1.実施形態
1−1.自動火災報知設備の構成
まず、本実施の形態に係る支援システム100と通信接続される、建築物に設置された自動警報設備としての自動火災報知設備200(以下、自火報設備200)について、図1に基づいて説明する。自火報設備200は、信号線C1と通信回線3とを介して支援システム100と通信接続される。
自火報設備200は、火災やガス漏れ等の異状を感知する感知手段としての火災感知器5、ガス漏れ検知器6等を有し、これらの感知手段は防火対象物である建築物に配設される。これらの感知手段は、信号線C4を介して、あるいは中継手段である中継器8と信号線C4とを介して、受信機10へ接続され、異状を感知すると異状感知信号を受信機10へ送出する。
これらの感知手段は、アドレス等の固有の識別子を有し、異状を感知したときはどの感知手段が異状を感知したか判別できるようになっているものがある。また、これらの感知手段が固有の識別子を有しない場合でも、これら感知手段が配設された区画を受信機10が特定できるような区画情報を有しており、感知手段が異状を感知したときはどの区画で異状が感知されたか判別できるようになっている。すなわち、自火報設備200は、感知手段に固有の識別子又は感知手段が配設された区画情報に基づいて異状を感知した場所を示す感知手段位置情報を有する。そして、これらの感知手段が異状を感知し、異状を感知した感知手段からの異状感知信号を受信した受信機10が、公知の蓄積機能等を有する図示しない火災判断手段で火災等の異状と判断すると、異状を感知した感知手段が感知した異状の内容と上記感知手段位置情報とを含めた異状信号を送出する。このとき異状信号に含まれる感知手段位置情報は、異状を感知した火災感知器5又はガス漏れ検知器6に固有の識別子又は区画番号等である。受信機10が送出する上記異状信号は、後述する支援システム100に送出されて異状の内容とその位置情報とを含む発災情報が作成され、自衛消防隊員が携帯する端末装置2へ発災情報をプッシュ通知させ、表示させる。このように通信回線3を介して火災等の上記異状信号を送出するために、受信機10は図示しない通信手段を備える。
また、自火報設備200は、地区音響警報装置としての音声警報装置7を有し、音声警報装置7は防火対象物である建築物に配設される。この地区音響警報装置は、直接に信号線10を介して、又は、中継手段である中継器9と信号線10とを介して、受信機4へ接続される。そして、音声警報装置7は、受信機4からの信号に応じて、後述する火災感知放送、火災放送、非火災放送を出力する。
なお、自火報設備200は上記に限るものではなく、あらゆる自動火災報知設備を適用し得るものである。例えば、無線式の火災感知器を有する等、自動火災報知設備における信号授受の一部又は全てを無線通信するものであってもよい。また、例えば、固有の信号線で火災感知器と受信機とを接続するP型システムであっても、共通の信号線で接続して多重伝送を行うR型システムであってもよい。そして、感知手段が火災等の異状を感知し、火災判断手段が火災等の異状としたときに、通信回線3を介して上記異状信号を送出する通信手段を備えるものであればよい。また、そのような通信手段が備わらない受信機を用いる場合であっても、受信機に接続して上記異状信号を通信回線3に送出可能な通信手段を設けるようにしてもよい。この通信手段は、受信機に通信インターフェースとして内蔵してもよいし、受信機の信号出力を受信して通信回線3へ異状信号を送出する通信インターフェースとして受信機の外部に設ける中継器であってもよい。
1−2.支援システムの構成
次に、本実施の形態に係る支援システム100の構成について、図1に基づいて説明する。支援システム100は、支援装置1と、自衛消防隊の隊員が所持し携帯する1以上の端末装置2と、通知装置4とで構成される。支援装置1と端末装置2と通知装置4とは、通信回線3を介して互いに通信する。通信回線3は、例えばインターネットであるが、これに限るものではない。例えば、IMT−2000に準拠した無線通信網や、iEEE802.11に準拠する無線LANや、有線LANなどであってもよい。通信回線3は、少なくとも端末装置2と無線通信のアクセスポイントを介して無線通信で接続され、支援装置1及び通知装置4とは無線又は有線で接続され、支援装置1と端末装置2と通知装置4との間で通信を行う通信網である。なお、通信回線3は、受信機10とも無線又は有線で接続され、受信機10と支援システム100との間で通信を行う。例えば、端末装置2以外の装置は、通信回線3が接続された別の通信回線、例えば電気通信事業者が提供するような広域ネットワークWANを介して、仮想専用ネットワークVPNを形成するなどして互いに接続されるようにしてもよい。また、支援装置1と、受信機10又は通知装置4とは、通信回線3を介さず信号線で物理的に直接接続されてもよい。このように、支援装置1と、端末装置2と、通知装置4と、受信機10とを接続する通信回線は限定されるものではない。
1−3.支援装置の構成
次に、支援システム100を構成する支援装置1の構成について、図2に基づいて説明する。支援装置1は、人員(自衛消防隊員)による自衛消防活動や防災活動を支援するための装置である。支援装置1は、防火対象物である建物内に配設された感知手段が感知した異状に基づいて自動警報設備から送出される異状信号に基づいて発災情報を送出する。ここで、本実施形態における自火報設備200は自動警報設備の一例である。また、発災情報とは、建物からの避難を要するような災害等の事態が発生したことを示す情報であって、端末装置2を始動させて避難確認活動を開始させるための初動情報でもある。支援装置1は、図2に示されるように、通信部13と、記憶部12と、制御部11とを有する。
[通信部]
通信部13は、信号線C2と通信回線3とを介して、端末装置2、通知装置4及び受信機10と制御情報等を通信するインターフェースである。なお、通信部13は、信号線C2に代えて無線通信で通信回線3と接続するようにしてもよい。このように、支援装置1の通信部13をネットワーク経由等の通信回線3を介して通信させることにより、自火報設備200が設置された防火対象物の外部に支援装置1を設けることが可能である。また、端末装置2及び通知装置4とは通信回線3を介して通信する一方で、受信機10とは直接、有線接続又は無線接続されるようにしてもよい。すなわち通信部13は、受信機10と通信する第1の通信部と、端末装置2及び通知装置4と通信回線3を介して通信する第2の通信部とにより構成されてもよい。
[記憶部]
記憶部12は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、自衛消防隊員の活動を支援するための処理を実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、隊員データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)121を有する。隊員データベース121は、すべての自衛消防隊の隊員について、各隊員が所持する端末装置2の、後述する第1の端末識別子と第2の端末識別子とを関連付けて記憶する。第1の端末識別子は、後述する通知装置4が端末装置2を識別する端末識別子であり、例えばデバイストークンである。第2の端末識別子は、支援装置1が端末装置2を識別する端末識別子としての端末IDである。この第2の端末識別子は、自火報設備200が設置された建築物毎に設けた物件IDとその建築物毎の端末IDとを組み合わせた識別子であってもよい。このようにすると、支援装置1は、複数の建築物について、当該建築物と関連付けられた端末に発災情報を通知することが可能となる。
なお、第1の端末識別子と第2の端末識別子とを共通の端末識別子とし、支援装置1と通知装置4とが共通の端末識別子で端末装置2を識別できるようにしてもよい。また、隊員データベース121は、上記に加えて、さらに各隊員の属性情報を関連付けて記憶するようにしてもよい。なお、属性情報とは、自衛消防隊の各役割に対する適性を示し、その優先順位を記憶するようにしてもよく、火災等の異状発生時に、活動に参加できる人員で自衛消防隊を編成する際に有用な情報となる。属性情報における役割には、当該隊員が担当し得る地区情報を含み、例えば避難確認を担う隊員の場合は担当する避難確認単位の識別情報を含む。また、隊員が互いに識別可能とする程度の個人情報として、顔写真や氏名(及びその読み仮名)や電話番号や所属部署名等を記憶しておいてもよい。このようにすると、火災等の異状発生時に、普段は面識のない者同士で自衛消防隊を編成した際に、隊員同士が互いを認識する上で有用な情報となる。特に、テナントビル等、異なる組織の構成員同士を連携させて自衛消防隊の活動に当たらせる上で有用である。
また、記憶部12は、役割データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)122を有するようにしてもよい。役割データベース122は、役割毎の作業内容を予め記憶しておき、また、後述する編成部116を備えた場合は、編成部116が決定した隊員毎の役割を記憶し、さらに隊員データベース121を参照して、役割毎に隊員が互いに識別可能とする程度の個人情報(顔写真、氏名およびその読み仮名並びに電話番号)を取得してこれを記憶するようにしてもよい。ここで役割とは、例えば「指揮係」や「通報連絡係」や「消火係」や「避難誘導係」等である。このようにすると、効率よく、且つ、隊員の属性に応じて適正な役割を与えるように、自衛消防隊を自動的に編成することを可能とする。
また、記憶部12は、設置場所データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)123を有する。設置場所データベース123は、火災感知器5やガス漏れ検知器6といった複数の感知手段について、感知手段に固有の識別子又は感知手段が配設された区画情報に基づく感知手段位置情報と建築物における位置を特定する建物位置情報とを関連付けて記憶する。
設置場所データベース123は、受信機10を介して異状を感知した感知手段位置情報として与えられる火災感知器5又はガス漏れ検知器6に固有の識別子(又は感知手段が配設された区画情報としての区画番号)と、例えば、棟、階、フロアにおける座標(又は区画)で示される建築物における位置情報としての建物位置情報(又は区画)のデータとを関連付けて記憶する。
例えば、識別子「AL2」で表される感知手段が配設された位置情報としての建物位置情報を、「1棟(建物)・20階(階層)・X1Y2(平面座標)」というように、感知手段の設置座標情報として記憶部12に記憶する。また、例えば、感知手段「AL2」の建物位置場所を「1棟(建物)・20階(階層)・第1区画(区画)」というように、感知手段が配設された区画情報として記憶部12に記憶する。建物位置情報として記憶するデータは上記に限るものではなく、感知手段が配設された位置を自衛消防隊員が把握できる程度の情報でよい。また、感知手段が配設された位置情報である感知手段位置情報と関連付けて記憶され、後述する複数の端末位置情報と比較し、互いの位置関係を把握できるようなデータであってもよい。例えば、異状を感知した感知手段(例えば、火災感知器5)に最も近い端末装置2を、あるいは、異状を感知した感知手段から所定の範囲内に位置する1以上の端末装置2を、特定できるようなデータである。
また、記憶部12は、避難状況データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)124を有する。避難状況データベース124は、例えば、防火対象物である建物内の避難確認単位と、この避難確認単位ごとの退出完了や避難完了といった避難状況の報告の有無を示す識別子と、退出または避難を完了するまでに要した時間と、避難人数と、退出または避難の完了を報告した報告者名とを対応づけて記憶する。ここで、避難確認単位とは、自衛消防隊員が退出完了または避難完了の確認を受け持つ範囲である。本実施形態における建物内の1又は複数のフロアは、避難確認単位の一例である。また、ここで「退出完了の報告」とは、避難確認単位に対応する場所から全員退出したことを報告するものであり、避難確認単位に対応する場所からの全員の退出・脱出が完了していることを示すものとする。一方、「避難完了の報告」とは、避難確認単位に対応する場所から退出した後に所定の避難場所への移動が完了したことを報告するものであり、例えば、建物外の所定の避難場所における点呼によって確認される。「退出完了」、「避難完了」のどちらを報告することとするかは、予め定める消防計画において適宜決定され、「退出完了の報告」と「避難完了の報告」の両方を実施するようにしてもよい。退出完了または避難完了の報告の有無を示す識別子は、本実施形態ではブーリアン型の変数であり、退出完了または避難完了の報告があった場合には当該変数が「true」となり、退出完了または避難完了の報告がない場合には当該変数が「false」となる。なお、退出完了または避難完了の有無を示す識別子はブーリアン型の変数に限るものではなく、避難確認単位ごとに1つのデータ型の変数であってもよい。例えば、退出完了または避難完了の報告が無い場合には当該変数が「0」であり、退出完了の報告があった場合には当該変数が「1」となり、さらに避難完了の報告があった場合には当該変数が「2」と、状況を示すように値が変化するようにしてもよい。避難人数は、避難後に点呼確認で確認されて報告される避難完了人数であり、例えば、当該避難確認単位において、全員退出、つまり誰も残っていないことを報告する、退出完了報告の場合には「0(人)」となる。報告者名は避難状況を報告した人員の氏名であり、本実施形態では自衛消防隊員や防災センタ要員の氏名である。この避難状況データベース124を備えることにより、自衛消防隊において避難状況の情報を共有することが可能となり、さらに、防災センタにおいても端末装置2によって避難状況を迅速かつ的確に把握することが可能となる。
[制御部]
制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムに基づいて支援装置1の各部の動作を制御する制御手段である。制御部11は、図示せぬCPU等の演算処理装置を備え、その機能的構成として、受付部111、登録部112、生成部113、通知要求部114、通知部115を備える。さらに、編成部116を備えるようにしてもよい。
受付部111は、通信部13を介して受信機10から送出される異状信号を受信し、受け付ける受付手段である。また、受付部111は、通信部13を介して端末装置2から送出される退出完了報告や避難完了報告、各種の要求信号や応答信号を受信して受け付ける。
登録部112は、自衛消防隊員が携帯する端末装置2の第1の端末識別子と第2の端末識別子とを対応づけて隊員データベース121に登録する登録手段である。また、登録部112は、端末装置2から受信した退出完了報告や避難完了報告に基づく情報を避難状況データベース124に記憶させる。退出完了報告や避難完了報告については後述する。
生成部113は、受信機10から受信した異状信号に基づいて、端末装置2に通知する発災情報を生成する生成手段である。具体的には、例えば、異状信号に含まれる感知手段の識別子と設置場所データベース123とに基づいて異状内容と異状の発生場所とを特定し、また、異状信号の受信日時から異状の発生日時を特定して、これらの情報を通知する発災情報を生成する。また、生成部113は、生成した発災情報を識別するための発災情報番号を生成する。この発災情報番号は、発災情報を識別するための情報識別子の一例である。また、生成部113は、端末装置2から受信した退出または避難の完了の報告に応じて、避難状況データベース124を参照して避難状況情報を生成する。この避難状況情報については後述する。
通知要求部114は、生成部113により発災情報が生成されると、発災情報の生成の通知を端末装置2にプッシュ通知することを通知装置4に対して要求する通知要求手段である。通知要求部114は、生成部113により生成された発災情報番号と、プッシュ通知の送信先となる端末装置2を通知装置4が識別する第1の端末識別子のリストとを含む、プッシュ通知の送信要求を通知装置4に対して送信する。この第1の端末識別子は、プッシュ通知サービス提供者の通知装置4が端末装置2を識別するために端末装置2に割り当てるデバイストークンであってもよい。
通知部115は、発災情報のプッシュ通知を受信した端末装置2から、発災情報番号により識別される発災情報の送信要求を受付部111が受け付けると、当該発災情報を端末装置2に対して通知する通知手段である。換言すると、端末装置2は、発災情報が生成されたことを意味する発災情報番号のプッシュ通知に基づいて、支援装置1へ当該発災情報番号に対応する発災情報の送信を要求し、これを受け付けた支援装置1の通知部115から通知される当該発災情報番号に対応する発災情報を受け付けることとなる。また、通知部115は、端末装置2から受信した要求信号に応じて、生成部113により生成された避難状況情報を端末装置2に対して通知する。また、通知部115は、端末装置2から受信した要求信号に応じて、後述する避難報告画面の画面情報を記憶部12から読み出して端末装置2に対して通知する。
なお、隊員データベース121が隊員の属性情報を記憶するものであり、さらに、通知部115からの発災情報が自衛消防隊の活動への参加の可否を問い合わせるメッセージを含むものであったとき、制御部11が編成部116を備えるようにしてもよい。この編成部116は、端末装置2から受信した応答信号が自衛消防隊への参加が可能であるとする旨の応答信号であった場合に、例えば、隊員データベース121に記憶される当該隊員の属性情報を参照して当該隊員に対して役割を自動的に決定する、自衛消防隊の自動編成手段である。編成部116は、決定した隊員毎の役割を役割データベース122に記憶しておく。また、当該隊員が担当する地区は、編成部116が役割とともに決定し、決定した隊員毎の役割とともに役割データベース122に記憶される。例えば、避難確認を担う隊員の場合は、役割データベース122に記憶される役割の情報には、担当する避難確認単位の識別情報を含む。
端末装置2が測位システムに基づいて端末位置情報を取得する測位手段を備える場合、編成部116は、異状位置情報と端末位置情報とに基づいて自衛消防隊を組織編成するようにしてもよい。編成部116は、決定した隊員毎の役割を役割データベース122に記憶しておく。また、当該隊員が担当する地区は、編成部116が役割とともに決定し、決定した隊員毎の役割とともに役割データベース122に記憶される。例えば、避難確認を担う隊員の場合は、役割データベース122に記憶される役割の情報には、担当する避難確認単位の識別情報を含む。なお、測位システムとしては、例えば、人工衛星を用いた測位システムとして、GPS(Global Positioning System)、GLONASS、Galileo、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、QZSS(Quasi−Zenith Satellite System)等を利用することができる。また、これら人工衛星を用いた測位システムの衛星電波を利用できない屋内における測位システムとしては、擬似衛星GPS(スードライト)、GPSリピータ、IMES(Indoor MEssaging System)、無線LAN測位システム、QRコード(登録商標)や電子タグ等の電子標識による測位システム、加速度計測手段とジャイロとを用いた慣性航法装置等の自律航法手段、IP500Alliance規格に基づく位置情報サービス、等を利用することができる。
1−4.通知装置の構成
次に、支援システム100を構成する通知装置4の構成について、図3に基づいて説明する。図3は通知装置4の構成を示すブロック図である。通知装置4は、支援装置1からの通知要求を受けて、発災情報を端末装置2に対して通知するために、端末装置2にプッシュ通知する装置である。ここで、プッシュ通知とは、通知装置4が端末装置2からのリクエストによらずに能動的に端末装置2に対してメッセージを通知する仕組みである。この通知装置4は、制御部41と、記憶部42と、通信部43とを有する。
[制御部]
制御部41は、CPU、ROM、RAMなどを有し、CPUがROM又は記憶部42に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより通知装置4の各部を制御する。制御部41は、その機能的構成として、受付部411、通知部413を備え、さらに登録部412を備えるようにしてもよい。
受付部411は、通信部43を介して支援装置1から受信するプッシュ通知の送信要求を受け付ける受付手段である。また受付部411は、通信部43を介して端末装置2又は支援装置1から受信する、プッシュ通知の登録要求を受け付けるようにしてもよい。
登録部412を備える場合は、例えば、端末装置2からプッシュ通知の登録要求を受信すると、通知装置4が端末装置2を識別する識別子である第1の端末識別子を生成し、この第1の識別子を通知先データベース421に登録するとともに、端末装置2に割り当てて記憶させるようにしてもよい。このように端末装置2に割り当てられる第1の端末識別子は、プッシュ通知サービス提供者の通知装置4が端末装置2に割り当てるデバイストークンであってもよい。このとき通知装置4は、通知装置4が端末装置2と通信する上で端末装置2を通信先として特定する識別子として端末装置2の通信アドレス等の通信識別子を、端末装置2からのプッシュ通知の登録要求の際に取得し、デバイストークン等と関連付けて第1の端末識別子として通知先データベース421に記憶させるようにしてもよい。また、登録部412は、支援装置1からプッシュ通知の登録要求を受信すると、通知装置4が端末装置2を識別する識別子である第1の端末識別子を、支援装置1から指定されて通知先データベース421に登録するようにしてもよい。この第1の端末識別子は、支援装置1が端末装置2を識別する識別子である第2の端末識別子と共通であってもよい。
通知部413は、受付部411が支援装置1からプッシュ通知の送信要求を受信すると、この送信要求に含まれる第1の端末識別子を有する端末装置2をプッシュ通知の送信先とし、送信要求に含まれる発災情報番号を送信する。通知先データベース421を備える場合、これに前記第1の端末識別子が登録されていたときに前記発災情報番号を送信するようにしてもよい。また、通知部413は、通知装置4が端末装置2に割り当てた第1の端末識別子を当該端末装置2に対して通知するようにしてもよい。前記デバイストークンは、このように割り当てられて端末装置2に通知され、通知されたデバイストークンは端末装置2に記憶される。また、通知部413は、通知装置4が端末装置2に割り当てた第1の端末識別子を支援装置1に通知し、支援装置1が端末装置2を識別する識別子である第2の識別子と関連付けられて支援装置1に記憶されるようにしてもよい。
[記憶部]
記憶部42は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、制御部41のCPUに読み込まれて実行されるプログラムを記憶する。また、記憶部42は、通知先データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)421を有するようにしてもよい。通知先データベース421を有する場合は、プッシュ通知の送信先の端末装置2の第1の端末識別子を記憶する。なお、前記デバイストークンは、第1の端末識別子として通知先データベース421に記憶される。また、前記通信識別子を前記デバイストークンと関連付けて第1の端末識別子として通知先データベース421に記憶するようにしてもよい。
[通信部]
通信部43は、信号線C3と通信回線3とを介して、端末装置2及び支援装置1と制御情報等を通信するインターフェースである。
なお、通知装置4は、上記に限るものではなく、プッシュ通知で送信されるメッセージは、電子メールやショートメッセージや独自の形式のデータであってもよい。また、例えば、GCMサービスを提供するGCMサーバや、APNサービスを提供するAPNSサーバ等、プッシュ通知サービス提供者が設けたプッシュ通知用通知装置であってもよい。また、支援装置1と一体化されて、支援装置1が端末装置2に対してプッシュ通知を直接行うようにしてもよい。
1−5.端末の構成
次に、支援システム100を構成する端末装置2の構成について、図4に基づいて説明する。図4は端末装置2の構成を示すブロック図である。
端末装置2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、表示部24とを有し、さらに、操作部25を有してもよい。端末装置2は、防火対象物である建物内の各避難確認単位において避難状況を確認する複数の人員が各々所持する端末装置である。ここで、人員とは本実施形態において自衛消防隊の隊員や防災センタ要員である。端末装置2は、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。本実施形態では、この端末装置2には、表示部24が備える画面241に重ねて操作者の指等が触れたことを検出するタッチパネル251を有する操作部25が設けられるものとして説明する。
[制御部]
制御部21は、図示せぬ演算処理装置としてのCPU等を有し、CPUが記憶部22等に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより端末装置2の各部を制御する。制御部21は、その機能的構成として、要求部211、受付部212、通知部213、起動部214、表示制御部215を備える。
要求部211は、支援装置1に対して、通知装置4から受信した通知に含まれる発災情報番号に対応する発災情報の送信を要求する要求手段である。また、要求部211は、通知装置4に対してプッシュ通知の登録要求を送信するようにしてもよい。また、要求部211は、支援装置1に対して、通知装置4に割り当てられた自機の第1の識別子、例えば前記デバイストークンの登録要求を送信するようにしてもよい。また、要求部211は、後述する避難状況情報の送信を支援装置1に対して要求する。また、要求部211は、後述する避難報告画面を示す画面情報の送信を支援装置1に対して要求する。
受付部212は、発災情報の生成の通知に基づいて当該発災情報を支援装置1から通信部23を介して受け付ける受付手段である。具体的には、受付部212は、通知装置4から通知される、第1の端末識別子と発災情報番号とを受け付け、これの情報に基づいて支援装置1から発災情報を受け付ける。また、受付部212は、支援装置1から通知される、後述する避難状況情報を受け付ける。この避難状況情報は、詳細については後述するが、防火対象物である建物内の避難確認単位ごとに、人員により退出または避難の完了が確認されたことをそれぞれ示す退出完了情報または避難完了情報を含む。また、受付部212は、支援装置1から通知される、後述する避難報告画面を示す画面情報を受け付ける。
通知部213は、支援装置1に対して、自衛消防隊の活動への参加要請に対して参加の可否を応答する情報を通知する通知手段である。また、通知部213は、支援装置1に対して、後述する退出完了報告または避難完了報告を通知する。
起動部214は、通知装置4からの通知を受信すると、記憶部22に記憶される防災支援アプリ221を起動する起動手段である。起動部214は、自衛消防隊員による操作を待たずに自動的に防災支援アプリ221を起動する。起動部214は、後述する通信部23を介して通知装置4からの通知を受信する。なお、端末装置2が節電状態や休止状態であったとしても、緊急事態である通知装置4からの通知によって起動部214は防災支援アプリを起動できるようにすることが望ましい。そこで、起動部214は、後述する通信部23とともに稼働させておくか、あるいは、通信部23が通知装置4からの通知を受信することによって起動するようにしておくとよい。そして、通知装置4からの通知を受信すると、端末装置2を稼働状態にするとともに、防災支援アプリ221を起動するとよい。
表示制御部215は、支援装置1から通知される発災情報に基づいて初動画面や地図表示画面を表示部24に表示させる表示制御手段である。また、表示制御部215は、支援装置1から通知される避難状況情報に基づいて避難状況画面を表示部24に表示させる。また、表示制御部215は、メインメニュー画面や、避難報告画面を表示部24に表示させる。その他に、表示制御部215は、写真撮影画面、現地報告画面、行動指示画面、役割表示画面、復旧マニュアル選択画面、設定画面、電話画面等の各種画面を表示部24に表示させるようにしてもよい。
[記憶部]
記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性の記憶手段であり、制御部21のCPUに読み込まれて実行されるプログラムを記憶する。また、記憶部22は、防災支援アプリ221を有する。この防災支援アプリ221は、自衛消防隊員の活動を支援するための処理を実行するプログラムである。この防災支援アプリ221は、通知装置4から受信した通知に含まれる発災情報番号に対応する発災情報の送信を要求部211より支援装置1に要求させ、この要求に応じて支援装置1より通知される発災情報を表示部24に表示させるアプリである。本実施形態では、支援装置1からの発災情報はWebページとして通知されるものとし、防災支援アプリ221の一例として、発災情報であるWebページを表示部24に表示させるWebページ閲覧アプリ(すなわち、ブラウザ)に取得させ、表示部24に初動画面として表示させるものとして説明する。
また、記憶部22には、自己の端末識別子として、第1の端末識別子、第2の端末識別子が記憶される。第1の端末識別子は、通知装置4においてはプッシュ通知の際にその送信先の端末装置2を識別する識別子である。端末装置2においては防災支援アプリ221を使用する通知であることを識別可能とする識別子であり、例えばデバイストークンであってもよい。このとき、さらに、通知装置4と通信する上での通信識別子としての通信アドレスを記憶するようにしてもよい。通信アドレスは、後述するように、通知装置4に対してプッシュ通知の登録を行う際に、送信先のアドレスとして用いられる。デバイストークンは、後述するように、通知装置4に対してプッシュ通知の登録作業を行うことによって取得し、記憶部22に記憶するようにしてもよいし、また、これに限定されず、例えば、予め記憶されるようにしてもよい。第2の端末識別子は、支援装置1との通信用の端末識別子、例えば端末IDであり、予め記憶されていてもよいし、また、これに限定されず、詳細に説明しないが、図示せぬ設定画面において、端末ID等の各種項目を設定し、支援装置1との間で、各種項目の設定登録作業を行うことにより、記憶部22に記憶されるようにしてもよい。なお、記憶部22が上記デバイストークンを記憶するような場合等、端末装置2が節電状態や休止状態であっても、デバイストークン等の識別子を読み出し可能としておき、緊急事態である通知装置4からの通知を受信できることが望ましい。このため、端末装置2が節電状態や休止状態であっても、記憶部22は読み出し可能なように稼働させておくとよい。
[通信部]
通信部23は、支援装置1や通知装置4と通信を行うために、無線通信によって通信回線3と接続するインターフェースである。通信部23は、例えば、発災情報を送出する支援装置1と通信回線3を介して通信する。なお、通信部23は、端末装置2が節電状態や休止状態であっても、緊急事態である通知装置4からの通知を受信し、防災支援アプリ221を起動できることが望ましい。このため、端末装置2が節電状態や休止状態であっても、通信部23は稼働させておくとよい。
[表示部]
表示部24は、液晶などを利用した画面241を備え、表示制御部215からの指示に応じてこの画面241に画像が表示される。本実施形態において表示部24は、受付部212により受け付けられた発災情報を画面に表示する。また、表示部24は、詳細については後述するが、防火対象物である建物内の避難確認単位について、支援装置1から発災情報が送出された後、当該避難確認単位における退出または避難の完了が確認されるまでの時間の経過を示すグラフを画面に表示する。
[操作部]
各避難確認単位の避難状況を確認する自衛消防隊員が所持する端末装置2は、当該隊員に携帯されるものとし、操作部25を備える。本実施形態では、操作部25はその一例として、タッチパネル251を有するものとして説明する。タッチパネル251は、例えば操作者の指などの指示体によって操作され、表示部24の画面241に重なる領域における位置を指示する操作者の操作を検出する。タッチパネル251は例えば、画面241に重ねられた透明な静電容量方式のタッチパネルである。
1−6.支援システムの動作
1−6−1.プッシュ通知
支援システム100において実行されるプッシュ通知に関する動作の一例について、第1の端末識別子としてデバイストークンを利用する例を、図5のシーケンス図に基づいて説明する。なお、以下の動作説明では、その説明の便宜上、一の端末装置2に対してプッシュ通知が行われる場合が想定されているが、2以上の端末装置2に対して並行してプッシュ通知が行われてもよい。
端末装置2を携帯する自衛消防隊員は、デバイストークンを利用した発災情報のプッシュ通知を受けるにあたり、予め通知装置4に対してプッシュ通知の登録を行う必要がある。そこで、端末装置2を携帯する自衛消防隊員は、防災支援アプリ221を端末装置2にインストールした後に、当該アプリを起動、操作して、要求部211を介して通知装置4に対してプッシュ通知の登録要求を送信する(S101)。この登録要求には端末装置2の通信アドレスが含まれる。
この登録要求を受信した通知装置4の登録部412は、端末装置2の識別情報となるデバイストークンを生成し、このデバイストークンを端末装置2の通信アドレスと対応づけて通知先データベース421に登録する(S102)。そして、通知装置4の通知部413は、このデバイストークンを当該端末装置2に割り当てて返信する(S103)。
このデバイストークンを受信した端末装置2は、受信したデバイストークンを記憶部22に記憶する。これにより、端末装置2は、通知装置4からの通知を受信したときに、第1の端末識別子であるデバイストークンを受信することによって、防災支援アプリ221を使用する通知であることを識別可能とすることができる。さらに、端末装置2は、要求部211を介してデバイストークンの登録要求を支援装置1に対して送信する(S104)。この登録要求には端末装置2の第2の端末識別子である端末IDとデバイストークンが含まれる。この登録要求を受信した支援装置1の登録部112は、隊員データベース121において、受信した端末IDと対応づけてデバイストークンを登録する(S105)。
以上の登録処理を経た後に、支援装置1が受信機10から異状信号を受信すると(S106)、支援装置1の生成部113は、当該異状の発生を通知する発災情報を生成する(S107)。具体的には、例えば、異状信号に含まれる感知手段の識別子と設置場所データベース123とに基づいて異状内容と異状の発生場所とを特定し、また、例えば、異状信号の受信日時から異状の発生日時を特定して、これらの情報を通知する発災情報を生成する。また、生成部113は、生成した発災情報を識別するための発災情報番号を生成する。そして、支援装置1の通知要求部114は、この発災情報番号を端末装置2に通知する要求を通知装置4に対して送信する(S108)。この送信要求には、送信先となる端末装置2のデバイストークンと生成された発災情報番号とが関連付けられて含まれる情報のリストとして送信される。
この発災情報番号の通知要求を受信した通知装置4の通知部413は、受信した送信要求に含まれるデバイストークンのリストと通知先データベース421とに基づいてプッシュ通知の送信先となる通信アドレスを特定する。そして、特定した通信アドレスに対して、デバイストークンと発災情報番号を通知する(S109)。
この通知を受信した端末装置2の起動部214は、デバイストークンを受信することによって、防災支援アプリ221を使用する通知であると判断し、防災支援アプリ221が起動されていない状態の場合、当該アプリを起動する(S110)。このとき起動部214は、自衛消防隊員による操作を待たずに自動的に防災支援アプリ221を起動する。そして、端末装置2の要求部211は、起動した防災支援アプリ221に従って、通知に含まれる発災情報番号に対応する発災情報の送信を支援装置1に対して要求する(S111)。この送信要求には発災情報番号と送信元としての端末IDとが含まれる。
この送信要求を受信した支援装置1の通知部115は、受信した送信要求に含まれる発災情報番号に対応する発災情報を、端末IDを送信先として、端末装置2に対して返信する(S112)。本実施形態では、その一例として、支援装置1の通知部115は発災情報のWebページを生成し、端末装置2に発災情報を取得させる。この発災情報を受信した端末装置2の表示制御部215は、受信した発災情報に基づいて初動画面(図6参照)を表示部24に表示させる(S113)。この際、端末装置2は、図示せぬスピーカを介して警報音又は警報メッセージを放音し、初動画面の表示を自衛消防隊員に報知してもよい。
この初動画面には、少なくとも避難を要するような災害等の事態の発生としての異状情報を表示し、例えば、警報表示2411と、状態選択ボタン2412a及び2412bとが表示される。警報表示2411には、発生した異状の内容、発生日時が表示され、可能であれば、さらに発生場所が表示される。また、端末装置2を携帯する自衛消防隊員に自衛消防隊の活動への参加の可否を問い合わせるメッセージが表示されるようにしてもよい(図6参照)。
状態選択ボタン2412a及び2412bは、それぞれ自衛消防隊の活動への参加の可否を応答するためのボタンである。状態選択ボタン2412aは参加を了解することを、状態選択ボタン2412bは参加が不可能であることを返答するためのボタンである。また、状態選択ボタン2412a及び2412bは、次の画面への遷移を指示するためのボタンでもある。例えば、次の画面は、異状発生場所をシンボルで示した地図表示画面である(図7を参照)。なお、警報表示を行うだけであれば、警報表示2411に自衛消防隊の活動への参加の可否を問い合わせるメッセージは不要であり、活動への参加の可否を応答するボタン2412a、2412bは不要である。このとき、状態選択ボタン2412a、2412bに代えて、単に次の画面への遷移を指示するための遷移指示ボタンを表示し、当該ボタンが選択された場合には、地図表示画面(図7参照)を表示させてもよい。あるいは、遷移指示ボタンも表示することなく、初動画面を表示してから所定時間経過後に自動的に地図表示画面(図7を参照)を表示するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る支援システム100ではプッシュ通知により発災情報が端末装置2に通知されるため、各自衛消防隊員は異状事態を迅速に把握することができる。また、プッシュ通知により自衛活動への参加の可否の問い合わせが行われるようにできるため、自衛活動への参加の可否の確認を迅速に行うことができる。
なお、図6の初動画面が表示されている状態において状態選択ボタン2412a及び2412bのいずれかが操作されると、端末装置2の通知部213は、操作されたボタンに対応する応答信号を支援装置1に送信する。この応答信号には端末装置2の端末IDが含まれる。この応答信号を受信した支援装置1の編成部116は、受信した応答信号が自衛消防隊の活動への参加が可能である旨を応答するものであった場合には、隊員データベース121に記憶される当該隊員の属性情報を参照して、当該隊員に対して役割を決定することができる。そして、決定した役割を、当該隊員が携帯する端末装置2の端末IDと対応づけて役割データベース122に登録する。すなわち、在館しない等、参加不可能な人員を除いて自衛消防隊を編成することが可能となるので、活動に参加できる人員だけで実効性のある自衛消防隊を編成することができるものである。
また、状態選択ボタン2412a及び2412bのいずれかが操作されると、端末装置2の表示制御部215は、支援装置1から受信した発災情報に基づいて地図表示画面(図7参照)を表示部24に表示させる。状態選択ボタン2412a、2412bに代えて、操作することによって初動画面を確認したことを示す、図示しない確認ボタンを設けるようにし、この確認ボタンが操作されたときに、支援装置1から受信した発災情報に基づいて地図表示画面を表示部24に表示させるようにしてもよい。上記のように自衛消防隊を自動的に編成しない場合は、この構成を適用できる。
この地図表示画面には、例えば、タイトル表示2413と、地図表示2414と、警報表示2415と、選択ボタン2416a〜2416eとが表示される。タイトル表示2413には、表示画面のタイトルが表示される。地図表示2414には、異状発生場所付近の平面地図が表示される。この平面地図には例えば異状感知信号を送出した感知手段の設置位置がバツ印で表示される。この平面地図には端末装置2の現在位置も表示されてもよい。また、この平面地図は拡大又は縮小されてもよい。警報表示2415には、異状の発生日時と発生場所とが表示される。選択ボタン2416a〜2416eは、それぞれメインメニュー画面、写真撮影画面、地図表示画面、行動指示画面、避難状況画面といった他の画面への遷移を指示するためのボタンである。自衛消防隊員はこの地図表示画面を参照することで異状事態を把握することができる。
この地図表示画面において例えば選択ボタン2416a(「メイン」)が操作されると、端末装置2の表示制御部215は、メインメニュー画面(図8参照)を表示部24に表示させる。
このメインメニュー画面には、例えば、タイトル表示2413と、選択ボタン2417a〜2417hと、警報表示2415と、選択ボタン2416a〜2416eとが表示される。選択ボタン2417a〜2417hは、それぞれ写真撮影画面、地図表示画面、行動指示画面、避難状況画面、役割表示画面、復旧マニュアル選択画面、設定画面、電話画面への遷移を指示するためのボタンである。これらの画面のうち地図表示画面については、上掲の図7を参照して説明した通りである。避難状況画面については後述する。その他の画面については本実施形態において必ずしも必須の構成要素ではないため、その説明を省略する。
1−6−2.避難報告
次に、支援システム100において実行される避難報告に関する動作の一例について、図9及び10の画面例と図11のシーケンス図とに基づいて説明する。なお、以下の動作説明では、その説明の便宜上、一の端末装置2により支援装置1に対して避難報告が行われる場合が想定されているが、2以上の端末装置2によって並行して支援装置1に対して避難報告が行われてもよい。
例えば、メインメニュー画面(図8参照)において選択ボタン2417dまたは選択ボタン2416e(「避難報告」)が操作されると、あるいは、地図表示画面(図7参照)において選択ボタン2416e(「避難報告」)操作されると、端末装置2の要求部211は、避難状況情報の送信を支援装置1に対して要求する(S201)。この送信要求には送信元としての端末IDが含まれる。
この送信要求を受信した支援装置1の生成部113は、避難状況データベース124を参照して避難状況情報を生成する(S202)。この避難状況情報は本実施形態においてWebページである。この避難状況情報は、例えば、全体避難進捗情報と、退出完了情報または避難完了情報と、退出時間情報または避難時間情報と、避難人数情報と、報告者情報と、発災情報送出時間情報とにより構成される。
全体避難進捗情報は、防火対象物である建物全体における避難確認活動の進捗状況を示す情報である。退出完了情報または避難完了情報は、防火対象物である建物内の避難確認単位ごとに、それぞれ退出または避難の完了が人員により報告されたことを示す情報である。退出時間情報または避難時間情報は、それぞれ退出または避難の完了が確認された各避難確認単位について、支援装置1から発災情報が送出された後、当該避難確認単位における退出または避難の完了が報告されるまでの時間を示す情報である。避難人数情報は、各避難確認単位について、点呼等によって避難完了が確認された避難人数を示す情報である。報告者情報は、退室または避難の完了が報告された各避難確認単位について、当該避難確認単位において最後に報告した人員の名称を示す情報である。発災情報送出時間情報は、支援装置1が発災情報を送出した日時を示す情報である。
支援装置1の通知部115は、生成部113により生成された避難状況情報を、端末装置2から受信された送信要求に含まれる端末IDを送信先として、端末装置2に対して返信する(S203)。本実施形態では、その一例として、支援装置1の通知部115は避難状況情報のWebページを生成し、端末装置2に避難状況情報を取得させる。この避難状況情報は端末装置2の受付部212により受け付けられ、端末装置2の表示制御部215は、受け付けられた避難状況情報に基づいて避難状況画面(図9参照)を表示部24に表示させる(S204)。
避難状況画面には、例えば、タイトル表示2413と、全体避難進捗表示2418と、各階避難進捗表示2419a〜2419gと、警報表示2415と、選択ボタン2416a〜2416eとが表示される。
全体避難進捗表示2418には、防火対象物である建物全体における避難確認活動の進捗状況が表示される。当該表示は、受付部212により受け付けられた全体避難進捗情報に基づいて行われる。全体避難進捗表示2418には、例えば、建物全体の避難確認単位の数に対する、退出完了報告または避難完了報告があった避難確認単位の数が分数表示される。例えば、建物全体の避難確認単位の数が「13」であり、このうち避難完了報告がなく、退出完了報告があった避難確認単位の数が「3」である場合には、図9に示されるように「全体避難進捗 3/13 0人」のようなメッセージが表示される。このメッセージは、建物全体で「13」箇所の避難確認単位のうち「3」箇所の避難確認単位において退出完了が確認され、避難完了報告がない状況では、避難完了が確認された避難人数が「0人」であることを示している。ここで、点呼確認により避難完了が確認された避難人数を含む避難完了報告があれば、この避難人数は避難完了報告で報告される避難人数となる。この避難人数は、途中経過として避難完了が確認された人数を報告できるようにしてもよく、その場合は、さらに新たな避難完了報告があれば最新の情報に更新されるようにして、最終的には避難確認単位における全員の避難完了が行われるようにすることが望ましい。なお、本実施形態における避難確認単位は建物の各フロアであるが、図9に例示されるように、複数のフロアを1つの避難確認単位として扱ってもよく、当該建物の消防計画に基づいて適宜決定される。
次に、各階避難進捗表示2419a〜2419gの各々には、防火対象物である建物の各避難確認単位における避難確認活動の進捗状況が表示される。具体的には、フロア表示24191と、報告者表示24192と、避難人数表示24193と、グラフ表示24194とが表示される。なお、これらの表示要素のうち、避難人数表示24193については、避難完了報告で避難人数が確認された避難確認単位についてのみ表示される。
フロア表示24191には、避難確認単位の名称が表示される。本実施形態では避難確認単位として1又は複数のフロア名が表示される。なお、図9に例示される「本館3F」のように、棟名とフロア名の組み合わせが表示されてもよく、当該建物の消防計画に基づいて適宜決定される。
報告者表示24192には、当該避難確認単位において退出完了報告または避難完了報告をした人員の名称が表示される。当該表示は、受付部111により受け付けられ、退出完了報告または避難完了報告を行った端末装置2の端末ID(第2の端末識別子)に基づいて、隊員データベース121を参照して抽出した、当該端末装置2を所持する人員の情報に基づいて行われる。報告者表示24192には、本実施形態では人員の名称として自衛消防隊員や防災センタ要員の氏名が表示される。なお、図9に例示されるように、所属部署名と人員の氏名の組み合わせが表示されてもよい。
避難人数表示24193には、当該避難確認単位における避難完了報告で報告された避難人数が表示される。当該表示は、受付部212により受け付けられた避難人数情報に基づいて行われる。本実施形態においては、当該避難確認単位における退出完了報告があった時点では、避難人数表示24193には「0(人)」が表示される。
グラフ表示24194には、防火対象物である建物内の避難確認単位について、支援装置1から発災情報が送出された後、当該避難確認単位において退出完了または避難完了が報告されるまでの時間の経過を示すグラフが表示される。当該表示は、受付部111により受け付けられた退出完了情報または避難完了情報と、退出時間情報または避難時間情報と、発災情報送出時間情報とに基づいて行われる。グラフ表示24194に表示されるグラフは、時間の経過を示すように変化するグラフである。本実施形態においては、発災情報送出時間情報に示される日時を始点として、時間の経過につれてその長さが右方向に伸びるようにアニメーション表示される棒グラフ(より具体的には、横棒グラフ)である。当該棒グラフの長さ(すなわち、経過時間)は、受付部212により受け付けられた発災情報送出時間情報により示される日時と、現在日時との差分に基づいて特定される。
また、このグラフは、対応する避難確認単位において退出完了または避難完了が報告されるとその変化が停止するグラフである。本実施形態においては、受付部111により受け付けられた退出完了情報または避難完了情報に対応する避難確認単位のグラフの変化が停止する。具体的には、グラフの右方向への伸長が停止する。図9に示される例では、各階避難進捗表示2419a、2419d、2419f及び2419gのグラフは、右方向への伸長が継続しており、すなわち、対応する避難確認単位において、退出完了または避難完了が未だ報告されていないことを示している。一方、各階避難進捗表示2419b、2419c及び2419eのグラフは、右方向への伸長が停止しており、すなわち対応する避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されていることを示している。
また、このグラフは、対応する避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されるとその表示態様が変化するグラフである。本実施形態においては、受付部111により受け付けられた退出完了報告または避難完了報告に対応する避難確認単位のグラフの表示態様が、当該避難確認単位における退出完了または避難完了を示すように変化する。具体的には、例えば退出完了報告または避難完了報告の前において網掛け表示だったグラフが、退出完了報告または避難完了報告の後において網掛けなしの黒色表示に変化する。図9に示される例では、各階避難進捗表示2419a、2419d、2419f及び2419gのグラフは網掛け表示されており、すなわち対応する避難確認単位における退出完了または避難完了が未だ報告されていないことを示している。一方、各階避難進捗表示2419b、2419c及び2419eのグラフは、網掛けなしの黒色で表示されており、すなわち対応する避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されていることを示している。
また、このグラフには、支援装置1から発災情報が送出された後、当該避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されるまでの時間が対応付けて表示される。ここで、当該避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されている場合には、発災情報が送出された後、当該避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されるまでに要した時間が表示される。本実施形態においては、受付部111により受け付けられた退出完了情報または避難完了情報に対応する避難確認単位のグラフに対応付けて当該時間が表示される。例えば、図9に示される各階避難進捗表示2419bのグラフ上には、当該避難確認単位の退出完了または避難完了が報告されるまでに要した時間「08分05秒」が重ねて表示されている。この表示は、避難状況情報の退出時間情報または避難時間情報に基づいて行われる。一方、当該避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されていない場合には、発災情報が送出された後、現在までに経過した時間が表示される。例えば、図9に示される各階避難進捗表示2419aのグラフ上には、現在までの経過時間「08分39秒」が重ねて表示されている。この表示は、上述したグラフの長さと同様に、発災情報送出時間情報により示される日時と、現在日時との差分に基づいて特定される。
なお、表示部24は、画面に表示されるグラフのサイズが所定のサイズに達した場合に、当該グラフの縮尺を小さく変更してもよい。例えば、グラフの右端が画面内の所定の位置まで到達したときに、当該グラフの上限値を「15分00秒」から「30分00秒」に変更してもよい。この上限値の変更の結果、グラフの長さは、変更前と比較して2分の1となり、当該グラフは引き続き右方向に伸長することが可能となる。または、表示部24は、支援装置1から発災情報が送出された後、当該避難確認単位における退出完了または避難完了のうち、グラフの伸長に反映される報告があるまでに経過した時間が所定の時間に達した場合に、当該グラフの縮尺を小さく変更してもよい。例えば、グラフの数値が上限値である「15分00秒」に到達した場合に、当該上限値を「30分00秒」に変更してもよい。
以上説明した避難状況画面では、退出完了または避難完了の報告があったか否かがグラフの表示態様の変化により表現されるため、自衛消防隊員は、退出完了または避難完了の報告のあった避難確認単位とそうではない避難確認単位とを容易に識別することができる。また、上記の避難状況画面では、各避難確認単位における避難状況が一覧表示されるため、自衛消防隊員は迅速に建物全体の避難状況について把握することができ、また、避難確認単位間の避難時間を容易に比較することができる。また、上記の避難状況画面では、退出完了または避難完了が報告された避難確認単位については避難時間が表示されるため、例えば避難訓練の場合において、避難確認活動の適否について当該避難時間を基に検討することができる。一方、退出完了または避難完了の報告がない避難確認単位については現在までの経過時間が表示されるため、避難確認活動に想定以上の時間がかかっている場合には、例えば防災センタ要員が、当該活動を行っている自衛消防隊員に状況の確認を行ったり、他の自衛消防隊員に応援を要請したり、より下層階の避難確認単位の避難行動を保留させて上層階の避難を促進させたりすることが可能になる。また、避難確認単位ごとに退出または避難を完了するまでの所要時間に所定の上限値を設定し、退出完了または避難完了の報告がないまま経過時間が上限値を超える場合は、当該避難確認単位に関する表示の表示態様を変化させて注意を促すようにしてもよい。例えば、各階避難進捗表示2419の背景色やグラフ表示24194の色を警戒色等に変化させる。
上記の避難状況画面において、いずれかの各階避難進捗表示2419に表示されるグラフをタッチパネル251上でタップする選択操作を行うと、端末装置2の要求部211は、避難報告画面(図10参照)を示す画面情報の送信を支援装置1に対して要求する(S205)。この送信要求には送信元としての端末IDとが含まれる。なお、上記タップは、シングルタップに限らず、ロングタップやダブルタップ等、他の操作であってもよい。また、上記のタップの対象は、グラフに限らず、フロア名等、各階避難進捗表示2419内の他の表示領域であってもよい。
この送信要求を受信した支援装置1の通知部115は、避難報告画面を示す画面情報を記憶部12から読み出して、当該画面情報を、端末IDを送信先として、端末装置2に対して返信する(S206)。この画面情報を受信した端末装置2の表示制御部215は、避難報告画面を表示部24に表示させる(S207)。
この避難報告画面には、例えば、タイトル表示2413と、避難報告表示2420と、場所選択メニュー2421と、入力フィールド2422と、取消ボタン2423と、消去ボタン2424と、報告ボタン2425と、警報表示2415と、選択ボタン2416a〜2416eとが表示される。避難報告表示2420には、支援装置1に向けて送信される、避難の完了を確認した避難確認単位と、避難人数とを報告することを自衛消防隊員に促すメッセージが表示される。本実施形態では、図10に例示されるように、「場所と避難人数を確認して報告して下さい。」というメッセージが表示される。
場所選択メニュー2421は、退出完了又は避難完了を報告する避難確認単位を選択するためのメニューであり、その一例として、全ての避難確認単位が予め登録されているドロップダウンリストの中から報告する避難確認単位を選択するようにしている。なお、この場所選択メニュー2421には、デフォルト値として、避難報告画面に遷移させるために避難状況画面(図9参照)において選択されたグラフに対応する避難確認単位が設定されてもよい。例えば、避難状況画面において各階避難進捗表示2419aに表示されるグラフが選択された場合には、場所選択メニュー2421のデフォルト値として避難確認単位「本館3F」が設定されてもよい。ここで報告する「退出完了」とは、避難確認単位から全員退出したことであり、「避難完了」とは、避難確認単位から退出した後に所定の避難場所への移動が完了したことであり、どちらを報告するかは、予め定める消防計画において適宜決定され、両方を報告するようにしてもよいことは先に述べた通りである。
入力フィールド2422には、避難人数が入力される。本実施形態では、当該避難確認単位における退出完了を報告する場合には何も入力せず、避難場所での点呼確認によって避難完了が確認された避難人数を含む避難完了を報告する場合には、確認した避難人数が入力される。
取消ボタン2423は、場所選択メニュー2421と入力フィールド2422に入力されたデータを消去して、前の画面に遷移することを指示するためのボタンである。消去ボタン2424は、場所選択メニュー2421と入力フィールド2422に入力されたデータの消去を指示するためのボタンである。報告ボタン2425は、場所選択メニュー2421と入力フィールド2422に入力されたデータを支援装置1に送信するためのボタンである。
退出完了または避難完了を報告するときは、以上説明した避難報告画面において、場所選択メニュー2421により避難確認単位が選択され、入力フィールド2422には、退出完了を報告する場合には何も入力されない状態で、避難完了を報告する場合は避難人数(例えば、点呼によって10名の避難完了を確認した場合は「10」)が入力された状態で、報告ボタン2425が操作される。そして、端末装置2の通知部213は、選択された避難確認単位情報と入力された避難人数情報とを含む避難報告情報を応答信号として支援装置1に送信する(S208)。この応答信号には送信元としての端末装置2の端末IDが含まれる。
この応答信号を受信した支援装置1の登録部112は、隊員データベース121を参照して、応答信号に含まれる端末IDにより識別される自衛消防隊員の氏名を報告者名として特定する(S209)。そして、登録部112は、特定した報告者名と、応答信号に含まれる避難確認単位情報及び避難人数情報と、避難完了が確認されたことを示す識別子「true」とを対応づけて避難状況データベース124に登録する(S210)。
以上が、避難報告に関する動作についての説明である。
2.変形例
上記の実施形態は下記のように変形してもよい。また、下記の変形例は他の1以上の変形例と組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
上記の実施形態では、避難確認単位として1又は複数のフロアが想定されているが、避難確認単位はフロアに限るものではなく、消防計画に従って自衛消防隊員が避難確認を受け持つ範囲として予め定められる。避難確認単位は、自衛消防隊員が避難確認活動を行える範囲を考慮して、消防計画で策定されるものである。例えば空間的に分散しない範囲であり、例えばテナントビルでは入居しているテナント単位、つまりは店舗単位であり、企業単位であり、部所単位であるようにしてもよく、退出を確認した後に、避難先で避難したことを点呼確認する単位として適宜決定される。
2−2.変形例2
上記の実施形態において避難状況画面(図9参照)には複数の各階避難進捗表示2419が表示されているが、必ずしも複数の各階避難進捗表示2419が表示されなくてもよい。すなわち、端末装置2の表示部24は、防火対象物である建物の各避難確認単位のうち少なくとも一の避難確認単位についてグラフを画面に表示すればよい。この際、端末装置2を携帯する自衛消防隊員が担当する避難確認単位についてのみグラフを画面に表示するようにしてもよい。また、上記の実施形態において避難状況画面には報告者名と避難時間とが表示されているが、必ずしも両方の情報が表示されなくてもよい。すなわち、端末装置2の表示部24は、発災情報が送出された後、避難確認単位における退出完了または避難完了が報告されるまでに要した時間と、避難確認単位において退出完了または避難完了を報告した人員の名称のうちの少なくともいずれか一方を表示するようにしてもよい。
2−3.変形例3
上記の実施形態において避難状況画面(図9参照)に表示されるグラフは棒グラフ(より具体的には、横棒グラフ)であったが、縦棒グラフや、円グラフや、バブルチャート等、その他のグラフであってもよい。例えば、円グラフを採用する場合には、端末装置2の表示部24は、時間の経過につれて基線が開始位置より回転するように円グラフをアニメーション表示し、対応する避難確認単位における退出完了または避難完了が報告された場合には、基線の回転を停止させるようにしてもよい。また、バブルチャートを採用する場合には、端末装置2の表示部24は、時間の経過につれて半径が拡大するようにバブルチャートをアニメーション表示し、対応する避難確認単位における退出完了または避難完了が報告された場合には、半径の拡大を停止させるようにしてもよい。これら、基線の回転や半径の拡大は、時間の経過を示す表示態様の変化の一例である。
2−4.変形例4
上記の実施形態において避難状況画面(図9参照)に表示されるグラフは、その表示が網掛け表示から、網掛けなしの黒色表示に変化することにより、対応する避難確認単位における退出完了または避難完了を示している。しかし、退出完了または避難完了を示す表示態様の変化は、この例に限られない。例えば、黒色以外の色への変化や、網掛け以外のパターンの付加や、アニメーションの付加等、その他の表示態様の変化であってもよく、視覚的に変化を識別できて状況の変化を認識できるような表示態様の変化であればよい。
2−5.変形例5
上記の実施形態において、避難報告画面(図10)では避難確認単位における退出完了または避難完了を報告するものとして説明したが、避難確認単位での全員退出を確認して退出完了報告をし、さらに避難場所に集合して点呼確認し、避難人数を入力して避難完了報告をするようにしてもよい。このとき、退出完了報告と避難完了報告とは、避難人数の入力の有無を以て区別するとよい。また、図示しないが報告ボタン2425を退出完了用と避難完了用の2つの報告ボタンに別けてもよい。
一方、避難状況画面(図9)では、時間の経過を示すように変化させ、避難確認単位における退出完了または避難完了の報告に基づいて、その変化を停止させるグラフ表示24194を画面に表示するものとして説明した。しかし、上述のように、退出完了と避難完了の両方の報告がある場合、退出完了報告まで変化させるグラフと避難完了報告まで変化させるグラフの両方を表示させるようにしてもよい。また、退出完了報告があるまでの時間経過と、避難完了報告があるまでの時間経過の両方を示すように、1つのグラフで表示態様を変えて表示させるようにしてもよい。例えば、発災情報が通知されてから第1の色で時間経過を示すようにグラフを変化させ、退出完了報告があれば第2の色に変化させてその領域のグラフの時間経過を示す変化を停止させる。そして、その続きから第3の色で時間経過を示すようにグラフを変化させ、避難完了報告があれば第3の色の領域を第4の色に変化させてその領域のグラフの時間経過を示す変化を停止させてもよい。上記の第1の色〜第4の色は、異なる表示態様とする一例であり、ハッチング等の異なるパターン、アニメーションの付加等、その他の表示態様の変化であってもよい。
このように、避難確認単位において、退出完了と避難完了を報告し、退出完了報告があるまでの時間経過と避難完了報告があるまでの時間経過の両方を示すようにグラフを変化させて画面に表示させることにより、各避難確認単位における退出完了と避難完了の両方の状況を識別して認識することができる。ひいては、自衛消防隊員が建物内の各避難確認単位での避難確認活動を行うにあたって、退出と避難の完了を速やかに報告できるようにするとともに、視覚的にわかりやすく表示して、迅速かつ的確に、避難状況を把握できる。さらに、自衛消防隊員間で避難状況の情報を共有し、各隊員が建物全体の避難状況を把握できる。
2−6.変形例6
上述した実施形態では、感知手段が感知する異状とは火災やガス漏れであったが、他の異状を感知するようにしてもよい。例えば、漏電や水漏れや地震などを感知する感知手段であってもよい。また、上記の実施形態では、支援装置1が受信機10から異状信号を受信したことを契機として支援装置1から端末装置2に対して発災情報が送信されているが、地震の発生やテロ予告等の他のイベントの発生を契機として、当該イベントについて通知する発災情報が端末装置2に対して送信されてもよい。すなわち、建物からの避難を要するあらゆる事態を対象としてもよい。この場合、支援装置1は、建物の管理責任者の判断による避難指示に基づいて発災情報を送出するようにしてもよい。すなわち、支援装置1の受付部111は、受信機10から送出される異状信号以外に、建物の管理責任者の判断による避難指示を受け付けるようにし、受付部111が避難指示を受け付けたときに、通知部115が各端末装置2へ発災情報を通知するようにしてもよい。この発災情報は、各端末装置2の通信部23より受信される。ここで、当該避難指示は、例えば、管理責任者用の端末装置2の操作部に避難指示を入力するボタンを設けて、このボタンが操作されたときに要求部211が、通信部23と通信回線3とを介して避難指示要求を支援装置1に対して送出するようにしてもよい。また、管理責任者用の他の端末装置(例えば、PCや携帯端末)や、防災センタに備わる総合操作盤や火災受信機から、同様にして通信回線3を介して避難指示要求を支援装置1に送出するようにしてもよい。
2−7.変形例7
上記の実施形態では、支援装置1の側で避難状況データベース124を参照してWebページである避難状況情報を生成し、端末装置2の側では、支援装置1から受信された避難状況情報に基づいて避難状況画面(図9参照)の表示が行われている。しかし、本発明の実施形態はこれに限られず、例えば端末装置2の側で避難状況情報の表示画面を生成するようにしてもよい。具体的には、端末装置2にも避難状況データベースを備えさせ、当該データベースを支援装置1の避難状況データベース124と同期させるようにすればよい。すなわち、端末装置2の受付部212は、防火対象物である建物内の各避難確認単位のうち人員により退出完了または避難完了が報告された避難確認単位の避難状況情報を支援装置1から所定のタイミングで受け付けて、避難状況データベースに格納する。また、受付部212は、各避難確認単位について、退出完了または避難完了が報告された場合のそれぞれの退出時間情報または避難時間情報と報告者情報と、避難完了報告された場合の避難人数情報とを支援装置1から同様に受け付けて、避難状況データベースに格納する。そして、端末装置2の表示制御部215は、自装置の避難状況データベースを参照して、支援装置1で生成していたWebページに相当する避難状況画面を生成する。この変形例の場合、端末装置2の要求部211は、避難状況画面を画面に表示させるにあたり、避難状況情報の送信を支援装置1に要求する必要がなくなる。
2−8.変形例8
上記の実施形態では、退出完了または避難完了の報告がない避難確認単位については現在までの経過時間が表示されるようにしている。ここで、避難確認単位ごとに退出または避難を完了するまでの所要時間に所定の上限値を設定し、退出完了または避難完了の報告がないまま経過時間が上限値を超える場合は、当該避難確認単位に関する表示の表示態様を変化させて注意を促すようにしてもよい。例えば、各階避難進捗表示2419の背景色やグラフ表示24194の色を警戒色等に変化させる。
このようにすることにより、避難確認活動に想定以上の時間がかかり、予め想定して決定した上限値を超えるような場合、異常事態が発生している虞があることを察知することができ、適切な対応を行うことが可能となる。例えば防災センタ要員が、当該活動を行っている自衛消防隊員に状況の確認を行ったり、他の自衛消防隊員に応援を要請したり、より下層階の避難確認単位の避難行動を保留させて上層階の避難を促進させたりすることができる。
2−9.変形例9
上記の実施形態では、自火報設備200から送出される異状信号又は建物の管理責任者の判断による避難指示に基づいて支援装置1が発災情報を送出している。そして、端末装置2に初動画面(図6)を表示させ、次の段階で避難状況画面を表示し得るようにしていたが、避難確認単位ごとに異なるタイミングで避難開始を指示する画面を端末装置2に表示させるようにしてもよい。例えば、出火階とその直上の階(以下、直上階)を最優先で避難開始させるように、当該避難確認単位の端末装置2に表示させる初動画面に避難開始の指示を表示させ、他の階の避難確認単位の端末装置2の初動画面に避難に備えて待機する指示を表示させるようにする。このようにすることにより、避難経路の渋滞を招くことなく、最優先で避難させることができる。そして、所定時間の後に出火階及直上階よりも上層の階にあたる避難確認単位の端末装置2の初動画面に避難開始の指示を表示させ、次いで、出火階よりも下層の階にあたる避難確認単位の端末装置2の初動画面に避難開始の指示を表示させる。各階への避難開始の指示は、避難経路の渋滞を招かないように予め消防計画で適宜策定される。そして、これらの時間差を設けた避難指示を初動画面に表示させるために、支援装置1の通知部115は、予め定めたタイミングで所定の避難開始指示を含む初動画面を当該端末装置2に表示させるように作成して通知し、通知要求部114は、予め定めたタイミングで当該端末装置2に上記初動画面を取得させるようにプッシュ通知するように要求するようにする。このようにすることにより、リスクの高い場所から順次、速やかに避難をさせることができる。
2−10.変形例10
上記の実施形態では、避難完了報告によって当該避難確認単位の避難が完了したものとしていたが、避難完了報告の際に報告された避難人数を、入退管理システムと連携させて入館人数と照合し、検証するようにしてもよい。この入館者数は、例えば、防火対象物である建物において利用者の入退館を管理する入退管理システム(図示なし)から出力される入退館情報に基づいて特定される。具体的には、支援装置1の受付部111が、入退管理システムから通信回線3を介して定期的に入退館情報を受け付け、登録部112が、受け付けられた入退館情報に基づいて、避難状況データベース124に在館者数を登録する。そして、発災情報を生成した時点で在館者数を避難すべき人数として再登録し、避難完了報告で報告される避難人数の総数と照合し、整合する場合に避難が完了したものとして判断されるようにする。そして、各端末装置2に全館避難完了した旨を通知する画面を表示させるようにしてもよい。このようにすることにより、退出や避難の完了を確認する段階で漏れた者の存在を察知することが可能となり、残留者が存在する可能性がある場合に、本発明の出願人が先に特願第2015−061544号で開示したように、探索完了した場所と探索が完了していない場所と自らの位置とを地図表示するようにした端末装置2を携帯した自衛消防隊員を組織して残留者の探索を行う契機とすることができる。
さらに、入退管理システムの管理単位を本発明の避難確認単位と一致させるようにし、上記の在館者数に代えて避難確認単位ごとの在留者数として把握するようにしてもよい。具体的には、支援装置1の受付部111が、入退管理システムから通信回線3を介して定期的に在留者情報を受け付け、登録部112が、受け付けられた在留者情報に基づいて、避難状況データベース124において避難確認単位ごとに在留者数を登録する。そして、発災情報を生成した時点で在留者数を避難すべき人数として再登録し、避難完了報告で報告される避難確認単位ごとの避難人数と照合し、整合する場合に避難が完了したものとして判断されるようにする。そして、当該端末装置2に当該避難確認単位の避難が完了した旨を表示させるようにしてもよい。このようにすることにより、退出や避難の完了を確認する段階で漏れた者の存在を察知することが可能となり、上記と同様に残留者の探索を行う契機とすることができる。
このようにすることにより、自衛消防隊員が建物内の各避難確認単位での避難確認活動を行うにあたって、退出や避難の完了を速やかに報告できるようにするとともに、視覚的にわかりやすく表示して、迅速かつ的確に、把握できる避難状況をより精度よく行うことができる。
2−11.変形例11
上記の実施形態に係る避難状況画面(図9参照)を表示する際、建物内に多数の避難確認単位が存在する場合には、すべての避難確認単位についての各階避難進捗表示2419が一画面に収まらない場合がある。自身が担当する避難確認単位についての情報が、最初に表示される画面に表示されていない場合には、自衛消防隊員は、自身が担当する避難確認単位についての情報を探すために、画面をスクロール等する必要がある。その場合、自衛消防隊員は、自身が担当する避難確認単位の避難状況を確認したり、当該避難確認単位についての避難報告を行ったりするために、余計な操作と時間の浪費を余儀なくされることになる。そこで、避難状況画面を表示する際に、自衛消防隊員が担当する避難確認単位を、新たな操作を必要とせずに確実に表示できるようにしてもよい。
具体的には、上記の実施形態において、端末装置2の表示部24は、避難状況情報が複数の避難確認単位に関するものである場合に、避難状況情報を支援装置1に対して要求した端末装置2に対応する避難確認単位についてのグラフを、表示部24に映出される画面の範囲内に自動的に表示するようにしてもよい。ここで、グラフとは、上記の実施形態に係るグラフ表示24194である。その際、表示部24は、避難状況情報を支援装置1に対して要求した端末装置2に対応する避難確認単位についてのグラフに加えて、避難確認単位に隣接する避難確認単位についてのグラフを、表示部24に映出される画面の範囲内に自動的に表示してもよい。隣接する避難確認単位についてのグラフを表示することで、隣接する避難確認単位への応援や任務の代行を迅速に行うことができる。また、隣接する避難確認単位も自身の担当となっていた場合に、当該避難確認単位についても避難状況の確認や避難報告を迅速に行うことができる。以下、より具体的な実施例について説明する。
(1)上記の実施形態に係る避難報告に関する動作(図11参照)において、支援装置1の生成部113は、端末装置2から端末IDを含む送信要求を受信すると、避難状況データベース124を参照して避難状況情報を生成する(S202)。その際、生成部113は、全体避難状況画面と、担当フロア避難状況画面とを表す避難状況情報を生成する。全体避難状況画面は、上記の実施形態に係る避難状況画面(図9参照)と同様の画面である。一方、担当フロア避難状況画面は、全体避難状況画面に表示される各階避難進捗表示2419のうち、端末装置2を所持する自衛消防隊員が担当する避難確認単位とそれに隣接する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419のみを表示する画面である。詳細については後述する。生成部113は、担当フロア避難状況画面を表す情報を生成するにあたり、送信要求に含まれる端末IDに基づいて、隊員データベース121を参照して、端末装置2を所持する自衛消防隊員が担当する避難確認単位とそれに隣接する避難確認単位を特定する。そして、特定した避難確認単位について、避難状況データベース124を参照して、当該情報を生成する。なお、生成部113により生成される避難状況情報は、本変形例に係る実施例においてWebページである。
支援装置1の通知部115は、生成部113により生成された避難状況情報を、端末装置2から受信された送信要求に含まれる端末IDを送信先として、端末装置2に対して返信する(S203)。この避難状況情報は端末装置2の受付部212により受け付けられ、端末装置2の表示制御部215は、受け付けられた避難状況情報に基づいて担当フロア避難状況画面(図12(a)参照)を表示部24に表示させる(S204)。ここで、担当フロア避難状況画面は、全体避難状況画面よりも先に表示される。
担当フロア避難状況画面には、例えば、タイトル表示2413と、全体避難進捗表示2418と、各階避難進捗表示2419h〜2419jと、警報表示2415と、選択ボタン2416a〜2416eとが表示される。これらの表示項目の機能については、上記の実施形態に係る避難状況画面(図9参照)と同様であるため、その説明を省略する。
担当フロア避難状況画面には、各階避難進捗表示2419としては、別館3階から5階にかけての各階避難進捗表示2419h〜2419jのみが表示される。上記の実施形態に係る避難状況画面(図9参照)では、別館3階から5階にかけての当該表示は画面内に表示されていないが、この担当フロア避難状況画面では表示されている。ここで、本表示例では、別館4階が、端末装置2を所持する自衛消防隊員が担当する避難確認単位であると想定している。すなわち、端末装置2の表示部24は、端末装置2に対応する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419(より具体的には、グラフ表示24194)を、表示部24に映出される画面の範囲内に自動的に表示する。また、表示部24は、当該避難確認単位に隣接する避難確認単位(具体的には、直上階、直下階)についての各階避難進捗表示2419(より具体的には、グラフ表示24194)を、表示部24に映出される画面の範囲内に自動的に表示する。このように、避難状況情報が端末装置2に受信されて最初に表示される画面に自身が担当する避難確認単位の避難状況が示されるため、自衛消防隊員は迅速に自身の担当する避難確認単位の避難状況を確認したり、当該避難確認単位についての避難報告を行ったりすることができる。また、同画面には、隣接する避難確認単位の避難状況も示されるため、自衛消防隊員は迅速に隣接する避難確認単位への応援や任務の代行の要否を判断することができる。
この担当フロア避難状況画面に対して、例えば左方向へのスワイプ操作が行われると、端末装置2の表示制御部215は、避難状況情報に基づいて全体避難状況画面(図12(b)参照)を表示部24に表示させる。この画面は、上記のように、上記の実施形態に係る避難状況画面(図9参照)と同様であるため、その説明を省略する。この全体避難状況画面に対して、例えば右方向へのスワイプ操作が行われると、上述した担当フロア避難状況画面が再度表示される。
なお、上記の変形例に係る担当フロア避難状況画面において、端末装置2に対応する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419は、隣接する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419よりも上に(すなわち、先頭に)表示されてもよい。また、担当フロア避難状況画面において、隣接する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419の表示を省略してもよい。また、担当フロア避難状況画面と全体避難状況画面の切り替えは、スワイプ操作以外の操作により指示されてもよい。例えば、ページ送り操作により指示されてもよい。また、担当フロア避難状況画面を表す画面データは、支援装置1に代えて端末装置2で生成されてもよい。例えば、支援装置1から受信される、全体避難状況画面を表す避難状況情報に基づいて端末装置2側で生成されてもよい。また、隣接する避難確認単位は、建物が工場や競技場等の広い建物の場合には、水平方向に隣接する避難確認単位であってもよい。
また、上記変形例に係る担当フロア避難状況画面が避難報告画面を兼ねるようにしてもよい。例えば、画面241に表示された担当フロア避難状況画面の空きスペース(例えば、図12(a)の画面の下方)に、避難報告画面(図10を参照)に表示された、場所選択メニュー2421と、入力フィールド2422と、取消ボタン2423と、消去ボタン2424と、報告ボタン2425といった操作手段を表示させる。また、例えば、画面241に表示される担当フロア避難状況画面において、表示される各階避難進捗表示2419の間にスペースを設けて、各階毎に、入力フィールド2422と、取消ボタン2423と、消去ボタン2424と、報告ボタン2425といった操作手段を表示させるようにして、場所選択メニュー2421を廃してもよい。すなわち、支援装置1の通知部115は、端末装置2からの避難報告画面の画面情報の送信要求(S205)を待たず、避難状況情報を送信する際(S203)に避難報告画面の画面情報も端末装置2へ送信する。そして、担当フロア避難状況画面とともに避難報告用の上記操作手段を表示する。このようにすることにより、端末装置2が避難報告画面の画面情報の送信要求を行うステップ(S205)と、当該送信要求に応じて支援装置1が避難報告画面の画面情報を端末装置2へ返信するステップ(S206)と、この避難報告画面の画面情報に基づいて端末装置2が避難報告画面を表示部24に表示するステップ(S207)とを省略することができる。したがって、避難報告の手順を簡略化し、端末装置2を所持する自衛消防隊員は担当する避難確認単位または隣接する避難確認単位の避難報告を迅速に行うことができる。
(2)上記の実施形態に係る避難報告に関する動作(図11参照)において、支援装置1の生成部113は、端末装置2から端末IDを含む送信要求を受信すると、避難状況データベース124を参照して建物全体の避難状況情報を生成する(S202)。その際、生成部113は、避難状況画面を表す避難状況情報を生成する。この避難状況情報には、当該画面の表示時に、端末装置2を所持する自衛消防隊員が担当する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419を画面中央に表示させるためのコードが埋め込まれる。より具体的には、当該情報の読み込み後に、当該各階避難進捗表示2419が画面中央に位置するまで画面を自動スクロールするコードが埋め込まれる。生成部113は、この避難状況情報を生成するにあたり、送信要求に含まれる端末IDに基づいて、隊員データベース121を参照して、端末装置2を所持する自衛消防隊員が担当する避難確認単位を特定する。なお、生成部113により生成せれる避難状況情報は、本変形例に係る実施例においてWebページである。
支援装置1の通知部115は、生成部113により生成された避難状況情報を、端末装置2から受信された送信要求に含まれる端末IDを送信先として、端末装置2に対して返信する(S203)。この避難状況情報は端末装置2の受付部212により受け付けられ、端末装置2の表示制御部215は、受け付けられた避難状況情報に基づいて避難状況画面(図13参照)を表示部24に表示させる(S204)。
避難状況画面には、例えば、タイトル表示2413と、全体避難進捗表示2418と、各階避難進捗表示2419f〜2419lと、警報表示2415と、選択ボタン2416a〜2416eとが表示される。これらの表示項目の機能については、上記の実施形態に係る避難状況画面(図9参照)と同様であるため、その説明を省略する。
この避難状況画面が表示される際、表示制御部215は、避難状況情報に含まれるコードに基づいて、当該情報の読み込み後に、各階避難進捗表示2419が画面中央に位置するまで画面を自動スクロールする。その結果、この避難状況画面では、各階避難進捗表示2419のうち、別館4階についての各階避難進捗表示2419iが中央に表示されている。上記の実施形態に係る避難状況画面(図9参照)では、別館4階についての当該表示は画面内に表示されていないが、この避難状況画面では表示されている。ここで、本表示例では、別館4階が、端末装置2を所持する自衛消防隊員が担当する避難確認単位であると想定している。すなわち、端末装置2の表示部24は、端末装置2に対応する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419(より具体的には、グラフ表示24194)を、表示部24に映出される画面の範囲内に自動的に表示する。また、表示部24は、当該避難確認単位に隣接する避難確認単位(具体的には、直上階、直下階)についての各階避難進捗表示2419(より具体的には、グラフ表示24194)も、表示部24に映出される画面の範囲内に自動的に表示する。このように、避難状況情報が端末装置2に受信されて最初に表示される画面において、自身が担当する避難確認単位の避難状況が自動的に表示されるため、自衛消防隊員は迅速に自身の担当する避難確認単位の避難状況を確認したり、当該避難確認単位についての避難報告を行ったりすることができる。また、同画面には、隣接する避難確認単位の避難状況も自動的に表示されるため、自衛消防隊員は迅速に隣接する避難確認単位への応援や任務の代行の要否を判断することができる。最初に表示部24に表示される避難状況画面は、建物全体の避難状況画面の一部であるので、端末装置2を所持する自衛消防隊員が操作して画面をスクロールさせることにより、他の避難確認単位の避難状況を任意に確認したり、当該避難確認単位についての避難報告を行ったりすることもできる。
なお、上記の変形例に係る避難状況画面において、端末装置2に対応する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419が表示される位置は、各階避難進捗表示2419全体の先頭であってもよい。また、上記の変形例に係る実施例において、避難状況画面が複数のページにより構成される場合には、自動ページ送り(及び自動スクロール)により、端末装置2に対応する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419を、同画面を最初に表示する際に中央に表示するようにしてもよい。また、避難状況情報に上記のコードを埋め込む代わりに、端末装置2が備えるブラウザに、端末装置2に対応する避難確認単位についての各階避難進捗表示2419を中央に表示させるための機能を付加してもよい。また、隣接する避難確認単位は、建物が工場や競技場等の広い建物の場合には、水平方向に隣接する避難確認単位であってもよい。
(3)上記(1)、(2)において、支援装置1が編成部116を有し、自衛消防隊を自動的に編成する場合は、自衛消防隊員が担当する避難確認単位を特定する際に、隊員データベース121を参照することに代えて、役割データベース122を参照するとよい。編成部116が自動的に編成した自衛消防隊の隊員が担う役割とその担当する地区は、役割データベース122に役割の情報として記憶されている。例えば、避難確認を担う隊員の場合は、役割データベース122に記憶される役割の情報には、担当する避難確認単位の識別情報を含む。そこで、隊員データベース121を参照することに代えて役割データベース122を参照し、自衛消防隊員が担当する避難確認単位を特定し、さらに隣接する避難確認単位を特定すればよい。