JP3737409B2 - 膜厚モニタリング装置および方法 - Google Patents

膜厚モニタリング装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜厚モニタリング装置および方法に関し、特に、光通信装置や光学デバイスおよび半導体装置等に使用される多層膜を形成する場合に使用される膜厚モニタリング装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最初に、光通信装置と光学デバイスについての状況について述べる。
【0003】
光学的な屈折率の異なる誘電体膜を交互に積み重ねて形成する多層膜は、眼鏡等のガラス上およびプラスチック上への無反射コーティング、ビデオカメラの色分解プリズム、各種光学フィルタ、発光レーザの端面コーティング等に使用されている。
【0004】
また、最近の状況として、広帯域光波長多重通信(DWDM通信)に用いる合波フィルタや分波フィルタに応用されるようになってきた。多層膜の層数も数十層から数百層と非常に多くなり、膜厚や膜質の均一性もこれまで以上に高精度なものが要求されるようになってきた。このような、層数の多い多層膜を作製する際には、後述する理由によって、実基板とは別の膜厚モニタリング用のモニタ基板を実基板に近接させて設置し、そのモニタ基板によって膜厚制御を行い、しかも、1つの多層膜を作製するのに、モニタ基板を何回か新しいものと交換しなければならないので、多層膜作製の効率が低下するという問題あり、その問題を解消するために、多層膜を堆積する実基板を、直接、膜厚モニタリングの対象として膜厚制御を行いたいという要求が高まってきている。
【0005】
上記の多層膜の基本構成は、高屈折率膜(H膜)と低屈折率膜(L膜)とを交互に重ねて一体化したものであり、設計波長と呼ばれる光の波長をλ、H膜の屈折率をn、L膜の屈折率をnとした時に、H膜の膜厚およびL膜の膜厚が、それぞれ、λ/(4n) の整数倍およびλ/(4n) の整数倍に等しい、という条件を満足するものである。多くの場合に、上記の整数は1または2である。
【0006】
図5に、代表的な多層膜フィルタの構成例を示す。物理的膜厚に光学的屈折率を乗じた光学的膜厚が設計波長λの2分の1つまりλ/2(この場合に、上記の整数は2である)となるようなキャビティ層と呼ばれる層を、光学的膜厚がλ/4の高屈折率膜と低屈折率膜に相当する膜を交互に積層して形成した多層膜で上下を挟んだ構造となっている。
【0007】
図6に、基板に屈折率が1.47の石英基板を用い、高屈折率膜として屈折率が2.14のTaを、低屈折率膜として屈折率が1.48のSiOを、キャビティ層に屈折率膜が1.48のSiOを用い、下層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、上層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、その間にキャビティ層を1層堆積した場合の透過率の波長依存性を示す。この場合の設計波長λは、1550nmとした。
【0008】
図6より、1350nmから1800nmの赤外光領域と、500nmから550nmの可視光領域の波長領域において非透過領域が存在することがわかる。それぞれの設計波長λで半値幅が約0.1nmの非常に狭い透過領域が存在する。可視光波長領域に現れる波形は、波長が赤外光領域の波長の3以上の奇数分の1、すなわち、波数で表現すれば、波数が赤外光領域の波数の3以上の奇数倍となる鏡像波形である。
【0009】
上記の複合多層膜を実用に供する場合には、この半値幅が約0.1nmの非常に狭い透過領域を光学フィルタとして用いるのであるが、このように層数の非常の多い多層膜を成膜する場合には、成膜中の多層膜を直接観察し、高屈折率膜の膜厚と低屈折率膜の膜厚とを制御する方法が、成膜効率向上のために、極めて望ましいとされている。
【0010】
よく知られている多層膜の膜厚モニタリング方法としては、単色測光法や二色測光法がある。しかし、いずれの方法も、層数が少ない場合には有効であるが、層数が数十以上と非常に多い場合には、赤外光領域において精度良く分光測光できる分光器が提供されないため、精度よく膜厚モニタリングを行うことは難しいという問題がある。
【0011】
以下に、単色測光法と二色測光法について簡単に説明する。
【0012】
単色測光法は、誘電体多層膜を基板上に形成してゆく過程で、光学的膜厚dn(ここに、dは物理的膜厚であり、nは膜の屈折率である)が、設計波長の4分の1(λ/4)の整数倍に相当する時に、透過率または反射率の時間変化が極値をとることを利用する。たとえば、高屈折率膜と低屈折率膜を組み合わせて多層膜を形成する場合、高屈折率膜の成膜中に設計波長λの光を照射し、透過率または反射率を観察しながら、その変化率が0になったときに成膜を停止する。このときの膜厚は、(λ/4)/(高屈折率膜の屈折率)となり、高屈折率膜にとってλ/4の光学的膜厚となる。続いて、低屈折率膜の成膜に切替えて、上記と同様に設計波長λの光を照射しながら透過率または反射率を観測し、その変化率が0になったときに成膜を停止する。このときの膜厚は、(λ/4)/(低屈折率膜の屈折率)となり、低屈折率膜にとってλ/4の光学的膜厚となる。この操作を順次繰り返すことによって、各屈折率膜にとって光学的膜厚がλ/4の多層膜を形成することができる。
【0013】
図7に、基板に屈折率が1.47の石英基板を用い、高屈折率膜として屈折率が2.14のTaを用い、低屈折率膜として屈折率が1.48のSiOを用い、高屈折率膜と低屈折率膜の対を26層堆積した場合の透過率の堆積膜厚依存性の計算結果を示す。但し、設計波長λは1550nmで、透過率または反射率が設計波長に対応する波数κ(κ=1/λ、以下これを設計波数と呼ぶ)は6451cm−1で、波長分解能は赤外分光器の一般的な値の3nmとした。光学的膜厚がλであるTaの膜厚はλ/(Taの屈折率)すなわち724nmであり、光学的膜厚がλ/4であるTaの膜厚は181nmとなり、光学的膜厚がλであるSiOの膜厚はλ/(SiOの屈折率)すなわち1047nmであり、光学的膜厚がλ/4であるSiOの膜厚は261nmとなる。
【0014】
図7からわかるように、設計波長λ、すなわち、設計波数κ=1/λにおける透過率は、堆積膜厚が増加するに従って、高屈折率膜の堆積で減少し、低屈折率膜の堆積で増加するという周期的変化を示すが、層数が増加するにつれて透過率は減少してゆき、10層以上で変化する割合が非常に小さくなる。赤外分光器の測定分解能の限界、および、赤外光領域における熱ノイズ(雑音)の影響により、極値を観測することできるのは最大値の1%程度であり、通常は、数%程度で信号/雑音比(S/N比)が取れなくなってしまう。そのため層数15以上の多層膜において、透過率が赤外分光器の安定測定範囲(図7に示す)の限界に近づき、λ/4の光学的膜厚を判定することが困難となる。このことは、1枚のモニタ基板で精度よくモニタリングできるのは、15層程度が限界であり、それ以上の多層膜を堆積するためには、膜厚モニタリング用モニタ基板を新しいものと交換する必要があることを示している。
【0015】
二色測光法では、波長の逆数である波数に対して透過率または反射率の変化を示した場合、上記光学的膜厚がλ/4の整数倍の時に、設計波数κを中心に対称となることを利用する。設計波数κを中心として、等間隔離れた任意の波数の対(たとえば、これらをκとκとし、これらに対応する波長をλとλとする)について観測すると、光学的膜厚がλ/4になるごとにλ、λにおける透過率または反射率は等しくなる。従って、観測している波長λとλにおける透過率または反射率が等しくなるたびに、堆積する膜種を切替えて、高屈折率膜と低屈折率膜を堆積することで、各屈折率膜にとって光学的膜厚がλ/4の多層膜を形成することができる。
【0016】
二色測光法において、任意の波長の対の一例として、図6に示すように、λ:1734nm(κ:5760cm−1)、λ:1400nm(κ:7142cm−1)とすると、層数が増加するにつれて減衰域の両端付近での透過率の変化はほとんどなくなり、10層以上の層数では、この方式で膜厚を制御することは難しい。このことは、8層以上の多層膜を形成するためには、モニタ基板交換しながら層を堆積する必要があることを示している。
【0017】
通信用では、設計波長λはおもに1550nmを中心とした1260nmから1675nmの赤外光領域で設計されたデバイスを用いる。そのため単色測光法と二色測光法ともに赤外領域の測光で行われる。しかし、赤外分光器は、一般的に熱ノイズの影響が大きく1nm以下の波長分解能を得ることが困難である。より高い分解能が得られるグレーティングを用いた測光方法は、測定速度が遅く、かつ、駆動部を有するために長時間となる多層膜の堆積の間、安定して測光することは難しい。また、CCDを用いた測光方法では、測定速度は高速だが、波長分解能がCCDの素子分解能に支配されてしまい、1nm以下の波長分解能を実現することは難しい。あえて高精度でリアルタイムに測光できるシステムを作ったとしても、かなり高価なものになってしまう。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
設計波長λが赤外光波長領域にある多層膜を作製する際の、従来の単色測光法による膜厚モニタリングにおいては、上記のように、層数が増加するにつれて透過率は減少してゆき、層数15以上の多層膜において、透過率が赤外分光器の安定測定範囲(図7に示す)の限界に近づき、λ/4の光学的膜厚を判定することが困難となる。このことは、1枚のモニタ基板で精度よくモニタリングできるのは、15層程度が限界であり、それ以上の多層膜を堆積するためには、膜厚モニタリング用モニタ基板を新しいものと交換する必要があることを意味する。このようなモニタ基板の交換は、多層膜作製効率の低下を招くので、多層膜作製上の問題となり、この解決が重要な課題となっている。
【0019】
また、設計波長が赤外光波長領域にある多層膜を作製する際の、従来の二色測光法による膜厚モニタリングにおいては、例えば、図6に示したように、層数が増加するにつれて減衰域の両端付近での透過率の変化はほとんどなくなり、10層以上の層数では、この方式で膜厚を制御することは難しく、8層以上の多層膜を形成するためには、モニタ基板交換しながら層を堆積する必要があることがわかり、単色測光法の場合と同様に、多層膜作製効率の低下を招くので、多層膜作製上の問題となる。
【0020】
本発明は、これら従来技術におけるモニタ基板交換の問題点や膜厚や膜質の均一性の高精度化の課題を解決し、λを設計波長とする多層膜の光学的膜厚をλ/4の整数倍に制御することを可能とする膜厚モニタリング装置および方法を実現することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては、請求項1に記載のように、
基板上に形成され、可視光波長λの3以上の奇数倍の波長λを設計波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モニタリング装置であって、光源と、前記光源からの、波長λを含む可視光領域の光を前記基板と前記多層膜と前記誘電体膜との合体物に照射する光照射部と、前記照射によって生じる前記合体物からの、前記可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルを測定する光測定部と、前記分光スペクトルのデータから、前記波長λを含まない可視光波長域における前記分光スペクトルの極値および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長の一方または両方を取得し、前記極値および前記サブピーク波長の一方または両方を用いて、前記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別する演算処理手段とを有することを特徴とする膜厚モニタリング装置を構成する。
【0022】
また、本発明においては、請求項2に記載のように、
基板上に形成され、可視光波長λの3以上の奇数倍の波長λを設計波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モニタリング方法であって、光源からの、波長λを含む可視光領域の波長の光を前記基板と前記多層膜と前記誘電体膜との合体物に照射し、前記照射によって生じる前記合体物からの、前記可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルを測定し、前記分光スペクトルのデータから、前記波長λを含まない可視光波長域における前記分光スペクトルの極値および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長の一方または両方を取得し、前記極値および前記サブピーク波長の一方または両方を用いて、前記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別することを特徴とする膜厚モニタリング方法を構成する。
【0023】
また、本発明においては、請求項3に記載のように、
前記サブピーク波長のうち、波長λよりも大きいものを小さい順にλ1+、λ2+、…、λn+、…とし、それぞれの波長における透過率の極値をT(λ1+)、T(λ2+)、…、T(λn+)、…とし、前記サブピーク波長のうち、波長λよりも小さいものを大きい順にλ1−、λ2−、…、λn−、…とし、それぞれの波長における透過率の極値をT(λ1−)、T(λ2−)、…、T(λn−)、…とし、nとnの対のうちの少なくとも1対について、T(λn+)とT(λn−)とが測定誤差に起因する誤差の範囲内において等しいか否かによって、前記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の膜厚モニタリング方法を構成する。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法が、従来の単色測光法と二色測光法と大きく異なる点は、膜厚モニタリングに用いる光の波長にある。
【0025】
すなわち、従来の単色測光法においては、設計波長λの光を膜厚モニタリングに用いるのに対して、本発明においては、設計波長λの3以上の奇数分の1の波長λ(波数1/λは波数1/λの3以上の奇数倍)を含む可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルの、波長λを含まない可視光波長域における、波長に対する極値を膜厚モニタリングに用いる。
【0026】
また、従来の二色測光法においては、設計波長λを挟んで、λよりも短い波長の光とλよりも長い波長の光とを膜厚モニタリングに用いるのに対して、本発明においては、設計波長λの3以上の奇数分の1の波長λ(波数1/λは波数1/λの3以上の奇数倍)を含む可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルの、波長λを含まない可視光波長域における、波長に対する極値を膜厚モニタリングに用いる。
【0027】
このように、従来の単色測光法および二色測光法において膜厚モニタリングに用いる光の波長は、本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法において用いる光の波長のおよそ、3以上の奇数倍であり、本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法において用いる光の波長が可視光領域にあるので、同じ多層膜の膜厚モニタリングを行う従来の単色測光法および二色測光法において膜厚モニタリングに用いる光の波長は赤外領域にあることになる。
【0028】
本発明においては、低い透過率まで高い波長分解能で測定可能であり、しかも比較的安価な可視光分光光度計を用いることができるので、設計波長λが赤外領域にある、層数の多い多層膜の膜厚モニタリングが本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法によって可能となる。
【0029】
本発明においては、基板上に形成され、可視光波長λの3以上の奇数倍の波長λを設計波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モニタリング装置であって、光源と、前記光源からの、波長λを含む可視光領域の光を前記基板と前記多層膜と前記誘電体膜との合体物に照射する光照射部と、前記照射によって生じる前記合体物からの、前記可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルを測定する光測定部と、前記分光スペクトルのデータから、前記波長λを含まない可視光波長域における前記分光スペクトルの極値(波長に対する極大値または極小値)および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長の一方または両方を取得し、前記極値および前記サブピーク波長の一方または両方を用いて、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別する演算処理手段とを有することを特徴とする膜厚モニタリング装置を構成する。ここで、「誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否か」は、その誘電体膜の光学的膜厚(屈折率×膜厚)がλ/4の整数倍に、測定誤差に起因する誤差の範囲内で、等しいか否か、を意味する。
【0030】
また、本発明においては、基板上に形成され、可視光波長λの3以上の奇数倍の波長λを設計波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モニタリング方法であって、光源からの、波長λを含む可視光領域の波長の光を前記基板と前記多層膜と前記誘電体膜との合体物に照射し、前記照射によって生じる前記合体物からの、前記可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルを測定し、前記分光スペクトルのデータから、前記波長λを含まない可視光波長域における前記分光スペクトルの極値(波長に対する極大値または極小値)および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長の一方または両方を取得し、前記極値および前記サブピーク波長の一方または両方を用いて、前記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別することを特徴とする膜厚モニタリング方法を構成する。ここで、「誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否か」は、その誘電体膜の光学的膜厚(屈折率×膜厚)がλ/4の整数倍に、測定誤差に起因する誤差の範囲内で、等しいか否か、を意味する。この膜厚モニタリング方法は、上記の、本発明に係る膜厚モニタリング装置によって実行することができる。
【0031】
上記の、「誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否か」を判別する方法として、上記測定によって得られる分光スペクトルのデータから、前記波長λを含まない可視光波長域における前記分光スペクトルの極値(波長に対する極大値または極小値)および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長の一方または両方を取得し、その一方または両方の数値を、それぞれに対応する、あらかじめ理論計算によって求められている数値と比較する方法がある。すなわち、理想的な多層膜の可視光波長領域における分光透過率(図6に例示)または分光反射率は、多層膜の構成材料と層構成とを決めれば、理論計算によって求めることができ、その、波長λを含まない可視光波長域における極値および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長も求めることができる。そこで、そのような理論計算によって求めた極値またはサブピーク波長を層構成の関数として、上記の演算処理手段に記憶させておき、上記の測定および演算によって得た数値が、それぞれに対応する計算値と、測定誤差に起因する誤差の範囲内で一致するか否かによって、上記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別することができる。
【0032】
上記の方法とは別に、分光スペクトルの極値の計算値を用いない膜厚モニタリング方法も、後述の実施例に例示するように、実行が可能である。
【0033】
上記の光源としては、キセノンランプやタングステンランプ等が用いられる。
【0034】
上記の、光源からの光を上記合体物に照射する光照射部としては、光ファイバを用いることができる。光ファイバは上記合体物からの透過光または反射光を上記の光測定部に導く手段としても利用される。
【0035】
上記の光測定部の主体は可視光分光器である。この分光器は、上記合体物の可視光域における分光スペクトルを測定する。
【0036】
上記の演算処理手段としては、汎用のパーソナルコンピュータ等の演算器を用いることができる。この演算処理手段によって、上記の光測定部の出力である、分光スペクトルのデータは、あらかじめ取得し記憶されている参照データで規格化されて、透過率または反射率の分光スペクトルデータに変換される。
【0037】
本発明によれば、従来技術のように高精度測光が難しい赤外光領域の測光のデータではなく、設計波数の3以上の奇数倍である波数を中心とした可視光領域における分光スペクトルの極値のデータを用いて、赤外光領域の波長を設計波長とする多層膜の膜厚モニタリングを行うことができる。この場合に、安価で、高信頼性・高精度の可視光領域の分光器を使用することができ、層数の多い多層膜の膜厚モニタリングを高精度で行うことができる。
【0038】
【実施例】
本発明に係る膜厚モニタリング装置は、多層膜の成膜装置内に組み込まれて使用された場合に、その効果を発揮する。
【0039】
この場合に、成膜装置内において、基板上に波長λを設計波長とする多層膜が形成される成膜工程中、上記の誘電体膜に該当する、最上層の高屈折率膜(H膜)または低屈折率膜(L膜)の膜厚が膜厚モニタリング装置によってモニタリングされ、その膜厚が適当であると判定された時点で、その膜の成膜は中止され、他の膜種の成膜が開始されるか、または、多層膜成膜工程が終了する。
【0040】
次に本発明の実施例について説明する。なお、実施例は一つの例示であって、本発明の精神を逸脱しない範囲で主旨の変更あるいは改良を行い得ることは言及するまでもない。
【0041】
[実施例1]
図1に、本発明の第1の実施例を示す。図中、1は成膜室2内の基板3上に成膜を行う成膜装置であり、4は基板3上に膜物質をスパッタするECRスパッタ源であり、5は基板3に可視光を投光するための光源であり、6は光源5からの光を基板3に照射する光照射部である光源用光ファイバであり、7は光を成膜室2内に導入するための真空封止用窓であり、8は基板3を透過した光を空気中に取り出すための真空封止用窓であり、9は透過光を可視光分光器10に導くための光ファイバであり、可視光分光器10は請求項1に記載の光測定部に該当し、透過光の可視光波長における強度を計測する。11は、可視光分光器10の出力である前記光の強度のデータを用いて、成膜中の誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別する演算処理手段である演算器である。光源5と光ファイバ6と光ファイバ9と可視光分光器10と演算器11とが請求項1に記載の膜厚モニタリング装置に該当し、基板3は請求項1および2に記載の合体物に該当する。
【0042】
成膜手段としては、電子サイクロトロン共鳴スパッタ(ECRスパッタ)源4を用いる手段を図に示しているが、言及するまでもなく、他の成膜手段、例えば、高周波バイアススパッタ装置(RFバイアススパッタ装置)、マグネトロンスパッタ装置、抵抗加熱蒸着装置、プラズマ化学気相堆積装置(プラズマCVD装置)、分子線ビーム成長装置(MBE装置)、原子層成長装置(ALE装置およびALD装置)、有機金属熱分解堆積装置(MOCVD装置)等を用いても良い。
【0043】
本実施例では、多層膜を堆積する基板3での透過スペクトルを測定できるように、基板に対して斜めにECRスパッタ源4を配置してある。基板3上での膜の均一性を向上するために基板3を成膜中に回転できる構造とした。
【0044】
成膜工程中、成膜装置1の成膜室2内において、基板3上に、ECRスパッタ源4からのスパッタによって誘電体膜(H膜とL膜)が形成され、光源5からの可視光は光ファイバ6を通り、成膜装置1の窓7を通って、基板3に垂直に入射し、基板3を透過した光は窓8を通り、光ファイバ9を通って、可視光分光器10に入り、可視光分光器10によって透過光の可視光波長における強度が計測される。可視光分光器10の出力である透過光の強度のデータが演算器11に入力される。この場合に、成膜中のH膜またはL膜が請求項1および2に記載の誘電体膜に該当する。
【0045】
光源5としては、本実施例においては、ハロゲンランプを用いているが、赤外領域に対する発光の強度の安定性にくらべて、可視光領域では容易に比較的平坦な発光スペクトルが得られるため、安価に光源を得ることができる。また、可視光領域では、ハロゲンランプよりも高安定な発光強度が得られるキセノンランプやタングステンランプ等も使用できる。
【0046】
本実施例では、光源からの光を照射するために、また、透過光を分光器に導くために、光ファイバ6、9を用いているが、反射ミラーやハーフミラー等を用いた光学系を用いても良い。
【0047】
可視光分光器10としては、高安定・高精度・高速に、かつ、安価なシステムが提供されている可視光分光器を用い、図6中の可視光領域に出現する設計波長1550nmに相当する設計波数6451cm−1の3倍にあたる波数19354cm−1(波長516nm)を含む、300nmから800nmの領域の分光スペクトルを観測できるようにした。測定波長分解能は、0.1nmであった。
【0048】
分光器からのスペクトルデータは、ANSI標準のI/Oバスである小規模コンピュータシステムインターフェイス(SCSI)を使用して演算器にデータ転送を行った。演算器としては、汎用のパーソナルコンピュータを用いているが、専用の演算回路を有する装置を作製して使用しても良い。また、インターフェイスもSCSIに限定するものではなく、シリアル、USB、IEEE1394、光ファイバリンク等の方法でも良い。転送されたデータは、演算器11上で成膜前に取得した参照データで規格化を行い透過率のスペクトルを取得する。さらに、その透過率スペクトルを差分法、最小二乗法や微分法等の数値処理を行うことにより、成膜中の膜の膜厚が、多層膜の構成要素である膜の膜厚として適当であるか否かを判別し、その判別結果によって膜厚制御(成膜を続けるか、膜種を切替えるか、等)を行うための信号を得る構成とした。
【0049】
本実施例における膜厚モニタリングの動作の一例を以下に説明する。
【0050】
図8に、基板を屈折率が1.47の石英とし、高屈折率膜として屈折率が2.14のTa、低屈折率膜として屈折率が1.48のSiOを用い、下層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、上層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、その間にキャビティ層を1層堆積した場合の設計波数の3倍に当たる波数における透過率の波長依存性を示す(但し、図の横軸は波数とする)。この場合に、設計波長λは1550nm(設計波数κは6451cm−1)である。測定に使用した光の波長範囲は、設計波長の3分の1に当たる波長516nmを含む400nmから650nmの範囲であり、波長分解能は0.25nmとした。図の横軸は波数で表した。本実施の形態では、高屈折率膜としてTa、低屈折率膜としてSiOを用いているが、他の膜種の組み合わせでも同様の効果が得られる。
【0051】
光学的膜厚λのTaの膜厚は724nmであり、光学的膜厚λ/4に相当する膜厚は181nmとなり、光学的膜厚λのSiOの膜厚は1047nmであり、光学的膜厚λ/4に相当する膜厚は261nmとなる。
【0052】
図8より、多層膜を成膜してゆくと、500nmから550nmの可視光領域の波長に対応する波数において非透過領域が存在し、その両側に対称的にサブピークが形成されていることがわかる。
【0053】
このサブピークをサイドバンドピークと呼ぶことにする。また、設計波数の3以上の奇数倍にあたる波数を中心対称とした、ピーク対をP、P、P、P、P、・・・、Pとする。また、そのピーク対の低波数側・高波数側を、例えば、P1−、P1+のように、それぞれ、表すことにする(図8参照)。さらに、サイドバンドピーク対に対応する波数を、κ、κ、κ、κ、κ、・・・、κとし、このときの低波数側、高波数側を、例えば、κ1−、κ1+のようにそれぞれを表すことにする。このサイドバンドピークは、膜の層数が増えるにしたがって、波数範囲に現れる数が増加してゆく。また、このサイドバンドピークは、一般に、ある層の薄膜の光学膜厚がλ/4の整数倍をなすときには、設計波数の3以上の奇数倍にあたる波数を中心対称とした波数に対して対称になる。T(κ)を波数κにおける透過率とすると、n番目のサイドバンドピークPn−、Pn+ について、次のように表すことができる。
【0054】
T(κn+)= T(κn−) (式1)
多層膜のある層を成膜している途中では、その層の光学的膜厚がλ/4の整数倍に等しくない時には、次式のようになる。
【0055】
T(κn+)≠ T(κn−) (式2)
したがって、成膜を行いながら、κn+ とκn− の対となるサイドバンドピークの波数を常に検出し、その波数での透過率T(κn+)、T(κn−)(これらは請求項1および2に記載の極値に該当する)を比較し、(式1)のように透過率が等しくなったときに成膜を停止すれば、その層の光学的膜厚をλ/4の整数倍に制御することが可能となる。このようにして、本発明に係る膜厚モニタリング装置および方法を用いて、各層の膜厚を正確に制御しながら、多層膜を作製することができる。サイドバンドピークは、膜厚により大きく変化するために、S/N(信号対雑音比)よく膜厚を制御することができる。
【0056】
なお、多層膜の光学的膜厚がλ/4の整数倍の時には、等式:κn+ +κn− =2κが成立するので、この等式も、(式1)と同様に、膜厚のモニタリングに利用できる。
【0057】
また、サイドバンドピークPに対応するκn+ とκn− の位置は、分光スペクトルの極値の位置を求める数値処理を適応すれば容易に求めることができる。n番目のサイドバンドピークPの透過率差を△Tとすれば、次のようにできる。
【0058】
△T =T(κn+)− T(κn−) (式3)
図9に、基板を屈折率が1.47の石英とし、高屈折率膜として屈折率が2.14のTa、低屈折率膜として屈折率が1.48のSiOを用い、下層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、低屈折率膜のキャビティ層を1層、上層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を18層成膜し、その上に次の1層目を堆積するときの(式3)から求めた透過率差と膜厚堆積度(光学的膜厚がλ/4の時に1とする)との関係を示す。但し、設計波長λは1550nm(設計波数κは6451cm−1)である。サイドバンドピークは、P1−とP1+、P2−とP2+、P3−とP3+、P4−とP4+の4対について示す。波長分解能は0.25nmとした。図の横軸は波数で表した。図より、膜厚が増加するに従って、△T、△T、△T、△Tは、λ/4までに2回0をよぎり、λ/4で0となる。このように△Tに対して3回目の△T=0で成膜を停止することで、光学的膜厚をλ/4に制御できることがわかる。
【0059】
本実施例では、屈折率に波長依存性がないものとして示したが、実際には、誘電体の屈折率には波長依存性が存在し、λとλの付近の屈折率が異なる場合がある。そのため、設計波長λからずれた多層膜が形成される場合がある。このような場合には、予め誘電体の屈折率の波長依存性を分光エリプソメータ等で測定し、その数値をもとに、シミュレーションによる事前比較を実施して実際の測定に反映することで、設計波長λの多層膜を得ることが可能となる。
【0060】
分光スペクトルの形状は、多層膜を積んでゆくにしたがい不規則に変化してゆく。そのため、通常の二色測光法の様に波長を固定されている場合は、信号の変化が非常に小さくなる層が存在し、赤外分光器の波長分解能と測定感度が大きくないために、全層にわたって精度良く測定することはできない。本発明のように、波長分解能と測定感度が高く、リアルタイムに測定可能な可視分光器を用いて、かつ、サイドバンドピークの波数を常に検出し、その波数での透過率差を用いれば、層数の多い多層膜においても、精度の高い膜厚制御が可能となる。
【0061】
図2に、透過光の分光スペクトルを規格化して透過率スペクトルに変換するための参照光を成膜途中で定期的に取得できるように、光源5からの光を2分岐光ファイバ12と切替器13により直接可視光分光器10に取り込める構成を示す。この構成を用いることで長時間の成膜を行う場合でも、光源5の出力を定期的に測定して、その変動を校正できるため、より正確な測定が可能となる。
【0062】
[実施例2]
図3に、反射光における、本発明の実施例を示す。基板上に成膜を行う成膜装置、基板3に光を投光するための光源5、光投用光ファイバ6と光を成膜室2内に導入するための真空射止用窓7を含む投光部分、多層膜を堆積する基体となり可視光領域で適当な反射率を示す基板3と、基板3に反射した光を可視光分光器10に導くためのハーフミラー14と光ファイバ9を含む受光部分と、受光部分で受けた光を分光スペクトルとして測光する光測定部である可視光分光器10からなる測定部分と、分光スペクトルの波長に対する極値を演算処理する演算処理手段である演算11と、基板3上に単層膜および多層膜を成膜する成膜手段とからなる。
【0063】
本実施例では、反射測定系のため、可視光領域の光を透過しないシリコン基板などの不透明基板上への成膜でも膜厚モニタリングが可能となる。
【0064】
基板3としてシリコン基板を用い、そのシリコン基板上に、高屈折率膜として屈折率が2.14のTa、低屈折率膜として屈折率が1.48のSiOを用い、下層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、上層に高屈折率膜と低屈折率膜の対を21層、その間にキャビティ層を1層堆積した場合を例にして、本発明の膜厚モニタリング動作を説明する。本実施例では、高屈折率膜としてTa、低屈折率膜としてSiOを用いているが、他の膜種の組み合わせても同様の効果が得られる。
【0065】
一般に、ある波数κにおける反射率R(κ)は、透過率T(κ)と次のような関係がある。
【0066】
T(κ)= 1−R(κ) (式4)
反射率R(κ)は、測定される。(式4)で求められるT(κ)について設計波数の3倍に当たる波数における透過率の波長依存性を示すと、図8になる(但し、図の横軸は波数とする)。透過率T(κ)が求められれば、(式3)より△Tを求めて実施例1と同様な手順で膜厚モニタリングとそれに基づく膜厚の制御が可能となる。
【0067】
分光スペクトルの形状は、多層膜を積んでゆくにしたがい不規則に変化してゆく。そのため、通常の二色測光法の様に波長を固定されている場合は、信号の変化が非常に小さくなる層が存在し、赤外分光器の波長分解能と測定感度が大きくないために、全層にわたって精度良く測定することはできない。本発明のように、波長分解能と測定感度が高く、リアルタイムに測定可能な可視分光器を用いて、かつ、サイドバンドピークの波数を常に検出し、その波数での透過率差を用いれば、層数の多い多層膜においても、精度の高い膜厚制御が可能となる。
【0068】
図4に、分光スペクトルを規格化して反射率分光スペクトルに変換するための参照光を成膜途中で定期的に取得できるように、光源5からの光を2分岐光ファイバ12と切替器13により直接、可視光分光器10に取り込める構成を示す。この構成を用いることで長時間の成膜を行う場合でも、光源の出力を定期的に測定して、その変動を校正できるため、より正確な測定が可能となる。
【0069】
以上説明したように、本発明は、設計波長の3以上の奇数倍に当たる波数を中心として、減衰域のさらに両側に形成される透過率または反射率の極値の組を検出し、その組の極値の差が0になるときを観測し、成膜を停止することで膜厚をλ/4の整数倍に制御でき、非常に簡便に総数が多い多層膜でも膜厚を制御できる。また、直接成膜基板を測定できるためモニター基板の交換が不要で迅速に精度良く多層膜を形成できる。さらに、従来技術のように高精度測光が難しい赤外光領域の測光ではなく、設計波長の3以上の奇数倍に当たる波数近辺の可視光領域の透過率と反射率の測定を用いることで、安価で、高信頼性・高精度の可視光領域の分光器を使用することができ、光学的膜厚の膜厚モニタリングを高精度に行うという優れた効果が得られる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の実施により、モニタ基板交換の問題点や膜厚や膜質の均一性の高精度化の課題を解決し、λを設計波長とする多層膜の光学的膜厚をλ/4の整数倍に制御することを可能とする膜厚モニタリング装置および方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】第1の実施例において、参照光を取得できるように、2分岐光ファイバと切替器を用いた構成を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例の構成を示す図である。
【図4】第2の実施例において、参照光を取得できるように、2分岐光ファイバと切替器を用いた構成を示す図である。
【図5】波長多重通信用の多層膜フィルタの構成例を示す図である。
【図6】波長多重通信用の多層膜フィルタの透過スペクトルを示す図である。
【図7】既存の単色測光法での透過率の層数依存性を示す図である。
【図8】本発明での設計波数の3以上の奇数倍に当たる波数の透過率の波長依存性を示す図である。
【図9】本発明での設計波数の3以上の奇数倍に当たる波数を中心とした任意のサイドバンドピーク対の透過率差の膜厚依存性を示す図である。
【符号の説明】
1…成膜装置、2…成膜室、3…基板、4…ECRスパッタ源、5…光源、6…光ファイバ、7、8…窓、9…光ファイバ、10…可視光分光器、11…演算器、12…2分岐光ファイバ、13…切替器、14…ハーフミラー。

Claims (3)

  1. 基板上に形成され、可視光波長λの3以上の奇数倍の波長λを設計波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モニタリング装置であって、光源と、前記光源からの、波長λを含む可視光領域の光を前記基板と前記多層膜と前記誘電体膜との合体物に照射する光照射部と、前記照射によって生じる前記合体物からの、前記可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルを測定する光測定部と、前記分光スペクトルのデータから、前記波長λを含まない可視光波長域における前記分光スペクトルの極値および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長の一方または両方を取得し、前記極値および前記サブピーク波長の一方または両方を用いて、前記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別する演算処理手段とを有することを特徴とする膜厚モニタリング装置。
  2. 基板上に形成され、可視光波長λの3以上の奇数倍の波長λを設計波長とする多層膜の上に重ねて形成された誘電体膜の膜厚をモニタリングする膜厚モニタリング方法であって、光源からの、波長λを含む可視光領域の波長の光を前記基板と前記多層膜と前記誘電体膜との合体物に照射し、前記照射によって生じる前記合体物からの、前記可視光領域における透過光または反射光の分光スペクトルを測定し、前記分光スペクトルのデータから、前記波長λを含まない可視光波長域における前記分光スペクトルの極値および前記極値が実現するときの光の波長であるサブピーク波長の一方または両方を取得し、前記極値および前記サブピーク波長の一方または両方を用いて、前記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別することを特徴とする膜厚モニタリング方法。
  3. 前記サブピーク波長のうち、波長λよりも大きいものを小さい順にλ1+、λ2+、…、λn+、…とし、それぞれの波長における透過率の極値をT(λ1+)、T(λ2+)、…、T(λn+)、…とし、前記サブピーク波長のうち、波長λよりも小さいものを大きい順にλ1−、λ2−、…、λn−、…とし、それぞれの波長における透過率の極値をT(λ1−)、T(λ2−)、…、T(λn−)、…とし、nとnの対のうちの少なくとも1対について、T(λn+)とT(λn−)とが測定誤差に起因する誤差の範囲内において等しいか否かによって、前記誘電体膜の膜厚が、波長λを設計波長とする多層膜の構成要素である誘電体膜の膜厚として適当であるか否かを判別することを特徴とする請求項2に記載の膜厚モニタリング方法。
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