JP6459681B2 - 高温クリープ特性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼 - Google Patents
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Description
C :0.05〜0.10%、
Si:0.70%以下、
Mn:0.30〜0.70%、
Cr:8.00〜9.50%、
Mo:0.01〜0.50%、
Ti:0.015〜0.10%、
N :0.02〜0.05%、
V :0.15〜0.30%、
Nb:0.03〜0.06%、
W :1.50〜2.50%
Co:0.05〜3.00%
を含有し、
P :0.03%以下、
S :0.015%以下、
Al:0.03%以下、
Cu:0.01%以下、
Ni:0.01%以下、
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
下記(1)式で定義するCr当量が、6.85〜9.00であることを特徴とする高温クリープ特性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
Cr当量=Cr+6Si+4Mo+1.5W+11V+5Nb−40C−30N−4Ni−2Mn−Cu−2Co ・・・(1)
ここで、Cr、Si、Mo、W、V、Nb、C、N、Ni、Mn、Cu、Coは、各元素の質量%を意味する。
C当量=C+(Mn/6)+((Cr+Mo+V)/5)+((Ni+Cu)/15) ・・・(2)
ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cuは、各元素の質量%を意味する。
Cは、炭化物を生成し、析出強化によって高温強度を高め、フェライトの生成を抑制して靱性を確保する元素である。0.05%未満では、炭化物の析出量が不足し充分な強度が得られず、また、フェライト量が多くなり過ぎて靱性を損なうので、0.05%以上とする。好ましくは、0.06%以上である。より好ましくは0.07%以上である。
Siは、脱酸剤であり、特に下限の規定を要しないが、添加効果を確実に得るためには、0.05%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。Siは、耐水蒸気酸化特性を高める元素でもあるので、この点で0.20%以上が好ましい。一方、0.70%を超えると、鋼の靱性及び加工性が低下するので、0.70%以下とする。好ましくは0.50%以下である。
Mnは、鋼の焼入れ性を高める元素であり、また、ベイナイト又はマルテンサイトの生成に寄与する元素である。添加効果を得るため、0.30%以上とする。また、Mnは、Sを固定して熱間加工性を改善し、組織の安定化にも寄与するので、この点で、0.40%以上が好ましい。一方、0.70%を超えると、加工性や溶接性を阻害するので、0.70%以下とする。Mnは、焼戻し脆化感受性を高める元素でもあるため、0.60%以下が好ましい。
Crは、高温特性の向上に不可欠な元素である。クリープ特性を確保するため、8.00%以上を添加する。耐酸化性や耐食性の点から、8.50%以上が好ましい。一方、Crが増加すると経済性が低下するので、9.50%以下とする。好ましくは9.00%以下である。
Moは、固溶強化及び析出強化によって、クリープ強度を顕著に向上させる元素である。添加効果を得るため、0.01%以上とする。クリープ特性の向上の点で、0.30%以上が好ましい。一方、Moを過剰に添加すると、M2X型析出物が粗大化して、靱性及びクリープ特性が低下するので、0.50%以下とする。好ましくは0.40%以下である。
Tiは、脱酸剤として機能する元素である。添加効果を得るため、0.015%以上とする。また、Tiは、強力な炭化物、窒化物生成元素であり、組織の微細化及び炭化物、窒化物の安定化に寄与する元素であるので、この点で、0.040%以上が好ましい。一方、0.10%を超えると、粗大なTiNが生成し、靱性が低下するので、0.10%以下とする。好ましくは0.09%以下である。
Nは、MX型析出物を形成し、高温強度の上昇に寄与する元素である。添加効果を得るため、0.02%以上とする。好ましくは0.025%以上である。一方、Nを過剰に含有させると、粗大なTiNが生成し、靱性が低下するので、0.05%以下とする。好ましくは0.045%以下である。
Vは、微細な炭化物を析出させてクリープ強度を高める作用をなす元素である。添加効果を得るため、0.15%以上とする。好ましくは0.18%以上、より好ましくは0.20%以上である。一方、Vを過剰に添加すると、析出物によって靱性が低下するので、0.30%以下とする。好ましくは0.25%以下である。
Nbは、Cと結合して微細な炭化物を形成し、クリープ強度の向上に寄与する元素である。添加効果を得るため、0.03%以上とする。好ましくは0.045%以上である。一方、Nbを過剰に添加すると、粗大な炭化物が生成し、靱性が低下するので、0.06%以下とする。好ましくは0.055%以下である。
Wは、Moと同様の効果を奏する元素である。WとMoを同時に添加することにより、クリープ強度を顕著に高めることができるので、1.50%以上とする。クリープ特性を高める点で、1.70%以上が好ましい。一方、2.50%を超えると、溶接性や加工性が低下するので、2.50%以下とする。650℃以上におけるクリープを確保する点で、2.40%以下が好ましい。
Coは、クリープ特性を損なわずにオーステナイトを安定化させ、δフェライトの析出を抑制する元素であり、ベイナイト又はマルテンサイトの生成を促進する元素である。添加効果を得るため、0.05%以上とする。高温強度を高める点で、0.80%以上が好ましい。一方、3.00%を超えると、溶接性や加工性が低下するので、3.00%以下とする。好ましくは2.90%以下である。
Pは、不純物であり、鋼の靱性、加工性、溶接性を損なうので、0.03%以下に制限する。好ましくは0.01%以下で、より好ましくは0.005%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.001%が実質的な下限である。
Sは、不純物であり、鋼の靱性、加工性、溶接性を損なうので、0.015%以下に制限する。好ましくは0.003%以下で、より好ましくは0.001%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.0001%が実質的な下限である。
Alは、脱酸剤として機能する元素である。しかし、0.03%を超えると、クリープ特性の低下を招くので、0.03%以下とする。好ましくは0.02%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.001%が実質的な下限である。
Ni:0.01%以下
Cu及びNiは、スクラップなどの原料から混入し、クリープ特性を低下させる元素である。Cu及びNiが、ともに0.01%を超えると、クリープ特性の低下を招くので、それぞれを、0.01%以下とする。好ましくは、いずれも、0.005%以下である。
なお、下限は0%を含む。
Zrは、Tiと同様に、強力な炭化物、窒化物制生成元素であり、組織の微細化及び炭化物、窒化物の安定化に寄与する元素である。しかし、0.010%を超えると、粗大なZrNが生成し、靱性が低下するので、0.010%以下とする。好ましくは0.005%以下である。下限は0%を含み、特に限定しないが、添加効果を確実に得る点で、0.001%以上が好ましい。
Bは、微量の添加により顕著に焼入れ性を高める元素である。添加効果を得るため、0.0003%以上とする。炭化物を分散、安定化させ、クリープ強度を高める点で、0.003%以上が好ましい。一方、過剰に添加すると、溶接性や加工性が低下するので、0.020%以下とする。好ましくは0.010%以下で、より好ましくは0.008%以下である。
Cr当量=Cr+6Si+4Mo+1.5W+11V+5Nb−40C−30N−4Ni−2Mn−Cu−2Co ・・・(1)
ここで、Cr、Si、Mo、W、V、Nb、C、N、Ni、Mn、Cu、Coは、各元素の質量%を意味する。
(Cr当量式は、D.L. Newhouse,C.J.Boyle and R.M. Curran:Preprint of the 68th ASTM Annual Meeting,Purdue University,Lafayette,IN,June 13−18,1965.による。)
C当量=C+(Mn/6)+((Cr+Mo+V)/5)+((Ni+Cu)/15) ・・・(2)
ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cuは、各元素の質量%を意味する。
(C当量は、J.F.Lancaster:Metallurgy of Welding 3rd edition,pp.130,George Allen & Unwin,London,1970.による。)
表1及び表2(表1の続き)に示す成分組成の鋼を溶製して鋳造し、得られた鋼片を表3に示す条件で熱間圧延し、空冷した。熱間圧延して空冷した鋼(熱延まま)、熱延後焼準した鋼、熱延後焼準せずに焼戻した鋼、熱延後焼準し焼戻した鋼について、クリープ試験を実施した。焼準しした場合は、表3に示す温度に1時間加熱し、空冷した。焼戻しした場合は、表3の温度に示す温度に1時間加熱し、空冷した。
Claims (4)
- 質量%で、
C :0.05〜0.10%、
Si:0.70%以下、
Mn:0.30〜0.70%、
Cr:8.00〜9.50%、
Mo:0.01〜0.50%、
Ti:0.015〜0.10%、
N :0.02〜0.05%、
V :0.15〜0.30%、
Nb:0.03〜0.06%、
W :1.50〜2.50%、
Co:0.05〜3.00%
を含有し、
P :0.03%以下、
S :0.015%以下、
Al:0.03%以下、
Cu:0.01%以下、
Ni:0.01%以下
に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
下記(1)式で定義するCr当量が、6.85〜9.00であることを特徴とする高温クリープ特性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
Cr当量=Cr+6Si+4Mo+1.5W+11V+5Nb−40C−30N−4Ni−2Mn−Cu−2Co ・・・(1)
ここで、Cr、Si、Mo、W、V、Nb、C、N、Ni、Mn、Cu、Coは、各元素の質量%を意味する。 - さらに、下記(2)式で定義するC当量が、2.06〜2.09であることを特徴とする請求項1に記載の高温クリープ特性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
C当量=C+(Mn/6)+((Cr+Mo+V)/5)+((Ni+Cu)/15) ・・・(2)
ここで、C、Mn、Cr、Mo、V、Ni、Cuは、各元素の質量%を意味する。 - さらに、質量%で、Zr:0.010%以下を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高温クリープ特性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
- さらに、質量%で、B:0.0003〜0.020%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高温クリープ特性に優れた高Crフェライト系耐熱鋼。
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