JP6457957B2 - 開放光学系で用いるための透視型投影板 - Google Patents

開放光学系で用いるための透視型投影板 Download PDF

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Description

本発明は、投影したプロジェクターの画像を結像させ、透視方向から高い解像度で見ることができる、透視型投影板に関し、さらにはプロジェクターから投影板までの光学系が密閉されていない開放光学系で用いるのに適した透視型投影板に関する。
近年、広告板、表示板などに、液晶ディスプレーなどを用いて、表示内容を切り替えたり、動画を写しだすなどの、デジタルサイネージと言われる方法が広がりつつある。デジタルサイネージでは、従来の表示板や広告板に比べ、より多くの情報を表示することが可能なので、多言語対応が容易になったり、効果的な情報伝達や広告宣伝が可能となることから、急速な広がりが期待されている。
デジタルサイネージには液晶ディスプレーが表示方法として使用されることが一般的である。しかし、液晶ディスプレーはサイズに制約があり、さらに視野角が狭いので、広いスペースで多くの人々へ伝達するには数多く設置しなければならないという問題がある。またその形状は長方形の平面であり、例えば広告の効果を高めるため、人や動物などの形にしたり、立体形状にしたりすることができない。
そこで、プロジェクター等の映像出力装置から画像を投影し、透視方向から見る方法として、例えば、下記の特許文献1が提案されている。ここでは、映像出力装置から出力されたコンテンツ画像が、反射部材により反射され、コンテンツの輪郭の形状に形成されたスクリーンへ投影される。スクリーンは、樹脂板にスクリーンフィルムが貼付されたもので、スクリーンフィルムは市販されている高輝度、高コントラストを有するものを用いるとだけあって、具体的な内容が明示されていない。この装置は先の液晶ディスプレーの欠点を解決する優れたものであるが、この光学系は密閉されていない開放光学系であり、これを構成する光学部材は外部光が光学系に及ぼす悪影響を軽減しないと、鮮明な映像を得ることができない。
このような装置をデジタルサイネージに用いる場合、画像を投影する投影板に要求される性能としては、上述の高い輝度、高いコントラストの他、高い解像力と、広い視野角と、ホットスポットに代表される画像の欠陥が無いことがあげられる。高い輝度とは明るい画像であることを指し、高いコントラストとは画像の明暗の差が大きいことを指す。デジタルサイネージは、いわゆる公共の場に設置されることが多いので、明るい空間に設置されることが多く、このような場で鮮明な画像とするために重要である。高い解像力とは、単位面積当たりの認識可能な画素数が多いことを指し、画像の美しさや情報量の多さに結び付くため、重要である。広い視野角とは、画像を斜めから見た場合、画像が暗くならない角度の範囲が広いことを指し、デジタルサイネージでは広いスペースで多くの人々へ画像を認識させなければならないため、重要である。ホットスポットとは、光源の正面から観察した際に、光源から直進する光を直接観察してしまうため、投影画像の中心部が赤く光る現象を指し、投影画像の欠陥の一つである。デジタルサイネージにおいては、明るい空間に設置することが多いため、プロジェクターの光量をより大きくする必要があるが、光量が多いほどホットスポットは悪化する(赤い光がより強く、広い範囲で光る)ため、これを防ぐことは重要である。
スクリーンフィルムとしては、例えば、下記の特許文献2が提案されている。ここでは、フィルムの層の中にフィルム基材とは屈折率の異なる角錐形状の構造体が多数形成されていて、これらの界面は屈折率が異なるため反射面となり、投影された光を分散するため、画像を結像させる。
このスクリーンフィルムは、高輝度、高コントラストを実現するのに優れた方法であるが、製造方法が複雑で生産性が非常に悪いので、極めて高価なものとなってしまう。また、角錐形状の構造体を十分に小さくかつ数を多くしないと、画像の鮮鋭度や解像度が著しく悪化してしまうが、構造体が小さいと光が十分に拡散せず、視野角が狭くなったり、ホットスポットが現れたりする。さらに、このようなフィルムを別の板に貼付してスクリーンとすると、これらが異種材料であるため、経年によりスクリーンに反りが生じたり、貼付面から剥がれる恐れがある。特に広告板や表示板は屋外かそれに近い環境下に設置されることが多いので、反りや剥離の可能性はより高まる。また、このスクリーンフィルムは光学系で外部光の影響がない場合は、鮮明な画像を得ることができるが、外部光の影響がある開放光学系で用いると、コントラストが低下して画像が不鮮明になる問題がある。
特開2011−150221 特表2003−504691
本発明は、簡易な構成で、かつ、開放光学系のような外部光の影響のある環境下で用いても高輝度で高解像度の画像を投影することが可能な透視型投影板を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、着色層を含有した透明熱可塑性樹脂からなる基材層に、透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材に、該マトリックス材の屈折率よりも小さい屈折率を有する微粒子を分散させた結像層を積層したものは、簡易な構成ながら、透視型投影板として利用でき、しかも、特定の条件を満たす場合には外部光の影響があっても、ホットスポットの出現を伴うことなく鮮明な画像を投影することができることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂からなる基材層と、透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材に微粒子を分散させた結像層とを有する透視型投影板であって、
前記マトリックス材の屈折率Nmが、前記微粒子の屈折率Ndより大きく、
前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(質量%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式を満たす、透視型投影板。
320≦Tr×Cp/Ra
[2]前記マトリックス材の屈折率Nmと微粒子の屈折率Ndとが、下記式(1)を満たす、[1]に記載の透視型投影板。
0.03≦Nm−Nd≦0.12・・・(1)
[3]前記結像層の厚みTrが、50μm以上500μm以下である、[1]又は[2]に記載の透視型投影板。
[4]前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式(2)を満たす、[1]〜[3]いずれかに記載の透視型投影板。
320≦Tr×Cp/Ra≦1000・・・(2)
[5]前記投影板の厚みが2mm以上20mm以下である、[1]〜[4]いずれかに記載の透視型投影板。
[6]前記投影板の基材層と結像層が、共押出法により一体で積層成形されたものである、[1]〜[5]いずれかに記載の透視型投影板。
[7]開放光学系用である、[1]〜[6]いずれかに記載の透視型投影板。
[8][7]に記載の透視型投影板と光源を含む開放光学系であって、
光源側から観察側へ結像層、基材層の順となるように前記透視型投影板が配置された、開放光学系。
本発明の透視型投影板は、開放光学系で用いても外部光の影響を軽減して、高輝度および高コントラストでさらに高鮮鋭度および高解像度の画像を投影することが可能であり、かつ視野角が広く、ホットスポットに代表される欠陥がなく、さらに経年による反りや部材の剥離が生じることがないので、屋外やそれに類似した環境下でデジタルサイネージの投影板として使用するのに好適である。
本発明の透視型投影板の一例の断面図である。 本発明における光源と透視型投影板と観察者の位置関係を示す模式図である。 本発明の投影板の結像層断面の拡大図である。 投影板の解像力を測定するための装置の概要を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の透視型投影板の実施形態の一例について、その断面図を図1に示す。透視型投影板10は、着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂21からなる基材層20に結像層30を積層した2層からなり、光源側から観察側へ結像層30、基材層20の順に配置されている。
図2には光源80と透視型投影板10と観察者90の位置関係を模式的に示した。光源80より画像が投射され、透視型投影板10の結像層30に画像が投影され、これを基材層20を通して観察者90が観察する。光源80からの画像の光が結像層30に先に当たることで、十分な光量の光が拡散され、輝度の高い画像となる。続いて、着色された基材層を画像の光が通過することで、開放光学系において、外光の影響があっても、コントラストが高く鮮明な画像となる。
図3に結像層30の断面の拡大図を示す。結像層30は、透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材31に微粒子32が均等に分散した構成を有している。マトリックス材31の屈折率Nmが微粒子32の屈折率Ndより大きく、両者の界面で光の屈折や反射が生じるため拡散光となるので、投射された画像が結像し、投影画像として見ることができる。
なお、マトリックス材の屈折率は、JIS K7142「プラスチック−屈折率の求め方」A法に従って、微粒子の屈折率は、JIS K7142「プラスチック−屈折率の求め方」B法に従って測定することができる。
マトリックス材の屈折率Nmの方が大きいと、光線は反射するだけでなく一部は屈折して微粒子内部を通る。このため透視方向に光が多く出ていくので、微粒子の数を多くしても十分に明るい画像とすることができる。逆にマトリックス材の屈折率Nmの方が小さいと光線は反射するだけとなり、微粒子内部を通らない。そのため、微粒子を多くすると暗い画像となり、画像を明るくするため微粒子を少なくすると、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、視野角が狭くなってしまう。
マトリックス材31の屈折率Nmと微粒子32の屈折率Ndは、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.03≦Nm−Nd≦0.12・・・(1)
Nm−Ndの値が0.03より小さいと、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、視野角が狭くなったりすることもある。Nm−Ndの値が0.12より大きいと、光の屈折や反射が多くなり、観察者の目まで届く光量が少なくなり、暗い画像となることもある。Nm−Ndの値のより好ましい範囲は0.04以上0.10以下である。Nm−Ndの値の下限値は、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.06以上であり、Nm−Ndの値の上限値は、より好ましくは0.09以下、さらに好ましくは0.085以下である。
結像層30の厚みTrは50μm以上500μm以下であることが好ましい。厚みが50μmより薄くなると、微粒子同士の間隔が狭まるため、画像の明るさと解像度は高いが、全体に白っぽく鮮明度が低い画像となることがある。厚みが500μmより大きいと、画像の解像度が低く、ぼやけた画像となることがある。
結像層30の厚みのより好ましい範囲は60μm以上450μm以下であり、さらに好ましい範囲は80μm以上400μm以下である。
結像層の厚みTr(μm)と、微粒子の含有量Cp(質量%)と、微粒子の体積平均粒径Ra(μm)とは下記式を満たす。
320≦Tr×Cp/Ra
Tr×Cp/Raの値が320より小さいと、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、視野角が狭く斜めから見ると画像が暗くなったりする。Tr×Cp/Raは、330以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、360以上であることがさらに好ましく、370以上であることがなお好ましく、400以上であることがよりいっそう好ましい。
さらに、Tr×Cp/Raは、下記式(2)を満たすことが好ましい。
320≦Tr×Cp/Ra≦1000・・・(2)
Tr×Cp/Raの値が2000より大きいと、光の屈折や反射が多くなり、観察者の目まで届く光量が少なくなって暗い画像となったり、画像の解像度が低くなって不鮮明な画像となることがあるが、そのような傾向は、Tr×Cp/Raの値が1000より大きくなるあたりから認められるようになるためである。なお、この傾向は、Tr×Cp/Raの値が1600より大きくなると大きくなり、1800より大きくなるとより大きくなり、前述の2000を超えるとさらに大きくなる。
Tr×Cp/Raの値の好ましい範囲は330以上800以下であり、より好ましい範囲は350以上1700以下である。
投影板の厚みは2mm以上20mm以下が好ましい。
投影板の厚みが2mmより薄くなると、投影板の剛性が十分確保できなくなるので、投影板がゆがんでしまい、投影した画像が歪んでしまう恐れがある。また、投影板をさらに賦形して立体形状とする場合は、成形時に破れたり、極端に薄い部分ができたりする問題が生じる。
投影板の厚みが20mmより厚くなると、投影板が重くなるため、設置できる場所に制限が出てきたり、設置のために大掛かりな工事が必要となってしまう恐れがある。さらに、投影板を賦型して立体形状とする場合は、形状がきちんと出にくくなってしまう。投影板の厚みのより好ましい範囲は2.5mm以上16mm以下である。
投影板の基材層と結像層は共押出法により一体で積層成形されることが好ましい。基材層と結像層を積層して投影板を作る方法には、前述の共押出法による積層成形の他、結像層を単独でフィルムとして成形し、同様に単独で板状に成形した基材層と貼り合せる方法や、単独で板状に成形した基材層の上に、マトリックス材と微粒子を混合した層を塗布する方法などが可能である。この中で、共押出法は、投影板が経年による反りや部材の剥離が生じることが他の方法に比べ少ない。
基材層の透明熱可塑性樹脂と結像層のマトリックス材の透明熱可塑性樹脂とは、同一又は同じ種類の樹脂(単量体が共通する樹脂)でも良いし、違う種類の樹脂でも良いが、経年による反りや部材の剥離を防ぐために、同じ種類の樹脂を用いることがより好ましい。同一又は同じ種類の樹脂であれば、温度や湿度の影響による寸法の伸縮が同じなので反りを生じる恐れが無く、また界面が完全に相溶化しているので剥離する恐れが無い。
本発明の透視型投影板の実施形態における、より具体的な一例をさらに詳細に説明する。
(1)基材層
本実施形態において、透視型投影板の基材層は着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂からなっている。
ここで、透明熱可塑性樹脂とは、JIS K7105に基づいて測定した厚み3mmの全光線透過率が80%以上であるものを指す。該全光線透過率はより好ましくは85%以上である。前記条件を満たすものであれば、樹脂の種類は限定されないが、好適なものとして非晶質透明樹脂があげられ、具体的にはメタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン系樹脂などがあげられる。その中でも特にメタクリル系樹脂は透明性に最も優れ、かつ耐候性にも優れるとともに、表面硬度が高くて傷つきにくいことから、本発明の用途の一つであるデジタルサイネージの投影板の基材の材料として、より好ましい。
メタクリル系樹脂としては、メタクリル酸エステル単量体(a1):70〜100質量%と、前記(a1)に共重合可能なその他の単量体(a2):0〜30質量%とが(共)重合したものが好ましい。より好ましくは、(a1)成分が80〜99.9質量%、(a2)成分が0.1〜20質量%の質量比率であり、更に好ましくは、(a1)成分が90〜99.5質量%、(a2)成分が0.5〜10質量%の質量比率であり、特に好ましくは、(a1)成分が92〜99質量%、(a2)成分が1〜8質量%の質量比率である。
本実施形態におけるメタクリル系樹脂に使用できる単量体(a1)としては、本実施形態の所望の効果を達成できるものであれば特に限定されず、好ましい例としては、下記化学式(i)で示されるメタクリル酸エステル系単量体が挙げられる。
Figure 0006457957
(なお、式(i)中、R1はメチル基を表す。また、R2は炭素数が1〜12の基を表す。上記R2は、好ましくは炭素数1〜12の炭化水素基であり、炭素上に水酸基を有していてもよい。)
上記メタクリル酸エステル系単量体(a1)の好適な具体例としては、以下に限定されないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。上記メタクリル酸エステル単量体(a1)は、上記した中の1種を単独で用いてもよいし、2種以上で用いてもよい。
また、本実施形態において、上記メタクリル酸エステル系単量体(a1)と共重合可能な他の単量体(a2)としては、下記化学式(ii)で表されるアクリル酸エステル単量体を好適に用いることができる。
Figure 0006457957
(R3は水素原子であり、R4は炭素数が1〜18の炭化水素基である。)
上記アクリル酸エステル単量体(a2)の好適な具体例としては、以下に限定されないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等を挙げることができる。
本実施形態において好適に用いられる単量体(a2)として、上述した以外にも、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれら(ただしアクリル酸、メタクリル酸を除く)のアルキルエステル;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)等のスチレン系単量体;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド等;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等を挙げることができる。
本実施形態において、特に好適に使用される他の単量体(a2)の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。他の単量体(a2)は、上記した中の1種を単独で用いてもよいし、2種以上で用いてもよい。更に好ましい具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。
本実施形態において基材層に使用する透明熱可塑性樹脂の製造方法は、何ら限定されるものではなく、公知の重合方法を用いることができる。
本実施形態において基材層に使用する透明熱可塑性樹脂には、耐衝撃性を向上させるために、ゴム分を適宜混ぜることができる。混合するゴム分は、透明樹脂の透明性を損なわないようなものを適宜選択すればよく、公知のものを選択してもよい。例えば、透明熱可塑性樹脂がメタクリル系樹脂の場合は、多層のコアシェル構造をとるアクリル系ゴム粒子を用いることができる。具体的には、例えば、特公昭60−17406号公報、特開平8−245854公報、特公昭55−27576号公報、特公昭58−1694号公報、特公昭59−36645号公報、特公昭59−36646号公報、特公昭62−41241号公報、特開昭59−202213号公報、特開昭63−27516号公報、特開昭51−129449号公報、特開昭52−56150号公報等に記載のアクリル系ゴム粒子を用いることができる。アクリル系ゴム粒子としては市販されているものを用いることができ、例えば、三菱レイヨン(株)製ゴム「IR441(商品名)」、(株)カネカ製ゴム「M−210(商品名)」などをあげることができる。
本実施形態において基材層に使用する透明熱可塑性樹脂には、種々の特性を改良する目的で、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤;可塑剤(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル)、難燃剤(例えば、有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等のリン系、ハロゲン系、シリカ系、シリコーン系等)、難燃助剤(例えば、酸化アンチモン類、金属酸化物、金属水酸化物等)、硬化剤(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシレンジアミン、m−フェヒレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド等のアミン類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂類、液状ポリメルカプタン、ポリサルファイド等のポリメルカプタン、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ドデシル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水クロレンディック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)等の酸無水物等)、硬化促進剤(2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、テトラメチルヘキサンジアミン等の三級アミン類、トリフェニルホスファインテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアミンテトラフェニルボレート等のボロン塩、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン等のキノイド化合物等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤(アルコール、及びアルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、シリコーンオイル等)、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸、及びその金属塩、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド類等)、衝撃付与剤、摺動性改良剤(低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフルエステル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフルエステル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)、相溶化剤、核剤、強化剤、流動調整剤、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤(シリコーン系消泡剤、界面活性剤やポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤等)、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等が挙げられる。
前記熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工安定剤等のリン系酸化防止剤が挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられる。特に、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
また、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよい。このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学製)、(ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。この中でも、特にイルガノックス1010、イルガノックス1076、スミライザーGS等を用いるのが好ましい。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
また、上記リン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト等が挙げられる。
さらに、上記リン系酸化防止剤としては、市販のリン系酸化防止剤を使用してもよい。このような市販のリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、アデカスタブ329K(ADK STAB 329K、旭電化製)、アデカスタブPEP36(ADK STAB PEP36、旭電化製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、旭電化製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP、住友化学製)等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上述したヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤は、それぞれ単独で用いてもよいが、併用すると安定剤としての効果が増すので、より好ましい。
安定剤の配合量は本実施形態の所望の効果を発揮する量であれば特に限定されず、効果が発揮かつ加工時にブリードアウトする等の問題がない範囲で適宜選定すればよい。例えばメタクリル系樹脂の場合は、樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下、よりさらに好ましくは0.01質量部以上0.8質量部以下である。
上記紫外線吸収剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられる。特に、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物が好ましい。これらは1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
基材層の透明熱可塑性樹脂は、着色剤により着色されている。使用する着色剤に制限はなく染料であっても顔料であってもよいが、例えば、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタリシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料、などがあげられる。着色剤は1種類に限らず、複数用いてもよい。
(2)結像層
本実施形態において、透視型投影板の結像層は透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材に微粒子を分散させたものである。透明熱可塑性樹脂は、基材層に使われるものと同様であり、JIS K7105に基づいて測定した厚み3mmの全光線透過率が80%以上であるものを指す。該全光線透過率はより好ましくは85%以上である。前記条件を満たすものであれば、樹脂の種類は限定されないが、好適なものとして非晶質透明樹脂があげられ、具体的にはメタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン系樹脂などがあげられる。その中でも特にメタクリル系樹脂は透明性に最も優れ、かつ耐候性にも優れるとともに、表面硬度が高くて傷つきにくいことから、本発明の用途であるデジタルサイネージの投影板として、より好ましい。
結像層の熱可塑性樹脂には、基材層と同様、種々の特性を改良する目的で、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤の種類等については基材層と同様である。結像層のマトリックス材の透明熱可塑性樹脂と基材層の透明熱可塑性樹脂とは、同一又は同じ種類の樹脂でも良いし、違う種類の樹脂でも良いが、経年による反りや部材の剥離を防ぐために、同一又は同じ種類の樹脂を用いることがより好ましい。同一又は同じ種類の樹脂であれば、温度や湿度の影響による寸法の伸縮が同じなので反りを生じる恐れが無く、また界面が完全に相溶化しているので剥離する恐れが無い。
結像層に含まれる微粒子は、本発明の条件を満たすものであれば、特に制限はないが、例えばシリコーン系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子、アクリルとスチレンの共重合体の微粒子、スチレン系樹脂微粒子、フッ素系樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、ガラスビーズなどが挙げられる。微粒子の形状についても特に制限はないが、例えば球状、楕円状、ラグビーボール形状、不定形の多角形状などが挙げられる。
微粒子の体積平均粒径Raは、好ましくは1μm以上20μm以下である。粒径が1μmよりも小さいと、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、鮮明な画像とならなかったりする。粒径が20μmよりも大きいと、解像度が低くなって粗い画像となってしまう。より好ましくは1.5μm以上15μm以下であり、さらに好ましくは1.8μm以上12μm以下である。微粒子の粒径分布は、広くても狭くても良い。また粒径の中心値が一つでも良いし、二つ以上あっても良い。
なお、微粒子の体積平均粒径Raは、JIS Z8825「レーザ回折・散乱法」に従い測定することができる。
結像層における微粒子の含有量Cpは、好ましくは3質量%以上35質量%以下である。含有量が3質量%より少なくなると、光の屈折や反射が少なくなり拡散が不十分となるので、ホットスポットが現れたり、視野角が狭くなったりする傾向がある。含有量が35質量%より多くなると、光の屈折や反射が多くなり、観察者の目まで届く光量が少なくなって暗い画像となったり、画像の解像度が低くなって不鮮明な画像となる。より好ましくは4質量%以上35質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以上30質量%以下である。
(3)投影板の表面の処理
本実施形態においては、透視型投影板の表面に、必要に応じて、反射防止効果や帯電防止効果や表面硬化や汚れ防止等の効果を付与しても良い。これらの性能を付与するためには、例えば、一般に用いられているバインダー樹脂、酸化スズ、粉体シリカ、アルミナ等を混ぜた溶剤や、フッ素樹脂、界面活性剤等を表面に塗布しても良い、また、紫外線硬化剤を表面に塗布して硬化させて、表面硬化としても良い。これらの効果を有するフィルムを接着剤や粘着剤を介して投影板の片面または両面に貼り合せても良い。反射防止効果や帯電防止効果を持たせるためにスパッタリングや蒸着で酸化スズや酸化チタン、ITO等を単層または多層に設けても良い。
(4)投影板の形状
本実施形態において、透視型投影板の形状は、平板でもよいが、二次加工をして、形状をつけても良い。例えば投影するコンテンツの形状になるように切断しても良く、この場合の具体例としては、人の形や動物の形などがある。また観察側へ、凸ないし凹に湾曲させても良い。同様に観察側へ、凸ないし凹になるようにドーム形状にしても良く、ドーム形状の一部を切り取った形状としても良い。また真空成形等で賦型して、凹凸がついた形状としても良く、例えば人の顔の形に立体的に賦型することができる。その他、様々な形状とすることができる。
(5)レンズとの組み合わせ
本実施形態において、透視型投影板は、単独で用いるほかに、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、プリズムあるいはその他の形状のレンズと組み合わせて使用することができる。このように、投影板の少なくとも一方の表面にレンズを設けることによって、単独では得られない配光特性を拡散板に付与することができる。
例えば超短焦点プロジェクターは投影板の正面ではなく上方ないし下方に置いて、斜め方向から投影することが一般的であるが、これをレンズで正面方向へ光を曲げることで、正面から投影した場合と同様の画像とすることができ、その場合、視野角についても所望の性能を得ることができる。また、一方の表面にレンチキュラーレンズ、他方の表面にフレネルレンズを設けるなど、目的に応じて種々のレンズを組み合わせることもできる。
次に本発明を実施例および比較例に基づき説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
下記の実施例1~21および比較例1~5について、次に示す特性試験を実施した。すなわち、各実施例および各比較例で得られたシートを対象とし、投影される画像の輝度の指標として全光線透過率、画像の解像力の指標として識別可能なラインペア数、画像を識別できる視野角の広さの指標として拡散率、ホットスポットの程度の各項目について、それぞれの良否の比較評価を実施した。
(1)全光線透過率
JIS K7105に準じて日本電色工業社製ヘーズメーター1001DPを使用して、試験片5枚の全光線透過率を測定し、平均値を求め、この平均値を各例の全光線透過率とした。
なお、全光線透過率は35%以上であると、画像の輝度が十分に高く、開放光学系において外光の影響を受けても明るい画像であった。全光線透過率が35%未満であると、画像の輝度が低く、開放光学系において外光の影響を受けて暗く不鮮明な画像であった。
(2)識別可能なラインペア数
エドモンド・オプティクス・ジャパン社1951USAFテストターゲットポジ76.2×76.2を使用して、図4に示すような装置で、識別が可能なラインペア数を測定した。光源にはハロゲンランプ60を用いた。シートを200mm角に切り出して試験片50とした。ハロゲンランプ60とテストターゲット70の距離を1000mm、テストターゲット70と試験片50の結像層側表面までの距離を30mmとし、試験片50の基材層側表面と観察者90の距離を300mmとして、試験片50の中央にテストパターンが映るように調整した。試験片50に映るテストパターンを観察し、ラインを識別可能なパターンのグループ数とライン数を読み取り、1951USAFテストターゲットのラインペア数を求めるための一覧表から識別可能なラインペア数を求めた。試験片5枚を測定し、平均値を求め、この平均値を各例の識別可能なラインペア数とした。
なお、識別可能なラインペア数は3以上であると、画像の解像力が十分に高く、開放光学系においてくっきりとした画像であった。識別可能なラインペア数が3未満であると、画像の解像力が低く、開放光学系においてぼやけた画像であった。
(3)拡散率
日本電色工業社製分光変角光度計GC5000を使用して、投光角度を試料の垂直に対し0°とし、受光角度5°、20°、70°の輝度を測定し、下記数式により求めた。
拡散率=(20°輝度+70°輝度)/(2×5°輝度)
試験片5枚の拡散率を測定し、平均値を求め、この平均値を各例の拡散率とした。
なお、拡散率は25%以上であると、画像の視野角が十分に大きく、開放光学系において斜めから見ても鮮明な画像であった。拡散率が25%未満であると、画像の視野角が小さく、開放光学系において斜めから見ると暗く不鮮明な画像であった。
(4)ホットスポット
シートを縦750mm、横1150mmに切り出し試験投影板とした。エプソン社EH−TW410プロジェクターで、投影板までの距離を1500mmとして、16:10のアスペクト比で50インチの映像を投影し、プロジェクターとは反対側より、プロジェクターのレンズ、投影板の映像、及び観測位置が直線となるスクリーンより2000mm離れた位置から観察して、ホットスポットを以下の基準で評価した。
○:ホットスポット現象が見られず良好
△:ホットスポット現象がよく見ると見えるが問題とならないレベル
×:ホットスポット現象がはっきり見え問題となるレベル
次に、各実施例および各比較例について説明する。
[実施例1]
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)3mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例2]
結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例3]
結像層の微粒子をアイカ工業社製ガンツパールSI−30(屈折率1.41、体積平均粒径3μm)、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを85μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例4]
結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例3と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例5]
結像層の微粒子をアイカ工業社製ガンツパールSI−45(屈折率1.41、体積平均粒径4.5μm)、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを100μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例6]
結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例5と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例7]
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.00072質量%、スミプラストイエローHLR:0.000024質量%、スミプラストグリーンG0.00028質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)5mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例8]
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.00045質量%、スミプラストイエローHLR:0.000015質量%、スミプラストグリーンG0.00017質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)8mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例9]
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、旭化成ケミカルズ社製メタクリル系樹脂デルパウダ70H(厚さ3mmの全光線透過率93%、屈折率1.49)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
メタクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ社製デルパウダ70H)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.00024質量%、スミプラストイエローHLR:0.000008質量%、スミプラストグリーンG0.000092質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。このとき、シートの厚み(基材層と結像層の厚みの合計)15mm、結像層の厚み100μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例10]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール145(屈折率1.42、体積平均粒径4.5μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを150μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例11]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール120(屈折率1.43、体積平均粒径2μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを60μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例12]
結像層の微粒子の含有量Cpを5質量%とし、結像層の厚みを300μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例13]
結像層の微粒子の含有量Cpを4質量%とし、結像層の厚みを480μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例14]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール1100(屈折率1.43、体積平均粒径10μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを160μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例15]
結像層の微粒子の含有量Cpを30質量%とし、結像層の厚みを110μmとした以外は、実施例14と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例16]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール2000B(屈折率1.45、体積平均粒径6μm)とし、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを145μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例17]
結像層の微粒子として積水化成品社製アクリル系微粒子テクポリマーMBX−5(屈折率1.49、体積平均粒径5μm)、20質量%に対し、帝人社製ポリカーボネート樹脂パンライトL−1250ZW(厚さ3mmの全光線透過率88%、屈折率1.59)を総量が100質量%となるように加え(この場合は80質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
ポリカーボネート樹脂(帝人社製パンライトL−1250ZW)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約280℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て100℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例18]
結像層の微粒子として積水化成品社製アクリル系微粒子テクポリマーMBX−5(屈折率1.49、体積平均粒径5μm)20質量%に対し、PSジャパン社製ポリスチレン樹脂G9305(厚さ3mmの全光線透過率90%、屈折率1.59)を総量が100質量%となるように加え(この場合は80質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製G9305)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約220℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例19]
結像層の微粒子として積水化成品社製アクリル系微粒子テクポリマーMBX−5(屈折率1.49、体積平均粒径5μm)20質量%に対し、日本ゼオン社製シクロオレフィン系樹脂ゼオノア1020R(厚さ3mmの全光線透過率92%、屈折率1.53)を総量が100質量%となるように加え(この場合は80質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
シクロオレフィン系樹脂(日本ゼオン社製ゼオノア1020R)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約260℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例20]
結像層の微粒子としてモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール130(屈折率1.42、体積平均粒径3μm)15質量%に対し、プライムポリマー社製ポリプロピレン系樹脂プライムポリプロB221WA(厚さ3mmの全光線透過率80%、屈折率1.48)を総量が100質量%となるように加え(この場合は85質量%)、タンブラー(混合機、30回転/分×30分)にて均一分散後、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した結像層用ペレットを作製した。
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製プライムポリプロB221WA)に住友化学社製着色剤3種類(ブラストレッド835:0.0012質量%、スミプラストイエローHLR:0.00004質量%、スミプラストグリーンG0.00046質量%)を総量が100質量%となるよう添加しながら、φ48mm二軸押出機を使用して、混合造粒した基材層用ペレットを作製した。
結像層にはφ32mm単軸押出機を用い、基材層にはφ50mm単軸押出機を用いて共押出しを行い、2層シートを作製した。シートの厚みは3mmで結像層の厚みは150μm、シートの幅800mmに調整し、ダイ出口の樹脂温度を約230℃になるよう調整した。ダイより出たシートは、上、中、下の3本の鏡面ポリッシングロールで冷却した。ポリッシングロールの表面温度は全て80℃とした。
このようにして得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例21]
結像層の微粒子の含有量Cpを4質量%とし、結像層の厚みを550μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例22]
結像層の厚みを110μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例23]
結像層の厚みを150μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例24]
結像層の微粒子を11質量%とした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例25]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール145(屈折率1.42、体積平均粒径4.5μm)、その含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例26]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール120(屈折率1.43、体積平均粒径2μm)、その含有量Cpを12質量%とし、結像層の厚みを60μmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例27]
結像層の微粒子の含有量Cpを6質量%とし、結像層の厚みを120μmとした以外は、実施例26と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例28]
結像層の微粒子の含有量Cpを18質量%とし、結像層の厚みを200μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例26と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例29]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール1100(屈折率1.43、体積平均粒径10μm)、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを200μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例30]
結像層の厚みを450μmとし、シートの厚みを15mmとした以外は、実施例29と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例31]
結像層の微粒子をモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製シリコーン系微粒子トスパール2000B(屈折率1.45、体積平均粒径6μm)とし、その含有量Cpを20質量%とし、結像層の厚みを150μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例32]
結像層の微粒子の含有量Cpを30質量%とし、厚みを300μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例31と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例33]
結像層の微粒子の含有量Cpを18質量%とし、厚みを550μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例25と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[実施例34]
結像層の微粒子の含有量Cpを40質量%とし、結像層の厚みを110μmとし、シートの厚みを8mmとした以外は、実施例26と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[比較例1]
結像層の微粒子の含有量Cpを15質量%とし、結像層の厚みを40μmとした以外は、実施例11と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[比較例2]
結像層の微粒子を炭酸カルシウム(CaCO3:屈折率1.58、体積平均粒径2μm)、その含有量Cpを10質量%とし、結像層の厚みを100μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
[比較例3]
結像層の微粒子を硫酸バリウム(BaSO4:屈折率1.64、体積平均粒径0.8μm)、その含有量Cpを10質量%とし、結像層の厚みを100μmとし、シートの厚みを5mmとした以外は、実施例1と同様にして2層シートを作製した。得られたシートを、投影板に関する上記の評価項目について評価した。
実施例1〜21および比較例1〜3の結果を表1に、実施例22〜34の結果を表2に示す。
Figure 0006457957
Figure 0006457957
表1、2から分かるように、各実施例のシートはいずれも、開放光学系で用いる透視型投影板に求められる性能をすべて満たしていた。すなわち、全光線透過率が高くて画像の輝度が高く、テストパターンの識別可能なラインペア数が多くて画像の解像度が高く、拡散率が高くて画像を識別できる視野角が大きく、プロジェクターの中心光によるホットスポットを抑制できていた。
一方、各比較例のシートはいずれも、開放光学系で用いる透視型投影板に求められる性能の少なくとも一つを満たしていなかった。すなわち、全光線透過率が低くて画像の輝度が低くかったり、テストパターンの識別可能なラインペア数が少なくて画像の解像度が低かったり、拡散率が低くて画像を識別できる視野角が小さかったり、プロジェクターの中心光によるホットスポットを抑制できなかったりした。
本発明の透視型投影板は、高輝度で高解像度の画像を投影することが可能であり、かつ視野角が広く、ホットスポットに代表される欠陥がないため、各種用途における透視型投影板として用いることができる。
特に、本発明の透視型投影板は、開放光学系で用いても、外部光の影響を軽減でき、さらに経年による反りや部材の剥離が生じることも少ないので、開放光学系で用いるための透視型投影板として好適に用いることができる。
10 透視型投影板
20 基材層
21 着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂
30 結像層
31 透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材
32 微粒子
50 試験片
60 ハロゲンランプ
70 テストターゲット
80 光源
90 観察者

Claims (6)

  1. 着色剤を含有した透明熱可塑性樹脂からなる基材層と、透明熱可塑性樹脂からなるマトリックス材に微粒子を分散させた結像層とを有する透視型投影板であって、
    前記マトリックス材の屈折率Nmが、前記微粒子の屈折率Ndより大きく、
    前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(質量%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式を満たし、
    前記結像層の厚みTrが50〜550μmであり、
    前記結像層中の微粒子の含有量Cpが3〜40質量%であり、
    前記微粒子の体積平均粒径Raが1〜20μmであり、
    前記マトリックス材の屈折率Nmと微粒子の屈折率Ndとが、下記式(1)を満たす透視型投影板。
    320≦Tr×Cp/Ra
    0.03≦Nm−Nd≦0.12・・・(1)
  2. 前記結像層の厚みTr(μm)、前記結像層中の微粒子の含有量Cp(%)、及び、前記微粒子の体積平均粒径Ra(μm)が、下記式(2)を満たす、請求項1に記載の透視型投影板。
    320≦Tr×Cp/Ra≦1000・・・(2)
  3. 前記投影板の厚みが2mm以上20mm以下である、請求項1又は2に記載の透視型投影板。
  4. 前記投影板の基材層と結像層が、共押出法により一体で積層成形されたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の透視型投影板。
  5. 開放光学系用である、請求項1〜のいずれか1項に記載の透視型投影板。
  6. 請求項に記載の透視型投影板と光源を含む開放光学系であって、
    光源側から観察側へ結像層、基材層の順となるように前記透視型投影板が配置された、開放光学系。
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