JP2008158258A - 光干渉フィルタ及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の光学特性を容易に得られるようにする。
【解決手段】それぞれ高屈折率層Hと低屈折率層Lとが交互積層されてなる第1及び第2のスタック11,12によってスペーサ層13’を挟んだキャビティ構造を有する光干渉フィルタにおいて、スペーサ層13’は二つの層13a,13bがオプティカルコンタクトにより接合されて構成されているものとする。キャビティ10は第1及び第2の基板20,30によって挟まれており、第1の基板20上に第1のスタック11と層13aが成膜形成され、第2の基板30上に第2のスタック12と層13bが成膜形成されている。スペーサ層の厚さを修正(追加成膜)することができ、膜厚誤差の補償が可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】それぞれ高屈折率層Hと低屈折率層Lとが交互積層されてなる第1及び第2のスタック11,12によってスペーサ層13’を挟んだキャビティ構造を有する光干渉フィルタにおいて、スペーサ層13’は二つの層13a,13bがオプティカルコンタクトにより接合されて構成されているものとする。キャビティ10は第1及び第2の基板20,30によって挟まれており、第1の基板20上に第1のスタック11と層13aが成膜形成され、第2の基板30上に第2のスタック12と層13bが成膜形成されている。スペーサ層の厚さを修正(追加成膜)することができ、膜厚誤差の補償が可能となる。
【選択図】図1
Description
この発明は誘電体多層膜を用いる光干渉フィルタ及びその作製方法に関する。
この種の光干渉フィルタは間隔の狭いファブリペロー干渉計となっており、空隙の役割をなすスペーサ層の両側を反射ピークをもつ積層膜(ミラー層)で挟むことにより共振器(キャビティ)としている。
図9は1キャビティ構造の光干渉フィルタの構成を模式的に示したものであり、第1及び第2のスタック11,12はミラー層をなし、これら第1及び第2のスタック11,12によってスペーサ層13が挟まれてキャビティ10が構成されている。
第1及び第2のスタック11,12はそれぞれ高屈折率層Hと低屈折率層Lとが交互積層されて構成されており、これら高屈折率層H及び低屈折率層Lは光学膜厚が目的の波長(中心波長λ0)の1/4となるように形成されている。スペーサ層13は中心波長λ0の1/2の整数倍の光学膜厚を有するものとされる。
図9は1キャビティ構造の光干渉フィルタの構成を模式的に示したものであり、第1及び第2のスタック11,12はミラー層をなし、これら第1及び第2のスタック11,12によってスペーサ層13が挟まれてキャビティ10が構成されている。
第1及び第2のスタック11,12はそれぞれ高屈折率層Hと低屈折率層Lとが交互積層されて構成されており、これら高屈折率層H及び低屈折率層Lは光学膜厚が目的の波長(中心波長λ0)の1/4となるように形成されている。スペーサ層13は中心波長λ0の1/2の整数倍の光学膜厚を有するものとされる。
このような積層構造を有するキャビティ10は基板20上に薄膜形成手法を用いることによって形成され、これにより光干渉フィルタが構成される。基板20は例えばガラス製とされ、また可視域や近赤外域で使用される光干渉フィルタの場合、高屈折率層Hの構成材料にはTiO2,Ta2O5,Al2O3,Nb2O5等が一般に使用され、低屈折率層Lの構成材料にはSiO2,MgF2,Na3AlF6等が一般に使用されている。
ところで、この種の光干渉フィルタにおいては多層膜の膜厚誤差によって光学特性は大きく左右されるため、所望の光学特性を得るためには高精度の膜厚制御が必要となる。特に、スペーサ層の厚さは中心波長λ0を決定する大きな要因であり、狭帯域の光干渉フィルタを作製するためにはスペーサ層の厚さを正確に制御することが必要となる。
ところで、この種の光干渉フィルタにおいては多層膜の膜厚誤差によって光学特性は大きく左右されるため、所望の光学特性を得るためには高精度の膜厚制御が必要となる。特に、スペーサ層の厚さは中心波長λ0を決定する大きな要因であり、狭帯域の光干渉フィルタを作製するためにはスペーサ層の厚さを正確に制御することが必要となる。
特許文献1にはこのように特性を最も左右するスペーサ層の膜厚制御を従来よりも精度良く行えるようにした成膜方法が記載されている。この特許文献1に記載されている方法は光学式膜厚計を用いる成膜において、モニタ光の波長を中心波長λ0の1/2とすることで、積層に伴うモニタ光量の低下を回避し、常に高いモニタ光量を得られるようにして、高精度の膜厚制御を行えるようにしたものである。
特開2005−107010号公報
しかるに、特許文献1に記載されている成膜方法は光学式膜厚計が組み込まれている成膜装置の使用を前提とするものであって、つまり光学式膜厚計によって成膜中の膜厚を測定しながら成膜を行うものであり、よって光学式膜厚計を具備せず、水晶振動式膜厚計などの低コストの膜厚計のみを具備する比較的安価な成膜装置においては当然のこととして適用することができない。
また、光学式膜厚計を具備する成膜装置において、高精度の膜厚制御を行うべく、特許文献1に記載されているような方法を用いたとしても、例えば光波長に起因する誤差や成膜時と使用時の温度差による光学特性の変化に起因する誤差等は排除することはできない。
また、光学式膜厚計を具備する成膜装置において、高精度の膜厚制御を行うべく、特許文献1に記載されているような方法を用いたとしても、例えば光波長に起因する誤差や成膜時と使用時の温度差による光学特性の変化に起因する誤差等は排除することはできない。
この発明の目的はこのような状況に鑑み、スペーサ層に修正成膜を行えるようにして、光学式膜厚計を具備しない成膜装置を用いる場合であっても、所望の光学特性を容易に得られるようにした光干渉フィルタ及びその作製方法を提供することにある。
請求項1の発明によれば、それぞれ高屈折率層と低屈折率層とが交互積層されてなる第1及び第2のスタックによってスペーサ層を挟んだキャビティ構造を有する光干渉フィルタにおいて、スペーサ層は二つの層がオプティカルコンタクトにより接合されて構成され、キャビティ構造は第1及び第2の基板によって挟まれた構造とされ、第1の基板上に第1のスタックと前記二つの層のうちの一方が成膜形成され、第2の基板上に第2のスタックと前記二つの層のうちの他方が成膜形成されているものとされる。
請求項2の発明によれば、それぞれ高屈折率層と低屈折率層とが交互積層されてなる第1及び第2のスタックによってスペーサ層を挟んだキャビティ構造を有する光干渉フィルタの作製方法は、第1の基板上に第1のスタックとスペーサ層の一部となる第1の層とを成膜形成して第1の多層膜部品を作製する工程と、第2の基板上に第2のスタックと、スペーサ層の一部となる層であってスペーサ層と前記第1の層の厚さの差に満たない厚さの第2の層とを成膜形成して第2の多層膜部品を作製する工程と、第1及び第2の多層膜部品の光学特性を測定する工程と、その測定により取得した光学特性に基づき、前記第1の層と第2の層とを接合したと仮定して得られる仮想光干渉フィルタの光学特性を算出する工程と、その算出した光学特性に基づき、目標の光学特性を有する光干渉フィルタを作製するために、前記第1の層もしくは第2の層に追加すべき厚さを算出する工程と、その追加すべき厚さの追加成膜を前記第1の層もしくは第2の層に行う工程と、追加成膜後、前記第1の層と第2の層とをオプティカルコンタクトにより接合する工程とを含む。
請求項2の発明によれば、それぞれ高屈折率層と低屈折率層とが交互積層されてなる第1及び第2のスタックによってスペーサ層を挟んだキャビティ構造を有する光干渉フィルタの作製方法は、第1の基板上に第1のスタックとスペーサ層の一部となる第1の層とを成膜形成して第1の多層膜部品を作製する工程と、第2の基板上に第2のスタックと、スペーサ層の一部となる層であってスペーサ層と前記第1の層の厚さの差に満たない厚さの第2の層とを成膜形成して第2の多層膜部品を作製する工程と、第1及び第2の多層膜部品の光学特性を測定する工程と、その測定により取得した光学特性に基づき、前記第1の層と第2の層とを接合したと仮定して得られる仮想光干渉フィルタの光学特性を算出する工程と、その算出した光学特性に基づき、目標の光学特性を有する光干渉フィルタを作製するために、前記第1の層もしくは第2の層に追加すべき厚さを算出する工程と、その追加すべき厚さの追加成膜を前記第1の層もしくは第2の層に行う工程と、追加成膜後、前記第1の層と第2の層とをオプティカルコンタクトにより接合する工程とを含む。
請求項3の発明では請求項2の発明において、第1及び第2のスタックは同一の積層構造とされ、第1及び第2の多層膜部品は1つの基板上に前記積層構造とスペーサ層の半分の厚さに満たない厚さとを成膜形成したものを分割することで作製し、第1及び第2の多層膜部品の光学特性は前記分割前もしくは分割後のいずれかの多層膜部品についての1回の測定によって共通の光学特性として取得する。
この発明による光干渉フィルタによれば、スペーサ層に修正成膜を行うことができ、その修正成膜により誤差を補償することができるため、所望の高精度の光学特性を容易に得ることができる。
また、この発明による光干渉フィルタの作製方法によれば、スペーサ層に修正成膜(追加成膜)を行うことにより、種々の誤差を含んで成膜された多層膜(第1及び第2の多層膜部品)の誤差を補償するものとなっており、所望の高精度の光学特性を、光学式膜厚計を具備しない成膜装置を用いる場合であっても容易に得ることができる。
また、この発明による光干渉フィルタの作製方法によれば、スペーサ層に修正成膜(追加成膜)を行うことにより、種々の誤差を含んで成膜された多層膜(第1及び第2の多層膜部品)の誤差を補償するものとなっており、所望の高精度の光学特性を、光学式膜厚計を具備しない成膜装置を用いる場合であっても容易に得ることができる。
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明による光干渉フィルタの一実施例の構成を模式的に示したものであり、図9と対応する部分には同一符号を付してある。
この例では光干渉フィルタは1キャビティ構造とされ、光学膜厚が目的の波長(中心波長λ0)の1/4とされた高屈折率層Hと低屈折率層Lとが交互積層されてなる第1のスタック11と第2のスタック12とによってスペーサ層13’が挟まれてキャビティ10が構成されている。
図1はこの発明による光干渉フィルタの一実施例の構成を模式的に示したものであり、図9と対応する部分には同一符号を付してある。
この例では光干渉フィルタは1キャビティ構造とされ、光学膜厚が目的の波長(中心波長λ0)の1/4とされた高屈折率層Hと低屈折率層Lとが交互積層されてなる第1のスタック11と第2のスタック12とによってスペーサ層13’が挟まれてキャビティ10が構成されている。
スペーサ層13’はこの例では二つの層13a,13bがオプティカルコンタクトにより接合されて構成されており、図1中、二点鎖線はオプティカルコンタクトによる接合部(接合面)を示す。
キャビティ10は第1の基板20と第2の基板30とによって挟まれた構造とされ、第1の基板20上に第1のスタック11とスペーサ層13’の一方の層13aが成膜形成され、第2の基板30上に第2のスタック12とスペーサ層13’の他方の層13bが成膜形成されている。
キャビティ10は第1の基板20と第2の基板30とによって挟まれた構造とされ、第1の基板20上に第1のスタック11とスペーサ層13’の一方の層13aが成膜形成され、第2の基板30上に第2のスタック12とスペーサ層13’の他方の層13bが成膜形成されている。
つまり、この例では図9に示した従来構成のように一つの基板20上に順次、第1のスタック11、スペーサ層13及び第2のスタック12を積層形成するのではなく、スペーサ層13’で光干渉フィルタの積層構造を2分し、それら各部をそれぞれ基板20及び基板30上に形成した後、接合して光干渉フィルタを作製するものとなっている。
従って、この例によれば光学特性を最も左右するスペーサ層13’の厚さを修正することが可能となり、所望の良好な光学特性を有する光干渉フィルタが得られるものとなる。
以下、一例として光干渉フィルタをArイオンレーザの514nm用の光干渉フィルタとして、その具体的構成及び作製方法について説明する。
従って、この例によれば光学特性を最も左右するスペーサ層13’の厚さを修正することが可能となり、所望の良好な光学特性を有する光干渉フィルタが得られるものとなる。
以下、一例として光干渉フィルタをArイオンレーザの514nm用の光干渉フィルタとして、その具体的構成及び作製方法について説明する。
高屈折率層Hの構成材料にはTa2O5を使用し、低屈折率層Lの構成材料にはSiO2を使用した。この時の高屈折率層Hの屈折率nH及び低屈折率層Lの屈折率nLは、nH=2.14,nL=1.47となる。基板20及び30は共にガラス製とした。
半値幅2.5nmの光干渉フィルタを作製する場合の多層膜の構造は、
(HL)5・4L・(LH)5=(HL)4H6L(HL)4Hとなり、それぞれ9層で構成されたスタック11,12と6Lのスペーサ層13’とよりなる。なお、(HL)4はHとLが4回繰り返し積層されていることを示し、6Lは光学膜厚がλ0/4の6倍の低屈折率層であることを示す。ここで、スペーサ層13’の厚さを6Lとしたのは、狭帯域の光干渉フィルタを実現させるためにスペーサ層13’を厚くしているためで、これに限らず、中心波長λ0の1/2の整数倍であればかまわない。
半値幅2.5nmの光干渉フィルタを作製する場合の多層膜の構造は、
(HL)5・4L・(LH)5=(HL)4H6L(HL)4Hとなり、それぞれ9層で構成されたスタック11,12と6Lのスペーサ層13’とよりなる。なお、(HL)4はHとLが4回繰り返し積層されていることを示し、6Lは光学膜厚がλ0/4の6倍の低屈折率層であることを示す。ここで、スペーサ層13’の厚さを6Lとしたのは、狭帯域の光干渉フィルタを実現させるためにスペーサ層13’を厚くしているためで、これに限らず、中心波長λ0の1/2の整数倍であればかまわない。
ここで、膜厚の制御について説明すると、通常の誘電体多層膜は真空蒸着やスパッタ等の薄膜形成手法を用いて作製されるが、このような特に光学式膜厚計を具備しない成膜装置で行なう一般的な薄膜形成手法の膜厚制御性、再現性さらには狙いと実際の差は±1%程度である。
図2は中心波長λ0=514nmの狭帯域(半値幅2.5nm)の光干渉フィルタの設計値と、それを狙って作製した2つの光干渉フィルタの光学特性を示したものであり、作製した2つの光干渉フィルタはスペーサ層13’にそれぞれ+1%の膜厚誤差と−1%の膜厚誤差を有するものである。
図2は中心波長λ0=514nmの狭帯域(半値幅2.5nm)の光干渉フィルタの設計値と、それを狙って作製した2つの光干渉フィルタの光学特性を示したものであり、作製した2つの光干渉フィルタはスペーサ層13’にそれぞれ+1%の膜厚誤差と−1%の膜厚誤差を有するものである。
この図2から明らかなように、スペーサ層13’に±1%の膜厚誤差があると、中心波長は大きくずれてしまい、±1%の膜厚誤差で±5nmの中心波長のずれが発生する。従って、±1%の膜厚誤差があると、所望の狭帯域の光干渉フィルタを得ることはできない。
このような状況を前提とし、次にこの発明による光干渉フィルタの作製方法について、順に説明する。
(1)第1の基板20上に第1のスタック11とスペーサ層13’の一部となる第1の層131とを成膜形成して第1の多層膜部品を作製する。この第1の多層膜部品の多層膜の構造は、
(HL)5・(2L×0.99)
とする。
このような状況を前提とし、次にこの発明による光干渉フィルタの作製方法について、順に説明する。
(1)第1の基板20上に第1のスタック11とスペーサ層13’の一部となる第1の層131とを成膜形成して第1の多層膜部品を作製する。この第1の多層膜部品の多層膜の構造は、
(HL)5・(2L×0.99)
とする。
図3はこの第1の多層膜部品の分光透過率(分光透過スペクトル)の設計値を示したものである。
(2)第2の基板30上に第2のスタック12とスペーサ層13’の一部となる層であってスペーサ層13’と(1)項における第1の層131の厚さの差に満たない厚さの第2の層132とを成膜形成して第2の多層膜部品を作製する。ここでは、この第2の多層膜部品の多層膜の構造は第1の多層膜部品と同様、
(HL)5・(2L×0.99)
とする。
(2)第2の基板30上に第2のスタック12とスペーサ層13’の一部となる層であってスペーサ層13’と(1)項における第1の層131の厚さの差に満たない厚さの第2の層132とを成膜形成して第2の多層膜部品を作製する。ここでは、この第2の多層膜部品の多層膜の構造は第1の多層膜部品と同様、
(HL)5・(2L×0.99)
とする。
(3)次に、これら第1の多層膜部品と第2の多層膜部品の光学特性を測定する。図4は測定した第1の多層膜部品の分光透過率を設計値と共に示したものであり、図4に示したように作製した多層膜と設計値では分光透過率に差が生じていることがわかる。
前述したように、一般的な薄膜形成手法においては±1%程度の膜厚誤差の発生は避けられず、このような膜厚誤差に起因して分光透過率にずれが生じる。図5は第1の多層膜部品の設計値と、2L×0.99のスペーサ層をなす第1の層131に±1%の膜厚誤差がある場合の分光透過率を示したものである。
前述したように、一般的な薄膜形成手法においては±1%程度の膜厚誤差の発生は避けられず、このような膜厚誤差に起因して分光透過率にずれが生じる。図5は第1の多層膜部品の設計値と、2L×0.99のスペーサ層をなす第1の層131に±1%の膜厚誤差がある場合の分光透過率を示したものである。
一方、図4に示した分光透過率から実際に作製した多層膜の厚さと設計値との相違が分かる。つまり、シミュレーションにより作製した多層膜がどのようになっていたのか推測できる。図6は図4に示した作製した多層膜の分光透過率にシミュレーションによりFittingし、作製した多層膜の分光透過率とFitting結果が一致した状態を示したものであり、この場合、設計値に対して第1の層131の膜厚がちょうど1%薄くなり、分光が短波長側に1%シフトしていたことが分かった。
(4)次に、第1の多層膜部品の第1の層131と第2の多層膜部品の第2の層132とを接合した場合に、つまりスペーサ層同士が向かい合うように接合された場合にどうなるかを、(3)項において測定により取得した光学特性に基づき、計算する。
(4)次に、第1の多層膜部品の第1の層131と第2の多層膜部品の第2の層132とを接合した場合に、つまりスペーサ層同士が向かい合うように接合された場合にどうなるかを、(3)項において測定により取得した光学特性に基づき、計算する。
図7はこのようにして算出した仮想光干渉フィルタの光学特性を示したものである。
(5)所望の光干渉フィルタは514nmに中心波長λ0をもつものであり、所望の特性にするためにはスペーサ層の厚さを厚くして中心波長を調整すればよい。従って、図7に示した光学特性に基づき、目標の光学特性を有する光干渉フィルタを作製するために、第1の層131もしくは第2の層132に追加すべき厚さを算出する。
ここで、まず図7の特性をもつ光干渉フィルタを、中心波長λ0=514nmにする場合のスペーサ層13’の厚さd2をシミュレーションによって求める。また、実際に作製した2L×0.99のスペーサ層をなす第1の層131と第2の層132の厚さをシミュレーションによって求める。なお、ここでは第1の多層膜部品の光学特性と第2の多層膜部品の光学特性は同じであったとし、第1及び第2の層131,132の厚さを共にd1とする。
(5)所望の光干渉フィルタは514nmに中心波長λ0をもつものであり、所望の特性にするためにはスペーサ層の厚さを厚くして中心波長を調整すればよい。従って、図7に示した光学特性に基づき、目標の光学特性を有する光干渉フィルタを作製するために、第1の層131もしくは第2の層132に追加すべき厚さを算出する。
ここで、まず図7の特性をもつ光干渉フィルタを、中心波長λ0=514nmにする場合のスペーサ層13’の厚さd2をシミュレーションによって求める。また、実際に作製した2L×0.99のスペーサ層をなす第1の層131と第2の層132の厚さをシミュレーションによって求める。なお、ここでは第1の多層膜部品の光学特性と第2の多層膜部品の光学特性は同じであったとし、第1及び第2の層131,132の厚さを共にd1とする。
分光透過率より算出すると、
d2=525nm , d1=258.1nm
となり、従って第1の層131もしくは第2の層132に追加すべき厚さd3は、
d3=d2−2×d1
より、d3=8.8nmとなる。
(6)厚さd3の膜を追加成膜する。ここでは第1の層131に追加成膜する。
(7)第1の多層膜部品の第1の層131と第2の多層膜部品の第2の層132とをオプティカルコンタクトにより接合する。オプティカルコンタクトによる接合を行うと、光学的には接合面がないような光学特性を示すものとなり、1つのスペーサ層13’をもつ図1に示したような光干渉フィルタが完成する。
d2=525nm , d1=258.1nm
となり、従って第1の層131もしくは第2の層132に追加すべき厚さd3は、
d3=d2−2×d1
より、d3=8.8nmとなる。
(6)厚さd3の膜を追加成膜する。ここでは第1の層131に追加成膜する。
(7)第1の多層膜部品の第1の層131と第2の多層膜部品の第2の層132とをオプティカルコンタクトにより接合する。オプティカルコンタクトによる接合を行うと、光学的には接合面がないような光学特性を示すものとなり、1つのスペーサ層13’をもつ図1に示したような光干渉フィルタが完成する。
なお、図1におけるスペーサ層13’を構成する一方の層13aは上述した作製方法における追加成膜された第1の層131に対応し、他方の層13bは第2の層132に対応する。
図8はこのようにして作製した光干渉フィルタの光学特性を示したものであり、図2に示した設計値とほぼ同じ光学特性が得られていることがわかる。
以上説明したように、この作製方法によれば、第1の多層膜部品と第2の多層膜部品とを作製してそれらの光学特性を測定し、測定した光学特性及びそれらを接合したと仮定して得られる仮想光干渉フィルタの光学特性に基づき、スペーサ層に追加成膜すべき厚さを求めてその厚さの追加成膜をスペーサ層に行った後、第1の多層膜部品と第2の多層膜部品とをオプティカルコンタクトにより接合して光干渉フィルタを作製するものとなっている。
図8はこのようにして作製した光干渉フィルタの光学特性を示したものであり、図2に示した設計値とほぼ同じ光学特性が得られていることがわかる。
以上説明したように、この作製方法によれば、第1の多層膜部品と第2の多層膜部品とを作製してそれらの光学特性を測定し、測定した光学特性及びそれらを接合したと仮定して得られる仮想光干渉フィルタの光学特性に基づき、スペーサ層に追加成膜すべき厚さを求めてその厚さの追加成膜をスペーサ層に行った後、第1の多層膜部品と第2の多層膜部品とをオプティカルコンタクトにより接合して光干渉フィルタを作製するものとなっている。
2つのスタックによってスペーサ層が挟まれてなるキャビティ構造において、各スタックとスペーサ層は各々波長選択性があり、光干渉フィルタの光学特性にそれぞれ影響するものの、スタックの膜厚誤差に対して光干渉フィルタの光学特性は敏感ではなく、数%の膜厚誤差を持っていてもスペーサ層の厚さを調節することで誤差を相殺することができる。
つまり、この発明による作製方法によれば、第1及び第2の多層膜部品が種々の誤差を含んで作製されたものであっても、その誤差を補償することができ、所望の光学特性が得られるものとなる。
つまり、この発明による作製方法によれば、第1及び第2の多層膜部品が種々の誤差を含んで作製されたものであっても、その誤差を補償することができ、所望の光学特性が得られるものとなる。
なお、このような厚さ調整(追加成膜)による誤差の補償は例えば一方のスタックとスペーサ層と他方のスタックの例えば最上層のみを除く全ての層が積層された状態で、その最上層の厚さを調整するといった方法では不可能である。
スペーサ層の厚さ(第1の層131と第2の層132の厚さの和)は追加成膜を可能とすべく、設計値に対して薄くしておくことが必要であり、上述した例では第1の層131と第2の層132の厚さは共に2L×0.99としている。これは成膜時の膜厚誤差を±1%とし、膜厚誤差があっても2L以上の厚さにならないようにするためである。
スペーサ層の厚さ(第1の層131と第2の層132の厚さの和)は追加成膜を可能とすべく、設計値に対して薄くしておくことが必要であり、上述した例では第1の層131と第2の層132の厚さは共に2L×0.99としている。これは成膜時の膜厚誤差を±1%とし、膜厚誤差があっても2L以上の厚さにならないようにするためである。
一方、追加成膜においても膜厚誤差は発生するが、追加すべき厚さは第1の層131と第2の層132の厚さを上記のように2L×0.99とした場合、全体のスペーサ層の厚さ(設計値)4Lに対して1%であり、膜厚誤差を±1%とすると、スペーサ層の設計値に対する追加成膜の膜厚誤差は、1%×(±1%)で±0.01%となり、極めて小さいため、問題とはならない。
なお、第1及び第2の多層膜部品の光学特性の測定は製品使用時と同じ波長の十分な光量を有する測定光で、使用時と同じ温度環境下で行うようにする。
なお、第1及び第2の多層膜部品の光学特性の測定は製品使用時と同じ波長の十分な光量を有する測定光で、使用時と同じ温度環境下で行うようにする。
上述した作製方法では第1の多層膜部品と第2の多層膜部品とを別々に作製するものとして説明しているが、1つの基板上に成膜形成したものを分割することで、第1の多層膜部品と第2の多層膜部品とを作製するようにしてもよい。
この場合、第1のスタック11と第2のスタック12は同一の積層構造とされ、1つの基板上にその積層構造とスペーサ層13’の半分の厚さに満たない厚さとを成膜形成した後、切断して分割することにより第1の多層膜部品と第2の多層膜部品が作製される。
なお、これら第1及び第2の多層膜部品の光学特性はほぼ同一とみなせるので、いずれか一方の多層膜部品について測定を行えばよく、つまり1回の測定によって共通の光学特性として取得することができる。なお、測定は分割前に行ってもよく、あるいは分割後に行ってもよい。
この場合、第1のスタック11と第2のスタック12は同一の積層構造とされ、1つの基板上にその積層構造とスペーサ層13’の半分の厚さに満たない厚さとを成膜形成した後、切断して分割することにより第1の多層膜部品と第2の多層膜部品が作製される。
なお、これら第1及び第2の多層膜部品の光学特性はほぼ同一とみなせるので、いずれか一方の多層膜部品について測定を行えばよく、つまり1回の測定によって共通の光学特性として取得することができる。なお、測定は分割前に行ってもよく、あるいは分割後に行ってもよい。
Claims (3)
- それぞれ高屈折率層と低屈折率層とが交互積層されてなる第1及び第2のスタックによってスペーサ層を挟んだキャビティ構造を有する光干渉フィルタであって、
前記スペーサ層は二つの層がオプティカルコンタクトにより接合されて構成され、
前記キャビティ構造は第1及び第2の基板によって挟まれた構造とされ、
前記第1の基板上に前記第1のスタックと前記二つの層のうちの一方が成膜形成され、
前記第2の基板上に前記第2のスタックと前記二つの層のうちの他方が成膜形成されていることを特徴とする光干渉フィルタ。 - それぞれ高屈折率層と低屈折率層とが交互積層されてなる第1及び第2のスタックによってスペーサ層を挟んだキャビティ構造を有する光干渉フィルタの作製方法であって、
第1の基板上に、前記第1のスタックと前記スペーサ層の一部となる第1の層とを成膜形成して第1の多層膜部品を作製する工程と、
第2の基板上に、前記第2のスタックと、前記スペーサ層の一部となる層であって前記スペーサ層と前記第1の層の厚さの差に満たない厚さの第2の層とを成膜形成して第2の多層膜部品を作製する工程と、
前記第1及び第2の多層膜部品の光学特性を測定する工程と、
その測定により取得した光学特性に基づき、前記第1の層と第2の層とを接合したと仮定して得られる仮想光干渉フィルタの光学特性を算出する工程と、
その算出した光学特性に基づき、目標の光学特性を有する光干渉フィルタを作製するために、前記第1の層もしくは第2の層に追加すべき厚さを算出する工程と、
その追加すべき厚さの追加成膜を前記第1の層もしくは第2の層に行う工程と、
前記追加成膜後、前記第1の層と第2の層とをオプティカルコンタクトにより接合する工程とを含むことを特徴とする光干渉フィルタの作製方法。 - 請求項2記載の光干渉フィルタの作製方法において、
前記第1及び第2のスタックは同一の積層構造とされ、前記第1及び第2の多層膜部品は1つの基板上に前記積層構造と前記スペーサ層の半分の厚さに満たない厚さとを成膜形成したものを分割することで作製し、
前記第1及び第2の多層膜部品の光学特性は前記分割前もしくは分割後のいずれかの多層膜部品についての1回の測定によって共通の光学特性として取得することを特徴とする光干渉フィルタの作製方法。
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