JP6457652B2 - コラーゲン分解酵素の製造方法及びこれを利用したコラーゲントリペプチドの製造方法 - Google Patents

コラーゲン分解酵素の製造方法及びこれを利用したコラーゲントリペプチドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コラーゲントリペプチドの製造方法に関するもので、より詳細には、コラーゲントリペプチドを特異的に多く作り出すコラーゲン分解酵素を利用して、高含量のコラーゲントリペプチドを得る、コラーゲントリペプチドを製造する方法に関するものである。
コラーゲン(collagen)は、プロリン、オキシプロリン、グリシン、グルタミン酸など約18種のアミノ酸で構成された動物の繊維性タンパク質であって、ヒトの場合、人体を構成している5,000種類のタンパク質の中で最も多い30%を占めている特殊な構造タンパク質である。特に、皮膚、骨、腱に多く存在していて、特に皮膚内の真皮層の70%はコラーゲンで構成されており、コラーゲンが皮膚の構成成分として極めて重要な役割を果たしている。コラーゲンは、各種アミノ酸がポリペプチドの形態で結合して、3本にねじれている形状を示し、分子量は約300,000程度と極めて大きい。
低分子コラーゲンは、コラーゲン分解酵素などにより分解されて分子量5,000以下(通常3,000〜5,000)の低分子化されたもので、コラーゲンペプチドとも称され、この低分子コラーゲンが人体に入ると、人体内のタンパク質分解酵素によりさらに分解されて最終的にアミノ酸の形態で人体に吸収される。殆どのタンパク質の分子量が12,000〜70,000であるのに比べてコラーゲンの分子量は300,000で、極めて大きく吸収されにくいため、低分子コラーゲンは人体内での消化、吸収が容易なように抽出、分離、精製過程を経た後、分解過程を経て分子量が5,000以下のペプチドの形態で作ったものである。
コラーゲントリペプチドとは、アミノ酸が3個(グリシン−x−y)連結されている小さなコラーゲン(分子量が通常200〜500)を意味し、分子量が小さく皮膚を容易に透過するものと知られている。一方、アミノ酸が4個以上連結されていれば、分子構造が大きいので皮膚を透過できない。コラーゲントリペプチドは、皮膚透過後すぐに互いに再び連結されることにより、損傷したコラーゲン組織を修復する時間を短縮させるために貢献する。例えば、アモーレパシフィックでは、レーザー施術後の皮膚の再生を促進するために、コラーゲントリペプチドを含む組成物に対する特許を出願した(特許文献1)。また、摂取したときにも低分子コラーゲンより体内吸収率が高く、コラーゲンの生体効能を極大化させることができる長所がある。
一般的に、コラーゲンは、主に牛、豚、魚、イカなどを原料にして酵素により加水分解されてコラーゲンペプチド組成物を得ることができる。しかしながら、一般的に使用されるタンパク質分解酵素では、トリペプチドの含量が極めて低く、高含量トリペプチド組成物を得るには困難があった。従って、高含量トリペプチドコラーゲン加水分解物を製造するための効率的な製造方法が引き続き要求されているのが実情である。
韓国公開特許10−2013−0122569号公報
本発明の目的は、上述した問題点を解決するためのものであって、コラーゲントリペプチドの収率が高いコラーゲン分解酵素の製造方法を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、収率が高いコラーゲン分解酵素を利用したコラーゲントリペプチドの製造方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明のコラーゲン分解酵素の製造方法は、バチルスサブチリス菌株を遠心分離する第1段階と、遠心分離された上澄み液を濃縮させる第2段階と、イオン交換クロマトグラフィー法を利用して精製する第3段階を含むことを特徴とする。
前記イオン交換クロマトグラフィー法は、陽イオン交換クロマトグラフィーを利用して塩化ナトリウム(NaCl)を0.1〜0.3Mの濃度で使用することを特徴とする。
前記イオン交換クロマトグラフィー法は、陰イオン交換クロマトグラフィーを利用して塩化ナトリウム(NaCl)を0.09〜0.155Mの濃度で使用することを特徴とする。
さらに、本発明の他の実施形態のコラーゲントリペプチドの製造方法は、上述した方法で製造されるコラーゲン分解酵素を利用してコラーゲントリペプチドを製造することを特徴とする。
さらに、本発明の他の実施形態のコラーゲントリペプチドの製造方法は、前処理された魚鱗を水と2:8の重量比で混合する第1段階と、前記混合物を90℃で5時間熱処理する第2段階と、上述した方法により製造されるコラーゲン分解酵素を投入して35℃で12時間分解させる第3段階と、前記第3段階での成分から遠心分離を介して異物を除去する第4段階と、前記成分をイオン交換クロマトグラフィーにより精製する第5段階と、前記精製された成分を濃縮させる第6段階と、前記濃縮された成分を活性炭によって精製する第7段階と、前記成分をフィルターによって除菌する第8段階を含むことを特徴とする。
本発明によるコラーゲン分解酵素の製造方法及びこれを利用したコラーゲントリペプチドの製造方法では下記のような効果がある。
従来の製造工程を変えずに酵素を介したコラーゲン加水分解工程でトリペプチドの生産性が高い新規酵素を使用することにより、簡単にトリペプチドの含量が高いコラーゲン加水分解物を製造できる効果がある。
図1は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素の陽イオン交換を利用した分離精製である。Aは精製されたコラーゲン分解酵素のSDS−PAGE分析の結果である(M:タンパク質サイズマーカー、conc:濃縮サンプル、wash:洗浄、E1〜E5:溶出サンプル1〜5)。BはAKTAプライムでバッファーの濃度変化に伴うコラーゲン分解酵素のピークを示している(矢印は、それぞれの溶出サンプルに対する表示である)。 図2は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素の陰イオン交換を利用した分離精製である。Aは精製されたコラーゲン分解酵素のSDS−PAGE分析の結果である(M:タンパク質サイズマーカー、P1:ピーク1)。BはAKTAプライムでバッファーの濃度変化に伴うコラーゲン分解酵素のピークを示している(矢印はそれぞれの溶出サンプルに対する表示である)。 図3は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素の温度別の酵素活性測定結果を示すグラフである。 図4は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素の経時温度安定性の結果を示すグラフである。 図5は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素のpH別酵素活性の結果を示すグラフである。 図6は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素と、一般のタンパク質分解酵素との、コラーゲントリペプチドの生産性を比較したHPLCデータである。 図7は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素を利用して、コラーゲントリペプチドの含量が高いコラーゲン加水分解物を製造する製造工程である。 図8は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素を利用して生産された製品のコラーゲントリペプチド(CTP)の含量を分析したHPLCデータである。 図9は、本発明の好ましい実施形態により製造されるコラーゲン分解酵素を利用して生産された製品のグリシン−プロリン−ヒドロキシプロリン含量を分析したHPLCデータである。
以下、本発明によるコラーゲン分解酵素の製造方法及びこれを利用したコラーゲントリペプチドの製造方法の好ましい実施形態が添付された図面を参考に詳細に説明する。
本発明のコラーゲン分解酵素の製造方法は、バチルスサブチリス菌株を遠心分離する第1段階と、遠心分離された上澄み液を濃縮させる第2段階と、イオン交換クロマトグラフィー法を利用して精製する第3段階を含めて構成することができる。
さらに、本発明の他の実施形態のコラーゲン分解酵素を利用したコラーゲントリペプチドの製造方法は、前処理された魚鱗を水と2:8の重量比で混合する第1段階(S10)と、前記混合物を90℃で5時間熱処理する第2段階(S20)と、特許請求の範囲の請求項1に記載の製造方法により製造されるコラーゲン分解酵素を投入して35℃で12時間分解させる第3段階(S30)と、前記第3段階における成分から遠心分離を介して異物を除去する第4段階(S40)と、前記成分をイオン交換クロマトグラフィーにより精製する第5段階(S50)と、前記精製された成分を濃縮させる第6段階(S60)と、前記濃縮された成分を活性炭によって精製する第7段階(S70)と、前記成分をフィルターによって除菌する第8段階(S80)を含めて構成することができる。
まず、本発明のコラーゲン分解酵素を製造する過程の具体的な実施例を説明する。
<実施例1>コラーゲン分解活性保有新菌株を選別
GRAS(generally recognized as safe)菌株であるバチルスサブチリス(Bacillus subtilis)は、人体に無害であることが知られており、多様なタンパク質分解酵素、脂質分解酵素および糖転換酵素を生産することができ、食品製造及び飼料添加用として多く使用されてきた。さらに一部のバチルスサブチスはコラーゲン分解活性を有していることが報告されている(Nagano H et al.、Biosci Biotehnol Biochem、2000、64(1):181−3; Tran LH et al.、J Food Sci、2002、67(3):1184−7)。本発明では、コラーゲン分解活性を有している新規なバチルスサブチリス由来のコラーゲン分解酵素を分離してコラーゲン分解工程に適用することを試みた。
韓国の慶尚南道晋州地域の土壌サンプルを採取して土壌30gを270mlの滅菌されたPBSバッファーに入れて浮遊化させた後、常温で30分ほど放置して粗めの粒子や不純物などを底に沈殿させて除去した。上澄み液10mlを90mlの滅菌されたPBSバッファーに十分混ぜて100mlとし、再度同じ作業を繰り返して3次、4次、5次希釈液100mlを調製した。
調製した3次、4次、5次希釈液200mlを1% スキムミルク(skim milk)と1.5%寒天(agar)が含まれたLB(1% Bacto−トリプトン、0.5% 酵母エキス、0.5% NaCl)固体培地に塗抹して30℃で24時間培養した後、透明環(clear zone)が生じるコロニーを選別した。選別された菌株をLB液体培地中、25℃〜30℃において180rpmで24時間培養した後、上澄み液を採って力価を測定した。力価測定方法は次のとおりである。精製された豚皮をバッファー(50mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM CaCl)に入れて56℃で溶かして終濃度2%の基質溶液を作った。基質溶液150μlを30℃で15分間の予熱をした後、酵素100μlを添加して30℃で30分間反応させた。0.01N HClを500μl入れて酵素反応を中止させ、50μlの2% ニンヒドリン溶液を入れて4分間煮沸した後、570nmで吸光度値を測定した。酵素ユニット値の定義は、30℃で30分間、カルシウムイオンを含むpH7.4の溶液中で基質と反応させたとき、遊離される1μmol L−ロイシンの値を酵素の1ユニットと定義した。
測定の結果、5個の菌株(#8、#9、#15、#60、#86)がコラーゲン分解活性を強く示した(表1)。最も高い5個の菌株に対してAPI50CHBキット(bioMerieux社)を使用して、菌株の生理学的特性を分析してバチルス菌株であるものを1種(#86)選別した。追加的に16S rRNA遺伝子の塩基配列の分析を通じて菌株を同定した。16S rRNA塩基配列分析の結果、選別菌株はバチルスサブチリス(Bacillus subtilis)と99%以上の相同性を示した。この菌株をバチルスサブチリスBP(Bacillus subtilis BP)と命名し、生命工学研究院遺伝子バンクに2015年7月13日付で寄託した(受託番号KCTC 12866BP)。
<実施例2>新規コラーゲン分解酵素(BP)の分離
バチルス由来のコラーゲン分解酵素(BP)の分離精製を試みた。菌株を1000mlのmTB培地(酵母エキス2.4%、トリプトン1.2%、グリセロール1%、KHPO 2.31%、KHPO 12.54%)に30℃、180rpm、24時間培養した後、6500rpmで15分間遠心分離した。ここで得た上澄み液を慎重に新たなチューブに移して、30kDaフィルターを利用して5倍濃縮した。濃縮した上澄み液は、AKTAプライム装置を利用してイオン交換クロマトグラフィー法(ion exchange chromatography)で精製した。
この時使用した精製の条件は、Aバッファー(50mM Tris−HCl(pH7.5))を結合バッファーとして使用し、Bバッファー(50mM Tris−HCl(pH7.5)、0.5M NaCl)を利用して傾斜(gradient)を与えた。流速は5ml/分で流した。精製は陽イオン交換クロマトグラフィー法と陰イオン交換クロマトグラフィー法を使用したが、イオン交換樹脂には陽イオン交換樹脂であるSPセファロース樹脂(GEヘルスケア、ニュージャージー州、米国)と陰イオン交換樹脂であるQセファロース樹脂(GEヘルスケア、ニュージャージー州、米国)をそれぞれ使用した。
最初の陽イオン交換クロマトグラフィーでは、0.5M NaClで傾斜(gradient)を与え、各分画(fraction)別に精製タンパク質を得た。図1Bに示した通り、精製プロファイルでタンパク質ピークが示される分画(fraction)(E1〜E5)のタンパク質精製度をSDS−PAGE上で確認した結果、E1、E2において目的の酵素と予想されるタンパク質が含まれており、特にE1に最も多くのコラーゲン分解酵素が含まれていることを確認した(図1Aの矢印表示)。
E1〜E5のNaCl濃度はE1:0.1〜0.2M、E2:0.2〜0.3M、E3:0.3〜0.4M、E4:0.4〜0.5M、E5:0.5Mであるため、陽イオン交換クロマトグラフィーで目的酵素を分離することができるNaCl濃度は0.1〜0.3Mであることが分かり、最も好ましくはE1部分の0.1〜0.2MのNaCl濃度で目的酵素の回収率が最も良いことが分かった。次にはE1を陰イオン交換クロマトグラフィー法で精製した。
この時バッファーは、0.25MのNaClを使用し、陽イオン交換クロマトグラフィーと同様に傾斜を与えた。図2Bに示した通り、精製プロファイルで陰イオン交換樹脂は0.09〜0.155MのNaClでタンパク質ピークが示されることを確認した(図2Bの矢印表示)。
この分画の精製度をSDS−PAGE上で確認した結果、目的の酵素が殆ど精製されたことを確認した(図2AのP1)。従って、陰イオン交換クロマトグラフィーでは、0.09〜0.155MのNaClで目的酵素の回収率が最も良いことが分かった。以降、精製された新規コラーゲン分解酵素はBPと命名した。
<実施例3>BPの酵素反応条件の実験
最適温度の実験では、20〜70℃の温度で酵素反応を進行して、力価を測定した。図3に示した通り、実験の結果、30〜55℃で酵素活性を有していて、特に50℃で最も高い比活性(specific activity)と相対活性(relative activity)を示し、60℃からは活性が急激に落ちることが確認された。
実際の大量生産に適用するための温度安定性の実験を実施した。温度は30℃、35℃、40℃、さらに50℃に合わせて、それぞれの温度別試料を0時間から12時間まで時間別にサンプリングしてそれぞれの残存活性を確認した。
その結果、図4に示した通り、温度が低いほど酵素の安定化が持続されることが示され、35℃と40℃では12時間が経過すると酵素の活性が59.3%程度残っていることが確認された。これらの結果から、現在コラーゲントリペプチドの生産工程を35℃に設定することが望ましかった。
次に、最適pHについて調べた。豚皮ゼラチン基質をそれぞれのpH別に作られたバッファー(50mM クエン酸−NaHPO(pH5.0〜6.0)、50mM Tris−HCl(pH6.0〜9.0)、50mM NaCONaHCO (pH9.0〜10.0))に溶かした後、酵素の活性を測定して最適pHを確認した。BPはpH7.4で最も高い活性を示し、pH6〜10まで中性領域で高い活性を示した。しかしながら、図5に示した通り、酸性や塩基性になるにつれて酵素の活性は同様に落ちることが確認された。
以下、上述したコラーゲン分解酵素(BP)を利用してコラーゲントリペプチドを製造する過程について説明する。
<実施例4>BPのコラーゲントリペプチドの生産性確認
前処理された魚鱗(魚の鱗)を撹拌機が装備されている反応器に魚鱗と水の重量比を20:80の割合で均一に混合して、約90℃で5時間熱処理して4個の試料を準備した。4個の試料にBP(製造社:アミコジェン)、Alcalase 2.4L FG(製造社:ノボザイム、購入先:バイオシス)、Flavourzyme 1,000L(製造社:ノボザイム、購入先:バイオシス)、Colluplin MG(製造社:ノボザイム、購入先:大鐘商事)の酵素を使用してコラーゲントリペプチドの生産性を比較した。
各酵素の反応条件(温度、pH、酵素の使用量、反応時間)は下記の通りである。
− BP:35℃、pH7.4、30ユニット/g(魚鱗)、12時間
− Alcalase 2.4L FG:60℃、pH7.0、30ユニット/g(魚鱗)、12時間
− Flavourzyme 1,000L:55℃、pH6.0、30ユニット/g(魚鱗)、12時間
− Colluplin MG:60℃、pH7.0、30ユニット/g(魚鱗)、12時間
酵素処理後、80℃で30分間熱処理して酵素を失活した。次に4種の酵素を比較分析し、BPのコラーゲントリペプチド生産性を確認した。
製造されたコラーゲンペプチドの分析はHPLC(gilson社)を使用し、Superdex ペプチド 10/300GLカラム、移動相(10mM Tris−HCl(pH7.4)、0.15M NaCl、5mM CaCl)、流速:0.5ml/分の条件でコラーゲントリペプチド(collagen tripeptide、CTP)を分析した。CTPの標準物質には、3つのアミノ酸で構成されたグリシン−プロリン−ヒドロキシプロリン(glycine−proline−hydroxyproline、GPH)を使用した。
図6に示した通り、分析の結果、CTP標準物質の場合には、約55分台でピークが形成されていることを確認できた。4種の酵素の分解活性を比較した結果、BPの場合にはピークが殆ど遅れた時間に表れてコラーゲンが低分子化されたことがわかり、標準物質に同じ時間帯で大きなピークが表れ、CTPの含量が高いことが分かった。Alcalase 2.4L FGは他のFlavourzyme 1000L、Collupulin MGに比べて低分子の含量が高かったが、CTPの含量は、殆ど無いことが示された。この結果からBPがコラーゲントリペプチドの生産に極めて効果的であることが分かった。
<実施例5>BPを利用した高含量コラーゲントリペプチドの製造工程の確立
高含量コラーゲントリペプチドが含有された製品を生産するためにBPを利用した製造方法を確立した。前処理された魚鱗(魚の鱗)を攪拌機が装着されている反応器に、魚鱗と水の重量比を20:80の割合で均一に混合して、約90℃で5時間熱処理を実施した。
熱処理された前記液を35℃で10% NaOHを投入して溶液内pH7.4になるように補正した。補正された前記液にBPを約30ユニット/g(魚鱗)投入後、35℃で12時間反応させた。酵素反応後、80℃で30分間熱処理して酵素を失活した。酵素処理されたコラーゲンペプチド液は、超高速連続遠心分離機を利用して異物を除去した後、イオン交換カラム精製を介して金属イオンなどの異物を除去した。
前記の液は、真空減圧濃縮機を利用してBrix35%まで濃縮した後、活性炭精製を通じて脱色、脱臭を行った。活性炭精製液をフィルタープレス濾過及び精密濾過(membrane filtration)で除菌後、噴霧乾燥機で粉末化して品質検査を実施し、包装段階を経て高含量トリペプチドを製造した(図7)。
<比較例>:一般のタンパク質分解酵素を利用した高含量コラーゲントリペプチドの製造
新規BPを利用した製造工程と比較のため、一般的に低分子コラーゲン分解工程に使用されるAlcalase 2.4L FG(製造社:ノボザイム、購入先:バイオシス)を利用してコラーゲントリペプチド生産性を比較した。前処理された魚鱗を撹拌機が装着されている反応器に、魚鱗と水の重量比を20:80の割合で均一に混合して、約90℃で5時間熱処理を実施した。
熱処理された前記液を55℃で10% NaOHを投入して溶液内pH7.5なるように補正した。補正された前記液にAlcalase酵素を約30ユニット/g(魚鱗)投入後、35℃で12時間処理した。酵素反応後、80℃で30分間熱処理して酵素を失活した。
酵素処理されたコラーゲンペプチド液は、超高速連続遠心分離機を利用して異物を除去した後、イオン交換カラム精製を介して金属イオンなどの異物を除去した。前記の液は、真空減圧濃縮機を利用してBrix35%まで濃縮した後、活性炭精製を介して脱色、脱臭を行った。活性炭精製液をフィルタープレス濾過及び精密濾過(membrane filtration)で除菌後、噴霧乾燥機で粉末化して品質検査を実施した後、CTP含量とGPH含量を比較した。
CTP含量は、前記実施例2と同様の方法で行い、GPH含量分析は下記のような方法で行った。HPLC(ギルソン社)を使用し、Jupiter 4u Proteo 90Aカラム、移動相10mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM CaCl、流速:0.5ml/分の条件でGPHの含量を分析した。試料はBP及びAlcalaseを使用して製造されたコラーゲン加水分解物と日本ゼライス社から購入した他社製品を分析した。
図8に示した通り、CTP含量の場合、BPを使用して製造されたコラーゲン加水分解物でCTP標準物質と同じ位置でピークが現れることを確認することができ、他社製品にも同じ位置にピークが発生したが、BP試料に比べてピークの大きさが小さく含量が少ないことが分かった。
図9に示した通り、GPH含量の場合にもCTPの結果と同様に、AlcalaseはGPHのピークが現れず、他社製品に比べてBP試料のピークが大きいため含量が極めて高いことが分かった。
BPとAlcalaseを利用して生産された製品のコラーゲントリペプチド(CTP)の含量を定量的に比較した結果、表2に示した通りBPは56%、Alcalaseは0%、他社製品は18.1%の含量を保持しており、CTPの標準物質であるグリシン−プロリン−ヒドロキシプロリン(glycine−proline−hydroxyproline、GPH)の場合には、BPは13.1%、Alcalaseは0%、他社製品は2.6%含有していた。この結果はBPを使用すると従来の販売中の製品に比べてコラーゲントリペプチドの含量が高いコラーゲン加水分解物を製造できることを示している。
本発明の権利は上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載されたことにより定義され、本発明の分野で通常の知識を有する者が特許請求の範囲に記載された権利範囲内で様々な変形と改作を行えることは明らかである。
コラーゲントリペプチドはアミノ酸が3個連結されている小さなコラーゲンであって、分子量が小さく皮膚を容易に透過して、皮膚透過後直ぐに再度連結されることにより損傷したコラーゲン組織を修復する時間を短縮させる。これは化粧品又は皮膚治療剤として多様に使用することができる。

Claims (6)

  1. バチルスサブチリスBP(受託番号KCTC 12866BP)を遠心分離する第1段階、
    遠心分離された上澄み液を濃縮させる第2段階、及び
    イオン交換クロマトグラフィー法を利用して精製する第3段階
    を含むコラーゲン分解酵素の製造方法。
  2. 前記イオン交換クロマトグラフィー法は、陽イオン交換クロマトグラフィーを利用して、塩化ナトリウム(NaCl)を0.1〜0.3Mの濃度で使用することを特徴とする請求項1に記載のコラーゲン分解酵素の製造方法。
  3. 前記イオン交換クロマトグラフィー法は、陰イオン交換クロマトグラフィーを利用して、塩化ナトリウム(NaCl)を0.09〜0.155Mの濃度で使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のコラーゲン分解酵素の製造方法。
  4. 前記イオン交換クロマトグラフィー法は、陽イオン交換クロマトグラフィーを利用して、塩化ナトリウム(NaCl)を0.1〜0.3Mの濃度で使用した後、
    陰イオン交換クロマトグラフィーを利用して、塩化ナトリウム(NaCl)を0.09〜0.155Mの濃度で使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコラーゲン分解酵素の製造方法。
  5. バチルスサブチリスBP(受託番号KCTC 12866BP)を遠心分離し、遠心分離された上澄み液を濃縮し、イオン交換クロマトグラフィー法を利用して精製してコラーゲン分解酵素を製造し、前記コラーゲン分解酵素を利用してコラーゲントリペプチドを製造することを特徴とするコラーゲントリペプチドの製造方法。
  6. 前処理された魚鱗を水と2:8の重量比で混合する第1段階、
    前記混合物を90℃で5時間熱処理する第2段階、
    バチルスサブチリスBP(受託番号KCTC 12866BP)を遠心分離し、遠心分離された上澄み液を濃縮し、イオン交換クロマトグラフィー法を利用して精製してコラーゲン分解酵素を製造し、前記コラーゲン分解酵素を投入して35℃で12時間分解させる第3段階、
    前記第3段階の成分から遠心分離を介して異物を除去する第4段階、
    前記第4段階後の成分をイオン交換クロマトグラフィーにより精製する第5段階、
    前記精製された成分を濃縮させる第6段階、
    前記濃縮された成分を、活性炭を利用して精製する第7段階、及び
    前記第7段階後の成分を、フィルターを利用して除菌する第8段階
    を含むコラーゲントリペプチドの製造方法。
JP2017545514A 2014-11-13 2015-11-12 コラーゲン分解酵素の製造方法及びこれを利用したコラーゲントリペプチドの製造方法 Active JP6457652B2 (ja)

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