JP6455980B2 - シリコンウェーハのウェットエッチング方法 - Google Patents
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Description
これは、従来の集積回路の構造である平面配置構造に対し、立体(3次元;3D)配置積層構造にした半導体素子実装技術である。3D積層実装では、半導体チップと半導体チップを立体に配置することにより半導体チップ間の距離を短くし、配線長を削減することにより、高速化、低消費電力化が達成される。また個々の半導体チップを薄膜化し、立体に配置することにより、単位容積あたりに収容する半導体チップの数や種類を増やし、小型化、大容量化、多機能化が達成される。
従来技術であるバックグラインドによるシリコンウェーハの薄化は、ダメージが生じるため、ダメージ除去を行っているものの、図3に示すように、除去できない深さのダメージが存在する。
従って、薄化加工によるダメージを生じないダメージレスの薄化工程の確立が必要であり、ウェットエッチングによるシリコンウェーハの薄化が開発されている(例えば特許文献1)。
従来のウェットエッチングによるシリコンウェーハの薄化は、混酸溶液(HNO3+HF)を用いている。
硝酸(HNO3)によるシリコン(Si)の酸化反応式
3Si+4HNO3→3SiO2+4NO+2H2O
フッ酸(HF)によるシリコン(Si)の酸化物の溶解反応式
3SiO2+6HF→H2SiF6+2H2O
反応式からも明らかなように、混酸溶液を用いたウェットエッチングでは、大量のNOxガスが発生するため、環境への悪影響や安全上の問題がある。
さらに、混酸溶液を用いたエッチング方法では、高濃度の硝酸が必要であることから薬液をリサイクルしにくく、ウェットエッチングによるシリコンウェーハの薄化の実用化の妨げとなっている。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法において、前記薬液にはフッ酸を含むことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法において、前記エッチングした後の前記薬液を回収し、前記薬液から前記ポリオキソメタレートを分離し、還元された前記ポリオキソメタレートを酸化処理して再び前記エッチングに用いることを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法において、還元処理した前記ポリオキソメタレートの比重を測定し、測定された前記比重から前記ポリオキソメタレートの濃度を推定することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法において、前記ポリオキソメタレートの推定された前記濃度から前記エッチングに用いる前記薬液の前記ポリオキソメタレートの前記濃度を調整することを特徴とする。
図1は、本発明の一実施例によるシリコンウェーハのウェットエッチング方法の処理工程を示す構成図である。
本実施例によるシリコンウェーハのウェットエッチング方法は、可逆的に酸化還元反応を行うポリオキソメタレートを溶解した薬液をシリコンウェーハのエッチングに用いる。
ポリオキソメタレート(POM)は、MO6(M=W6+、Mo6+、V6+など)を基本骨格とするアニオン性金属酸化物クラスターであり、その構成金属イオンの一部を他の金属イオンで置換するものもあり、水や極性溶媒に溶解できる。ポリオキソメタレートの多くは、電気化学的に、または光化学的に可逆的な多電子酸化還元反応を行い、酸化還元性能の高いポリオキソメタレートが本発明には適している。本実施例によるPOMは、リンバナドモリブデン酸を用いた。
本実施例による薬液にはフッ酸を含む。
本実施例では、触媒性を有するPOMとフッ酸(HF)を混合した薬液を用いてシリコンのエッチングを行うことで、POMによりシリコンを酸化し、酸化したSi(シリコン)をHFによって溶かすことで、NOxを発生することなく、シリコンウェーハのウェットエッチングが可能となる。
図1では、触媒性を有するPOMとフッ酸(HF)を混合した薬液を薬液ノズル1から吐出させている。
シリコンウェーハ2は、ウェハステージ上に載置される。ウェハステージはモータにより回転し、シリコンウェーハ2もウェハステージとともに回転する。薬液ノズル1は、ウェハステージの上面に近接するように配される。薬液ノズル1は、シリコンウェーハ2に対して薬液を上方または斜上方から噴射するように配置される。
シリコンウェーハ2面上の中心部付近に薬液ノズル1で薬液を供給すると、この薬液はシリコンウェーハ2をエッチングしながらシリコンウェーハ2の外周部に流れる。
シリコンウェーハ2面上を流れた薬液は、シリコンウェーハ2外周から排出され、回収される。
薬液回収工程3で回収される薬液は、還元されたPOM、SiHF6、およびH2Oである。
POM分離工程4では、薬液回収工程3で回収される薬液からSiHF6を除去する。SiHF6は、例えばバブリングによって蒸発させ、またはフィルタによって分離して除去する。
POM酸化処理工程5では、POM分離工程4で分離されたPOMを、例えば酸素やオゾンによって酸化処理して再生する。
比重測定工程6では、酸化処理されたPOMの比重を測定し濃度を推定する。リンバナドモリブデン酸水溶液では、0.1molで比重が1.0であり、0.3molで比重が1.5であった。
POM濃度調整工程7では、比重測定工程6で推定した濃度から、エッチングに用いる薬液のポリオキソメタレートの濃度を調整する。濃度の調整は、濃度が低い場合には含まれる水分を除去し、濃度が高い場合には新たに水を加える。
再生したPOM溶液にフッ酸を加えることで再びエッチングに用いることができる。
図2では、横軸が温度、縦軸がエッチングレートであり、温度の上昇に伴ってエッチングレートは高くなっている。例えば薬液温度が50℃では、エッチングレートは1.0μm/minを越え、薬液温度が70℃では、エッチングレートは2.5μm/min程度である。
また、本実施例によるシリコンウェーハのウェットエッチング方法は、触媒性を有するPOMとHFを混合した薬液を用いることにより、POMによりシリコンを酸化し、酸化したシリコンとHFを組み合わせた薬液を用いることにより、NOxを発生することなく、シリコンウェーハのウェットエッチングが可能となる。
また、本実施例によるシリコンウェーハのウェットエッチング方法は、エッチングした後の薬液を回収し、薬液からポリオキソメタレートを分離し、還元されたポリオキソメタレートを酸化処理して再びエッチングに用いることで、POMをリサイクルできる。
また、本実施例によるシリコンウェーハのウェットエッチング方法は、還元処理したポリオキソメタレートの比重を測定し、測定された比重からポリオキソメタレートの濃度を推定することで、濃度を推定でき、比重によって濃度管理を行いやすい。
また、本実施例によるシリコンウェーハのウェットエッチング方法は、ポリオキソメタレートの推定された濃度からエッチングに用いる薬液のポリオキソメタレートの濃度を調整することでエッチングに最適な濃度を調整することができる。
2 シリコンウェーハ
Claims (5)
- 可逆的に酸化還元反応を行うポリオキソメタレートを溶解した薬液をシリコンウェーハのエッチングに用いることを特徴とするシリコンウェーハのウェットエッチング方法。
- 前記薬液にはフッ酸を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法。
- 前記エッチングした後の前記薬液を回収し、前記薬液から前記ポリオキソメタレートを分離し、還元された前記ポリオキソメタレートを酸化処理して再び前記エッチングに用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法。
- 還元処理した前記ポリオキソメタレートの比重を測定し、測定された前記比重から前記ポリオキソメタレートの濃度を推定することを特徴とする請求項3に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法。
- 前記ポリオキソメタレートの推定された前記濃度から前記エッチングに用いる前記薬液の前記ポリオキソメタレートの前記濃度を調整することを特徴とする請求項4に記載のシリコンウェーハのウェットエッチング方法。
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