JP4449293B2 - 成膜装置、及び光学部材の製造方法 - Google Patents
成膜装置、及び光学部材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4449293B2 JP4449293B2 JP2002319149A JP2002319149A JP4449293B2 JP 4449293 B2 JP4449293 B2 JP 4449293B2 JP 2002319149 A JP2002319149 A JP 2002319149A JP 2002319149 A JP2002319149 A JP 2002319149A JP 4449293 B2 JP4449293 B2 JP 4449293B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- layers
- layer
- optical
- thickness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/22—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the process of coating
- C23C14/54—Controlling or regulating the coating process
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/22—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the process of coating
- C23C14/54—Controlling or regulating the coating process
- C23C14/542—Controlling the film thickness or evaporation rate
- C23C14/545—Controlling the film thickness or evaporation rate using measurement on deposited material
- C23C14/547—Controlling the film thickness or evaporation rate using measurement on deposited material using optical methods
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C14/00—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material
- C23C14/06—Coating by vacuum evaporation, by sputtering or by ion implantation of the coating forming material characterised by the coating material
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01B—MEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
- G01B11/00—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
- G01B11/02—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness
- G01B11/06—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material
- G01B11/0616—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating
- G01B11/0625—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating with measurement of absorption or reflection
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01B—MEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
- G01B11/00—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
- G01B11/02—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness
- G01B11/06—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material
- G01B11/0616—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating
- G01B11/0683—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating measurement during deposition or removal of the layer
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B1/00—Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
- G02B1/10—Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
-
- G—PHYSICS
- G02—OPTICS
- G02B—OPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
- G02B5/00—Optical elements other than lenses
- G02B5/20—Filters
- G02B5/28—Interference filters
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基体上に複数層からなる膜を成膜する成膜装置、及び、基体と該基体上に成膜された複数層からなる光学薄膜とを有する光学部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学フィルタやレンズや反射鏡等の光学部材には、波長ごとの透過率や反射率を所定の特性にしたり、波長ごとの位相特性を所定の特性にしたり、反射防止を行ったりするために、その表面に複数層からなる光学薄膜が成膜されることが多い。この膜の層数は数十層に達するものがあり、光学薄膜を構成する各層の厚さを制御することにより、所定の光学特性を得るようになっている。このような光学薄膜やその他の膜の成膜には、スパッタ装置や真空蒸着装置などの成膜装置が用いられている。
【0003】
従来の成膜装置では、成膜された層による可視域内の波長域の分光特性を測定する可視域光学モニタが搭載され、この可視域光学モニタにより測定された分光特性に基づいて、成膜された各層の膜厚を求め、途中の層まで成膜された段階の各層の膜厚をその後に成膜される層の膜厚に反映させることにより、正確に再現された所望の特性を有する膜を得ようとしていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−174226号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の成膜装置では、成膜された層による分光特性を測定する光学モニタとして、可視域光学モニタのみが搭載されていたので、以下に説明する種々の不都合が生じていた。以下の説明では、光学薄膜を成膜する場合を例に挙げて説明するが、光学薄膜以外の膜についても同様である。
【0006】
例えば、光通信用の光学部材などのように赤外域の所定波長域で使用される光学部材においては、使用波長が長くなる関係から光学薄膜を構成する各層の膜厚が厚くなる。このような光学薄膜の各層を順次成膜していき、成膜された総膜厚が厚くなると、可視域での分光特性(例えば、分光透過率特性)は、波長の変化に対して大きくかつ急峻な繰り返し変化が現れたものとなる。この理由は、短波長領域において各層の境界での反射光が重なり合って高次の干渉を起こすためであり、この干渉の結果生じる分光特性は、一般に波長依存性が急峻となるからである。
【0007】
一方、可視域光学モニタの分解能は、主として分光器の分解能で決定され、次のような感度分布を有している。すなわち、ある波長の受光量として検出されるのは、その波長の光のみではなく、その波長を中心とするある帯域の波長の光である。そのため、理想的なδ関数型の波長特性を有する光が受光器に入射した場合でも、観測される分光特性はδ関数型とならず、なまってしまう。
【0008】
したがって、成膜された総膜厚が厚くなると、波長の変化に対して大きくかつ急激な繰り返し変化が現れた可視域の分光特性がそのまま測定されるべきであるのに、可視域光学モニタにて実際に得られる分光特性は、波長変化に対する変化がさほど現れない、なまった特性となってしまう。このように、成膜された総膜厚が厚くなると、可視域光学モニタの測定精度が低下する。このため、前記従来の成膜装置では、成膜された総膜厚が厚くなると、精度良く膜厚を求めることができず、ひいては、正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜を得ることが困難であった。
【0009】
そこで、前記従来の成膜装置では、実際には、作製しようとする光学部材の基体の他に、膜厚測定用のダミーの基体としてのモニタ基板(例えば、ガラス基板)にも、同じように各層を成膜していき、可視域光学モニタでモニタ基板の分光特性を測定し、成膜の途中で、モニタ基板上の層の総膜厚又は層数が所定以上となったときに、モニタ基板を新しいものに交換していた。この場合には、本来の基体上に成膜される光学薄膜の総膜厚及び層数が多くても、各モニタ基板上の層厚及び層数が所定以下に限定されるので、各層の膜厚を精度良く求めることができる。しかしながら、この場合には、モニタ基板の交換に時間を要するため、生産性が低下していた。
【0010】
また、前記従来の成膜装置では、可視域光学モニタのみが搭載されていたので、光通信用の光学部材などのように赤外域の所定波長域で使用される光学部材を製造する場合には、前記所定波長域(当該光学部材の実用波長域)での光学特性を得ることができなかった。このため、前記従来の成膜装置では、現在のバッチの際(現在の基体上への現在の光学薄膜の成膜時)に得られた情報に基づいて、次のバッチの際(次の基体上への次の光学薄膜の成膜時)に用いる各層の膜厚設定値や成膜条件を決めることにより、次のバッチでより精度良く所望の光学特性を持つ光学薄膜を得ようとする場合、前記情報として、現在のバッチの際に得られた各層の膜厚を用いることができるに留まり、当該光学部材の実用波長域での光学特性を用いることができなかった。したがって、前記従来の成膜装置によれば、この点からも、正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜を得ることが困難であった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、前記従来の成膜装置で生じていた前述した種々の不都合のうちの少なくとも1つを解消することができる、成膜装置及び光学部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による成膜装置は、基体上に複数層からなる膜を成膜する成膜装置において、成膜された層による第1の波長域の分光特性を測定する第1の光学モニタと、成膜された層による第2の波長域の分光特性を測定する第2の光学モニタと、を備えたものである。
【0013】
本発明の第2の態様による成膜装置は、前記第1の態様において、前記第1の波長域が可視域内の波長域であり、前記第2の波長域が赤外域内の波長域であるものである。
【0014】
本発明の第3の態様による成膜装置は、前記第1の態様において、前記第1及び第2の波長域が赤外域内の波長域であり、前記第2の波長域は前記第1の波長域内の一部の波長域であるものである。
【0015】
本発明の第4の態様による成膜装置は、前記第2又は第3の態様において、前記膜が赤外域内の所定波長域で使用される光学薄膜であり、前記第2の波長域が前記所定波長域を含むものである。
【0016】
本発明の第5の態様による成膜装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性及び前記第2の光学モニタにより測定された分光特性のうちの少なくとも一方に基づいて、成膜された各層の膜厚を求める手段を、備えたものである。
【0017】
本発明の第6の態様による成膜装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性に基づいて、成膜された各層の膜厚を求める手段と、前記膜を構成する全ての層が成膜された状態で前記第2の光学モニタにより測定された分光特性のうち、少なくとも一部の波長域の分光特性を示すデータを記憶する記憶手段と、を備えたものである。
【0018】
本発明の第7の態様による成膜装置は、前記第6の態様において、前記膜を構成する層のうちの一部の層のみが成膜された状態で前記第2の光学モニタにより測定された分光特性のうち、少なくとも一部の波長域の分光特性を示すデータを記憶する記憶手段を、備えたものである。
【0019】
本発明の第8の態様による成膜装置は、前記第2の態様において、毎層成膜後に、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性及び前記第2の光学モニタにより測定された分光特性のうちのいずれか一方のみに基づいて、最上に成膜された層の膜厚を求める手段を、備え、前記膜厚を求める手段は、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さ以下であるか又は所定層数以下である場合には、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて、前記最上に成膜された層の膜厚を求め、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さより厚いか又は所定層数より多い場合には、前記第2の光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて、前記最上に成膜された層の膜厚を求めるものである。
【0020】
この第8の態様において、成膜された層の全体の厚さ(総膜厚)で場合分けするときには、前記所定厚さを1μm〜10μmの範囲内の所定値(より好ましくは、6μm〜10μmの範囲内の所定値)とすることが好ましい。これは、以下に説明する理由による。
【0021】
毎層成膜後に、可視域内の波長域の分光特性を測定する光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて、最上に成膜された層の膜厚を求めると、総膜厚が約10μmを越えるような場合に、特に膜厚測定精度が悪くなることが見出された。これは、総膜厚が厚くなると、膜厚の測定に使用される分光透過率又は分光反射率の、波長による変化が非常に激しくなり、極僅かの波長の変化に対しても大きく変化するようになるためであると考えられる。一方、一般に使用されている分光器の波長分解能は0.5nm程度であり、膜厚が10μm程度を越える領域で±0.1nm程度の精度で膜厚を測定しようとすると、0.5nm程度の波長分解能の分光器では、測定精度が不十分となるのである。
【0022】
しかし、実際に使用されている光学素子においては、設計値と実際値の差を±0.02%程度にしなければならない場合が多く、かつ、通常得られる分光透過率計又は分光反射率計の波長分解能は0.5nm程度である。このことから考えて、実際上必要とされる厚さ測定精度である±0.1nmを確保するためには、実験によると、可視域内の波長域の分光特性を測定する光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて膜厚測定を行う場合、少なくとも総膜厚を10μm以下に抑える必要がある。
【0023】
一方、可視域内の波長域の分光特性を測定する光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて膜厚測定を行う場合、総膜厚が1μm未満では±0.1nmの測定精度が十分に確保され、総膜厚が1μm以上6μm未満でも測定精度はさほど低下しない。
【0024】
よって、場合の基準とする前記所定厚さを1μm〜10μmの範囲内の所定値とすることが好ましく、6μm〜10μmの範囲内の所定値とすることがより好ましい。
【0025】
本発明の第9の態様による成膜装置は、前記第2の態様において、(a)毎層成膜後に、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性及び前記第2の光学モニタにより測定された分光特性の両方を合わせた全体の分光特性に基づいて、最上に成膜された層の膜厚を求める手段を、備え、(b)前記膜厚を求める手段は、前記全体の分光特性に、前記最上に成膜された層の厚さを種々に仮定して計算された対応する分光特性をフィッティングさせることによって、前記最上に成膜された層の膜厚を求め、(c)前記膜厚を求める手段は、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さ以下であるか又は所定層数以下である場合には、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性を前記第2の光学モニタにより測定された分光特性に比べて重視して前記フィッティングを行い、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さより厚いか又は所定層数より多い場合には、前記第2の光学モニタにより測定された分光特性を前記第1の光学モニタにより測定された分光特性に比べて重視して前記フィッティングを行うものである。
【0026】
この第9の態様において、成膜された層の全体の厚さ(総膜厚)で場合分けするときには、前記所定厚さを1μm〜10μmの範囲内の所定値(より好ましくは、6μm〜10μmの範囲内の所定値)とすることが好ましい。これは、前記第8の態様に関連して説明した理由と同様の理由による。
【0027】
本発明の第10の態様による成膜装置は、前記第8又は第9の態様において、前記膜が赤外域内の所定波長域で使用される光学薄膜であり、前記第2の波長域が前記所定波長域を含むものである。
【0028】
本発明の第11の態様による成膜装置は、前記第5乃至第10のいずれかの態様において、前記膜を構成する層のうちの少なくとも1つの層について、当該層が最上に成膜された状態で、前記膜厚を求める手段により求められた膜厚に基づいて、当該層以降に成膜される層の膜厚設定値を調整する調整手段を、備えたものである。
【0029】
本発明の第12の態様による成膜装置は、前記第1の態様において、前記膜が赤外域内の所定波長域で使用される光学薄膜であり、前記第2の波長域が前記所定波長域を含み、成膜された各層の膜厚を求める手段と、前記膜を構成する層のうちの一部の層のみが成膜された状態で前記第2の光学モニタにより測定された前記所定波長域の分光特性と、前記膜厚を求める手段により求められた前記一部の層の各層の膜厚に基づいて計算された分光特性との、ずれの評価値が、所定の許容範囲内であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記評価値が前記所定の許容範囲内でないと判定された場合に、前記一部の層以降の層の成膜を中止する手段と、を備えたものである。
【0030】
本発明の第13の態様による光学部材の製造方法は、基体と、該基体上に成膜された複数層からなる光学薄膜と、を有する光学部材の製造方法であって、前記光学薄膜を構成する各層の膜厚設定値に基づいて、前記各層を順次成膜する段階と、成膜された層による第1の波長域の分光特性を測定する第1の光学モニタ、及び、成膜された層による第2の波長域の分光特性を測定する第2の光学モニタのうちの、少なくとも一方の光学モニタにより測定された分光特性に基づいて、成膜された各層の膜厚を求める段階を、備えたものである。
【0031】
本発明の第14の態様による光学部材の製造方法は、基体と、該基体上に成膜された複数層からなる光学薄膜と、を有する光学部材の製造方法であって、前記光学薄膜を構成する各層の膜厚設定値に基づいて、前記各層を順次成膜する段階と、成膜された層による第1の波長域の分光特性を測定する第1の光学モニタにより測定された分光特性に基づいて、成膜された各層の膜厚を求める段階と、前記光学薄膜を構成する全ての層が成膜された状態で、成膜された層による前記第1の波長域と異なる第2の波長域の分光特性を測定する第2の光学モニタにより測定された分光特性のうち、少なくとも一部の波長域の分光特性に基づいて、次の基体上に次の光学薄膜を形成するために用いる当該次の光学薄膜を構成する各層の前記膜厚設定値又は成膜条件を求める段階と、を備えたものである。
【0032】
本発明の第15の態様による光学部材の製造方法は、基体と、該基体上に成膜された複数層からなる光学薄膜と、を有する光学部材の製造方法であって、前記光学薄膜を構成する各層の膜厚設定値に基づいて、前記各層を順次成膜する段階と、成膜された層による第1の波長域の分光特性を測定する第1の光学モニタにより測定された分光特性に基づいて、成膜された各層の膜厚を求める段階と、前記光学薄膜を構成する層のうちの一部の層のみが成膜された状態及び前記光学薄膜を構成する全ての層が成膜された状態で、成膜された層による前記第1の波長域と異なる第2の波長域の分光特性を測定する第2の光学モニタにより測定された各分光特性のうち、少なくとも一部の波長域の各分光特性に基づいて、次の基体上に次の光学薄膜を形成するために用いる当該次の光学薄膜を構成する各層の前記膜厚設定値又は成膜条件を求める段階と、を備えたものである。
【0033】
本発明の第16の態様による光学部材の製造方法は、前記第13乃至第15のいずれかの態様において、前記光学薄膜を構成する層のうちの少なくとも1つの層について、当該層が最上に成膜された状態で、前記膜厚を求める段階で求められた膜厚に基づいて、当該層以降に成膜される層の膜厚設定値を調整する段階を、備えたものである。
【0034】
本発明の第17の態様による光学部材の製造方法は、前記第13乃至第16のいずれかの態様において、前記第1の波長域が可視域内の波長域であり、前記第2の波長域が赤外域内の波長域であるものである。
【0035】
本発明の第18の態様による光学部材の製造方法は、前記第13乃至第16のいずれかの態様において、前記第1及び第2の波長域が赤外域内の波長域であり、前記第2の波長域は前記第1の波長域内の一部の波長域であるものである。
【0036】
本発明の第19の態様による光学部材の製造方法は、前記第17又は第18の態様において、前記光学薄膜が赤外域内の所定波長域で使用されるものであり、前記第2の波長域が前記所定波長域を含むものである。
【0037】
本発明の第20の態様による光学部材の製造方法は、基体と、該基体上に成膜された複数層からなる光学薄膜と、を有する光学部材の製造方法であって、前記第1乃至第12のいずれかの態様による成膜装置を用いて、前記基体上に前記光学薄膜を成膜する段階を備えたものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による成膜装置及び光学部材の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0039】
[第1の実施の形態]
【0040】
図1は、本発明の第1の実施の形態による成膜装置の回転テーブルを下から見た状態を模式的に示す図である。図2は、図1中のA−A’線に沿った本実施の形態による成膜装置の要部を模式的に示す概略断面図である。図3は、図1中のB−B’線に沿った本実施の形態による成膜装置の要部を模式的に示す概略断面図である。図4は、本実施の形態による成膜装置を用いて製造される光学部材10の一例を模式的に示す概略断面図である。図5は、本実施の形態による成膜装置の制御系統の要部を示す概略ブロック図である。
【0041】
本実施の形態による成膜装置の説明に先立って、この成膜装置を用いて製造される光学部材10の一例について、説明する。本例では、光学部材10は、光通信用や宇宙用や衛星用の光学部材などのように、赤外域の所定波長域(実用波長域)で使用される光学部材である。光学部材10の実用波長域は、例えば、1520nm〜1570nm(いわゆるCバンド)である。
【0042】
この光学部材10は、例えば干渉フィルタとして構成され、基体としてのガラス等からなる透明の平板である基板11と、基板11上に成膜された複数の層M1〜Mn(nは2以上の整数)からなる光学薄膜12と、から構成されている。もっとも、光学部材10は、干渉フィルタに限定されるものではなく、レンズやプリズムやミラー等でもよく、例えば、レンズの場合には、基体として、基板11の代わりに曲面を有するガラス部材等が用いられる。
【0043】
本例では、層M1〜Mnは、高屈折率物質の層(例えば、Nb2O5)と低屈折率物質(例えば、SiO2)との交互層となっており、光学薄膜12は2種類の物質の交互層で構成されている。もっとも、光学薄膜12は、3種類以上の物質の層で構成してもよい。
【0044】
光学部材10は、各層M1〜Mnの材質、層数n、厚さを適宜定めることにより、所望の光学特性(以下の説明では、分光透過率特性であるものとするが、これに限定されるものではなく、分光反射率特性や位相特性等でもよい。)が得られるようになっている。
【0045】
本実施の形態による成膜装置は、スパッタ装置として構成され、図1乃至図3に示すように、成膜室としての真空チャンバ1と、真空チャンバ1内に設けられた回転テーブル2と、2つのスパッタ源3(図では1つのみを示している。)と、3つの光学モニタ4,5,6と、を備えている。
【0046】
回転テーブル2は、図示しないモータ等のアクチュエータにより、回転軸7の回りに回転し得るようになっている。回転テーブル2の下面には、図示しないホルダを介して、光学部材10を構成すべき基板11、及び、モニタ基板21が、軸7を中心とした同心円上の各位置に、取り付けられるようになっている。図1乃至図3に示す例では、7個の基板11と1個のモニタ基板21が回転テーブル2に取り付けられている。
【0047】
2つのスパッタ源3は、真空チャンバ1の下部において、回転テーブル2の回転に伴って基板11,21と対向し得る2箇所の位置に、それぞれ配置されている。本実施の形態では、2つのスパッタ源3は、そこから層を構成する成分の粒子が飛び出して、基板11及びモニタ基板21の表面に当たって層を形成する。本実施の形態では、2つのスパッタ源3は、互いにターゲットの材質が異なり、前述した高屈折率物質及び低屈折率物質の粒子がそれぞれ飛び出すようになっている。
【0048】
モニタ基板21は、例えば、ガラス基板等の透明な平板からなる。前述したように光学部材10の基体として平板の基板が用いられているので、基板11及びモニタ基板21として、同じ基板が用いられている。モニタ基板21は、膜厚測定用のダミーの基体(すなわち、最終的に、光学部材10とならない基体)であり、その上に成膜された膜の厚さを測定することにより、それと同条件で成膜される基板11上の膜厚を間接的に測定するものである。モニタ基板21は、場合によっては必ずしも用いる必要はない。ただし、光学部材10がレンズである場合のように、その表面が曲面である場合には、その表面上の膜厚を正確に測定することが困難であるため、モニタ基板21を用いることが好ましい。
【0049】
図2及び図3に示すように、真空チャンバ1の上面には3つの窓14b,15b,16bが設けられ、真空チャンバ1の下面には3つの窓14a,15a,16aが設けられている。一対の窓14a,14bは、回転テーブル2の回転に伴って基板11,21が通過する所定の位置を挟むように、配置されている。他の一対の窓15a,15b及び更に他の一対の窓16a,16bも、同様に配置されている。
【0050】
光学モニタ4は、投光器4aと、投光器4aから照射されて窓14a、基板11又はモニタ基板21、及び窓14bを透過した光を分光して受光する受光器4bと、から構成され、基板11又はモニタ基板21上に成膜された膜による分光透過率を測定し得るようになっている。同様に、光学モニタ5は、投光器5aと、投光器5aから照射されて窓15a、基板11又はモニタ基板21、及び窓15bを透過した光を分光して受光する受光器5bと、から構成され、基板11又はモニタ基板21上に成膜された膜による分光透過率を測定し得るようになっている。同様に、光学モニタ6は、投光器6aと、投光器6aから照射されて窓16a、基板11又はモニタ基板21、及び窓16bを透過した光を分光して受光する受光器6bと、から構成され、基板11又はモニタ基板21上に成膜された膜による分光透過率を測定し得るようになっている。
【0051】
光学モニタ4は、可視域内の所定波長域、例えば、400nm〜850nmの分光透過率を測定するように、構成されている。光学モニタ5は、赤外域内の所定波長域、例えば、1000nm〜1700nmの分光透過率を測定するように構成されている。光学モニタ6は、光学部材10の実用波長域、例えば、1520nm〜1570nmの分光透過率を測定するように構成されている。各光学モニタ4〜6は、各測定波長域に特化して構成されている。
【0052】
本実施の形態では、光学モニタ5の測定波長域が、光学モニタ6の測定波長域である光学部材10の実用波長域を含んでいるので、光学モニタ5によって光学部材10の実用波長域を測定することも可能である。したがって、光学モニタ6を設けずに、光学モニタ5に光学モニタ6の機能も兼用させることが可能である。しかしながら、本実施の形態のように光学モニタ5,6を別個に構成すると、光学モニタ5の測定波長域より光学モニタ6の測定波長域の方が狭いので、光学モニタ5の分解能に比べて光学モニタ6の分解能を高めることができる。このため、実用波長域の分光透過率を高い分解能で測定することができ、有利である。各層の膜厚決定のために光学部材10の実用波長域の分光透過率を用いることができる場合には、逆に、光学モニタ5を設けずに、光学モニタ6を膜厚モニタ用としても用いることができる。
【0053】
以下の説明では、便宜上、光学モニタ4を可視域光学モニタ、光学モニタ5を膜厚測定用赤外モニタ、光学モニタ6を実用波長域赤外モニタと呼ぶ。
【0054】
本実施の形態による成膜装置は、図5に示すように、後述する動作を実現するため装置全体を制御するとともに所定の演算等を行う、例えばコンピュータ等で構成される制御・演算処理部17と、使用者が指令やデータ等を制御・演算処理部17に入力するための操作部18と、CRT等の表示部19と、を備えている。制御・演算処理部17は、その内部に、メモリ20を有している。勿論、内部メモリ20に代えて外部メモリを用いてもよい。また、本実施の形態による成膜装置は、周知の成膜装置と同様に、真空チャンバ1内を真空に引くためのポンプや、真空チャンバ1内に所定のガスを供給するガス供給部なども備えているが、その説明は省略する。
【0055】
次に、本実施の形態による成膜装置の動作の一例について、図6を参照して説明する。図6は、本実施の形態による成膜装置の動作の一例を示す概略フローチャートである。
【0056】
回転テーブル2に未成膜の基板11及びモニタ基板21を取り付けた状態で、成膜を開始する。
【0057】
まず、使用者が、操作部18を操作して、初期設定を行う(ステップS1)。この初期設定では、後述するステップS4の膜厚モニタ用光学測定の測定モードを、可視域測定モード(膜厚モニタ用光学測定を可視域光学モニタ4により行うモード)及び赤外域測定モード(膜厚モニタ用光学測定を膜厚測定用赤外モニタ5により行うモード)のいずれにするかの設定情報を入力する。また、この初期設定では、事前の設計等に従って予め求めた、光学部材10の所望の光学特性が得られるような各層M1〜Mnの膜厚設定値、材質、層数n、成膜条件等を、入力する。なお、制御・演算処理部17に光学薄膜12の設計機能を持たせ、使用者が所望の光学特性を入力すると、制御・演算処理部17が、当該設計機能により、各層M1〜Mnの膜厚設定値、材質、層数n、成膜条件等を自動的に求めるようにすることも、可能である。さらに、この初期設定では、いずれの層まで成膜されたときに後述するステップS6の実用波長域の光学測定を行うかの設定情報なども、入力しておく。この層の選択は、例えば、全層M1〜Mnとしてもよいし、最上層Mnのみとしてもよいし、最上層Mnと他の任意の1つ以上の層(例えば、所定数置きの層)としてもよい。いずれの層も選択せずに、いずれの層についてもステップS6の実用波長域の光学測定を行わない設定としてもよいが、最低限、最上層Mnを選択することが好ましい。
【0058】
次に、制御・演算処理部17は、現在の層が基板11側から数えて何番目の層であるかを示すカウント値mを1にセットする(ステップS2)。
【0059】
次いで、制御・演算処理部17の制御下で、m番目の層の成膜を、当該層に対して設定されている膜厚設定値及び成膜条件等に基づいて、例えば時間管理で行う(ステップS3)。1番目の層M1の場合、ステップS1で設定された膜厚設定値に基づいて成膜されるが、2番目以降の層の場合、後述するステップS9で膜厚設定値が調整されていれば最新に調整された膜厚設定値に基づいて、成膜される。成膜中は、回転テーブル2を回転させ、m番目の層の材質に対応するスパッタ源3に対応して設けられたシャッター(図示せず)のみを開き、当該スパッタ源3からの粒子が基板11及びモニタ基板21上に堆積されるようにする。m番目の層の成膜が終了すると、前記シャッターが閉じられる。
【0060】
その後、制御・演算処理部17の制御下において、ステップS1で設定された測定モードで、膜厚モニタ用光学測定が行われる(ステップS4)。
【0061】
ステップS1で可視域測定モードが設定された場合には、ステップS4において、可視域光学モニタ4により、モニタ基板21又は基板11の前述した可視域内の所定波長域の分光透過率が測定され、そのデータが、現在のカウント値mと関連づけてメモリ20に記憶される。可視域光学モニタ4による測定は、回転テーブル2が回転している状態でモニタ基板21又は基板11が投光器4aと受光器4bとの間に位置しているときに、あるいは、モニタ基板21又は基板11が投光器4aと受光器4bとの間に位置した状態で回転テーブル2を停止させて、行われる。
【0062】
一方、ステップS1で赤外域測定モードが設定された場合には、ステップS4において、膜厚測定用赤外モニタ5により、モニタ基板21又は基板11の前述した赤外域内の所定波長域の分光透過率が測定され、そのデータが、現在のカウント値mと関連づけてメモリ20に記憶される。膜厚測定用赤外モニタ5による測定は、回転テーブル2が回転している状態でモニタ基板21又は基板11が投光器5aと受光器5bとの間に位置しているときに、あるいは、モニタ基板21又は基板11が投光器5aと受光器5bとの間に位置した状態で回転テーブル2を停止させて、行われる。
【0063】
ステップS4では、いずれの測定モードであっても、基本的に、モニタ基板21及び基板11のいずれの分光透過率特性を測定してもよい。また、使用者が、各層毎に任意に、モニタ基板21及び基板11うちのいずれの分光透過率特性を測定するかを、予め設定できるようにしてもよい。
【0064】
ステップS4の膜厚モニタ用光学測定が終了すると、制御・演算処理部17は、ステップS1で設定された設定情報に基づいて、現在のm番目の層まで成膜された時に(すなわち、m番目の層が最上に成膜された状態で)、ステップS6の実用波長域の光学測定を行うか否かを判定する(ステップS5)。実用波長域の光学測定を行わないと判定されるとステップS7へ直接移行し、実用波長域の光学測定を行うと判定されると、ステップS6を経た後にステップS7へ移行する。
【0065】
ステップS6では、実用波長域赤外モニタ6により、モニタ基板21又は基板11の前述した実用波長域の分光透過率が測定され、そのデータが、メモリ20に記憶される。実用波長域赤外モニタ6による測定は、回転テーブル2が回転している状態で基板11が投光器6aと受光器6bとの間に位置しているときに、あるいは、基板11が投光器6aと受光器6bとの間に位置した状態で回転テーブル2を停止させて、行われる。
【0066】
ステップS7において、制御・演算処理部17は、ステップS6で測定された分光透過率特性に基づいて、現在のm番目の層の膜厚を決定する。分光透過率特性から膜厚を求める手法自体は、公知の種々の手法や後述する図7中のステップS30,31と同様のフィッティングを採用することができる。
【0067】
次いで、制御・演算処理部17は、m=nであるか、すなわち最終層Mnまで成膜が終了したか否かを判定する(ステップS8)。終了していなければ、m番目までの層の、各層毎のステップS6で求められた各膜厚に基づいて、m+1番目以降の層(未成膜の層)の膜厚設定値を、最終的に得られる光学部材10の光学特性が所望の光学特性となるように、最適化して調整する(ステップS9)。このような最適化は、例えば、公知の種々の手法に従って行うことができる。このステップS9で調整されたm+1番目以降の層の膜厚設定値が、m+1番目以降の層の成膜の際のステップS3において用いられる。ステップS9の調整の後、層数のカウント値mを1だけカウントアップし(ステップS10)、ステップS3へ戻る。
【0068】
一方、ステップS8において最終層Mnまで成膜が終了したと判定されると、メモリ20に記憶されている、各ステップS6で測定された実用波長域の分光透過率特性、及び、各ステップS7で決定された各層の膜厚が、関連づけられているカウント値m(いずれの層が最上に成膜されときのデータかを示す情報)と共に、表示部19に表示され、また、必要に応じて外部のパーソナルコンピュータ等へ出力され(ステップS11)、当該基板11に対する光学薄膜12の成膜を終了する。
【0069】
このようにして光学部材10を製造することができる。
【0070】
そして、使用者は、ステップS11で表示や出力された各層の膜厚及び実用波長域の分光透過率特性に基づいて、それらと当初の各層の膜厚設定値や光学部材10の所望の光学特性との比較などから、次の基板11上に次の光学薄膜12を成膜したときにより所望の光学特性に近い光学特性を得ることができるように、次の基板11上に次の光学薄膜12を成膜する際にステップS1で設定する各層の膜厚設定値及び成膜条件を求める。次の基板11上に次の光学薄膜12を成膜するときには、このようにして求めた各層の膜厚設定値及び成膜条件をステップS1で設定する。
【0071】
このように、本実施の形態では、今回基板11上に光学薄膜12を成膜したときに得た情報を、次の基板上11に光学薄膜12を成膜する際にステップS1で設定する各層の膜厚設定値及び成膜条件へ反映させるフィードバックを、使用者が介在することにより行っている。しかし、このようなフィードバック機能を制御・演算処理部17に持たせておくことによって、その処理の自動化を図ることも可能である。この場合、例えば、今回基板11上に光学薄膜12を成膜したときに得た情報と、次の基板11上に光学薄膜12を成膜するときに初期的に設定すべき各層の膜厚設定値及び成膜条件との、対応関係を示すルックアップテーブル等を予め構築しておき、制御・演算処理部17はこのルックアップテーブル等を参照することにより前述したフィードバックを行うようにすればよい。
【0072】
本実施の形態によれば、以下に説明する種々の利点を得ることができる。
【0073】
第1の利点について説明すると、本実施の形態では、ステップS4の膜厚モニタ用光学測定の測定モードをいずれの測定モードに設定した場合であっても、ステップS6で赤外域内の実用波長域の光学特性を行うタイミングを決める層をステップS1で最上層Mnに設定しておけば、最終的に光学薄膜12が全て成膜された光学部材10の赤外域内の実用波長域の分光透過率特性がステップS6で測定されるので、この情報を次の基板11上の次の光学薄膜12の成膜に反映させるフィードバックを行うことが可能となる。したがって、より正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜12を得ることができる。特に、実用波長域の光学特性を行うタイミングを決める層を最上層Mnのみならず他の1つ以上の層もに設定しておけば、途中の層まで成膜された段階での実用波長域の分光透過率特性も測定され、この情報も次の基板11上の次の光学薄膜12の成膜に反映させるフィードバックを行うことが可能となる。この場合、より一層正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜12を得ることができる。さらに、本実施の形態では、膜厚測定用赤外モニタ5とは別個に、実用波長域赤外モニタ6を設けられているので、実用波長域の特性を非常に高い分解能で測定することができる。したがって、この点からも、より一層正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜12を得る上で、有利である。
【0074】
これに対し、従来の成膜装置では、可視域光学特性のみしか搭載されていなかったので、光学部材10の赤外域内の実用波長域の光学特性を測定することができず、前述したような実用波長域での情報をフィードバックすること全く不可能であった。
【0075】
第2に、本実施の形態では、ステップS4の膜厚モニタ用光学測定の測定モードを赤外域測定モードに設定すると、前述したように、膜厚モニタ用光学測定が膜厚モニタ用赤外モニタ5により行われ、この測定により得られた赤外域の分光特性から各層の膜厚が決定される。赤外域の波長は可視域の波長に比べて長いので、成膜された総膜厚や層数が多くなっても、赤外域では可視域に比べて、波長の変化に対して大きくかつ急激な繰り返し変化が現れ難い。したがって、本実施の形態によれば、赤外域測定モードに設定すると、成膜された総膜厚や層数が多くなっても、従来の層膜装置のように可視域の分光特性から各層の膜厚を求める場合に比べて、より精密に各層の膜厚を求めることができ、ひいては、正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜12を得ることができる。このように、赤外域測定モードに設定した場合、成膜された総膜厚や層数が多くなっても各層の膜厚を精密に測定することができるので、光学薄膜12の総膜厚が厚くても、成膜の途中でモニタ基板21を全く交換する必要がなくなるかあるいはその交換の頻度を低減することができ、ひいては生産性が大幅に向上する。モニタ基板21を全く交換する必要がなくなる場合には、例えば光学部材10を構成する基板11が平板であれば、膜厚モニタ用赤外モニタ5により基体11の分光特性を測定してもよい。この場合、モニタ基板11を用いる必要がないので、より生産性を高めることができる。
【0076】
第3に、本実施の形態では、ステップS4の膜厚モニタ用光学測定の測定モードを可視域測定モードに設定すると、前述したように、膜厚モニタ用光学測定が可視域モニタ4により行われ、この測定により得られた可視域の分光特性から各層の膜厚が決定される。したがって、光学薄膜12の総膜厚や層数が多い場合、各層の膜厚を精度良く得るためには、従来の成膜装置と同様に、モニタ基板21を成膜の途中で交換する必要があり、生産性の点で、従来の成膜装置と同等である。しかし、可視域の波長は赤外域の波長より短いので、成膜された総膜厚や層数が少ない場合には、可視域の分光特性は、赤外域の分光特性に比べて感度良く測定することができる。したがって、可視域測定モードに設定すると、赤外域測定モードに設定した場合に比べて、光学薄膜12の総膜厚や層数が多い場合には生産性は劣るものの、より精密に各層の膜厚を得ることができ、ひいては、より正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜12を得ることができる。勿論、可視域測定モードに設定した場合に得られるこの利点は、前記従来の成膜装置においても得られる利点であるが、本実施の形態での可視域測定モードでは、前述した第1の利点が得られると同時にこの利点が得られる点で、その技術的意義は極めて高い。
【0077】
[第2の実施の形態]
【0078】
図7及び図8は、本発明の第2の実施の形態による成膜装置の動作を示す概略フローチャートである。
【0079】
本実施の形態による成膜装置が前記第1の実施の形態による成膜装置と異なる所は、前記第1の実施の形態では、制御・演算処理部17が前述した図6に示す動作を実現するように構成されているのに対し、本実施の形態では、制御・演算処理部17が図7及び図8に示す動作を実現するように構成されている点のみであり、他の点は前記第1の実施の形態と同一である。したがって、ここでは、図7及び図8に示す動作について説明し、他の説明は重複するので省略する。
【0080】
回転テーブル2に未成膜の基板11及びモニタ基板21を取り付けた状態で、成膜を開始する。
【0081】
まず、使用者が、操作部18を操作して、初期設定を行う(ステップS21)。この初期設定では、膜厚決定モードを、一方波長域使用モード及び両方波長域使用モードのいずれにするかの設定情報を入力する。ここで、膜厚決定モードとは、当該時点で最上に成膜されている層の膜厚を決定する方式をいう。また、一方波長域使用モードとは、測定データとして、可視域光学モニタ4により測定された分光透過率及び膜厚測定用赤外モニタ5により測定された分光透過率のうちのいずれか一方の分光透過率のみを、選択的に用いて、当該層の膜厚を決定する方式をいう。さらに、両方波長域使用モードとは、測定データとして、可視域光学モニタ4により測定された分光透過率及び膜厚測定用赤外モニタ5により測定された分光透過率の両方を用いて、当該層の膜厚を決定する方式をいう。なお、全ての層M1〜Mnについて、同じ膜厚決定モードが適用される。
【0082】
また、ステップS21の初期設定では、両方波長域使用モードにおいて用いられる、層番号mの各々に対応するトレランスTiを設定する。この点については、後に詳述する。
【0083】
さらに、ステップS21の初期設定では、事前の設計等に従って予め求めた、光学部材10の所望の光学特性が得られるような各層M1〜Mnの膜厚設定値、材質、層数n、成膜条件等を、入力する。なお、制御・演算処理部17に光学薄膜12の設計機能を持たせ、使用者が所望の光学特性を入力すると、制御・演算処理部17が、当該設計機能により、各層M1〜Mnの膜厚設定値、材質、層数n、成膜条件等を自動的に求めるようにすることも、可能である。
【0084】
さらにまた、ステップS21の初期設定では、いずれの層まで成膜されたときに後述するステップS27の実用波長域の光学測定を行うかの設定情報なども、入力しておく。この層の選択は、例えば、最上層Mn以外の任意の1つ以上の層(例えば、所定数置きの層)としてもよいし、最上層Mnと他の任意の1つ以上の層としてもよいし、全層M1〜Mnとしてもよい。また、最上層Mnのみとしてもよいし、いずれの層も選択せずに、いずれの層についてもステップS27の実用波長域の光学測定を行わない設定としてもよいが、最低限、最上層Mn以外の1つの層を選択することが好ましい。
【0085】
次に、制御・演算処理部17は、現在の層が基板11側から数えて何番目の層であるか(すなわち、層番号)を示すカウント値mを1にセットする(ステップS22)。
【0086】
次いで、制御・演算処理部17の制御下で、m番目の層の成膜を、当該層に対して設定されている膜厚設定値及び成膜条件等に基づいて、例えば時間管理で行う(ステップS23)。1番目の層M1の場合、ステップS21で設定された膜厚設定値に基づいて成膜されるが、2番目以降の層の場合、後述するステップS39で膜厚設定値が調整されていれば最新に調整された膜厚設定値に基づいて、成膜される。成膜中は、回転テーブル2を回転させ、m番目の層の材質に対応するスパッタ源3に対応して設けられたシャッター(図示せず)のみを開き、当該スパッタ源3からの粒子が基板11及びモニタ基板21上に堆積されるようにする。m番目の層の成膜が終了すると、前記シャッターが閉じられる。
【0087】
その後、制御・演算処理部17の制御下において、可視域光学モニタ4により、モニタ基板21又は基板11の前述した可視域内の所定波長域の分光透過率が測定され、そのデータが、現在のカウント値mと関連づけてメモリ20に記憶される(ステップS24)。可視域光学モニタ4による測定は、回転テーブル2が回転している状態でモニタ基板21又は基板11が投光器4aと受光器4bとの間に位置しているときに、あるいは、モニタ基板21又は基板11が投光器4aと受光器4bとの間に位置した状態で回転テーブル2を停止させて、行われる。
【0088】
次に、制御・演算処理部17の制御下において、膜厚測定用赤外モニタ5により、モニタ基板21又は基板11の前述した赤外域内の所定波長域の分光透過率が測定され、そのデータが、現在のカウント値mと関連づけてメモリ20に記憶される(ステップS25)。膜厚測定用赤外モニタ5による測定は、回転テーブル2が回転している状態でモニタ基板21又は基板11が投光器5aと受光器5bとの間に位置しているときに、あるいは、モニタ基板21又は基板11が投光器5aと受光器5bとの間に位置した状態で回転テーブル2を停止させて、行われる。
【0089】
次いで、制御・演算処理部17は、ステップS21で設定された設定情報に基づいて、現在のm番目の層まで成膜された時に(すなわち、m番目の層が最上に成膜された状態で)、ステップS27の実用波長域の光学測定を行うか否かを判定する(ステップS26)。実用波長域の光学測定を行わないと判定されるとステップS28へ直接移行し、実用波長域の光学測定を行うと判定されると、ステップS27を経た後にステップS28へ移行する。
【0090】
ステップS27では、実用波長域赤外モニタ6により、モニタ基板21又は基板11の前述した実用波長域の分光透過率が測定され、そのデータが、メモリ20に記憶される。実用波長域赤外モニタ6による測定は、回転テーブル2が回転している状態で基板11が投光器6aと受光器6bとの間に位置しているときに、あるいは、基板11が投光器6aと受光器6bとの間に位置した状態で回転テーブル2を停止させて、行われる。
【0091】
ステップS28において、制御・演算処理部17は、ステップS21で設定された膜厚決定モードが一方波長域使用モードであるか両方波長域使用モードであるかを判定する。一方波長域使用モードであればステップS29へ移行し、両方波長域使用モードであればステップS32へ移行する。
【0092】
ステップS29において、制御・演算処理部17は、1番目からm番目までの層の総膜厚が10μm未満であるか否かを判定する。ただし、この時点では、m番目の層の膜厚は未だ決定されていないので、既にステップS30又はステップS31により決定された1番目からm−1番目までの層の各膜厚と、m番目の層の膜厚設定値の総和を、1番目からm番目までの層の総膜厚として、ステップS29の判定を行う。ステップS29の判定基準値は、10μmに限らず、1μm〜10μmの範囲内の所定値とすれば好ましく、特に、6μm〜10μmの範囲内の所定値とすればより好ましい。これらの値の根拠は、既に説明した通りである。ステップS29で総膜厚を判定する代わりに、現在までに成膜された層数(すなわち、カウント値)を判定してもよい。層数で判定する際は、一層当たりの膜厚はあまり大きなばらつきを有していないので、層数からおおよその総膜厚は割り出せる。したがって、所定数の総膜厚となるような層数を割り出して層数を基にステップS29の判定基準値を設定しても本願の発明の範囲である。総膜厚が10μm未満であればステップS30へ移行し、総膜厚が10μm以上であればステップS31へ移行する。
【0093】
ステップS30において、制御・演算処理部17は、ステップS25で測定された赤外域の分光透過率を用いることなく、ステップS24で測定された可視域の分光透過率のみを使用し、この測定された可視域の分光透過率に、m番目の層の厚さを種々に仮定して計算された対応する分光透過率をフィッティングさせることによって、m番目の層の膜厚を決定する。ここで、対応する分光透過率は、1番目からm番目までの層からなる多層膜モデル(薄膜モデル)の分光透過率である。この多層膜モデルの分光透過率の計算に際しては、1番目からm−1番目までの層の各膜厚は、既にステップS30又はステップS31により決定された膜厚を用いる。ステップS30が終了すると、ステップS34へ移行する。
【0094】
ここで、ステップS25で測定された赤外域の分光透過率の一例を、図9中に測定透過率として示す。また、この測定透過率に対応して、最上層の膜厚をある厚さに仮定して計算した分光透過率を、図9中に計算透過率として示す。図9に示す例では、仮定した膜厚が実際の膜厚からかなりずれているため、測定された分光透過率と計算された分光透過率とがかなりずれている。
【0095】
測定された分光透過率に対する計算された分光透過率のフィッティングに際しては、両者のずれ(逆に言えば、フィッティングの度合い)を評価する評価値が算出される。この評価値は、m番目の層の膜厚を種々に仮定して各膜厚毎に算出される。そして、この評価値のうち最もずれが少ないことを示す評価値(後述するメリット値MFの場合には最小値)を算出したときに仮定した膜厚を、m番目の層の膜厚であると決定する。これが、フィッティング処理の具体的な内容である。
【0096】
本実施の形態では、ステップS30のフィッティングで用いる評価値として、メリット関数によるメリット値MFが用いられている。もっとも、使用し得る評価値はメリット値MFに限定されるものではないことは、言うまでもない。下記の数1にメリット値MFの定義を示す。
【0097】
【数1】
【0098】
数1において、Nは、ターゲットの総数(測定透過率特性中における各波長の透過率値の総数)である。iは、波長と1対1に対応する番号で、ある波長に関する量につける番号であり、1からNまでのうちのいずれかの値となり得る。Qtargetは、測定透過率特性中の透過率値である。Qcalcは、計算透過率特性中の透過率値である。Tはトレランス(この逆数を、一般に重みファクターと呼ぶ。)である。
【0099】
ステップ30で数1を適用するとき、数1中のQtarget 1〜Qtarget Nは、ステップS24で測定された可視域の分光透過率中の透過率値となる。また、本実施の形態では、ステップS30でメリット値MFを用いる場合、トレランスTi(iは1〜N)は全て1とされ、各透過率値のデータはいずれも重みづけされておらず、これらのデータは平等に取り扱われる。
【0100】
再び図7を参照すると、ステップS31において、制御・演算処理部17は、ステップS24で測定された可視域の分光透過率を用いることなく、ステップS25で測定された赤外域の分光透過率のみを使用し、この測定された赤外域の分光透過率に、m番目の層の厚さを種々に仮定して計算された対応する分光透過率をフィッティングさせることによって、m番目の層の膜厚を決定する。本実施の形態では、ステップS31の処理は、ステップS24で測定された可視域の分光透過率の代わりに、ステップS25で測定された赤外域の分光透過率を用いる点を除き、ステップS30の処理と同じ処理である。ステップ31で数1を適用するとき、数1中のQtarget 1〜Qtarget Nは、ステップS25で測定された赤外域の分光透過率中の透過率値となる。ステップS31が終了すると、ステップS34へ移行する。
【0101】
ステップS21で設定された膜厚決定モードが両方波長域使用モードの場合には、ステップS32において、制御・演算処理部17は、ステップS21で設定されたトレランスのうちから、現在の層番号m(この層番号mは、現在成膜されている層数を示すことになる。)に応じたトレランスTiを決定する。
【0102】
その後、ステップS33において、制御・演算処理部17は、ステップS24で測定された可視域の分光透過率及びステップS25で測定された赤外域の分光透過率の両方を合わせた全体の分光透過率を使用し、この測定された全体の分光透過率に、m番目の層の厚さを種々に仮定して計算された対応する分光透過率をフィッティングさせることによって、m番目の層の膜厚を決定する。ステップS33が終了すると、ステップS34へ移行する。本実施の形態では、ステップS33のフィッティングにおいても評価値としてメリット値MFが用いられる。ステップ33で数1を適用するとき、数1中のQtarget 1〜Qtarget Nは、ステップS24で測定された可視域の分光透過率中の透過率値及びステップS25で測定された赤外域の分光透過率中の透過率値となる。
【0103】
ステップS30,S31では、トレランスTi(iは1〜N)は全て1とされ、各透過率値のデータはいずれも重みづけされていなかった。これに対し、ステップS33では、ステップS32で決定されたトレランスTiが用いられ、ステップS21で層番号mの各々に対するトレランスTiを適宜設定しておくことによって、各透過率値のデータに重みづけがなされている。本実施の形態では、現在成膜されている層数mが所定層数以下である場合には、ステップS24で測定された可視域の分光透過率をステップS25で測定された赤外域の分光透過率に比べて重視してフィッティングがステップS33で行われるように、かつ、現在成膜されている層数mが所定層数より多い場合には、ステップS25で測定された赤外域の分光透過率をステップS24で測定された可視域の分光透過率に比べて重視してフィッティングがステップS33で行われるように、ステップS21で層数mの各々に対するトレランスTiが設定されている。ここで、重視するとは、前記評価値に対する当該データの重みを重くすることであり、評価値がメリット値MFである場合には、トレランスを相対的に小さくすることである。
【0104】
ここで、ステップS21での層数mの各々に対するトレランスTiの設定の具体例について、トレランス設定の意義についての説明を交えながら、説明する。
【0105】
以下に説明する具体例では、可視域光学モニタ4と膜厚測定用赤外モニタ5で得る全体の透過率特性の波長範囲は、400nmから1750nmである。得られた透過率特性にフィッティングして膜厚を決定するときに使用するメリット関数(数1)中のトレランスを、積極的に制御する。トレランスは各波長ごとの透過率特性値に対して設定することができるので、トレランスを相対的に小さくすることは、その波長での透過率測定値へのフィッティングの度合いを高めたいということを意味する。その逆に、トレランスを相対的に大きくすることは、その波長での透過率測定値へのフィッティングの度合いが多少悪くてもよいということを意味する。
【0106】
例えば、モニタ基板21又は基板14上の多層膜の総膜厚がさほど厚くないときは、可視域光学モニタ4で得た可視域透過率特性を重視するので、可視域のトレランスを赤外域のトレランスよりも小さくする。モニタ基板21又は基板14上の多層膜の総膜厚が厚くなるにつれて、可視域のトレランスを大きくしていき、赤外域のトレランスを小さくしていく。このようにしていくことで、主に光学モニタの分解能に起因する誤差を抑えることができ、膜厚決定精度を落とさずに成膜を続けることができる。
【0107】
実際にモニタ基板21上に各層の厚さが全てほぼ同じくらいの41層膜(層膜厚は約15ミクロン)を成膜する場合のトレランス設定値は、波長に対してリニアに変化するものを用いた。1層目、15層目、40層目のトレランス設定をそれぞれ図10、図11及び図12に示す。また、波長550nmでの層番号に対するトレランス設定を図13に示し、波長1600nmでの層番号に対するトレランス設定を図14に示す。図15は、これらのトレランス設定を総合的に3次元表記した図である。層が進むにつれてトレランス対波長の一次式の傾きを変えることにより、モニタ基板21上の多層膜の総膜厚が厚くなるにつれて、膜厚決定において可視域透過率特性重視から赤外域透過率特性重視へ変化させることができる。ここで示したトレランスをリニアに変化させるのは一つの例に過ぎず、変化のさせ方は、多層膜の膜構成や光学モニタの都合などにより、最も適した形に変化させることは言うまでもない。
【0108】
再びフローチャートの説明に戻ると、ステップS34において、制御・演算処理部17は、現在のm番目の層まで成膜された時に(すなわち、m番目の層が最上に成膜された状態で)、既にステップS27の実用波長域の光学測定を行ったか否かを判定する。実用波長域の光学測定を行った場合はステップS35へ移行し、実用波長域の光学測定を行っていない場合はステップS38へ移行する。
【0109】
ステップS35において、制御・演算処理部17は、ステップS27で測定された実用波長域の分光透過率と計算された対応する分光透過率との、ずれの評価値を算出する。ここで、対応する分光透過率は、1番目からm番目までの層からなる多層膜モデル(薄膜モデル)の分光透過率である。この多層膜モデルの分光透過率の計算に際しては、1番目からm番目までの層の各膜厚として、既にステップS30,S31又はS33により決定された膜厚を用いる。ステップS35において算出する評価値としては、例えば、メリット値MFとすることができる。評価値をメリット値MFとする場合、重みをつける意義は特にはないので、トレランスTi(iは1〜N)は全て1とすればよい。ステップ34で数1を適用するとき、数1中のQtarget 1〜Qtarget Nは、ステップS27で測定された実用波長域の分光透過率中の透過率値となる。
【0110】
その後、制御・演算処理部17は、ステップS35で算出された評価値が許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS36)。許容範囲内であれば、ステップS38へ移行する。一方、許容範囲内でなければ、メモリ20に記憶されている、各ステップS27で測定された実用波長域の分光透過率特性、及び、各ステップS30,S31,S33で決定された各層の膜厚が、関連づけられているカウント値m(いずれの層が最上に成膜されときのデータかを示す情報)と共に、表示部19に表示され、また、必要に応じて外部のパーソナルコンピュータ等へ出力され(ステップS37)、成膜が中止される。したがって、m番目の層が途中の層であっても、m+1番目以降の成膜は行われない。
【0111】
このように成膜が途中で中止された場合、使用者は、例えば、ステップS30,S31,S33で計算する多層膜モデルの条件の1つである屈折率分散データを適宜調整し、次の基板11上に次の光学薄膜12を成膜する。
【0112】
ステップS38において、制御・演算処理部17は、m=nであるか、すなわち最終層Mnまで成膜が終了したか否かを判定する。終了していなければ、終了していなければ、m番目までの層の、各層毎のステップS30,S31又はS33で求められた各膜厚に基づいて、m+1番目以降の層(未成膜の層)の膜厚設定値を、最終的に得られる光学部材10の光学特性が所望の光学特性となるように、最適化して調整する(ステップS39)。このような最適化は、例えば、公知の種々の手法に従って行うことができる。このステップS39で調整されたm+1番目以降の層の膜厚設定値が、m+1番目以降の層の成膜の際のステップS23において用いられる。ステップS39の調整の後、層数のカウント値mを1だけカウントアップし(ステップS40)、ステップS23へ戻る。
【0113】
一方、ステップS38において最終層Mnまで成膜が終了したと判定されると、ステップS41においてステップS37と同様の処理が行われた後、当該基板11に対する光学薄膜12の成膜を終了する。
【0114】
このようにして光学部材10を製造することができる。
【0115】
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、次の利点も得ることができる。
【0116】
本実施の形態によれば、一方波長域使用モードの場合、総膜厚が10μm未満のときには、可視域光学モニタ4で測定された可視域の分光透過率に基づいて各層の膜厚が決定される一方、総膜厚が10μm以上のときには、膜厚測定用赤外モニタ5で測定された赤外域の分光透過率に基づいて各層の膜厚が決定される。赤外域の波長は可視域の波長に比べて長いので、成膜された総膜厚や層数が多くなっても、赤外域では可視域に比べて、波長の変化に対して大きくかつ急激な繰り返し変化が現れ難い。したがって、本実施の形態によれば、赤外域測定モードに設定すると、成膜された総膜厚や層数が多くなっても、従来の層膜装置のように可視域の分光特性から各層の膜厚を求める場合に比べて、より精密に各層の膜厚を求めることができ、ひいては、正確に再現された所望の光学特性を持つ光学薄膜12を得ることができる。このように、成膜された総膜厚や層数が多くなっても各層の膜厚を精密に測定することができるので、光学薄膜12の総膜厚が厚くても、成膜の途中でモニタ基板21を全く交換する必要がなくなるかあるいはその交換の頻度を低減することができ、ひいては生産性が大幅に向上する。モニタ基板21を全く交換する必要がなくなる場合には、例えば光学部材10を構成する基板11が平板であれば、膜厚モニタ用赤外モニタ5により基体11の分光特性を測定してもよい。この場合、モニタ基板11を用いる必要がないので、より生産性を高めることができる。
【0117】
また、本実施の形態では、両方波長域使用モードの場合、成膜された層数が所定層数以下である場合には、可視域光学モニタ4で測定された可視域の分光透過率を膜厚測定用赤外モニタ5により測定された分光透過率に比べて重視してフィッティングを行い、成膜された層数が所定層数より多い場合には、膜厚測定用赤外モニタ5により測定された分光透過率を可視域光学モニタ4により測定された分光透過率比べて重視してフィッティングを行う。このため、両方波長域使用モードの場合にも、一方波長域使用モードの場合と基本的に同様の利点が得られる。両方波長域使用モードの場合には、一方波長域使用モードの場合と異なり、可視域の分光透過率の使用と赤外域の分光透過率の使用とを完全に切り替えるのではなく、両者の寄与の度合いをトレランスを適宜設定することで自在に変えることができる。したがって、両方波長域使用モードの場合の方が一方波長域使用モードの場合に比べて、より高い精度で膜厚を決定することができる。
【0118】
さらに、本実施の形態では、ステップS35,S36の処理を行い、実用波長域の分光透過率と計算された対応する分光透過率とのずれの評価値が許容範囲を越えている場合には、途中の層まで成膜しただけで残りの層の成膜が中止される。したがって、本実施の形態によれば、多層膜を成膜していく途中の段階で、最終的に得られる光学多層膜の性能が要求を満たす見込みのないものであるかをチェックすることができ、見込みがない場合に、無駄に残りの層を最後まで成膜してしまうという事態を回避することができる。このため、本発明によれば、生産効率が大幅に向上する。
【0119】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0120】
例えば、前記赤外域測定モードのみを常に行うように、前記第1の実施の形態を変形してもよい。この場合、可視域光学モニタ4を除去することができる。
【0121】
また、前記可視域測定モードのみを常に行うように、前記第1の実施の形態を変形してもよい。この場合、膜厚モニタ用赤外モニタ5を除去することができる。
【0122】
さらに、一方波長域使用モード及び両方波長域使用モードのいずれか一方のみを常に行うように、前記第2の実施の形態を変形してもよい。
【0123】
また、前記第2の実施の形態において、図7中のステップS21においてトレランスTiを各総膜厚に対して設定しておき、ステップS32において総膜厚に応じたトレランスTiを決定するようにしてもよい。
【0124】
さらに、前記第1及び第2の実施の形態では、光学モニタ4〜6は全て分光透過率を測定するものであったが、光学モニタ4〜6のうちの少なくとも1つは分光反射率を測定するものであってもよい。
【0125】
さらにまた、前記第1及び第2の実施の形態はスパッタ装置の例であったが、本発明は真空蒸着装置などの他の成膜装置にも適用することができる。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学モニタとして可視域光学モニタのみを有する従来の成膜装置で生じていた種々の不都合のうちの少なくとも1つを解消することができる、成膜装置及び光学部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施の形態による成膜装置の回転テーブルを下から見た状態を模式的に示す図である。
【図2】図1中のA−A’線に沿った本発明の各実施の形態による成膜装置の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図3】図1中のB−B’線に沿った本発明の各実施の形態による成膜装置の要部を模式的に示す概略断面図である。
【図4】本発明の各実施の形態による成膜装置を用いて製造される光学部材の一例を模式的に示す概略断面図である。
【図5】本発明の各実施の形態による成膜装置の制御系統の要部を示す概略ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による成膜装置の動作の一例を示す概略フローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態による成膜装置の動作を示す概略フローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態による成膜装置の動作を示す他の概略フローチャートである。
【図9】測定分光透過率と計算分光透過率の例を示す図である。
【図10】1層目のトレランス設定の例を示す図である。
【図11】15層目のトレランス設定の例を示す図である。
【図12】40層目のトレランス設定の例を示す図である。
【図13】波長550nmのトレランス設定の例を示す図である。
【図14】波長1600nmのトレランス設定の例を示す図である。
【図15】トレランス設定の例を3次元表記した図である。
【符号の説明】
1 真空チャンバ
2 回転テーブル
3 スパッタ源
4 可視域光学モニタ
5 膜厚モニタ用赤外モニタ
6 実用波長域赤外モニタ
10 光学部材
11 基板
12 光学薄膜
17 制御・演算処理部
18 操作部
19 表示部
20 メモリ
21 モニタ基板
Claims (8)
- 基体上に複数層からなる膜を成膜する成膜装置において、
成膜された層による第1の波長域の分光特性を測定する第1の光学モニタと、
成膜された層による第2の波長域の分光特性を測定する第2の光学モニタと、
毎層成膜後に、最上に成膜された層の膜厚を求める手段と、
を備え、
前記第1の波長域が可視域内の波長域であり、前記第2の波長域が赤外域内の波長域であり、
前記膜厚を求める手段は、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さ以下であるか又は所定層数以下である場合には、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて、前記最上に成膜された層の膜厚を求め、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さより厚いか又は所定層数より多い場合には、前記第2の光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて、前記最上に成膜された層の膜厚を求め、
前記所定厚さは1μm〜10μmの範囲内の所定値であり、前記所定層数は前記成膜された層の全体の厚さが1μm〜10μmの範囲内の所定値となる層数であることを特徴とする成膜装置。 - 基体上に複数層からなる膜を成膜する成膜装置において、
成膜された層による第1の波長域の分光特性を測定する第1の光学モニタと、
成膜された層による第2の波長域の分光特性を測定する第2の光学モニタと、
毎層成膜後に、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性及び前記第2の光学モニタにより測定された分光特性の両方を合わせた全体の分光特性に基づいて、最上に成膜された層の膜厚を求める手段と、
を備え、
前記第1の波長域が可視域内の波長域であり、前記第2の波長域が赤外域内の波長域であり、
前記膜厚を求める手段は、前記全体の分光特性に、前記最上に成膜された層の厚さを種々に仮定して計算された対応する分光特性をフィッティングさせることによって、前記最上に成膜された層の膜厚を求め、
前記膜厚を求める手段は、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さ以下であるか又は所定層数以下である場合には、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性を前記第2の光学モニタにより測定された分光特性に比べて重視して前記フィッティングを行い、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さより厚いか又は所定層数より多い場合には、前記第2の光学モニタにより測定された分光特性を前記第1の光学モニタにより測定された分光特性に比べて重視して前記フィッティングを行い、
前記所定厚さは1μm〜10μmの範囲内の所定値であり、前記所定層数は前記成膜された層の全体の厚さが1μm〜10μmの範囲内の所定値となる層数であることを特徴とする成膜装置。 - 前記膜が赤外域内の所定波長域で使用される光学薄膜であり、前記第2の波長域が前記所定波長域を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の成膜装置。
- 前記膜を構成する層のうちの少なくとも1つの層について、当該層が最上に成膜された状態で、前記膜厚を求める手段により求められた膜厚に基づいて、当該層以降に成膜される層の膜厚設定値を調整する調整手段を、備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成膜装置。
- 基体と、該基体上に成膜された複数層からなる光学薄膜と、を有する光学部材の製造方法であって、
前記光学薄膜を構成する各層の膜厚設定値に基づいて、前記各層を順次成膜する段階と、
成膜された各層の膜厚を求める段階とを、
備え、
前記膜厚を求める段階では、成膜された層による第1の波長域の分光特性を測定する第1の光学モニタ及び成膜された層による第2の波長域の分光特性を測定する第2の光学モニタを用い、毎層成膜後に、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さ以下であるか又は所定層数以下である場合には、前記第1の光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて、最上に成膜された層の膜厚を求め、成膜された層の全体の厚さ又は層数が所定厚さより厚いか又は所定層数より多い場合には、前記第2の光学モニタにより測定された分光特性のみに基づいて、最上に成膜された層の膜厚を求め、
前記第1の波長域が可視域内の波長域であり、前記第2の波長域が赤外域内の波長域であり、
前記所定厚さは1μm〜10μmの範囲内の所定値であり、前記所定層数は前記成膜された層の全体の厚さが1μm〜10μmの範囲内の所定値となる層数であることを特徴とする光学部材の製造方法。 - 前記光学薄膜を構成する層のうちの少なくとも1つの層について、当該層が最上に成膜された状態で、前記膜厚を求める段階で求められた膜厚に基づいて、当該層以降に成膜される層の膜厚設定値を調整する段階を、備えたことを特徴とする請求項5記載の光学部材の製造方法。
- 前記光学薄膜が赤外域内の所定波長域で使用されるものであり、前記第2の波長域が前記所定波長域を含むことを特徴とする請求項5又は6記載の光学部材の製造方法。
- 基体と、該基体上に成膜された複数層からなる光学薄膜と、を有する光学部材の製造方法であって、
請求項1乃至4のいずれかに記載の成膜装置を用いて、前記基体上に前記光学薄膜を成膜する段階を備えたことを特徴とする光学部材の製造方法。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319149A JP4449293B2 (ja) | 2001-12-19 | 2002-10-31 | 成膜装置、及び光学部材の製造方法 |
GB0412890A GB2402741B (en) | 2001-12-19 | 2002-12-17 | Film forming device and production method for optical member |
PCT/JP2002/013168 WO2003052468A1 (fr) | 2001-12-19 | 2002-12-17 | Dispositif de formation de film et procede de production d'un element optique |
AU2002354177A AU2002354177A1 (en) | 2001-12-19 | 2002-12-17 | Film forming device, and production method for optical member |
DE10297560T DE10297560B4 (de) | 2001-12-19 | 2002-12-17 | Vorrichtung zur Ausbildung eines Films und Verfahren zum Herstellen eines optischen Elements |
CA002470959A CA2470959A1 (en) | 2001-12-19 | 2002-12-17 | Film forming device, and production method for optical member |
KR10-2004-7009502A KR20040074093A (ko) | 2001-12-19 | 2002-12-17 | 성막 장치 및 광학 부재의 제조 방법 |
CNB028255437A CN1268945C (zh) | 2001-12-19 | 2002-12-17 | 薄膜形成装置及光学元件的制造方法 |
US10/867,631 US20040227085A1 (en) | 2001-12-19 | 2004-06-14 | Film forming device, and production method for optical member |
US11/627,268 US20070115486A1 (en) | 2001-12-19 | 2007-01-25 | Film forming device, and production method for optical member |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001-385613 | 2001-12-19 | ||
JP2001385613 | 2001-12-19 | ||
JP2002319149A JP4449293B2 (ja) | 2001-12-19 | 2002-10-31 | 成膜装置、及び光学部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003247068A JP2003247068A (ja) | 2003-09-05 |
JP4449293B2 true JP4449293B2 (ja) | 2010-04-14 |
Family
ID=26625132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002319149A Expired - Lifetime JP4449293B2 (ja) | 2001-12-19 | 2002-10-31 | 成膜装置、及び光学部材の製造方法 |
Country Status (9)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US20040227085A1 (ja) |
JP (1) | JP4449293B2 (ja) |
KR (1) | KR20040074093A (ja) |
CN (1) | CN1268945C (ja) |
AU (1) | AU2002354177A1 (ja) |
CA (1) | CA2470959A1 (ja) |
DE (1) | DE10297560B4 (ja) |
GB (1) | GB2402741B (ja) |
WO (1) | WO2003052468A1 (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4476073B2 (ja) * | 2004-04-08 | 2010-06-09 | 東北パイオニア株式会社 | 有機el素子の製造方法及び製造装置 |
JP4757456B2 (ja) * | 2004-07-01 | 2011-08-24 | 芝浦メカトロニクス株式会社 | 真空処理装置 |
JP4862295B2 (ja) * | 2005-06-27 | 2012-01-25 | パナソニック電工株式会社 | 有機el素子の製造方法及び製造装置 |
JP4831818B2 (ja) * | 2006-04-14 | 2011-12-07 | 三菱重工業株式会社 | 光電変換層評価装置及び光電変換層の評価方法 |
CN102401633B (zh) * | 2010-09-10 | 2014-04-16 | 国家纳米科学中心 | 多孔氧化铝薄膜的阻挡层厚度的检测方法 |
KR20160102274A (ko) * | 2014-02-14 | 2016-08-29 | 애플 인크. | 디스플레이용 반사방지 코팅을 형성하는 방법 |
JP6634275B2 (ja) * | 2015-12-04 | 2020-01-22 | 東京エレクトロン株式会社 | 成膜システム |
JP6964435B2 (ja) * | 2016-06-07 | 2021-11-10 | 日東電工株式会社 | 光学フィルムの製造方法 |
WO2018011151A1 (en) * | 2016-07-13 | 2018-01-18 | Evatec Ag | Broadband optical monitoring |
TWI596658B (zh) * | 2016-09-13 | 2017-08-21 | 漢民科技股份有限公司 | 防護裝置及半導體製程機台 |
CN108050947A (zh) * | 2018-01-02 | 2018-05-18 | 京东方科技集团股份有限公司 | 一种膜层厚度的检测方法 |
JP7303701B2 (ja) * | 2019-08-19 | 2023-07-05 | 株式会社オプトラン | 光学膜厚制御装置、薄膜形成装置、光学膜厚制御方法および薄膜形成方法 |
CN112176309B (zh) * | 2020-11-27 | 2021-04-09 | 江苏永鼎光电子技术有限公司 | 用于镀膜机的激光直接光控装置 |
CN114836727B (zh) * | 2022-04-20 | 2024-04-09 | 广东振华科技股份有限公司 | 一种多层膜系的各层膜厚检测系统及其检测方法 |
Family Cites Families (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS55500588A (ja) * | 1978-08-18 | 1980-09-04 | ||
US4332833A (en) * | 1980-02-29 | 1982-06-01 | Bell Telephone Laboratories, Incorporated | Method for optical monitoring in materials fabrication |
US5122431A (en) * | 1988-09-14 | 1992-06-16 | Fujitsu Limited | Thin film formation apparatus |
US5154810A (en) * | 1991-01-29 | 1992-10-13 | Optical Coating Laboratory, Inc. | Thin film coating and method |
JPH05209263A (ja) * | 1992-01-13 | 1993-08-20 | Nec Corp | スパッタ合金膜の製造方法及びその装置 |
US5308461A (en) * | 1992-01-14 | 1994-05-03 | Honeywell Inc. | Method to deposit multilayer films |
DE69309505T2 (de) * | 1992-01-17 | 1997-07-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Verfahren und Gerät zur Herstellung mehrschichtiger Filme |
JPH05302816A (ja) * | 1992-04-28 | 1993-11-16 | Jasco Corp | 半導体膜厚測定装置 |
US5412469A (en) * | 1992-11-16 | 1995-05-02 | Simmonds Precision Products, Inc. | Optical spectrum analyzer and encoder using a modulated phase grating wherein said grating diffracts the wavelength as a function of the magnetic field |
JPH074922A (ja) * | 1993-06-21 | 1995-01-10 | Jasco Corp | 半導体多層薄膜膜厚測定装置およびその測定方法 |
US5665214A (en) * | 1995-05-03 | 1997-09-09 | Sony Corporation | Automatic film deposition control method and system |
JPH09138117A (ja) * | 1995-11-14 | 1997-05-27 | Dainippon Screen Mfg Co Ltd | 光学測定装置 |
US5795448A (en) * | 1995-12-08 | 1998-08-18 | Sony Corporation | Magnetic device for rotating a substrate |
GB9616853D0 (en) * | 1996-08-10 | 1996-09-25 | Vorgem Limited | An improved thickness monitor |
KR100227788B1 (ko) * | 1996-12-21 | 1999-11-01 | 정선종 | 브래그 반사막 제작 방법 |
US6217720B1 (en) * | 1997-06-03 | 2001-04-17 | National Research Council Of Canada | Multi-layer reactive sputtering method with reduced stabilization time |
US6425989B1 (en) * | 1999-12-16 | 2002-07-30 | International Business Machines Corporation | Method of sputtering high moment iron nitride based magnetic head layers |
JP3520910B2 (ja) * | 1999-12-20 | 2004-04-19 | 株式会社ニコン | 光学素子の膜厚測定方法及び光学素子の製造方法 |
JP2001214266A (ja) * | 2000-01-31 | 2001-08-07 | Asahi Optical Co Ltd | 成膜装置および成膜方法 |
WO2002088415A1 (fr) * | 2001-04-23 | 2002-11-07 | Sony Corporation | Procede de formation d'une couche |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002319149A patent/JP4449293B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 2002-12-17 CA CA002470959A patent/CA2470959A1/en not_active Abandoned
- 2002-12-17 CN CNB028255437A patent/CN1268945C/zh not_active Expired - Lifetime
- 2002-12-17 GB GB0412890A patent/GB2402741B/en not_active Expired - Fee Related
- 2002-12-17 AU AU2002354177A patent/AU2002354177A1/en not_active Abandoned
- 2002-12-17 WO PCT/JP2002/013168 patent/WO2003052468A1/ja active Application Filing
- 2002-12-17 KR KR10-2004-7009502A patent/KR20040074093A/ko not_active Application Discontinuation
- 2002-12-17 DE DE10297560T patent/DE10297560B4/de not_active Expired - Lifetime
-
2004
- 2004-06-14 US US10/867,631 patent/US20040227085A1/en not_active Abandoned
-
2007
- 2007-01-25 US US11/627,268 patent/US20070115486A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
GB0412890D0 (en) | 2004-07-14 |
AU2002354177A1 (en) | 2003-06-30 |
DE10297560T5 (de) | 2005-02-17 |
US20040227085A1 (en) | 2004-11-18 |
KR20040074093A (ko) | 2004-08-21 |
CN1606705A (zh) | 2005-04-13 |
CN1268945C (zh) | 2006-08-09 |
US20070115486A1 (en) | 2007-05-24 |
DE10297560B4 (de) | 2009-10-08 |
JP2003247068A (ja) | 2003-09-05 |
WO2003052468A1 (fr) | 2003-06-26 |
GB2402741B (en) | 2005-08-10 |
GB2402741A (en) | 2004-12-15 |
CA2470959A1 (en) | 2003-06-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4449293B2 (ja) | 成膜装置、及び光学部材の製造方法 | |
JP3848571B2 (ja) | 薄膜形成方法及び装置 | |
CN106680911B (zh) | 一种低振荡色散镜结构及其设计方法 | |
CN101876537B (zh) | 具有高、低两种折射率的多层光学薄膜厚度的校准方法 | |
US20010007715A1 (en) | Method of coating substrate and coated article | |
JP3625736B2 (ja) | 光学フィルタの製造方法 | |
JP4792242B2 (ja) | 薄膜形成装置及び薄膜形成方法 | |
JP2004176081A (ja) | 原子層堆積法による光学多層膜の製造方法 | |
JP2006071402A (ja) | 多層膜の膜厚制御方法及び成膜装置 | |
JP2005120441A (ja) | 光学薄膜形成用装置及び方法 | |
JP2002228833A (ja) | 光学フィルタおよびその光学フィルタの製造方法 | |
JP3754874B2 (ja) | 成膜方法および成膜装置 | |
CN114207483A (zh) | 滤光器及包括其的传感器系统、以及滤光器用卤化非晶硅薄膜的制备方法 | |
JP4547489B2 (ja) | 膜厚計測装置搭載の光学薄膜形成用装置及び光学薄膜の成膜方法 | |
JP2004151493A (ja) | 誘電体多層膜の製造装置 | |
JP2004061810A (ja) | 多層膜光学フィルター形成装置、および多層膜光学フィルターの製造方法 | |
JP2010222596A (ja) | 光学薄膜の成膜方法および成膜装置 | |
JP2008009117A (ja) | 誘電体多層膜の製造方法 | |
JP2004354372A (ja) | 膜厚計測装置搭載の光学薄膜形成用装置及び光学薄膜の成膜方法 | |
JP2008033341A (ja) | 多層膜カットフィルターの製造方法 | |
JP4329981B2 (ja) | 誘電体多層膜フィルタの製造方法及び装置 | |
JP2001174628A (ja) | 多層光学干渉薄膜の膜厚制御方法 | |
JP2000171602A (ja) | 光学多層薄膜の形成方法および光学多層薄膜の形成装置 | |
JP2002053957A (ja) | 成膜方法および成膜装置 | |
JP2004151492A (ja) | 誘電体多層膜の製造装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050920 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080930 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081128 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20091013 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091201 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100105 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100118 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4449293 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130205 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130205 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130205 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |