JP6540111B2 - フェライト鋼 - Google Patents
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Description
本実施形態によるフェライト鋼は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
炭素(C)は、炭化物を生成するとともに、鋼の焼入れ性を高め、ベイナイト又はマルテンサイト変態を促進する。0.05%を超えると、ベイナイト又はマルテンサイト変態を充分抑制できず、さらに、粗大な炭化物が析出するので、0.05%以下とする。好ましくは0.04%以下であり、より好ましくは0.03%以下である。
シリコン(Si)は、脱酸剤であり、特に下限の規定を要しないが、脱酸の効果を確実に得るためには、0.05%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。Siは、耐水蒸気酸化特性を高める元素でもあるので、この点で0.20%以上が好ましい。一方、1.00%を超えると、鋼の靱性及び加工性が低下するので、1.00%以下とする。好ましくは0.70%以下であり、より好ましくは0.50%以下である。
マンガン(Mn)は、Sを固定して熱間加工性を改善する。この効果を得るため、0.30%以上とする。Mnは、組織の安定化にも寄与するので、この点で0.40%以上が好ましい。一方、0.70%を超えると、加工性や溶接性が低下するので、0.70%以下とする。Mnは、焼戻し脆化感受性を高める元素でもあるため、0.60%以下が好ましい。
チタン(Ti)は、脱酸剤として機能する。この効果を得るため、0.010%以上とする。また、Tiは、強力な炭化物、窒化物生成元素であり、組織の微細化、並びに炭化物及び窒化物の安定化に寄与するので、この点で、0.040%以上が好ましい。一方、0.10%を超えると、粗大なTiNが生成し、靱性が低下するので、0.10%以下とする。好ましくは0.05%以下である。
窒素(N)は、MX型析出物を形成し、高温強度の向上に寄与する。この効果を得るため、0.010%以上とする。好ましくは0.020%以上である。一方、Nを過剰に含有させると、粗大なTiNが生成し、靱性が低下するので、0.050%以下とする。好ましくは0.045%以下である。
0.05%以上のコバルト(Co)添加は、フェライト粒径を微細化させる。Coはさらに、鋼の耐酸化性を向上させる。5.00%未満では、フェライト相の面積率の高い組織が得られないため、5.00%以上とする。高温強度を高める点で、7.00%以上が好ましい。一方、12.00%を超えると、溶接性や加工性が低下するので、12.00%以下とする。好ましくは10.00%以下である。
タングステン(W)は、固溶強化及び析出強化によって、クリープ強度を顕著に向上させる元素である。この効果を得るため、0.50%以上とする。高温強度を高める点で、1.50%以上が好ましい。一方、Wを過剰に添加すると経済性が低下するので、5.00%以下とする。好ましくは、4.50%以下である。
硼素(B)は、微量でも析出物の高温安定性を改善する。この効果を得るため、0.0025%以上とする。析出物を分散、安定化させ、クリープ強度を高める点で、0.003%以上が好ましい。一方、過剰に含有させると、溶接性や加工性が低下するので、0.020%以下とする。好ましくは0.010%以下である。
燐(P)は、不純物であり、鋼の靱性、加工性、及び溶接性を損なうので、0.03%以下に制限する。好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.001%が実質的な下限である。
硫黄(S)は、不純物であり、鋼の靱性、加工性、及び溶接性を損なうので、0.015%以下に制限する。好ましくは0.003%以下であり、より好ましくは0.001%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.0001%が実質的な下限である。
アルミニウム(Al)は、脱酸剤として機能する。しかし、0.03%を超えると、クリープ強度の低下を招くので、0.03%以下とする。好ましくは0.02%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.001%が実質的な下限である。
銅(Cu)は、スクラップ等の原料から混入し、鋼のクリープ強度を低下させる。Cu含有量が0.01%を超えると、クリープ強度の低下を招くので、0.01%以下とする。好ましくは、0.005%以下である。なお、下限は0%を含む。
ニッケル(Ni)は、スクラップ等の原料から混入し、鋼のクリープ強度を低下させる。Ni含有量が0.01%を超えると、クリープ強度の低下を招くので、0.01%以下とする。好ましくは、0.005%以下である。なお、下限は0%を含む。
クロム(Cr)は、鋼の高温特性の向上に寄与する。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.01%以上とすることが好ましい。一方、11.50%を超えると靱性が低下するので、11.50%以下とする。好ましくは10.00%以下である。
モリブデン(Mo)は、固溶強化及び析出強化によって、クリープ強度を顕著に向上させる。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.30%以上である。一方、Moを過剰に含有させると経済性が低下するので、2.00%以下とする。好ましくは1.00%以下である。
バナジウム(V)は、微細な炭化物、窒化物を析出させてクリープ強度を高める。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.18%以上、さらに好ましくは0.20%以上である。一方、Vを過剰に含有させると、析出物によって靱性が低下するので、0.50%以下とする。好ましくは0.35%以下である。
ニオブ(Nb)は、微細な炭化物を形成してクリープ強度を高める。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.04%以上である。一方、Nbを過剰に含有させると、粗大な炭化物が生成し、靱性が低下するので、1.00%以下とする。好ましくは0.07%以下である。
タンタル(Ta)は、微細な炭化物を形成してクリープ強度を高める。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.04%以上である。一方、Taを過剰に含有させると、粗大な炭化物が生成し、靱性が低下するので、1.00%以下とする。好ましくは0.07%以下である。
ジルコニウム(Zr)は、Tiと同様に、強力な炭化物、窒化物生成元素であり、組織の微細化、並びに炭化物及び窒化物の安定化に寄与する。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.001%以上とすることが好ましい。一方、Zrを過剰に含有させると、粗大なZrNが生成し、靱性が低下するので、0.10%以下とする。好ましくは0.02%以下である。
本実施形態によるフェライト鋼は、実質的にフェライト単相であり、フェライト相のフェライト粒径が50μm未満である組織を有する。
次に、本実施形態によるフェライト鋼の製造方法の一例を説明する。
Claims (4)
- 化学組成が、質量%で、
C :0.05%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:0.30〜0.70%、
Ti:0.010〜0.10%
N :0.010〜0.050%、
Co:5.00〜12.00%、
W :0.50〜5.00%、
B :0.0025〜0.020%、
P :0.03%以下、
S :0.015%以下、
Al:0.03%以下、
Cu:0.01%以下、
Ni:0.01%以下、
Cr:0〜11.50%、
Mo:0〜2.00%、
V :0〜0.50%、
Nb:0〜1.00%、
Ta:0〜1.00%、
Zr:0〜0.10%、
残部:Fe及び不純物であり、
フェライト相の面積率が95%以上であり、前記フェライト相の平均フェライト粒径が50μm未満である組織を有する、フェライト鋼。 - 請求項1に記載のフェライト鋼であって、
前記化学組成が、質量%で、
Cr:0.01〜11.50%、
Mo:0.01〜2.00%、
V :0.01〜0.50%、
Nb:0.01〜1.00%、及び
Ta:0.01〜1.00%、
からなる群から選択される1又は2以上の元素を含有する、フェライト鋼。 - 請求項1又は2に記載のフェライト鋼であって、
前記化学組成が、質量%で、
Zr:0.001〜0.10%、
を含有する、フェライト鋼。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のフェライト鋼の製造方法であって、
熱間圧延後、1100℃以下の温度で熱処理する、フェライト鋼の製造方法。
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