図1から図35を用いて、実施の形態に係る電力伝送システム、送電装置および受電装置について説明する。なお、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。なお、以下に複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成は、適宜組み合わせることについては出願当初から予定されている。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電力伝送システム、車両、受電装置および送電装置などを模式的に示す模式図である。
本実施の形態1に係る電力伝送システムは、受電装置11を含む電動車両10と、送電装置50を含む外部給電装置51とを有する。電動車両10の受電装置11は、主に、送電装置50から電力を受電する。
駐車スペース52には、電動車両10を所定の位置に停車させるように、輪止や駐車位置および駐車範囲を示すラインが設けられている。
外部給電装置51は、交流電源53に接続された高周波電力ドライバ54と、高周波電力ドライバ54などの駆動を制御する制御部55と、高周波電力ドライバ54に接続された送電装置50とを含む。
送電装置50は、送電部56を含み、送電部56は、コイルユニット60と、このコイルユニット60に接続されたキャパシタ59とを含む。コイルユニット60は、フェライトコア57と、このフェライトコア57に巻回された一次コイル(第1コイル)58とを含む。一次コイル58は、高周波電力ドライバ54に接続されている。なお、一次コイルとは、本実施の形態1においては、一次コイル58である。
図1において、電動車両10は、車両本体10Aと、車両本体10Aに設けられた受電装置11と、受電装置11に接続された整流器13と、この整流器13に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続されたバッテリ15と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、このパワーコントロールユニット16に接続されたモータユニット17と、DC/DCコンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)12とを備える。車両本体10Aは、エンジンコンパートメントや乗員収容室が内部に形成されたボディと、このボディに設けられたフェンダなどの外装部品とを備える。車両10は、前輪19Fと、後輪19Bとを備える。
なお、本実施の形態1においては、エンジンを備えたハイブリッド車両について説明するが、当該車両に限られない。たとえば、エンジンを備えていない電気自動車やエンジンに替えて燃料電池を備えた燃料電池車両などにも適用することができる。
整流器13は、受電装置11に接続されており、受電装置11から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。
DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ15に供給する。なお、DC/DCコンバータ14は必須の構成ではなく省略してもよい。この場合には、外部給電装置51にインピーダンスを整合するための整合器を送電装置50と高周波電力ドライバ54との間に設けることで、DC/DCコンバータ14の代用をすることができる。
パワーコントロールユニット16は、バッテリ15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、バッテリ15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。
受電装置11は、受電部20を含む。受電部20は、コイルユニット24と、このコイルユニット24に接続されたキャパシタ23とを含む。コイルユニット24は、フェライトコア21と、フェライトコア21に巻回された二次コイル22とを含む。なお、受電部20においても、キャパシタ23は、必須の構成ではない。二次コイル22は、整流器13に接続されている。
図2は、図1に示した電力伝送システムにおいて非接触電力伝送を実現する電気回路図である。なお、この図2に示される回路構成は一例であって、非接触電力伝送を実現するための構成が図2の構成に限定されるものではない。
二次コイル22は、キャパシタ23とともに共振回路を形成し、外部給電装置51の送電部56から送出される電力を非接触で受電する。なお、特に図示しないが、二次コイル22およびキャパシタ23によって閉ループを形成し、二次コイル22により受電された交流電力を電磁誘導により二次コイル22から取出して整流器13へ出力するコイルを別途設けてもよい。
一方、1次コイル58は、キャパシタ59とともに共振回路を形成し、交流電源53から供給される交流電力を受電部20へ非接触で送電する。なお、特に図示しないが、1次コイル58およびキャパシタ59によって閉ループを形成し、交流電源53から出力される交流電力を電磁誘導により1次コイル58へ供給するコイルを別途設けてもよい。
なお、キャパシタ23,59は、共振回路の固有周波数を調整するために設けられるものであり、1次コイル58および二次コイル22の浮遊容量を利用して所望の固有周波数が得られる場合には、キャパシタ23,59を設けない構成としてもよい。
図3は、車両10の底面25を示す底面図である。この図3において、「D」は、鉛直方向下方Dを示す。「L」は、車両左方向Lを示す。「R」は、車両右方向Rを示す。「F」は、車両前方向Fを示す。「B」は、車両後方向Bを示す。車両10(車両本体10A)の底面25とは、車両10のタイヤが地面と接地された状態において、車両10に対して鉛直方向下方に離れた位置から車両10を見たときに見える面である。受電装置11、受電部20、および二次コイル22は、底面25に設けられている。
ここで、底面25の中央部を中央部P1とする。中央部P1は、車両10の前後方向の中央に位置すると共に、車両10の幅方向の中央に位置する。
車両本体10Aは、車両10の底面に設けられたフロアパネル26を含む。フロアパネル26は、車両の内部と車両の外部とを区画する板状の部材である。
なお、受電装置11が底面25に設けられているとは、フロアパネル26に直付けされている場合や、フロアパネル26やサイドメンバやクロスメンバーなどから懸架されている場合などを含む。
受電部20や二次コイル22が、底面25に設けられているとは、受電装置11が底面25に設けられている状態において、後述する受電装置11の筐体内に収容されていることを意味する。
前輪19Fは、中央部P1よりも車両前方向F側に設けられている。前輪19Fは、車両10の幅方向に配列する右前輪19FRと左前輪19FLとを含む。後輪19Bは、幅方向に配列する右後輪19BRと左後輪19BLとを含む。
図4は、受電部20と送電装置50との間で電力伝送する際に車両10が駐車したときの様子を示す側面図である。この図4に示すように、受電装置11と、送電装置50とが鉛直方向に対向する。
図5は、送電装置50を示す断面図である。この図5において、送電装置50は、送電部56と、送電部56を内部に収容する収容ケース61と、異物検出装置62とを含む。
収容ケース61は、底面に配置されたシールド63と、シールド63を覆うように配置された樹脂カバー64とを含む。シールド63は、板状に形成されており、銅などの金属材料から形成されている。
樹脂カバー64は、天板部65と、天板部65の外周縁部から垂下するように形成された周壁部66と、周壁部66の下端部に形成され、外方に向けて広がるように形成された鍔部67とを含む。樹脂カバー64は、樹脂材料などから形成されている。鍔部67がシールド63に固定されている。
このように形成された樹脂カバー64およびシールド63によって、内部に送電部56などを収容する収容空間が形成されている。
異物検出装置62は、検出ユニット70および検出ユニット71を含む。検出ユニット70は、上側検知コイル72と横側検知コイル73と共振回路74と共振回路75と処理部76とを含む。
上側検知コイル72は、天板部65の内壁面に設けられており、横側検知コイル73は、周壁部66の内周面に設けられている。横側検知コイル73は、一次コイル58に対して水平方向に隣り合うように配置されている。共振回路74は、上側検知コイル72に接続されており、共振回路74は、上側検知コイル72と共にLC共振回路を形成する。共振回路75は、横側検知コイル73に接続されており、横側検知コイル73と共にLC共振回路を形成する。
処理部76は、共振回路74および共振回路75を流れる電流の振幅または共振の電圧振幅の少なくとも一方を検出する。たとえば、処理部76は、共振回路74または共振回路75を流れる電流が予め定められた振幅値よりも小さくなると、制御部55に電力伝送を禁止する禁止信号を送信する。または、処理部76は、共振回路75または共振回路75を流れる共振の電圧振幅が予め定められた電圧振幅よりも小さくなると、制御部55に電力伝送を禁止する信号を送信する。
検出ユニット71は、上側検知コイル77と、横側検知コイル78と、共振回路79と、共振回路80と、処理部81とを含む。
上側検知コイル77は、天板部65の内壁面に設けられており、横側検知コイル78は、周壁部66の内壁面に設けられている。横側検知コイル78は、一次コイル58に対して水平方向に隣り合うように配置されている。
共振回路79は、上側検知コイル77に接続されており、共振回路80は、横側検知コイル78に接続されている。
共振回路79は、上側検知コイル77と共にLC共振回路を形成する。共振回路80は、横側検知コイル78と共にLC共振回路を形成する。
処理部81は、共振回路79および共振回路80に接続されており、共振回路79および共振回路80を流れる電流の振幅や共振の電圧振幅を検知する。
処理部81は、共振回路79および共振回路80を流れる電流の振幅または共振の電圧振幅の少なくとも一方を測定する。処理部81は、共振回路79または共振回路80を流れる電流の振幅が予め定められた振幅値を超えると、制御部55に電力伝送を禁止する信号を送信する。処理部81は、共振回路80または共振回路79の共振の電圧振幅が予め定められた電圧振幅を超えると、制御部55に電力伝送を禁止する信号を送信する。
コイルユニット60は、板状に形成されたフェライトコア57と、フェライトコア57を内部に収容する絶縁性の固定部材83と、固定部材83の周面上に巻回された一次コイル58とを含む。一次コイル58は、巻回軸線O1の周囲を取り囲むように一次コイル線を巻回して形成されている。フェライトコア57は、一次コイル58の一端から突出する磁極部98と、一次コイル58の他端から突出する磁極部99とを含む。なお、一次コイル58の構成については後述する。
図6は、送電装置50および受電装置11を示す斜視図である。この図6においては、天板部65を省略している。
周壁部66は、壁部66aと、壁部66bと、壁部66cと、壁部66dとを含む。
壁部66aと壁部66bとは、一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向に隣り合う位置に設けられている。壁部66cと壁部66dとは、一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向と直交(交差)する方向に隣り合う位置に設けられている。
そして、壁部66aの内壁面には、複数の横側検知コイル73a,73b,73c,73d、73eが配置されている。
また、壁部66bの内壁面にも、複数の横側検知コイル78a、78b、78c、78d、78eが配置されている。
壁部66cの内壁面には、横側検知コイル73fと、横側検知コイル78fとが配置されている。壁部66dの内壁面には、横側検知コイル73gと、横側検知コイル78gとが配置されている。
なお、壁部66aに配置された横側検知コイルの数は、壁部66cに設けられた横側検知コイルの数よりも多く、壁部66dに設けられた横側検知コイルの数よりも多い。同様に壁部66bに配置された横側検知コイルの数は、壁部66cに設けられた横側検知コイルの数よりも多く、壁部66dに設けられた横側検知コイルの数よりも多い。
図7は、横側検知コイル73cを模式的に示す斜視図である。この図7に示すように、横側検知コイル73cは、検知軸線O2の周囲を取り囲むように検知コイル線100を巻回して形成されており、端部101から端部102に向かうにつれて、検知軸線O2の延びる方向に変位するように形成されている。
検知軸線O2は、鉛直方向から傾くように配置されている。図7に示す例においては、検知軸線O2は水平方向に延びる。なお、検知軸線O2が水平方向に延びるとは、完全に水平方向である場合と実質的に水平方向である場合とを含む。実質的に水平方向とは、完全な水平方向に対して、たとえば、10度以下程度、傾斜した場合である。
図6において、横側検知コイル73b以外の他の横側検知コイルも、横側検知コイル73bと同様に形成されている。横側検知コイル73a〜73eおよび横側検知コイル78a〜78eの検知軸線の延びる方向は、巻回軸線O1の延びる方向と平行または実質的に平行である。実質的に巻回軸線O1と平行とは、巻回軸線O1に対して10度以下の角度で交差することを意味する。
図6において、磁極部98の上方には、上側検知コイル72a,72b,72cが配置され、磁極部99の上方には、上側検知コイル77a,77b,77cが配置されている。
図8は、上側検知コイル72bを模式的に示す斜視図である。この図8に示すように、上側検知コイル72bは、検知軸線O3の周囲を取り囲むように、検知コイル線105を巻回して形成されている。なお、上側検知コイル72bは、端部106から端部107に向かうにつれて巻回径が小さくなるように形成されている。
検知軸線O3は、鉛直方向D1と平行または鉛直方向D1と実質的に平行である。検知軸線O3が鉛直方向D1と実質的に平行であるとは、たとえば、検知軸線O3が鉛直方向D1とが10度以下の角度で交差することを意味する。
図6において、上側検知コイル72b以外の他の上側検知コイルも上側検知コイル72bと同様に形成されている。
上側検知コイル72a〜72cおよび上側検知コイル77a〜77cの検知軸線も鉛直方向D1と平行または鉛直方向D1と実質的に平行である。
図6において、フェライトコア57は、板状に形成されている。フェライトコア57は、端面と、周面とを含み、一次コイル58は、固定部材83を介して、一次コイル58の周面に巻回されている。なお、この図6に示す例においては、固定部材83を介して一次コイル58がフェライトコア57の周面に巻回されているが、固定部材83を省略してもよい。
図9は、一次コイル58およびその周囲の構成を示す斜視図である。この図9に示すように、フェライトコア57は、端面84および端面85と、周面86とを含む。なお、周面86は、上面87と、下面88と、側面89と、側面90とを含む。
一次コイル58は、巻回軸線O1の周囲を取り囲むように、一次コイル線97を巻回して形成され、一次コイル58は、端部91から端部92に向かうにつれて、巻回軸線O1が延びる方向に変位するように形成されている。
具体的には、一次コイル58は、フェライトコア57の上面87に沿って延びる上辺部93と、上辺部93の端部に接続され、側面90に沿って延びる側辺部94と、側辺部94の端部に接続され、下面88に沿って延びる下辺部95と、下辺部95の端部に接続され、側面89に沿って延びる側辺部96とを含む。なお、1つの上辺部93と、1つの側辺部94と、1つの下辺部95と、1つの側辺部96とによって、一次コイル58は、一巻きされる。
ここで、一次コイル58の周囲に位置する領域のうち、一次コイル58から巻回軸線O1が延びる方向に隣り合う領域を領域R1および領域R2とする。なお、領域R1は端部91側に位置し、領域R2は端部92側に位置している。
横側検知コイル73b,73c,73dは、領域R1内に位置しており、横側検知コイル78b,78c,78dは、領域R2内に位置している。
このように、横側検知コイル73b,73c,73dおよび横側検知コイル78b,78c,78dは、一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向に隣り合うように配置されている。
図10は、送電装置50を示す平面図である。なお、この図10においても、天板部65は省略している。
図10において、一次コイル58の周囲に位置する領域のうち、一次コイル58に対して、巻回軸線O1と直交する方向に位置する領域を領域R3,R4とする。
本実施の形態1に示す例においては、領域R3および領域R4内には、横側検知コイルは設けられていない。その一方で、領域R1,R2内には複数の横側検知コイルが設けられている。このため、領域R1,R2内に位置する横側検知コイルの数は、領域R3,R4内に位置する横側検知コイルの数よりも多い。なお、領域R3,R4内にも横側検知コイルを配置するようにしてもよいが、領域R3,R4内に位置する検知コイルの数は、領域R1,R2内に位置する横側検知コイルの数よりも少ない。
図11は、受電装置11を示す断面図である。この図11に示すように、受電装置11は、受電部20と、受電部20を内部に収容する収容ケース30とを含む。受電部20は、キャパシタ23と、端面と周面とを含むフェライトコア21と、フェライトコア21を収容する固定部材27と、固定部材27を介してフェライトコア21の周面に巻回された二次コイル22とを含む。
二次コイル22は、巻回軸線O10の周囲を取り囲むように二次コイル線29を巻回して形成されている。二次コイル22は、一端から他端に向かうにつれて、巻回軸線O10の延びる方向に延びるように形成されている。
フェライトコア21は、二次コイル22の一端から外方に突出する磁極部33と、二次コイル22の他端から突出する磁極部34とを含む。
収容ケース30は、シールド31と、シールド31の下面に設けられた樹脂カバー32とを含む。樹脂カバー32は、底壁部35と、底壁部35の周縁部から上方に立ち上がるように形成された周壁部36と、周壁部36の上端部から外方に突出する鍔部37とを含む。そして、鍔部37とシールド31とが固定されている。
図6において、上記のように構成された電力伝送システムにおいて、送電装置50から受電装置11に非接触で電力伝送する際の各部材の駆動について簡単に説明する。詳細な電力伝送の仕組みについては、後述する。
送電装置50と受電装置11との間で電力伝送する際には、送電装置50の上方に受電装置11が位置し、送電装置50と受電装置11とが対向する。
送電装置50の磁極部98の上方に受電部20の磁極部33が位置する。同様に、送電装置50の磁極部99の上方に受電装置11の磁極部34が位置する。
そして、一次コイル58に特定の周波数の電流が供給される。そして、一次コイル58から二次コイル22に電力が送電される。特に、本実施の形態においては、一次コイル58に特定の周波数の電流が供給されることで、受電装置11と送電装置50との間で磁路120が形成される。
磁路120は、磁極部98と、磁極部33と、二次コイル22内と磁極部34と、磁極部99と一次コイル58内とを通る。
このように受電装置11と送電装置50との間で電力伝送がなされると、送電装置50の周囲に電磁界が形成される。
当該電磁界は、一次コイル58から巻回軸線O1の延びる方向に広く分布する。これにより、一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向に位置する領域における磁界強度は、一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向と直交する領域における磁界強度よりも高くなる。
このように電力伝送がなされている際には、図5に示す異物検出装置62も駆動する。具体的には、上側検知コイル72、横側検知コイル73、上側検知コイル77および横側検知コイル78に所定周波数の電流が供給される。
横側検知コイル73に供給される電流の周波数は、横側検知コイル73と共振回路75とにより形成されるLC共振回路の共振周波数である。同様に他の横側検知コイル78および側検知コイル72,77に供給される電流の周波数も、他の横側検知コイル78および側検知コイル72,77と共振回路80,74,79とによって形成されるLC共振回路の共振周波数である。
ここで、一次コイル58に流れる電流の周波数と、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77に流れる電流の周波数とが異なる。
たとえば、一次コイル58に供給する電流の周波数よりも、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77に供給する電流の周波数を低くする。
具体的には、一次コイル58に供給する電流の周波数は、100KHz程度であり、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77に供給する電流の周波数は、50KHz程度である。
このように、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77に供給する電流の周波数を低くすることで、一次コイル58から高調波ノイズが生じたとしても、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77を流れる電流に影響が生じることを抑制することができる。
また、一次コイル58に供給する電流の周波数よりも、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77に供給する電流の周波数を高くしてもよい。
具体的には、一次コイル58に供給する電流の周波数を100KHz程度として、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77に供給する電流の周波数を1MHZ程度とする。
このように、上側検知コイル72,77および横側検知コイル73,78に供給される電流の周波数と一次コイル58に供給される電流の周波数とを異ならせることで、異物検出装置62が良好に駆動する。
横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77に所定の周波数の電流が供給されることで、横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77の周囲に磁界が形成される。
ここで、横側検知コイル73,78は、検知軸線O2が水平方向に向くように配置されており、上側検知コイル72,77は、検知軸線O3が鉛直方向D1に向くように配置されている。このように、横側検知コイル73,78の姿勢と、側検知コイル72,77の姿勢とは異なる。
そこで、検知コイルの姿勢と、検知コイルの周囲に形成される磁界強度との関係について、図12から図14を用いて説明する。
図12は、検知コイル40と検知ポイントPとを模式的に示す模式図である。ここで、検知ポイントPでの磁界強度Hは、下記の式(1)〜(3)により導出することができる。
H=(HR 2+Hθ 2)1/2・・・(1)
HR=(2M/4πR3)cosθ・・・(2)
Hθ=(M/4πR3)sinθ・・・(3)
図13は、検知コイル40の姿勢と、検知ポイントPの位置とを変化させた状態を模式的に示す模式図である。図14は、図13に示す状態において、検知ポイントPの磁界強度との関係を示すグラフである。
図13において、実線で示された検知コイル40は、角度φが0°の比較基準の姿勢である。破線で示された検知コイル40は、検知コイル40を傾けたときの状態を示す検知コイル40である。
検知ポイントP10は、基準位置における検知ポイントであり、検知ポイントP11は、検知ポイントP10から水平方向に移動した位置における検知ポイントである。そして、距離Lは、検知ポイントP10と検知ポイントP11との間の距離を示す。
なお、この図13に示す例においては、検知コイル40は、径が300mm程度のコイルである。検知ポイントP10は、検知コイル40から水平方向に10mm離れ、鉛直方向に10mm離れた位置である。
図14において、縦軸は、磁界強度を示し、横軸は、距離Lを示す。
図14において、「φ=0°」は、検知コイル40が比較基準の姿勢として、検知ポイントPを検知ポイントP10から検知ポイントP11まで移動させたときにおける磁界強度を示す。
「φ=90°」は、比較基準の検知コイル40から角度φが90°となるように検知コイル40を傾斜させた状態において、検知ポイントPを検知ポイントP10から検知ポイントP11まで移動させたときにおける各検知ポイントの磁界強度を示す。
「φ=120°」は、比較基準の検知コイル40から角度φが120°となるように検知コイル40を傾斜させた状態において、検知ポイントPを検知ポイントP10から検知ポイントP11まで移動させたときにおける各検知ポイントの磁界強度を示す。
「φ=135°」は、比較基準の検知コイル40から角度φが135°となるように検知コイル40を傾斜させた状態において、検知ポイントPを検知ポイントP10から検知ポイントP11まで移動させたときにおける各検知ポイントの磁界強度を示す。
図14に示すように、検知コイル40の周囲に位置する領域のうち、検知コイル40に対して巻回軸線の延びる方向に位置する領域では、磁界強度が高いことが分かる。
ここで、図7において、横側検知コイル73,78の検知軸線O2は、水平方向に向いている。このため、横側検知コイル73,78に対して検知軸線O2の延びる方向に位置する領域では、磁界強度が高くなる。
さらに、図8において、上側検知コイル72,77の検知軸線O3は、鉛直方向D1に向いている。このため、上側検知コイル72,77に対して検知軸線O3の延びる方向に位置する領域では、磁界強度が高くなる。
このように横側検知コイル73,78および側検知コイル72,77の周囲に磁界が形成される。
まず、横側検知コイル73,78によって形成される磁界について説明する。図10において、横側検知コイル73a〜73gと、横側検知コイル78a〜78gとに電流が流れることで、横側検知コイル73a〜73gと、横側検知コイル78a〜78gとの周囲に磁界が形成される。
具体的には、各横側検知コイル73a〜73gの周囲には、強磁界領域R10が形成され、各横側検知コイル78a〜78gの周囲には、強磁界領域R11が形成される。強磁界領域R10,R11は、各横側検知コイル73a〜73g,78a〜78gの検知軸線O2に向けて広く分布する。
さらに、送電装置50の周囲には、横側検知コイル73a〜73gと、横側検知コイル78a〜78gとによって磁界領域R20が形成される。
ここで、検知軸線O2の延びる方向が巻回軸線O1と延びる方向と平行となるように配置された横側検知コイル73a〜73e,78a〜78eの数は、検知軸線O2延びる方向が巻回軸線O1と直交する方向となるように配置された横側検知コイル73f、73g、78f、78gの数よりも多い。
このため、磁界領域R20は、巻回軸線O1に直交する方向よりも巻回軸線O1の延びる方向に広く分布する。
なお、横側検知コイル73a〜73gおよび横側検知コイル78a〜78gに電流が供給されることで、横側検知コイル73a〜73gおよび横側検知コイル78a〜78gから磁束が放射される。
横側検知コイル73a〜73gおよび横側検知コイル78a〜78gは、フェライトコア57の近傍に位置しているため、横側検知コイル73a〜73gおよび横側検知コイル78a〜78gからの磁束の一部は、フェライトコア57内に入り込む。
フェライトコア57の透磁率は高いため、フェライトコア57内に入り込んだ磁束は、フェライトコア57内を良好に流れる。
フェライトコア57内に入り込んだ磁束は、その後、フェライトコア57の表面から出射される。そして、各横側検知コイル73a〜73gおよび横側検知コイル78a〜78gに戻る。
この結果、横側検知コイル73a〜73gおよび横側検知コイル78a〜78gが設けられていない領域においても、高い磁界強度が確保される。
このため、たとえば、横側検知コイル73fと横側検知コイル78fとの間に位置する領域と、横側検知コイル73gおよび横側検知コイル78gの間に位置する領域とは、磁界領域R20内に位置する。
このように、受電装置11と送電装置50との間で電力伝送する際には、送電装置50の周囲に横側検知コイル73a〜73g,78a〜78gによって、強磁界領域R10,R11および磁界領域R20が形成される。なお、強磁界領域R10,R11の磁界強度は、磁界領域R20の磁界強度よりも高い。
ここで、領域R3内に金属片などの異物が入り込んだとする。この際、この金属片M1が磁界領域R20内に位置していたとする。この場合、金属片M1には、磁界の電磁誘導作用によって渦電流が生じる。これにより、横側検知コイル73f,78fの実効抵抗値が変化する。これにより、図5に示す共振回路75,79内を流れる電流の振幅が小さくなったり、共振回路75,80内を流れる共振の電圧振幅が小さくなる。
処理部76,81は、共振回路75,80内を流れる電流の振幅が、予め設定された振幅値よりも小さくなると、制御部55に電力伝送を禁止する信号を送信する。
ここで、図10からも明らかなように、領域R1,R2における磁界強度は、領域R3,R4における磁界強度よりも高いことが分かる。
具体的には、壁部66a,66bには、複数の横側検知コイル73a〜73e,78a〜78eが位置しており、壁部66a,66bの外側は、強磁界領域R10、R11で覆われている。このため、領域R1および領域R2における磁界強度は、領域R3,R4における磁界強度よりも高い。
このため、たとえば、横側検知コイル73bの近傍に金属片M2が入り込んだとすると、金属片M2には、多くの渦電流が流れる。これにより、横側検知コイル73bの実効抵抗値が大きく上昇する。これにより、図5に示す共振回路75を流れる電流の振幅が大きく低下したり、共振の電圧振幅が小さくなる。処理部76は、良好に振幅値の変動や共振の電圧振幅の変動を良好に検出することができる。
このように、領域R1内に金属片M2などの異物が入り込んだ時には、良好に当該金属片M2の存在を検知することができ、受電装置11と送電装置50との間の電力伝送を停止させることができる。
なお、同様に、領域R2内に金属片などの異物が入り込んだときにも、金属片などの異物を検知することができ、受電装置11と送電装置50との間の電力伝送を停止させることができる。
このように、受電装置11と送電装置50との電力伝送時に、一次コイル58によって、領域R1,R2に強度の高い磁界が形成される一方で、横側検知コイルによって当該領域R1,R2に入り込んだ異物を良好に検出することができる。
次に、図5において、上側検知コイル72,77によって形成される磁界は、上側検知コイル72,77から検知軸線O3の延びる方向に広く分布する。
そして、図6に示すように複数の上側検知コイル72a〜72c,77a〜77cが巻回軸線O1に垂直な方向に配列している。このため、図5に示す天板部65の上面上に金属片などが置かれた場合には、当該金属片を良好に検知することができる。
図6において、上側検知コイル72a〜72cは、磁極部98上に配列しており、上側検知コイル77a〜77cは、磁極部99上に配列している。
ここで、受電装置11と送電装置50との間で電力伝送がされている場合には、磁路120が磁極部98および磁極部99を通る。このため、磁極部98の上方と、磁極部99の上方には、多くの磁束が流れる。
ここで、磁極部98の上方に位置する領域を第1上面領域とし、磁極部99の上方に位置する領域を第2上面領域とし、第1上面領域と第2上面領域との間に位置する領域をコイル周面領域とする。
磁極部98および磁極部98の上方には、複数の上側検知コイル72,77が配置されているため、第1上面領域と第2上面領域とにおいて、上側検知コイル72,77によって形成される磁界強度は、コイル周面領域において、上側検知コイル72,77によって形成される磁界強度よりも高い。
このため、異物検出装置は、第1上面領域内および第2上面領域内に位置する金属片などの異物を良好に検知することができる。このように、電力伝送によって多くの磁束が流れる位置に複数の上側検知コイル72a〜72c,77a〜77cを配置することで、磁束が多く流れる領域に金属片などの異物が入り込んだとしても、良好に当該異物を検知することができる。
上記のように構成された電力伝送システムにおいて、電力伝送するときの各動作原理などについて説明する。
図1において、外部給電装置51から車両10に電力を伝送する際には、受電部20と送電部56とが対向するように、車両10が停車する。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部56の固有周波数と、受電部20の固有周波数との差は、受電部20または送電部56の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部56および受電部20の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部20または送電部56の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、バッテリ15の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
ここで、送電部56の固有周波数とは、キャパシタ59が設けられていない場合には、一次コイル58のインダクタンスと、一次コイル58のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ59が設けられた場合には、送電部56の固有周波数とは、一次コイル58およびキャパシタ59のキャパシタンスと、一次コイル58のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部56の共振周波数とも呼ばれる。
同様に、受電部20の固有周波数とは、キャパシタ23が設けられていない場合には、二次コイル22のインダクタンスと、二次コイル22のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ23が設けられた場合には、受電部20の固有周波数とは、二次コイル22およびキャパシタ23のキャパシタンスと、二次コイル22のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部20の共振周波数とも呼ばれる。
図15および図16を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図15は、電力伝送システムのシミュレーション
モデルを示す図である。電力伝送システムは、送電装置190と、受電装置191とを備え、送電装置190は、コイル192(電磁誘導コイル)と、送電部193とを含む。送電部193は、コイル194(1次コイル)と、コイル194に設けられたキャパシタ195とを含む。
受電装置191は、受電部196と、コイル197(電磁誘導コイル)とを備える。受電部196は、コイル199とこのコイル199(2次コイル)に接続されたキャパシタ198とを含む。
コイル194のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ195のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。コイル199のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ198のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部193の固有周波数f1は、下記の式(4)によって示され、受電部196の固有周波数f2は、下記の式(5)によって示される。
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2}・・・(4)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2}・・・(5)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部193および受電部196の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を図16に示す。なお、このシミュレーションにおいては、コイル194およびコイル199の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部193に供給される電流の周波数は一定である。
図16に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(6)によって示される。
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(6)
図16からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部196の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部196の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。
図1において、一次コイル58には、高周波電力ドライバ54から交流電力が供給される。この際、一次コイル58を流れる交流電流の周波数が特定の周波数となるように電力が供給されている。
一次コイル58に特定の周波数の電流が流れると、一次コイル58の周囲には特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
二次コイル22は、一次コイル58から所定範囲内に配置されており、二次コイル22は一次コイル58の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。
本実施の形態においては、二次コイル22および一次コイル58は、所謂、ヘリカルコイルが採用されている。このため、一次コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界および電界が形成され、二次コイル22は主に当該磁界から電力を受け取る。
ここで、一次コイル58の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と一次コイル58に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、一次コイル58に供給される電流の周波数との関係について説明する。一次コイル58から二次コイル22に電力を伝送するときの電力伝送効率は、一次コイル58および二次コイル22の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部56および受電部20の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、一次コイル58に供給される電流の周波数を周波数f3とし、二次コイル22および一次コイル58の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
図17は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、一次コイル58に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
図17に示すグラフにおいて、横軸は、一次コイル58に供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、一次コイル58に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、一次コイル58に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、図1に示す一次コイル58に供給する電流の周波数を一定として、エアギャップAGにあわせて、キャパシタ59やキャパシタ23のキャパシタンスを変化させることで、送電部56と受電部20との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が挙げられる。具体的には、一次コイル58に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ59およびキャパシタ23のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、一次コイル58および二次コイル22に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置50と高周波電力ドライバ54との間に設けられた整合器を利用する手法や、コンバータ14を利用する手法などを採用することもできる。
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、一次コイル58に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、図17において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、一次コイル58には周波数が周波数f4または周波数f5の電流を一次コイル58に供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を一次コイル58に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて一次コイル58および二次コイル22に流れる電流の周波数を変化させることになる。
第1の手法では、一次コイル58を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、一次コイル58を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が一次コイル58に供給される。一次コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、一次コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部20は、受電部20と送電部56の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部56から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、一次コイル58に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、一次コイル58および二次コイル22の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、一次コイル58に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
なお共鳴コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、共鳴コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、一次コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が一次コイル58の周囲に形成される。そして、この電界をとおして、送電部56と受電部20との間で電力伝送が行われる。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。図18は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図18を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部56および受電部20(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部56から他方の受電部20へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電磁界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
このように、この電力伝送システムにおいては、送電部と受電部とを電磁界によって共振(共鳴)させることで送電部と受電部との間で非接触で電力が送電される。このような受電部と送電部との間に形成される電磁場は、たとえば、近接場共振(共鳴)結合場という場合がある。そして、送電部と受電部との間の結合係数κは、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κを0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
本実施の形態の電力伝送における送電部56と受電部20との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。
「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
本明細書中で説明した送電部56の一次コイル58と受電部20の二次コイル22とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部56と受電部20とは主に、磁界によって結合しており、送電部56と受電部20とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
なお、一次コイル58,22として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部56と受電部20とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部56と受電部20とは、「電界(電場)共振結合」している。このように、本実施の形態においては、受電部20と送電部56との間で非接触で電力伝送をしている。このように、非接触で電力伝送する際には、受電部20と送電部56との間には、主に、磁界が形成される。
(実施の形態2)
図19および図20を用いて、本実施の形態2に係る電力伝送システム、受電装置11および送電装置50について説明する。
図19は、本実施の形態2に係る送電装置50を示す断面図である。本実施の形態においては、横側検知コイル73および横側検知コイル78は、検知軸線O2が鉛直方向から傾斜するように形成されている。
なお、本実施の形態2においても、上記の実施の形態1と同様に、複数の横側検知コイル73,78が巻回軸線O1と直交する方向に配列している。
図20は、横側検知コイル73を模式的に示す断面図である。この図20に示すように、検知軸線O2は、鉛直方向D1から傾くように配置されている。具体的には、検知軸線O2は、鉛直方向D1から水平方向D2に向けて傾斜するように配置されている。
これにより、横側検知コイル73は、横側検知コイル73に対して鉛直方向D1に位置する金属片などの異物のみならず、横側検知コイル73に対して水平方向D2に位置する異物を検知することができる。
特に、横側検知コイル73は、検知軸線O2が鉛直方向D1から巻回軸線O1の延びる方向に傾くように配置される。なお、この図20に示す例においては、検知軸線O2は、二次コイル22から離れるにつれて、上方に向かうように傾斜している。
これにより、横側検知コイル73の検知軸線O2が鉛直方向D1に向くように配置された場合と比較すると、横側検知コイル73は、横側検知コイル73に対して巻回軸線O1の延びる方向に位置する金属片等の異物を検知することができる。
同様に、図21に示すように、横側検知コイル78も、検知軸線O2が鉛直方向D1から巻回軸線O1の延びる方向に傾くように、横側検知コイル78が配置されている。なお、横側検知コイル78の検知軸線O2は、巻回軸線O1の延びる方向に一次コイル58から離れるにつれて、上方に向かうように配置されている。
図22は、横側検知コイル73の搭載姿勢の変形例を示す断面図である。この図22に示すように、検知軸線O2は、一次コイル58から離れるにつれて、下方に向かうように配置されている。
図23は、横側検知コイル78の搭載姿勢の変形例を示す断面図である。この図23に示すように、横側検知コイル78の検知軸線O2は、巻回軸線O1の延びる方向に一次コイル58から離れるにつれて下方に向かうように傾斜している。
図22および図23に示すように、横側検知コイル73および横側検知コイル78を配置することで、地面と送電装置50とによって形成される角部に異物が貯まったときに、当該異物を良好に検出することができる。
このように、検知軸線O2を傾けるとは、上記のように、「検知軸線O2を鉛直方向から水平方向D2に向けて傾ける場合」と「検知軸線O2を鉛直方向D1から巻回軸線O1の延びる方向に向けて傾ける場合」とを含む。
また、「検知軸線O2を鉛直方向D1から巻回軸線O1の延びる方向に向けて傾ける」とは、「検知軸線O2が巻回軸線O1の延びる方向に一次コイル58から離れるにつれて、検知軸線O2が上方に向かう場合」と「検知軸線O2が巻回軸線O1の延びる方向に一次コイル58から離れるにつれて、検知軸線O2が下方に向かう場合」とを含む。
(実施の形態3)
図24を用いて、本実施の形態3に係る電力伝送システム、送電装置50および受電装置11について説明する。
図24は、本実施の形態3に係る電力伝送システムを模式的に示す斜視図である。この図24に示すように、送電装置50は、壁部66aの内壁面に設けられた横側検知コイル130と、壁部66bの内壁面に設けられた横側検知コイル131と、壁部66cの倍壁面に設けられた横側検知コイル132と、壁部66dの内壁面に設けられた横側検知コイル133とを含む。
壁部66a,66b、66c、66dの鉛直方向の高さは、幅方向(水平方向)の長さよりも小さい。
横側検知コイル130は、壁部66aの幅方向の一端から他端に亘って延びるように形成されている。横側検知コイル131は、壁部66bの幅方向の一端から他端に亘って延びるように形成されている。横側検知コイル132は、壁部66cの幅方向の一端から他端に亘って延びるように形成されている。横側検知コイル133は、壁部66dの幅方向の一端から他端に亘って延びるように形成されている。横側検知コイル130,131,132,133の巻回中心線は、水平方向に延びる。
このように、周壁部66の内壁面の略全面に亘って検知コイルが配置されることで、周壁部66と隣り合う位置に金属片などの異物があると、当該異物を良好に検知することができる。
図25は、異物検出装置62を模式的に示すブロック図である。この図25に示すように、横側検知コイル130と、横側検知コイル133とが共振回路75に並列となるように接続されている。
ここで、横側検知コイル130と横側検知コイル133とを共振回路75に並列に接続することで、横側検知コイル130,133および共振回路75によって形成されるLC共振回路の共振周波数を高くすることができる。
また、横側検知コイル131と、横側検知コイル132とが共振回路80に並列に接続されている。これにより、横側検知コイル131,132および共振回路80によって形成されるLC共振回路の共振周波数を高くすることができる。このように、大きなコイルを使用する場合においても、並列化によって、高周波化を可能とすることができる。
なお、本実施の形態3に係る送電装置50においては、4つの検知コイルで周壁部66の内壁面の略全面をコイルで覆うようにしているが、1つの長尺な検知コイルで周壁部66の内壁面を覆うようにしてもよい。
(実施の形態4)
図26から図28を用いて、本実施の形態4に係る電力伝送システム、受電装置11および送電装置50について説明する。
図26は、受電装置11と、送電装置50とを模式的に示す斜視図である。この図26に示すように、受電装置11は、受電部20を含み、受電部20は、コイルユニット24と、キャパシタ23とを含む。コイルユニット24は、フェライトコア21と二次コイル22とを含む。
フェライトコア21は、平板状に形成されている。二次コイル22は、フェライトコア21の下面に配置されている。二次コイル22は、巻回軸線O10の周囲を取り囲むように二次コイル線29を巻回して形成されている。二次コイル22は、一端から他端に向かうにつれて、巻回径が小さくなるように形成されている。巻回軸線O10は、鉛直方向D1に延びる。
二次コイル22の中心には、空隙部41が形成されている。フェライトコア21は二次コイル22よりも大径に形成されている。
このため、フェライトコア21の外周縁部は、二次コイル22から露出している。さらに、フェライトコア21の一部は、空隙部41から露出している。
送電装置50は、送電部56を含み、送電部56は、キャパシタ59とコイルユニット60とを含む。コイルユニット60は、平板状に形成されたフェライトコア57と、フェライトコア57の上面上に配置された一次コイル58とを含む。
一次コイル58は、巻回軸線O1の周囲を取り囲むように一次コイル線97を巻回して形成されている。一次コイル58は、一端から他端に向かうにつれて、巻回径が小さくなるように形成されている。巻回軸線O1は、鉛直方向D1に延びる。
このように、一次コイル58は渦巻状に形成されており、一次コイル58の中心には、空隙部140が形成されている。このため、フェライトコア57の一部は、空隙部140から外部に露出している。
フェライトコア57は、一次コイル58よりも大径に形成されている。このため、フェライトコア57の上面のうち、フェライトコア57の外周縁部の近傍は、一次コイル58から露出している。
図27は、送電装置50を示す断面図である。この図27に示すように、送電装置50は、異物検出装置62を含む。
異物検出装置62は、複数の上側検知コイル72と、複数の横側検知コイル73と、共振回路75,74と、処理部76,81とを含む。
上側検知コイル72は、天板部65の内壁面に設けられている。上側検知コイル72は、空隙部140の上方に位置している。複数の横側検知コイル73は、周壁部66の内壁面に間隔をあけて配置されている。
共振回路75は、横側検知コイル73に接続されており、共振回路74は、上側検知コイル72に接続されている。
処理部76は、共振回路75に接続されており、処理部81は、共振回路74に接続されている。処理部76および処理部81は、制御部55に接続されている。
図28は、送電装置50を模式的に示す平面図である。なお、図28においては、天板部65を省略している。この図28に示すように、複数の上側検知コイル72が空隙部140の上方に位置している。
上側検知コイル72は、検知軸線O3の周囲を取り囲むように検知コイル線を巻回することで形成されている。上側検知コイル72は、検知軸線O3が鉛直方向D1に向くように配置されている。
周壁部66は、壁部66a,66b、66c、66dを含む。そして、各壁部66a,66b、66c、66dに1つの横側検知コイル73が配置されている。
横側検知コイル73は、検知軸線O2の周囲を取り囲むように検知コイル線を巻回することで形成されている。検知軸線O2は、鉛直方向D1から水平方向に向けて傾くように配置されている。なお、本実施の形態3においては、横側検知コイル73は、検知軸線O2が水平方向に向くように配置されている。上側検知コイル72の数は、横側検知コイル73の数よりも多い。なお、この図28に示す例においては、上側検知コイル72は9個設けられ、横側検知コイル73は、4つ設けられているが、各検知コイルの数は、上記の数に限られない。
上記のように構成された受電装置11および送電装置50との間で電力伝送を行う際には、受電装置11と搭載した車両が送電装置50と受電装置11とが図26に示すように対向するように停車する。
そして、一次コイル58に特定の周波数の電流が供給される。一次コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、コイルユニット24とコイルユニット60との間で磁路120a〜120dが形成される。なお、図26に示す磁路120a〜120dは、磁路を例示的に示したものである。
磁路120a〜120dは、フェライトコア57の外周縁部と、エアギャップと、フェライトコア21の外周縁部と、フェライトコア21内と、フェライトコア21のうち空隙部41から露出する部分と、エアギャップと、フェライトコア57のうち空隙部140から露出する部分と、フェライトコア57内とを通る。
このように、フェライトコア57のうち、空隙部140から露出する部分には、磁束が集中する。
そして、電力伝送中においては、図27に示す異物検出装置62が駆動する。異物検出装置62が駆動すると、横側検知コイル73および上側検知コイル72に所定の周波数の電流が供給される。上側検知コイル72および横側検知コイル73の周囲に磁界が形成される。
本実施の形態4においても、横側検知コイル73が設けられているので、送電装置50に対して水平方向に隣り合う位置に金属片などが入り込むと、当該金属片を検知することができる。また、各壁部66a〜66dに横側検知コイル73が設けられているので、異物検出装置62は、壁部66と隣り合う位置に金属片等の異物があると当該異物を検知することができる。異物検出装置62が金属片などの異物を検知すると、処理部76が制御部55に送電を禁止する信号を送信する。
同様に、複数の上側検知コイル72が設けられているため、たとえば、天板部65上に金属片などの異物がある場合には、異物検出装置62は当該異物を検知することができる。
図28に示すように、複数の上側検知コイル72が空隙部140の上方に位置しており、複数の上側検知コイル72が一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向に隣り合う位置に設けられている。このため、空隙部140の上方に位置する領域(一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向に隣り合う領域)において、上側検知コイル72および横側検知コイル73によって形成される磁界強度は、周壁部66の周囲に位置する領域(一次コイル58に対して巻回軸線O1の延びる方向と交差する方向に隣り合う領域)に形成される磁界強度よりも高い。
このため、異物検出装置62は、空隙部140の上方に金属片などの異物を良好に検出することができる。空隙部140の上方に位置する領域は、一次コイル58および二次コイル22からの磁束が多く流れている。本実施の形態4に係る送電装置50においても、磁束密度が高い領域内に位置する異物を良好に検知することができる。
(実施の形態5)
図29から図31を用いて、本実施の形態5に係る電力伝送システム、送電装置、受電装置について説明する。
図29は、本実施の形態5に係る電力伝送システムを模式的に示す斜視図である。この図29に示すように、受電装置11は、コイルユニット24を含み、コイルユニット24は、フェライトコア21と、フェライトコア21の下面に配置された二次コイル22とを含む。
二次コイル22は、コイル38と、コイル38と隣り合うように配置されたコイル39とを含む。コイル38は、巻回軸線O11の周囲を取り囲むようにコイル線を巻回して形成されている。巻回軸線O11は、鉛直方向D1に延びる。ここで、コイル38の中央部には、空隙部112が形成されている。コイル39は、巻回軸線O12の周囲を取り囲むようにコイル線を巻回して形成されている。巻回軸線O12も、鉛直方向D1に延びる。
コイル39の中央部には、空隙部113が形成されている。フェライトコア21の一部は、空隙部112および空隙部113から露出している。なお、電力伝送時には、コイル38からの磁束の向きと、コイル39からの磁束の向きとは反対方向となるように、コイル38およびコイル39に電流が流れる。
送電装置50は、コイルユニット60を含み、コイルユニット60は、フェライトコア57と、フェライトコア57の上面に配置された一次コイル58とを含む。一次コイル58は、コイル114と、コイル114と隣り合うコイル115とを含む。
コイル114は、巻回軸線O13の周囲を取り囲むように検知コイル線を取り囲むように形成されている。巻回軸線O13は、鉛直方向D1に延びる。コイル114の中央部には、空隙部116が形成されている。
コイル115は、巻回軸線O14の周囲を取り囲むように検知コイル線を巻回して形成されている。巻回軸線O14は、鉛直方向D1に延びる。コイル115の中央部には空隙部117が形成されている。
フェライトコア57は、コイル114とコイル115との配列方向に長尺に形成されている。フェライトコア57の一部は、空隙部116および空隙部117から露出している。
図30は、送電装置50を示す断面図である。この図30に示すように、送電装置50は、コイルユニット60を内部に収容する収容ケース61と、異物検出装置62とを含む。収容ケース61はシールド63と、シールド63の上面上に配置された樹脂カバー64とを含む。
異物検出装置62は、周壁部66の内表面に設けられた複数の横側検知コイル73と、天板部65に設けられた複数の上側検知コイル72とを含む。横側検知コイル73は、検知軸線O2が水平方向に向くように配置されている。なお、横側検知コイル73の搭載姿勢は、検知軸線O3が鉛直方向D1に対して傾斜する方向であればよい。上側検知コイル72は、検知軸線O3が鉛直方向D1に向くように配置されている。
図31は、送電装置50を示す平面図であり、この図31においても、天板部65を省略している。
この図31に示すよう例においては、上側検知コイル72の数は、横側検知コイル73(73a〜73h)の数よりも多い。上側検知コイル72は、空隙部116,117の上方に設けられている。具体的には、複数の上側検知コイル72が、コイル114に対して巻回軸線O13の延びる方向に隣り合う位置に設けられており、複数の上側検知コイル72がコイル115に対して巻回軸線O14の延びる方向と隣り合う位置に設けられている。
周壁部66は、複数の66a〜66dを含み、壁部66aと壁部66bとがフェライトコア57の長手方向に配列している。
そして、壁部66aおよび壁部66bのうち、フェライトコア57に対してフェライトコア57の長手方向に隣り合う部分に、横側検知コイル73a,73b、73c、73dが設けられている。
本実施の形態において、電力伝送システムにおいて送電装置50から受電装置11に電力を伝送する際には、一次コイル58に特定の周波数の電流が供給される。この際、コイル114によって形成される磁束の向きと、コイル115によって形成される磁束の向きとは反対方向である。
そして、図29に示すように、コイルユニット24と、コイルユニット60との間で磁路120および磁路121が形成される。なお、磁路120は、主磁束が通る磁路であり、磁路120を通る磁束量の方が、磁路121を通る磁束量よりも多い。
磁路120は、フェライトコア57のうち、空隙部116内に位置する部分と、エアギャップと、フェライトコア21のうち空隙部112が位置する部分と、フェライトコア21内と、フェライトコア21のうち空隙部113が位置する部分と、エアギャップと、フェライトコア57のうち空隙部117内に位置する部分と、フェライトコア57とを通る。その一方で、磁路121は、フェライトコア21の端部とフェライトコア57の端部とを通る磁路である。
このように受電装置11と送電装置50との間で電力伝送を行う際には、図30に示す異物検出装置62も駆動し、横側検知コイル73と上側検知コイル72とに所定の周波数の電流が流れる。
天板部65の上面上に位置する金属片などの異物がある場合には、上側検知コイル72の電流の振幅や共振の電圧振幅が変動するため、異物検出装置62は、当該異物を検知することができる。周壁部66の周囲に金属片などの異物がある場合には、横側検知コイル73の電流の振幅や共振の電圧振幅が変動することで、異物検出装置62は、当該異物を検知することができる。
特に、空隙部116,117の上方に多くの上側検知コイル72が配置されている。このため、空隙部116および空隙部117の上方に金属片などの異物がある場合には、異物検出装置62は、この異物を精度よく検知することができる。
二次コイル22および一次コイル58を通る磁束は、空隙部116および空隙部117を主に通る一方で、空隙部116,117の上方に位置する異物がある場合には、電力伝送を停止することで、送電装置50などに悪影響が生じることを抑制することができる。
本実施の形態においても、横側検知コイル73の検知軸線O2は、鉛直方向D1から水平方向に傾斜するように延びるため、異物検出装置62は、送電装置50と水平方向に隣り合う異物を検知することができる。特に、検知軸線O2が水平方向に向いているため、良好に上記の異物を検知することができる。
ここで、磁路121は、フェライトコア57の両端部を通る。その一方で、横側検知コイル73a,73b、73c、73dは、フェライトコア57に対して、フェライトコア57の長手方向に隣り合うように配置されている。このため、磁路121が通る領域に金属片などの異物がある場合には、異物検出装置62は、当該異物を良好に検知することができる。
(実施の形態6)
図32を用いて、本実施の形態6に係る電力伝送システム、送電装置および受電装置について説明する。
図32は、本実施の形態6に係る受電装置11と、送電装置50とを模式的に示す斜視図である。
この図32に示すように、受電部20は、フェライトコア21と、このフェライトコア21に設けられた二次コイル22とを含む。フェライトコア21は、複数のコア片173,174,175,176を含む。各コア片173,174,175,176の一方の端部は、互いに接続されている。
二次コイル22は、コア片173に巻回されたコイル184と、コア片174に巻回されたコイル181と、コア片175に巻回されたコイル182と、コア片176に巻回されたコイル183とを含む。これにより、フェライトコア21は、十字形状とされている。なお、フェライトコア21は板状に形成されている。
コイル184と、コイル182とは、いずれも、巻回軸O10aの周囲を取り囲むように形成されており、コイル184とコイル182とは互いに巻回軸O10aの延びる方向に間隔をあけて配置されている。コイル181と、コイル183とは、いずれも、巻回軸O10bの周囲を取り囲むように形成されており、コイル181とコイル183とは互いに巻回軸O10bの延びる方向に間隔をあけて配置されている。なお、この図32に示す例においては、巻回軸O10aと巻回軸O10bとは、互いに直交しているが、巻回軸O10aと巻回軸O10bとの交差角度が鋭角または鈍角となるようにしてもよい。
送電装置50は、十字形状のフェライトコア57と、このフェライトコア57に設けられた一次コイル58と、異物検出装置とを含む。
フェライトコア57は、複数のコア片部163,164,165,166を含む。一次コイル58は、各コア片に巻回されたコイル187,188,189,190を含む。
コイル187,189は、巻回軸線O1aの周囲を取り囲むように検知コイル線を巻回して形成されている。
コイル線188,190は、巻回軸線O1bの周囲を取り囲むように検知コイルを巻回して形成されている。
異物検出装置は、複数の上側検知コイル72と、複数の横側検知コイル73とを含む。なお、本実施の形態においては、コア片部163,164,165,166の上面のうち、端部側に位置する部分には、上側検知コイル72が配置されている。
フェライトコア57の中央部では、各コア片部163,164,165,166が接合されており、このフェライトコア57の中央部の上面上には、複数の上側検知コイル72が配置されている。
上側検知コイル72の巻回軸線は、鉛直方向に向くように配置されている。
また、各コア片部163,164,165,166の端部と隣り合う位置には、横側検知コイル73が配置されている。
コア片部163と、コア片部166と隣り合うように配置された横側検知コイル73は、巻回軸線が巻回軸線O1bと平行となるように配置されている。
コア片部163とコア片部165と隣り合うように配置された横側検知コイル73は、検出軸線が巻回軸線O1aと平行となるように配置されている。
このように形成された送電装置50と受電装置11との間で電力伝送する際には、送電部56のコイル187,188,189,190に電流が流れる。これにより、コイル184とコイル187との間で磁路195が形成される。コイル181とコイル188との間で磁路196が形成される。コイル182とコイル189との間で磁路197が形成される。コイル183とコイル190との間で磁路198が形成される。この図32に示すように、フェライトコア57の中央部は、多くの磁力線が通る。その一方で、各コア片部163,164,165,166も磁力線が通る。
なお、各コア片部163,164,165,166の端部よりもフェライトコア57の中央部の方が多くの磁力線が通る。
このように受電装置11と送電装置50との間で電力伝送する際には、異物検出装置も駆動する。
ここで、送電装置50の上方に金属片等の異物がある場合には、少なくとも1つの上側検知コイル72を流れる電流の振幅や共振の電圧振幅が変動する。これにより、異物検出装置は、当該異物を検知することができる。
特に、フェライトコア57の中央部の上方には、複数の上側検知コイル72が配置されているため、フェライトコア57の中央部の上方に異物がある場合には、異物検出装置は、当該異物を良好に検知することができる。
このように、本実施の形態に係る送電装置50においても、磁束線が多く通る領域内にある異物を精度よく検知することができる。
また、本実施の形態においても、複数の横側検知コイル73が設けられているため、異物検出装置は、送電装置50に対して水平方向に隣り合う異物も良好に検知することができる。
(実施の形態7)
図33および図34を用いて、本実施の形態7に係る電力伝送システム、送電装置および受電装置について説明する。
図33は、本実施の形態7に係る電力伝送システムを模式的に示す斜視図である。この図33に示すように、送電装置50は、検知コイル200および検知コイル201を含む。
検知コイル200は、磁極部98上から壁部66aの下端部に向けて延びるように形成されている。検知コイル201は、磁極部99上から壁部66bに向けて延びるように形成されている。
図34は、検知コイル201を示す斜視図である。この図34および図33において、検知コイル201は、壁部66bの下辺部に沿って延びる線部210と、線部210の端部に接続され、フェライトコア57の上面に向けて延びる線部211と、線部211の端部に接続され、フェライトコア57の上面に沿って延びる線部212とを含む。
検知コイル201は、線部212の端部から屈曲するように曲げられた線部213と、線部213の端部に屈曲するように接続された線部214と、線部214の端部から線部210の端部に向けて延びる線部210とを含む。
線部211および線部215は、線部210の端部からフェライトコア57の上面に向けて延びる。
そして、線部210と、線部211と線部215とによって、コイル202が形成されている。コイル202は、検知軸線O20の周囲を取り囲むように線部210,211,215を巻き回して形成されている。検知軸線O20は、鉛直方向D1から傾くように配置されている。なお、本実施の形態においては、検知軸線O20は、鉛直方向D1から巻回軸線O1に向けて傾斜するように配置されている。このように形成された検知コイル201は、磁極部99に対して巻回軸線O1の延びる方向に隣り合う位置に設けられている。
線部212と、線部213と線部214とによって、コイル203が形成されている。コイル203は、検知軸線O21の周囲を取り囲むように、線部212,213,214を巻き回して形成されている。検知軸線O21は、鉛直方向D1と平行となるように配置されている。このように形成されたコイル203は、磁極部99の上面上に配置されている。
このように形成された検知コイル201に所定の電流が流れると、検知コイル201によって形成される磁界は、検知軸線O20および検知軸線O21延びる方向に広く分布する。
ここで、コイル203は、磁極部99上に位置しているため、磁極部99の上方に位置する金属片等の異物を良好に検知することができる。また、コイル202は、磁極部99の端部に配置されているため、磁極部99に対して水平方向に隣り合う金属片等の異物を良好に検知することができる。
このように、本実施の形態に係る電力伝送システムにおいても、送電装置50の周囲の金属片などの異物を良好に検知することができる。
(実施の形態8)
図35を用いて、本実施の形態8に係る電力伝送システムおよび受電装置について説明する。図35は受電装置11を示す断面図である。この図35に示すように、受電装置11は、異物検出装置400を含む。
異物検出装置400は、検知コイル401,404と、下側検知コイル402,403とを備える。異物検出装置400は、検知コイル401に接続された共振回路410と、下側検知コイル402に接続された共振回路411と、下側検知コイル403に接続された共振回路415と、検知コイル404に接続された共振回路416とを備える。異物検出装置400は、共振回路410および共振回路410に接続された処理部412と、共振回路415および共振回路416に接続された処理部417とを含む。処理部412および処理部417は、車両ECU12に接続されている。
検知コイル401は、磁極部33(二次コイル22)に対して巻回軸線O1の延びる方向に隣り合うように配置されている。検知コイル401は、検知コイル線を検知軸線O30の周囲を取り囲むように巻回することで形成されている。検知軸線O30は、磁極部33から巻回軸線O1の延びる方向に離れるにつれて、下方に向くように配置されている。
下側検知コイル402は、磁極部33の下方に配置されている。下側検知コイル402は、検知コイル線を検知軸線O31の周囲を取り囲むように巻回して形成されている。検知軸線O31は、鉛直方向D1と平行である。
下側検知コイル403は、磁極部34の下方に配置されている。下側検知コイル403は、検知コイル線を検知軸線O32の周囲を取り囲むように巻回することで形成されている。検知軸線O32は鉛直方向D1と平行となるように配置されている。
検知コイル404は、磁極部34(二次コイル22)に対して巻回軸線O10の延びる方向に隣り合うように配置されている。検知コイル404は、検知コイル線を検知軸線O33の周囲を取り囲むように検知コイル線を巻回して形成されている。なお、検知軸線O33は、磁極部34の端部から巻回軸線O1の延びる方向に離れるにつれて下方に向かうように傾斜している。
このように形成された受電装置11において、電力伝送時には、異物検出装置400が駆動し、検知コイル401,404と、下側検知コイル402,403に所定の周波数の電流が流れる。これにより、検知軸線O30〜O33に沿って強度の高い磁界が形成される。ここで、検知軸線O30および検知軸線O33は、上記のように鉛直方向D1に対して水平方向に向けて傾斜するように配置されているため、検知コイル401,404受電装置11に対して斜め下方に位置する金属片などの異物を良好に検知することができる。
また、検知軸線O31,O32鉛直方向D1に平行となるように配置されているため、下側検知コイル402,403は、送電装置50の下方に位置する異物を検知することができる。
このように、本実施の形態8に係る電力伝送システムにおいても、金属片等の異物を良好に検知することができる。そして、異物検出装置400は、異物を検知すると、車両ECU12に電力伝送を停止するための信号を送信する。車両ECU12は、当該信号を受信すると、制御部55に送電を禁止する信号を送信する。
上記の実施の形態1〜8においては、所謂共鳴法を利用した電力伝送について説明したが、本発明は、共鳴方式の電力伝送に限られず、電磁誘導方式の電力伝送にも適用することは可能であることはいうまでもない。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。