以下、図面を参照しながら第1〜8実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1に第1実施形態に係る無線電力伝送システムを示す。
図1の無線電力伝送システムは、送電装置(無線電力伝送装置)1と、この送電装置1から、エネルギー(電力)が供給される受電装置(無線電力受信装置)2を有する。
この送電装置1は、受電装置2との間に、または送電装置1の周囲に異物が存在するかどうかを検査し、存在する場合は、電力伝送を行わず、存在しない場合は、電力伝送を行う。異物が存在する場合に伝送を行わないことで、異物の異常な温度上昇の防止、ならびに伝送効率の低下を防止できる。
送電装置1は、第1自己共振コイル(第1コイル)3と、異物検出用第1自己共振コイル(第2コイル)4と、異物検出用第2自己共振コイル(第3コイル)5と、伝送効率測定回路6と、異物検出回路(判定回路)7と、整流回路10と、制御回路11とを備える。送電装置1には商用電源9が外部接続されている。
受電装置2は、第2自己共振コイル(受信装置側コイル)8と、整流回路12と、2次電池13とを有する。
送電装置1の第1自己共振コイル3、および受電装置2の第2自己共振コイル8は、コイルのインダクタ(L)と自己の浮遊容量(C)とによって、所定の周波数(第1周波数)で共振するコイルである。共振周波数は、1/2π(LC)1/2によって決まる。
第1自己共振コイル3および第2自己共振コイル8は、例えば巻き数がn(nは1以上の整数)のコイルである。
第1自己共振コイル3および第2自己共振コイル8の形状は任意でよい。たとえば、円筒形状、四角柱形状、渦巻き形状等が可能である。本実施形態ではこれらのコイル3,8の形状は、円筒形状であるとする。
異物検出用第1自己共振コイル4と異物検出用第2自己共振コイル5は、第1および第2自己共振コイル3,8と同じように、コイルのインダクタと自己の浮遊容量とによって所定の周波数(第2周波数)で共振するコイルである。異物検出用のコイル4の共振周波数の値は、第1自己共振コイル3の共振周波数と十分に離れているものとする。この詳細は後述する。
異物検出用第1自己共振コイル4と異物検出用第2自己共振コイル5は、例えば巻き数がn(nは1以上の整数)のコイルである。
異物検出用第1自己共振コイル4と異物検出用第2自己共振コイル5の形状は任意でよい。たとえば、円筒形状、四角柱形状、渦巻き形状等が可能である。本実施形態ではこれらのコイル4,5の形状は、円筒形状であるとする。
商用電源9は、電力(エネルギー)を供給可能な任意の電源である。商用電源9は、例えば周波数が50Hzの電源である。例えば、電池を商用電源として用いても構わない。図1の例では、商用電源9は、送電装置1に外部から接続されているが、、送電装置1内に備えられていてもよい。
整流回路10は、商用電源9からの交流のエネルギーを直流のエネルギーへ変換する回路である。整流回路10は、任意の回路方式で構成すればよい。たとえば整流回路は、ダイオードなどを用いて構成できる。
制御回路11は、整流回路10からの直流エネルギーを入力として、第1自己共振コイル3の共振周波数と一致する周波数の高周波エネルギー(第1高周波エネルギー)を生成する。制御回路11は、生成した高周波エネルギーを第1自己共振コイル3に供給する。直流のエネルギーを高周波エネルギーへ変換する方法は、任意の方法を用いることが出来、どのような方法を用いてもよい。
制御回路11から第1自己共振コイルへ高周波エネルギーを供給する方法は直接供給でもよいし、間接供給でもよい。
直接供給は、制御回路11と第1自己共振コイル3間を配線接続し、制御回路11で生成されたエネルギーを、第1自己共振コイル3へ直接供給する
間接供給は、磁気結合を利用して、制御回路11で生成されたエネルギーを、第1自己共振コイル3に供給する。
図2に間接供給の一例を示す。
間接供給の場合、制御回路11からの出力は、例えば巻数が1のコイル21に供給される。巻数が1のコイルは、ループである。巻数が1のコイルと、第1自己共振コイル22が近接すると、巻数が1のコイルに供給されたエネルギーが磁気結合によって第1自己共振コイル3へ供給される。第1自己共振コイル3には、供給されたエネルギーに応じた電流が流れる。
直接供給または間接供給により第1自己共振コイル3に電流が流れると、この電流によって磁界が発生する。
受電装置2の第2自己共振コイル8は、第1自己共振コイル3から発生された磁界との結合により、エネルギーを受け取る。すなわち、第1自己共振コイル3に供給された高周波エネルギーの一部が、コイル3,8間の磁気共鳴(電磁結合)により、第2自己共振コイル8に送られる。
受電装置内の整流回路12は、第2自己共振コイル8で受信された高周波のエネルギーを直流のエネルギーへ変換する。整流回路12は、送電装置1の整流回路10と同様に、任意の回路方式で構成すればよい。
2次電池13は、整流回路12から出力される直流のエネルギーを充電する。送電装置1から受信したエネルギーを、2次電池へ充電せずに、電気回路を直接動作させたり、電球を点灯させたりするのに用いてもよい。すなわち、受電装置側での電力の消費方法は問わない。
また制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイル4の共振周波数と一致する周波数の高周波エネルギー(第2高周波エネルギー)を生成する。制御回路11は、生成した高周波エネルギーを、異物検出用第1自己共振コイル4に供給する。
異物検出用第1自己共振コイル4では、制御回路11からの高周波エネルギー供給により電流が流れ、この電流によって磁界が発生する。
異物検出用第2自己共振コイル5は、異物検出用第1自己共振コイル4から発生された磁界との結合により、エネルギーを受け取る。すなわち、異物検出用第1自己共振コイル4に供給された高周波エネルギーの一部が、コイル4,5間の磁気共鳴(電磁結合)により、第2自己共振コイル8に送られる。
伝送効率測定回路6は、制御回路11から異物検出用第1自己共振コイル4へ供給されたエネルギーの大きさと、異物検出用第2自己共振コイル5で受け取られたエネルギーの大きさとを用いて、コイル4,5間の電力の伝送効率を測定する。たとえばコイル5で受け取られたエネルギーの大きさを、コイル4へ供給されたエネルギーの大きさで除算することで、伝送効率を測定する。
異物検出用第1自己共振コイル4へ供給されたエネルギーの大きさは、制御回路11の出力をモニタすることで取得する。ただし、制御回路11から異物検出用第1自己共振コイル4への出力が一定の場合は、この値を事前に伝送効率測定回路6に設定し、モニタすることなく、この設定された値を用いてもよい。また、この値を、伝送効率測定回路6からアクセス可能なレジスタ等の記憶手段に記憶させ、この記憶手段から読み出してもよい。
一方、伝送効率測定回路6は、異物検出用第2自己共振コイル5で受け取られたエネルギーの大きさは、測定によって求めることが出来る。このエネルギーの測定は、任意の方法で行えばよい。例えば、測定は、パワーメータを用いて、行うことが出来る。
異物検出回路7は、伝送効率測定回路6により測定された伝送効率と、閾値(所定の効率)とを比較することにより、コイル3による受電装置2への電力伝送を行うか否かを判定する。すなわち、制御回路11から第1自己共振コイルへ高周波エネルギーを供給するか否かを判定する。
測定された伝送効率が閾値より低ければ、送電装置1および受電装置2間、または送電装置1の近辺に、金属等の異物が存在すると判断し、電力伝送(電送)を行わないことを決定する。
測定された伝送効率が閾値に一致もしくは閾値より大きければ、送電装置1および受電装置2間、または送電装置1の近辺に、金属等の異物は存在しない判断し、電送を行うことを決定する。
図3を用いて、異物検出の原理を説明する。
図の左側の矩形が送電装置のブロックを示し、送電装置内に、異物検出用第1自己共振コイル31、第1自己共振コイル35、異物検出用第2自己共振コイル33が配置されている。また図の右側の矩形が受電装置のブロックを示し、受電装置内に第2自己共振コイル36が設けられている。説明の簡単のため、送電装置および受電装置内の他の要素の図示は省略している。
異物検出用第1自己共振コイル31へ高周波エネルギーが供給されると、送電装置の周囲に磁界が発生する。図示の磁力線32は、このとき発生した磁界を表している。なお磁界はループ状に形成され、実際には、図面に向かって左側にも磁力線が延びている。
磁力線の経路(送電装置および受電装置間、もしくは送電装置の近辺)に異物がない場合は、コイル31で発生した磁界の多くが、異物検出用第2自己共振コイル33で受信される。このときの伝送効率をP1とする。
一方、異物がある場合、たとえば送電装置および受電装置間に異物34が存在する場合は、この異物34によって、磁力線の一部が遮られる。これにより、異物検出用第2自己共振コイル33へ到達する磁力線の本数が、異物が存在しない場合に対して、減少する。この結果、異物検出用第2自己共振コイル33で受信される磁界が小さくなる。このときの伝送効率はP1より小さい。
異物がないときの伝送効率P1に基づき閾値を定め、閾値と、測定した伝送効率を比較する。測定した伝送効率が閾値もしくは閾値より大であれば、異物が存在しないと判断できる。すなわち、受電装置への伝送(第1自己共振コイル3へのエネルギー供給)を行うと決定できる。
一方、測定した伝送効率が閾値未満であれば、異物が存在すると判断できる。すなわち、受電装置への伝送(第1自己共振コイル3へのエネルギー供給)を行わないと決定する。
ここで、閾値は、伝送効率P1と同じ値でもよいし、伝送効率P1よりも小さい値でもよい。例えば、送電装置の設置環境によっては、近くに、机、部屋の床、部屋の壁、などが存在する場合がある。この場合には、周囲環境によって、異物が存在しなくても伝送効率が劣化する場合がある。そこで、閾値として伝送効率P1よりも小さな値を採用することで、伝送効率に大きな影響を与えない異物の検出を阻止できる。すなわち異物の検出精度が向上する。これについて以下さらに詳細に説明する。
送電装置と受電装置の置かれる状況によっては、周囲環境によって、伝送効率に違いが発生する場合がある。例えば、建物の壁の近くに送電装置、あるいは、受電装置を配置した場合を考える。この場合、送電装置と受電装置を含むシステムの周囲に磁力線が発生する。この磁力線が壁の部分に達すると、壁の影響により異物検出用のコイル間の伝送効率が劣化する。つまり、周囲環境に壁が無く、かつ、異物がない状態における伝送効率と、周囲環境に壁があって、かつ、異物がない状態における伝送効率とは、互いに違う値になる。
そこで、異物の無い環境において伝送効率を測定し、この測定値に基づいて閾値を設定すれば、より使用状況に適合した異物検出が、可能になる。例えば、異物の無い環境での伝送効率よりも小さな値を、閾値に設定する。これは、伝送効率に大きな影響を与えない異物を検出したくない場合に有効である。
なお、伝送効率は、伝送距離、伝送電力、伝送周波数など、様々なパラメータによって変るので、閾値を決定する際は、これらの実装を考慮して、値をあらかじめ計算しておけばよい。
また、異物検出を、送電装置と受電装置間の空間に対してのみ行い、受電装置が存在しない側の空間(たとえば図面に向かって左側)の異物検出が不要なときは、異物検出が不要な側に、金属板と磁性体板とからなるシールドを配置すればよい。これにより、発生した磁界は、シールドにより遮られるため、不要な異物の検出を阻止できる。
以下、異物検出用第1自己共振コイル、第1自己共振コイル、異物検出用第2自己共振コイルの配置例について、図4,図5,図6、図7、図8を用いて、説明する。
図4に第1のコイル配置例を示す。
異物検出用第1自己共振コイル113、第1自己共振コイル111、異物検出用第2自己共振コイル115は、それぞれの第1中心軸114,112,116に垂直に導線を1周以上巻いた巻き構造を有している。
各コイル113,111,115の中心軸114,112,116は互いに平行である。各コイル113,111,115の長手方向は互いに平行である。
また、これらのコイル113,111,115はそれぞれ同じ高さ(たとえば基板面)に配置される。
またこれらのコイル113,111,115は、長手方向に垂直な方向に一列に配置されている。すなわち、これらのコイル113,111,115は、図示の直線117上に配置される。第1自己共振コイル111は、異物検出用の2つのコイル113,115に挟まれるように配置されている。
このように配置することで、異物検出方向を電力伝送の方向に一致させることが出来る。また、図3に示したような、送電装置と受電装置に挟まれる範囲に磁力線が発生するため、この範囲における異物の検出精度を高めることができる。
図5に第2のコイル配置例を示す。
異物検出用第1自己共振コイル103、第1自己共振コイル101、異物検出用第2自己共振コイル105は、それぞれの中心軸104,102,106に垂直に導線を1周以上巻いた巻き構造を有している。
各コイル103,101,105の中心軸104,102,106は互いに平行である。各コイル103,101,105の長手方向は互いに平行である。
異物検出用のコイル103,105はそれぞれ同じ高さ(たとえば基板面)に配置され、第1自己共振コイル101は、これらのコイル103,105よりも高い高さに配置されている。実装ではコイル配置の制約のため、図4のような配置を行うことができない場合がある。この場合に、図5のような配置を採用できる。
この配置であっても、異物検出方向を電力伝送の方向に一致させることが出来、電力伝送の方向における異物を検出できる。
図6に第3のコイル配置例を示す。
異物検出用第1自己共振コイル145、第1自己共振コイル144、異物検出用第2自己共振コイル146は、それぞれの中心軸142,141,143に垂直に導線を1周以上巻いた、巻き構造を有している。
各コイル145,144,146は、それぞれ同じ高さに配置されている。異物検出用のコイル145,146の長手方向は、第1自己共振コイル144の長手方向に対して互いに対称である。すなわち、第1自己共振コイル144の中心軸141を対称軸として、異物検出用のコイル145,146の中心軸142,143が互いに対称である。この構成によって、異物の検出範囲を拡大することが可能となる。
すなわち、異物検出用第1自己共振コイル145から発生する磁力線は、このコイル145の置かれた場所においては、その中心軸142に対して平行な方向に発生する。また、異物検出用第2自己共振コイル146の置かれた場所の磁力線は、その中心軸143に対して平行な方向に発生する。この結果、図示のように、広い範囲に磁力線147が生じることとなる。この磁力線147を異物が遮断するかどうかで異物検出を行うので、異物検出範囲を広げることが可能となる。
図7は、第4のコイル配置例を示す。
異物検出用第1自己共振コイル155、第1自己共振コイル154、異物検出用第2自己共振コイル156は、それぞれの中心軸152,151,153に垂直に導線を1周以上巻いた、巻き構造を有している。
各コイル155,154,156は、それぞれ同じ高さに配置されている。異物検出用のコイル155,156の長手方向は、第1自己共振コイル154の長手方向に対して互いに対称である。すなわち、第1自己共振コイル154の中心軸151を対称軸として、異物検出用のコイル155,156の中心軸152,153が互いに対称である。
この配置によって、異物の検出範囲を狭くすることが可能となる。たとえば予め受電装置との距離が決まっており、受電装置の後ろ側(送電装置が存在する側と反対側)の異物を検出する必要がない場合に、この配置は有効である。
図8は、第5のコイル配置例を示す。
送電装置131の筐体内の中央に第1自己共振コイル132が配置され、筐体内の対角線の両端部分(コーナー部)に、異物検出用第1自己共振コイル133と異物検出用第2自己共振コイル134が配置されている。この場合には、広い範囲の異物の検出が可能になる。
すなわち、異物検出用第1自己共振コイル133と異物検出用第2自己共振コイル134の距離を筐体内で最大限離すことで、広い範囲に磁力線を形成できるようになる。この結果、異物検出範囲の拡大が可能となる。
図9は、図1の送電装置の動作の流れを示すフローチャートである。
まず、制御回路11が、異物検出用第1自己共振コイル4の共振周波数と同一周波数(f2)の高周波エネルギーを生成して、異物検出用第1自己共振コイル4に供給する(ステップS1)。
異物検出用第1自己共振コイル4との電磁結合(磁気共鳴)により、異物検出用第1自己共振コイル4へ供給されたエネルギーの一部が、異物検出用第2自己共振コイル5で受信される(ステップS2)。
伝送効率測定回路6は、コイル4から送信されたエネルギーの大きさと、コイル5で受信されたエネルギーの大きさとから、無線電力伝送効率を算出する(ステップS3)。
算出された伝送効率と閾値(所定の効率)とを比較し、第1自己共振コイル3から受電装置への電送を行うか否かを判定する(ステップS4)。すなわち第1自己共振コイル3への高周波エネルギーの供給を行うか否かを判定する
算出された伝送効率が閾値未満のときは、送電装置と受電装置間、あるいは送電装置の近傍に異物が存在すると判断し(ステップS4の異物有り)、第1自己共振コイル3から電送を行わないことを決定する(ステップS7)。すでに電送が行われているときは、電送を停止する(ステップS7)。制御回路11は、アラームでユーザに異物検出を通知してもよい。
ステップS7の後、所定時間待機し(ステップS8)、ステップS1に戻る。
一方、算出された伝送効率が閾値以上のときは、異物が無いと判断し(ステップS4の異物無し)、第1自己共振コイル3から、高周波エネルギーの伝送を開始する(ステップS5)。すなわち、第1自己共振コイル3へ、第1自己共振コイル3の共振周波数と同一周波数f1のエネルギーの供給を開始する。すでに送電が行われているときは、送電を継続する。第1自己共振コイル3へ共振された高周波エネルギーの一部は、磁気共鳴(磁気結合)により、第2自己共振コイル8で受信される。
伝送の開始後または伝送の継続決定後、所定時間待機し(ステップS6)、ステップS1に戻る。
前述したように、異物検出用のコイル4、5の共振周波数の値は、第1自己共振コイル3の共振周波数と十分に離されている。以下、この理由を説明する。
図10はこの理由を説明するための図である。
送電装置内に、異物検出用第1自己共振コイル43、第1自己共振コイル41、異物検出用第2自己共振コイル44が配置されている。また図の右側の矩形が受電装置のブロックを示し、受電装置内に第2自己共振コイル42が設けられている。説明の簡単のため、送電装置および受電装置内の他の要素の図示は省略している。参照符号45は異物、参照符号46は磁力線を表す。
第1自己共振コイル41の共振周波数が第1の周波数、異物検出用のコイル43,44の共振周波数が、第1の周波数から十分に離された第2の周波数である場合の磁界の形成を説明すると以下の通りである。
異物検出用第1自己共振コイル43へ第2周波数の高周波エネルギーが供給されると、第2周波数に対応する磁界が発生する。この磁界は、磁気共鳴により、同じ第2周波数を共振周波数とする異物検出用第2自己共振コイル44で受信される。しかしながら、この磁界は、第1および第2自己共振コイル41,42では受信されないもしくは受信される量は少ない。
一方、第1自己共振コイル41、異物検出用のコイル43,44の共振周波数が、いずれも同じ第1周波数である場合の磁界の形成を説明すると以下の通りである。
異物検出用第1自己共振コイル43へ第1周波数の高周波エネルギーが供給されると、第1周波数に対応する磁界が発生する。この磁界は、磁気共鳴により、異物検出用第2自己共振コイル44で受信されるとともに、第1および第2自己共振コイル41,42でも受信される。このため、異物検出用コイル43,44間で伝送効率を測定した際、異物45が存在したために伝送効率が低下したのか、第1および第2自己共振コイルで受信されたために小さくなったのか判断することが、測定値のみから判断できなくなる。また第1自己共振コイル41へ第1周波数の高周波エネルギーを供給すると、このエネルギーの一部が異物検出用のコイル43,44でも受信され、伝送効率が低下する。
そこで本実施形態では、異物検出用のコイル43,44の共振周波数を、第1の周波数と十分離すことで、異物検出精度を高めるとともに、高い伝送効率を達成する。
ここで第1周波数と第2周波数を互いにどの程度離せばよいかは、事前にシミュレーションまたは実験により決定しておく。決定の方法としては、例えば以下のようにすることができる。
まず第1自己共振コイル41、異物検出用のコイル44の共振周波数を共に第1周波数に設定しておく。第1自己共振コイル41に第1周波数の高周波エネルギーを供給し、異物検出用のコイル44で受信されるエネルギーの大きさを測定する。このとき測定した値を電力P(基準値)とする。異物検出用のコイル44の共振周波数の値を、第1周波数から徐徐にずらしながら、同様の測定を行う。このときの測定値が、P/2になるまで周波数を離せば、これらのコイル41,44間の結合を十分に防げる。ここではP/2を用いたが、さらに結合を防ぎたいときは、P/10、P/100となる周波数まで離すことが有効である。
ただし、本実施形態は、第1自己共振コイル41と、異物検出用のコイル43,44との共振周波数が異なる例に限定されない。これらの共振周波数が同一である場合も、異物検出精度の低下および伝送効率の低下はあるものの、実施は可能である。
本実施形態では効率的な磁気結合、すなわち磁気共鳴を得るために、第1自己共振コイル41の共振周波数,異物検出用のコイル43,33の共振周波数にそれぞれ一致する周波数の高周波エネルギーを供給した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、これらのコイルの共振周波数からずれた周波数の高周波エネルギーを、これらのコイルに供給することも可能である。磁気結合の効率は低下するが、その場合でも、異物検出は可能である。
以上、本実施形態によれば、異物検出用第1自己共振コイルと異物検出用第2自己共振コイル間の伝送効率を求めることによって、送電装置の周囲における異物の有無が判断できる。特に、送電装置、あるいは、受電装置から距離の離れた場所に存在する異物を検出することが出来る。
また、異物検出用第1自己共振コイルと異物検出用第2自己共振コイルを送電装置内に設けることで、送電装置と受電装置の距離に依存しないで異物を検出することが可能になる。
上記実施形態では、異物検出を送電側で行ったが、受電側で行うことも可能である。この場合、異物検出用第1自己共振コイル、異物検出用第2自己共振コイル、伝送効率測定回路、異物検出回路、制御回路を受電装置に設け、送電装置についてこれまで述べてきたのと同様の異物検出動作を受電装置で行えばよい。制御回路は、異物が存在しないと判断したときは、無線回路およびアンテナ(後述する図11参照)を介して、送電の許可通知を送電装置に送信してもよい。また、異物検出の際は、アラームでユーザに異物検出を通知してもよい。以降の実施形態でも、異物検出を送電装置で行う形態を示すが、受電装置で行うことも可能である。
(第2実施形態)
第1実施形態では、自己共振コイルの共振周波数と、異物検出用のコイルの共振周波数とを互いに異ならせ、制御回路では、各共振周波数の2種類の高周波エネルギーを生成した。
しかしながら、制御回路によっては単一の共振周波数の高周波エネルギーのみを生成可能な場合もある。本実施形態ではこのような場合にも、高い異物検出精度を得る形態を示す。
図11に本実施形態の送電装置および受電装置の構成を示す。図1と同一名称の要素には同一の符号を付して、拡張された機能を除き、重複する説明を省略する。
送電装置1内に無線回路16およびアンテナ17が設けられている。また受電装置2内に無線回路18、アンテナ19、制御回路20が設けられている。
無線回路16,18は、送信時は、制御回路11、20から送信情報を受け取り、送信情報に対して、符号化、変調、帯域制限、増幅等の送信処理を行うことにより、アナログ送信信号を生成する。無線回路16,18は、アナログ送信信号を、アンテナ17,19を介して空間に電波として放射する。
また無線回路16,18は、受信時は、アンテナ17,19を介して、電波信号を受信し、受信したアナログ信号に増幅、帯域制限、復調、復号等の受信処理を行うことで、情報を取得する。無線回路16,18は、取得した情報を制御回路11,20に送る。
送電装置1内の制御回路11および受電装置2内の制御回路20は、これらの無線回路16,18およびアンテナ17,19を介して、互いに情報通信を行う。
第1自己共振コイル3および異物検出用のコイル4,5は共振周波数が可変に構成される。制御回路11は、これらのコイルの共振周波数を制御する。また、第2自己共振コイル8の共振周波数は可変である。制御回路20は、第2自己共振コイル8の共振周波数を制御する。
図12に、第1および第2自己共振コイル3,8,および異物検出用のコイル4,5の構成を示す。
コイル61の途中に可変容量62が設けられている。可変容量62の値を変えることで、コイル61の容量値が変わる。コイルの共振周波数は、コイルのインダクタと、自己の浮遊容量(コイルの線間の容量)によって決まる。したがって、可変容量62の値を変更することで、コイル61の共振周波数を制御できる。第1および第2自己共振コイル3,8,および異物検出用のコイル4,5は、コイル61と同様の構成を有する。
制御回路11は、第1自己共振コイル3および異物検出用のコイル4,5のそれぞれの可変容量の値を調整することで、それぞれの共振周波数を制御する。また制御回路20は、第2自己共振コイル8の可変容量の値を調整することで、当該コイルの共振周波数を制御する。
本実施形態では、異物検出と、電力伝送とを、それぞれ異なる時間帯で行う。
異物検出の際は、異物検出用のコイル4,5の共振周波数を第1周波数、第1自己共振コイル3,8の共振周波数を第1周波数以外の周波数にする。この周波数は、第1周波数から十分に離れた値であり、第1実施形態で述べた方法で事前に決定しておく。一方、電力伝送の際は、第1、2自己共振コイル3,8の共振周波数を第1周波数、異物検出用のコイル4,5の共振周波数を第1周波数以外の周波数にする。
図13に、電力伝送および異物検出を行うときの第1および第2自己共振コイル3,8,および異物検出用のコイル4,5の共振周波数の状態を整理して示す。
このように、異物検出と電力伝送を行う時間帯に応じて、共振周波数を変更することで、第1自己共振コイルと第2自己共振コイルの影響を無くした状態で、異物を検出できる。また電力伝送の際に異物検出用コイルに磁界が受信されることにより伝送効率が低下するのを阻止できる。
図14は、本実施形態における送電装置の動作の流れを示すフローチャートである。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイル4と異物検出用第2自己共振コイル5の共振周波数を第1周波数へ制御する(ステップS21)。
制御回路11は、第1自己共振コイル3と第2自己共振コイル8の共振周波数を、第1周波数と異なる周波数へ制御する(ステップS22)。このとき、第1自己共振コイル3と第2自己共振コイル8の共振周波数は互いに同じであっても、異なってもよい。第2自己共振コイル8の制御は、制御回路11が、受電装置内の制御回路20と通信することによって行う。受電装置内の制御回路20は、制御回路11からの指示に従って、コイル8の共振周波数を制御する。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイル4の共振周波数と同一周波数(第1周波数)の高周波エネルギーを生成して、異物検出用第1自己共振コイル4に供給する(ステップS23)。
異物検出用第1自己共振コイル4との電磁結合(電磁共鳴)により、異物検出用第1自己共振コイル4へ供給されたエネルギーの一部が、異物検出用第2自己共振コイル5で受信される(ステップS24)。
伝送効率測定回路6は、コイル4から送信されたエネルギーの大きさと、コイル5で受信されたエネルギーの大きさとから、無線電力伝送効率を算出する(ステップS25)。
算出された伝送効率と閾値(所定の効率)とを比較し、第1自己共振コイル3から受電装置への電送を行うか否か、すなわち第1自己共振コイル3への高周波エネルギー供給を行うか否かを判定する(ステップS26)。
算出された伝送効率が閾値未満のときは、送電装置と受電装置間、あるいは送電装置の近傍に異物が存在すると判断し(ステップS26の異物有り)、第1自己共振コイル3から電送を行わないことを決定する。
この場合、所定時間待機し(ステップS32)、ステップS21に戻る。
一方、算出された伝送効率が閾値以上のときは、異物が無いと判断し(ステップS26の異物無し)、制御回路11は、第1および第2自己共振コイル3,8の共振周波数を第1周波数に設定する(ステップS27)。
また、制御回路11は、異物検出用のコイル4、5の共振周波数を、第1周波数と異なる値に設定する(ステップS28)。このとき、異物検出用のコイル4,5の共振周波数は互いに同じであっても、異なってもよい。
次に、第1自己共振コイル3から送電を開始する(ステップS29)。すなわち、第1自己共振コイル3へ周波数f1のエネルギー供給を開始する。第1自己共振コイル3へ供給されたエネルギーの一部が、磁気共鳴(磁気結合)により、第2自己共振コイル8で受信される。
送電開始の後、所定時間経過したら送電を停止する(ステップS30)。
送電停止後、所定の時間待機したら、ステップS21に戻る(ステップS31)。
以上、本実施形態によれば、送電装置において単一の周波数の高周波エネルギーのみを生成可能な場合であっても、異物の高い検出精度の達成、および高効率な電送が可能となる。
(第3実施形態)
本実施形態では、異物検出用第1自己共振コイルを第1自己共振コイルと共用化する場合を示す。
図15に本実施形態に係る送電装置および受電装置を示す。
送電装置内に、異物検出用第1自己共振コイルと共用化される第1自己共振コイル(以下、共用コイル)51と、異物検出用第2自己共振コイル53とが設けられている。受電装置内に第2自己共振コイル52が設けられている。参照符号54は、異物、参照符号55は、磁力線を示す。共用コイル51は、図12に示したように、可変容量を含み、共振周波数を変更可能に構成されている。送電装置および受電装置内のこれらのコイル51,52,53以外の要素は、図11と同様であるとする。
これまで述べてきた第1自己共振コイルと異物検出用第1自己共振コイルはどちらも高周波エネルギーが供給されるときに磁界を発生するものである。したがって、異物検出をする場合に、第1自己共振コイルを異物検出用第1自己共振コイルとして用いても問題はない。両コイルを1つにし、共用化することによって、送電装置を小型化できる。
図16に、電力伝送および異物検出時における、共用コイル51,異物検出用第2自己共振コイル53および第2自己共振コイル52の共振周波数制御の例を示す。
共用コイル51の共振周波数は、常に第1周波数である。つまり、共用コイル51は、電力伝送のときと、異物検出のときとで共振周波数を変える必要がない。
一方、第2自己共振コイル52と異物検出用第2自己共振コイル53の共振周波数は、電力伝送と異物検出とで共振周波数を変更する。
すなわち、電力伝送時(第1モード時)は、第2自己共振コイル52の共振周波数は第1周波数、異物検出用第2自己共振コイル53の共振周波数は、第1周波数以外の周波数とする。
一方、異物検出時(第2モード時)は、第2自己共振コイル52の共振周波数は第1周波数以外の周波数、異物検出用第2自己共振コイル53の共振周波数は、第1周波数とする。
このように各コイルの共振周波数を制御すれば、既に説明した原理と同じように、異物の検出精度を高くし、送電装置および受電装置間の伝送効率を高めることができる。
以上、本実施形態によれば、異物検出用第1自己共振コイルを第1自己共振コイルと共用化することによって、送電装置を小型化できる。
(第4実施形態)
本実施形態では、送電装置が異物検出用のコイルを3つ以上用いて、高い異物検出精度を実現する場合を示す。本実施形態のブロック図は、コイル以外に関しては、図1または図11と同様である。
図17は、第1自己共振コイルおよび3つの異物検出用のコイルの配置例を示す平面図である。
第1自己共振コイル121(第1コイル)と、3つの異物検出用自己共振コイル122a、122b、122c(第2〜第nコイル)とが同じ平面に、すなわち同じ高さに配置されている。
異物検出用自己共振コイル122a、122b、122cは、第1自己共振コイル121を中心とする同心円123に沿って、等間隔に配置されている。
すなわち、異物検出用のコイル122a、122b、122cは、第1自己共振コイル121から等距離の位置に、かつ互いに等間隔に、第1自己共振コイル121の周囲を囲むように配置されている。
本構成では、3つ以上の異物検出用コイルの中から選択した2つを用いて、異物検出を行う。選択するコイルの組み合わせを変えると、空間に生じる磁力線の向きが変わる。このため、異物の場所および向きが変った場合でも、高い異物検出精度が得られる。
図18は、第1自己共振コイルおよび4つの異物検出用のコイルの配置例を示す平面図である。
第1自己共振コイル161(第1コイル)と、4つの異物検出用自己共振コイル163a、163b、163c、163d(第2〜第nコイル)とが同じ平面に、すなわち同じ高さに配置されている。
異物検出用自己共振コイル163a、163b、163c、163dは、第1自己共振コイル161を中心とする同心円162に沿って、等間隔に(ここでは90度置きに)配置されている。
異物検出用のコイル163a、163b、163c、163dの中心軸164a、164b、164c、164dは、同心円162の接線方向に平行である。ここでは、中心軸164a、164b、164c、164dは同心円162の接線に一致している。
異物検出用のコイル163a、163cは、第1自己共振コイル161を介して互いに対向配置されている。同様に、異物検出用のコイル163b、163dも、第1自己共振コイル161を介して互いに対向配置されている。
互いに対向する異物検出用のコイルをペアにすることで、2種類の磁力線が形成される。2種類の磁力線とは、異物検出用のコイル163a、163cのペアによる磁力線と、異物検出用のコイル163b、163dのペアによる磁力線である。これらの磁力線は90度傾いたものである。したがって、ペア毎に異物検出を行うことで、広い範囲の異物が検出できるようになる。
図19は、第1自己共振コイルおよび6つの異物検出用のコイルの配置例を示す斜視図である。
第1自己共振コイル177(第1コイル)と、6つの異物検出用自己共振コイル172a、172b、174a、174b、176a、176b、(第2〜第nコイル)とが、X軸、Y軸、Z軸による3次元空間に配置されている。
第1自己共振コイル177は、3次元空間の中心、すなわち、XYZ座標の原点に配置されている。
異物検出用のコイル172a、172bは、原点を中心とし、Y軸に垂直な円上に配置されている。より詳細には、これらのコイル172a、172bは、円とZ軸との交差点に配置されている。コイル172a、172bの中心軸171a、171b(長手方向)は、X軸方向に一致する。異物検出用のコイル172a、172bは、第1自己共振コイル177から等距離の位置に、第1自己共振コイル177を介して互いに対向する。
異物検出用のコイル174a、174bは、原点を中心とし、Z軸に垂直な円上に配置されている。より詳細には、これらのコイル174a、174bは、円とX軸との交差点に配置されている。コイル174a、174bの中心軸173a、173b(長手方向)は、Y軸方向に一致する。異物検出用のコイル174a、174bは、第1自己共振コイル177から等距離の位置に、第1自己共振コイル177を介して互いに対向する。
異物検出用のコイル176a、176bは、原点を中心とし、X軸に垂直な円上に配置されている。より詳細には、これらのコイル176a、176bは、円とY軸との交差点に配置されている。コイル176a、176bの中心軸175a、175b(長手方向)は、Z軸方向に一致する。異物検出用のコイル176a、176bは、第1自己共振コイル177から等距離の位置に、第1自己共振コイル177を介して互いに対向する。
異物検出用のコイル172a、172bを結ぶ方向と、異物検出用のコイル174a、174bを結ぶ方向と、異物検出用のコイル176a、176bを結ぶ方向は、互いに直行している。
異物検出用のコイル172a、172bのペアを使った場合の磁力線と、異物検出用のコイル174a、174bのペアを使った場合の磁力線と、異物検出用の176a、176bのペアを使った場合の磁力線はそれぞれ直交する関係にある。よって、ペア毎に異物検査を行うことで、3次元の空間の広い範囲の異物が検出できるようになる。
図20は、異物検出用自己共振コイルが3つ以上有る場合の送電装置の動作を示すフローチャートである。
制御回路11は、3つ以上の異物検出用自己共振コイルの中から2つを選択し、選択したコイルの共振周波数を第1周波数f1、非選択のコイルの共振周波数を第1周波数以外の他の周波数に設定する(ステップS41)。選択した2つのコイルをそれぞれ第1および第2の異物検出自己共振コイルと呼ぶ。選択可能なコイルの組合せは事前に設定しておく。設定内容は制御回路11の内部、もしくはアクセス可能な記憶手段に記憶させておく。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルの共振周波数と同一周波数(第1周波数)の高周波エネルギーを生成して、異物検出用第1自己共振コイルに供給する(ステップS42)。すなわち、異物検出用第1自己共振コイルから第1周波数で送電する。
異物検出用第1自己共振コイルとの電磁結合(電磁共鳴)により、異物検出用第1自己共振コイルへ供給されたエネルギーの一部が、異物検出用第2自己共振コイルで受信される(ステップS43)。
伝送効率測定回路6は、異物検出用第1自己共振コイルから送信されたエネルギーの大きさと、異物検出用第2自己共振コイルで受信されたエネルギーの大きさとから、無線電力伝送効率を算出する(ステップS44)。
上記ステップS41〜S44を、選択する異物検出用自己共振コイルの組み合わせを変えて行う。これにより、選択可能な全てのコイルの組み合わせで複数の伝送効率を算出する(ステップS45)。
ステップS45で算出された伝送効率の中から最小の伝送効率と閾値(所定の効率)を比較して、第1自己共振コイルから受電装置への電送を行うか否か、すなわち第1自己共振コイルへの高周波エネルギー供給を行うか否かを判定する(ステップS46)。
最小の伝送効率が閾値以上のときは、送電装置と受電装置間、あるいは送電装置の近傍に異物が存在しないと判断し、第1自己共振コイルから周波数f2で送電を開始する(ステップS47)。送電されたエネルギーは、磁気結合により、第2自己共振コイルで受電される。ただし、既に、第1自己共振コイルから送電が開始されているときは、送電を継続する(ステップS47)。
送電の開始後または送電継続の決定後、所定の時間経過したら、ステップS41へ戻る(ステップS48)。
一方、最小の伝送効率が閾値未満のときは、送電装置と受電装置間、あるいは送電装置の近傍に異物が存在すると判断し、第1自己共振コイルからの送電を行わないことを決定する(ステップS49)。送電開始済みであるときは、送電を停止する(ステップS49)。
送電停止から所定の時間後、ステップS51へ進む(ステップS50)。
ステップS51では、前回のステップS46で採用された最小の伝送効率に対応するコイル組合せを用いて、ステップS42〜S44と同様の手順にて、伝送効率を測定する。
ステップS51で測定された伝送効率を、閾値と比較して、受電装置への電送を行うか否かを判断する(ステップS52)。
測定された伝送効率の値が閾値未満のときは、異物が存在すると判断し、ステップS50へ戻る。
一方、測定された伝送効率の値が閾値以上のときは、ステップS51で用いたコイル組合せ以外のすべてのコイル組合せで、ステップS42〜S44と同様の手順にて、伝送効率をそれぞれ測定する(ステップS53)。
この後、ステップS46に戻り、ステップS53で測定した各伝送効率の中で、最小の伝送効率を選択し、選択した最小の伝送効率と、閾値とを比較する。最小の伝送効率が閾値未満のときは、異物が存在すると判断し、ステップS49に進み、閾値以上のときは、異物が存在しないと判断し、ステップS47に進む。以降は、上記した手順を繰り返し行う。
(第5実施形態)
本実施形態は、異物検出の際に用いる閾値(所定の効率)を動的に変更する場合を示す。
本実施形態のブロック図は図11と同じである。ただし制御回路11の機能が拡張されている。
異物検出用第1自己共振コイルと異物検出用第2自己共振コイル間の伝送効率を、電力伝送で使用する第1周波数を含む複数の周波数で、測定する場合を考える。この場合、周波数と伝送効率の分布は、第1周波数の伝送効率が最も低いパターンと、それ以外のパターンとに分類することができる。
図21(a)に第1周波数の伝送効率が最も低いパターンを、図21(b)にそれ以外のパターンのうちの1つを示す。ここでは第1周波数、第1周波数より低い周波数、および第1周波数より高い周波数の3つの周波数で測定を行った結果が示される。
図21(a)では、第1周波数の伝送効率が、3つの伝送効率の中で一番小さく、図21(b)では、第1周波数の伝送効率が、3つの伝送効率の中で中間の大きさである。
図21(a)のような場合には、第1周波数で異物がエネルギーを大きく吸収している可能性がある。つまり、この異物の共振周波数は、第1周波数もしくはこれに近い可能性がある。このような異物は、異物の特定の場所に集中して、エネルギーが吸収され、少しのエネルギー吸収で、異物の温度が上昇しやすい。
一方、図21(b)のような場合には、第1周波数を自己共振周波数とする異物は存在しない。このような場合には、異物が存在したとしても、異物の特定の場所で集中してエネルギーが吸収されるわけではない。少しのエネルギーの吸収があっても異物の温度は上昇しにくい。
以上から、図21(a)のような第1周波数の伝送効率が最も低いパターンの場合は、閾値として、大きな値を用いることができる。一方、図21(b)の場合に代表される、第1周波数の伝送効率が最も低くないパターンでは、閾値として小さな値を用いる必要がある。
なお第1周波数は、別の無線通信システムで用いられる周波数であってもよい。
例えば、無線電力伝送に用いる第1周波数もしくはこの近傍周波数に、別の無線通信システムが存在するような環境を考える。
この場合、別の無線通信システムで用いられるコイルまたはアンテナは、この周波数帯域で共振する。この別の無線通信システムが備えるコイルまたはアンテナも異物として検出しなければならない場合、コイルまたはアンテナの共振周波数に等しいもしくはこれに近い第1周波数を使って異物検出を行えば、コイルまたはアンテナの検出精度を高くすることが可能になる。
図22は、本実施形態における送電装置の動作のフローを示すフローチャートである。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルおよび異物検出用第2自己共振コイルの共振周波数を第1周波数に制御し、第1自己共振コイルと第2自己共振コイルの共振周波数を第1周波数以外へ制御する(ステップS61)。第2自己共振コイルの制御は、制御回路11が、受電装置内の制御回路20と通信することで行う。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルに第1周波数の高周波エネルギーを供給して、異物検出用第1自己共振コイルから第1周波数(f1とする)で送電する(ステップS62)。
異物検出用第2自己共振コイルは、異物検出用第1自己共振コイルとの磁気共鳴により、受電する(ステップS63)。
伝送効率測定回路6は、第1周波数で送電した第1の異物検出用自己共振コイルと、第2の異物検出用自己共振コイル間の無線電力伝送効率(η1とする)を算出する(ステップS64)。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルおよび異物検出用第2自己共振コイルの共振周波数を第1周波数f1より低い第2周波数(f2とする)に制御し、第1自己共振コイルと第2自己共振コイルの共振周波数を第2周波数以外へ制御する(ステップS65)。そして、制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルに第2周波数の高周波エネルギーを供給して、異物検出用第1自己共振コイルから第2周波数(f2とする)で送電する(ステップS65)。
異物検出用第2自己共振コイルで、異物検出用第1自己共振コイルとの磁気共鳴により、受電する(ステップS66)。
伝送効率測定回路6は、第2周波数で送電した第1の異物検出用自己共振コイルと、第2の異物検出用自己共振コイル間の無線電力伝送効率(η2とする)を算出する(ステップS64)。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルおよび異物検出用第2自己共振コイルの共振周波数を第1周波数f1より高い第3周波数(f3とする)に制御し、第1自己共振コイルと第2自己共振コイルの共振周波数を第3周波数以外へ制御する(ステップS68)。そして、制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルに第3周波数f3の高周波エネルギーを供給して、異物検出用第1自己共振コイルから第3周波数f3で送電する(ステップS68)。
異物検出用第2自己共振コイルは、異物検出用第1自己共振コイルとの磁気共鳴により、受電する(ステップS69)。
伝送効率測定回路6は、第3周波数で送電した異物検出用第1自己共振コイルと、異物検出用第2自己共振コイル間の無線電力伝送効率(η3とする)を算出する(ステップS70)。
制御回路11は、伝送効率η1、η2、η3を比較し、伝送効率η1が最も小さいかどうか検査する(ステップS71)。すなわちη1<η2、かつη1<η3の関係が成立するかどうか検査する。
当該関係が成立する場合、制御回路11は、閾値(所定の効率)を第1値に設定する(S73)する。
当該関係が成立しない場合、制御回路11は、閾値(所定の効率)を第2値に設定する(S72)する。第2値は、第1値より大きい。第1値および第2値は事前に決めて、制御回路11の内部バッファ、または制御回路11によりアクセス可能な記憶手段に格納しておく。
ステップS72またはS73で設定された閾値に基づき、異物検出を行う(ステップS74)。
より詳細には、制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルおよび異物検出用第2自己共振コイルの共振周波数を第1周波数に制御し、第1自己共振コイルと第2自己共振コイルの共振周波数を第1周波数以外へ制御する。
制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルに第1周波数の高周波エネルギーを供給して、異物検出用第1自己共振コイルから第1周波数f1で送電し、異物検出用第2自己共振コイルは、異物検出用第1自己共振コイルとの磁気共鳴により、受電する。
伝送効率測定回路6は、異物検出用第1自己共振コイルから送信されたエネルギーの大きさと、第2の異物検出用自己共振コイルで受信されたエネルギーの大きさとから、無線電力伝送効率を算出する。
制御回路11は、算出された伝送効率が、上記閾値未満であれば、異物が存在すると判断し、所定の時間の後に、ステップS61に戻る(ステップS75)。
一方、制御回路11は、算出された伝送効率が、上記閾値以上であれば、異物が存在しないと判断し、第1自己共振コイルおよび第2自己共振コイルの共振周波数を、第1周波数f1に制御する(ステップS76)。
また制御回路11は、異物検出用第1自己共振コイルおよび異物検出用第2自己共振コイルの共振周波数を、第1周波数と異なる周波数(たとえばf2またはf3)へ制御する
制御回路11は、第1自己共振コイルに第1周波数f1の高周波エネルギーを供給して、第1自己共振コイルから送電する(ステップS78)。
制御回路11は、所定の時間後、第1自己共振コイルからの送電を停止する(ステップS79)。
所定の時間の後、ステップS61に戻る(ステップS80)。
以上、本実施形態によれば、送電に使用する周波数もしくはこれに近い周波数を自己共振周波数として有する異物を、高精度に検出することが可能になる。
(第6実施形態)
これまで説明した第1〜第5実施形態では、測定した伝送効率に基づき、異物検出を行ったが、受電電力の変化に基づいて、異物検出を行っても良い。
すなわち、異物検出用第1自己共振コイルに供給されたエネルギーと、異物検出用第2自己共振コイルで受信されたエネルギーとの差分を計算する。この差分が閾値未満であれば、異物は存在しないと判断して、送電装置および受電装置間の電力伝送を行わない。一方、差分が閾値以上であれば、異物が存在すると判断し、送電装置および受電装置間の電力伝送を行う。
なお第3実施形態と同様に、異物検出用第1自己共振コイルを、第1自己共振コイルと共用化してもよい。
(第7実施形態)
図23に第7実施形態に係る無線電力伝送システムを示す。図1と同一名称の要素には同一の符号を付し、拡張された機能を除き、重複する説明を省略する。
第1自己共振コイル3は、これまで説明した異常物検出用第1自己共振コイルと共用化される。第1自己共振コイル3は、可変容量を備え、その共振周波数は、第1周波数および第2周波数に制御可能であるとする。第1周波数は受電装置への送電に用いる周波数である。第2周波数は異物検出に用いる周波数である。
第3自己共振コイル14は、図1の異常物検出用第2自己共振コイルに対応し、異常物検出の際に用いられる。第3自己共振コイル14の共振周波数は第2周波数であるとする。
受電装置2内の第2自己共振コイル8の共振周波数は、第1周波数であるとする。
負荷変調回路15は、負荷(インピーダンス値)を変更可能なインピーダンス回路である。負荷変調回路15は、第3自己共振コイル14に接続されている。
以下、本実施形態の異物検出の詳細を説明する。
第1自己共振コイル3の共振周波数を第2周波数に制御し、当該周波数に一致する高周波エネルギーを第1自己共振コイル3に供給すると、第3自己共振コイル14を貫くように磁力線が形成される。この磁力線によって第3自己共振コイル14に電流が発生し、この電流によって磁力線が再形成される。この再形成された磁力線は第1自己共振コイル3を貫き、その結果、第1自己共振コイル3に電流が流れる。
第3自己共振コイル14に接続する負荷変調回路15の値を変えると、第3自己共振コイル14に接続するインピーダンスの値が変わり、これにより第3自己共振コイル14に流れる電流の大きさが変わる。この結果、再形成される磁力線の強度が変わる。つまり最終的に、第1自己共振コイル3に流れる電流の大小が変化する。
ここで、負荷変調回路15の値を時間的に2値で変化させると、第1自己共振コイル3の電流の値が負荷変調に合わせて大小に変化する。制御回路11では、第1自己共振コイル3の電流をモニタする。
第1自己共振コイル3の共振周波数を第2周波数に設定し、異物がない状態で、第1自己共振コイル3から送電を行う。このときの第1自己共振コイル3の電流変化を観測しておく。このとき観測された電流変化量をリファレンスとする。このリファレンスを、制御回路11内部もしくはアクセス可能な記憶手段に記憶する。
制御回路11は、異物検出時にも第2周波数の送電により、同様の測定をおこない、第1自己共振コイル3の電流変化を観測する(第2モード)。
制御回路11は、異物検出時に観測された電流変化量と、リファレンスとが互いに同一、もしくはこれらの差が閾値以内であれば、異物が存在しないと判断する。
観測された電流変動量とリファレンスとの差が閾値より大きい場合(つまり観測された電流変動量が小さい、もしくは無い場合)、コイル3,14間の磁力線をさえぎる異物があると判断する。
つまり、異物が存在しない場合、負荷変調回路15の値の変動が、第1自己共振コイル3の電流変動に与える影響が無いもしくは少ないため、電流変化量がない、もしくは小さくなる。言い換えると、異物によって負荷変調回路に接続する第3自己共振コイル14と、第1自己共振コイル3間の結合が小さくなるため、負荷変調回路15の値の変動により電流変化量に与える影響がない、もしくは小さくなる。
制御回路11は、異物が存在しないと判断すれば、第1自己共振コイル3の共振周波数を第1周波数に設定し、受電装置への送電を行う(第1モード)。
以上、本実施形態によれば、第3自己共振コイルにつながる負荷変調回路の値を変更したときの第1自己共振コイルの電流変化を利用して、異物検出を行うことができる。
(第8実施形態)
図24に、第8実施形態に係る無線電力伝送システムを示す。
送電装置1内に第1自己共振コイル(第1コイル)3a、および第3自己共振コイル(第2コイル)3bが設けられている。
受電装置2内に第2自己共振コイル(第1受信装置側コイル)8a、第3自己共振コイル(第2受信装置側コイル)8bが設けられている。
送電装置1および受電装置2は、コイル以外に関しては、図11と同様の要素を備えるが、表記の簡単のため、これら他の要素の図示は、省略する。
第1自己共振コイル3aは、可変容量を備え、共振周波数を制御可能である。ここでは第1自己共振コイル3aの共振周波数は、第1周波数および第3周波数に制御可能である。
第3自己共振コイル3bは、可変容量を備え、共振周波数を制御可能である。ここでは第3自己共振コイル3bの共振周波数は、第2周波数および第3周波数に制御可能である。
第2自己共振コイル8aは、可変容量を備え、共振周波数を制御可能である。ここでは第2自己共振コイル8bの共振周波数は、第1周波数および第4周波数に制御可能である。
第4自己共振コイル8bは、可変容量を備え、共振周波数を制御可能である。ここでは第2自己共振コイル8bの共振周波数は、第2周波数および第4周波数に制御可能である。
送電装置内の制御回路は、第1および第3自己共振コイル3a、3bにそれぞれ接続される。当該制御回路は、第1、第2,第3の高周波エネルギーを生成可能である。当該制御回路は、生成した高周波エネルギーを、コイル3a、3bのうち、これから送電を行うコイルに供給する。
受電装置内の第2および第4自己共振コイル8a、8bは、それぞれ受信した高周波エネルギーを整流回路に供給可能である。整流回路は、それぞれから供給された高周波エネルギーを整流して、整流したエネルギーを2次電池に蓄積する。
受電装置内には図示しない制御回路、伝送効率測定回路、および異物検出回路が設けられる。
受電装置内の制御回路は、第2自己共振コイル8aおよび第4自己共振コイル8bの共振周波数を制御する。また当該制御回路は、第4周波数の高周波エネルギーを生成して、第2自己共振コイル8aに供給可能である。
受電装置内の伝送効率測定回路は、送電装置内の伝送効率測定回路と同様にして、伝送効率を測定する。第2自己共振コイル8aから送信したエネルギーと、第4自己共振コイル8bで受信されたエネルギーとから伝送効率を測定する。
受電装置内の異物検出回路は、送電装置内の異物検出回路と同様にして、測定された伝送効率に基づき、異物検出を行う。伝送効率でなく、第6または第7実施形態と同様の構成を受電装置に適用して、異物検出を行ってもよい。
本実施形態のシステムは第1伝送状態(第1モード)、第2伝送状態(第2モード)、および第3伝送状態の3つの伝送状態を有する。
第1伝送状態は、送電装置から受電装置へのエネルギー伝送のために用いられる。
第1伝送状態では、送電装置内の制御回路は、第1自己共振コイル3aと第3自己共振コイル3bから同時に送電する。送電装置内の制御回路は、事前に、第1自己共振コイル3aの共振周波数を第1周波数、第3自己共振コイル3bの共振周波数を第2周波数に設定しておく。
第2自己共振コイル8aと第4自己共振コイル8bは同時に受電する。より具体的に、第2自己共振コイル8aは、第1自己共振コイル3aから送信されたエネルギーの一部を受信し、第4自己共振コイル8bは、第3自己共振コイル3bから送信されたエネルギーの一部を受信する。受電装置内の制御回路は、事前に、第2自己共振コイル8aの共振周波数を第1周波数、第4自己共振コイル8bの共振周波数を第2周波数に設定しておく。
このような構成では、並列伝送可能となるので、ひとつの自己共振コイルで送信、或いは、受信できる最大電力の2倍の電力を伝送できるようになる。
第2伝送状態と第3伝送状態は、異物検出のために用いられる。
第2伝送状態では、第1自己共振コイル3aから送電し、第3自己共振コイル3bで受電する。送電装置内の制御回路は、第1自己共振コイル3a、第3自己共振コイル3bの共振周波数は、事前に第3周波数に設定しておき、当該周波数のエネルギーを第1自己共振コイル3aに供給する。これにより特に、送電装置に近い異物を検出することが可能になる。
第3伝送状態では、第2自己共振コイル8aから送電し、第4自己共振コイル8bで受電する。受電装置内の制御回路は、第2自己共振コイル8a、第4自己共振コイル8bの共振周波数を、事前に第4周波数に設定しておき、当該周波数のエネルギーを第2自己共振コイル8aに供給する。これにより特に、受電装置に近い異物を検出することが可能になる。
以上、本実施形態によれば、電力を送信するときの自己共振コイルと、異物を検出するときの自己共振コイルを共用化することが出来る。このため、装置の小型化が可能となる。
なお、これまで述べた各実施形態では送電装置から受電装置への無線電力伝送を行う場合の異物検出を示したが、当該異物検出は、他の用途に利用することも出来る。
例えば、当該異物検出は、送信装置が、伝送する高周波信号を変調して、受信装置に送信する、無線通信を行うシステムに適用することもできる。この場合、送信装置では、高周波エネルギー信号を変調した信号を第1自己共振コイルから送信し、受信装置では、第2自己共振コイルで受信された信号を復調すればよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。