以下、本発明を利用する一実施の形態について説明する。まず、本実施の形態に係る支援システム100および支援システム100が接続される異状警報設備としての自動火災報知設備200(以下、「自火報」という)のシステム構成について、図1に基づいて説明する。
支援システム100は、火災等の異状に対応する自衛消防隊等の隊員が携帯する複数の携帯端末2と、自火報200の受信機4に接続された支援装置1と、で構成される。そして、支援装置1と携帯端末2は、通信回線3を介して互いに通信する。この通信回線3は、例えばIMT−2000に準拠した無線通信網などであるが、これに限るものではなく、例えばiEEE802.11に準拠する屋内の無線LANなどであってもよい。通信回線3は、少なくとも各携帯端末2と無線通信で接続され、支援装置1と携帯端末2との間で通信を行う通信網である。
自火報200は、消防法等(日本国においては、消防法第17条及び消防法施行令第21条等)の国家規程に従って設置されるような公知の自動火災報知設備である。自火報200は、このような規定に従う、あるいは準拠するものであれば、必ずしも上記規定に従って設置されたものでなくてもよく、自主設置されたものであってもよい。自火報200は、火災やガス漏れ等の異状を感知する感知手段としての火災感知器5、ガス漏れ検知器6等を有する。感知手段5、6は、建築物の各所に配設され、信号線10を介して、あるいは中継器8と信号線10とを介して、火災受信機4へ接続される。そして、異状としての火災またはガス漏れを感知すると感知信号を受信機4へ送出する。この火災受信機4は、建築物の1階部分などの防災センタ(不図示)に設置される。そして、感知手段5、6からの感知信号に基いて火災受信機4が異状と判断すると、火災受信機4において警報を発するとともに火災発生等の異状信号を送出し、また、建築物に配設された音響装置7等より警報音または警報メッセージを出力して、火災発生等の異状を報知する。
上記感知手段5、6は、個別に付与された固有の識別子であるアドレスを有し、火災発生等の異状を感知したときはどの感知手段が感知したか判別できるようになっている。すなわち、自火報200は、いわゆるアドレッサブル方式であり、異状を感知した感知手段5、6のアドレスに基いて、異状発生の位置情報を取得する。また、これらの感知手段5、6がアドレス等の固有の識別子を有しない場合であっても、感知手段5、6が配設された区画を受信機4が判別できるようになっていてもよい。この場合、異状発生の位置情報は、異状を感知した区画として取得する。
次に、支援システム100を構成する支援装置1の構成について、図2に基づいて説明する。
支援装置1は、制御部11と、記憶部12と、第1の通信部13と、第2の通信部14と、表示部15と、操作部16とを有する。第1通信部13は、信号線C1を介して受信機4に接続されて制御情報等を通信するインターフェースである。火災等の異状が発生したとき、第1の通信部13は受信機4より異常発生に関する位置情報を含む異状情報を受信する。第2の通信部14は、信号線C2を介して通信回線3と接続して制御情報等を通信するインターフェースである。信号線C2に代えて無線通信で通信回線3と接続するようにしてもよい。記憶部12は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、火災等の異状に対応する自衛消防隊等の活動を支援するための処理を実行するプログラム等を記憶する。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムに基づいて支援装置1の各部の動作を制御し、表示部15への表示内容を制御し、操作部16での操作を受け付けて制御に反映させる。
制御部11は、図示しないCPU等の演算処理装置を備え、その機能的構成として、特定部111、要求部112、受付部113、通知部114、表示制御部115を備える。
特定部111は、第1の通信部13を介して受信した、異状発生に関する位置情報を含む異状情報に基づいて、異状内容を特定するとともに、後述する記憶部12の地図データベース121を参照して異状を感知した感知手段5、6を特定し、特定された感知手段5、6の設置場所を異状位置情報とする異状情報特定手段である。
要求部112は、異状発生時に、第2の通信部14を介して携帯端末2に端末位置情報の送信を要求する要求手段である。
受付部113は、第2の通信部14を介して携帯端末2の位置を表す端末位置情報(詳しくは後述する)を受け付ける受付手段である。
通知部114は、第2の通信部14を介して特定部111が特定した異状情報を送信し、携帯端末2に、後述する記憶部22の地図情報を参照して、異状情報に基いて異状内容と異状位置とその周辺地図とを表示する通知画面を表示させる通知手段である。この通知部114が携帯端末2に、第2の通信部14を介して通知画面を表示するように指令信号を送信する。
表示制御部115は、特定部111が特定した異状情報に基いて、後述する地図データベース121の地図情報を参照して、異状位置に関連する地図表示と、受付部113が受け付けた端末位置情報に基く端末位置とを、さらに特定部111が特定した異状内容を、表示部15に表示させる表示制御手段である。
また、記憶部12は、制御部11が支援装置1全体の動作を制御するためのプログラムに加えて、第1の記憶領域に、情報部として、地図情報である建築物の地図データおよび火災感知器5、ガス漏れ検知器6、等の各種機器を表示するシンボルおよびその位置データを含む情報を記憶する地図データベース121を有する。地図データベース121が記憶する建築物の地図データとしては、フロア毎の平面地図が記憶され、さらに、全フロアを高さ方向に縦割表示する断面地図が記憶されるようにしてもよい。
地図データベース121に記憶される各種機器の位置データは、受信機4を介して火災等の異状を感知した感知手段位置情報として与えられる感知手段5、6に個別に付与された固有の識別子としてのアドレス(または感知手段が配設された区画情報としての区画番号)と、例えば、棟、階、フロアにおける座標(または区画)で示される建築物における位置情報としての建築物位置情報のデータとを関連付けて記憶する。例えば、「AL2」で表される感知器が配設された位置情報として、「1棟(建築物)・20階(階層)・X1Y2(平面座標)」というように、感知手段の設置座標情報として記憶部12に記憶する。また、例えば、感知器「AL2」の位置場所を「1棟(建築物)・20階(階層)・第1区画(区画)」というように、感知器が配設された区画情報として記憶してもよい。位置情報として記憶するデータは上記に限るものではなく、平面図等の地図データに対しての感知手段が配設された位置として関連付けられればよい。
また、記憶部12は、第2の記憶領域に、端末データベース122を有し、
火災等の異状に対応する自衛消防隊等の隊員が携帯する携帯端末2に付与された固有の識別子(詳しくは後述する)を記憶する。この端末データベース122は、携帯端末2に関連付けて、携帯端末2を携帯する隊員の氏名等の個人識別情報や、これに関連して隊員の各役割に対する適性、さらには、その優先順位を記憶するようにしてもよい。また、広い敷地のプラント等で自衛消防のための消防車を有するような場合、その消防車に搭乗して現場に向かう自衛消防隊員が携帯する携帯端末2の識別子を記憶するようにしてもよい。また、そのような消防車は公設消防隊のものであってもよく、すなわち公設消防隊の隊員が携帯する携帯端末に上記識別子を適用するようにしてもよい。
次に、支援システム100を構成する携帯端末2の構成について、図3に基づいて説明する。
携帯端末2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作部24と、携帯表示部25と、測位部26とを有する。携帯端末2は、火災等の異状に対応する自衛消防隊等の隊員が携帯する携帯型の端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。
制御部21は、図示しないCPU、ROM、RAM等を有し、CPUがROMまたは後述する記憶部22に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより携帯端末2の各部を制御する。
携帯表示部25は、LCD、有機EL等の表示デバイスであり、制御部21からの指示に応じて画像を表示する画面251を有する。
操作部24は、タッチパネル241を有する。タッチパネル241は、例えば操作者の指などの指示体によって操作され、表示部25の画面251に重なる領域における位置を指示する操作を検出する。タッチパネル241は、例えば、画面251に重ねられた透明な静電容量方式のタッチパネルである。
記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性の記憶手段であり、制御部21のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。また、加えて携帯端末2に固有の識別子も記憶し、支援装置1から異状情報が通知されたときに画面251に表示するための地図情報も記憶する。
通信部23は、支援装置1と通信するために、無線通信によって通信回線3と接続するインターフェースである。
測位部26は、測位システムを利用して、携帯端末2が自己の位置を示す情報である位置情報を取得する測位手段である。測位システムとしては、例えば、人工衛星を用いた測位システムとして、GPS(Global Positioning Syatem)、GLONASS、Galileo、IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System)、QZSS(Quasi−Zenith Satellite Syatem)等を利用することができる。また、これら人工衛星を用いた測位システムの衛星電波を利用できない屋内における測位システムとしては、擬似衛星GPS(スードライト)、GPSリピータ、IMES(Indoor MEssaging System)、無線LAN測位システム、QRコード(登録商標)や電子タグ等の電子標識による測位システム、等を利用することができる。
測位部26が利用する測位システムは、本発明の支援システム100の使用環境に応じて適宜選択されるが、これらに限るものではなく、自己の位置情報を得ることができるものであれば如何なる測位システムであってもよい。そして、このような測位システムを利用して、測位部26は携帯端末2の位置情報を適宜周期的に取得する。なお、携帯端末2の位置情報は、周期的に取得するに限らず、支援装置1からの要求に応じて取得するようにしてもよい。
次に、携帯端末2にスマートフォンを用いた場合について、携帯表示部25の表示画面251に表示される画像の例を説明する。スマートフォンを用いた携帯端末2は、図4に示すように、略長方形の前面の大半を携帯表示部25の表示画面251が占め、表示画面251に重ねてタッチパネル241が設けられる。そして、表示画面251には、支援装置1と連携して異状の発生、異状発生位置、自己の位置、これらの位置を含む周辺地図、操作のための釦が表示される。ここでは、簡便のため、一つのビルにおいて異状としての火災が発生した場合の表示画面251の表示例を図5から図8に基いて説明する。
まず、図5を参照して説明する。図5は、支援装置1から異状情報として火災の情報を通知されたときの表示例である。表示画面251には何が表示されているかが把握できるよう、目立つように表示状態を示す状態表示部2510が設けられる。図5の場合は、表示画面251上端に表示画面251の横幅の大半を占める状態表示部2510が設けられ、火災が発生した旨を表示する「火災発生」の文字が表示されている。そして、表示画面251の中央部にはグラフィック表示部2511が設けられ、記憶部22の地図情報に基く地図が表示される。ここでは、建築物として3階建のビルの高さ方向を図示する断面地図が表示されている。そして、表示された断面地図に重ねて、支援装置1からの火災情報に基いて3階部分に火災階を表すシンボル「×」が、また、測位部26からの位置情報に基いて1階部分に現在地を表すシンボル「○」が、それぞれ表示されている。このような階層だけを表示するような断面地図は、各階での詳細な位置までは表示できないが、火災階と現在地とが異なる階層である場合に、両者を同時に表示して俯瞰し、位置関係を容易に把握できるので、ビル全体の状況を把握できる利点がある。そして、各階を表す長方形の領域には、タッチパネル241を利用した操作釦が設けられ、後述するように操作した階の釦に応じて所望の階の詳細な平面地図(水平方向の断面を図示)を表示させるようにする。例えば、1階部分の表示領域2511aにはタッチパネル241の操作領域241aが、同様に、2階部分の表示領域2511bには操作領域241bが、3階部分の表示領域2511cには操作領域241cが、それぞれ設けられる(図示せず)。そして、表示画面251の下端にはテキスト表示部2512が設けられ、グラフィック表示部2511に表示したシンボルの凡例と、各階の詳細な平面図を表示するための操作方法とを表示し、表示内容および操作方法の理解を助ける。
そして、断面地図表示画面(図5)において、火災階である3階部分の表示領域2511cに重なるタッチパネル241の操作領域241cにタッチする操作を行うと、グラフィック表示部2511に火災階である3階の平面地図2514が表示され、この平面地図2514に重ねて火災位置を示すシンボル「×」が表示される。これによって、詳細な火災位置を把握することができる。また、平面地図2514の下方には、元の断面地図表示に戻るための操作釦領域2513が表示され、これに重なるタッチパネル241の操作領域を操作すると、図5に示した断面地図表示に戻ることができる。このとき、テキスト表示部2512には、グラフィック表示部に表示したシンボルの凡例と、断面地図の表示に戻すための操作方法とが表示され、表示内容および操作方法の理解を助ける(図6参照)。なお、図示しないが、平面地図を表示する場合は、表示中のフロアが何階かを文字等で同時に表示することが好ましい。このように表示中の地図の階層を表示しておくと、表示しているフロアを失念しそうな場合にも画面251を見れば分かる。
また、断面地図表示画面(図5)において、現在地である1階部分の表示領域2511aに重なるタッチパネル241の操作領域241aにタッチする操作を行うと、グラフィック表示部2511に現在地の階である1階の平面地図2515が表示され、この平面地図2515に重ねて現在地を示すシンボル「○」が表示される。これによって、詳細な現在地を把握することができる。また、平面地図2515の下方には、元の断面地図表示に戻るための操作釦領域2513が表示され、これに重なるタッチパネル241の操作領域を操作すると、図5に示した断面地図表示に戻ることができる。このとき、テキスト表示部2512には、グラフィック表示部に表示したシンボルの凡例と、断面地図の表示に戻すための操作方法とが表示され、表示内容および操作方法の理解を助ける(図7参照)。
一方、携帯端末2は、火災階と現在地とが同一階であると判断した場合、図5に示したような断面地図を表示せずに、共通の階の平面地図を表示するようにしてもよい(図8参照)。このような場合であっても、他の階へ火災が拡大したり、他の階で同時火災が発生したりしないとも限らない。そこで、ビル全体の状況を把握できるように、図5に示したような断面地図表示とできるようにしておくことが望ましい。すなわち、図6および図7の平面地図表示と同様に、平面地図2515の下方に、元の断面地図表示に戻るための操作釦領域2513を表示する。そして、これに重なるタッチパネル241の操作領域を操作すると、図5に示した断面地図表示に戻ることができる。
なお、図6乃至図8のように平面地図を表示する場合、表示中のフロアが何階かを文字等で同時に表示することが好ましい。このように表示中の地図の階層を表示しておくと、表示しているフロアを失念しそうな場合にも画面251を見れば分かる。また、平面地図の表示は4分割等で拡大した地図情報であってもよく、その位置関係も示し、選択操作できるようにしておき、任意に表示できるようにしておくことが好ましい。
次に支援システム100の動作について説明する。まず、支援装置1の動作について、図2および図11乃至図13に基いて説明する。
支援装置1の制御部11は、第1の通信部13を介して受信機4からの異状情報を待ち受けている(S101)。この異状情報は、異状位置を特定する、異状を感知した感知手段5、6に固有の識別子、又は、異状を感知した感知手段5、6が設置された区画情報と、異状内容とを含んでいる。そして、制御部11は、受信機4からの異状情報を受信するまで受信機4からの異状情報を待ち受け(S101のNo)、受信機4からの異状情報を受信すると異状発生と判断し、次のステップS102へ進む(S101のYes)。
次に特定部111は、受信した異状情報に基づいて、異状内容を特定するとともに、地図データベース121を参照して異状を感知した感知手段5、6の設置場所を異状位置情報として取得し、異状位置を特定する。そして表示制御部115は、異状位置と異状内容とを、地図データベース121より取得した異状位置を含む周辺地図情報とともに表示部15に表示する(S102)。表示部15には、図5に示したような断面地図、または、図6に示したような平面地図のいずれかが適宜選択されて表示される。そして、要求部112は、端末ベータベース122を参照して支援システム100を構成する携帯端末2の識別子を取得し、第2の通信部14を介して当該識別子を有する各携帯端末2に対して各携帯端末が有する位置情報の送信を要求する(S103)。このとき、携帯端末2に異状情報を送信するようにし、携帯端末2に異状位置と異状内容とを表示させるようにしてもよい。
次に受付部113は、第2の通信部14を介して、携帯端末2から送信される携帯端末の位置情報の有無を判定する(S104)。受付部113は、携帯端末2から送信される位置情報を受信した場合は次のステップS105へ進み(S104のYes)、携帯端末2から送信される位置情報を受信しなかった場合は後述するステップS108へ進む(S104のNo)。
受付部113が携帯端末2から受信した携帯端末2の位置情報に基いて、表示制御部115は携帯端末2の位置を表示部15に表示された地図情報および異状情報に重ねて表示する(S105)。このとき、携帯端末2の位置情報の座標系が地図情報および異状情報と異なる場合は、後述する座標変換部116を介して表示部15に対応する座標情報に座標変換されるようにしてもよく、表示制御部115は変換された携帯端末2の位置を表示部15に表示された地図情報および異状情報に重ねて表示する(図示せず)。
表示部15の表示は、例えば、表示部15の画面に表示される地図に、異状内容を表す所定のシンボルで異状位置を表示するとともに、各携帯端末2の位置を、それを携帯する隊員の位置として所定のシンボルで併せて表示する。そして、通知部114は、位置情報を送信してきた携帯端末2に対して異状情報を送信し、携帯端末2に異状位置と異状内容とを表示させる(S106)。このとき、位置情報を送信してきた携帯端末2の位置情報を他の携帯端末2に通知し、この通知を受信した携帯端末2に併せて表示させるようにしてもよい。
そして、端末データベース122に登録されている全ての携帯端末2からの位置情報を受信したか否かを判定する(S107)。そして、端末データベース122に登録されている全ての携帯端末2からの位置情報を、受信したと判定した場合はステップS109に向かい(S107のYes)、受信していないと判定した場合は次のステップS108に向かう(S107のNo)。
ところで、その位置情報を送信するように要求した全ての携帯端末2から携帯端末2の位置情報が送信されてくるとは限らない。電波の届かない場所に端末2が位置する場合や、携帯端末2の電源が投入されていない場合や、携帯端末2が故障している場合等があるからであり、支援装置1の処理を滞らさない為にタイムアウト処理を行う必要がある。そこで、予め携帯端末2への位置情報送信要求からの所定時間であるタイムアウト時間を定める。そして、携帯端末2への要求からの経過時間がタイムアウト時間未満の場合は、ステップS104へ戻って携帯端末2から送信される位置情報の受信動作を継続する(S108のNo)。携帯端末2への送信要求からの時間がタイムアウト時間を経過した場合は、携帯端末2から送信される位置情報の受信を打ち切って次のステップS109(図12)へ向かう(S108のYes)。なお、次のステップS109へ向かう前に、送信されてきた全ての携帯端末2の位置情報を、位置情報を送信してきた全ての携帯端末2に通知して、携帯端末2に表示させるようにしてもよい(図示せず)。
ステップS109以降は、新たな異状情報の発生(いわゆる、後続異状発報)の有無と、復旧操作の有無とを判定して処理するとともに(図12)、携帯端末2の位置をリアルタイムで表示する処理(図13)を行う動作フローである。まず、第1の通信部13を介して、受信機4からの新たな異状情報を制御部11が受信したか否かを判定する(S109)。このとき、新たな異状情報を受信していない場合は、新たな異状は発生していないと判定してステップS112へ向かう(S109のNo)。また、このとき、新たな異状情報を受信していた場合は、新たな異状が発生していると判定して次のステップS110へ向かう(S109のYes)。新たな異状が発生していると判定した場合は、ステップS105と同様、受付部113が端末2から受信した携帯端末2の位置情報を、座標変換部116を介して表示部15に対応する座標情報に座標変換する。そして、表示制御部115は変換された携帯端末2の位置を表示部15に表示された地図情報および異状情報に重ねて表示する(S110)。そして、ステップS106と同様、通知部114は位置情報を送信してきた携帯端末2に対して新たな異状情報(後続異状発報情報)を送信し、携帯端末2に異状位置と異状内容とを通知し(S111)、次のステップS112へ進む。
次に復旧操作の有無を判定する(S112)。ここに復旧操作とは、火災等の異状が収束した場合や、異状情報自体が火災等の異状以外の要因のよるもの(例えば、いわゆる非火災報)であった場合に、受信機4を復旧操作する等の事態を収束させる一連の操作である。支援装置1は、第1の通信部13を介して、受信機4で復旧操作が行われたことを示す復旧信号を受信するようにしておくとよい。あるいは、支援装置1の操作部16における復旧操作を制御部11で受信するようにしておいてもよい。これらの復旧操作のいずれをも制御部11が受信しなかったとき、復旧操作がなかったものと判定してのステップS115へ向かう(S112のNo)。逆に、これらの復旧操作の少なくともいずれかを制御部11が受信したとき、復旧操作があったものと判定しての次のステップS113へ向かう。
復旧操作があったと判定した場合、制御部11は、表示制御部115を介して表示部15の表示をリセットして平常状態に復する(S113)。更に、制御部11は、通知部114と第2の制御部14とを介して、端末データベース122に登録されている全ての携帯端末2、又は、位置情報を送信してきた全ての携帯端末2に、火災復旧情報を通知する(S114)。すなわち、事態の収束を通知し、支援システムの一連の動作を収束に向かわせ、それに伴う人員の活動を収束させる(図12の終了)。
一方、復旧操作がなかったと判定した場合、ステップS103と同様、要求部112は、各携帯端末2に対して各端末が有する位置情報の再送信を要求する(S115)。このとき、通知部114が携帯端末2に異状情報を再送信するようにし、携帯端末2に異状位置と異状内容とを確認させたり再表示させたりするようにしてもよい。次に、ステップS104と同様、受付部113は、第2の通信部14を介して、携帯端末2から送信される端末の位置情報の有無を判定する(S116)。受付部113は、携帯端末2から送信される位置情報を受信しなかった場合は後述するステップS119へ進み(S116のNo)、携帯端末2から送信される位置情報を受信した場合は次のステップS117へ進む(S116のYes)。受付部113が携帯端末2から受信した携帯端末2の位置情報は、座標変換部116を介して表示部15に対応する座標情報に座標変換され、表示制御部115は変換された携帯端末2の位置を表示部15に表示させ(S117)、次のステップS118へ向かう。このとき、通知部114が端末2に異状情報を再送信するようにし、携帯端末2に異状位置と異状内容とを確認させたり再表示させたりするようにしてもよい。そして、ステップS107と同様、端末データベース122に登録されている全ての携帯端末2からの位置情報を受信したか否かを判定する(S118)。そして、端末データベース122に登録されている全ての携帯端末2からの位置情報を、受信したと判定した場合はステップS109に向かい(S118のYes)、受信していないと判定した場合は次のステップS119に向かう(S118のNo)。そして、ステップS108と同様、携帯端末2への送信要求からの経過時間がタイムアウト時間未満の場合は、ステップS116へ戻って携帯端末2から送信される位置情報の受信動作を継続する(S119のNo)。異状発生からの時間がタイムアウト時間を経過した場合は、携帯端末2から送信される位置情報の受信を打ち切ってステップS109(図12)へ向かう(S119のYes)
次に、支援システム100を構成する複数の携帯端末2の動作について、図2、14に基いて説明する。
それぞれの携帯端末2は、測位システムを利用して、自らの位置情報である端末位置情報を測位部26が取得する(S201)。支援装置1からの端末位置情報送信要求があったときに後述するステップS203で端末位置情報を取得するようにしてもよい。取得した端末位置情報は記憶部22に記憶され、次の端末位置情報を取得して更新されるまで維持される。次に、通信部23を介して、支援装置1からの端末位置情報送信要求を受信したか否かを判定する(S202)。支援装置1からの端末位置情報送信要求を受信していないと判定した場合は、後述するステップS204へ進む(S202のNo)。支援装置1からの端末位置情報送信要求を受信したと判定した場合は、次のステップS203へ向かう(S202のYes)。そして、記憶部22より自らの端末識別子と端末位置情報とを読み出し、この端末識別子を付して端末位置情報を支援装置1へ向けて通信部23より送信し(S203)、ステップS204へ向かう。このとき、先に述べたように、測位部26で端末位置情報を取得してから、取得した端末位置情報に端末識別子を付して支援装置1へ向けて送信するようにしてもよい。
次に、通信部23を介して、支援装置1から送信される異状情報を受信したか否かを判定する(S204)。支援装置1からの異状情報を受信していないと判定した場合は、後述するステップS206へ進む(S204のNo)。支援装置1からの異状情報を受信したと判定した場合は、次のステップS205へ向かう(S204のYes)。そして、記憶部22に記憶させておいた地図情報より受信した異状情報に基いて携帯表示部25の画面251に地図を映出させる地図情報を読み出し、受信した異状情報に基く異状内容と異状位置と、測位部26が取得した自らの位置情報に基づく端末位置とを画面251に表示する(S205)。このとき、画面251には、読み出した地図情報に基く地図を表示し、その地図に重ねるようにして異状位置と端末位置とを表示する。
そして、記憶部22より自らの端末位置情報を読み出し、これを画面251に表示された地図に重ねるように自らの位置を表示する(図5および図8参照)。このとき、自らの端末位置と異状位置とが同じフロアに位置する場合は、図8に示すような平面図に表示させ、自らの端末位置と異状位置とが異なるフロアに位置する場合は、図5に示すような断面地図に表示させるようにしてもよい。このように、異状位置と自らの端末位置とを同時に表示すると、位置関係を俯瞰できるという効果を奏する。また、断面地図から任意のフロアの平面地図に切り換えられるようにしておくと(図5参照)、詳細な平面的位置を把握できるという効果を奏する。また、平面地図から断面地図に任意に切り換えられるようにしておくと、位置関係と詳細な平面的位置の両方を容易に把握できる(図6から図8参照)。
なお、ステップS204において、支援装置1から他の携帯端末2の位置情報を受信したか否かを併せて判定するようにしてもよい。そして、他の携帯端末2の位置情報を受信したとき、次のステップS205で、他の携帯端末2の位置を表示するようにする。このようにすることにより、他の隊員の位置を把握することができるので全体的な対応状況を把握し易く、互いに連携して事態に当たることができるという効果を奏する。
次に、通信部23を介して、支援装置1からの火災復旧情報等の異状復旧情報を受信したか否かを判定する(S206)。支援装置1からの異状復旧情報を受信していないと判定した場合は、ステップS201へ戻る(S206のNo)。また、支援装置1からの異状復旧情報を受信したと判定した場合は、次のステップS207へ向かう(S206のYes)。そして、携帯表示部25の画面251に異状復旧した旨を表示して、携帯端末2を携帯している者に事態が復旧したことを通知するとともに、携帯端末2の復旧操作を行うか否かを表示し、端末復旧操作の有無を判定する(S207)。そして、端末復旧操作があるまで待ち受け(S207のNo)、端末復旧操作があった場合は、携帯端末2を復旧させ初期状態に戻す。すなわち、ステップS201へ戻る。
以上のように、本発明の実施の形態の支援システム100は、支援装置1は、異状警報設備である自火報200と接続されて異状情報を受信する第1の通信部13と、携帯端末2と通信する第2の通信部14と、表示部15と、建築物の地図情報121と携帯端末2それぞれに固有の識別子情報122とを記憶する記憶部12と、第1の通信部13を介して受信した異状情報と地図情報121とに基いて建築物の地図に重ねて前記異状情報を表示部15に表示させる制御部11とを有する。また、各携帯端末2は、支援装置1と通信する通信部23と、自己の位置情報である端末位置情報を取得する測位部26と、携帯表示部25と、操作部24と、建築物の地図情報を記憶する記憶部22と、端末位置情報に基いて建築物の地図に重ねて端末位置を携帯表示部25に表示させる制御部21とを有する。そして、前記異状情報および各携帯端末2の端末位置情報は、通信回線3を介して支援装置1および各携帯端末2との間で送受信され、前記異状情報および各携帯端末2の端末位置情報は、表示部15または携帯表示部25に建築物の地図情報とともに、その位置と内容とが表示されるものである。
本発明の実施の形態では、火災等の異状に対応する自衛消防隊等の隊員が携帯する携帯端末2の画面251に、異状発生位置および自己の位置を表示した建築物の地図を表示するようにした。このようにすることにより、各隊員が状況を把握し易く、活動を行い易くなるが、これらの位置情報を異なる目的に利用することもできる。例えば、支援装置1からの端末位置情報送信要求に応答して自己の端末位置情報を送信した携帯端末2に対して、その位置に応じて、支援装置1から初期対応を要請することもできる。例えば、異状位置に最も近い携帯端末2に対して、異状現場の確認を要請することができる。要請を受けた携帯端末2を携帯する者は、その要請に対する可否を返信し、要請を受諾した場合は現場に急行し、例えば火災等の異状発生を実際に確認することができるので、感知手段5、6の誤作動であるか否かを速やかに確認することができる。さらに、その携帯端末2を携帯する者にその能力があれば、消火器や消火栓等の消火装置を用いて火災の初期消火を要請することも可能となる。
また、携帯端末2の測位部26は、支援装置1に依らずに自ら測位システムから自己の位置情報である端末位置情報を取得するものである。したがって、携帯端末2は、支援装置1からの要求や通知に依らず、記憶部22に記憶した地図情報に基く地図に自らの位置を重ねて表示できるようにしておいてもよい。このようにすることにより、通信回線3の状態に関わらず、各隊員等が自己の位置を素早く把握することができる。
また、携帯端末2の測位部26が測位システムから取得する端末位置情報は、異状位置情報と、さらには、地図データベース121または記憶部22に記憶された地図情報と、異なる座標系で与えられる場合もある。そのような場合、支援装置1の制御部11に機能的構成として座標変換部116を設け、端末位置情報の座標を地図データベース121と整合するように座標変換するようにしてもよい。すなわち、座標変換部116は、受付部113が受け付けた端末位置情報に基いて端末位置を表示部15に表示させるときに、表示させる地図の座標と整合させて表示させる座標変換手段である。座標変換部116で座標変換された端末位置情報を、表示部15に表示される地図に重ねて表示することにより、端末位置と、建築物の地図および異状位置との位置関係を正しく表示することができる。このとき、端末2も支援装置1と同様に、制御部21に機能的構成として座標変換部(図示せず)を設け、端末位置情報の座標を記憶部22に記憶した地図情報および支援装置1から通知される異状位置と整合するように座標変換すればよい。すなわち、制御部21の座標変換部は、測位部26が取得した端末位置情報に基いて端末位置を携帯表示部25に表示させるときに、表示させる地図の座標と整合させて表示させる座標変換手段である。制御部21の座標変換部で座標変換された端末位置情報を、携帯表示部25の画面251に表示される地図に重ねて表示することにより、端末位置と、建築物の地図および異状位置との位置関係を正しく表示することができる。
また、本発明の実施の形態では、ビル等の複数階層の建築物を対象として説明したが、これに限るものではなく、広大な敷地に複数の建築物を有し、消防車をも有するような自衛消防隊を備えたプラント等の自衛消防隊にも適用することができる。例えば、ある建物で火災が発生した場合、その建物と自衛消防隊が位置する防災センタとを、人工衛星を利用したGPS等の測位システムを利用し、平面地図に表示することができる(図9参照)。そして、防災センタから遠く離れた火災建物に消防車で急行する際に、支援装置1の記憶部12より火災建物の地図情報をダウンロードして携帯端末2の記憶部22に記憶させ、現場に到着する前に火災建物の詳細な地図情報を取得するようにしてもよい。そして、現場に到着した自衛消防隊の隊員が携帯する携帯端末2に、火災建物の詳細に表示された地図に、火災位置と自らの位置とを表示することができる(図10参照)。また、このような支援システムを、通報を受けて所轄消防署から出動する公設消防隊が用いるようにしてもよい。
また、支援装置1は、建築物内の防災センタに設置されるとともに、各携帯端末2は、該防災センタに常時保管されているものであって、各隊員が防災センタからの携帯端末2を携帯して活動を行うものであってもよい。これによって、支援装置1と各携帯端末2との間で通信を行うに当たり、予め準備した範囲で対象とする携帯端末2を特定できる。また、防災センタに保管された携帯端末2は、自衛消防隊が携帯して初期対応に当たるのみではなく、現場に到着した公設消防隊がこれを携帯して、その活動に当たるようにしてもよい。
なお、上述した実施の形態において、支援システム100における支援装置1は、平成16年5月31日付総務省令第93号で定められたような、いわゆる総合操作盤であってもよく、この総合操作盤は表示部として大画面のディスプレイに平面図等の地図表示が可能なもので、各携帯端末2と通信回線3としての構内LAN等で通信できればよい。また、支援システム100の支援装置1は、受信機4からの移報(火災情報等の異状信号)をインターネット等、通信回線経由で受信する遠隔の外部サーバ、例えば防災サービス提供者が設けた外部サーバとし、地図情報や各種位置情報の処理を高速の専用サーバで処理するようにしてもよく、一端末である表示装置を防災センタに配置して、その結果をインターネット経由で表示するようにしてもよい。
この場合、広大な敷地に複数の建築物を有し、消防車をも有するような自衛消防隊を備えたプラント等の自衛消防隊にも適用することができ、消防車で現場へ向かっている自衛消防隊へ向けて、記憶部12に蓄積しておいた火災等の異状発生状況および経過情報等の異状関連情報を抽出して送信するようにしてもよい。そして、現場へ急行している自衛消防隊は、携帯端末2でこれを受信し、現場到着前に現場状況の概要を知ることができる。このようにすることにより、自衛消防隊は速やかに消火作業等の活動を開始することができる。なお、自衛消防隊が有する携帯端末は、上記に限らず、例えば、支援装置1から火災等の異状関連情報を音声情報で送信し、これを携帯電話等で受信するようなものであってもよい。上記自衛消防隊に代えて、通報によって消防署から出動する公設消防隊に適用してもよい。
さらに、支援装置1の記憶部12に記憶したイベント情報を、各種通信回線を介して施設外の外部サーバ、例えば防災サービス提供者の設けた外部サーバに送信して蓄積するようにしてもよい。この外部サーバは、複数の防火対象物としての建築物のイベント情報を集約して蓄積し、特定のアクセスだけに対して情報を提供できるようにしておく。例えば、特定の消防署に対して所轄地域だけの防火対象物に関するイベント情報を閲覧可能としておき、目的の防火対象物を選択して、その詳細なイベント情報を閲覧できるようにする。さらに、支援装置1より所轄消防署へ通報する際、火災現場等の該当する建築物を特定できるような情報も付加しておいてもよい。すなわち、当該イベント情報へのアクセス情報を伝達しておく。通報を受けた所轄消防署は、通報された情報に基づいて通報元となった建築物を特定し、その詳細なイベント情報を外部サーバより取得して閲覧することができるので、現場の状況を詳細に把握することができる。また、現場に向かって移動中の公設消防隊も、外部サーバにアクセスして、現場到着前に現場の状況を詳細に把握することができる。このとき、隊員が携帯する携帯端末2と同等の携帯端末に、対象である建築物の地図情報を外部サーバからダウンロードし、携帯端末2の記憶部22に相当する記憶部に記憶しておくようにしてもよい。そして、現場に到着後、隊員が携帯する携帯端末を通信回線3に接続して支援装置1と通信できるようにすると、現場の状況と自らの位置を詳細に把握することができる。
また、上述した実施の形態において、支援装置1は、停電時に自己が必要とする電力を供給する電源として図示しない二次電池等による予備電源や非常電源を備えるようにしてもよい。このときに、震災等の災害、あるいは火災拡大によって停電したような場合でも、支援装置1は、所定時間は電力を維持し、その機能を維持することができる。また、さらに予備電源又は非常電源による動作条件を、火災等の異状発生時かつ停電時とし、必要なとき以外は無駄に電力を消費しないようにしてもよい。また、通信回線3を構内無線LANで構成し、予備電源又は非常電源を備える支援装置1は、火災等の異状発生かつ通信回線3の電源喪失を検出したときに通信回線3へ電力を供給するようにしてもよい。停電時は、通信インフラ自体が機能停止する虞があり、このようにすることにより、電池で駆動される携帯端末2と予備電源又は非常電源を備える支援装置1との間の通信を確保することができる。また、構内無線LANを構成する機器自体に二次電池等による予備電源を備えるようにし、支援装置1からの電源供給を受けることなく、停電時でも通信回線3の機能を維持できるようにしてもよい。また、この予備電源による動作を行う条件として、火災等の異状発生時かつ停電時とし、必要なとき以外は無駄に電力を消費しないようにしてもよい。