図1から図25を用いて、実施の形態に係る電力伝送システム、車両、受電装置、受電用コイルユニット、送電装置および送電用コイルユニットについて説明する。なお、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電力伝送システム、車両および送電装置などを模式的に示す模式図である。
本実施の形態1に係る電力伝送システムは、受電装置11を含む電動車両10と、送電装置50を含む外部給電装置51とを有する。電動車両10の受電装置11は、主に、送電装置50から電力を受電する。
駐車スペース52には、電動車両10を所定の位置に停車させるように、輪止や駐車位置および駐車範囲を示すラインが設けられている。
外部給電装置51は、交流電源53に接続された高周波電力ドライバ54と、高周波電力ドライバ54などの駆動を制御する制御部55と、この高周波電力ドライバ54に接続された送電装置50と、車両10と情報の授受を行うアンテナ61とを含む。
送電装置50は、送電部56を含み、送電部56は、コイルユニット60と、このコイルユニット60に接続されたキャパシタ59とを含む。コイルユニット60は、フェライトコア57と、このフェライトコア57に巻回された送電コイル(第1コイル)58とを含む。送電コイル58は、高周波電力ドライバ54に接続されている。なお、送電コイルとは、本実施の形態1においては、送電コイル58である。
図1において、電動車両10は、車両本体10Aと、車両本体10Aに設けられた受電装置11と、受電装置11に接続された整流器13と、この整流器13に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続されたバッテリ15と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、このパワーコントロールユニット16に接続されたモータユニット17と、DC/DCコンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)12と、進入物検知部18Bおよび遠方側進入物検知部18Fと、外部給電装置51との間で情報の授受を行うアンテナ49とを備える。車両本体10Aは、エンジンコンパートメントや乗員収容室が内部に形成されたボディと、このボディに設けられたフェンダなどの外装部品とを備える。車両10は、前輪19Fと、後輪19Bと、動力を発生させるエンジン47と、エンジン47からの排気ガスが流れる接続管48と、接続管48の端部に接続されたメインマフラ45と、メインマフラ45に接続され、外部に排気ガスを排出する排気管46とを備える。
なお、本実施の形態1においては、エンジン47を備えたハイブリッド車両について説明するが、当該車両に限られない。たとえば、エンジン47を備えていない電気自動車やエンジン47に替えて燃料電池を備えた燃料電池車両などにも適用することができる。
整流器13は、受電装置11に接続されており、受電装置11から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。
DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ15に供給する。なお、DC/DCコンバータ14は必須の構成ではなく省略してもよい。この場合には、外部給電装置51にインピーダンスを整合するための整合器を送電装置50と高周波電力ドライバ54との間に設けることで、DC/DCコンバータ14の代用をすることができる。
パワーコントロールユニット16は、バッテリ15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、バッテリ15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。
受電装置11は、受電部20を含む。受電部20は、コイルユニット24と、このコイルユニット24に接続されたキャパシタ23とを含む。コイルユニット24は、フェライトコア21と、フェライトコア21に巻回された受電コイル(第2コイル)22とを含む。なお、受電部20においても、キャパシタ23は、必須の構成ではない。第2コイル22は、整流器13に接続されている。なお、受電コイルとは、本実施の形態においては、受電コイル22である。
図2は、図1に示した電力伝送システムにおいて非接触電力伝送を実現する電気回路図である。なお、この図2に示される回路構成は一例であって、非接触電力伝送を実現するための構成が図2の構成に限定されるものではない。
受電コイル22は、キャパシタ23とともに共振回路を形成し、外部給電装置51の送電部56から送出される電力を非接触で受電する。なお、特に図示しないが、受電コイル22およびキャパシタ23によって閉ループを形成し、受電コイル22により受電された交流電力を電磁誘導により受電コイル22から取出して整流器13へ出力するコイルを別途設けてもよい。
一方、1次コイル58は、キャパシタ59とともに共振回路を形成し、交流電源53から供給される交流電力を受電部20へ非接触で送電する。なお、特に図示しないが、1次コイル58およびキャパシタ59によって閉ループを形成し、交流電源53から出力される交流電力を電磁誘導により1次コイル58へ供給するコイルを別途設けてもよい。
なお、キャパシタ23,59は、共振回路の固有周波数を調整するために設けられるものであり、1次コイル58および受電コイル22の浮遊容量を利用して所望の固有周波数が得られる場合には、キャパシタ23,59を設けない構成としてもよい。
図3は、車両10の底面25を示す底面図である。この図3において、「D」は、鉛直方向下方Dを示す。「L」は、車両左方向Lを示す。「R」は、車両右方向Rを示す。「F」は、車両前方向Fを示す。「B」は、車両後方向Bを示す。車両10(車両本体10A)の底面25とは、車両10のタイヤが地面と接地された状態において、車両10に対して鉛直方向下方に離れた位置から車両10を見たときに見える面である。受電装置11、受電部20、および受電コイル22は、底面25に設けられている。
ここで、底面25の中央部を中央部P1とする。中央部P1は、車両10の前後方向の中央に位置すると共に、車両10の幅方向の中央に位置する。
車両本体10Aは、車両10の底面に設けられたフロアパネル26を含む。フロアパネル26は、車両の内部と車両の外部とを区画する板状の部材である。
なお、受電装置11が底面25に設けられているとは、フロアパネル26に直付けされている場合や、フロアパネル26やサイドメンバやクロスメンバーなどから懸架されている場合などを含む。
受電部20や受電コイル22が、底面25に設けられているとは、受電装置11が底面25に設けられている状態において、後述する受電装置11の筐体内に収容されていることを意味する。
前輪19Fは、中央部P1よりも車両前方向F側に設けられている。前輪19Fは、車両10の幅方向に配列する右前輪19FRと左前輪19FLとを含む。後輪19Bは、幅方向に配列する右後輪19BRと左後輪19BLとを含む。
底面25の周縁部は、前縁部30と、後縁部31と、右側縁部32と、左側縁部33とを含む。前縁部30は、底面25の周縁部のうち、右前輪19FRおよび左前輪19FLよりも車両前方向F側に位置する部分である。
後縁部31は、底面25の外周縁部のうち、右後輪19BRおよび左後輪19BLよりも車両後方向B側に位置する部分である。
後縁部31は、車両10の幅方向に延びる後辺部65と、後辺部65の一方の端部に接続された後側辺部66Rと、後辺部65の他方の端部に接続された側辺部66Lとを含む。後側辺部66Rは、後辺部65の一方の端部から右後輪19BRに向けて延び、側辺部66Lは後辺部65の他方の端部から左後輪19BLに向けて延びる。
右側縁部32および左側縁部33は、車両10の幅方向に配列する。右側縁部32および左側縁部33は、底面25の外周縁部のうち、前縁部30および後縁部31の間に位置する。
図4は、受電装置11を示す分解斜視図である。受電装置11は、受電部20と、受電部20を内部に収容する筐体27とを備える。筐体27は、開口部を有する有底状のシールド28と、シールド28の開口部を閉塞するように配置された蓋部29とを備える。シールド28は、フロアパネル26と対向する天板部と、天板部から鉛直方向下方Dに垂れ下がる環状の周壁部とを含む。シールド28は、たとえば、銅などの金属材料から形成されている。
蓋部29は、シールド28の開口部を閉塞するように形成されており、たとえば、樹脂材料などから形成されている。フェライトコア21は、板状に形成されている。このフェライトコア21の周面に受電コイル22が巻回されている。
図5は、受電コイル22を模式的に示す斜視図である。この図5に示すように、受電コイル22は、第1端部34と第2端部35とを含む。受電コイル22は、第1端部34から第2端部35に向かうにつれて、巻回軸線O1の周囲を取り囲むと共に、巻回軸線O1の延びる方向に変位するようにコイル線を巻回して形成されている。
巻回軸線O1とは、コイル線を微小区間に区分した時に、各微小区間における曲率中心点またはその近傍を通るように近似された仮想線である。
本実施の形態1において、受電コイル22の中心部P2とは、巻回軸線O1上に位置する仮想点であり、巻回軸線O1が延びる方向において受電コイル22の中央部に位置する。
このように構成された受電部20(受電装置11)は、図3に示すように、巻回軸線O1が車両10の前後方向に延びるように配置されており、巻回軸線O1は、前縁部30と後縁部31とを通る。
受電部20(受電装置11)は、中央部P1よりも車両後方向B側に配置されている。具体的には、中央部P1よりも後縁部31に近い位置に設けられている。そして、中央部P2は、前縁部30と後縁部31と第1側縁部32と第2側縁部33とのうち、後縁部31に最も近接するように配置されている。ここで、中央部P1から受電コイル22の中心部P2に向かう方向を第1方向とすると、進入物検知部18Bは、受電部20の中心部P2よりも第1方向側に位置する領域R1に配置され、中心部P2よりも底面25の周縁部側に配置されている。遠方側進入物検知部18Fは、受電部20の中心部P2よりも第1方向と反対方向側に配置されている。
なお、本実施の形態1においては、中央部P1と中心部P2とは、車両10の前後方向に配列しており、第1方向とは、車両後方向Bである。そして、本実施の形態1においては、底面25の周縁部のうち、中心部P2に最も近接する部分は、後縁部31であり、進入物検知部18Bは、近接縁部である後縁部31に設けられている。
そして、受電コイル22の中心部P2から中央部P1に向かう方向を第2方向とすると、遠方側進入物検知部18Fは、中心部P2よりも、第2方向側に位置する領域に設けられている。なお、本実施の形態1においては、第2方向とは、車両前方向Fである。
進入物検知部18Bは、複数の焦電センサ40A〜40Eを含み、遠方側進入物検知部18Fは、焦電センサ40Fと焦電センサ40Gとを含む。
図6は、車両10の後縁部31およびその周囲を示す側面図であり、図7は、車両10の後縁部31およびその周囲の構成を示す背面図である。そして、図8は、進入物検知部18Bの搭載位置を模式的に示す平面図である。
この図6に示すように、車両10は、リヤフェンダ41と、リヤバンパ42とを含む。本実施の形態1においては、後縁部31は、リヤバンパ42によって規定されている。
図7および図8に示すように、進入物検知部18Bの焦電センサ40Aは後縁部31の中央部に設けられている。鉛直方向上方Uから離れた位置から車両10を見ると、焦電センサ40Aは、巻回軸線O1が通る位置に設けられている。焦電センサ40B,40Cは、焦電センサ40Aよりも、車両右方向R(右側縁部32)側に間隔をあけて配置されている。焦電センサ40Cは、焦電センサ40Bよりも右側縁部32側に配置されている。
焦電センサ40D,40Eは、焦電センサ40Aよりも、車両左方向L(左側縁部33)側に位置している。焦電センサ40Eは、焦電センサ40Dよりも左側縁部33側に位置している。
図7に示すように、焦電センサ40A〜40Eは、受電部20の下端部よりも鉛直方向上方U側に配置されている。焦電センサ40Aは、焦電センサ40B〜40Eよりも鉛直方向上方U側に配置されている。また、焦電センサ40A〜40Eは、フロアパネル26よりも鉛直方向上方U側に配置されている。なお、図8に示すように、焦電センサ40A〜40Eは、メインマフラ45よりも車両後方向B側に配置されている。
図9は、進入物検知部18Bを模式的に示す模式図である。なお、この図9においては、説明を分かりやすくするために、焦電センサ40Aに着目して説明する。なお、焦電センサ40B〜40Eも同様に形成されている。
この図9に示すように、進入物検知部18Bは、焦電センサ40Aと、抵抗素子70と、電圧センサ71とを含む。
焦電センサ40Aは、進入物(図示せず)から放出される赤外線を検知することによって進入物の有無を検出するためのセンサである。なお、進入物とは、焦電センサ40Aの検出範囲に本来存在しないものであり、たとえば、所定間隔を空けて非接触で電力伝送を行なう電力伝送システムの送電部と受電部との間に存在し、電力伝送時に温度上昇が見込まれる金属片等(飲料缶やお金等)や小動物(猫やネズミ)などが想定される。
図10は、焦電センサ40Aの構造を模式的に示す断面図である。この図10に示すように、焦電センサ40Aは、開口部が形成された絶縁ケース72と、絶縁ケース72内に収容された焦電素子73と、絶縁ケース72の開口部を閉塞するように設けられた赤外線集光レンズ74とを備える。
焦電素子73は、板状に形成された焦電体基板75と、焦電体基板75の受光面側に配置された表面電極76と、焦電体基板75の背面に配置された背面電極77とを備える。
焦電体基板75は、赤外線が照射されていない状態、すなわち温度が変化していない状態でも自発分極により表面電荷を有する。焦電体基板75は、通常は表面に周囲の浮遊電荷を引き寄せて中性状態となっている。赤外線が照射されることによる温度変化に伴い自発分極の状態が変化すると、表面電荷を生じる。この表面電荷の変化を表面電極76および背面電極77から取り出し、出力信号としている。
また、焦電体基板75に照射されていた赤外線が遮断されるときも、分極電荷の状態が元の状態に戻ろうとして変化し、それに応じて焦電素子73の出力が変化する。このような焦電素子73の出力変化を検出することによって、進入物の有無を検出することができる。
焦電センサ40Aは、焦電センサ40Aの進入物検知領域SR1に進入物が侵入したとき、あるいは焦電センサ40Aの検出範囲から進入物が退出したときは、検出範囲の温度変化に基づく分極電荷の状態変化が大きいので、進入物の侵入/退出を検知することができる。
焦電センサ40Aの進入物検知領域SR1は、焦電素子73の数や、赤外線集光レンズ74の形状などによって変更することができる。
図9において、抵抗素子70は、焦電センサ40Aに直列に接続されている。電圧センサ71は、抵抗素子70の両側に生じる電圧を検出して、その検出値をECU12に出力する。なお、焦電センサ40Aについて説明したが、焦電センサ40B〜40Eも同様に構成されており、焦電センサ40B〜40Eにおいても、各素子の検出範囲において進入物の出入りがあった場合には、当該進入物の出入りを検出することができる。
図7および図8を用いて、各焦電センサ40A〜40Eの検出範囲について説明する。図7および図8に示すように、焦電センサ40Aは、進入物検知領域SR1における進入物の出入りを検出する。焦電センサ40B,40C,40D,40Eは、進入物検知領域SR2,SR3,SR4,SR5における進入物の出入りを検出する。進入物検知領域SR1〜SR5は、各焦電センサ40A〜40Eから下方に位置しており、各焦電センサ40A〜40Eから鉛直方向下方Dに向かうにつれて広がるような領域である。
ここで、焦電センサ40Aは、受電部20から車両後方向B側に配置されると共に、受電部20より鉛直方向上方U側に配置されている。このため、車両10から車両後方向B側に離れた位置から受電部20と進入物検知領域SR1とを見ると、受電部20の殆どが進入物検知領域SR1内に位置している。
図8に示すように、車両10から鉛直方向上方Uに離れた位置から車両10および進入物検知領域SR2を見ると、後辺部65を覆うように位置している。なお、図7に示すように、車両10から車両後方向Bに離れた位置から進入物検知領域SR2を見ると、進入物検知領域SR2の一方の下端部は、右後輪19BRに達し、進入物検知領域SR2の他方の下端部は、左後輪19BLに達している。
図8に示すように、車両10から鉛直方向上方Uに離れた位置から車両10および進入物検知領域SR3を見ると、進入物検知領域SR3は、焦電センサ40Cの下方から右後輪19BRに達するように延びる。
進入物検知領域SR4も一方の下端部が右後輪19BRに達し、他方の下端部が左後輪19BLに達する。図8に示すように、車両10の鉛直方向上方Uから車両10と進入物検知領域SR4を見ると、進入物検知領域SR4は、後辺部65を覆うように位置している。
図8に示すように、車両10の鉛直方向上方Uから進入物検知領域SR5を見ると、進入物検知領域SR5は、焦電センサ40Eの下方から左後輪19BLに達するように延びる。
このように、進入物検知領域SR1〜SR5によって、後縁部31と地面との間の領域は略覆われている。このため、車両10の後方側から進入物が入り込むと、進入物検知部18によって検知される。
進入物検知領域SR1と、進入物検知領域SR2と、進入物検知領域SR4とは、受電部20の後方側で互いに重なっている。このため、車両10の外部領域から受電部20下に入り込む進入物を良好に検出することができる。
図8において、遠方側進入物検知部18Fは、焦電センサ40Fと焦電センサ40Gとを含み、遠方側進入物検知部18Fの焦電センサの数は、進入物検知部18Bの焦電センサの数よりも少ない。
焦電センサ40Fと焦電センサ40Gとは、車両10の幅方向に配列すると共に、互いに近接するように配置されている。焦電センサ40Fの進入物検知領域(遠方側進入物検知領域)SR6は、焦電センサ40Fの下方から進入物検知領域SR5に達するように延びる。焦電センサ40Gの進入物検知領域(遠方側進入物検知領域)SR7は、焦電センサ40Gの下方から進入物検知領域SR3に達するように延びる。
進入物検知領域SR6と進入物検知領域SR7とは、互いに、焦電センサ40Fおよび焦電センサ40Gの下方で重なり合っている。
このように、焦電センサ40A〜40Gによって、受電部20の周囲は取り囲まれている。これにより、車両10の後方のみならず、車両10の側面側から受電部20の下方に入り込む進入物を良好に検出することができる。
次に、進入物検知部18Bまたは遠方側進入物検知部18Fが進入物を検知したときの制御フローについて図11を用いて説明する。
なお、図11に示すフローチャートは、図1に示すECU12に予め格納されたプログラムを実行されることで実現される。なお、一部のステップについては、専門のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である。
図11を参照して、図1において、受電部20が送電部56の上方に位置するように車両10が停車する。ECU12は、充電開始要求があったか否かを判定する(ステップS10)。なお、この充電開始要求は、利用者が入力してもよいし、車両10の停車が完了すると自動的に充電開始要求が発行されるようにしてもよい。
充電開始要求がないときには、(ステップS10においてNO)、ECU12は、以降の一連の処理を実行することなくステップS90へ処理を移行する。
ステップ10において、充電要求があったと判定されると、(ステップS10においてYES)、ECU12は、進入物検知部18Bと遠方側進入物検知部18Fを起動する(ステップS20)。
次に、ECU12は、アンテナ(送信手段)49を用いて、外部給電装置51の制御部55に送電開始指令を送信する(ステップS30)。これにより、送電部56から送電が開始される。なお、送電がなされている場合には、送電部56からの送電を継続させる(ステップS40)。
次に、ECU12は、送電部56から受電部20への送電が終了したか否かを判定する(ステップS50)。なお、この送電終了は、利用者による指示であってもよく、バッテリ15の満充電に伴うものであってもよい。送電が終了していれば、(ステップS50でYES)、ECU12は、以降の一連の処理を実行することなくステップS95に処理を移行する。
ステップS50で送電が終了していないと判定されると(ステップS50でNO)、ECU12は、進入物検知領域SR1〜SR7で進入物が検知されたか否かを判定する(ステップS60)。
ECU12は進入物を検知したと判定すると(ステップS60でYES)、利用者に対して警告を報知する(ステップS70)。
次に、ECU12は、ECU12は、アンテナ49を用いて、制御部55に送電停止信号を送る。制御部55は、送電停止信号を受信すると、送電部56の送電を停止させる(ステップS95)。
ステップS60において、ECU12は、進入物を検知していないと判定すると(ステップS60においてNO)、ステップS40に戻る(ステップS60においてNO)。このようして、ECU12は、進入物検出を行う。
図12は、電力伝送時の受電部20および受電装置11を示す斜視図である。図12に示すように、受電装置11は、送電部56と、この送電部56を内部に収容する筐体62とを備える。筐体62は、鉛直方向上方Uに向けて開口する開口部が形成されたシールド63と、このシールド63の開口部を閉塞するように配置された図示しない蓋部とを含む。
そして、送電部56は、コイルユニット60と、このコイルユニット60に接続されたキャパシタ59とを含み、コイルユニット60は、板状のフェライトコア57と、フェライトコア57の周面に巻回された送電コイル58とを含む。
送電コイル58は、一端部から他端部に向かうにつれて、巻回軸線O10の周囲を取り囲むと共に巻回軸線O10の延びる方向に変位するようにコイル線を巻回して形成されている。
そして、受電部20と送電部56との間で電力伝送する際には、受電部20と送電部56とが鉛直方向に対向する。なお、本実施の形態において、受電部20との大きさと送電部56の大きさとは、実質的に同じ大きさとされているが、送電部56を受電部20よりも大きく形成してもよい。
上記のように構成された電力伝送システムにおいて、電力伝送するときの各動作原理などについて説明する。
図1において、外部給電装置51から車両10に電力を伝送する際には、図12に示すように、受電部20と送電部56とが対向するように、車両10が停車する。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部56の固有周波数と、受電部20の固有周波数との差は、受電部20または送電部56の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部56および受電部20の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部20または送電部56の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、バッテリ15の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
ここで、送電部56の固有周波数とは、キャパシタ59が設けられていない場合には、送電コイル58のインダクタンスと、送電コイル58のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ59が設けられた場合には、送電部56の固有周波数とは、送電コイル58およびキャパシタ59のキャパシタンスと、送電コイル58のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部56の共振周波数とも呼ばれる。
同様に、受電部20の固有周波数とは、キャパシタ23が設けられていない場合には、第2コイル22のインダクタンスと、第2コイル22のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ23が設けられた場合には、受電部20の固有周波数とは、第2コイル22およびキャパシタ23のキャパシタンスと、第2コイル22のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部20の共振周波数とも呼ばれる。
図13および図14を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図13は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す図である。電力伝送システムは、送電装置190と、受電装置191とを備え、送電装置190は、コイル192(電磁誘導コイル)と、送電部193とを含む。送電部193は、コイル194(1次コイル)と、コイル194に設けられたキャパシタ195とを含む。
受電装置191は、受電部196と、コイル197(電磁誘導コイル)とを備える。受電部196は、コイル199とこのコイル199(2次コイル)に接続されたキャパシタ198とを含む。
コイル194のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ195のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。コイル199のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ198のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部193の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部196の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部193および受電部196の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を図14に示す。なお、このシミュレーションにおいては、コイル194およびコイル199の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部193に供給される電流の周波数は一定である。
図14に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図14からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部196の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部196の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。
図1において、送電コイル58には、高周波電力ドライバ54から交流電力が供給される。この際、送電コイル58を流れる交流電流の周波数が特定の周波数となるように電力が供給されている。
送電コイル58に特定の周波数の電流が流れると、送電コイル58の周囲には特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
第2コイル22は、送電コイル58から所定範囲内に配置されており、第2コイル22は送電コイル58の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。
本実施の形態においては、第2コイル22および送電コイル58は、所謂、ヘリカルコイルが採用されている。このため、送電コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界および電界が形成され、第2コイル22は主に当該磁界から電力を受け取る。
ここで、送電コイル58の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と送電コイル58に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、送電コイル58に供給される電流の周波数との関係について説明する。送電コイル58から第2コイル22に電力を伝送するときの電力伝送効率は、送電コイル58および第2コイル22の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部56および受電部20の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、送電コイル58に供給される電流の周波数を周波数f3とし、第2コイル22および送電コイル58の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
図15は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、送電コイル58に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
図15に示すグラフにおいて、横軸は、送電コイル58に供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、送電コイル58に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、送電コイル58に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、図1に示す送電コイル58に供給する電流の周波数を一定として、エアギャップAGにあわせて、キャパシタ59やキャパシタ23のキャパシタンスを変化させることで、送電部56と受電部20との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が挙げられる。具体的には、送電コイル58に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ59およびキャパシタ23のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、送電コイル58および第2コイル22に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置50と高周波電力ドライバ54との間に設けられた整合器を利用する手法や、コンバータ14を利用する手法などを採用することもできる。
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、送電コイル58に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、図15において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、送電コイル58には周波数が周波数f4または周波数f5の電流を送電コイル58に供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を送電コイル58に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて送電コイル58および第2コイル22に流れる電流の周波数を変化させることになる。
第1の手法では、送電コイル58を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、送電コイル58を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が送電コイル58に供給される。送電コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、送電コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部20は、受電部20と送電部56の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部56から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、送電コイル58に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、送電コイル58および第2コイル22の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、送電コイル58に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
なお共鳴コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、共鳴コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、送電コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が送電コイル58の周囲に形成される。そして、この電界をとおして、送電部56と受電部20との間で電力伝送が行われる。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。図16は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図16を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部56および受電部20(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部56から他方の受電部20へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電磁界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
このように、この電力伝送システムにおいては、送電部と受電部とを電磁界によって共振(共鳴)させることで送電部と受電部との間で非接触で電力が送電される。このような受電部と送電部との間に形成される電磁場は、たとえば、近接場共振(共鳴)結合場という場合がある。そして、送電部と受電部との間の結合係数κは、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κを0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
本実施の形態の電力伝送における送電部56と受電部20との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。
「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
本明細書中で説明した送電部56の送電コイル58と受電部20の第2コイル22とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部56と受電部20とは主に、磁界によって結合しており、送電部56と受電部20とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
なお、送電コイル58,22として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部56と受電部20とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部56と受電部20とは、「電界(電場)共振結合」している。このように、本実施の形態においては、受電部20と送電部56との間で非接触で電力伝送をしている。このように、非接触で電力伝送する際には、受電部20と送電部56との間には、主に、磁界が形成される。
図17は、受電部20の中心部P2からの距離と、磁束密度との関係を示すグラフである。なお、図17に示すグラフにおいて、横軸は、中心部P2からの距離を示し、縦軸は、磁束密度(μT)を示す。図17に示す折れ線L10は、高出力で電力伝送しているときにおいて、巻回軸線O1が延びる方向の距離と、磁束密度との関係を示す。折れ線L11は、高出力で電力伝送しているときの、巻回軸線O1に垂直な方向における距離と、磁束密度との関係を示す。
折れ線L12は、低出力で電力伝送しているときにおいて、巻回軸線O1が延びる方向の距離と、磁束密度との関係を示す。低出力時において、折れ線L12は、巻回軸線O1に垂直な方向の距離と、磁束密度との関係を示す。
この図17に示すグラフから明らかなように、電力伝送時に巻回軸線O1の延びる方向に磁束密度が高くなることが分かる。
ここで、図3に示すように、巻回軸線O1が後縁部31を通るように、受電部20が配置されている。そして、後縁部31に進入物検知部18Bを配置することで、磁束密度が高い領域内に進入物が入り込むことを抑制することができる。
巻回軸線O1が後縁部31と、前縁部30とを通るように、受電部20が配置されており、後縁部31の方が前縁部30よりも受電部20に近接している。
そこで、本実施の形態1においては、前縁部30に進入物検知部18Bを配置することで、電力伝送時に磁束密度の高い領域に進入物が入り込むことを抑制することができる。
本実施の形態1においては、受電部20(受電装置11)に対して車両前方向F側にも、遠方側進入物検知部18Fを配置することで、電力伝送時に磁束密度が高い領域内に進入物が入り込むことが抑制されている。
なお、本実施の形態においては、受電部20が後縁部31に近接しているため、後縁部31に設けられた進入物検知部18Bのセンサの数を遠方側進入物検知部18Fのセンサの数よりも多くすることで、車両10の外部から磁束密度の高い領域内に進入物が入り込むことを良好に抑制することができる。
(実施の形態2)
図18は、本実施の形態2に係る車両10を示す底面図である。この図18に示すように、受電装置11(受電部20)は、車両10の中央部P1よりも前方側に配置されており、受電部20は、巻回軸線O1が前縁部30および後縁部31を通るように配置されている。
本実施の形態においては、中央部P1から中心部P2に向かう方向とは、車両10の車両前方向Fであり、中心部P2から中央部P1に向かう方向は車両後方向Bである。
車両10は、遠方側進入物検知部18Cおよび進入物検知部18Dを備える。遠方側進入物検知部18Cは、受電装置11よりも、車両後方向B側に配置されており、進入物検知部18Dは、受電装置11よりも車両前方向F側に配置されている。
遠方側進入物検知部18Cは、車両10の幅方向に配列する焦電センサ40Hと、焦電センサ40Iとを含む。遠方側進入物検知部18Cは、フロアパネル26に設けられている。進入物検知部18Dは、車両10の前縁部30に設けられている。
図19は、車両10の前縁部30およびその周囲の構造を示す側面図である。この図19に示すように、車両10は、フロントバンパ78を含み、進入物検知部18Dは、フロントバンパ78に設けられている。この図19に示す例においては、フロントバンパ78の下辺部に設けられている。
図20は、前縁部30およびその周囲を模式的に示す平面図である。この図20に示すように、前縁部30は、車両10の幅方向に延びる前辺部80と、前辺部80の一方の端部から右前輪19FRに向けて延びる側辺部81と、前辺部80の他方の端部に接続され、左前輪19FLに向けて延びる側辺部82とを含む。
焦電センサ40J,40K,40L,40M,40N,40H,40Iは、進入物検知領域SR10,SR11,SR12,SR13,SR14,SR15,SR16の進入物を検出する。
ここで、車両10から鉛直方向上方U側に離れた位置から車両10を見ると、進入物検知領域SR10は、前縁部30のうち、受電装置11(受電部20)の前方に位置する部分を覆うように位置している。
進入物検知領域SR11および進入物検知領域SR13も、前辺部80を覆うように位置している。進入物検知領域SR14は、側辺部81を覆うように位置しており、進入物検知領域SR11は、側辺部82を覆うように位置している。
このため、本実施の形態2においても、受電部20の前方側において、複数の進入物検知領域が重なっており、車両10の前方側から進入物が車両10の下面側に入り込むことを良好に検知することができる。
進入物検知領域SR15は、焦電センサ40Hの下方から進入物検知領域SR12に達するように延び、進入物検知領域SR16は、焦電センサ40Iの下方から進入物検知領域SR14に達するように延びている。
このように、進入物検知領域SR10〜SR16によって、受電装置11(受電部20)の周囲が取り囲まれているため、車両10の外部から受電部20の下面側に進入物が入り込もうとしても当該進入物を良好に検知することができる。
ここで、受電部20は、前縁部30に近接するように配置され、受電部20は、巻回軸線O1が前縁部30を通るように配置されている。このため、電力伝送時には、前縁部30およびその近傍における磁束密度が高くなる。
本実施の形態2に係る車両10においては、前縁部30に複数の焦電センサ40J,40K,40L,40M,40Nが配置されているため、車両10の前方側から磁束密度の高い領域に向けて進入物が侵入しようとしても、当該進入物を良好に検出することができる。
(実施の形態3)
図21から図23を用いて、本実施の形態3に係る車両10について説明する。図21は、本実施の形態3に係る車両10を示す底面図である。この図21に示すように、車両10は、受電部20と、進入物検知部18Bおよび遠方側進入物検知部18Fとを備える。受電部20は、中央部P1よりも車両後方向B側に配置されている。
進入物検知部18Bは、後縁部31に配置されており、遠方側進入物検知部18Fは、受電部20よりも車両前方向F側に配置されている。受電部20は、巻回軸線O1が鉛直方向に向けて延びるように配置されている。図22は、受電部20を示す平断面図である。この図22に示すように、受電部20は、板状に形成されたフェライトコア21と、このフェライトコア21の主表面に設けられた受電コイル22とを含む。なお、フェライトコア21は、板状に形成された板部85と、この板部85の中央部に形成された突出部86とを含む。
受電コイル22は、板部85上に配置されると共に、突出部86の周囲を取り囲むように配置されている。
受電コイル22は、巻回軸線O1の周囲を取り囲むようにコイル線を巻回して形成されており、一方の端部から他方の端部に向かうにつれて、巻回軸線O1からの距離が大きくなるように巻回されている。
図23は、進入物検知部18Bおよび遠方側進入物検知部18Fの搭載位置を模式的に示す平面図である。この図23に示すように、本実施の形態3においても、進入物検知領域SR1〜SR7によって、受電部20の周囲が取り囲まれている。
このため、電力伝送時において、車両10の外部から進入物が受電部20の下方に入り込もうとしても、当該進入物を良好に検出することができる。
本実施の形態3に係る車両10においても、受電部20が後縁部31に近接する位置に設けられている。複数の焦電センサ40A〜40Eが後縁部31に配置されているので、車両10の後方側から受電部20下に入り込む進入物を良好に検出することができる。
(実施の形態4)
図24および図25を用いて、本実施の形態4に係る車両10について説明する。図24は、本実施の形態4に係る車両10の底面図である。この図24に示すように、車両10は、中央部P1よりも車両前方向F側に配置された受電部20と、前縁部30に設けられた進入物検知部18Dと、受電部20よりも車両後方向B側に配置された遠方側進入物検知部18Cとを備える。
受電部20は、上記実施の形態3に係る車両10と同様に、巻回軸線O1が鉛直方向に延びるように配置されている。
図25は、遠方側進入物検知部18Cおよび進入物検知部18Dの搭載位置を模式的に示す平面図である。この図25に示すように、本実施の形態4に係る車両10においても、受電部20は、複数の進入物検知領域SR10〜SR16によって囲まれている。
このため、本実施の形態4に係る車両10においても、車両10外部か受電部20下に進入物が入り込もうとしても、当該進入物を良好に検知することができる。
本実施の形態4に係る受電部20は、前縁部30に近接するように配置されている。遠方側進入物検知部18Cは、前縁部30に配置されているため、車両10の前方側から進入物が受電部20の下方に入り込もうとしても、当該進入物を良好に検出することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。