図1から図43を用いて、本発明に係る電動車両について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る受電装置と、送電装置と、電力伝送システムとを模式的に示す模式図である。
本実施の形態1に係る電力伝送システムは、受電装置11を含む電動車両10と、送電装置50を含む外部給電装置51とを有する。電動車両10の受電装置11は、送電装置50が設けられた駐車スペース52の所定位置に停車して、主に、送電装置50から電力を受電する。
駐車スペース52には、電動車両10を所定の位置に停車させるように、輪止や駐車位置および駐車範囲を示すラインが設けられている。
外部給電装置51は、交流電源53に接続された高周波電力ドライバ54と、高周波電力ドライバ54などの駆動を制御する制御部55と、この高周波電力ドライバ54に接続された送電装置50とを含む。送電装置50は、送電部56を含み、送電部56は、フェライトコア57と、フェライトコア57に巻きつけられた第1コイル(共鳴コイル)58と、この第1コイル58に接続されたキャパシタ59とを含む。なお、キャパシタ59は、必須の構成ではない。第1コイル58は、高周波電力ドライバ54に接続されている。
送電部56は、第1コイル58のインダクタンスと、第1コイル58の浮遊容量およびキャパシタ59のキャパシタンスとから形成された電気回路を含む。
図1において、電動車両10は、受電装置11と、受電装置11に接続された整流器13と、この整流器13に接続されたDC/DCコンバータ14と、このDC/DCコンバータ14に接続されたバッテリ15と、パワーコントロールユニット(PCU(Power Control Unit))16と、このパワーコントロールユニット16に接続されたモータユニット17と、DC/DCコンバータ14やパワーコントロールユニット16などの駆動を制御する車両ECU(Electronic Control Unit)12とを備える。なお、本実施の形態に係る電動車両10は、図示しないエンジンを備えたハイブリッド車両であるが、モータにより駆動される車両であれば、燃料電池車両も含む。
整流器13は、受電装置11に接続されており、受電装置11から供給される交流電流を直流電流に変換して、DC/DCコンバータ14に供給する。DC/DCコンバータ14は、整流器13から供給された直流電流の電圧を調整して、バッテリ15に供給する。なお、DC/DCコンバータ14は必須の構成ではなく省略してもよい。この場合には、外部給電装置51にインピーダンスを整合するための整合器を送電装置50と高周波電力ドライバ54との間に設けることで、DC/DCコンバータ14の代用をすることができる。
パワーコントロールユニット16は、バッテリ15に接続されたコンバータと、このコンバータに接続されたインバータとを含み、コンバータは、バッテリ15から供給される直流電流を調整(昇圧)して、インバータに供給する。インバータは、コンバータから供給される直流電流を交流電流に変換して、モータユニット17に供給する。
モータユニット17は、たとえば、三相交流モータなどが採用されており、パワーコントロールユニット16のインバータから供給される交流電流によって駆動する。
なお、電動車両10は、エンジンまたは燃料電池をさらに備える。モータユニット17は、発電機として主に機能するモータジェネレータと、電動機として主に機能するモータジェネレータとを含む。
受電装置11は、受電部20を含む。受電部20は、フェライトコア21と、このフェライトコア21の外周面に巻きつけられた第2コイル22と、第2コイル22に接続されたキャパシタ23とを含む。なお、受電部20においても、キャパシタ23は、必須の構成ではない。第2コイル22は、整流器13に接続されている。第2コイル22は浮遊容量を有する。このため、受電部20は、第2コイル22のインダクタンスと、第2コイル22およびキャパシタ23のキャパシタンスとによって形成された電気回路を有する。なお、キャパシタ23は、必須の構成ではなく、省略することができる。
図2は、電動車両10の左側の側面を示す側面図である。図3は、電動車両10の右側の側面を示す側面図である。図4は、電動車両10の正面図である。図5は、電動車両10の背面図である。図6は、電動車両10の平面図である。図7は、電動車両10の底面図である。
図2において、電動車両10は、車両本体70と、車両本体70に設けられた車輪とを含む。車両本体70内には、モータユニット17やエンジンなどが収容される駆動室80と、駆動室80より電動車両10の進行方向後方側に配置され、乗員が搭乗可能な乗員収容室81と、この乗員収容室81よりも進行方向後方側に配置された荷物室68とが形成されている。
電動車両10の左側面71には、乗員収容室81に連通する乗降用開口部82Lが形成されている。車両本体70は、乗降用開口部82Lを開閉するドア83Lと、乗降用開口部82Lよりも進行方向前方側に配置されたフロントフェンダ84Lと、フロントフェンダ84よりも進行方向前方側に配置されたフロントバンパ86とを含む。
車両本体70は、乗降用開口部82Lよりも進行方向後方側に配置されたリヤフェンダ85Lと、リヤフェンダ85Lよりも進行方向後方側に配置されたリヤバンパ87とを含む。
図3において、電動車両10の右側面72には、乗員収容室81に連通する乗降用開口部82Rが形成されている。車両本体70は、乗降用開口部82Rを開閉するドア83Rと、乗降用開口部82Rよりも進行方向前方側に配置されたフロントフェンダ84Rと、乗降用開口部82Rよりも進行方向後方側に配置されたリヤフェンダ85Rとを含む。図6において、車両本体70は、駆動室80を開閉するエンジンルーフ88と、乗員収容室81の上面を規定するルーフ66と、荷物室68に形成された開口部を開閉するハッチ67とを含む。ハッチ67は、上面部67aと、背面部67bとを含む。
電動車両10の左側面71とは、図2に示すように、電動車両10から電動車両10の幅方向であって、電動車両10の左側に離れた位置から電動車両10を見たときに見える面である。
このため、電動車両10の左側面71とは、主に、フロントバンパ86の側部と、フロントフェンダ84Lと、ドア83Lと、リヤフェンダ85Lと、リヤバンパ87の側部とによって規定される。
図3において、電動車両10の右側面72とは、図3に示すように、電動車両10の幅方向であって、電動車両10の右側に離れた位置から電動車両10を見たときに見える面である。このため、電動車両10の右側面72は、主に、フロントバンパ86の側部と、フロントフェンダ84Rと、ドア83Rと、リヤフェンダ85Rと、リヤバンパ87の側部とによって規定される。
図4において、電動車両10の正面73とは、電動車両10に対して進行方向前方側に離れた位置から電動車両10をみたときに見える面である。
このため、電動車両10の正面73とは、主に、フロントバンパ86の正面部と、エンジンルーフ88およびフロントバンパ86の間に設けられた部材とによって規定されている。
図5において、電動車両10の背面74とは、電動車両10に対して進行方向後方側に離れた位置から電動車両10を見たときに見える面である。
このため、電動車両10の背面74は、主に、リヤバンパ87の背面部と、ハッチ67の背面部67bとによって規定されている。
図6において、電動車両10の上面75とは、電動車両10のタイヤが地面と接地された状態において、地面に対して鉛直方向の上方に離れた位置から電動車両10を見たときに見える面である。
このため、電動車両10の上面75とは、主に、エンジンルーフ88と、ルーフ66と、ハッチ67の上面部67aとによって規定されている。
図7において、電動車両10の底面76とは、電動車両10のタイヤが地面と接地された状態において、地面に対して鉛直方向の下方に離れた位置から電動車両10を見たときに見える面である。この図7に示すように、電動車両10は、車両の幅方向に配列する前輪18Rおよび前輪18Lと、車両の幅方向に配列する後輪19Rおよび後輪19Lとを含む。なお、前輪18R,18Lは、後輪19R,19Lよりも車両前方側に配置されている。受電部20は、後輪19R,19Lの間に配置されている。
ここで、図2および図3に示すように、電動車両10は、左側面71に設けられた給油部(第2接続部)77と、右側面72に設けられた充電部(第1接続部)78と、給油部77に配管などによって接続された燃料タンク79とを含む。なお、本明細書において、接続部とは、給油部77と充電部78との少なくとも一方を意味する。
本実施の形態においては、給油部77は、リヤフェンダ85Lに設けられ、充電部78は、リヤフェンダ85Rに設けられている。充電部78は、バッテリ15に接続されており、充電部78とバッテリ15との間には、配線と、充電部78から供給される交流電流を直流電流に変換する変換器とが設けられている。
給油部77には、給油装置に設けられた給油プラグが接続される。給油プラグ(燃料供給部)は、ガソリン、液体水素などの燃料を給油部77に供給し、給油部77に供給された燃料は、燃料タンク79に供給される。すなわち、給油部77から供給されるエネルギは、電力と異なるエネルギであって、ガソリンや水素元素を含む水素化合物などの燃料である。
充電部78には、充電装置に設けられた充電プラグが接続される。充電プラグ(電力供給部)は、充電部78に電力を供給する。充電部78に供給された交流電流は、直流電流に変換されて、バッテリ15に蓄積される。
図8は、受電装置11を示す断面図であり、図9は、受電装置11の分解斜視図である。この図8および図9に示すように、受電装置11は、受電部20と、受電部20を収容する筐体24とを含む。
筐体24は、下方に向けて開口するように形成されたシールド25と、シールド25の開口部を閉塞するように設けられた蓋部26とを含む。
シールド25は、天板部25aと、天板部25aの周縁部から下方に向けて垂れ下がるように形成された周壁部25bとを含む。周壁部25bは、複数の壁部25c〜25fを含み、これら複数の壁部25c〜25fが互いに接続されて、環状の周壁部25bが形成されている。壁部25cおよび壁部25eは、第2コイル22の巻回軸O1の延びる方向に配列し、壁部25dおよび壁部25fは、第2コイル22の巻回軸O1に垂直な方向に配列している。なお、シールド25の形状としては、このような形状に限られず、多角刑形状、円形液状、長円形形状など各種形状を採用することができる。周壁部25bの下端部によって開口部が形成されており、蓋部26はこの開口部を閉塞する。
受電部20は、板状に形成されたフェライトコア21と、このフェライトコア21を上下面から挟み込む固定部材27と、この固定部材27に巻回された第2コイル22と、この第2コイル22に接続されたキャパシタ23とを含む。
フェライトコア21は、第2コイル22内から巻回軸O1の延びる方向に突出する突出部29aおよび突出部29bを含む。突出部29aは、第2コイル22の一方の端部側から突出しており、突出部29bは、第2コイル22の他方の端部側から突出する。このように、フェライトコア21は、巻回軸O1の延びる方向において第2コイル22の長さよりも長くなるように形成されている。
図10は、固定部材27およびフェライトコア21を示す分解斜視図である。この図10に示すように、固定部材27は、フェライトコア21の上面側に配置された絶縁片30と、フェライトコア21の下面側に配置された絶縁片31とを含む。
絶縁片30および絶縁片31は、図9などに示すボルト28によって互いに固定されており、フェライトコア21は、絶縁片30および絶縁片31によって挟みこまれている。絶縁片30および絶縁片31がフェライトコア21を挟み込むことで、フェライトコア21を保護している。
このように形成された受電装置11は、図7に示すように、電動車両10の底面76側に設けられている。受電装置11の固定方法は、各種の方法を採用することができる。たとえば、電動車両10は、車両の幅方向に配列するサイドメンバ47と、サイドメンバ47同士を接続するように設けられた複数のクロスメンバとを含み、受電装置11をサイドメンバ47やクロスメンバから懸架するようにしてもよい。
このように、「受電装置11を底面76側に配置する」とは、電動車両10の下方から電動車両10を見たときに、必ずしも受電装置11が目視できる位置に設けられている必要はない。このため、たとえば、受電装置11は、フロアパネル49よりも下方側に配置されている。
図11は、第2コイル22を示す斜視図である。この図11に示すように、第2コイル22は、第1端部35および第2端部36を含み、第2コイル22は、第1端部35から第2端部36に向かうにつれて、巻回軸O1の周囲を取り囲むと共に、巻回軸O1の延びる方向に変位するように形成されている。第2コイル22は、複数回、コイル線を巻回して形成されている。なお、第1端部35および第2端部36が、巻回軸O1の延びる方向において第2コイル22の両端に位置している。
この図11に示す例においては、フェライトコア21は、略直方体形状に形成されており、フェライトコア21は、上面37と、上面37と厚さ方向に対向する底面38と、短手方向に配列する側面39および側面40と、長手方向に配列する端面41および端面42とを含む。なお、フェライトコア21は、複数の分割されたフェライトピースから形成してもよい。
第2コイル22は、上面37に配置された長辺部43と、この長辺部43の端部から下方に向けて延び、側面39に配置された短辺部44と、短辺部44に接続され、底面38に配置された長辺部45と、この長辺部45の端部に接続され、側面40に配置された短辺部46とを含む。
そして、1つの長辺部43と、1つの短辺部44と、1つの長辺部45と、1つの短辺部46とによって、コイル線がフェライトコア21の周面に一巻きされる。
第2コイル22は、複数巻きされており、第2コイル22は、複数の長辺部43と、複数の短辺部44と、複数の長辺部45と、複数の短辺部46とを含む。
図12は、第2コイル22を平面視した平面図である。この図12に示すように、複数の短辺部46が巻回軸O1の延びる方向に配列しており、同様に、複数の短辺部44が巻回軸O1の延びる方向に配列している。
短辺部44と、短辺部46とは、同一の仮想水平面上に配置されており、短辺部44と、短辺部46とは、巻回軸O1を挟んで互いに対向すると共に、短辺部44と短辺部46とは水平方向に配列している。
本実施の形態においては、第2コイル22は、正面から見ると、四角形状となるように形成されているが、コイルの形状としては、楕円形状、長円形状、多角形形状などの各種形状を採用することができる。
図13は、受電部20と送電部56とを対向配置させた状態を示す斜視図である。なお、図13において、受電装置11に設けられた蓋部26は図示されていない。
この図13に示すように、電力伝送時には、受電部20と、送電部56とは互いにエアギャップをあけて対向するように配置される。
送電部56は、内部に第1コイル58などを収容する筐体60と、筐体60内に収容された固定部材61と、固定部材61内に収容されたフェライトコア57と、固定部材61の外周面に装着された第1コイル58と、筐体60内に収容されたキャパシタ59とを含む。
筐体60は、銅などの金属材料によって形成されたシールド62と、シールド62に設けられた樹脂性の蓋部材63とを含む。
シールド62は、底面部と、この底面部の外周縁部から上方に向けて立ち上げるように環状に形成された周壁部とを含み、周壁部の環状に延びる上端部によって上方に向けて開口する開口部が形成されている。蓋部材63は、シールド62の周壁部の上端部によって形成された開口部を閉塞するように形成されている。
フェライトコア57は、第1コイル58の巻回軸の延びる方向に突出する突出部64aと、突出部64bとを含む。突出部64aは、第1コイル58の一方の端部側から突出するように形成されており、突出部64bは、第1コイル58の他方の端部側から突出する。
固定部材61は、フェライトコア57の上面側に配置された絶縁片と、フェライトコア57の下面側に配置された絶縁片とを含む。フェライトコア57は、この2つの絶縁片によって挟み込まれており、この2つの絶縁片がボルトおよびナットなどのような締結部材によって互いに固定されることで、フェライトコア57が2つの絶縁片によって挟み込まれている。第1コイル58は、固定部材61の外周面に巻きつけられている。
図14は、電動車両10を電動車両10の鉛直方向上方から見たときに、受電部20(第2コイル22)と、給油部77と、充電部78とを配置を模式的に示す平面図である。
この図14に示すように、電動車両10は、左側面71と、右側面72と、正面73と、背面74とを含む。
この図14に示す例において、中心線O2は、電動車両10の幅方向D2の中央部を通り、電動車両10の前後方向に延びる。
第2コイル22は、巻回軸O1が水平方向に向くように配置されており、巻回軸O1は、右側面72および左側面71を通るように延びている。「巻回軸O1が水平方向に向く」とは、完全に水平方向に巻回軸O1が延びている場合と、実質的に水平方向に向いている場合とのいずれも含む。なお、巻回軸O1が実質的に水平方向に向いているとは、たとえば、仮想水平面と巻回軸O1との交差角度が、10度以下である場合を意味する。本実施の形態1においては、巻回軸O1が右側面72および左側面71を通るように、第2コイル22が配置されている。
図1において、本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、送電部56の固有周波数と、受電部20の固有周波数との差は、受電部20または送電部56の固有周波数の10%以下である。このような範囲に各送電部56および受電部20の固有周波数を設定することで、電力伝送効率を高めることができる。その一方で、固有周波数の差が受電部20または送電部56の固有周波数の10%よりも大きくなると、電力伝送効率が10%より小さくなり、バッテリ15の充電時間が長くなるなどの弊害が生じる。
ここで、送電部56の固有周波数とは、キャパシタ59が設けられていない場合には、第1コイル58のインダクタンスと、第1コイル58のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ59が設けられた場合には、送電部56の固有周波数とは、第1コイル58およびキャパシタ59のキャパシタンスと、第1コイル58のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、送電部56の共振周波数とも呼ばれる。
同様に、受電部20の固有周波数とは、キャパシタ23が設けられていない場合には、第2コイル22のインダクタンスと、第2コイル22のキャパシタンスとから形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。キャパシタ23が設けられた場合には、受電部20の固有周波数とは、第2コイル22およびキャパシタ23のキャパシタンスと、第2コイル22のインダクタンスとによって形成された電気回路が自由振動する場合の振動周波数を意味する。上記電気回路において、制動力および電気抵抗をゼロもしくは実質的にゼロとしたときの固有周波数は、受電部20の共振周波数とも呼ばれる。
図15および図16を用いて、固有周波数の差と電力伝送効率との関係とを解析したシミュレーション結果について説明する。図15は、電力伝送システムのシミュレーションモデルを示す。電力伝送システムは、送電装置90と、受電装置91とを備え、送電装置90は、コイル92(電磁誘導コイル)と、送電部93とを含む。送電部93は、コイル94(共鳴コイル)と、コイル94に設けられたキャパシタ95とを含む。
受電装置91は、受電部96と、コイル97(電磁誘導コイル)とを備える。受電部96は、コイル99とこのコイル99(共鳴コイル)に接続されたキャパシタ98とを含む。
コイル94のインダクタンスをインダクタンスLtとし、キャパシタ95のキャパシタンスをキャパシタンスC1とする。コイル99のインダクタンスをインダクタンスLrとし、キャパシタ98のキャパシタンスをキャパシタンスC2とする。このように各パラメータを設定すると、送電部93の固有周波数f1は、下記の式(1)によって示され、受電部96の固有周波数f2は、下記の式(2)によって示される。
f1=1/{2π(Lt×C1)1/2}・・・(1)
f2=1/{2π(Lr×C2)1/2}・・・(2)
ここで、インダクタンスLrおよびキャパシタンスC1,C2を固定して、インダクタンスLtのみを変化させた場合において、送電部93および受電部96の固有周波数のズレと、電力伝送効率との関係を図16に示す。なお、このシミュレーションにおいては、コイル94およびコイル99の相対的な位置関係は固定した状態であって、さらに、送電部93に供給される電流の周波数は一定である。
図16に示すグラフのうち、横軸は、固有周波数のズレ(%)を示し、縦軸は、一定周波数での伝送効率(%)を示す。固有周波数のズレ(%)は、下記式(3)によって示される。
(固有周波数のズレ)={(f1−f2)/f2}×100(%)・・・(3)
図16からも明らかなように、固有周波数のズレ(%)が±0%の場合には、電力伝送効率は、100%近くとなる。固有周波数のズレ(%)が±5%の場合には、電力伝送効率は、40%となる。固有周波数のズレ(%)が±10%の場合には、電力伝送効率は、10%となる。固有周波数のズレ(%)が±15%の場合には、電力伝送効率は、5%となる。すなわち、固有周波数のズレ(%)の絶対値(固有周波数の差)が、受電部96の固有周波数の10%以下の範囲となるように各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率を高めることができることがわかる。さらに、固有周波数のズレ(%)の絶対値が受電部96の固有周波数の5%以下となるように、各送電部および受電部の固有周波数を設定することで電力伝送効率をより高めることができることがわかる。なお、シミュレーションソフトとしては、電磁界解析ソフトウェア(JMAG(登録商標):株式会社JSOL製)を採用している。
次に、本実施の形態に係る電力伝送システムの動作について説明する。図1において、第1コイル58には、高周波電力ドライバ54から交流電力が供給される。この際、第1コイル58を流れる交流電流の周波数が特定の周波数となるように電力が供給されている。
第1コイル58に特定の周波数の電流が流れると、第1コイル58の周囲には特定の周波数で振動する電磁界が形成される。
第2コイル22は、第1コイル58から所定範囲内に配置されており、第2コイル22は第1コイル58の周囲に形成された電磁界から電力を受け取る。
本実施の形態においては、第2コイル22および第1コイル58は、所謂、ヘリカルコイルが採用されている。このため、第1コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界および電界が形成され、第2コイル22は主に当該磁界から電力を受け取る。
ここで、第1コイル58の周囲に形成される特定の周波数の磁界について説明する。「特定の周波数の磁界」は、典型的には、電力伝送効率と第1コイル58に供給される電流の周波数と関連性を有する。そこで、まず、電力伝送効率と、第1コイル58に供給される電流の周波数との関係について説明する。第1コイル58から第2コイル22に電力を伝送するときの電力伝送効率は、第1コイル58および第2コイル22の間の距離などの様々な要因よって変化する。たとえば、送電部56および受電部20の固有周波数(共振周波数)を固有周波数f0とし、第1コイル58に供給される電流の周波数を周波数f3とし、第2コイル22および第1コイル58の間のエアギャップをエアギャップAGとする。
図17は、固有周波数f0を固定した状態で、エアギャップAGを変化させたときの電力伝送効率と、第1コイル58に供給される電流の周波数f3との関係を示すグラフである。
図17に示すグラフにおいて、横軸は、第1コイル58に供給する電流の周波数f3を示し、縦軸は、電力伝送効率(%)を示す。効率曲線L1は、エアギャップAGが小さいときの電力伝送効率と、第1コイル58に供給する電流の周波数f3との関係を模式的に示す。この効率曲線L1に示すように、エアギャップAGが小さい場合には、電力伝送効率のピークは周波数f4,f5(f4<f5)において生じる。エアギャップAGを大きくすると、電力伝送効率が高くなるときの2つのピークは、互いに近づくように変化する。そして、効率曲線L2に示すように、エアギャップAGを所定距離よりも大きくすると、電力伝送効率のピークは1つとなり、第1コイル58に供給する電流の周波数が周波数f6のときに電力伝送効率がピークとなる。エアギャップAGを効率曲線L2の状態よりもさらに大きくすると、効率曲線L3に示すように電力伝送効率のピークが小さくなる。
たとえば、電力伝送効率の向上を図るため手法として次のような第1の手法が考えられる。第1の手法としては、図1に示す第1コイル58に供給する電流の周波数を一定として、エアギャップAGにあわせて、キャパシタ59やキャパシタ23のキャパシタンスを変化させることで、送電部56と受電部20との間での電力伝送効率の特性を変化させる手法が挙げられる。具体的には、第1コイル58に供給される電流の周波数を一定とした状態で、電力伝送効率がピークとなるように、キャパシタ59およびキャパシタ23のキャパシタンスを調整する。この手法では、エアギャップAGの大きさに関係なく、第1コイル58および第2コイル22に流れる電流の周波数は一定である。なお、電力伝送効率の特性を変化させる手法としては、送電装置50と高周波電力ドライバ54との間に設けられた整合器を利用する手法や、コンバータ14を利用する手法などを採用することもできる。
また、第2の手法としては、エアギャップAGの大きさに基づいて、第1コイル58に供給する電流の周波数を調整する手法である。たとえば、図17において、電力伝送特性が効率曲線L1となる場合には、第1コイル58には周波数が周波数f4または周波数f5の電流を第1コイル58に供給する。そして、周波数特性が効率曲線L2,L3となる場合には、周波数が周波数f6の電流を第1コイル58に供給する。この場合では、エアギャップAGの大きさに合わせて第1コイル58および第2コイル22に流れる電流の周波数を変化させることになる。
第1の手法では、第1コイル58を流れる電流の周波数は、固定された一定の周波数となり、第2の手法では、第1コイル58を流れる周波数は、エアギャップAGによって適宜変化する周波数となる。第1の手法や第2の手法などによって、電力伝送効率が高くなるように設定された特定の周波数の電流が第1コイル58に供給される。第1コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、第1コイル58の周囲には、特定の周波数で振動する磁界(電磁界)が形成される。受電部20は、受電部20と送電部56の間に形成され、かつ特定の周波数で振動する磁界を通じて送電部56から電力を受電している。したがって、「特定の周波数で振動する磁界」とは、必ずしも固定された周波数の磁界とは限らない。なお、上記の例では、エアギャップAGに着目して、第1コイル58に供給する電流の周波数を設定するようにしているが、電力伝送効率は、第1コイル58および第2コイル22の水平方向のずれ等のように他の要因によっても変化するものであり、当該他の要因に基づいて、第1コイル58に供給する電流の周波数を調整する場合がある。
なお共鳴コイルとしてヘリカルコイルを採用した例について説明したが、共鳴コイルとして、メアンダラインなどのアンテナなどを採用した場合には、第1コイル58に特定の周波数の電流が流れることで、特定の周波数の電界が第1コイル58の周囲に形成される。そして、この電界をとおして、送電部56と受電部20との間で電力伝送が行われる。
本実施の形態に係る電力伝送システムにおいては、電磁界の「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用することで、送電および受電効率の向上が図られている。図18は、電流源または磁流源からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。図18を参照して、電磁界は3つの成分から成る。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。なお、電磁界の波長を「λ」とすると、「輻射電磁界」と「誘導電磁界」と「静電磁界」との強さが略等しくなる距離は、λ/2πとあらわすことができる。
「静電磁界」は、波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域であり、本実施の形態に係る電力伝送システムでは、この「静電磁界」が支配的な近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、「静電磁界」が支配的な近接場において、近接する固有周波数を有する送電部56および受電部20(たとえば一対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、送電部56から他方の受電部20へエネルギー(電力)を伝送する。この「静電磁界」は遠方にエネルギーを伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によってエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
このように、この電力伝送システムにおいては、送電部と受電部とを電磁界によって共振(共鳴)させることで送電部と受電部との間で非接触で電力が送電される。このような受電部と送電部との間に形成される電磁場は、たとえば、近接場共振(共鳴)結合場という場合がある。そして、送電部と受電部との間の結合係数κは、たとえば、0.3以下程度であり、好ましくは、0.1以下である。当然のことながら、結合係数κを0.1〜0.3程度の範囲も採用することができる。結合係数κは、このような値に限定されるものでなく、電力伝送が良好となる種々の値をとり得る。
本実施の形態の電力伝送における送電部56と受電部20との結合を、たとえば、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「磁場共振(共鳴)結合」、「近接場共振(共鳴)結合」、「電磁界(電磁場)共振結合」または「電界(電場)共振結合」という。
「電磁界(電磁場)共振結合」は、「磁気共鳴結合」、「磁界(磁場)共鳴結合」、「電界(電場)共振結合」のいずれも含む結合を意味する。
本明細書中で説明した送電部56の第1コイル58と受電部20の第2コイル22とは、コイル形状のアンテナが採用されているため、送電部56と受電部20とは主に、磁界によって結合しており、送電部56と受電部20とは、「磁気共鳴結合」または「磁界(磁場)共鳴結合」している。
なお、第1コイル58や第2コイル22として、たとえば、メアンダラインなどのアンテナを採用することも可能であり、この場合には、送電部56と受電部20とは主に、電界によって結合している。このときには、送電部56と受電部20とは、「電界(電場)共振結合」している。
図13において、受電部20と、送電部56との間で電力伝送する際には、第1コイル58に所定の周波数の交流電流が供給される。
第1コイル58に所定の交流電流が供給されることで、第1コイル58の周囲に所定の周波数で振動する電磁界が形成される。そして、第2コイル22が当該電磁界から電力を受電する。また、受電部20と送電部56との間に磁路65が形成される。
磁路65は、突出部29aと、第2コイル22内と、突出部29bと、エアギャップと、突出部64bと、第1コイル58内と、突出部64aと、エアギャップと、突出部29aとを通るように形成される。
図18および図19は、第2コイル22の周囲に形成される磁界の強度分布を示すグラフである。図18は、巻回軸O1の延びる方向における磁界の分布を示すグラフである。図18に示すグラフの横軸は、図9に示す壁部25cまたは壁部25eから巻回軸O1の延びる方向の距離(cm)を示す。グラフの縦軸は、磁界強度を示す。
図19は、巻回軸O1に垂直な方向における磁界の分布を示すグラフである。この図18に示すように、グラフの横軸は、図13に示す壁部25dまたは壁部25fから巻回軸O1に垂直な方向の距離(cm)を示す。グラフの縦軸は、磁界の強度を示す。
この図18および図19に示すように、巻回軸O1の延びる方向に長くなるように強度が高い磁界が分布することがわかる。
図20および図21は、第2コイル22の周囲に形成される電界の分布を示すグラフである。図20は、巻回軸O1の延びる方向における電界の分布を示すグラフである。グラフの横軸は、図13に示す壁部25cまたは壁部25eから巻回軸O1の延びる方向の距離(cm)を示し、縦軸は、電界の強度を示す。
図21は、巻回軸O1に垂直な方向における電界の分布を示すグラフである。横軸は、図13に示す壁部25dまたは壁部25fから巻回軸O1に垂直な方向における距離(cm)を示す。
図20および図21に示すように、電界は、巻回軸O1に垂直な方向に長くなるように分布することが分かる。その一方で、図20および図21から明らかなように、電界の強度自体は弱いことが分かる。ここで、図14において、第2コイル22は、巻回軸O1が幅方向D2に延びるように、配置されている。図14に示す中心線O2は、電動車両10の幅方向D2の中央部に位置すると共に、電動車両10の前後方向に延びる仮想線である。ここで、電動車両10の前後方向の距離を距離L1とする。また、底面76と、巻回軸O1とを電動車両10の上方からみたときに、底面76内に位置する巻回軸O1の長さを長さL2とする。図14から明らかなように、長さL2は、距離L1よりも短い。巻回軸O1は、後輪19Rおよび後輪19Lを通る。
図14において、二点差線で囲まれた第1強度領域R1は、電力伝送時に、第2コイル22の周囲に形成される電磁界のうち、強度の高い領域を示す。また、第2強度領域R2は、第1強度領域R1よりも電磁界強度が低い一方で、強度が比較的高い領域を示す。第3強度領域R3は、第2強度領域R2よりも電磁界強度が低い一方で、強度が比較的高い領域を示す。
長さL2が距離L1よりも短くなるように、第2コイル22が配置されているため、電動車両10の上方から底面76および第3強度領域R3をみると、第3強度領域R3の少なくとも一部が底面76の外部に位置する。換言すれば、底面76内に位置する第3強度領域R3の領域が小さくなる。
図22は、比較例としての電動車両10を模式的に示す平面図である。この図22に示す例においては、第2コイル22は、電動車両10の前後方向の中央部であって、幅方向D2の中央部に位置するように配置されている。さらに、第2コイル22は、巻回軸O1が中心線O2に一致するように配置されている。
この図22に示す例においては、電動車両10を平面視すると、第3強度領域R3の全てが、底面76内に位置する。これに対して、図14に示すように、本実施の形態1に係る電動車両10によれば、第3強度領域R3の一部が底面76の外部に位置する。
このため、底面76下において、強度の高い電磁界が広い範囲で分布することが抑制されており、電動車両10に搭載された車両搭載機器が電磁界から受ける影響を低減することができる。なお、車両搭載機器としては、車両ECU12、整流器13、コンバータ14、バッテリ15、パワーコントロールユニット16およびモータユニット17などが挙げられる。
電動車両10の上方から第2コイル22および中心線O2を平面視すると、中心線O2は第2コイル22を通る。このため、第1強度領域R1が車両の外部に漏れることが抑制され、電動車両10の周囲にある電子機器が電磁界から受ける影響を抑制することができる。なお、図14に示す例においては、巻回軸O1の延びる方向における第2コイル22の中央部が中心線O2上に位置している。
図14において、第2コイル22は、巻回軸O1が後輪19Rおよび後輪19Lを通るように配置されている。これにより、第2強度領域R2が後輪19Rおよび後輪19Lによって、電動車両10の周囲に漏れることが抑制されている。これにより、電動車両10の外部に強度の高い電磁界が漏れることも抑制されている。
図2および図3に示すように、第2コイル22は、ドア83R,83Lよりも電動車両10の後方側に設けられている。ここで、受電部20と送電部56との間で電力伝送を行っているときに、運転手などの乗員が乗降する場合がある。この際、乗員が所持する電子機器が受電部20の周囲に形成される電磁界から受ける影響を低減することができる。
ここで、第2コイル22がドア83R,83Lよりも後方側に位置しているとは、第2コイル22の全体が完全にドア83R,83Lの後端部よりも後方に位置する場合と、第2コイル22の一部がドア83R,83Lの後端部よりも前方に位置する場合も含む。第2コイル22の位置部がドア83R,83Lの後端部よりも前方に位置する場合であっても、巻回軸O1は、ドア83R,83Lの後端部よりも後方に位置する。
図2において、給油部77は、左側面71のうち、後輪19Lの上方に位置する部分に設けられている。このため、電力伝送時においても、強度の高い電磁界が給油部77の周囲に達することが抑制される。これにより、給油作業者が給油作業を行う際に、給油作業者が所持する電子機器に強度の高い電磁界が達することを抑制することができる。
図3において、充電部78は、右側面72のうち、後輪19Rの上方に位置する部分に設けられている。このため、電力伝送時に、充電部78の周囲で充電作業者が充電作業を行ったとしても、充電作業者が所持する電子機器に強度の高い電磁界が達することを抑制することができる。
なお、本実施の形態1においては、給油部77および充電部78のいずれもがドア83L,83Rよりも後方側に配置された例について説明したが、充電部78および充電部78の少なくとも一方をドアよりも前方に配置するようにしてもよい。
図23は、本実施の形態1に係る電動車両10の第1変形例を示す右側面図である。この図23に示す例においては、充電部78は、ドア83Rよりも前方に設けられている。なお、この図23に示す例においては、右側面72のうち、前輪18Rの上方に位置する部分に設けられている。
なお、本実施の形態1においては、第2コイル22は、巻回軸O1が幅方向D2に延びるように配置されているが、第2コイル22の搭載形態としては、これに限られない。
図24は、本実施の形態1に係る電動車両10の第2変形例を模式的に示す平面図である。この図24に示す例においては、第2コイル22は、巻回軸O1が幅方向D2と交差するように配置されている。この例においても、電動車両10の上方から底面76と巻回軸O1とを平面視した際に、底面76内に位置する巻回軸O1の長さL2は、電動車両10の前後方向の長さL1よりも短い。
このため、底面76の下方において、広い範囲に亘って強度の高い電磁界が分布することが抑制される。これに伴い、車両搭載機器に強度の高い電磁界が達することを抑制することができる。
(実施の形態2)
図25から図27を用いて、本実施の形態2に係る電動車両10について説明する。なお、図25から図27に示す構成のうち、上記図1から図24に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。図25は、本実施の形態2に係る電動車両10を示す左側面図であり、図26は、電動車両10の右側面図である。図27は、電動車両10を模式的に示す平面図である。
図25および図26に示すように、受電部20は、底面76のうち、駆動室80の下方に位置する部分に設けられている。図26に示すように、受電部20は、前輪18Rおよび前輪18Lの間に配置され、第2コイル22は、巻回軸O1が前輪18Rおよび前輪18Lを通るように配置されている。このため、本実施の形態2に係る電動車両10においても、電動車両10の周囲に強度の高い電磁界が漏れることが抑制されている。
図26に示すように、充電部78は、ドア83Rよりも前方に設けられている。充電部78は、右側面72のうち、後輪19Rの上方に位置する部分に設けられている。このため、強度の高い電磁界が充電部78に達することを抑制することができる。
給油部77は、左側面71のうち、ドア83Lよりも後方に配置されている。受電部20は、ドア83Lよりも前方側に配置されており、給油部77と受電部20との間には、ドア83Lが配置されている。このため、給油部77と受電部20との間の距離は長く、給油部77に強度の高い電磁界が達することが抑制されている。
なお、本実施の形態2においても、底面76内に位置する巻回軸O1の長さは、電動車両10の前後方向の長さよりも短いため、底面76下において、強度の高い電磁界が広い範囲に亘って形成されることを抑制することができる。
(実施の形態3)
図28から図31を用いて、本実施の形態3に係る電動車両10について説明する。なお、図28から図31に示す構成のうち、上記図1から図27に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図28は、本実施の形態3に係る電動車両10を模式的に示す平面図である。この図28に示すように、受電部20は、後輪19Rと後輪19Lとの間に配置されている。
図29は、受電部20を示す平面図である。図30は、図29に示すXXX−XXX線における断面図である。図29および図30に示すように、受電部20は、フェライトコア21と、このフェライトコア21の下面に設けられたコイルユニット120とを含む。
フェライトコア21は、長方形形状となるように形成されており、図28に示すように、フェライトコア21は、幅方向D2に長くなるように配置されている。
図29および図30において、コイルユニット120は、フェライトコア21の長手方向に配列するコイル121と、コイル122とを含む。
コイル121は、鉛直方向に延びる巻回軸O4を中心にリッツ線(コイル線)を巻回することで、形成されており、リッツ線は、フェライトコア21の下面に沿って延びる平面内で巻きまわされている。
コイル122は、鉛直方向に延びる巻回軸O5を中心にリッツ線(コイル線)を巻きまわすことで、形成されており、リッツ線は、フェライトコア21の下面を通る仮想平面内で巻き回されている。
なお、コイル121およびコイル122とは、いずれも、中空状に巻回されており、コイル121およびコイル122の中空部からフェライトコア21が露出している。
図31は、受電部20および送電部56を示す斜視図である。この図31に示すように、送電部56も受電部20と同様に形成されている。
送電部56は、板状に形成されたコアフェライトコア126と、このコアフェライトコア126の上面上に配置されたコイルユニット125とを含む。
コアフェライトコア126も長方形形状に形成されている。コイルユニット125は、コアフェライトコア126の長手方向に配列するコイル123と、コイル124とを含む。
コイル123は、巻回軸の周囲を取り囲むようにリッツ線(コイル線)を巻回して形成されており、リッツ線は、コアフェライトコア126の上面を通る平面で巻き回されている。コイル124は、巻回軸の周囲を取り囲むようにリッツ線を巻回して形成されており、このリッツ線もコアフェライトコア126の上面を通る平面で巻き回されている。
コイル123およびコイル124は、いずれも、中空状に巻回されており、コイル123およびコイル124の中空部からコアフェライトコア126が露出している。
このように形成された受電部20と、送電部56との間で電力伝送すると、磁路が受電部20と送電部56との間で形成される。
磁路130は、コイル123の中空部と、エアギャップと、コイル121の中空部と、フェライトコア21のうちコイル121の中空部から露出する部分と、フェライトコア21のコイル121およびコイル122の間に位置する部分とを通る。さらに、磁路130は、フェライトコア21のうち、コイル122の中空部から露出する部分と、コイル122の中空部と、エアギャップと、コイル124の中空部とを通る。また、磁路130は、フェライトコア126のうち、コイル124の中空部から露出する部分と、フェライトコア126のうち、コイル123とコイル124との間に位置する部分と、フェライトコア126のうち、コイル123の中空部から露出する部分とを通る。
このように、受電部20と送電部56との間で磁路130が形成されることで、受電部20と送電部56との間における電力伝送効率の向上が図られている。
ここで、図31において、たとえば、コイル122の中空部からコイル121の中空部に向けて磁束が流れる際に、磁束の一部がコイル122の中空部に向けて流れずに、フェライトコア21の端部から外部に向けて放出され、その後、エアギャップを通りフェライトコア126の端部に達する場合がある。
同様に、コイル121の中空部からコイル122の中空部に向けて磁束が流れる際に、磁束の一部がコイル122の中空部に入り込まず、フェライトコア21の端部から外部に向けて放射され、その後、フェライトコア126の端部に達する。
この結果、受電部20と送電部56との間で電力伝送を行うと、図28に示すように、第1強度領域R1、第2強度領域R2および第3強度領域R3は、コイル121とコイル122との配列方向に対して垂直な方向よりもコイル121とコイル122との配列方向に広く分布する。
ここで、図28に示すように、コイル121とコイル122とは、幅方向D2に配列している。これにより、第1強度領域R1、第2強度領域R2および第3強度領域R3は、進行方向D1よりも幅方向D2に広く分布する。そして、第3強度領域R3が電動車両10の外部にも広がり、底面76下に広がる第3強度領域R3の領域が低減する。
これにより、電動車両10に搭載された車両搭載機器に強度の高い電磁界が達することを抑制することができる。
なお、本実施の形態3に係る電動車両10においても、充電部78は、右側面72のうち、後輪19Rの上方に位置する部分に設けられている。さらに、給油部77は、左側面71のうち、後輪19Lの上方に位置する部分に設けられている。
(実施の形態4)
図32から図38を用いて、本実施の形態4に係る電動車両10について説明する。なお、図32から図38に示す構成のうち、上記図1から図31に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図32は、本実施の形態26に係る電動車両10を模式的に示す平面図である。図33は、受電部20を模式的に示す平面図である。この図33に示すように、受電部20は、フェライトコア140と、このフェライトコア140に巻回されたコイルユニット141とを含む。
フェライトコア140は、軸部146と、この軸部146の一方の端部に形成された幅広部145と、軸部146の他方の端部に設けられた幅広部147とを含む。コイルユニット141は、板状に形成されている。幅広部145の幅W4と幅広部147の幅W5は、軸部146の幅W3よりも大きい。
なお、受電部20として、フェライトコア140に替えてアルミニウム板を採用してもよい。
コイルユニット141は、軸部146に巻回されたコイル142およびコイル143を含む。コイル142およびコイル143は、いずれも、巻回軸O1の周囲を取り囲むように形成されている。コイル142とコイル143とは、巻回軸O1の延びる方向に間隔をあけて配置されており、コイル142と、コイル143とは、軸部146の長手方向に間隔をあけて設けられている。
ここで、コイル142と、コイル143とには、別々に電流が供給可能となっている。このため、コイル142を流れる電流の方向と、コイル143を流れる電流の方向とは、別々に制御可能となっている。
なお、本実施の形態に係る受電部20は、同種の送電部56のみならず、異種の送電部56からも電力を受電することができる。
そこで、まず、受電部20と同種の送電部56から電力受電するときについて、図34を用いて説明する。
図34は、受電部20と送電部56と模式的に示す斜視図である。この図34に示すように、送電部56は、フェライトコア150と、このフェライトコア150に設けられたコイルユニット154と、制御部157とを含む。
フェライトコア150は、軸部151と、この軸部151の一方の端部に設けられた幅広部152と、軸部151の他方の端部に設けられた幅広部153とを含む。なお、幅広部152および幅広部153の幅は、軸部151の幅よりも大きい。
なお、送電部56において、フェライトコア150に替えて、アルミニウム板を採用してもよい。
コイルユニット154は、軸部151に設けられたコイル155と、軸部151に設けられると共に、コイル155と間隔をあけて配置されたコイル156とを含む。
ここで、コイル155を流れる電流の方向と、コイル156を流れる電流の方向とは、各々別々に制御可能となっている。
制御部157は、コイル155を流れる電流の流通方向を切り替え(制御)可能であると共に、コイル156を流れる電流の流通方向も切り替え(制御)可能である。
このように形成された受電部20と送電部56との間の電力伝送について説明する。ここで、図34において、コイル155およびコイル156に同じ方向に電流を流す。これにより、磁路158が形成される。磁路158は、幅広部152と、コイル155内と、軸部151と、コイル156内と、幅広部153と、エアギャップと、幅広部147と、コイル143と、軸部146と、コイル142と、幅広部145と、エアギャップとを通る。これにより、コイル142およびコイル143に電流が流れる。このようにして、受電部20は、受電部20と同種の送電部56から電力を受電することができる。
ここで、幅広部145と幅広部152との間で流れる磁束は、ある程度広がる。同様に、幅広部147と幅広部153との間を流れる磁束もある程度広がる。これにより、電力伝送時において、電磁界は、巻回軸O1の延びる方向に広く分布する。
図35を用いて、受電部20と異なるタイプの送電部56から受電部20が電力を受電するメカニズムについて説明する。
図35において、送電部56は、フェライトコア160と、このフェライトコア160に設けられたコイル163とを含む。
フェライトコア160は、中央部に溝部164が形成された板状の基部162と、溝部164に形成された軸部161とを含む。コイル163は、溝部164内に配置されると共に、軸部161を取り囲むように配置されている。
このように、形成された受電部20と送電部56との間での電力伝送のメカニズムについて説明する。
ここで、コイル163に電流が流れると、磁路165と、磁路166とが形成される。磁路165は、たとえば、軸部161と、エアギャップと、軸部146と、コイル142内と、幅広部145と、エアギャップと、基部162とを通る。
磁路166は、軸部161と、エアギャップと、軸部146と、コイル143内と、幅広部147と、エアギャップと、基部162とを通る。
そして、コイル142と、コイル143とに電流が流れる。この際、コイル143と、コイル142とは、電流が流れる方向が逆となる。このようにして、受電部20は、送電部56から電力を受電する。
ここで、上記のような受電部20が電力を受電すると、強度の高い電磁界は、コイル142およびコイル143の巻回軸O1の延びる方向に広く分布する。
このように受電部20と、受電部20と同種の送電部56との間で電力伝送する場合と、さらに、受電部20と、受電部20と異種の送電部56との間で電力伝送する場合とのいずれの場合であっても、強度の高い電磁界は、巻回軸O1の延びる方向に広く分布する。
図32において、巻回軸O1が幅方向D2に延びるようにコイルユニット141が配置されている。この結果、第1強度領域R1、第2強度領域R2および第3強度領域R3は、進行方向D1よりも幅方向D2に広く分布し、第3強度領域R3の一部が底面76よりも外部に達する。これにより、底面76下において、強度の高い電磁界が分布する領域が広範囲となることが抑制される。そして、電動車両10に搭載された車両搭載機器に強度の高い電磁界が達することを抑制することができる。
なお、図36は、受電部20の変形例を示す平面図である。この図36に示すように、受電部20は、コイル142とコイル143との間に設けられた中間コイル149をさらに含む。この図36に示す例おいても、各種の送電部56から電力を受電することができる。なお、図37は、図36に示す受電部20と、この受電部20と同種の送電部56との間で電力伝送しているときの様子を示す斜視図である。この図37に示すように、電磁界は、巻回軸O1の延びる方向に広く分布する。
図38は、図36に示す受電部20と、当該受電部20と異なるタイプ送電部56との間で電力伝送しているときの様子を示す斜視図である。この図38に示す例においても、電力伝送時の電磁界は、巻回軸O1の延びる方向に広く分布する。
このように、図36に示す受電部20においても、各種の送電部56から電力を受電することができる。このように、受電部20と、受電部20と同種の送電部56と電力伝送する場合と、受電部20と、受電部20と異種の送電部56と電力伝送する場合とのいずれの場合においても、巻回軸O1の延びる方向に第1強度領域R1、第2強度領域R2、および第3強度領域R3が広く分布する。
このため、図32に示すように、巻回軸O1が幅方向D2に向くように配置することで、底面76下において、強度の高い電磁界が広範囲に亘って分布することを抑制することができる。これにより、電動車両10に搭載された車両搭載機器に強度の高い電磁界が達することを抑制することができる。
(実施の形態5)
図39から図43を用いて、本実施の形態27に係る電動車両10について説明する。なお、図39から図43に示す構成のうち、上記図1から図38に示す構成と同一または相当する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
図39は、本実施の形態27に係る電動車両10を模式的に示す平面図である。この図39に示すように、受電部20は、後輪19Lと後輪19Rとの間に配置されている。
図40において、受電部20は、フェライトコア170と、このフェライトコア170に設けられたコイルユニット171とを含む。
フェライトコア170は、複数のコア片173,174,175,176を含む。各コア片173,174,175,176の一方の端部は、互いに接続されている。
コイルユニット171は、コア片173に巻回されたコイル184と、コア片174に巻回されたコイル181と、コア片175に巻回されたコイル182と、コア片176に巻回されたコイル183とを含む。これにより、フェライトコア170は、十字形状とされている。なお、フェライトコア170は板状に形成されている。
コイル181と、コイル183とは、いずれも、巻回軸O1bの周囲を取り囲むように形成されており、コイル181とコイル183とは互いに巻回軸O1bの延びる方向に間隔をあけて配置されている。
コイル182と、コイル184とは、いずれも、巻回軸O1aの周囲を取り囲むように形成され、コイル182とコイル184とは互いに巻回軸O1aの延びる方向に間隔をあけて配置されている。
図39において、巻回軸O1aと巻回軸O1bと底面76とを電動車両10の上方から平面視する。底面76内に位置する巻回軸O1aの長さと、底面76内に位置する巻回軸O1bの長さとは、いずれも、電動車両10の前後方向の長さL1よりも短い。
なお、本実施の形態においては、底面76内に位置する巻回軸O1aの長さと、底面76内に位置する巻回軸O1bの長さとの合計は、電動車両10の前後方向の長さL1よりも短い。
このように形成された受電部20は、各種のタイプの送電部にも対応することができる。図41は、図40に示す受電部20と、この受電部20と同じタイプの受電部20との間で電力伝送しているときの様子を示す斜視図である。この図41に示すように、送電部56は、十字形状のフェライトコア185と、このフェライトコア185に設けられたコイルユニット186とを含む。
フェライトコア185は、複数のコア片部を含む。コイルユニット186は、各コア片に巻回されたコイル187,188,189,190を含む。
このように形成された送電部56と受電部20との間で電力伝送する際には、送電部56のコイル187,188,189,190に電流が流れる。これにより、たとえば、図41に示す例においては、コイル184とコイル187との間で磁路195が形成される。コイル181とコイル188との間で磁路196が形成される。コイル182とコイル189との間で磁路197が形成される。コイル183とコイル190との間で磁路198が形成される。
このように、受電部20と、送電部56との間で複数の磁路が形成され、受電部20が送電部56から電力を受電する。このように、受電部20と送電部56との間で電力伝送する際において、コア片173とフェライトコア185との間では、磁束は、巻回軸O1aの延びる方向に膨らむ。コア片175とフェライトコア185との間では、磁束は、巻回軸O1aの延びる方向に膨らむ。また、コア片174とフェライトコア185との間と、コア片176とフェライトコア185との間とにおいては、磁束は、巻回軸O1bの延びる方向に膨らむ。
この結果、図39に示すように、第1強度領域R1、第2強度領域R2および第3強度領域R3は、いずれも、巻回軸O1aおよび巻回軸O1bの延びる方向に広く分布する。この際、巻回軸O1aが底面76内に位置する長さは短く、巻回軸O1bが底面76内に位置する長さが短い。
これにより、底面76下において、強度の高い電磁界が広範囲に広がることが抑制され、電動車両10に搭載された車両搭載機器に強度の高い電磁界が達することが抑制される。次に、図42を用いて、受電部20と、この受電部20とは異なるタイプの送電部56との間で電力伝送するときについて説明する。
図42は、受電部20と、送電部56との間で電力伝送するときの様子を示す斜視図である。この図42において、送電部56は、フェライトコア160と、コイル163とを含む。
基部162は、板状に形成されており、この基部162には、溝部164と、この溝部164の中央部から上方に向けて突出するように形成された軸部161とを含む。コイル163は、軸部161に巻回されている。
このように、形成された送電部56と受電部20との間で電力伝送する際には、送電部56のコイル163に電流が流れる。
これにより、受電部20と送電部56との間で磁路201,202が形成される。たとえば、磁路202は、軸部161と、エアギャップと、フェライトコア170の中央部と、コイル181内と、コア片174の端部と、エアギャップと、フェライトコア160とを通る。磁路202は、軸部161とエアギャップとフェライトコア170の中央部と、コイル183内と、コア片176と、エアギャップと、フェライトコア160とをとおる。
このように、受電部20と送電部56との間で磁路が形成されることで、コイル181と、コイル183とに大きな電流が流れる。これにより、受電部20が送電部56から電力を受電する。
ここで、コア片174と、フェライトコア160との間においては、磁束は、巻回軸O1bの延びる方向に広く分布する。同様にコア片176とフェライトコア160との間においても、磁束は、巻回軸O1bの延びる方向広く分布する。
このように、本実施の形態に係る電動車両10に搭載された受電部20によれば、各種の送電部56から電力を受電することができる。
ここで、図43に示すように、第1強度領域R1、第2強度領域R2および第3強度領域R3は、巻回軸O1bの延びる方向に広く分布する。底面76内に位置する巻回軸O1bの長さは短い。これにより、底面76下において、強度の高い電磁界が広範囲に広がることを抑制することができる。これに伴い、電動車両10に搭載された車両搭載機器に強度の高い電磁界が達することを抑制することができる。なお、上記の実施の形態においては、所謂電磁界共振(共鳴)結合などを利用した例について説明したが、所謂電磁誘導タイプの非接触充電方式にも適用することができる。また、1次コイル58に電力を電磁誘導で送電する電磁誘導コイルや2次コイル22から電磁誘導で電力を受電する電磁誘導コイルを設けてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。さらに、上記数値などは、例示であり、上記数値および範囲にかぎられない。