JP6457957B2 - 開放光学系で用いるための透視型投影板 - Google Patents
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Description
このスクリーンフィルムは、高輝度、高コントラストを実現するのに優れた方法であるが、製造方法が複雑で生産性が非常に悪いので、極めて高価なものとなってしまう。また、角錐形状の構造体を十分に小さくかつ数を多くしないと、画像の鮮鋭度や解像度が著しく悪化してしまうが、構造体が小さいと光が十分に拡散せず、視野角が狭くなったり、ホットスポットが現れたりする。さらに、このようなフィルムを別の板に貼付してスクリーンとすると、これらが異種材料であるため、経年によりスクリーンに反りが生じたり、貼付面から剥がれる恐れがある。特に広告板や表示板は屋外かそれに近い環境下に設置されることが多いので、反りや剥離の可能性はより高まる。また、このスクリーンフィルムは光学系で外部光の影響がない場合は、鮮明な画像を得ることができるが、外部光の影響がある開放光学系で用いると、コントラストが低下して画像が不鮮明になる問題がある。
[1]着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂からなる基材層と、透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材に微粒子を分散させた結像層とを有する透視型投影板であって、
前記マトリックス材の屈折率Nmが、前記微粒子の屈折率Ndより大きく、
前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(質量%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式を満たす、透視型投影板。
320≦Tr×Cp/Ra
[2]前記マトリックス材の屈折率Nmと微粒子の屈折率Ndとが、下記式(1)を満たす、[1]に記載の透視型投影板。
0.03≦Nm−Nd≦0.12・・・(1)
[3]前記結像層の厚みTrが、50μm以上500μm以下である、[1]又は[2]に記載の透視型投影板。
[4]前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式(2)を満たす、[1]〜[3]いずれかに記載の透視型投影板。
320≦Tr×Cp/Ra≦1000・・・(2)
[5]前記投影板の厚みが2mm以上20mm以下である、[1]〜[4]いずれかに記載の透視型投影板。
[6]前記投影板の基材層と結像層が、共押出法により一体で積層成形されたものである、[1]〜[5]いずれかに記載の透視型投影板。
[7]開放光学系用である、[1]〜[6]いずれかに記載の透視型投影板。
[8][7]に記載の透視型投影板と光源を含む開放光学系であって、
光源側から観察側へ結像層、基材層の順となるように前記透視型投影板が配置された、開放光学系。
図2には光源80と透視型投影板10と観察者90の位置関係を模式的に示した。光源80より画像が投射され、透視型投影板10の結像層30に画像が投影され、これを基材層20を通して観察者90が観察する。光源80からの画像の光が結像層30に先に当たることで、十分な光量の光が拡散され、輝度の高い画像となる。続いて、着色された基材層を画像の光が通過することで、開放光学系において、外光の影響があっても、コントラストが高く鮮明な画像となる。
なお、マトリックス材の屈折率は、JIS K7142「プラスチック−屈折率の求め方」A法に従って、微粒子の屈折率は、JIS K7142「プラスチック−屈折率の求め方」B法に従って測定することができる。
0.03≦Nm−Nd≦0.12・・・(1)
Nm−Ndの値が0.03より小さいと、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、視野角が狭くなったりすることもある。Nm−Ndの値が0.12より大きいと、光の屈折や反射が多くなり、観察者の目まで届く光量が少なくなり、暗い画像となることもある。Nm−Ndの値のより好ましい範囲は0.04以上0.10以下である。Nm−Ndの値の下限値は、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.06以上であり、Nm−Ndの値の上限値は、より好ましくは0.09以下、さらに好ましくは0.085以下である。
結像層30の厚みのより好ましい範囲は60μm以上450μm以下であり、さらに好ましい範囲は80μm以上400μm以下である。
320≦Tr×Cp/Ra
Tr×Cp/Raの値が320より小さいと、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、視野角が狭く斜めから見ると画像が暗くなったりする。Tr×Cp/Raは、330以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、360以上であることがさらに好ましく、370以上であることがなお好ましく、400以上であることがよりいっそう好ましい。
320≦Tr×Cp/Ra≦1000・・・(2)
Tr×Cp/Raの値が2000より大きいと、光の屈折や反射が多くなり、観察者の目まで届く光量が少なくなって暗い画像となったり、画像の解像度が低くなって不鮮明な画像となることがあるが、そのような傾向は、Tr×Cp/Raの値が1000より大きくなるあたりから認められるようになるためである。なお、この傾向は、Tr×Cp/Raの値が1600より大きくなると大きくなり、1800より大きくなるとより大きくなり、前述の2000を超えるとさらに大きくなる。
Tr×Cp/Raの値の好ましい範囲は330以上800以下であり、より好ましい範囲は350以上1700以下である。
投影板の厚みが2mmより薄くなると、投影板の剛性が十分確保できなくなるので、投影板がゆがんでしまい、投影した画像が歪んでしまう恐れがある。また、投影板をさらに賦形して立体形状とする場合は、成形時に破れたり、極端に薄い部分ができたりする問題が生じる。
投影板の厚みが20mmより厚くなると、投影板が重くなるため、設置できる場所に制限が出てきたり、設置のために大掛かりな工事が必要となってしまう恐れがある。さらに、投影板を賦型して立体形状とする場合は、形状がきちんと出にくくなってしまう。投影板の厚みのより好ましい範囲は2.5mm以上16mm以下である。
基材層の透明熱可塑性樹脂と結像層のマトリックス材の透明熱可塑性樹脂とは、同一又は同じ種類の樹脂(単量体が共通する樹脂)でも良いし、違う種類の樹脂でも良いが、経年による反りや部材の剥離を防ぐために、同じ種類の樹脂を用いることがより好ましい。同一又は同じ種類の樹脂であれば、温度や湿度の影響による寸法の伸縮が同じなので反りを生じる恐れが無く、また界面が完全に相溶化しているので剥離する恐れが無い。
(1)基材層
本実施形態において、透視型投影板の基材層は着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂からなっている。
ここで、透明熱可塑性樹脂とは、JIS K7105に基づいて測定した厚み3mmの全光線透過率が80%以上であるものを指す。該全光線透過率はより好ましくは85%以上である。前記条件を満たすものであれば、樹脂の種類は限定されないが、好適なものとして非晶質透明樹脂があげられ、具体的にはメタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン系樹脂などがあげられる。その中でも特にメタクリル系樹脂は透明性に最も優れ、かつ耐候性にも優れるとともに、表面硬度が高くて傷つきにくいことから、本発明の用途の一つであるデジタルサイネージの投影板の基材の材料として、より好ましい。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂に使用できる単量体(a1)としては、本実施形態の所望の効果を達成できるものであれば特に限定されず、好ましい例としては、下記化学式(i)で示されるメタクリル酸エステル系単量体が挙げられる。
本実施形態において好適に用いられる単量体(a2)として、上述した以外にも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれら(ただしアクリル酸、メタクリル酸を除く)のアルキルエステル;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)等のスチレン系単量体;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド等;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等を挙げることができる。
本実施形態において基材層に使用する透明熱可塑性樹脂には、耐衝撃性を向上させるために、ゴム分を適宜混ぜることができる。混合するゴム分は、透明樹脂の透明性を損なわないようなものを適宜選択すればよく、公知のものを選択してもよい。例えば、透明熱可塑性樹脂がメタクリル系樹脂の場合は、多層のコアシェル構造をとるアクリル系ゴム粒子を用いることができる。具体的には、例えば、特公昭60−17406号公報、特開平8−245854公報、特公昭55−27576号公報、特公昭58−1694号公報、特公昭59−36645号公報、特公昭59−36646号公報、特公昭62−41241号公報、特開昭59−202213号公報、特開昭63−27516号公報、特開昭51−129449号公報、特開昭52−56150号公報等に記載のアクリル系ゴム粒子を用いることができる。アクリル系ゴム粒子としては市販されているものを用いることができ、例えば、三菱レイヨン(株)製ゴム「IR441(商品名)」、(株)カネカ製ゴム「M−210(商品名)」などをあげることができる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられる。特に、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
また、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよい。このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学製)、(ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。この中でも、特にイルガノックス1010、イルガノックス1076、スミライザーGS等を用いるのが好ましい。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
さらに、上記リン系酸化防止剤としては、市販のリン系酸化防止剤を使用してもよい。このような市販のリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、アデカスタブ329K(ADK STAB 329K、旭電化製)、アデカスタブPEP36(ADK STAB PEP36、旭電化製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、旭電化製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP、住友化学製)等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
安定剤の配合量は本実施形態の所望の効果を発揮する量であれば特に限定されず、効果が発揮かつ加工時にブリードアウトする等の問題がない範囲で適宜選定すればよい。例えばメタクリル系樹脂の場合は、樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下、よりさらに好ましくは0.01質量部以上0.8質量部以下である。
本実施形態において、透視型投影板の結像層は透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材に微粒子を分散させたものである。透明熱可塑性樹脂は、基材層に使われるものと同様であり、JIS K7105に基づいて測定した厚み3mmの全光線透過率が80%以上であるものを指す。該全光線透過率はより好ましくは85%以上である。前記条件を満たすものであれば、樹脂の種類は限定されないが、好適なものとして非晶質透明樹脂があげられ、具体的にはメタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン系樹脂などがあげられる。その中でも特にメタクリル系樹脂は透明性に最も優れ、かつ耐候性にも優れるとともに、表面硬度が高くて傷つきにくいことから、本発明の用途であるデジタルサイネージの投影板として、より好ましい。
結像層の熱可塑性樹脂には、基材層と同様、種々の特性を改良する目的で、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤の種類等については基材層と同様である。結像層のマトリックス材の透明熱可塑性樹脂と基材層の透明熱可塑性樹脂とは、同一又は同じ種類の樹脂でも良いし、違う種類の樹脂でも良いが、経年による反りや部材の剥離を防ぐために、同一又は同じ種類の樹脂を用いることがより好ましい。同一又は同じ種類の樹脂であれば、温度や湿度の影響による寸法の伸縮が同じなので反りを生じる恐れが無く、また界面が完全に相溶化しているので剥離する恐れが無い。
微粒子の体積平均粒径Raは、好ましくは1μm以上20μm以下である。粒径が1μmよりも小さいと、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、鮮明な画像とならなかったりする。粒径が20μmよりも大きいと、解像度が低くなって粗い画像となってしまう。より好ましくは1.5μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは1.8μm以上12μm以下である。微粒子の粒径分布は、広くても狭くても良い。また粒径の中心値が一つでも良いし、二つ以上あっても良い。
なお、微粒子の体積平均粒径Raは、JIS Z8825「レーザ回折・散乱法」に従い測定することができる。
本実施形態においては、透視型投影板の表面に、必要に応じて、反射防止効果や帯電防止効果や表面硬化や汚れ防止等の効果を付与しても良い。これらの性能を付与するためには、例えば、一般に用いられているバインダー樹脂、酸化スズ、粉体シリカ、アルミナ等を混ぜた溶剤や、フッ素樹脂、界面活性剤等を表面に塗布しても良い、また、紫外線硬化剤を表面に塗布して硬化させて、表面硬化としても良い。これらの効果を有するフィルムを接着剤や粘着剤を介して投影板の片面または両面に貼り合せても良い。反射防止効果や帯電防止効果を持たせるためにスパッタリングや蒸着で酸化スズや酸化チタン、ITO等を単層または多層に設けても良い。
本実施形態において、透視型投影板の形状は、平板でもよいが、二次加工をして、形状をつけても良い。例えば投影するコンテンツの形状になるように切断しても良く、この場合の具体例としては、人の形や動物の形などがある。また観察側へ、凸ないし凹に湾曲させても良い。同様に観察側へ、凸ないし凹になるようにドーム形状にしても良く、ドーム形状の一部を切り取った形状としても良い。また真空成形等で賦型して、凹凸がついた形状としても良く、例えば人の顔の形に立体的に賦型することができる。その他、様々な形状とすることができる。
本実施形態において、透視型投影板は、単独で用いるほかに、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズムあるいはその他の形状のレンズと組み合わせて使用することができる。このように、投影板の少なくとも一方の表面にレンズを設けることによって、単独では得られない配光特性を拡散板に付与することができる。
例えば超短焦点プロジェクターは投影板の正面ではなく上方ないし下方に置いて、斜め方向から投影することが一般的であるが、これをレンズで正面方向へ光を曲げることで、正面から投影した場合と同様の画像とすることができ、その場合、視野角についても所望の性能を得ることができる。また、一方の表面にレンチキュラーレンズ、他方の表面にフレネルレンズを設けるなど、目的に応じて種々のレンズを組み合わせることもできる。
下記の実施例1~21および比較例1~5について、次に示す特性試験を実施した。すなわち、各実施例および各比較例で得られたシートを対象とし、投影される画像の輝度の指標として全光線透過率、画像の解像力の指標として識別可能なラインペア数、画像を識別できる視野角の広さの指標として拡散率、ホットスポットの程度の各項目について、それぞれの良否の比較評価を実施した。
JIS K7105に準じて日本電色工業社製ヘーズメーター1001DPを使用して、試験片5枚の全光線透過率を測定し、平均値を求め、この平均値を各例の全光線透過率とした。
なお、全光線透過率は35%以上であると、画像の輝度が十分に高く、開放光学系において外光の影響を受けても明るい画像であった。全光線透過率が35%未満であると、画像の輝度が低く、開放光学系において外光の影響を受けて暗く不鮮明な画像であった。
エドモンド・オプティクス・ジャパン社1951USAFテストターゲットポジ76.2×76.2を使用して、図4に示すような装置で、識別が可能なラインペア数を測定した。光源にはハロゲンランプ60を用いた。シートを200mm角に切り出して試験片50とした。ハロゲンランプ60とテストターゲット70の距離を1000mm、テストターゲット70と試験片50の結像層側表面までの距離を30mmとし、試験片50の基材層側表面と観察者90の距離を300mmとして、試験片50の中央にテストパターンが映るように調整した。試験片50に映るテストパターンを観察し、ラインを識別可能なパターンのグループ数とライン数を読み取り、1951USAFテストターゲットのラインペア数を求めるための一覧表から識別可能なラインペア数を求めた。試験片5枚を測定し、平均値を求め、この平均値を各例の識別可能なラインペア数とした。
なお、識別可能なラインペア数は3以上であると、画像の解像力が十分に高く、開放光学系においてくっきりとした画像であった。識別可能なラインペア数が3未満であると、画像の解像力が低く、開放光学系においてぼやけた画像であった。
日本電色工業社製分光変角光度計GC5000を使用して、投光角度を試料の垂直に対し0°とし、受光角度5°、20°、70°の輝度を測定し、下記数式により求めた。
拡散率=(20°輝度+70°輝度)/(2×5°輝度)
試験片5枚の拡散率を測定し、平均値を求め、この平均値を各例の拡散率とした。
なお、拡散率は25%以上であると、画像の視野角が十分に大きく、開放光学系において斜めから見ても鮮明な画像であった。拡散率が25%未満であると、画像の視野角が小さく、開放光学系において斜めから見ると暗く不鮮明な画像であった。
シートを縦750mm、横1150mmに切り出し試験投影板とした。エプソン社EH−TW410プロジェクターで、投影板までの距離を1500mmとして、16:10のアスペクト比で50インチの映像を投影し、プロジェクターとは反対側より、プロジェクターのレンズ、投影板の映像、及び観測位置が直線となるスクリーンより2000mm離れた位置から観察して、ホットスポットを以下の基準で評価した。
○:ホットスポット現象が見られず良好
△:ホットスポット現象がよく見ると見えるが問題とならないレベル
×:ホットスポット現象がはっきり見え問題となるレベル
[実施例1]
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)3mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例3]
結像層の微粒子をアイカ工業社製ガンツパールSI−30(屈折率1.41、体積平均粒径3μm)、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを85μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例4]
結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例3と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子をアイカ工業社製ガンツパールSI−45(屈折率1.41、体積平均粒径4.5μm)、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを100μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例6]
結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例5と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.00072質量%、スミプラストイエローHLR:0.000024質量%、スミプラストグリーンG0.00028質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)5mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.00045質量%、スミプラストイエローHLR:0.000015質量%、スミプラストグリーンG0.00017質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)8mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.00024質量%、スミプラストイエローHLR:0.000008質量%、スミプラストグリーンG0.000092質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)15mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール145(屈折率1.42、体積平均粒径4.5μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを150μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール120(屈折率1.43、体積平均粒径2μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを60μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例12]
結像層の微粒子の含有量Cpを5質量%とし、結像層の厚みを300μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子の含有量Cpを4質量%とし、結像層の厚みを480μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例14]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール1100(屈折率1.43、体積平均粒径10μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを160μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例15]
結像層の微粒子の含有量Cpを30質量%とし、結像層の厚みを110μmとした以外は、実施例14と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例16]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール2000B(屈折率1.45、体積平均粒径6μm)とし、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを145μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子として積水化成品社製アクリル系微粒子テクポリマーMBX−5(屈折率1.49、体積平均粒径5μm)、20質量%に対し、帝人社製ポリカーボネート樹脂パンライトL−1250ZW(厚さ3mmの全光線透過率88%、屈折率1.59)を総量が100質量%となるように加え(この場合は80質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
ポリカーボネート樹脂(帝人社製パンライトL−1250ZW)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約280℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て100℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子として積水化成品社製アクリル系微粒子テクポリマーMBX−5(屈折率1.49、体積平均粒径5μm)20質量%に対し、PSジャパン社製ポリスチレン樹脂G9305(厚さ3mmの全光線透過率90%、屈折率1.59)を総量が100質量%となるように加え(この場合は80質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製G9305)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約220℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子として積水化成品社製アクリル系微粒子テクポリマーMBX−5(屈折率1.49、体積平均粒径5μm)20質量%に対し、日本ゼオン社製シクロオレフィン系樹脂ゼオノア1020R(厚さ3mmの全光線透過率92%、屈折率1.53)を総量が100質量%となるように加え(この場合は80質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
シクロオレフィン系樹脂(日本ゼオン社製ゼオノア1020R)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、プライムポリマー社製ポリプロピレン系樹脂プライムポリプロB221WA(厚さ3mmの全光線透過率80%、屈折率1.48)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製プライムポリプロB221WA)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約230℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例21]
結像層の微粒子の含有量Cpを4質量%とし、結像層の厚みを550μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の厚みを110μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例23]
結像層の厚みを150μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例24]
結像層の微粒子を11質量%とした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例25]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール145(屈折率1.42、体積平均粒径4.5μm)、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例26]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール120(屈折率1.43、体積平均粒径2μm)、その含有量Cpを12質量%とし、結像層の厚みを60μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例27]
結像層の微粒子の含有量Cpを6質量%とし、結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例26と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子の含有量Cpを18質量%とし、結像層の厚みを200μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例26と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例29]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール1100(屈折率1.43、体積平均粒径10μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを200μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例30]
結像層の厚みを450μmとし、シートの厚みを15mmとした以外は、実施例29と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例31]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール2000B(屈折率1.45、体積平均粒径6μm)とし、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを150μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例32]
結像層の微粒子の含有量Cpを30質量%とし、厚みを300μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例31と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例33]
結像層の微粒子の含有量Cpを18質量%とし、厚みを550μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例25と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例34]
結像層の微粒子の含有量Cpを40質量%とし、結像層の厚みを110μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例26と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
結像層の微粒子の含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを40μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[比較例2]
結像層の微粒子を炭酸カルシウム(CaCO3:屈折率1.58、体積平均粒径2μm)、その含有量Cpを10質量%とし、結像層の厚みを100μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[比較例3]
結像層の微粒子を硫酸バリウム(BaSO4:屈折率1.64、体積平均粒径0.8μm)、その含有量Cpを10質量%とし、結像層の厚みを100μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
実施例1〜21および比較例1〜3の結果を表1に、実施例22〜34の結果を表2に示す。
一方、各比較例のシートはいずれも、開放光学系で用いる透視型投影板に求められる性能の少なくとも一つを満たしていなかった。すなわち、全光線透過率が低くて画像の輝度が低くかったり、テストパターンの識別可能なラインペア数が少なくて画像の解像度が低かったり、拡散率が低くて画像を識別できる視野角が小さかったり、プロジェクターの中心光によるホットスポットを抑制できなかったりした。
特に、本発明の透視型投影板は、開放光学系で用いても、外部光の影響を軽減でき、さらに経年による反りや部材の剥離が生じることも少ないので、開放光学系で用いるための透視型投影板として好適に用いることができる。
20 基材層
21 着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂
30 結像層
31 透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材
32 微粒子
50 試験片
60 ハロゲンランプ
70 テストターゲット
80 光源
90 観察者
Claims (6)
- 着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂からなる基材層と、透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材に微粒子を分散させた結像層とを有する透視型投影板であって、
前記マトリックス材の屈折率Nmが、前記微粒子の屈折率Ndより大きく、
前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(質量%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式を満たし、
前記結像層の厚みTrが50〜550μmであり、
前記結像層中の微粒子の含有量Cpが3〜40質量%であり、
前記微粒子の体積平均粒径Raが1〜20μmであり、
前記マトリックス材の屈折率Nmと微粒子の屈折率Ndとが、下記式(1)を満たす透視型投影板。
320≦Tr×Cp/Ra
0.03≦Nm−Nd≦0.12・・・(1) - 前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式(2)を満たす、請求項1に記載の透視型投影板。
320≦Tr×Cp/Ra≦1000・・・(2) - 前記投影板の厚みが2mm以上20mm以下である、請求項1又は2に記載の透視型投影板。
- 前記投影板の基材層と結像層が、共押出法により一体で積層成形されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透視型投影板。
- 開放光学系用である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の透視型投影板。
- 請求項5に記載の透視型投影板と光源を含む開放光学系であって、
光源側から観察側へ結像層、基材層の順となるように前記透視型投影板が配置された、開放光学系。
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