JP6455727B2 - 回路基板 - Google Patents

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本発明は、複数のリードフレーム、一以上の実装部品および樹脂を有する回路基板に関する。
従来では、例えば下記の特許文献1において、リフローにより発生する反りを防止することを目的とするリードフレーム構造に関する技術が開示されている。このリードフレーム構造は、搭載部品がリフローにより実装されるインナーリードと、外部電極が電気的に接続されるアウターリードと、インナーリードの形状を保持する補強樹脂とを有する。
特開2015−103790号公報
しかし、特許文献1に記載の補強樹脂は、通電に伴って搭載部品から発生する熱の有無や、周囲環境の温度変化に応じて膨張したり収縮したりする。特に補強樹脂で保持されるインナーリードは、補強樹脂の線膨張の影響を受けて移動するため、搭載部品とインナーリードとの電気的な接続がされたハンダ部に応力が発生する。この応力は、長期間に亘って使用するにつれて、ハンダ部に蓄積してゆく。蓄積したハンダ部の疲労が限界を超えると、故障が起きるという問題がある。故障は、例えばクラックや断線などが該当する。
本開示はこのような点に鑑みてなしたものであり、簡単で加工性がよく、従来よりも故障の発生を抑えられる回路基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、外部と電気的な接続を行うために一部が露出する複数のリードフレーム(12a,12b,12c,12d)と、前記リードフレームの相互間に配置されて電気的に接続される一以上の実装部品(11a,11b,11c,11d)と、前記リードフレームおよび前記実装部品をモールドして保持する樹脂(13)とを有する回路基板(10)において、前記樹脂は、成形時の流れに沿った方向性のある線膨張特性を持つ材料であり、かつ、前記実装部品を配置する前記リードフレームに沿って幅方向の両側に設けられている所定形状の穴部(13a)を有する。
この構成によれば、実装部品を配置するリードフレームに沿って幅方向の両側に所定形状の穴部を設ける。穴部の相互間に形成される樹脂の部位は、長手方向が幅方向よりも線膨張係数が小さくなる配向性を一定に確保できる。熱の有無や周囲環境の温度変化に応じて樹脂が膨張または収縮しても、保持しているリードフレームに及ぼす影響を抑制できる。そのため、長期間に亘って回路基板を使用しても、従来よりも故障の発生を抑えられる。また、ハンダの故障に対する特別な処置が不要となるので、簡単で加工性がよい。
なお「外部装置」は、回路基板との相互間で電力や信号の伝達を行えれば、任意である。「複数のリードフレーム」は、回路基板から突出して外部装置と電気的な接続を行う外側リードフレームや、回路基板の内部側で電気回路を形成する内側リードフレーム、外側部位と内側部位を兼ねる兼用リードフレームのうちで一以上を含む。外側リードフレームは、端子,リード線,接続ピンなどに相当する。内側リードフレームは、電気回路に含まれる回路パターンや配線などに相当する。「樹脂」は、成形時の流れに沿った方向性のある線膨張特性を持てば任意の材料を適用してよい。例えば、液晶ポリマーを含む繊維強化プラスチックなどが該当する。「実装部品」は、回路基板に実装可能な電子部品であれば任意である。例えば、ICやLSIなどの集積回路素子や、抵抗器、コンデンサ、コイル、同種や異種を問わずに複数の電子部品を封止したモジュール素子などが該当する。「線膨張特性」は、熱膨張係数に含まれる線膨張係数に関する特性である。
回路基板の第1構成例を模式的に示す平面図である。 図1に示すII−II線の断面図である。 図1に示すIII−III線の断面図である。 複数のリードフレームの構成例を模式的に示す平面図である。 モールドする樹脂の成形例を模式的に示す平面図である。 金型の相互間における樹脂の流れを模式的に示す平面図である。 樹脂の一部である橋架部における線膨張係数を説明する平面図である。 線膨張係数と故障率との関係例を模式的に示すグラフ図である。 回路基板の第2構成例を模式的に示す断面図である。 回路基板の第3構成例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的に接続することを意味する。各図は、本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示しているとは限らない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。英数字の連続符号は記号「〜」を用いて略記する。例えば「実装部品11a〜11d」は「実装部品11a,11b,11c,11d」を意味する。本形態では、外部装置としてECUやコンピュータなどを適用する。ECUは「Electronic Control Unit」の頭文字からなる略称である。
図1〜図3に示す回路基板10は、例えば車両に関する状態を検出するセンサが該当する。この回路基板10は、複数の実装部品11a〜11d、複数のリードフレーム12a〜12d、樹脂13などを有する。上記「車両に関する状態」は、例えばスロットル開度,ブレーキストローク量,操舵角,回転数,速度,加速度,ヨーレート,回転角,乗員荷重などのうちで一以上を含む。「車両」は移動機器であれば任意であり、本形態では車輪数や動力源(例えば内燃機関や回転電機など)を問わず自動車を適用する。
複数の実装部品11a〜11dは、集積回路素子、抵抗器、コンデンサ、コイル、モジュール素子などが該当する。各実装部品は、リードフレームの表面に実装する表面実装部品でもよく、リードをリードフレームの穴に固定するスルーホール実装部品でもよい。実装部品11a〜11dは、フローまたはリフローによって、それぞれ対応するリードフレーム12a〜12dに接合して接続される。接合はハンダ付けや溶接などが該当する。本形態では、ハンダ14で接続した例を図3に示す。また、リードフレーム12a〜12dに対する実装部品11a〜11dの配置例は、図4に二点鎖線で示す。
複数のリードフレーム12a〜12dは、外部装置との接続に用いたり、電気回路を構成する回路パターンや配線として用いたりする。図1の例では、リードフレーム12a,12bが「兼用リードフレーム」に相当し、リードフレーム12c,12dが「内側リードフレーム」に相当する。本形態では、リードフレーム12a,12bの一部が外部装置と接続を行うために露出する。また図2,図3に示すように、リードフレーム12a〜12dのうちで後述する樹脂13で封止されて保持されない部位が露出する。図示を省略するが、外部装置との接続のためにリードフレーム12a,12bが「外側リードフレーム」となる構成としてもよい。各リードフレームは導電性を示せば任意の材料でよく、例えば銅,アルミニウム,合金,導電性樹脂などが該当する。リードフレーム12a〜12dを同一面に配置した構成例は、図4に実線で示す。
樹脂13は、上述した露出する部位を除いて、複数の実装部品11a〜11dや複数のリードフレーム12a〜12dなどを封止して保持する。本形態では、樹脂13として液晶ポリマーを適用する。溶融させた樹脂13を用いて完成形状にモールドする金型は、一般的な構成であるので図示を省略する。完成形状は、実装部品11a〜11dの形状や回路基板10の使用目的等によって任意に設定してよく、本形態では多面体を適用する。
モールドによって成形されて硬化した後の樹脂13は、図5に示すように、複数の穴部13aや複数の橋架部13bなどを有する。ただし、図5では複数の実装部品11a〜11dの図示を省略している。複数の穴部13aは、後述する複数の橋架部13bに沿って、橋架部13bの両側に成形される。言い換えると、図1,図5に示すように、各穴部13aは実装部品11a〜11dを配置するリードフレーム12a〜12dに沿って幅方向の両側に設けられている。本形態の穴部13aは、後述する図6に示す金型の所定部位15によって成形され、開口部が長溝状になる貫通穴を適用する。穴部13aの幅や長さは、後述する橋架部13bの線膨張係数αを満たせば任意に設定してよい。
複数の橋架部13bは、図5に示すように、それぞれが2つ以上のリードフレーム12a〜12dを露出させ、露出したリードフレームの相互間に対応する実装部品11a〜11dを配置して接続するために設けられる。各橋架部13bは、任意の幾何学形状で断面形状を成形してよく、長手方向は直線状でも非直線状でもよい。本形態の橋架部13bは、断面形状を四角形状とし、長手方向に直線状で成形する。
各橋架部13bは、図6に示すように、それぞれ金型による成形時において、溶融状態で矢印D方向に沿って流れた後に硬化したものである。すなわち、溶融している樹脂13の流れは、金型に含まれる2つの所定部位15によって矢印D方向に規制される。溶融している樹脂13を金型へ導入する箇所によっては矢印Dと逆方向になる場合がある。
硬化後の各橋架部13bは、図7に示すように線膨張係数αを有する。ただし、図7ではリードフレームと実装部品の図示を省略している。線膨張係数αは「線膨張特性」に相当し、熱膨張係数に含まれる。線膨張係数αは、長手方向線膨張係数αLと幅方向線膨張係数αWがある。長手方向線膨張係数αLは長手方向の線膨張係数であり、幅方向線膨張係数αWは幅方向の線膨張係数である。長手方向線膨張係数αLは幅方向線膨張係数αWよりも小さく、αL<αWの不等式が成り立つ。
図8には、横軸を線膨張係数差αDとし、縦軸をハンダ歪STとする特性線Lの一例を示す。線膨張係数差αDは、樹脂13の線膨張係数αを基準として、実装部品11a〜11dの線膨張係数βとの差分を百分率で表した値である。数式で表すと、αD=(|α−β|/α)×100になる。線膨張係数αは実装部品11a〜11dごとに異なるため、線膨張係数βが最大となる実装部品(例えば発熱量が大きな集積回路素子やコイルなど)を選定してもよい。線膨張係数α,βには、長手方向線膨張係数αLと幅方向線膨張係数αWのいずれを適用してもよい。樹脂13の膨張または収縮を抑える観点では、幅方向線膨張係数αWよりも長手方向線膨張係数αLが適している。
図8に示す特性線Lは、線膨張係数差αDが増すにつれて、縦軸をハンダ歪STも増す。ハンダ歪STが大きくなるほど、実装部品11a〜11dとリードフレーム12a〜12dとを接続するハンダにクラックや断線などの故障が早期に発生し易い。そのため、ハンダ歪STが許容される歪許容値STa以下となるように、線膨張係数差αDが係数差許容値αDa以下となる所定範囲ARを設定するとよい。所定範囲ARを数式で表すと、(|α−β|/α)×100≦αDaになる。故障を抑制するには、線膨張係数αと線膨張係数βとは所定範囲AR内であるように、樹脂13や実装部品11a〜11dを設定するとよい。
上述した実施の形態によれば、以下に示す各作用効果を得ることができる。
(1)図1〜図3に示す回路基板10において、樹脂13は成形時の流れに沿った方向性のある線膨張特性を持つ材料であり、かつ、実装部品11a〜11dを配置するリードフレーム12a〜12dに沿って幅方向の両側に設けられている所定形状の穴部13aを有する構成とした。この構成によれば、穴部13aの相互間に形成される樹脂13の橋架部13bは、長手方向が幅方向よりも線膨張係数αが小さくなる配向性を一定に確保できる。熱の有無や周囲環境の温度変化等に応じて樹脂13が膨張または収縮しても、保持しているリードフレーム12a〜12dに及ぼす影響を抑制できる。そのため、長期間に亘って回路基板10を使用しても、従来よりも故障の発生を抑えられる。また、ハンダ14の故障に対する特別な処置が不要となるので、簡単で加工性がよい。ハンダ以外の溶接でも同様の効果が得られる。
(2)穴部13aは、図1〜図3に示すように、貫通穴である構成とした。この構成によれば、金型の所定部位15によって簡単に成形できるので、簡単で加工性がよい。
(3)穴部13aは、図1〜図3に示すように、開口部が長溝状である構成とした。この構成によれば、金型の所定部位15によって簡単に成形できるので、簡単で加工性がよい。
(4)図8に示すように、樹脂13の線膨張係数αと、実装部品11a〜11dの線膨張係数βとは、所定範囲AR内である構成とした。この構成によれば、樹脂13と実装部品11a〜11dとの線膨張係数差αDが小さいので、リードフレーム12a〜12dに及ぼす影響をより確実に抑制できる。そのため、長期間に亘って回路基板10を使用しても、従来よりもさらに故障の発生を抑えられる。
(5)樹脂13は液晶ポリマーである構成とした。この構成によれば、液晶ポリマーは樹脂13(特に橋架部13b)における長手方向の線膨張係数差αDが小さいので、リードフレーム12a〜12dに及ぼす影響をより確実に抑制できる。そのため、長期間に亘って回路基板10を使用しても、従来よりもさらに故障の発生を抑えられる。
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
上述した実施の形態では、図1,図5に示すように、樹脂13の橋架部13bは実装部品11a〜11dやリードフレーム12a〜12dを覆わず、リードフレーム12a〜12dを保持する構成とした。この形態に代えて、ハンダ14を含む接合部位への影響が無視できる程度の厚みであれば、図9に示すように実装部品11a〜11dやリードフレーム12a〜12dを覆って保持する構成としてもよい。橋架部13bの長手方向は長手方向線膨張係数αLが小さいために膨張または収縮が抑制され、幅方向はリードフレーム12a〜12dと同等の幅であるので膨張または収縮による影響を無視できる。したがって、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述した実施の形態では、図1〜図3に示すように、穴部13aを貫通穴で構成した。この形態に代えて、図10に示すように、橋架部13bにおける線膨張係数αが図8に示す所定範囲ARの範囲内において、樹脂13の片面側(図10では下面側)が貫通しない非貫通穴で構成してもよい。図示を省略するが、さらに図9に示すように実装部品11a〜11dやリードフレーム12a〜12dを覆って保持する構成としてもよい。いずれの構成にせよ、橋架部13bは線膨張係数αを有するので、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることもできる。
上述した実施の形態では、図1に示すように、回路基板10は4つのリードフレーム12a〜12dと、4つ実装部品11a〜11dなどを有する構成とした。この形態に代えて、外部装置との接続数,回路パターン,配線などに応じたリードフレームの数は、二以上で任意の数を設定してよい。実装部品の数は、目的とする機能を奏する電気回路に応じて一以上で任意の数を設定してよい。単に要素の数が相違するに過ぎないので、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述した実施の形態では、図1,図5,図7に示すように、断面形状を四角形状とし、長手方向に直線状で成形されている構成とした。この形態に代えて、図示を省略するが、橋架部13bのうちで一以上は四角形状以外の断面形状としたり、長手方向に非直線状で成形したりしてもよい。四角形状以外の断面形状は、例えば三角形状や五角形状を含む多角形状、半円形状や楕円形状を含む円形状、複数の形状を合成した合成形状などが該当する。非直線状は、三角形状以上の多角形状、円弧状や楕円状を含む円形状、クランク状を含む階段状、途中で一以上に分岐する分岐形状などが該当する。単に橋架部13bの形状が相違するに過ぎないので、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述した実施の形態では、液晶ポリマーを用いて樹脂13を成形する構成とした。この形態に代えて、成形時の流れに沿った方向性のある線膨張特性を持てる他の繊維強化プラスチックを適用してよい。例えば、ガラス繊維強化プラスチック、ガラス長繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック、ボロン繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック、ポリエチレン繊維強化プラスチック、ザイロン強化プラスチックなどが該当する。成形時の流れに沿った方向性のある線膨張特性を持てる他の樹脂でもよい。他の材料であっても、橋架部13bの長手方向線膨張係数αLが幅方向線膨張係数αWよりも小さい。そのため、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述した実施の形態では、回路基板10は車両に関する状態を検出するセンサを適用し、車両には自動車を適用する構成とした。この形態に代えて、外部装置との間で電力や信号を伝達可能な他の機器に適用してもよく、自動車を除く他の移動機器を適用してもよい。他の機器には、移動機器に搭載される任意の部品が該当する。他の移動機器には、鉄道車両,船舶,航空機などが該当する。単に対象が異なるに過ぎないので、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
10 回路基板
11a〜11d 実装部品
12a〜12d リードフレーム
13 樹脂
13a 穴部
13b 橋架部

Claims (5)

  1. 外部と電気的な接続を行うために一部が露出する複数のリードフレーム(12a,12b,12c,12d)と、前記リードフレームの相互間に配置されて電気的に接続される一以上の実装部品(11a,11b,11c,11d)と、前記リードフレームおよび前記実装部品をモールドして保持する樹脂(13)とを有する回路基板(10)において、
    前記樹脂は、成形時の流れに沿った方向性のある線膨張特性を持つ材料であり、かつ、前記実装部品を配置する前記リードフレームに沿って幅方向の両側に設けられている所定形状の穴部(13a)を有する回路基板。
  2. 前記穴部は、貫通穴または非貫通穴である請求項1に記載の回路基板。
  3. 前記穴部は、開口部が長溝状である請求項1または2に記載の回路基板。
  4. 前記樹脂の線膨張係数(α)と、前記実装部品の線膨張係数(β)とは、所定範囲(AR)内である請求項1から3のいずれか一項に記載の回路基板。
  5. 前記樹脂は、液晶ポリマーである請求項1から4のいずれか一項に記載の回路基板。
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