JP2005107010A - 多層膜光学フィルターの製造方法および多層膜光学フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】 ファブリペロー型多層膜光学フィルターの成膜において、従来の光学式膜厚モニターの成膜の場合、ミラー層の積層回数が増えるほどモニター光量は急激に低下し、特性を最も左右するスペーサー層の成膜をモニター光量が最も少なくなった状態で制御せざるを得ないという問題があった。
【解決手段】 目的の波長λ0に対して、光学膜厚がk×(λ0/4)の層を成膜する場合、モニター光の波長をλ0/2とし、モニター光量が2×k番目の極値を迎えた時点でその層の成膜を終了するようにする。ここでkは任意の自然数である。この層の成膜終了後のモニター光量は成膜前のモニター光量と一致するのでモニター光量は常に高い値に保たれ、ミラー層積層回数が多い25GHz DWDMシステム用多層膜光学フィルターの成膜を精度良く行うことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は光通信システム等で使用される多層膜光学フィルターの製造方法とそれを用いて製造された多層膜光学フィルターに関する。
世界的規模で増大する情報通信量に対応するため、光通信の分野では波長分割多重通信の開発が行われている。この方式は別々の信号を乗せた異なる波長の光を1本の光ファイバーに通す事により、新たな光ファイバーの増設無しに通信容量を飛躍的に向上させる事ができる。最近では、隣接する波長(チャンネル)の間隔が0.4nmや0.2nmといった非常に細かいピッチで波長を多重させるDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)方式の開発が進められている。波長間隔0.4nmのDWDMは周波数間隔で表記して50GHz DWDMと呼ばれる。同様に波長間隔0.2nmのものは25GHz DWDMと呼ばれる。
DWDM方式において情報の受け手側では、多重された複数のチャンネルの中から目的とするチャンネルの光を取り出す必要がある。そのために光分波器が使用される。図7に光分波器2の構造を模式的に示したが、波長選択性をもった多層膜光学フィルター1を各チャンネルごとに用意し、それらをカスケード状に組み合わせることにより目的の波長を取り出す構造となっている。
光分波器2の入力と出力を逆にすれば光合波器になり、波長の異なる複数の光を1本のファイバーに通すために使用される。光分波器と光合波器をまとめて光合分波器と呼ぶ。
多層膜光学フィルターには図8に示したように目的の波長近傍で透過率の高いNBPF(Narrow Band Pass Filter)特性が必要とされる。そのため、誘電体薄膜で形成されたファブリペロー型の共振器構造(ファブリペロー構造とも称する)となっている。ファブリペロー型多層膜は基本的にミラー層/スペーサー層/ミラー層の3層構造を成しており、スペーサー層の光学膜厚に合致した波長の光のみを透過する。DWDMシステムでは、分光特性を台形形状にするためにファブリペロー構造を複数回積層した多層膜光学フィルターが使用されている。
一例として4重のファブリペロー構造をもつ多層膜光学フィルターの断面構造を図9に示す。図9は、多層膜光学フィルターの構造を示す断面SEMの顕微鏡写真である。図9で白い層が高屈折率層(Ta)、黒い層が低屈折率層(SiO)である。比較的厚い4つのSiO層がスペーサー層であり、その上下にあるのがTa層とSiO層が交互に積層されたミラー層である。ミラー層の各層は光学膜厚(屈折率nと膜厚dの積)が目的の波長(中心波長λ)の1/4になるように成膜されている。スペーサー層の光学膜厚はλ/4の偶数倍である。
光学膜厚λ/4の高屈折率層をH、低屈折率層をLで表すと、図9の多層膜光学フィルターは、基板/(HL)6H6LH(LH)6 L (HL)7H6LH(LH)7 L(HL)8H4LH(LH)8 L (HL)6H6LH(LH)6 2L と表記される。(HL)6はHとLが6回繰り返し積層されていることを示し、6Lは光学膜厚がλ0/4の6倍の低屈折率層であることを示す。6Lや4Lがスペーサー層を表し、その前後の(HL)6HやH(LH)6などがミラー層を表す。ミラー層の表記で指数部分をミラー層の積層回数と呼ぶ。この例では積層回数6回のミラー層ということになる。1つのファブリペロー構造は(HL)6H6LH(LH)6などで表されており、このまとまりをキャビティーと呼ぶ。キャビティー間のLはカップリング層と呼ばれる。
図8に多層膜光学フィルターの分光特性の一例を示した。図中にも記載したが分光特性の良し悪しの指標となる各種パラメーターを次のように定義する。センター波長:透過率が−15dBとなる波長の中点、ストップバンド:透過率が−25dBとなる波長の間隔、パスバンド:透過率が−0.5dBとなる波長の中点、挿入損失:0dB―最大透過率(ただしdB表示)、リップル:パスバンド内における最大透過率と透過率の極小値との差(dB表示)。
多層膜光学フィルターに要求される特性は、DWDMシステムの波長間隔によって変わってくる。波長間隔0.4nmの50GHz DWDMシステムでは、パスバンド0.2nm以上、ストップバンド0.6nm以下が一般的に必要とされる。波長間隔0.2nmの25GHz DWDMシステムではパスバンド0.1nm、ストップバンド0.3nmと非常に狭帯域の透過特性が要求される。挿入損失とリップルはいずれのシステムでもそれぞれ0.4dB以下と0.3dB以下といった特性が一般的に必要とされている。
図10は、多層膜光学フィルターの膜厚誤差が分光特性に与える影響を示すグラフである。すなわち、上記の4キャビティー多層膜光学フィルターを構成する各層の膜厚が0.01%厚くなった場合、リップルがどの程度変化するかを計算した結果である。図10に見られるようにスペーサー層での膜厚ズレがリップルの変化に顕著に影響し、例えば第2スペーサー層の膜厚が0.01%ずれただけでもリップルが仕様値から外れる結果となる。また、図10に示していないがリップル以外の諸特性もスペーサー層とその前後の層の膜厚ズレによって大きく変化する。従って膜厚を精度良く成膜する技術が多層膜光学フィルターの成膜において重要であり、光学式膜厚モニターを備えた成膜装置が使用されている。
図11には多層膜光学フィルターを成膜するイオンビームアシスト蒸着装置の概要を示す。図11には簡単のため蒸着源3が1個しか描かれていないが、実際には低屈折率材料と高屈折率材料の2個の蒸着源が基板4から見て対称に配置されている。材料はリングハース5に装填され、回転しながら電子銃6により加熱される構造となっている。蒸着中にはチャンバー7内に酸素を導入するとともにイオンガン8により酸素イオンを基板4に照射し、緻密で平坦な膜を得ることがこの成膜装置の特徴である。蒸着速度は水晶式膜厚計9で常時モニターしており、蒸着速度が一定になるように電子銃6のエミッション電流10にフィードバックをかけてコントロールする。また、特性均一化のために基板4を回転させながら蒸着を行う。
上述の通り、多層膜光学フィルターの成膜では膜厚のコントロールが非常に重要であるため光学式膜厚計が使用される。光源を出たモニター光は光ファイバーを通って光学式の膜厚計投光部11からチャンバー7内に射出され、成膜中の基板4を透過し、光学式の膜厚計受光部12から光ファイバーで分光器に導かれ、目的とするセンター波長λの光のみが分光される。波長λ0の光の強度(光量)は基板上に膜が堆積するにつれて干渉効果により増減する。この光量の増減を検出することで膜厚を制御するのが光学式膜厚計の特徴である。
光学式膜厚計を用いた膜厚制御の具体的な方法は以下の通りである。図1中で比較例として示したグラフは従来の膜厚制御における成膜時のモニター光量変化を示す一例である。基板上に1層目の高屈折率材料を蒸着すると膜厚の増加とともに干渉により光量が減少していく。高屈折率層の光学膜厚(屈折率nと膜厚dの積)がλ/4となったときに光量が極小になるのでこれを検知して蒸着源のシャッターを閉じ、1層目の蒸着を終える。2層目の低屈折率層の蒸着ではnd=λ/4となったときに光量が極大になるので、これを検知して成膜を止める。この繰り返しでnd=λ/4の膜を交互に積層させることができる。光学膜厚がλ0/4のk倍(ただしkは自然数)の層を成膜する場合には、k回目にモニター光量が極値を迎えた時点で成膜を終える。
この膜厚制御方法には、単なる物理膜厚だけでなく屈折率の情報も含んだ光学膜厚を直接モニターして成膜できることと、仮にある層が突発的に厚く(あるいは薄く)なったとしても次層以降の層が自動的に薄く(あるいは厚く)なってズレを吸収するという補償効果を有する、という利点がある。これらの利点を活かすためには光量のピークを正確に検出することが重要となる。また、他にも光量をモニターする技術等が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
多層膜光学フィルター成膜装置には、上述のようなイオンビームアシスト蒸着装置だけでなく、イオンプレーティング蒸着装置、イオンビームスパッタ装置などが使用されている。いずれの方式でも光学式膜厚計を用いた上記の膜厚制御方法が必須の技術となっている。また、上記の光学式膜厚計は、白色光源を用いて分光器で目的の波長を分光する方式であるが、それ以外にも波長可変レーザーを用いる方式もある。この場合には分光器は使用しない。ただし、光源がいずれの場合でもモニター光量のピークを検出することにより光学膜厚λ/4を制御するという点では変わりはない。
基板には通常、厚さ7〜10mmのガラス基板が使用される。多層膜光学フィルターの成膜後、基板を裏面から研磨して厚さ1〜2mmに薄くした後、裏面に反射防止膜を成膜する。その後、所望の特性を満たす場所を1〜3mm角、厚さ1〜2mmのサイズに切り出し、光合分波器の中に組み込まれる。
特開昭61−296305号公報(第1〜2頁) 特開昭63−180903号公報(第2〜3頁) 特開昭51−145333号公報(第1頁)
前述のように増大する通信需要に対応するため、25GHz DWDM光通信システムといった大容量通信手段の必要性が高まっている。25GHz DWDMシステムにはストップバンド0.3nm以下という極めて透過帯域の狭い光学特性が必要とされる。このような光学特性を実現させるためにはミラー層の積層回数を増やす必要がある。ミラー層の積層回数は50GHz DWDMシステム用の多層膜光学フィルターの場合、最大8回程度であったが、25GHz DWDMシステム用の場合には10回程度の積層回数が必要となる。
図1に示したように従来の光学式膜厚モニターで成膜を行った場合、ミラー層の積層回数が増えるほどモニター光量は急激に低下し、特性を最も左右するスペーサー層の成膜を、モニター光量が最も少なくなった状態で制御せざるを得ないという問題があった。ミラー層の積層回数が8回までなら従来の方法でも制御可能であったが、10回を超えるとスペーサー層成膜時の光量は元の光量の0.5%以下となり、ノイズの影響を受けてモニター光量のピークを正確に検出することが困難となる。前述の通りスペーサー層の膜厚誤差は分光特性に非常に大きな影響を与えるので、従来の膜厚制御方法では25GHz DWDMシステム用多層膜光学フィルターの成膜は極めて困難であった。
[1] 本発明の多層膜光学フィルターの製造方法は、基板上に高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された構造を有し、各層の光学膜厚(屈折率と物理膜厚の積)が所望の波長λ0の1/4か、またはその自然数倍である多層膜光学フィルターの製造方法であり、
λ0より短い波長のモニター光を成膜中の基板またはモニター用の基板に照射し、膜の堆積につれて変化する透過光の強度を監視しておき、
光学膜厚がkλ0/4(kは任意の自然数)の層を成膜する際には、透過光または反射光の強度が2×k番目の極値を迎えた時点でその層の成膜を終了することを特徴とする。特に、25GHz DWDMシステム用多層膜光学フィルターの成膜に適した膜厚制御方法である。
[2] 上記[1]の多層膜光学フィルターの製造方法において、前記モニター光が基板の垂線に対して角度をもって入射することを特徴とする。
[3] 上記[2]の多層膜光学フィルターの製造方法において、所望の波長をλ0、モニター光の波長をλ、λ0における高屈折率層と低屈折率層の屈折率をそれぞれn0)、n0)、λにおける高屈折率層と低屈折率層の屈折率をそれぞれn(λ)、n(λ)、基板面の垂線とモニター光のなす角をφ、高屈折率層と低屈折率層の中でのモニター光の角度をそれぞれφ、φとした場合、
λ0(λ)cosφ=2λn0)、
λ0(λ)cosφ=2λn0)、
(λ)sinφ=n(λ)sinφ=sinφ、
の関係を満たすモニター光の波長λと入射角φを使用することを特徴とする。
[4] 本発明の多層膜光学フィルターは、所望の波長λ0に対して、λ0/4の奇数倍の光学膜厚を有する高屈折率層と低屈折率層が交互に積層されたミラー層と、λ0/4の偶数倍の光学膜厚を有する高屈折率層または低屈折率層のスペーサー層を備え、スペーサー層をミラー層で挟んだ基本構造を有するファブリペロー型のバンドパスフィルターであり、
前記ミラー層の少なくとも1つが、高屈折率層と低屈折率層を10回以上繰り返し積層された構造であることを特徴とする。
望ましくは、上記[1]、[2]、[3]いずれかに記載の製造方法で製造された多層膜光学フィルターである。
[5] 上記[4]の多層膜光学フィルターにおいて、前記高屈折率層は主にZrOであり、前記低屈折率層は主にSiOであることを特徴とする。
[6] 上記[4]の多層膜光学フィルターにおいて、ストップバンドが0.3nm以下であることを特徴とする。
本発明により、ミラー層の積層回数が10回以上の多層膜光学フィルターを高精度に成膜できるようになり、例えば25GHz DWDMシステムで必要とされるストップバンドが0.3nmを切るような極めて狭帯域の多層膜光学フィルターを作製することができる。
以下では、まず本発明のコンセプトを説明した上で実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、これら実施例により本発明が必ずしも限定されるものではない。
本発明の内容を理解しやすくするために、分散(屈折率の波長依存性)を無視した理想的な状態を想定してコンセプトの大枠をまず説明する。所望の波長λに対して光学膜厚λ/4の高屈折率層(即ちH)を成膜する場合、モニター光の波長をλ/2とすれば光モニター光量(受光量)は図1の実施例のような変化を示す。即ち、膜の堆積とともに光量は一旦減少し、光学膜厚が(λ/2)/4=λ/8となったところで極小値をとる。その後光量は上昇に転じ、(λ/2)/2=λ/4となったところで極大値をとる。このときの光量は成膜前の値と一致する。
目的のHが成膜できたので次にLの成膜に移る。Lの成膜を始めると最初光量は上昇し、光学膜厚がλ/8で極大値に達した後減少に転じて光学膜厚λ/4で極小値をとる。このときの光量はやはり成膜前の値と一致する。以降、HとLの成膜を何回繰り返してもλ/4成膜時の光量は成膜前と同じであり、常に高い光量の状態で膜厚を制御することができる。
スペーサー層の光学膜厚はλ/4の偶数倍であるので、例えば4Lのスペーサー層の場合、光量の極大→極小のサイクルを4回繰り返したところ(即ち8回目の極値を迎えたところ)で成膜を止めればよい。以上をまとめて表現すると、光学膜厚がk×(λ/4)の層を成膜する場合、λ/2のモニター光を用いて、光量が2×k番目の極値を迎えたところで成膜を止めれば目的の光学膜厚を得ることができる。ここでkは自然数であり、モニター光は基板に対して垂直に入射することを前提としている。
以上がコンセプトの大枠であるが、現実に使用可能な材料では分散が無視できないため、上記の方法では光学膜厚をλ/4にすることはできない。理由は次の通りである。所望の波長λとモニター光の波長λ/2における屈折率をそれぞれn、n´とする。分散があるのでn≠n´である。モニター光を使用して2番目の極値で成膜を終えたときの膜厚はd´=λ/(4n´)である。この層の光学膜厚を所望の波長λで観測すると、nd´=(λ/4)×(n/n´)となり、n/n´の分だけλ/4からずれてしまう。さらに高屈折率層と低屈折率層でn/n´の値が異なるため、λ/4からのズレ量も高屈折率層と低屈折率層で異なるというアンバランスが生じる。
この問題を解消するための一つの方法として、以下のようにモニター光の波長と入射角度を調整することが有効である。
まず、所望の波長λに対して光学膜厚λ/4の高屈折率層(即ちH)を成膜する場合を考える。波長λのモニター光を入射角φで入射したときの膜の透過率Tは、数1で表記される。
Figure 2005107010
ここでα、β、γは膜の屈折率、基板の屈折率、媒質の屈折率および偏光状態によって決まる定数である。δは、数2である。
Figure 2005107010
ここでnH(λ)は波長λにおける高屈折率層の屈折率、φHは高屈折率層の中でのモニター光の角度であり、次のスネルの法則により入射角φと結びついている。
Figure 2005107010
また、数2式の中のdは膜厚であり、成膜とともにdが増大することによって透過率Tが数1式に従って増減する。Tが極値をとるのはsinδが0か1のとき、即ちδ=π/2、π、3π/2、・・・のときである。
必要なのは、所望の波長λを膜に垂直に入射したときにその光学膜厚がλ/4になることである。従って成膜すべき膜厚dは数4となる。
Figure 2005107010
膜厚がこの値に達したときに上記のモニター光量(即ち透過率T)が2番目の極値に相当するためには、次の数5が成り立っていなければならない。
Figure 2005107010
従って、数2の式に数4、数5の式を代入することにより、数6という関係が導かれる。
Figure 2005107010
つまり、この式を満たすλとφのモニター光を使用すれば、材料に分散がある場合でも上記と同様にHの成膜を行うことができる。
Figure 2005107010
Lの成膜もHの場合と同様であり、数7の関係を満たすモニター光を使用すれば良い。ここでnL(λ)は波長λにおける低屈折率層の屈折率である。また、φLは低屈折率層の中でのモニター光の角度であり、φHと同様、スネルの法則により数8の式が成り立っている。
Figure 2005107010
以上の結果をまとめると、結局、数9、数10、数11の関係を満たす波長λと入射角φのモニター光を使用すれば、光学膜厚λ0/4の層を成膜した時点でのモニター光量は常に成膜前の値と一致するので常に高い光量の状態で膜厚を制御することができる。
Figure 2005107010
Figure 2005107010
Figure 2005107010
上記のコンセプトに基づき、センター波長が1550nmの多層膜光学フィルターの成膜を以下のように行った。使用した成膜装置は図11に示したイオンビームアシスト蒸着装置であり、低屈折率材料にはSiOを、高屈折率材料には分散が比較的小さいZrOを使用した。基板4は直径150mm、厚さ10mmのWMS02基板である。成膜時の基板温度は250℃、成膜速度は、ZrOは約0.3nm/秒、SiOは約0.5nm/秒である。
本発明ではZrOとSiOの分散を正確に求める必要があるため、次の方法をとった。まずWMS02基板上に上記の成膜条件でZrOの単層膜を成膜した。膜厚はモニター光の制御波長を1550nmとし、基板4に垂直に入射した状態で1波長分の光学膜厚とした。基板温度を成膜時と同じ250℃に維持したまま、モニター光の波長を500〜1700nmの範囲でスキャンさせて図2に示したような透過率の波長依存性を測定した。次にZrOの分散を、数12とおいて、図2の測定結果を理論式(基本的には数1の式であるが基板の裏面との多重反射を考慮したもの)にフィッティングさせることにより係数A、B、C の値を求めた。
Figure 2005107010
SiOに対しても、光学膜厚が1波長の単層膜を成膜して、図2に示したように透過率の波長依存性を測定した。分散の係数の決定もZrOと同様に行った。以上のようにして求めたZrOとSiOの屈折率の波長依存性を図3に、係数A、B、C の値を表1にそれぞれ示す。
Figure 2005107010
次に数9、数10、数11の式を同時に満たすλとφを求める必要がある。数11の式を数9の式と数10の式に代入することにより以下の式が得られる。
Figure 2005107010
Figure 2005107010
数13、数14の式はそれぞれSiOとZrOに関するλとφの関係を表している。図4は、SiOとZrOのそれぞれについて、本発明の条件を満たすモニター光の波長と入射角度の関係を示すグラフである。縦軸は入射角度φに係わる(sinφ)である。図4は上で求めた分散式を使用して数13、数14の式を図示したグラフであるが、目的のλとφは2つの直線の交点から求めることが出来る。その結果、λ=773nm、φ=10.2°とすれば良いことがわかった。
以上のようにして求めたλとφを使用して25GHz DWDMシステム用光学多層膜フィルタを試作した。膜構成は、基板/(HL)9H6LH(LH)9 L (HL)10H4LH(LH)10 L (HL)10H8LH(LH)10 L (HL)9 H4LH(LH)9 2L である。各層の成膜条件は前述の通りである。図5は、本実施例と比較例の成膜中のモニター光量を示すグラフである。成膜中のモニター光量変化は、図5に示したように常に高い値を保っており、本実施例のようなミラー層積層回数の多い膜構成でも精密な膜厚コントロールが可能となった。一方、従来の方法で成膜を行った比較例の場合、途中でモニター光量が検出不能となり、成膜を完遂することはできなかった。
本実施例で成膜した多層膜光学フィルターの分光特性を図6に示す。ストップバンドは0.27nm、パスバンドは0.11nmであり、25GHz DWDMシステムに十分適合する特性を得ることができた。
本発明は光通信システム等で使用される多層膜光学フィルターの製造方法とそれを用いて製造された多層膜光学フィルターに利用することができる。
実施例と比較例の成膜中のモニター光量を示すグラフである。 SiOとZrO単層膜の透過率の波長依存性を示すグラフである。 SiOとZrOの屈折率の波長依存性を示すグラフである。 SiOとZrOのそれぞれについて、本発明の条件を満たすモニター光の波長と入射角度の関係を示すグラフである。 実施例2と比較例の成膜中のモニター光量を示すグラフである。 実施例2で作製した25GHz DWDMシステム用多層膜光学フィルターの分光特性である。 光合分波器の断面構造を示す模式図である。 多層膜光学フィルターの分光特性の一例である。 多層膜光学フィルターの構造を示す断面SEMによる顕微鏡写真である。 多層膜光学フィルターの膜厚誤差が分光特性に与える影響を示すグラフである。 多層膜光学フィルターの成膜装置の一部断面構造を示す模式図である。
符号の説明
1 多層膜光学フィルター、 2 光分波器、 3 蒸着源、 4 基板、
5 リングハース、 6 電子銃、 7 チャンバー、 8 イオンガン、
9 水晶式膜厚計、 10 エミッション電流、 11 膜厚計投光部、
12 膜厚計受光部

Claims (6)

  1. 基板上に高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された構造を有し、各層の光学膜厚(屈折率と物理膜厚の積)が所望の波長λ0の1/4か、またはその自然数倍である多層膜光学フィルターの製造方法であり、
    λ0より短い波長のモニター光を成膜中の基板またはモニター用の基板に照射し、膜の堆積につれて変化する透過光の強度を監視しておき、
    光学膜厚がkλ0/4(kは任意の自然数)の層を成膜する際には、透過光の強度が2×k番目の極値を迎えた時点でその層の成膜を終了することを特徴とする多層膜光学フィルターの製造方法。
  2. 前記モニター光が基板の垂線に対して角度をもって入射することを特徴とする請求項1記載の多層膜光学フィルターの製造方法。
  3. 所望の波長をλ0、モニター光の波長をλ、λ0における高屈折率層と低屈折率層の屈折率をそれぞれn0)、n0)、λにおける高屈折率層と低屈折率層の屈折率をそれぞれn(λ)、n(λ)、基板面の垂線とモニター光のなす角をφ、高屈折率層と低屈折率層の中でのモニター光の角度をそれぞれφ、φとした場合、
    λ0(λ)cosφ=2λn0)、
    λ0(λ)cosφ=2λn0)、
    (λ)sinφ=n(λ)sinφ=sinφ、
    の関係を満たすモニター光の波長λと入射角φを使用することを特徴とする請求項2記載の多層膜光学フィルターの製造方法。
  4. 所望の波長λ0に対して、λ0/4の奇数倍の光学膜厚を有する高屈折率層と低屈折率層が交互に積層されたミラー層と、λ0/4の偶数倍の光学膜厚を有する高屈折率層または低屈折率層のスペーサー層を備え、スペーサー層をミラー層で挟んだ基本構造を有するファブリペロー型のバンドパスフィルターであり、前記ミラー層の少なくとも1つが、高屈折率層と低屈折率層を10回以上繰り返し積層された構造であることを特徴とする多層膜光学フィルター。
  5. 前記高屈折率層は主にZrOであり、前記低屈折率層は主にSiOであることを特徴とする請求項4記載の多層膜光学フィルター。
  6. 前記多層膜光学フィルターは、ストップバンドが0.3nm以下であることを特徴とする請求項4記載の多層膜光学フィルター。
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