JP6464919B2 - 分光フィルタおよび分光測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、一方向において透過波長が連続的に変化する分光フィルタと、その分光フィルタを備えた分光測定装置とに関するものである。
従来の分光フィルタの一例として、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の分光フィルタは、第1の干渉フィルタと第2の干渉フィルタとを用いて構成される。第1の干渉フィルタは、一方向に沿って遮断波長WLが単調に長くなり、遮断波長WLよりも長い波長域の光を透過させるフィルタ(ロングパスフィルタ)である。第2の干渉フィルタは、一方向に沿って遮断波長WSが単調に長くなり、遮断波長WSよりも短い波長域の光を透過させるフィルタ(ショートパスフィルタ)である。このように、一方向に沿って遮断波長が単調に変化する干渉フィルタは、一方向に沿って膜厚が連続的に増加する、いわゆる、くさび形の干渉フィルタで構成することができる。特許文献1では、第1の干渉フィルタと第2の干渉フィルタとで、膜厚勾配を同じにしている。
第1の干渉フィルタおよび第2の干渉フィルタは、遮断波長WLの単調増加方向と遮断波長WSの単調増加方向とが一致するように、かつ、第1の干渉フィルタの遮断波長WLが第2の干渉フィルタの対応する位置における遮断波長WSよりも短くなるように、重ね合わされる。この構成では、上記一方向の各位置での分光透過率のピーク波長に対して短波長側の遮断特性と長波長側の遮断特性とを、別々の干渉フィルタによって設定できる。これにより、単一の干渉フィルタで得られる分光特性よりも優れた分光特性を容易に得ることが可能となっている。
特開平2−132405号公報(特許請求の範囲、作用、実施例、第1図〜第3図等参照)
ところが、特許文献1のように、第1の干渉フィルタと第2の干渉フィルタとの2層で分光フィルタを構成した場合、2層の重ね合わせの際に位置ズレ(特に膜厚が変化する一方向の位置ズレ)が生じると、遮断波長WLと遮断波長WSとによって規定される透過波長幅が大きく変化する。例えば、2層の位置ズレによって第1の干渉フィルタの遮断波長WLと第2の干渉フィルタの遮断波長WSとが近づくと、透過波長幅が狭くなり、逆に、遮断波長WLと遮断波長WSとが離れると、透過波長幅が広くなる。このような透過波長幅の変動を抑えるためには、2層を高い位置精度で重ね合わせることが必要となるが、そのような位置精度の高い重ね合わせは、実際には困難である。このため、位置ズレの許容範囲を広げることができるように、つまり、重ね合わせの位置精度を緩和できるように分光フィルタを構成することが望まれる。
また、干渉フィルタを構成する膜の材料は、波長によって屈折率が変化する、いわゆる波長分散を必ず持っている。すなわち、膜材料の屈折率は、波長が短くなるにつれて高くなり、逆に、波長が長くなるにつれて低くなる。特に、高屈折率材料については、可視光の波長域内での波長分散が大きい(波長の変化に対する屈折率の変化が大きい)。このような波長分散の影響により、膜種の異なる複数の干渉フィルタ間では、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合(遮断波長のシフト量)が異なる。このため、膜厚勾配を全て同じにして複数の干渉フィルタを重ね合わせたのでは、膜厚が変化する一方向のある位置では、良好な透過性能を確保することができても、別の位置では、良好な透過性能を確保することができない場合がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ロングパスフィルタとショートパスフィルタとの重ね合わせの際の位置精度を緩和できるとともに、膜厚が変化する一方向のどの位置においても、良好な透過性能を確保することができる分光フィルタと、その分光フィルタを備えた分光測定装置とを提供することにある。
本発明の一側面に係る分光フィルタは、一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加し、遮断波長WLよりも長い波長域の光を透過させるとともに、前記膜厚が増加するにつれて前記遮断波長WLが単調に長くなるロングパスフィルタと、一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加し、遮断波長WSよりも短い波長域の光を透過させるとともに、前記膜厚が増加するにつれて前記遮断波長WSが単調に長くなるショートパスフィルタと、一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加し、短波長側の遮断波長WB1と長波長側の遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させるとともに、前記膜厚が増加するにつれて、前記遮断波長WB1および前記遮断波長WB2が単調に長くなるバンドパスフィルタとを備え、前記ロングパスフィルタと、前記ショートパスフィルタと、前記バンドパスフィルタとは、膜厚が単調に増加する前記一方向が互いに一致するように重ね合わされており、前記ロングパスフィルタの膜厚勾配は、前記バンドパスフィルタの膜厚勾配よりも大きく、前記一方向の各位置では、前記遮断波長WLが前記遮断波長WB1よりも短く、前記遮断波長WSが前記遮断波長WB2よりも長いことによって、前記遮断波長WB1と前記遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させる。
前記一方向で可視光が透過する全ての位置において、前記遮断波長WB1と前記遮断波長WLとの差は、13nm以上42nm以下であることが望ましい。
前記ロングパスフィルタおよび前記バンドパスフィルタは、第1屈折率材料からなる層と、該第1屈折率材料よりも屈折率の高い少なくとも1つの第2屈折率材料からなる層とを積層した多層膜で構成されており、前記少なくとも1つの第2屈折率材料の中で、層数および総膜厚の少なくともいずれかが最大となる材料を、主屈折率材料とすると、前記ロングパスフィルタにおいて、前記主屈折率材料の波長380nmにおける屈折率を、nL380とし、前記主屈折率材料の波長780nmにおける屈折率を、nL780とし、波長780nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dL780とし、波長380nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dL380とし、前記バンドパスフィルタにおいて、前記主屈折率材料の波長380nmにおける屈折率を、nB380とし、前記主屈折率材料の波長780nmにおける屈折率を、nB780とし、波長780nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dB780とし、波長380nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dB380としたとき、以下の条件式を満足することが望ましい。すなわち、
0.98<{(dL780/dL380)/(dB780/dB380)}×[(nL780/nL380)/{(nB780/nB3800.4}]<1.17
である。
前記バンドパスフィルタおよび前記ショートパスフィルタは、同じ基板の表裏にそれぞれ成膜されており、前記ロングパスフィルタは、別の基板に成膜されていてもよい。
前記バンドパスフィルタ、前記ショートパスフィルタおよび前記ロングパスフィルタは、それぞれ別々の基板に成膜されていてもよい。
前記各基板は、接着剤を介して貼り合わされていてもよい。
本発明の他の側面に係る分光測定装置は、上述した構成の分光フィルタと、前記分光フィルタを透過した光を受光する受光素子とを備え、前記受光素子は、前記分光フィルタの前記一方向に沿って並べて配置されている。
上記の構成によれば、ロングパスフィルタおよびショートパスフィルタに加えて、バンドパスフィルタを用いることにより、遮断波長WLを遮断波長WB1よりも短くし、遮断波長WSを遮断波長WB2よりも長くして、遮断波長WB1と遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させる構成を実現することが可能となる。このような構成では、ロングパスフィルタとショートパスフィルタとの間に多少の位置ずれが生じた場合でも、バンドパスフィルタの透過性能によって分光フィルタの透過性能を出すことができる。したがって、ロングパスフィルタとショートパスフィルタとの重ね合わせに高い位置精度を要求しなくても済み、上記位置精度を緩和して、ロングパスフィルタとショートパスフィルタとの位置ズレの許容範囲を広げることができる。
また、ロングパスフィルタの膜厚勾配を、バンドパスフィルタの膜厚勾配よりも大きくすることにより、膜厚が変化する一方向の各位置において、バンドパスフィルタの遮断波長WB1のシフト量に、ロングパスフィルタの遮断波長WLのシフト量を近づけることができる。これにより、膜厚が変化する一方向のどの位置でも、遮断波長WLを遮断波長WB1よりも短くすることが可能となる。その結果、上記一方向の各位置において、遮断波長WLが遮断波長WB1よりも短く、遮断波長WSが遮断波長WB2よりも長いことによって、遮断波長WB1と遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させる構成を実現することが可能となり、上記一方向のどの位置でも、良好な透過性能を確保することが可能となる。
本発明の実施の一形態に係る分光測定装置の概略の構成を示す断面図である。 上記分光測定装置の他の構成を示す断面図である。 分光フィルタをショートパスフィルタおよびロングパスフィルタの2層で構成し、上記ショートパスフィルタと上記ロングパスフィルタとで位置ズレが生じていない場合の各々のフィルタの分光特性を示すグラフである。 上記ショートパスフィルタと上記ロングパスフィルタとで位置ズレが生じている場合の各々のフィルタの分光特性を示すグラフである。 上記ショートパスフィルタと上記ロングパスフィルタとのトータルの分光特性を示すグラフである。 分光フィルタを、ショートパスフィルタ、ロングパスフィルタおよびバンドパスフィルタの3層で構成したときの各フィルタの分光特性を示すグラフである。 上記各フィルタの理想的な分光特性を模式的に示すグラフである。 一般的な反射膜において、高屈折率材料の屈折率を変化させた場合の分光特性の変化を示すグラフである。 上記ロングパスフィルタにおいて、高屈折率材料の屈折率の変化に伴う分光特性の変化を示すグラフである。 上記ショートパスフィルタにおいて、高屈折率材料の屈折率の変化に伴う分光特性の変化を示すグラフである。 酸化ニオブにおける波長と屈折率との関係を示すグラフである。 酸化シリコンにおける波長と屈折率との関係を示すグラフである。 膜厚勾配が同じロングパスフィルタおよびショートパスフィルタにおける総膜厚の推移を示すグラフである。 上記ロングパスフィルタおよび上記ショートパスフィルタを重ね合わせて構成される分光フィルタの分光特性の一例を示すグラフである。 分光フィルタを構成する3種のフィルタにおいて、膜厚比と遮断波長との関係の一例を示すグラフである。 2種の高屈折率材料の分散を示すグラフである。 上記3種のフィルタにおいて、膜厚比と遮断波長との関係の他の例を示すグラフである。 膜厚が変化する一方向の各位置での上記分光フィルタの分光特性を示すグラフである。 バンドパスフィルタに対してロングパスフィルタが位置ズレしたときの、3種のフィルタの分光特性の一例を示すグラフである。 バンドパスフィルタに対してロングパスフィルタが位置ズレしたときの、3種のフィルタの分光特性の他の例を示すグラフである。 分散比に相当するMと勾配比に相当するEの実際の設計値を座標平面上にプロットした説明図である。 実施例1の分光フィルタにおける、波長380nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例1の分光フィルタにおける、波長580nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例1の分光フィルタにおける、波長780nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例2の分光フィルタにおける、波長380nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例2の分光フィルタにおける、波長580nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例2の分光フィルタにおける、波長780nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例3の分光フィルタにおける、波長380nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例3の分光フィルタにおける、波長580nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例3の分光フィルタにおける、波長780nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例4の分光フィルタにおける、波長380nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例4の分光フィルタにおける、波長580nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例4の分光フィルタにおける、波長780nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例5の分光フィルタにおける、波長380nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例5の分光フィルタにおける、波長580nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例5の分光フィルタにおける、波長780nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 比較例1の分光フィルタにおける、波長380nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 比較例1の分光フィルタにおける、波長580nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 比較例1の分光フィルタにおける、波長780nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 比較例2の分光フィルタにおける、波長380nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 比較例2の分光フィルタにおける、波長580nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 比較例2の分光フィルタにおける、波長780nmの透過位置での分光特性を示すグラフである。 実施例1〜5、比較例1〜2における、分散比に相当するMと勾配比に相当するEの値を座標平面上にプロットした説明図である。
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本明細書において、数値範囲をa〜bと表記した場合、その数値範囲に下限aおよび上限bの値は含まれるものとする。また、本発明は、以下の内容に限定されるものではない。なお、以下での説明において、半値幅は、半値波長全幅(full width at half maximum)を指すものとする。
(分光測定装置の構成)
図1は、本実施形態の分光測定装置1の概略の構成を示す断面図である。分光測定装置1は、分光フィルタ10と、受光部20とを有している。分光フィルタ10は、一方向において透過波長が連続的に変化するリニアバリアブルフィルタ(LVF)であり、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSPおよびロングパスフィルタLPを有している。
バンドパスフィルタBPおよびショートパスフィルタSPは、同一の基板11の表裏にそれぞれ成膜されており、ロングパスフィルタLPは、別の基板12の表面に成膜されている。基板11・12は、例えばガラスなどの透明基板で構成されている。基板12は、基板11と受光部20との間に位置しており、バンドパスフィルタBPおよびロングパスフィルタLPが、分光フィルタ10の最外層にそれぞれ位置している。
基板11・12を用いることにより、図1のように、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSPおよびロングパスフィルタLPを重ね合わせて位置させることができる。また、基板11・12は、接着剤31を介して貼り合わされており、これによって、基板11・12の相対的な位置関係(各フィルタの相対的な位置関係)が固定されている。なお、基板11・12は、空気層が介在して互いに非接触となるように、支持部材(図示せず)で支持されていてもよい。
ロングパスフィルタLPは、一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加する膜厚勾配GLを有している。膜厚勾配GLは、基板12の表面とロングパスフィルタLPの最表面とのなす角度をα(°)としたとき、|tanα|に相当する。ロングパスフィルタLPは、第1屈折率材料(低屈折率材料)からなる層と、該第1屈折率材料よりも屈折率の高い少なくとも1つの第2屈折率材料(高屈折率材料)からなる層とを積層した多層膜で構成されており、遮断波長WLよりも長い波長域の光を透過させ、それ以外の光の透過を遮断する。上記の遮断波長WLは、透過率が50%となるときの波長(カットオフ波長)であり、上記一方向に膜厚が増加するにつれて、単調に長くなる(長波長側にシフトする)。
ショートパスフィルタSPは、一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加する膜厚勾配GSを有している。膜厚勾配GSは、基板11の表面とショートパスフィルタSPの最表面とのなす角度をβ(°)としたとき、|tanβ|に相当する。ショートパスフィルタSPは、第1屈折率材料(低屈折率材料)からなる層と、該第1屈折率材料よりも屈折率の高い少なくとも1つの第2屈折率材料(高屈折率材料)からなる層とを積層した多層膜で構成されており、遮断波長WSよりも短い波長域の光を透過させ、それ以外の光の透過を遮断する。上記の遮断波長WSは、透過率が50%となるときの波長(カットオフ波長)であり、膜厚が増加するにつれて単調に長くなる(長波長側にシフトする)。
バンドパスフィルタBPは、一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加する膜厚勾配GBを有している。膜厚勾配GBは、基板11の表面とバンドパスフィルタBPの最表面とのなす角度をγ(°)としたとき、|tanγ|に相当する。バンドパスフィルタBPの膜厚勾配GBは、ショートパスフィルタSPの膜厚勾配GSとほとんど同じであるが、異なっていてもよい。バンドパスフィルタBPは、第1屈折率材料(低屈折率材料)からなる層と、該第1屈折率材料よりも屈折率の高い少なくとも1つの第2屈折率材料(高屈折率材料)からなる層とを積層した多層膜で構成されており、短波長側の遮断波長WB1と長波長側の遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させ、それ以外の光の透過を遮断する。上記の遮断波長WB1・WB2は、透過率が50%となるときの波長(カットオフ波長)であり、膜厚が増加するにつれて単調に長くなる(長波長側にシフトする)。
同図に示すように、ロングパスフィルタLP、ショートパスフィルタSPおよびバンドパスフィルタBPは、膜厚が単調に増加する上記一方向が互いに一致するように重ね合わされている。また、ロングパスフィルタLPの膜厚勾配GLは、バンドパスフィルタBPの膜厚勾配GBよりも大きいが、その理由の詳細については後述する。
なお、各遮断波長(WL・WS・WB1・WB2)は、膜厚が増加するにつれて長波長側にシフトするため、遮断波長WB1と遮断波長WB2との間の透過波長域も、膜厚が増加するにつれて長波長側にシフトする。このことは、膜厚が増加する上記一方向において、分光フィルタ10を透過する光の波長(透過波長域)が連続的に変化することを意味している。
受光部20は、複数の受光素子21と、各受光素子21を支持する支持基板22とを有している。各受光素子21は、分光フィルタ10を透過した光を受光するセンサであり、分光フィルタ10のロングパスフィルタLP等の膜厚が単調に増加する上記一方向に沿って、支持基板22上に並べて配置されている。分光フィルタ10では、上記一方向に透過波長が連続的に変化するため、上記一方向に沿って並べられた複数の受光素子21のうち、どの受光素子21で光を受光したかを検知することにより、分光フィルタ10に入射した光の波長(波長域)を検出することができる。
なお、図1において、基板11に対するバンドパスフィルタBPとショートパスフィルタSPとの位置関係は逆であってもよい。つまり、基板11に対して受光部20側にバンドパスフィルタBPを位置させ、受光部20とは反対側にショートパスフィルタSPを位置させてもよい。
また、基板11と基板12との位置関係は、逆であってもよい。つまり、基板12と受光部20との間に、基板11が位置していてもよい。ただし、このような位置関係で基板11・12を接着剤31で貼り合わせる場合、基板11・12に成膜した膜同士が接着剤31で接着されると特性が変化するおそれがあるため、基板12上のロングパスフィルタLPが分光フィルタ10の最外層となるようにして(ロングパスフィルタLPが基板12に対して基板11とは反対側に位置するようにして)、基板11・12を貼り合わせることが望ましい。
図2は、分光測定装置1の他の構成を示す断面図である。分光測定装置1の分光フィルタ10において、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSPおよびロングパスフィルタLPは、それぞれ別々の基板11・12・13に成膜されていてもよい。このような構成であっても、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSPおよびロングパスフィルタLPを重ね合わせて位置させることができる。基板11・12は、接着剤31を介して貼り合わされ、基板12・13は接着剤32を介して貼り合わされる。なお、各基板11〜13は、空気層が介在して互いに非接触となるように、支持部材(図示せず)で支持されていてもよい。また、各基板11〜13の配置順序は、図2で示した順序に限定されず、例えば受光部20側から、基板11、基板12、基板13の順に配置されてもよい。
(重ね合わせの位置精度について)
本実施形態では、分光フィルタ10を、ロングパスフィルタLP、ショートパスフィルタSP、バンドパスフィルタBPの3層を用いて構成することにより、ロングパスフィルタLPおよびショートパスフィルタSPの重ね合わせの位置精度を緩和することができる。以下、この点について、まず説明する。
図3は、分光フィルタをショートパスフィルタSPおよびロングパスフィルタLPの2層で構成し、ショートパスフィルタSPとロングパスフィルタLPとで位置ズレが生じていない場合の各々のフィルタの分光特性であって、波長600nm付近の光を透過させる膜厚位置での分光特性を示している。ショートパスフィルタSPとロングパスフィルタLPとで位置ズレを生じさせることなく両者を重ね合わせた場合、同図のように、ショートパスフィルタSPおよびロングパスフィルタLPの各分光特性によって、波長600nm付近に透過率のピークが形成される。
長さが6mmで可視域をカバーするような(長さ6mmの範囲で可視光の全波長域の光を透過させるような)上記の分光フィルタにおいて、図3で示した分光特性を持つショートパスフィルタSPとロングパスフィルタLPとの間に、膜厚が変化する一方向に例えば0.1mmの相対的な位置ズレが生じると、図4に示すように、ショートパスフィルタSPおよびロングパスフィルタLPの一方の分光特性が他方の分光特性に対して相対的にずれる。
図5は、ショートパスフィルタSPとロングパスフィルタLPとのトータルの分光特性を示している。同図に示すように、ショートパスフィルタSPとロングパスフィルタLPとで位置ズレがない場合と、0.1mmの位置ズレがある場合とでは、透過率がピークとなる波長、およびピークとなる透過率自体が変動することがわかる。つまり、ショートパスフィルタSPとロングパスフィルタLPとの2層構成では、これらの2層の少しの位置ズレが分光フィルタ全体の特性に大きく影響し、2層の位置ズレがほとんど許容されないことがわかる。
図6は、分光フィルタを、ショートパスフィルタSP、ロングパスフィルタLPおよびバンドパスフィルタBPの3層で構成したときの各フィルタの分光特性であって、波長600nm付近の光を透過させる膜厚位置での分光特性を示している。同図に示すように、3層構成の分光フィルタでは、ロングパスフィルタLPの遮断波長WLを、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1よりも短くし、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSを、バンドパスフィルタBPの長波長側の遮断波長WB2よりも長くすることで、遮断波長WB1と遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させ、それ以外の光を遮断する特性を出すことができる。つまり、この構成では、分光フィルタの透過特性は、バンドパスフィルタBPの透過特性によってほぼ決まるため、ロングパスフィルタLPの遮断波長WLと、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSとの差(波長差)を、上記した2層構成の分光フィルタに比べて広く確保することが可能となる。
遮断波長WL・WSの波長差が広がることにより、ロングパスフィルタLPとショートパスフィルタSPとの重ね合わせの際の位置ズレによって遮断波長WL・WSが変動(シフト)しても、遮断波長WL・WSがバンドパスフィルタBPの透過波長域に重なりにくくなり、バンドパスフィルタBPの透過特性(=分光特性の透過特性)を確保できる。したがって、ロングパスフィルタLPとショートパスフィルタSPとの重ね合わせに高い位置精度を要求しなくても済み、上記位置精度を緩和して、ロングパスフィルタLPとショートパスフィルタSPとの位置ズレの許容範囲を広げることが可能となる。
(膜厚勾配の設定について)
図7は、3層構成の分光フィルタにおける、各フィルタの理想的な分光特性を模式的に示している。膜厚が変化する一方向の各位置において所望の透過特性を出すためには、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSP、ロングパスフィルタLPの各遮断波長の関係性(遮断波長の波長差)が上記一方向の各位置でほぼ一定であることが理想的である。すなわち、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSP、ロングパスフィルタLPのいずれにおいても、膜厚(位置)が変化するにつれて遮断波長は単調に変化(シフト)するが、膜厚変化に対する遮断波長のシフト量を、3種のフィルタ間で同じにすることが理想的である。
しかし、実際には、膜材料に波長分散があるため、膜厚変化に対する遮断波長のシフト量が、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSP、ロングパスフィルタLPの間で異なる。このため、膜厚勾配を全て同じにして上記3種のフィルタを重ね合わせたのでは、膜厚が変化する一方向のある位置では、良好な透過性能を確保することができても、別の位置では、良好な透過性能を確保することができない場合がある。そこで、本実施形態では、少なくとも2種のフィルタの膜厚勾配を異ならせることにより、上記波長分散の影響を受けつつも、膜厚が変化する一方向のどの位置においても、所望の透過特性を実現するようにしている。以下、この点について詳細に説明する。
図8は、高屈折率材料と低屈折率材料との多層膜からなる一般的な反射膜において、高屈折率材料の屈折率nHを、2.30、2.38、2.46と変化させた場合の分光特性の変化を示している。同図に示すように、反射膜の反射波長域Aは、高屈折率材料の屈折率nHが高くなると広くなり、屈折率nHが低くなると狭くなることが知られている。
このような反射膜における分光特性の変化を、高屈折率材料と低屈折率材料との多層膜からなるロングパスフィルタLPおよびショートパスフィルタSPに当てはめて考えると、以下のようになる。すなわち、反射膜の反射波長域Aの長波長側の分光特性(特に透過率が0%から急激に増大する波長域の分光特性)は、ロングパスフィルタLPの分光特性(特に透過率が0%から急激に増大する、遮断波長WL近傍の分光特性)に対応し、反射波長域Aの短波長側の分光特性(特に透過率が0%に急激に低下する波長域の分光特性)は、ショートパスフィルタSPの分光特性(特に透過率が0%に急激に低下する、遮断波長WS近傍の分光特性)に対応する。このため、ロングパスフィルタLPでは、図9に示すように、高屈折率材料の屈折率nHが高くなると、遮断波長WLが長波長側にシフトし、ショートパスフィルタSPでは、図10に示すように、高屈折率材料の屈折率nHが高くなると、遮断波長WSは短波長側にシフトする。逆に、高屈折率材料の屈折率nHが低くなると、ロングパスフィルタLPでは、遮断波長WLが短波長側にシフトし、ショートパスフィルタSPでは、遮断波長WSは長波長側にシフトする。
また、図11は、高屈折率材料の一種である酸化ニオブ(Nb25)における波長と屈折率との関係を示し、図12は、低屈折率材料の一種である酸化シリコン(SiO2)における波長と屈折率との関係を示している。膜を構成する材料には、必ず波長分散があり、波長が短くなるにつれて屈折率が高くなる。このような傾向は、低屈折率材料よりも高屈折率材料で顕著に現れることがわかる。つまり、低屈折率材料の波長分散は、高屈折率材料の波長分散に比べると、無視できるほど小さい。
図13は、膜厚勾配を有するロングパスフィルタLPおよびショートパスフィルタSPにおける総膜厚の推移を示している。なお、同図では、ロングパスフィルタLPおよびショートパスフィルタSPともに、波長600nmに透過率のピークがある位置(600nmピーク位置)の総膜厚を基準(総膜厚1)とし、その総膜厚に対する他の位置の総膜厚の比を示している。図13のように、膜厚勾配が同じロングパスフィルタLPとショートパスフィルタSP、つまり、一方向に同じ比率で総膜厚を変化させたロングパスフィルタLPとショートパスフィルタSPとを重ね合わせて分光フィルタを構成すると、図14に示すように、ある基準(波長600nm)よりも短波長側の波長域(例えば波長380nm付近)では、上述した高屈折率材料の波長分散の影響によって(屈折率nHの増加によって)、ロングパスフィルタLPの遮断波長WLが長波長側にシフトし、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが短波長側にシフトする。その結果、波長380nm付近での透過率の半値幅が狭くなる。逆に、ある基準(波長600nm)よりも長波長側の波長域(例えば波長780nm付近)では、高屈折率材料の波長分散の影響によって(屈折率nHの減少によって)、ロングパスフィルタLPの遮断波長WLが短波長側にシフトし、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが長波長側にシフトする。その結果、波長780nm付近での透過率の半値幅が広くなる。
このように、遮断波長のシフトを、600nmピーク位置を基準として考えた場合、図14より、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合(遮断波長のシフト量)は、ショートパスフィルタSPよりもロングパスフィルタLPのほうが小さいと言える(600nmピーク位置からの膜厚の変化に対して、遮断波長WLのほうが遮断波長WSよりもシフト量が小さい)。
このことを、膜厚比と遮断波長との関係で示したものが、図15である。なお、図15の横軸の膜厚比は、基準となる位置(例えばロングパスフィルタLPでは遮断波長が350nmとなる位置、バンドパスフィルタBPでは遮断波長が380nmとなる位置、ショートパスフィルタSPでは遮断波長が410nmとなる位置)の膜厚をそれぞれ膜厚比1とし、この基準位置の膜厚に対する各位置の膜厚の比を示している。また、縦軸の遮断波長は、透過率が50%となるときの波長であるが、バンドパスフィルタBPについては、短波長側の遮断波長を示している。なお、図15では、ロングパスフィルタLP、バンドパスフィルタBP、ショートパスフィルタSPの各膜厚勾配は同じであるとする。
同図に示すように、膜厚比(膜厚の変化)に対する遮断波長の変化の割合(遮断波長のシフト量)は、図15の直線で示すグラフの傾きにそれぞれ相当する。したがって、ロングパスフィルタLPでは、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合(直線の傾き)が、他のフィルタよりも小さい。なお、図15に示すように、バンドパスフィルタBPについては、膜厚変化に対する遮断波長の変化の仕方がショートパスフィルタSPと類似することがわかっている。このため、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合は、バンドパスフィルタBPおよびショートパスフィルタSPよりもロングパスフィルタLPのほうが小さいとも言える。
また、図16は、2種の高屈折率材料A・Bの分散をそれぞれ示している。同図では、高屈折率材料Aのほうが高屈折率材料Bよりも分散が大きい(波長の変化に対する屈折率の変化が大きい)ことを示している。図15で示した、膜厚変化に対する遮断波長の変化が、より分散が大きい高屈折率材料Aを用いた場合の変化であるとした場合、より分散が小さい高屈折率材料Bを用いた場合の、膜厚変化に対する遮断波長の変化は、図17のようになる。つまり、図15および図17のように、高屈折率材料の分散の大きさによっても、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合は変動し、用いる高屈折率材料の分散が大きいほど、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合は小さくなる(図15のほうが図17よりも、各グラフの直線の傾きが小さい)。ただし、より分散の小さい高屈折率材料を用いた場合でも、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合が、バンドパスフィルタBPおよびショートパスフィルタSPよりもロングパスフィルタLPのほうが小さい点は、図15の場合と同様である。
このように、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合が、少なくとも、バンドパスフィルタBPとロングパスフィルタLPとで異なっているため、これらの各フィルタの膜厚勾配をほぼ同じにして各フィルタを重ね合わせると、膜厚が変化する一方向のある位置では、良好な透過性能を確保することができない場合がある。例えば、後述する比較例2では、波長380nmの透過帯(特にバンドパスフィルタBPの透過率ピークが380nmとなる位置)において、膜厚変化に対する波長シフト量が、バンドパスフィルタBPよりもロングパスフィルタLPのほうが少ないために、バンドパスフィルタBPの透過波長域がロングパスフィルタLPの遮断波長WLよりも短波長側にくる(図40参照)。この場合、バンドパスフィルタBPを透過する光は、ロングパスフィルタLPによって透過が阻止されることになり、良好な透過性能を確保することができなくなる。
そこで、本実施形態では、ロングパスフィルタLPの膜厚勾配GLを、バンドパスフィルタBPの膜厚勾配GBよりも大きくしている。このようにすることで、膜厚が変化する一方向の各位置において、遮断波長WB1・WLの基準からのシフト量を互いに近づけることが可能となる。例えば、バンドパスフィルタBPの膜厚比3の位置では、ロングパスフィルタLPの膜厚比が3よりも大きい位置でのシフト量だけ遮断波長WLをシフトさせるようにして、遮断波長WB1・WLのシフト量を互いに近づけることができる。また、バンドパスフィルタBPの膜厚比が3以外の位置でも、上記と同様に考えることができ、ロングパスフィルタLPにおいて、膜厚比がバンドパスフィルタBPの膜厚比よりも大きい位置でのシフト量だけ遮断波長WLをシフトさせるようにして、遮断波長WB1・WLのシフト量を互いに近づけることができる。
したがって、上記一方向のどの位置でも、遮断波長WLを遮断波長WB1とほぼ同じ量だけシフトさせて、遮断波長WLを遮断波長WB1よりも短くする、つまり、遮断波長WLを遮断波長WB1よりも短波長側に位置させることが可能となる。その結果、上記一方向のどの位置でも、遮断波長WLが遮断波長WB1よりも短く、遮断波長WSが遮断波長WB2よりも長いことによって、遮断波長WB1と遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させる構成を実現することが可能となる。つまり、図18に示すように、可視光を透過する上記一方向のどの位置でも、良好な透過性能を確保することが可能となる。なお、分光フィルタにおける上記一方向の長さは任意に設定することができ、例えば6〜20mmの長さとすることができる。
なお、図15および図17で示したように、ショートパスフィルタSPとバンドパスフィルタBPとで、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合(直線の傾き)はほとんど同じであるため、ショートパスフィルタSPの膜厚勾配GSと、バンドパスフィルタBPの膜厚勾配GBとは同じであってもよいが、各直線の傾きの差に相当する量だけ、膜厚勾配GSと膜厚勾配GBとに差を持たせて、ショートパスフィルタSPおよびバンドパスフィルタBP間でも、膜厚が変化する一方向の各位置において、遮断波長のシフト量を揃えるようにしてもよい。
(遮断波長WB1と遮断波長WLとの波長差の望ましい範囲)
本実施形態の分光フィルタ10において、膜厚が変化する一方向で、可視光(例えば波長380〜780nmの光)が透過する全ての位置において、遮断波長WB1と遮断波長WLとの波長差(以下、ΔWとも記載する)は、13nm以上42nm以下であることが望ましい。
ΔWが13nm以上であることにより、ロングパスフィルタLPの上記一方向の位置ズレの許容範囲を確実に広げることができる。つまり、図19に示すように、ロングパスフィルタLPの位置ズレにより、ある透過帯の遮断波長WB1に遮断波長WLが重なると、バンドパスフィルタBPの透過波長域(遮断波長WB1と遮断波長WB2との間の波長域)が狭くなり、良好な透過特性を確保することができなくなる。ΔWとして13nm以上を確保することにより、ロングパスフィルタLPの上記一方向の位置ズレの許容範囲が広がるため、多少の位置ズレが生じたとしても、良好な透過性能を確実に確保することが可能となる。
また、ΔWが42nm以下であることにより、ロングパスフィルタLPの位置ズレに起因する光の透過漏れを確実に低減することができる。つまり、図20に示すように、ロングパスフィルタLPの上記一方向の位置ズレにより、ロングパスフィルタLPの遮断波長WLが、バンドパスフィルタBPの阻止帯(光の透過を阻止する波長域;図20の例では、540〜590nmあたり)よりも短波長側に位置すると、バンドパスフィルタBPの阻止帯よりも短波長側の光がロングパスフィルタLPで遮断されずに透過することになり、光の透過漏れが生ずる。このため、ΔWを42nm以下に設定することにより、上記の透過漏れを確実に低減することができる。
また、バンドパスフィルタBPの阻止帯を広げることで、上記の透過漏れを低減することも可能であるが、阻止帯を広げるような設計は、バンドパスフィルタBPの層数が増大することとなり、設計が困難となりやすい。この点、上記のようにΔWを42nm以下に設定することにより、バンドパスフィルタBPの層数を増大させることなく、上記の透過漏れを無くすことができ、バンドパスフィルタBPの設計も容易となる。
上記の効果をより確実に得る観点から、ΔWの望ましい範囲は、20nm以上30nm以下である。
(ΔWを所望の範囲に収めるための具体的な条件について)
次に、本実施形態の分光フィルタ10において、上記したΔWの範囲を実現するための具体的な条件について検討する。
上述したように、分光フィルタ10のロングパスフィルタLPおよびバンドパスフィルタBPは、第1屈折率材料からなる層と、第1屈折率材料よりも屈折率の高い少なくとも1つの第2屈折率材料からなる層とを積層した多層膜で構成されている。ここで、少なくとも1つの第2屈折率材料の中で、層数および総膜厚の少なくともいずれかが最大となる材料を、主屈折率材料とする。なお、第2屈折率材料が1種類のみである場合、その第2屈折率材料が主屈折率材料となる。また、層数が最大となる第2屈折率材料と、総膜厚が最大となる第2屈折率材料とが異なる場合、いずれの第2屈折率材料についても主屈折率材料とすることができる。
ロングパスフィルタLPにおいて、主屈折率材料の波長380nmにおける屈折率を、nL380とし、主屈折率材料の波長780nmにおける屈折率を、nL780とし、波長780nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dL780(nm)とし、波長380nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dL380(nm)とする。
また、バンドパスフィルタBPにおいて、主屈折率材料の波長380nmにおける屈折率を、nB380とし、主屈折率材料の波長780nmにおける屈折率を、nB780とし、波長780nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dB780(nm)とし、波長380nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dB380(nm)とする。
分光フィルタ10は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。すなわち、
0.98<{(dL780/dL380)/(dB780/dB380)}×[(nL780/nL380)/{(nB780/nB3800.4}]<1.17 ・・・(1)
である。
なお、条件式(1)において、
(dL780/dL380)/(dB780/dB380)=E
(nL780/nL380)/{(nB780/nB3800.4}=M
E×M=F
とすると、条件式(1)は、以下の条件式(1’)のように簡略化することもできる。
0.98≦F≦1.17 ・・・(1’)
また、分光フィルタ10は、以下の条件式(2)を満足することがより望ましい。すなわち、
1.03<{(dL780/dL380)/(dB780/dB380)}×[(nL780/nL380)/{(nB780/nB3800.4}]<1.1 ・・・(2)
である。
なお、条件式(2)は、上記した条件式(2’)にならって、以下の条件式(2’)のように簡略化することもできる。
1.03≦F≦1.1 ・・・(2’)
ここで、上記のEは、ロングパスフィルタLPの膜厚勾配GLと、バンドパスフィルタBPの膜厚勾配GBとの比(以下、勾配比とも称する)を示している。dL780/dL380がdB780/dB380よりも大きくなるほど、つまり、膜厚勾配GLが膜厚勾配GBよりも大きくなるほど、Eの値は大きくなる。
また、上記のMは、ロングパスフィルタLPに適用された主屈折率材料の分散と、バンドパスフィルタBPに適用された主屈折率材料の分散との比(以下、分散比とも称する)を示している。なお、Mの式において、バンドパスフィルタBPの主屈折率材料の分散(nB780/nB380)を0.4乗しているのは、上記のEを、xy直交座標系での変数yに対応させ、上記のMを変数xに対応させて、座標(M,E)で表される設計値の各点をプロットしたときに、各点が座標平面上でほぼリニアに並ぶようになり、条件式(1)または(2)の上限および下限に相当する定数を求めやすくすることができることによる。なお、Mの式において、累乗の部分は0.4乗以外であってもよいが、この場合は、複数の分光フィルタに対応する各点が曲線状に並ぶため、回帰式の特定がしにくくなる可能性がある。したがって、Mの式の累乗の部分は0.4乗であることが望ましい。
ロングパスフィルタLPの主屈折率材料の分散が小さい場合、ロングパスフィルタLPにおいて、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合は、図17で示したように比較的大きくなる。このため、勾配比(GL/GB)をそれほど大きくしなくても、各透過位置(膜厚位置)での遮断波長の基準からのシフト量を、ロングパスフィルタLPとバンドパスフィルタBPとでほぼ揃えることが可能となる。なお、ロングパスフィルタLPの主屈折率材料の分散が小さい場合、(nL780/nL380)の値としては大きくなるため(分母のnL380が小さくなるため)、上述の分散比は大きくなる傾向になる。したがって、分散比が大きい場合、勾配比を小さくして、膜厚が変化する一方向の各位置において、遮断波長Wb1・WLの差(ΔW)を所定範囲内に収めることができると言える。
逆に、ロングパスフィルタLPの主屈折率材料の分散が大きい場合、ロングパスフィルタLPにおいて、膜厚変化に対する遮断波長の変化の割合は、図15で示したように比較的小さくなる。このため、各透過位置での遮断波長の基準からのシフト量を、ロングパスフィルタLPとバンドパスフィルタBPとで揃えるためには、勾配比(GL/GB)をより大きくする必要がある。なお、ロングパスフィルタLPの主屈折率材料の分散が大きい場合、(nL780/nL380)の値としては小さくなるため(分母のnL380が大きくなるため)、上述の分散比は小さくなる傾向になる。したがって、分散比が小さい場合、膜厚が変化する一方向の各位置で遮断波長Wb1・WLの差(ΔW)を所定範囲内に収めるためには、勾配比を大きくする必要があると言える。
以上のことから、膜厚が変化する一方向の各位置でΔWを所定範囲内に収めるためには、勾配比と分散比とがほぼ反比例の関係にあればよいと言える。
図21は、分散比に相当するMと勾配比に相当するEの実際の設計値を座標平面上にプロットしたものである(設計値を示す各点の座標は(M,E))。図中のA群は、ΔWが、波長380nmの光の透過部(380nm透過帯)で35〜42nm程度と大きく、波長780nmの光の透過部(780nm透過帯)で13〜17nm程度と小さくなるような設計値の集合を示している。また、B群は、ΔWが、380nm透過帯で13〜17nm程度と小さく、780nm透過帯で35〜42nm程度と大きくなるような設計値の集合を示している。A群の設計値、B群の設計値、またはA群とB群との間の設計値を採用すれば、ΔWは13nm以上42nm以下の範囲にあることになり、ロングパスフィルタLPに位置ズレが生じても、上述した透過性能を確保できることになる。
上述のようにMとEとが反比例の関係にある場合、A群の上限を示す回帰式pおよびB群の下限を示す回帰式sは、それぞれy=a/xで近似することができる。この場合、MとEとの積であるFは、上記回帰式の定数aに相当する。図21より、回帰式pおよび回帰式sを求めたところ、回帰式pとしてy=1.17/xが得られ、回帰式sとしてy=0.98/xが得られた。したがって、MとEとの積であるFの値が0.98よりも大きく1.17よりも小さければ(条件式(1)または(1’)を満足すれば)、膜厚が変化する一方向のどの位置でも、ΔWとして13nm以上42nm以下を実現して、上述の効果を得ることができると言える。
また、図21のC群は、380nm透過帯においても、780nm透過帯においても、ΔWが20〜30nm程度となる設計値の集合である。C群の設計値を採用すれば、ロングパスフィルタLPの位置ズレの許容範囲を確実に広げながら、バンドパスフィルタBPの阻止帯の光をロングパスフィルタLPで確実に遮断することができる。図21より、C群の上限を示す回帰式qおよびC群の下限を示す回帰式rを求めたところ、回帰式qとしてy=1.1/xが得られ、回帰式rとしてy=1.03/xが得られた。したがって、Fの値が1.03よりも大きく1.1よりも小さければ(条件式(2)または(2’)を満足すれば)、膜厚が変化する一方向のどの位置でも、ΔWとして20nm以上30nm以下を実現して、上述の効果を得ることができると言える。
(実施例)
次に、ロングパスフィルタLP、ショートパスフィルタSPおよびバンドパスフィルタBPを用いた3層構成の分光フィルタを複数設計し、各分光フィルタの特性について調べた結果について説明する。なお、設計した複数の分光フィルタのうちで代表的なものを、実施例1〜5および比較例1〜2とする。
ここでは、高屈折率材料として、Nb25からなる高屈折率材料H1と、高屈折率材料H1の分散を変化させた高屈折率材料H2〜H4とを考える。また、低屈折率材料として、SiO2からなる低屈折率材料L1を考える。表1は、高屈折率材料H1〜H4の分散データ(波長ごとの屈折率)を示し、表2は、低屈折率材料L1の分散データを示している。
Figure 0006464919
Figure 0006464919
また、ロングパスフィルタLPとして、LP1〜LP5のいずれかを考え、ショートパスフィルタSPとして、SP1〜SP5のいずれかを考え、バンドパスフィルタBPとして、BP1〜BP5のいずれかを考える。LP1〜LP5は、高屈折率材料H1〜H4から選択される1種以上の層と、低屈折率材料L1からなる層とを積層して構成される。表3〜表7は、LP1〜LP5の、波長380nmの透過位置での基準の層構成をそれぞれ示している。各波長の透過位置での各層の膜厚は、所望の膜厚勾配GLが得られるように、上記基準の層構成をもとに設定される。例えば、LP1の所望の膜厚勾配GLが得られるときの波長380nmの透過位置での総膜厚が1942.5nmである場合、表3で示した各層の総膜厚は1696.78nmであるので、波長380nmの透過位置での各層の膜厚は、表3で示した各膜厚に係数(1942.5/1696.78)を掛け合わせた値に設定される。他の波長の透過位置での各層の膜厚についても、上記と同様の手法で設定される。
また、SP1〜SP5は、高屈折率材料H1〜H4から選択される1種以上の層と、低屈折率材料L1からなる層とを積層して構成される。表8〜表12は、SP1〜SP5の、波長380nmの透過位置での基準の層構成をそれぞれ示している。各波長の透過位置での各層の膜厚は、所望の膜厚勾配GSが得られるように、上記基準の層構成をもとに、LP1〜LP5の場合と同様の手法で設定される。
また、BP1〜BP5は、高屈折率材料H1〜H4から選択される1種以上の層と、低屈折率材料L1からなる層とを積層して構成される。表13〜表17は、BP1〜BP5の、波長380nmの透過位置での基準の層構成をそれぞれ示している。各波長の透過位置での各層の膜厚は、所望の膜厚勾配GBが得られるように、上記基準の層構成をもとに、LP1〜LP5の場合と同様の手法で設定される。
なお、下記の表において、層番号は、基板側から順に数えたときの層の番号とし、膜厚は物理膜厚を示す。
Figure 0006464919
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なお、表7で示したLP5の層構成は、表3で示したLP1の2層目のみ、高屈折率材料H1を高屈折率材料H3に置き換えたものである。また、表12で示したSP5の層構成は、表8で示したSP1の1層目のみ、高屈折率材料H1を高屈折率材料H3に置き換えたものである。また、表17で示したBP5の層構成は、表13で示したBP1の1層目のみ、高屈折率材料H1を高屈折率材料H3に置き換えたものである。
以下、実施例1〜5および比較例1〜2の分光フィルタについて、さらに説明する。なお、以下での説明において、波長1は波長380nmを指し、波長3は波長580nmを指し、波長5は波長780nmを指す。
《実施例1》
実施例1では、波長1、波長3、波長5の各透過位置において、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1、ロングパスフィルタLPの遮断波長WL、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが、それぞれ表18に示す値となるように、BP1、LP1、SP1の各層の膜厚勾配を調整して分光フィルタを設計した。実施例1の分光フィルタにおいて、波長1、波長3、波長5の各透過位置での分光特性を図22〜図24に示す。なお、表18では、参考のため、バンドパスフィルタBPの上記各透過位置での長波長側の遮断波長WB2についても併せて示す(以下の表でも同様とする)。
Figure 0006464919
《実施例2》
実施例2では、波長1、波長3、波長5の各透過位置において、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1、ロングパスフィルタLPの遮断波長WL、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが、それぞれ表19に示す値となるように、BP2、LP2、SP1の各層の膜厚勾配を調整して分光フィルタを設計した。実施例2の分光フィルタにおいて、波長1、波長3、波長5の各透過位置での分光特性を図25〜図27に示す。
Figure 0006464919
《実施例3》
実施例3では、波長1、波長3、波長5の各透過位置において、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1、ロングパスフィルタLPの遮断波長WL、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが、それぞれ表20に示す値となるように、BP2、LP4、SP1の各層の膜厚勾配を調整して分光フィルタを設計した。実施例3の分光フィルタにおいて、波長1、波長3、波長5の各透過位置での分光特性を図28〜図30に示す。
Figure 0006464919
《実施例4》
実施例4では、波長1、波長3、波長5の各透過位置において、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1、ロングパスフィルタLPの遮断波長WL、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが、それぞれ表21に示す値となるように、BP3、LP2、SP1の各層の膜厚勾配を調整して分光フィルタを設計した。実施例4の分光フィルタにおいて、波長1、波長3、波長5の各透過位置での分光特性を図31〜図33に示す。
Figure 0006464919
《実施例5》
実施例5では、波長1、波長3、波長5の各透過位置において、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1、ロングパスフィルタLPの遮断波長WL、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが、それぞれ表22に示す値となるように、BP5、LP5、SP5の各層の膜厚勾配を調整して分光フィルタを設計した。実施例5の分光フィルタにおいて、波長1、波長3、波長5の各透過位置での分光特性を図34〜図36に示す。なお、実施例5のBP5、LP5、SP5では、複数の高屈折率材料H1・H3のうち、層数および総膜厚がともに大きい高屈折率材料H1が主屈折率材料となる。
Figure 0006464919
《比較例1》
比較例1では、波長1、波長3、波長5の各透過位置において、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1、ロングパスフィルタLPの遮断波長WL、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが、それぞれ表23に示す値となるように、BP1、LP1、SP1の各層の膜厚勾配を調整して分光フィルタを設計した。比較例1の分光フィルタにおいて、波長1、波長3、波長5の各透過位置での分光特性を図37〜図39に示す。
Figure 0006464919
《比較例2》
比較例2では、波長1、波長3、波長5の各透過位置において、バンドパスフィルタBPの短波長側の遮断波長WB1、ロングパスフィルタLPの遮断波長WL、ショートパスフィルタSPの遮断波長WSが、それぞれ表24に示す値となるように、BP1、LP1、SP1の各層の膜厚勾配を調整して分光フィルタを設計した。比較例2の分光フィルタにおいて、波長1、波長3、波長5の各透過位置での分光特性を図40〜図42に示す。
Figure 0006464919
表25は、実施例1〜5および比較例1〜2の分光フィルタにおける各パラメータの値をまとめて示したものである。なお、ショートパスフィルタSPに関しては、主屈折率材料の波長380nmにおける屈折率を、nS380とし、主屈折率材料の波長780nmにおける屈折率を、nS780とし、波長780nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dS780(nm)とし、波長380nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dS380(nm)とした。
Figure 0006464919
表25より、比較例1では、Eの値が1であり、ロングパスフィルタの膜厚勾配GLがバンドパスフィルタBPの膜厚勾配GBと等しい。この場合、遮断波長WB1・WLの差(ΔW)が、波長5の透過位置で119.2nmと広がりすぎているため、図39で示すように、バンドパスフィルタBPの阻止帯で阻止しきれない光(例えば波長650〜660nmあたりの光)が、ロングパスフィルタLPを透過する特性となっている。
また、比較例2では、Eの値が1よりも小さく、膜厚勾配GLが膜厚勾配GBよりも小さい。この場合、ΔWが−8.8nmとなり、遮断波長Wlが遮断波長WB1よりも長波長側にあるため、図40で示すように、バンドパスフィルタBPを透過する光は、ロングパスフィルタLPで遮断され、波長1(380nm)の透過特性を確保することができない。
これに対して、実施例1〜5では、Eの値が全て1よりも大きく、膜厚勾配GLが膜厚勾配GBよりも大きい。その結果、波長1、波長3、波長5の各透過位置で、遮断波長WLが遮断波長WB1よりも短く、遮断波長WSが遮断波長WB2よりも長くなっており、上記各透過位置で、遮断波長WB1と遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させる特性となっている。このことから、膜厚が変化する一方向のどの位置でも(どの波長の透過位置でも)、良好な透過性能を確保できることが容易に推測できる。
また、図43は、実施例1〜5、比較例1〜2におけるMおよびEの値を座標平面上にプロットしたものである。実施例1〜5の各点(座標は(M,E))は、いずれも、回帰式p(y=1.17/x)と回帰式s(y=0.98/x)との間に位置しており、ΔWとして、上述した13nm以上42nm以下を確保できる特性が得られることがわかる。特に、実施例1および5は、回帰式q(y=1.1/x)と回帰式r(y=1.03/x)との間に位置しており、ΔWとして、上述した20nm以上30nm以下を確保できる特性が得られることがわかる。なお、比較例1〜2は、回帰式pと回帰式sとの間に位置していないことから、膜厚が変化する一方向のどの位置でも、ΔWとして所望の範囲(13nm以上42nm以下)を確保できないことは明らかである。
本発明は、一方向において透過波長が連続的に変化するLVFや、そのLVFを備えた分光測定装置に利用可能である。
1 分光測定装置
10 分光フィルタ
11 基板
12 基板
13 基板
21 受光素子
31 接着剤
32 接着剤
LP ロングパスフィルタ
SP ショートパスフィルタ
BP バンドパスフィルタ

Claims (7)

  1. 一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加し、遮断波長WLよりも長い波長域の光を透過させるとともに、前記膜厚が増加するにつれて前記遮断波長WLが単調に長くなるロングパスフィルタと、
    一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加し、遮断波長WSよりも短い波長域の光を透過させるとともに、前記膜厚が増加するにつれて前記遮断波長WSが単調に長くなるショートパスフィルタと、
    一方向に向かうにつれて膜厚が単調に増加し、短波長側の遮断波長WB1と長波長側の遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させるとともに、前記膜厚が増加するにつれて、前記遮断波長WB1および前記遮断波長WB2が単調に長くなるバンドパスフィルタとを備え、
    前記ロングパスフィルタと、前記ショートパスフィルタと、前記バンドパスフィルタとは、膜厚が単調に増加する前記一方向が互いに一致するように重ね合わされており、
    前記ロングパスフィルタの膜厚勾配は、前記バンドパスフィルタの膜厚勾配よりも大きく、
    前記一方向の各位置では、前記遮断波長WLが前記遮断波長WB1よりも短く、前記遮断波長WSが前記遮断波長WB2よりも長いことによって、前記遮断波長WB1と前記遮断波長WB2との間の波長域の光を透過させることを特徴とする分光フィルタ。
  2. 前記一方向で可視光が透過する全ての位置において、前記遮断波長WB1と前記遮断波長WLとの差は、13nm以上42nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の分光フィルタ。
  3. 前記ロングパスフィルタおよび前記バンドパスフィルタは、第1屈折率材料からなる層と、該第1屈折率材料よりも屈折率の高い少なくとも1つの第2屈折率材料からなる層とを積層した多層膜で構成されており、
    前記少なくとも1つの第2屈折率材料の中で、層数および総膜厚の少なくともいずれかが最大となる材料を、主屈折率材料とすると、
    前記ロングパスフィルタにおいて、
    前記主屈折率材料の波長380nmにおける屈折率を、nL380とし、
    前記主屈折率材料の波長780nmにおける屈折率を、nL780とし、
    波長780nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dL780とし、
    波長380nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dL380とし、
    前記バンドパスフィルタにおいて、
    前記主屈折率材料の波長380nmにおける屈折率を、nB380とし、
    前記主屈折率材料の波長780nmにおける屈折率を、nB780とし、
    波長780nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dB780とし、
    波長380nmの光を透過させる透過部の膜厚を、dB380としたとき、
    以下の条件式を満足することを特徴とする請求項2に記載の分光フィルタ;
    0.98<{(dL780/dL380)/(dB780/dB380)}×[(nL780/nL380)/{(nB780/nB3800.4}]<1.17
    である。
  4. 前記バンドパスフィルタおよび前記ショートパスフィルタは、同じ基板の表裏にそれぞれ成膜されており、
    前記ロングパスフィルタは、別の基板に成膜されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分光フィルタ。
  5. 前記バンドパスフィルタ、前記ショートパスフィルタおよび前記ロングパスフィルタは、それぞれ別々の基板に成膜されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分光フィルタ。
  6. 前記各基板は、接着剤を介して貼り合わされていることを特徴とする請求項4または5に記載の分光フィルタ。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の分光フィルタと、
    前記分光フィルタを透過した光を受光する受光素子とを備え、
    前記受光素子は、前記分光フィルタの前記一方向に沿って並べて配置されていることを特徴とする分光測定装置。
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