JP3754874B2 - 成膜方法および成膜装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶プロジェクターやTVカメラ等に用いられるダイクロ膜(色分解用光学素子)等、高性能でしかも製造安定性が要求される光学多層膜の成膜方法および成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイクロ膜等の高機能な光学多層膜の成膜における膜厚制御には、光学式の膜厚制御モニターが用いられる。この膜厚制御モニターは、各層を成膜するモニター基板、モニター基板交換機構、投光部、制御波長フィルター交換部、受光部、強度計測部を有し、各層の膜厚を計測しながら成膜を行なうものである。
【0003】
しかし、近年、より高精度の膜厚制御を行なうために、製品そのもの、または製品を代用するモニター基板(特性モニター基板)上の積層膜の光学特性を測定し、その結果に基づいて、製品の最終目標特性に近づくように初期目標膜厚(または屈折率)を修正制御する方法が提案されている(特開平7−72307号公報参照)。
【0004】
あるいは、製品に代わってその特性を計測する特性モニターと従来の膜厚制御モニターを併用し、特性モニターの光学特性の結果から膜厚制御モニターにより修正目標膜厚(または屈折率)を制御する方法が提案されている(特開平5−255850号公報参照)。
【0005】
前者はスパッタ法の例であるが、レートが比較的安定しており時間制御で膜厚を制御できるため、修正目標膜厚を得るのに有効と思われる。後者は蒸着法の例であり、従来の膜厚制御モニターに加えて、積層特性を得るための特性モニター(固定)を設け、目標膜厚を修正制御することで製品特性の向上、安定化を行なうことが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術によれば、特に特開平5−255850号公報に記載された膜厚制御の場合、目標特性からの誤差を小さくするよう、特性モニターの計測結果に応じて初期目標膜厚を修正して順次成膜することが述べられているが、実際の成膜時には、成膜条件の変動のために膜厚制御モニターによる膜厚制御に誤差が発生するという未解決の課題がある。
【0007】
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、膜厚制御モニターに用いる制御波長を各層ごとに修正することで、光学多層膜の成膜中の成膜条件の変動に起因する膜厚制御の誤差を大幅に低減し、高品質なダイクロ膜等を安定製造できる成膜方法および成膜装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の成膜方法は、所定の制御波長をもつモニター光を用いて光学多層膜の複数層のそれぞれの膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニターによる膜厚制御工程と、前記複数層のうちの少なくとも1層が特性モニター基板上に積層された状態でその積層膜の反射率もしくは透過率を計測する特性モニターの計測結果に基づいて膜厚誤差を予測し、次層以後の成膜における膜厚制御モニターの前記制御波長を変更する工程を有することを特徴とする。
【0009】
所定の制御波長をもつモニター光を用いて光学多層膜の複数層のそれぞれの膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニターによる膜厚制御工程と、前記複数層のうちの少なくとも1層が特性モニター基板上に積層された状態でその積層膜の反射率もしくは透過率を計測する特性モニターの計測結果に基づいて、次層以後の成膜における膜厚制御モニターの前記制御波長を変更するとともに、次層またはそれ以後の目標膜厚を設計修正する工程を有する成膜方法でもよい。
【0010】
膜厚制御モニター基板上の1層目の目標屈折率を設計値より高く設定するとよい。
【0011】
また、モニター光を用いて光学多層膜の各層の膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニターによる膜厚制御工程を有し、同一材料の複数層のうちの1層目の目標屈折率を設計値より高く設定することを特徴とする成膜方法でもよい。
【0012】
本発明の成膜装置は、所定の制御波長のモニター光を用いて光学多層膜の複数層のそれぞれの膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニター手段と、前記複数層のうちの少なくとも1層が特性モニター基板上に積層された状態でその積層膜の反射率もしくは透過率を計測する特性モニター手段と、該特性モニター手段の出力に基づいて膜厚誤差を予測し、前記膜厚制御モニター手段の前記制御波長を変更する制御手段を有することを特徴とする。
【0013】
【作用】
各層ごとに予め制御波長を設定して膜厚制御モニターを行なっても、製品基板上に成膜される膜の屈折率が成膜条件の変動によって変化したときには、膜厚制御モニターのモニター光である単色光の反射率や透過率が変わるため、膜厚制御に大きな誤差を生じる。
【0014】
そこで、特性モニター基板に積層された積層膜の反射率や透過率等の光学特性を計測し、その計測結果に基づいて膜厚誤差を予測し、次に積層される膜の膜厚制御モニターの制御波長を修正する。
【0015】
各層ごとに適切な制御波長を選ぶことで、膜厚制御の精度を大幅に向上できる。これによって、極めて高性能なダイクロ膜等を安定製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は第1の実施の形態による成膜装置を示すもので、これは、真空室10の底部に設けられた蒸発源11と、その上方に配設された製品基板保持用のドーム12と、ドーム12の中心部に設けられた特性モニター基板13および膜厚制御モニター基板14を有する。
【0018】
特性モニター手段は、ドーム12に保持された製品基板に積層された膜の光学特性から屈折率や膜厚を検知するもので、前記特性モニター基板13、投受光部15、計測部16によって構成され、測定値は演算部を含む制御手段17に取り込まれる。
【0019】
膜厚制御モニター手段は、成膜中の膜の膜厚を計測して膜厚制御を行なうもので、前記膜厚制御モニター基板14、モニター交換機能を含む投受光部18、計測部19によって構成され、測定値は前記演算部に取り込まれる。
【0020】
光学多層膜(例えばダイクロ膜)の必要特性を得る場合、膜厚制御モニターにおいて複数の膜厚制御モニター基板のうちのどの基板で何層、どの制御波長を使用するかが重要である。
【0021】
蒸着赤ダイクロ(プリズムタイプ、接合面入射角45度)の一設計例による定数と制御波長を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003754874
【0023】
表1において、層数は基板側からの層番号を示し奇数層はAl2 3 層、偶数層はTiO2 層である。dは物理膜厚(nm)、588nは設計波長588nmでの屈折率、588真ndは設計波長588nmでの真空中の光学膜厚(nm)、制御波長は初期目標光学膜厚を得るための膜厚制御モニターのモニター光である単色光の波長である。なお、膜厚制御モニター基板と特性モニター基板の膜厚比は1に設定してあるので特性モニターの制御波長と同じであると見なしてよい。モニター番号は各層の成膜に用いるための膜厚制御モニター基板の番号(例えばモニター番号1は第1層、第3層、第15層、第17層に用いる膜厚制御モニター基板)である。
【0024】
上記モニター番号1における理想的な膜厚制御を表2に示す。これは表1のモニター番号1の膜厚制御モニター基板上に形成される4層のAl2 3 層のそれぞれの設定定数を示したものであり、蒸着装置の一定成膜条件における屈折率のバラツキから標準屈折率として設定してある。
【0025】
【表2】
Figure 0003754874
【0026】
Al2 3 膜が4層目まで標準屈折率で均質に成膜されれば、反射率特性は図2に示すように変化する。従って、1層目の制御波長で反射率の山、2層目の制御波長で反射率の山、3層目の制御波長で反射率の谷、4層目の制御波長で反射率の山を膜厚制御モニターで検知すれば、本来はそれぞれの初期目標膜厚を得ることができるはずである
【0027】
しかしながら、実際の成膜時には成膜条件の変動による屈折率の変化が、制御波長でモニター制御された膜厚に誤差を発生させる要因となる。
【0028】
表3に各層の屈折率が変動して不均質な膜になった場合の膜厚制御の結果を示し、これに対応する反射特性の変化を図3に示す。
【0029】
【表3】
Figure 0003754874
【0030】
このように、屈折率が変動すると反射特性も変化し、均質であると想定した場合の制御波長で反射率の山、または谷を膜厚制御モニターで検知して制御しても、膜厚は初期目標膜厚からずれるのが分かる。
【0031】
上記述べたような屈折率変動による膜厚誤差は、同一制御波長で整数膜を積層していく場合は影響が少ない。また、TiO2 のように屈折率が大きく反射率変化の大きい材料では影響が少ない。
【0032】
しかしながら、ダイクロ等の光学多層膜においては、透過波長域の透過率を高くするために反射率(リップル)を抑える必要があり、通常、リップル調整層としてAl2 3 等の中間屈折率材を非整数(反射波長帯域を構成する基本層の膜厚と異なる)膜厚で使用さぜるを得ない。従って、屈折率変動の膜厚誤差に対する影響を極力少なくすることが必要である。
【0033】
そこで、単色光の反射(または透過)強度の変化により膜厚を制御する膜厚制御用モニターと、積層膜の反射(または透過)特性を測光する特性モニターの両方を用いて、各層の目標膜厚制御を膜厚制御モニターにより行ない、その制御によって特性モニター基板上に成膜された膜の定数(膜厚、屈折率)を特性モニターの計測結果(特性値)より求めて、得られた定数に基づいて、同じ膜厚制御モニター基板上の次の層の膜厚制御のための単色光の制御波長を定めて、次層の膜厚制御を行なうことが重要であることを見出した。
【0034】
すなわち、表1の膜構成において、表2に示した制御波長でモニター番号1の膜厚制御モニター基板上に各層の初期目標膜厚を得ようとすると、表3に示すような屈折率の変動が生じた場合、前述のように大きな膜厚誤差を生じる。そこで本実施の形態では、特性モニターの計測結果に基づき、装置固有の膜標準屈折率を用いて膜厚制御モニターの制御波長を変更することにより、各層の初期目標膜厚からの誤差を小さくする。このようにして、膜厚制御を行なった結果を表4に示す。また、これに対応する反射特性の変化を図4に示す。
【0035】
【表4】
Figure 0003754874
【0036】
表4において、1層目については表3と同じである。2層目については、特性モニターから得られた定数をもつ1層目の上に標準屈折率の膜が形成されると仮定して膜厚誤差を予測し、これを考慮した膜厚変化に対して初期目標膜厚に達した時に反射率の極値をとる波長を選択して、修正制御波長とした。2層目の膜厚はこの修正制御波長を用いた膜厚制御モニターにより反射率の谷で制御される。3層目についても同様の修正制御波長により反射率の山で制御される。4層目についても同様の修正制御波長により反射率の谷で制御される。得られた膜厚は初期目標膜厚と異なるが、修正を行なわない表3の結果と比較して効果は明らかである。
【0037】
次に第2の実施の形態を説明する。上述のように膜厚制御の誤差を改善しても光学特性の劣化は問題となる。そこで本実施の形態では、成膜途中の再設計により変更した修正目標膜厚を用いて上記補正を行なうことにより、特性劣化を大幅に改善できることを見出した。
【0038】
すなわち、単色光の反射(または透過)強度の変化により膜厚を制御する膜厚制御モニターと、積層膜の反射(または透過)特性を測光する特性モニターの両方を用いる成膜工程において、各層の目標膜厚制御を膜厚制御モニターにより行ない、その制御によって特性モニター上に成膜された膜の定数(膜厚、屈折率)を特性モニターの測光された特性値より求め、該定数を固定して次層以降の膜厚を目標特性に合わせて再設計して、次層以降の層の修正目標膜厚を決定し、さらに、同じ膜厚制御モニター基板上の次の層の膜厚制御において、該基板上の既成膜層の定数に基づいて単色光の制御波長を修正し、膜厚制御を行なうことが重要であることを見出した。
【0039】
そこで、第2の実施の形態においては、表1の第3層の成膜時に、第1層の定数を特性モニターから得られた定数に変更して目標特性を得るよう再設計して、第3層の修正目標膜厚を求める。この修正目標膜厚を成膜するために、第1の実施の形態による補正法により制御波長を決定する。表1の第15層、第17層も同様に修正目標膜厚を求め、制御波長を決定する。モニター番号1上の成膜結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
Figure 0003754874
【0041】
光学膜厚(588真nd)は、初期目標特性に近づくように表4の値より改善されている。
【0042】
次に、第3の実施の形態を説明する。上記の膜厚制御の誤差は屈折率変動に依存するものであり、表3ないし表5は、1層目の目標屈折率が低く2層目の目標屈折率が高い場合であったが、1層目の目標屈折率を設計修正することで膜厚誤差を小さくすることができることを見出した。
【0043】
すなわち、特定の膜厚制御モニター基板上に成膜される同一材料からなる複数層のうちの、1層目の目標屈折率を以降の層よりも高く設定することにより膜厚制御誤差を小さくできることを見出した。このように1層目の目標屈折率を高くした場合の膜厚制御結果を表6に示し、これに対応する反射特性の変化を図5に示す。
【0044】
【表6】
Figure 0003754874
【0045】
表6から分かるように、1層目の屈折率を以降の層より高く設定することにより、均質であるとして選択した制御波長を用いて所定の反射率の山、または谷で制御しても、表3に比較して膜厚制御の誤差を小さくすることができる。
【0046】
また、特定の膜厚制御モニター基板上に成膜される同一材料からなる複数層のうちの、1層目の屈折率を以降の層よりも高く設定することに加えて、表4で示した膜厚制御の制御波長を補正する方法を用いることにより、膜厚制御誤差をより一層安定して小さくできることを見出した。このような補正による膜厚制御結果を表7に示す。
【0047】
【表7】
Figure 0003754874
【0048】
2層目以降については、表4と同様に特性モニターから得られた定数をもとに、初期目標膜厚を得るため膜厚制御モニターの制御波長を変更する補正を行なった。2層目の膜厚はこの制御波長により反射率の山で制御される。3層目についても同様に変更された制御波長により反射率の谷で制御される。4層目についても同様に変更された制御波長により反射率の山で制御される。得られた膜厚は初期目標膜厚と異なるが、1層目の屈折率が低い層から積層される表4の結果と比較して改善効果は明らかである。
【0049】
さらに、特定の膜厚制御モニター基板上に成膜される同一材料からなる複数層のうちの、1層目の屈折率を以降の層よりも高く設定することに加えて、表5に示したように再設計による修正目標膜厚を得て、これに制御波長の補正に用いても、膜厚制御誤差を安定して小さくできることを見出した。
【0050】
次に実施例を説明する。
【0051】
(実施例1)
表1に示すTiO2 /Al2 3 の17層赤ダイクロ膜(基板BK−7)を成膜した。図1の装置において、標準屈折率を得るための成膜圧力として、TiO2 層は酸素を導入して、1.3×10-2Pa、Al2 3 層は酸素を導入して1.0×10-2Paの圧力に設定した。各層成膜時に用いたモニター番号は表1の通りであり、モニター番号2、3、4については整数膜制御であることから膜厚制御誤差改善のための補正を行なわず、モニター番号1についてのみ補正を行なった。
【0052】
膜厚制御モニター基板上の2層目以降の層について、特性モニターから得られた定数(膜厚モニターにも同じ定数の膜が形成される)を有する前層の上に標準屈折率の膜が形成されるとして、膜厚変化に対して初期目標膜厚に達した時に反射率の極値をとる波長を選択して、修正制御波長とした。2層目の膜厚はこの修正制御波長により反射率の谷で制御を行なった。3層目についても同様の修正制御波長により反射率の山で制御を行なった。4層目についても同様の修正制御波長により反射率の谷で制御を行なった。得られた膜厚の結果は表4に示した通りとなり、初期目標膜厚と異なるが、補正を行なわない表3の結果と比較して効果は明らかであった。
【0053】
この時得られた赤ダイクロ特性(接合タイプ、接合面入射角45度、S成分透過率)を表1の目標特性とともに図6に示す。この図から分かるように、目標特性に比べて補正を用いた特性は波長480nm近傍等のリップルがやや大きくなるものの、半値波長のズレも少なく実用可能であり、上記の補正が極めて有効である。
【0054】
(実施例2)
実施例1と同様にして、赤ダイクロ膜を成膜した。ただし、表1の第3層を成膜時に、第1層の定数を特性モニターから得られた定数に変更して目標特性を得るよう再設計して、第3層の修正目標膜厚を求め、この修正膜厚を得るために上記補正法によりモニター番号1の制御波長を修正した。第15層、第17層も同様に修正目標膜厚を求め、モニター番号1の制御波長を決定した。得られた膜厚の結果は表5に示した通りとなり、光学膜厚(588真nd)は、表4の値より表2の初期目標膜厚に平均して近くなりより改善された。この時得られた赤ダイクロ特性(接合タイプ、接合面入射角45度、S成分透過率)を表1の目標特性とともに図7に示す。この図から分かるように、目標特性に比べて補正を用いた特性はリップルがやや大きくなるものの、半値波長のズレも少なく実用可能であり、上記の補正が極めて有効である。
【0055】
(比較例1)
実施例1と同様にして、表1の赤反射ダイクロ膜を成膜した。ただし、目標特性を得るための初期目標膜厚に対応する設計制御波長を用いて、屈折率変動に伴なう膜厚誤差を考慮することなく成膜した。得られた膜厚の結果は表3に示した通りとなり、光学膜厚(588真nd)は、表2の初期目標膜厚から大きくズレる結果となった。この時得られた赤ダイクロ特性(接合タイプ、接合面入射角45度、S成分透過率)を表1の目標特性とともに図8に示す。この図から、目標特性に比べてリップルが大きく、また半値波長のズレもあり実用不可能であった。
【0056】
(実施例3)
実施例1と同様にして、表1の赤反射ダイクロ膜を成膜した。ただし、モニター番号1の1層目のAl2 3 成膜時の酸素を導入した圧力を0.8×10-2Paに設定し、2層目以降の圧力を標準圧力に戻した。これは、特定の膜厚制御モニター基板上に成膜される同一材料からなる複数層のうちの、1層目の屈折率を以降の層よりも高く設定することにより膜厚制御誤差を小さくするためである。目標特性を得るための初期目標膜厚に対応する設計制御波長を用いて得られた膜厚の結果は表6に示した通りとなり、初期目標膜厚と異なるが、モニター番号1の1層目のAl2 3 の屈折率が低い表3の場合に比較して、平均的に、より初期目標膜厚に近い値を得ることができた。この時得られた赤ダイクロ特性(接合タイプ、接合面入射角45度、S成分透過率)を表1の目標特性とともに図9に示す。この図から、目標特性に比べて、本特性はリップルがやや大きくなるものの、半値波長のズレも少なく実用可能であり、比較例1の図8との比較から、上記の補正による膜厚制御誤差の改善が有効であることが分かる。
【0057】
(実施例4)
実施例3と同様にして、表1の赤反射ダイクロ膜を成膜した。ただし、初期目標膜厚を得るために、屈折率変動に伴なう膜厚誤差を考慮し、実施例1と同様に、膜厚補正を行ない対応する制御波長を変更(修正)して成膜した。得られた膜厚の結果は表7に示す通りとなり膜厚誤差は改善された。この時得られた赤ダイクロ特性(接合タイプ、接合面入射角45度、S成分透過率)を表1の目標特性とともに図10に示す。この図から、膜厚誤差の改善により透過率特性も改善されているのが分かる。
【0058】
(実施例5)
実施例3と同様にして、表1の赤反射ダイクロ膜を成膜した。ただし、実施例2と同様に、表1の第3層を成膜時に、第1層の定数を特性モニターから得られた定数に変更して目標特性を得るよう再設計して、第3層の修正目標膜厚を求め、この修正膜厚を得るために上記補正法によりモニター番号1の制御波長を変更した。第15層、第17層も同様に修正目標膜厚を求め、モニター番号1の制御波長を決定した。この時得られた赤ダイクロ特性(接合タイプ、接合面入射角45度、S成分透過率)を表1の目標特性とともに図11に示す。予測できない屈折率変動による膜厚誤差に対して上記の補正方法を用いることにより、実用可能な特性を得られることを示している。
【0059】
【発明の効果】
本発明は上述のとおり構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0060】
膜厚制御モニターを用いる光学多層膜の膜厚制御において、各膜の成膜中の屈折率等の変動に起因する膜厚制御の誤差を大幅に低減できる。
【0061】
これによって、ダイクロ膜等の高性能な光学多層膜の製造安定化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態による成膜装置を説明する図である。
【図2】モニター基板上の標準均質膜の反射率変化を示す図である。
【図3】モニター基板上の不均質膜の反射率変化を示す図である。
【図4】第1の実施の形態によりモニター基板上の不均質膜の膜厚を補正した時の反射率変化を示す図である。
【図5】第2の実施の形態によるモニター基板上の不均質膜の反射率変化を示す図である。
【図6】実施例1のS偏光透過率特性を示す図である。
【図7】実施例2のS偏光透過率特性を示す図である。
【図8】比較例1のS偏光透過率特性を示す図である。
【図9】実施例3のS偏光透過率特性を示す図である。
【図10】実施例4のS偏光透過率特性を示す図である。
【図11】実施例5のS偏光透過率特性を示す図である。
【符号の説明】
11 蒸発源
12 ドーム
13 特性モニター基板
14 膜厚制御モニター基板
17 制御手段

Claims (5)

  1. 所定の制御波長をもつモニター光を用いて光学多層膜の複数層のそれぞれの膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニターによる膜厚制御工程と、前記複数層のうちの少なくとも1層が特性モニター基板上に積層された状態でその積層膜の反射率もしくは透過率を計測する特性モニターの計測結果に基づいて膜厚誤差を予測し、次層以後の成膜における膜厚制御モニターの前記制御波長を変更する工程を有することを特徴とする成膜方法。
  2. 所定の制御波長をもつモニター光を用いて光学多層膜の複数層のそれぞれの膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニターによる膜厚制御工程と、前記複数層のうちの少なくとも1層が特性モニター基板上に積層された状態でその積層膜の反射率もしくは透過率を計測する特性モニターの計測結果に基づいて、次層以後の成膜における膜厚制御モニターの前記制御波長を変更するとともに、次層またはそれ以後の目標膜厚を設計修正する工程を有することを特徴とする成膜方法。
  3. 膜厚制御モニター基板上の1層目の目標屈折率を設計値より高く設定することを特徴とする請求項1または2記載の成膜方法。
  4. モニター光を用いて光学多層膜の各層の膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニターによる膜厚制御工程を有し、同一材料の複数層のうちの1層目の目標屈折率を設計値より高く設定することを特徴とする成膜方法。
  5. 所定の制御波長のモニター光を用いて光学多層膜の複数層のそれぞれの膜厚を成膜中に膜厚制御モニター基板上で計測する膜厚制御モニター手段と、前記複数層のうちの少なくとも1層が特性モニター基板上に積層された状態でその積層膜の反射率もしくは透過率を計測する特性モニター手段と、該特性モニター手段の出力に基づいて膜厚誤差を予測し、前記膜厚制御モニター手段の前記制御波長を変更する制御手段を有する成膜装置。
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