号550が受信されたならば、機器1及び2間の位置関係の適正レベルの判断結果に依存せず、速やかに、応答信号560を給電機器1に送信するようにしても良い。制御部28は、応答信号560の送信後、第2報知処理を終えて良い。
尚、制御部28による第2報知処理を、給電機器1に設けられた給電側制御部にて行うようにしても良い。ここにおける給電側制御部は、制御回路160(図27参照)であると考えても良いし、制御回路160とは別の制御部であると考えても良い。給電側制御部にて第2報知処理を行う場合、表示画面26及びスピーカ部27と同等の表示画面及びスピーカ部を給電機器1に設けておき、給電側制御部が、電流振幅情報に基づく第2報知処理における各種報知を、表示画面26及びスピーカ部27の代わりに給電機器1の表示画面及びスピーカ部を用いて行えば良い。
例えば、給電側制御部は、第2報知処理において、機器1及び2間の位置関係が適正か否かを報知することでき、機器1及び2間の位置関係が適正か否かの判断方法、及び、その判断結果に基づく報知の内容は上述した通りである。この際、給電側制御部は、電流振幅情報に基づき機器1及び2間の位置関係が適正であると判断されるまで、電力伝送570の開始を制限(禁止)するようにしても良い。これにより、適正状態での電力伝送570が担保される。但し、NFC通信回路120にて応答信号560が受信されたならば、機器1及び2間の位置関係が適正であるか否かの判断結果に依存せず、速やかに、電力伝送570を開始するようにしても良い。給電側制御部は、応答信号560の受信後、電力伝送570の開始前に、第2報知処理を終えて良い。
或いは例えば、給電側制御部は、第2報知処理において、機器1及び2間の位置関係の適正レベルを3段階以上に分類して報知するようにしても良く、機器1及び2間の位置関係の適正レベルの判断方法、及び、その判断結果に基づく報知の内容は上述した通りである。この際、給電側制御部は、電流振幅情報に基づき機器1及び2間の位置関係の適正レベルが所定レベル以上であると判断されるまで、電力伝送570の開始を制限(禁止)するようにしても良い。所定レベルは第2又は第3レベルであり、第1レベルを含まない。これにより、比較的良好な伝送効率での電力伝送570が担保される。但し、NFC通信回路120にて応答信号560が受信されたならば、機器1及び2間の位置関係の適正レベルの判断結果に依存せず、速やかに、電力伝送570を開始するようにしても良い。給電側制御部は、応答信号560の受信後、電力伝送570の開始前に、第2報知処理を終えて良い。
また、給電機器1は、電子機器2における機能回路22の機能と同等の機能を実現できる電子機器の一種であっても良い。即ち例えば、給電機器1及び電子機器2の夫々は、携帯電話機(スマートホンに分類される携帯電話機を含む)であっても良く、この場合、2台の携帯電話機の間でNFCによる電力伝送が行われることになる。
尚、図46に示した電流振幅検出回路140Aは、第1実施形態で説明した図7の負荷検出回路140であっても良い。
<<本発明の第2考察>>
上述の各実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明の一側面に係る非接触給電システムW2は、電力を送電するための送電側コイル(TL)を含む送電側共振回路(TT)を有した送電装置及び前記電力を受電するための受電側コイル(RL)を含む受電側共振回路(RR)を有した受電装置を備え、磁界共鳴方式で前記電力の送受電が可能な非接触給電システムW1において、前記送電装置は、前記電力の送受電の際に前記受電装置が載置されるべき載置面(12a)を備え、前記送電側コイルの配置位置に基づく、前記載置面上の所定位置に、所定のマーク(MK)が付与され、前記受電装置は、撮影を行うカメラ部(25)と、前記受電装置が前記載置面に載置される前に、前記マークの撮影により得られた撮影画像上において前記マークを検出し前記マークの検出結果に応じた特定報知を行う制御部(28)と、を備えたことを特徴とする。
送電側コイルの配置位置に基づく載置面上の所定位置にマークを付与しておき、受電装置において、マークを撮影した撮影画像上でマークを検出すれば、その検出結果から、カメラ部と送電側コイルとの位置関係が分かり、ひいては、受電装置において当然にカメラ部と所定の位置関係にある受電側コイルと送電側コイルとの位置関係が分かる。故に、マークの検出結果に応じた特定報知において、送電装置及び受電装置間の位置関係を電力の送受電に適した位置関係にすることを支援するような報知を行うことが可能となり、良好な送受電の実現が支援される(受電装置の載置位置の適正化が支援される)。
具体的には例えば、非接触給電システムW2に関し、前記制御部は、前記撮影画像上における前記マークの検出結果に基づき、前記特定報知において、前記載置面に平行な面内における、前記送電装置及び前記受電装置間の位置関係の調整に関する報知を行うと良い。
より具体的には例えば、非接触給電システムW2に関し、前記位置関係の調整に関する報知は、前記載置面に平行な面内における、前記電力の送受電を行うための、前記送電装置を基準とした前記受電装置の必要移動方向の報知を含んでいると良い。
これにより、載置面に平行な面内における送電装置及び受電装置間の位置関係の調整が必要であるとユーザに認識させることができると共に該位置関係を電力の送受電に適した位置関係にすることが支援される。
更に具体的には例えば、非接触給電システムW2に関し、前記受電側コイルの中心の前記載置面への投影位置(640)が前記送電側コイルの配置位置に基づく前記載置面上における所定領域(631)内に収まるように前記受電装置が前記載置面上に載置されているとき、前記電力の送受電が可能であり、前記位置関係の調整に関する報知は、前記投影位置を前記所定領域内に収めるための、前記必要移動方向の報知を含んでいると良い。
そして例えば、非接触給電システムW2に関し、前記制御部は、前記撮影画像上における前記マークの検出結果に基づき、前記投影位置が前記所定領域内に収まっているか否かを判断し、前記投影位置が前記所定領域内に収まっていない場合、前記必要移動方向を報知する一方、前記投影位置が前記所定領域内に収まっている場合、前記必要移動方向の報知と異なる所定の報知を行うと良い。
これにより例えば、投影位置が所定領域内に収まっていないときには、必要移動方向の報知により載置面に平行な面内における送電装置及び受電装置間の位置関係の調整が必要であるとユーザに認識させることができると共に該位置関係を電力の送受電に適した位置関係にすることが支援される。投影位置が所定領域内に収まっているときには、所定の報知により該位置関係が電力の送受電に適した位置関係であるとユーザに認識させることができる。
また例えば、非接触給電システムW2に関し、前記送電装置では、前記制御部による前記特定報知を行うための所定の処理(誘導処理)の終了前において前記送電の実行が制限されると良い。
具体的には例えば、非接触給電システムW2に関し、前記撮影画像上における前記マークの検出結果は、前記撮影画像上における前記マークの位置の検出結果を含んでいると良い。
また具体的には例えば、非接触給電システムW2に関し、前記受電装置は表示画面(25)を備え、前記特定報知は前記表示画面での表示を含んでいると良い。
また具体的には例えば、非接触給電システムW2に関し、前記受電装置における筐体は第1面と前記第1面に対向する第2面とを有し、前記表示画面は前記第1面に設けられ、前記カメラ部は、前記第2面を起点として前記第1面から前記第2面に向かう向きに広がる撮影領域(SR)を有していると良い。
また例えば、非接触給電システムW2に関し、前記送電装置は、前記送電側共振回路への交流電圧の供給により前記送電側コイルに所定の磁界を発生させているときにおける前記送電側コイルの電流振幅情報を取得し、前記制御部は、通信を介し前記送電装置から受信した前記電流振幅情報に応じて第2特定報知を行うようにしても良い。
電流振幅情報から送電側コイル及び受電側コイル間の磁気結合の度合いを推定することができる。故に、電流振幅情報に応じた第2特定報知を行いうるようにしておくことで、送電装置及び受電装置間の位置関係が適正か否か等をユーザに知らしめることが可能となり、必要に応じて該位置関係の調整をユーザに促すといったことが可能となる。
この際例えば、非接触給電システムW2に関し、前記制御部は、前記第2特定報知において、前記送電装置及び前記受電装置間の位置関係が適正か否かを報知しても良い、又は、前記送電装置及び前記受電装置間の位置関係の適正レベルを3段階以上に分類して報知しても良い。
或いは例えば、非接触給電システムW2に関し、前記送電装置は、前記送電側共振回路への交流電圧の供給により前記送電側コイルに所定の磁界を発生させているときにおける前記送電側コイルの電流振幅情報を取得し、前記電流振幅情報に応じた第2特定報知を行うようにしても良い。
電流振幅情報から送電側コイル及び受電側コイル間の磁気結合の度合いを推定することができる。故に、電流振幅情報に応じた第2特定報知を行いうるようにしておくことで、送電装置及び受電装置間の位置関係が適正か否か等をユーザに知らしめることが可能となり、必要に応じて該位置関係の調整をユーザに促すといったことが可能となる。
この際例えば、非接触給電システムW2に関し、前記送電装置は、前記第2特定報知において、前記送電装置及び前記受電装置間の位置関係が適正か否かを報知しても良い、又は、前記送電装置及び前記受電装置間の位置関係の適正レベルを3段階以上に分類して報知しても良い。
尚、上述の各実施形態における給電機器1そのものが本発明に係る送電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における給電機器1の一部が本発明に係る送電装置として機能しても良い。同様に、上述の各実施形態における電子機器2そのものが本発明に係る受電装置として機能しても良いし、上述の各実施形態における電子機器2の一部が本発明に係る受電装置として機能しても良い。
<<変形等>>
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態に適用可能な注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
上述の実施形態では、各種の信号の周波数や共振周波数を、基準周波数としての13.56MHzに設定することを述べたが、13.56MHzは設定の目標値であって、実際の機器における、それらの周波数には誤差が含まれる。
[注釈2]
本発明をNFCの規格に沿って具現化したものを実施形態中に示したため、基準周波数が13.56MHzであると述べたが、基準周波数は13.56MHz以外でも構わない。これに関連するが、本発明が適用される給電機器及び電子機器間の通信及び電力伝送は、NFC以外の規格に沿った通信及び電力伝送であっても良い。
本発明に係る非接触給電システムの基準周波数が13.56MHz以外の周波数(例えば、6.78MHz)に設定されていて且つ非接触ICカードとして形成された異物3における共振回路JJの共振周波数が13.56MHzである場合にも、異物3が給電台12に置かれた際には、pFOD処理又はmFOD処理にて電圧値VDに相応量の変化がみられるため、そのような場合にも、上述の方法により異物3の検出が可能である。
[注釈3]
本発明に係る受電装置又は送電装置である対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なフラッシュメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしてもよい。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。