JP6456012B2 - 太陽電池を用いた雪止め構造 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、太陽電池モジュールの上面にポリカーボネート等の透明部材からなる雪止め具を配置することが記載され、特許文献2には、太陽電池瓦1の軒側に固定した横フレーム2bに雪止め具5を固定する構成が記載され、特許文献3には、太陽電池モジュール10の水下側に雪止部材160を配設した構造が記載され、特許文献4には、雪止部1b及び回転防止部bcを有する雪止め部材1を、フレーム部材3を介して太陽電池モジュール2に固定する構成が記載され、特許文献5には、上方に突条の三角頂部を有する雪止め具65を取り付ける構造が記載されている。
即ち軒棟方向の太陽電池間に一定間隔の開口部を設けることで、太陽電池上を滑落する雪を開口部へ落とすことができる。或いは、開口部から更に裏面空間へ落とすことができる。そのため、雪の堰き止めが生じず、該堰き止め(にて遮光されること)による効率低下を防ぐ。また、太陽電池の裏面空間は高温になるので、開口部へ落ちた雪又は裏面空間に落ちた雪を円滑に溶かすことができる。しかも太陽電池の温度上昇を抑えることは、太陽電池の発電効率の低下を防ぐ意義があるので、本来は廃棄されるだけの雪を効率よく利用することができる。その際、開口部に起立状部を設けたので、棟側から滑落してきた雪を開口部へ確実に落とす役割を果たし、また裏面空間の温められた空気を開口部から太陽電池の表面側へ放出することにより、融雪に寄与し、更には裏面空間を適度な温度に保持することができ、表面側の積雪を滑落し易い状態とする役割も果たす。
この構成により、太陽電池表面の雪を裏面空間に導くと共に該裏面空間にて雪を円滑に溶かすことができる。
また、太陽電池は、上記のモジュール、シート、ボード等をそのまま敷設するものでも、周縁に枠体(フレーム)を配して敷設するものでもよい。また、発電量を増大させるために両面受光(発電)型の太陽電池を用いてもよく、この場合、太陽電池の下方に反射部を介在させればよく、下層材が兼用するものでも別途設けるものでもよい。
なお、この開口部には、パンチング、メッシュ、網等の空気の流れを阻害しないものであればごみ等の侵入を防止する部材を配してもよい。
また、起立状部は、枠体に予め一体ものでも、別体からなる起立状部をビス、ボルト・ナット等の締着や嵌合、係合、接着或いはこれらを併用して枠体に取り付けるものでもよい。或いは太陽電池を取り付け固定する枠体以外の固定部材に一体に設けても或いは上記と同様に別体からなる起立状部を取り付けるものでも、さらに別体を固定部材と共締めしてもよい。さらに、起立状部は、開口部の流れ(長さ)方向に交わる方向に設ける。
〔1〕一体タイプは、下層材に直接締着され、パネル保持を兼ねる仕様であり、固定部材はピース材でも、通し材でもよく、通し材の場合には、底面(固定部分)等に裏面空間と連通させる孔を設けたり、底部を固定部のみの形状(或いは固定箇所以外を切除した形状)にしても、起立部の一部を切除したものでもよい。
〔2〕固定部材に取付(係合又は締着)タイプは、予め別部品として作製した起立状部を、係合又は締着にて固定部材に一体的に取り付けられるものであり、固定部材を下層材に固定することで間接的に下層材に起立状部が固定される。
〔3〕固定部材と別体タイプは、予め別部品として作製した起立状部を、下層材に固定部材と取り付ける際に同時に固定(締着)されるか、もしくは固定部材と共締めされるものである。
また、反射部(材)を別途設ける場合、横桟又は縦桟の配設間隔に配する態様でも、太陽光を反射する部分(面板部)についても、平坦状でも、連続(角)波状でもよい。なお、この反射部を横桟又は縦桟の配設間隔に配する態様では、端縁を立ち上げ、縦桟間又は横桟間に嵌め付けるもの、縦残又は横桟等に係止させてもよく、ビス等で固定するものであってもよい。
雨仕舞機能を有する下層材は、既存の瓦、スレート、金属等の公知の屋根でも、新たに敷設される瓦、スレート、金属等からなる屋根でも、太陽電池の裏面側に屋根としての雨仕舞性能を有するものであれば、その仕様を問うものではなく、例えば塩ビ等の防水シートからなる防水層でもよい。また、金属等によって構成される既存もしくは新設の屋根は、横葺き状、縦葺き(瓦棒葺き、平滑状等)、折板等の如何なるものでもよい。
これらの下層材を構成する部材に直接太陽電池を取り付けてもよいし、各種の取付金具や取付架材、持出金具、横桟、縦桟等の取付具を介して太陽電池を取り付けるようにしてもよい。即ち本発明における下層材としては、下側屋根、又はそれに取り付ける取付材をも含むものである。
図2(a)では、右側から左側へ雪が滑落する、即ち右側が棟で、左側が軒を指す。
図示するように雪(S)は、右側から左側へ滑落し、一部は点線で示すように起立状部3に衝突した後、開口部2から裏面空間11へ落ちる。
図2(b)では、左から右側へ風が吹く、即ち屋根への吹き上げ風を想定すると、左側が軒で、右側が棟を指す。
図示するように風(W)が左方から右方に向かって吹くと、起立状部3に当たった風が点線で示すように上方に乱流を起こし、開口部2上端を減圧状態とするため、裏面空間11の空気が表面側へ吸い出される。
これらの図2(a)でも図2(b)でも右側が棟で左側が軒を指し、雪(S)は開口部2から裏面空間11に導かれ、裏面空間11の空気は表面10で排出されることが明らかになった。
そのため、開口部2は、滑落する雪(W)を裏面空間11へ導く導入口としても、裏面空間11にて温められた空気をそこから外部(表面10側)へ排出する排出口としても作用するものであり、起立状部3は、前者において雪の案内片として、後者においては風の案内片として作用する。
より具体的には、軒棟方向の太陽電池1,1間に一定間隔の開口部2を設けることで、太陽電池1上を滑落する雪(W)を開口部2から太陽電池1の裏面空間11に落とすことができ、太陽電池1上への積雪(にて遮光されること)による効率低下を防ぐことができる。
また、太陽電池1の裏面空間11は高温になるので、裏面空間11に落ちた雪を円滑に溶かすことができる。
さらに、起立状部2は、雪を裏面空間11へ導く作用を果たすばかりでなく、裏面空間11の温められた空気を太陽電池1の表面10側へ放出することにより、裏面空間11を適度な温度に保持することができ、表面10側の積雪を滑落し易い状態とする役割も果たす。
また、この第1実施例では、起立状部3を、軒側に配設される太陽電池1の水上側端に設けたので、雪を導くための開口部2の幅が最も有効に利用される。
図3(a)に示す取付部121aは、側方に突出する凸状の被嵌合部であり、それに対して起立状部3aには側方が開放する得凹状の嵌合部31aが設けられ、取付部121aと嵌合部31aとを嵌合させて起立状部3aを枠体12aに取り付けている。
図3(b)に示す取付部121bは、側方に開放する凹状の被嵌合部であり、それに対して起立状部3bには側方に突出する凸状の嵌合部31bが設けられ、取付部121bと嵌合部31bとを嵌合させて起立状部3bを枠体12bに取り付けている。
図3(c)に示す取付部121cは、上方に開放する凹状の被嵌合部であり、それに対して起立状部3cには下方に突出する凸状の嵌合部31cが設けられ、取付部121cと嵌合部31cとを嵌合させて起立状部3cを枠体12cに取り付けている。
前述のようにこの〔1〕一体タイプは、下層材5に直接締着され、太陽電池1の保持を兼ねる仕様であり、固定部材4Aは通し材としたが、底面(固定部分)等に裏面空間11と連通させる孔を設けたので、凹状の開口部2に落とした雪が表面からの熱(日射)及び裏面空間11からの暖かな空気にあたることで融雪が促進される。
なお、図4の上端に示すように、流れ方向をSで示す白抜き矢印で示し、吹き上げ風である風向き方向をWで示す白抜き矢印で示した。また、各固定部材4A,4Bにおいて、保持部は41、固定部は42(固定具は42b)と表記した。
前記固定部42には、固定具42bを挿通させるための孔421が長さ方向に複数形成されており、通し材とした場合の裏面空間11と連通させる孔を兼ねている。また、水下側の保持部31の長さ方向に、裏面空間11と連通する孔411が複数形成され、該孔411から裏面空間11の空気を排出することができるようにした。
前述のようにこの〔2〕固定部材に取付(係合又は締着)タイプは、予め起立状部43c〜43gを備える別部品として作製した第2固定部材4C〜4Gを、本体40C〜40Gに係合又は締着にて一体的に取り付けられるものであり、本体40C〜40Gを下層材5に固定することで間接的に下層材5に起立状部43c〜43gが固定される。
なお、各実施例において、保持部を41と表示した点については、前記実施例と全く同様である。
この実施例においては、本体40Cをピース材としたので裏面空間11と連通させる孔を開設する必要がなく、雪を開口部2から裏面空間11へ落とすことができ、同図(b)のように起立状部43cを通し材4CLに設けてもよいし、同図(c)のように起立状部43cをピース材4CSに設けてもよい。
この実施例においては、本体40Dをピース材としたので裏面空間11と連通させる孔を開設する必要がなく、しかも図示するように傾動自在に軸着された起立状部43dの傾きが風向きによって変位することが目視にて確認される。
この実施例においては、本体40Eも第2固定部材4Eもピース材としたので裏面空間11と連通させる孔を開設する必要がなく、凹状の開口部2に落とした雪が表面からの熱(日射)及び裏面空間11からの暖かな空気にあたることで融雪が促進される。
この実施例においては、連続材42dの横片部分に複数の孔45を形成したので、凹状の開口部2に落とした雪が表面からの熱(日射)及び裏面空間11からの暖かな空気にあたることで融雪が促進される。
この実施例においては、本体40Gがピース材であるため、裏面空間11と連通させる孔を設けなくても凹状の開口部2に落とした雪が表面からの熱(日射)及び裏面空間11からの暖かな空気にあたることで融雪が促進される。
10 表面
11 裏面空間
12 枠体
123e〜123g 起立状部
2 開口部
3a〜3d 起立状部
31 保持部
32 固定部
32b 固定具
33a〜33r 起立状部
4A、4B 固定部材
40C〜40K 本体
4C〜4K 第2固定部材
43a〜43k 起立状部
5 下層材
5A 躯体
5B 下部保持部材
5C 上部保持部材
5D 外装材
5E キャップ材
5F 取付架台
S 雪
W 風
Claims (2)
- 屋根上に太陽電池を軒棟方向に複数配設して構築される雪止め構造であって、
雨仕舞性能を有する下層材にて形成される屋根面上に太陽電池を屋根勾配に略平行かつ平坦状に敷設すると共に、前記屋根面と前記太陽電池裏面間には軒棟方向に連続する空間が形成され、
軒棟方向に隣り合う前記太陽電池は、一定間隔の開口部を介して配設され、該開口部によって前記太陽電池表面と前記裏面空間とが連通しており、前記開口部に起立状部を設けたことを特徴とする雪止め構造。 - 屋根上に太陽電池を軒棟方向に複数配設して構築される雪止め構造であって、
雨仕舞性能を有する下層材にて形成される屋根面上に太陽電池を屋根勾配に略平行かつ平坦状に敷設すると共に、前記屋根面と前記太陽電池裏面間には軒棟方向に連続する空間が形成され、
軒棟方向に隣り合う前記太陽電池は、一定間隔の開口部を介して配設され、該開口部によって前記太陽電池表面と前記裏面空間とが連通しており、軒棟方向に隣り合う前記太陽電池のうち、軒側に配設される前記太陽電池の水上側端に起立状部を設けたことを特徴とする雪止め構造。
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