JP6460922B2 - ビーム用超電導偏向電磁石およびそれを用いたビーム偏向装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ビーム輸送用の超電導電磁石に関し、特に、ビームの進行方向を偏向する電磁石でありかつ軽量化に適した超電導偏向電磁石、および該超電導偏向電磁石を用いたビーム偏向装置に関するものである。
荷電粒子(例えば、電子、陽子、イオン)を加速して得られる粒子線(ビーム)は、科学研究分野や医療分野において様々な形態で利用されている。例えば、医療分野におけるビーム利用の一つとして粒子線治療法がある。
粒子線治療法は、加速された荷電粒子を腫瘍部位に打ち込んでがん細胞を死滅させるという治療方法である。この治療法は、線量ピーク(ブラッグピーク)位置を制御することによりビームのエネルギーを腫瘍部位に集中させることができることから、他の治療方法(例えば、手術等の外科療法、抗がん剤等の化学療法、放射線療法)に比べて、患者への負担が小さい治療方法として近年注目されている。
ビームを好適に利用するためには、ビームの生成から照射までの飛行経路でビームを適切に輸送・制御する必要がある。運動する荷電粒子は磁場によりローレンツ力を受けるため、ビーム飛行方向の制御には、しばしば磁場が利用される。
例えば、上向きの静磁場(磁石のN極からS極へ向かう磁力線の向きが上向きとなっている静磁場)の中を正の荷電粒子が運動する場合、該荷電粒子は進行方向に対して右向きの力を受けて、ビーム飛行方向が右に曲げられる。このような一方向の静磁場を二極磁場と呼び、この二極磁場を発生する磁石を偏向磁石と言う。
なお、光学系におけるレンズと同様にビームに対しても磁気的なレンズ(電磁レンズ)があり、ビームを収束させる凸レンズに相当する磁場や拡散させる凹レンズに相当する磁場を四極磁場と呼ぶ。また、ビームの収差を補正する磁場は六極磁場と呼ばれ、ビームの輸送に利用される。
非特許文献1は、荷電粒子として陽子を利用した粒子線照射装置(陽子線照射装置)について報告している。粒子線照射装置は、大きく分けて、生成された荷電粒子を加速して主加速器にビームを注入するための線形加速器と、ビームを所定のエネルギーまで加速するための主加速器(シンクロトロン、周長18 m)と、ビームをシンクロトロンから取り出して所望の位置に照射するための回転ガントリー(半径4 m)とから構成されている。
また、非特許文献2には、荷電粒子として、より質量の大きい重粒子(ここでは炭素イオン)を利用した重粒子線照射装置に関する技術が報告されている。重粒子は陽子に比して質量が大きいため、回転ガントリーでビームを偏向する際の曲率半径が大きくなり易く、大型の構造物で該回転ガントリーを支持する必要が生じる。結果として、重粒子線照射装置では、回転ガントリーだけでも大型・大重量の装置となっている(例えば、重量が約300 tとなっている)。
非特許文献1,2に記載の陽子線照射装置や重粒子線照射装置は、それぞれ既存の装置よりは小型化・軽量化に成功したとされている。しかしながら、医療装置としてはまだまだ巨大な装置と言え、更なる小型化・軽量化が求められている。特に、患者の周囲に配置される回転ガントリーは、照射精度の観点からも小型化・軽量化が強く求められている。
回転ガントリーを小型化するためには、ビームをより大きな曲率(小さな曲率半径)で偏向するための強磁場磁石が必要である。それと同時に、その強磁場の周囲への影響(漏洩磁場)を抑制するための磁気シールドが必要になる。
それらの要件を満たす偏向磁石として、シールドコイルを具備する超電導電磁石が提案されている。例えば、特許文献1(特開2000-046999)には、複数のコイルを組み合わせて空間的に均一な磁場を発生する均一磁場発生装置において、平面的に配置された複数のコイルからなるコイル群を用い、前記コイル群は、メインコイルと、前記メインコイルの発生する磁場を補正して前記中央部分の磁場均一度を高めるために主として作用するトリムコイルと、外部の漏れ磁場を所定の値以下に低減するように主として作用するシールドコイルからなり、前記トリムコイルは前記メインコイルの内側に配置され、前記シールドコイルは前記メインコイルの外側に配置されていることを特徴とする均一磁場発生装置が、開示されている。
特開2000−046999号公報
Shinichi Shimizu, et al.: "A Proton Beam Therapy System Dedicated to Spot-Scanning Increases Accuracy with Moving Tumors by Real-Time Imaging and Gating and Reduces Equipment Size", PLoS ONE, 9(4): e94971 小野通隆,矢澤孝,平田寛:「重粒子線がん治療装置の実現に向けた最新技術」,東芝レビュー,Vol. 69 No. 11 (2014) p. 19,「2.4 超電導磁石を搭載した回転ガントリ」および図3
ここで、電磁石コイルに働く電磁力およびその対策について簡単に説明する。電磁石コイル自身に働く電磁力は、基本的に当該電磁石が発生する磁場に比例することから、高磁場電磁石(例えば、超電導電磁石)では、該電磁力への対策は最重要な技術のうちの一つである。
電磁石コイルを励磁して磁場を発生させると、該コイルを構成する巻線(コイル巻線)には、コイル径方向に拡げようとする拡張電磁力(フープ力と呼ばれる)と、コイル軸方向に縮めようとする圧縮電磁力とが働く。厳密には電磁石の設計に依存するが、コイル巻線を巻き付けるボビン等の機械的強度を適切に設計すれば、圧縮電磁力を受け止めることは一般的に容易である。一方、拡張電磁力は、コイル巻線に対する引張応力であることから、高磁場電磁石のコイル巻線は、自身が拡張変形しないように外側から支持構造体で支持されることが多い。
電磁石コイル/コイル巻線が単純円筒状コイル(ソレノイドコイル)の場合、拡張電磁力の大きさがコイルの周に沿って均等であるため、単純な構造の支持構造体(例えば、円筒の支持構造体、高強度テープ材を用いたテーピング)で拡張電磁力に対抗することができる。これに対し、ビーム偏向用磁石のコイルは、ビームの偏向軌道に対して垂直方向に均一な静磁場を形成することから、単純円筒状コイルではなく、特許文献1に記載されているような一対の扁平状コイルからなる。そのため、拡張電磁力がコイルの周方向で不均等になり易く、ソレノイドコイルの場合のような単純構造の支持構造体で拡張電磁力に対抗することが困難である。また、コイル全体を隙間無く覆うような支持構造体は、重量増大を招くことになり、軽量化要求に反することになる。
さらに、漏洩磁場低減のためのシールドコイルを具備する場合、シールドコイルは、その発生磁場が主コイルの発生磁場と逆向きとなるように設計されることから、主コイルに対する反発力(主コイルから遠ざかる方向の力)を受ける。そのため、シールドコイルには、前述の自分自身の拡張電磁力の支持に加え、主コイルからの反発力を支持する構造が必要となる。
このように、シールドコイルを具備するビーム偏向用磁石は、発生磁場を高くするほど支持構造体の構造が複雑になり難しくなるという問題がある。
特許文献1によると、メインコイル、トリムコイル及びシールドコイルからなるコイル群を平面的に配置することが可能であり、その結果、超電導コイルを使用する場合に、コイル冷却のために使用されるクライオスタットも平板状の簡単な構造とすることができ、クライオスタット内でのコイルの支持構造も簡単にすることができる、とされている。しかしながら、特許文献1には、各コイルに対する支持構造体についての具体的な構造の記載・説明がなく、上述した拡張電磁力やコイル間の反発力に対して、どのように対抗したらよいのか不明である。
したがって、本発明の目的は、複数の電磁石コイルを具備するビーム用超電導偏向電磁石であって、各電磁石コイルに掛かる強大な電磁力に対抗しうる支持構造体を具備した上で、全体の軽量化に貢献する超電導偏向電磁石を提供することにある。また、該超電導偏向電磁石を用いたビーム偏向装置を提供することにある。
(I)本発明の一態様は、上記目的を達成するため、ビームの飛行方向を偏向するための超電導偏向電磁石あって、
前記ビームの飛行空間を挟むように配設され該ビーム飛行空間に二極磁場を形成する複数対の偏向磁場超電導コイルと、
前記複数対の偏向磁場超電導コイルを外側から固定し該偏向磁場超電導コイルのそれぞれに掛かる電磁力を受け止める複数の偏向磁場コイル支持リングと、
前記ビーム飛行空間から見て前記複数対の偏向磁場超電導コイルよりも遠い位置に配設され該複数対の偏向磁場超電導コイルからの漏洩磁場を低減する少なくとも一対のシールドコイルと、
前記少なくとも一対のシールドコイルを外側から固定し該シールドコイルのそれぞれに掛かる電磁力を受け止める複数のシールドコイル支持リングと、
前記ビーム飛行空間を挟むように配設され、かつ前記偏向磁場超電導コイル、前記偏向磁場コイル支持リング、前記シールドコイル、および前記シールドコイル支持リングを一体化してそれらの相対位置関係を固定し前記超電導偏向電磁石全体の捻れ強度を確保する一対の一体化支持板とを具備し、
前記複数対の偏向磁場超電導コイルの内の第1の対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれは、前記一対の一体化支持板の内側(前記ビーム飛行空間の側)の面上に当接して配設され、
前記複数対の偏向磁場超電導コイルの内の第2の対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれは、前記一対の一体化支持板の外側(前記ビーム飛行空間と反対側)の面上に当接して配設されていることを特徴とする超電導偏向電磁石、を提供する。
(II)本発明の他の一態様は、上記目的を達成するため、超電導偏向電磁石を用いたビーム偏向装置であって、
上記の本発明に係る超電導偏向電磁石と、冷凍機とを有し、
前記超電導偏向電磁石は、隣接する前記偏向磁場コイル支持リングの隙間から見える前記偏向磁場超電導コイルの領域を利用して、前記複数対の偏向磁場超電導コイルが前記冷凍機によって伝導冷却されることを特徴とするビーム偏向装置、を提供する。
本発明によれば、複数の電磁石コイルを具備するビーム用超電導偏向電磁石であって、各電磁石コイルに掛かる強大な電磁力に対抗しうる支持構造体を具備した上で、全体の軽量化に貢献する超電導偏向電磁石(例えば、シールドコイル付き超電導偏向電磁石)を提供することができる。また、該超電導偏向電磁石を用いることによって、軽量化に好適なビーム偏向装置を提供することができる。
本発明に係る超電導偏向電磁石の一例を示す全体斜視模式図および部分切り出し斜視模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石で用いる第1の対の偏向磁場超電導コイルを構成する第1偏向磁場超電導コイルの一例を示す全体斜視模式図および拡大斜視模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石で用いる第2の対の偏向磁場超電導コイルを構成する第2偏向磁場超電導コイルの一例を示す全体斜視模式図および拡大斜視模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石で用いるシールドコイルの一例を示す全体斜視模式図および拡大斜視模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石で用いる偏向磁場コイル支持リングおよびシールドコイル支持リングの例を示す平面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石で用いる一体化支持板の一例を示す平面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の組立手順1を示す断面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の組立手順2を示す断面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の組立手順3を示す断面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の組立手順4を示す断面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の組立手順5を示す断面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の組立手順6を示す断面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の組立手順7を示す断面模式図である。 本発明の超電導偏向電磁石の冷却系統の構成例を示す全体模式図および拡大斜視模式図である。
本発明は、前述した本発明に係る超電導偏向電磁石(I)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記複数の偏向磁場コイル支持リングのそれぞれ、および前記複数のシールドコイル支持リングのそれぞれは、前記ビーム飛行方向に沿って間隔を空けながら離散配置されている。
(ii)前記少なくとも一対のシールドコイルのそれぞれは、前記一対の一体化支持板の外側の面上に当接して配設されている。
(iii)前記複数の偏向磁場コイル支持リングおよび前記複数のシールドコイル支持リングは磁性材料からなり、前記一対の一体化支持板は非磁性材料からなる。
(iv)前記複数対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれと、前記複数の偏向磁場コイル支持リングのそれぞれとの間に、偏向磁場コイル支持リング受が介挿されており、前記少なくとも一対のシールドコイルのそれぞれと、前記複数のシールドコイル支持リングのそれぞれとの間に、シールドコイル支持リング受が介挿されている。
(v)前記少なくとも一対のシールドコイルは、超電導コイルである。
(vi)前記第1の対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれは、前記ビームの飛行経路の両端領域において前記ビーム飛行空間を阻害しないように、前記一対の一体化支持板の外側方向に屈曲形成されている。
(vii)前記ビーム飛行空間を仕切り・囲むビームダクトを更に具備する。
(viii)前記複数対の偏向磁場超電導コイルは、前記ビームの飛行経路の中心線円弧の中心角が45°以上となるように構成されている。
また、本発明は、前述した本発明に係るビーム偏向装置(II)において、以下のような改良や変更を加えることができる。
(ix)隣接する前記シールドコイル支持リングの隙間から見える前記シールドコイルの領域を利用して、前記少なくとも一対のシールドコイルが伝導冷却される。
(x)前記ビーム偏向装置は、回転ガントリーである。
(本発明の基本思想)
前述したように、粒子線照射装置の回転ガントリーを構成する偏向磁石は、小型化・軽量化が強く求められている。回転ガントリーを小型化するためには、強磁場磁石が必要である。また、該強磁場磁石からの漏洩磁場を抑制するための磁気シールド(例えば、シールド磁石)が必要である。さらに、それら強磁場磁石とシールド磁石とに掛かる強大な電磁力を受け止めるための支持構造体が必要である。
本発明者は、強磁場偏向磁石およびそのシールド磁石として、特許文献1や非特許文献2の技術と同様に、超電導電磁石を用いることを考えた。一方、支持構造体に関しては、強大な電磁力への対抗のみを考慮すると全体重量の増大を招く可能性があり、軽量化も考慮する必要がある。そこで、支持構造体としては、適当な間隔を空けながら離散配置する支持リングを用いることを考えた。
離散配置する支持リングの形状や配置間隔を鋭意検討したところ、電磁石コイルが捻れて各コイルの相対位置関係がずれ、形成される二極磁場がひずむ可能性があるという新たな問題が見出された。粒子線照射装置において、ビームの飛行を正しく制御するためには磁場ひずみは厳禁である。
本発明者は、支持構造体の構成・構造を更に詳細に研究した結果、偏向磁場コイルとシールドコイルとそれらの支持リングとを一体化する一対の一体化支持板を追加することによって、各コイルの相対位置関係を固定しかつ電磁石全体の捻れ強度を確保できることを見出した。言い換えると、離散配置する複数の支持リングと一対の一体化支持板とを組み合わせて三次元格子状の骨格を形成することにより、支持構造体の軽量化と機械的強度の確保とを両立した。本発明は、当該知見に基づいて完成されたものである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同義の部材・部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することがある。また、本発明は、ここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
(ビーム偏向用超電導電磁石)
図1は、本発明に係る超電導偏向電磁石の一例を示す全体斜視模式図および部分切り出し斜視模式図である。図1に示した超電導偏向電磁石100は、重粒子線用の偏向電磁石であり、定格二極磁場強度2.8 T(テスラ)、ビーム飛行空間の横断面寸法210 mm×210 mm、ビーム飛行経路の中心線円弧の半径2.4 m、該ビーム飛行経路の中心線円弧の中心角90°、全体重量200 tとなるように設計されている。また、ビーム飛行経路の中心線円弧から3 m離れた位置での漏洩磁場が1 G(ガウス)未満となるように設計されている。なお、回転ガントリーの小型化のためには、ビーム飛行経路の中心線円弧の中心角が45°以上の偏向磁石が必要とされている。
図1に示したように、本発明に係る超電導偏向電磁石100は、ビームの飛行空間10を挟むように配設され該ビーム飛行空間10に二極磁場を形成する複数対の偏向磁場超電導コイル11(11-1,11-2),12(12-1,12-2)と、それら偏向磁場超電導コイル11,12を外側から固定し該偏向磁場超電導コイルのそれぞれに掛かる電磁力を受け止める複数の偏向磁場コイル支持リング13と、ビーム飛行空間10から見て複数対の偏向磁場超電導コイル11,12よりも遠い位置に配設されそれら偏向磁場超電導コイルからの漏洩磁場を低減する少なくとも一対のシールドコイル14(14-1,14-2)と、それらシールドコイル14を外側から固定し該シールドコイルのそれぞれに掛かる電磁力を受け止める複数のシールドコイル支持リング15と、ビーム飛行空間10を挟むように配設され、かつ偏向磁場超電導コイル11,12、偏向磁場コイル支持リング13、シールドコイル14、およびシールドコイル支持リング15を一体化してそれらの相対位置関係を固定し超電導偏向電磁石100全体の捻れ強度を確保する一対の一体化支持板16(16-1,16-2)とを具備している。
また、複数対の偏向磁場超電導コイルの内の第1の対の偏向磁場超電導コイル11のそれぞれは、一対の一体化支持板16-1,16-2の内側(ビーム飛行空間10の側)の面上に当接して配設されている。複数対の偏向磁場超電導コイルの内の第2の対の偏向磁場超電導コイル12のそれぞれは、一対の一体化支持板16-1,16-2の外側(ビーム飛行空間10と反対側)の面上に当接して配設されている。
つぎに、超電導偏向電磁石100を構成する各部材について、より詳細に説明する。
(1)第1偏向磁場超電導コイル
図2は、本発明の超電導偏向電磁石で用いる第1の対の偏向磁場超電導コイルを構成する第1偏向磁場超電導コイルの一例を示す全体斜視模式図および拡大斜視模式図である。図2に示したように、第1偏向磁場超電導コイル11-1(11-2も同様)は、ビーム飛行空間10の側壁(内周側壁、外周側壁)を形成するように円弧状に曲げられた扁平コイルであり、かつビーム飛行経路の両端領域(円弧状コイルの両端領域)において、ビーム飛行空間10を阻害しないようにビーム飛行空間10から外れる方向に屈曲形成されているコイルである。また、第1偏向磁場超電導コイル11-1には、コイル巻線や該コイル巻線を巻き付けたボビン(図示せず)を保護するため、偏向磁場コイル支持リング13で支持・固定される箇所に偏向磁場コイル支持リング受11aが配設されていることが好ましい。
(2)第2偏向磁場超電導コイル
図3は、本発明の超電導偏向電磁石で用いる第2の対の偏向磁場超電導コイルを構成する第2偏向磁場超電導コイルの一例を示す全体斜視模式図および拡大斜視模式図である。図3に示したように、第2偏向磁場超電導コイル12-1(12-2も同様)は、ビーム飛行空間10の蓋(第1の対の偏向磁場超電導コイル11による側壁の蓋)を形成するように円弧状に曲げられた扁平コイルである。また、第1偏向磁場超電導コイル11-1と同様に、第2偏向磁場超電導コイル12-1にも、コイル巻線や該コイル巻線を巻き付けたボビン(図示せず)を保護するため、偏向磁場コイル支持リング13で支持・固定される箇所に偏向磁場コイル支持リング受12aが配設されていることが好ましい。
なお、超電導偏向電磁石100の小型化の観点から、第1偏向磁場超電導コイル11-1と第2偏向磁場超電導コイル12-1とは、同じ方向の磁場を発生するように構成されることが好ましい。第1偏向磁場超電導コイル11-1および第2偏向磁場超電導コイル12-1のコイル巻線を構成する超電導線材に特段の限定はなく、従前の超電導線材(例えば、Nb-Ti超電導線材、Nb3Sn超電導線材、MgB2超電導線材、Y-Ba-Cu-O系超電導線材)を用いることができる。
(3)シールドコイル
図4は、本発明の超電導偏向電磁石で用いるシールドコイルの一例を示す全体斜視模式図および拡大斜視模式図である。図4および図1に示したように、シールドコイル14-1(14-2も同様)は、第1・第2偏向磁場超電導コイル11-1,12-1からの漏洩磁場を低減するためのコイルであり、第1・第2偏向磁場超電導コイル11-1,12-1を取り囲むように円弧状に曲げられた扁平コイルである。また、第1・第2偏向磁場超電導コイル11-1,12-1と同様に、シールドコイル14-1にも、コイル巻線や該コイル巻線を巻き付けたボビン(図示せず)を保護するため、シールドコイル支持リング15で支持・固定される箇所にシールドコイル支持リング受14aが配設されていることが好ましい。シールドコイル14-1は、第1・第2偏向磁場超電導コイル11-1,12-1と反対方向の磁場を発生するように構成される。
本発明の超電導偏向電磁石100は、第1・第2偏向磁場超電導コイル11-1,12-1として超電導コイルを用いることから(超電導コイルによる強磁場を効率よく遮蔽する観点、また該超電導コイルの冷却効率の観点から)、シールドコイル14-1も超電導コイルであることが好ましい。シールドコイル14-1のコイル巻線を構成する超電導線材に特段の限定はなく、従前の超電導線材(例えば、Nb-Ti超電導線材、Nb3Sn超電導線材、MgB2超電導線材、Y-Ba-Cu-O系超電導線材)を用いることができる。
(4)偏向磁場コイル支持リング、シールドコイル支持リング
図5は、本発明の超電導偏向電磁石で用いる偏向磁場コイル支持リングおよびシールドコイル支持リングの例を示す平面模式図である。図5および図1に示したように、偏向磁場コイル支持リング13は、一体化支持板16と共に偏向磁場超電導コイル11,12を外側から支持・固定するリング状板材であり、シールドコイル支持リング15は、一体化支持板16と共にシールドコイル14を外側から支持・固定するリング状板材である。
偏向磁場超電導コイル11,12およびシールドコイル14の各コイルに掛かる強大な電磁力を受け止めるため、偏向磁場コイル支持リング13およびシールドコイル支持リング15は、剛性が高い材料からなることが好ましい。また、リターンヨークとしての機能を一部担わせるため、磁性材料(特に、強磁性材料)からなることが好ましい。そのような材料としては、例えば、鉄を好適に用いることができる。
偏向磁場コイル支持リング13およびシールドコイル支持リング15にリターンヨークとしての機能を担わせることができると、磁路を積極的に形成することができるため、二極磁場の安定化と漏洩磁場の低減に寄与する。言い換えると、強磁性材料からなるコイル支持リング13,15を用いると、リターンヨークの作用効果がない場合に比して、偏向磁場超電導コイル11,12およびシールドコイル14の起磁力を小さめに設計することができ、その結果、超電導偏向電磁石100全体としての軽量化に更に貢献する。
(5)一体化支持板
図6は、本発明の超電導偏向電磁石で用いる一体化支持板の一例を示す平面模式図である。図6に示したように、一体化支持板16-1(16-2も同様)は、ビーム飛行経路に沿った円弧状板材であり、円弧の内周側端と外周側端とには、偏向磁場コイル支持リング13が係合するスリット16aが形成されている。
超電導偏向電磁石100全体の捻れ強度(各コイル間に働くモーメントに対抗する強度)を確保するため、一体化支持板16は、剛性が高い材料からなることが好ましい。また、安定した二極磁場を形成するため(二極磁場を乱さないようにするため)、一体化支持板16は、渦電流損失が小さくかつ非磁性の材料からなることが好ましい。そのような材料としては、例えば、非磁性ステンレス鋼を好適に用いることができる。
(6)ビームダクト
超電導偏向電磁石100は、ビーム飛行空間10を仕切り・囲むビームダクト17を具備することが好ましい(後述する図7B〜図8参照)。ビームダクト17は、超電導偏向電磁石100を収容するクライオスタットの一部を構成してもよいし、クライオスタットと別の部材であってもよい。ビーム飛行空間10内の二極磁場を阻害しないように、ビームダクト17は非磁性材料からなることが好ましい。なお、ビームダクト17の外周には、熱侵入を抑制するための輻射シールド17aが配設されていることが好ましい(後述する図7B〜図7E参照)。
(7)磁場補整機構
必須の構成部材ではないが、超電導偏向電磁石100は、ビーム飛行経路の磁場を補整・調整する磁場補整機構(例えば、トリムコイル、シムコイル)(図示せず)を具備していてもよい。該磁場補整機構の配設位置に特段の限定はなく、例えば、偏向磁場超電導コイル11,12とビームダクト17との間に配設することができる。
(超電導偏向電磁石の組立手順)
つぎに、超電導偏向電磁石100の組立手順について、一例を示しながら説明する。
−手順1−
図7Aは、本発明の超電導偏向電磁石の組立手順1を示す断面模式図である。図7Aに示したように、例えば図示しない作業台の上に置いた第2偏向磁場超電導コイルの一つ(例えば12-2)の上面の上に(図7Aにおける上方の面上に)、一体化支持板の一つ(例えば16-2)を当接させて仮止めする。なお、仮止めの方法に特段の限定はなく、従前の方法を適宜利用できる(以降の仮止めも同様)。
−手順2−
図7Bは、本発明の超電導偏向電磁石の組立手順2を示す断面模式図である。図7Bに示したように、一体化支持板16-2の上面の上に(図7Bにおける上方の面上に)、第1偏向磁場超電導コイルの一つ(例えば11-2)とビームダクト17(輻射シールド17a付き)とを当接させて仮止めする。このとき、第1偏向磁場超電導コイル11-2は、その端部の屈曲方向が第2偏向磁場超電導コイル12-2の側となるように配設される(図1参照)。
−手順3−
図7Cは、本発明の超電導偏向電磁石の組立手順3を示す断面模式図である。図7Cに示したように、第1偏向磁場超電導コイル11-2の上面の上に(図7Cにおける上方の面上に)ぴったりと重なるように、対になる第1偏向磁場超電導コイル11-1を当接させて仮止めする。このとき、第1偏向磁場超電導コイル11-1は、その端部の屈曲方向が第1偏向磁場超電導コイル11-1の上面の側(図7Aにおける上方)となるように配設される(言い換えると、第2偏向磁場超電導コイル12-2における端部の屈曲方向と反対側、図1参照)。
−手順4−
図7Dは、本発明の超電導偏向電磁石の組立手順4を示す断面模式図である。図7Dに示したように、第1偏向磁場超電導コイル11-1の上面の上に(図7Dにおける上方の面上に)一体化支持板16-2と対になる一体化支持板16-1を当接させて仮止めし、一体化支持板16-1の上面の上に第2偏向磁場超電導コイル12-2と対になる第2偏向磁場超電導コイル12-1を当接させて仮止めする。なお、第1偏向磁場超電導コイル11-1の上面の上に一体化支持板16-1を配設する前に、一体化支持板16-1と第2偏向磁場超電導コイル12-1とを予め組み合わせておいてもよい。
−手順5−
図7Eは、本発明の超電導偏向電磁石の組立手順5を示す断面模式図である。図7Eに示したように、偏向磁場コイル支持リング13を一体化支持板16のスリット16aに挿入しながら、偏向磁場コイル支持リング13で偏向磁場超電導コイル11,12を外側から固定する。偏向磁場コイル支持リング13の組込方法および偏向磁場超電導コイル11,12の固定方法に特段の限定はないが、例えば、偏向磁場コイル支持リング13を2分割のコの字状部品構成とし、該構成部品のそれぞれをスリット16aに挿入して係合した後、締結ピン(図示せず)で締結・一体化する組込・固定方法が挙げられる。
−手順6−
図7Fは、本発明の超電導偏向電磁石の組立手順6を示す断面模式図である。図7Fに示したように、一対の一体化支持板16-1,16-2の外側の面上に(ビームダクト17と反対側の面上に)、一対のシールドコイル14-1,14-2のそれぞれを当接させて仮止めする。
−手順7−
図7Gは、本発明の超電導偏向電磁石の組立手順7を示す断面模式図である。図7Gに示したように、シールドコイル支持リング15でシールドコイル14と一体化支持板16とを挟み込みながら、シールドコイル14と一体化支持板16とを外側から固定する。シールドコイル支持リング15の組込方法およびシールドコイル14の固定方法に特段の限定はないが、例えば、シールドコイル支持リング15を2分割のコの字状部品構成とし、該構成部品のそれぞれでシールドコイル14と一体化支持板16とを挟み込んで係合した後、締結ピン(図示せず)で締結・一体化する組込方法が挙げられる。
以上の手順により、超電導偏向電磁石100を組み立てることができる。本発明の超電導偏向電磁石100は、一対の一体化支持板16を介することによって、偏向磁場コイル11,12とシールドコイル14とそれらの支持リング13,15とが三次元格子状に一体化されており、全体軽量化と機械的強度の確保とが両立される。
(電磁石コイルに働く電磁力、支持構造体の設計思想)
前述したように、超電導偏向電磁石100は、定格二極磁場強度2.8 T、ビーム飛行空間(例えば、ビームダクト17)の横断面寸法210 mm×210 mm、ビーム飛行経路の中心線円弧の半径2.4 m、該ビーム飛行経路の中心線円弧の中心角90°、該ビーム飛行経路の中心線円弧から3 m離れた位置での漏洩磁場1 G未満、となるように設計されている。そのような諸元の下で、各電磁石コイルに働く電磁力と該電磁力を受け止める支持構造体の設計思想とについて、つぎに説明する。
電磁石コイルを励磁して磁場を発生させると、該コイルを構成するコイル巻線には、コイル径方向に拡げようとする拡張電磁力と、コイル軸方向に縮めようとする圧縮電磁力とが働く。また、同じ方向の磁場を発生するコイル同士には引力が働き、反対方向の磁場を発生するコイル同士には斥力が働く。
圧縮電磁力およびコイル間引力に関しては、コイル巻線を巻き付けるボビン等の機械的強度を適切に設計すれば、比較的容易に受け止めることが可能なので、以下では、拡張電磁力およびコイル間斥力について考察する。
定格運転環境下において、第1偏向磁場超電導コイル11には、コイル周方向の単位長さあたり60〜90 kN/m(コイル一周の合計240〜310 kN)の拡張電磁力が働く。そして、第2偏向磁場超電導コイル12には、コイル周方向の単位長さあたり約450 kN/m(コイル一周の合計約1800 kN)の拡張電磁力が働く。
図1および図7Gに示したように、超電導偏向電磁石100は、二極磁場形成コイルとして二対の偏向磁場超電導コイル(第1偏向磁場超電導コイル11-1,11-2、第2偏向磁場超電導コイル12-1,12-2)を有することから、それら4コイル合計の拡張電磁力は約4.2 MNとなる。すなわち、偏向磁場超電導コイルの支持構造体となる複数の偏向磁場コイル支持リング13は、合計で約4.2 MNの拡張電磁力を受け止められるように設計する必要がある。
偏向磁場超電導コイル11,12の拡張変形を十分抑止できるように、支持構造体に掛かる負荷応力を160 MPa以下とする場合、その負荷応力方向に対する支持構造体の合計断面積は約26400 mm2以上が必要となる。そこで、本発明においては、偏向磁場コイル支持リング13の1枚あたりの負荷応力方向断面積を43 mm×10 mm×2として(矩形リング状であることから負荷応力方向に対して2辺で受け持つため、支持リング1枚あたりの断面積は板材寸法の2倍になる)、31枚の偏向磁場コイル支持リング13で支持・固定するように設計した。
一方、シールドコイル14に関しては、コイル周方向の単位長さあたり約340 kN/m(コイル一周の合計約1500 kN)の拡張電磁力が働き、偏向磁場超電導コイル11,12に対して約950 kNのコイル間斥力が働く。図1および図7Gに示したように、超電導偏向電磁石100は、一対のシールドコイル14-1,14-2を有することから、それら2コイル合計の拡張電磁力は約3 MNとなり、コイル間斥力は約1.9 MNとなる。
ここで、シールドコイル14に掛かる拡張電磁力とコイル間斥力とは、力の作用方向が互いに直交している。そのため、本発明のような矩形リング状の支持構造体で支持する場合、大きい方の電磁力のみを考慮すればよい。言い換えると、シールドコイルの支持構造体となるシールドコイル支持リング15は、約3 MNの拡張電磁力を受け止められるように設計すればよい。
シールドコイル14の拡張変形を十分抑止できるように、支持構造体に掛かる負荷応力を160 MPa以下とする場合、その負荷応力方向に対する支持構造体の合計断面積は約18800 mm2以上が必要となる。そこで、本発明においては、シールドコイル支持リング15の1枚あたりの負荷応力方向断面積を32 mm×10 mm×2として、30枚のシールドコイル支持リング15で支持・固定するように設計した。
(ビーム偏向装置)
上で説明した本発明の偏向電磁石を用いることにより、軽量化に適したビーム偏向装置を提供することができる。ただし、本発明の偏向電磁石は、超電導コイルを用いていることから、超電導状態に遷移させるため極低温に冷却する必要がある。該超電導コイルの冷却方法としては、冷媒(例えば、液体ヘリウム)を用いた浸漬冷却でもよいが、ビーム偏向装置として粒子線照射装置の回転ガントリーを考慮すると、冷却系統構造の簡素化(それによる軽量化)の観点から冷凍機を用いた伝導冷却の方が好ましい。
図8は、本発明に係るビーム偏向装置における冷却系統の構成例を示す全体概略模式図および拡大斜視模式図である。なお、図8においては、図面の簡素化のため、超電導偏向電磁石の構成部材の一部の図示を省略した。また、冷凍機も1台に限定されるものではなく、複数台を接続してもよい。拡大斜視模式図中の矢印は、伝導冷却パスの接続箇所の例を示している。
図8に示したように、本発明に係るビーム偏向装置200は、クライオスタット21内に収容された超電導偏向電磁石100が冷凍機22によって冷却される構成を有している。外界からの熱侵入を抑制するため、輻射シールド21aが、クライオスタット21の内側に配設され、冷凍機22の1段目コールドヘッド22-1に接続されて冷却されることが好ましい。超電導偏向電磁石100の各超電導コイルは、冷凍機22の2段目コールドヘッド22-2に接続された冷熱分配機23と伝導冷却パス23-1を介して冷却される。
本発明の超電導偏向電磁石100は、超電導コイルの支持構造体として、離散配置した支持リング(偏向磁場コイル支持リング、シールドコイル支持リング)を用いていることから、隣接する支持リングの隙間から各超電導コイルが見える状態になっており、該隙間を利用して伝導冷却パスを容易に接続することができる(その結果、製造工程の簡単化、製造コストの低減に寄与する)。さらに、伝導冷却パスを適切な位置に適宜配設することができるため、冷却効率の向上にも寄与する。
また、伝導冷却パスと超電導コイルとの伝熱性を向上させるため(超電導コイルの冷却効率をより向上させるため)、伝導冷却パスと超電導コイルとの間に(特にコイル巻線の表面に)熱伝導板(図示せず)を介挿させることは好ましい。熱伝導板としては、純アルミニウム板や無酸素銅板を好ましく用いることができる。熱伝導板は、コイル巻線の全周にわたって配設されていてもよいし、複数に分割されて配設されていてもよい。
なお、熱伝導板をコイル巻線表面と支持リング受との間に介挿させると、該熱伝導板は、支持リングで超電導コイルの拡張電磁力に対抗する際の荷重分散板(荷重均等化板)としても機能する。
以上説明したように、本発明のビーム用超電導偏向電磁石は、科学研究用加速器・医療用加速器などの粒子線照射装置全般に適用することができる。軽量化に適した構造を有することから、特に装置重量が重要な因子となる装置(例えば、粒子線照射装置の回転ガントリー)に対して最適である。
上述した実施形態や実施例は、本発明の理解を助けるために説明したものであり、本発明は、記載した具体的な構成のみに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。すなわち、本発明は、本明細書の実施形態や実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
100…超電導偏向電磁石、10…ビーム飛行空間、
11…偏向磁場超電導コイル、11-1,11-2…第1偏向磁場超電導コイル、
11a…偏向磁場コイル支持リング受、
12…偏向磁場超電導コイル、12-1,12-2…第2偏向磁場超電導コイル、
12a…偏向磁場コイル支持リング受、
13…偏向磁場コイル支持リング、
14,14-1,14-2…シールドコイル、14a…シールドコイル支持リング受、
15…シールドコイル支持リング、
16,16-1,16-2…一体化支持板、16a…スリット、
17…ビームダクト、17a…輻射シールド、
200…ビーム偏向装置、
21…クライオスタット、21a…輻射シールド、
22…冷凍機、22-1…1段目コールドヘッド、22-2…2段目コールドヘッド、
23…冷熱分配機、23-1…伝導冷却パス。

Claims (12)

  1. ビームの飛行方向を偏向するための超電導偏向電磁石であって、
    前記ビームの飛行空間を挟むように配設され該ビーム飛行空間に二極磁場を形成する複数対の偏向磁場超電導コイルと、
    前記複数対の偏向磁場超電導コイルを外側から固定し該偏向磁場超電導コイルのそれぞれに掛かる電磁力を受け止める複数の偏向磁場コイル支持リングと、
    前記ビーム飛行空間から見て前記複数対の偏向磁場超電導コイルよりも遠い位置に配設され該複数対の偏向磁場超電導コイルからの漏洩磁場を低減する少なくとも一対のシールドコイルと、
    前記少なくとも一対のシールドコイルを外側から固定し該シールドコイルのそれぞれに掛かる電磁力を受け止める複数のシールドコイル支持リングと、
    前記ビーム飛行空間を挟むように配設され、かつ前記偏向磁場超電導コイル、前記偏向磁場コイル支持リング、前記シールドコイル、および前記シールドコイル支持リングを一体化してそれらの相対位置関係を固定し前記超電導偏向電磁石全体の捻れ強度を確保する一対の一体化支持板とを具備し、
    前記複数対の偏向磁場超電導コイルの内の第1の対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれは、前記一対の一体化支持板の内側(前記ビーム飛行空間の側)の面上に当接して配設され、
    前記複数対の偏向磁場超電導コイルの内の第2の対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれは、前記一対の一体化支持板の外側(前記ビーム飛行空間と反対側)の面上に当接して配設されていることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  2. 請求項1に記載の超電導偏向電磁石において、
    前記複数の偏向磁場コイル支持リングのそれぞれ、および前記複数のシールドコイル支持リングのそれぞれは、前記ビーム飛行方向に沿って間隔を空けながら離散配置されていることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の超電導偏向電磁石において、
    前記少なくとも一対のシールドコイルのそれぞれは、前記一対の一体化支持板の外側の面上に当接して配設されていることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の超電導偏向電磁石において、
    前記複数の偏向磁場コイル支持リングおよび前記複数のシールドコイル支持リングは、磁性材料からなり、
    前記一対の一体化支持板は、非磁性材料からなることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の超電導偏向電磁石において、
    前記複数対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれと、前記複数の偏向磁場コイル支持リングのそれぞれとの間に、偏向磁場コイル支持リング受が介挿されており、
    前記少なくとも一対のシールドコイルのそれぞれと、前記複数のシールドコイル支持リングのそれぞれとの間に、シールドコイル支持リング受が介挿されていることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超電導偏向電磁石において、
    前記少なくとも一対のシールドコイルは、超電導コイルであることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の超電導偏向電磁石において、
    前記第1の対の偏向磁場超電導コイルのそれぞれは、前記ビームの飛行経路の両端領域において前記ビーム飛行空間を阻害しないように、前記一対の一体化支持板の外側方向に屈曲形成されていることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の超電導偏向電磁石において、
    前記ビーム飛行空間を仕切り・囲むビームダクトを更に具備することを特徴とする超電導偏向電磁石。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の超電導偏向電磁石において、
    前記複数対の偏向磁場超電導コイルは、前記ビームの飛行経路の中心線円弧の中心角が45°以上となるように構成されていることを特徴とする超電導偏向電磁石。
  10. 超電導偏向電磁石を用いたビーム偏向装置であって、
    請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の超電導偏向電磁石と、冷凍機とを有し、
    前記超電導偏向電磁石は、隣接する前記偏向磁場コイル支持リングの隙間から見える前記偏向磁場超電導コイルの領域を利用して、前記複数対の偏向磁場超電導コイルが前記冷凍機によって伝導冷却されることを特徴とするビーム偏向装置。
  11. 請求項10に記載のビーム偏向装置において、
    隣接する前記シールドコイル支持リングの隙間から見える前記シールドコイルの領域を利用して、前記少なくとも一対のシールドコイルが前記冷凍機によって伝導冷却されることを特徴とするビーム偏向装置。
  12. 請求項10又は請求項11に記載のビーム偏向装置において、
    前記ビーム偏向装置が回転ガントリーであることを特徴とするビーム偏向装置。
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