JP6451923B2 - 保冷保温容器 - Google Patents

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Description

本発明は、真空断熱材を用いた保冷保温容器に関する。
保冷保温容器は、例えば物流分野において、内部温度を管理するために使用されている。一般に、保冷保温容器は、そのパネルが断熱性部材を有することによって、熱の容器内外の移動を抑制している。
最近、真空断熱材をパネルに用いた保冷保温容器が提案されている。真空断熱材は、単位厚み当たりの断熱性能が汎用の発泡断熱材よりも大幅に高いので、所望の保冷保温機能を確保しつつ、パネルを薄くすることで、保冷保温容器の軽量化や省スペース化を図ることができる。
特許文献1には、互いに折曲可能に連接された4面の周壁部と、対向する2面の周壁部の上端部に折曲可能に連接された2面の蓋部と、当該蓋部が連接された2面の周壁部の下端部に折曲可能に連接された2面の底面部と、を有し、各面内部に真空断熱材を内包させたものが記載されている。また、特許文献1には、対向する2面の周壁部がそれぞれ谷折りに折り畳み可能となっていることが記載されている。
特許文献2及び特許文献3には、真空断熱材を有する4つの壁面からなる筒状の壁体と、壁体の一端縁部に嵌合する蓋体と、壁体の他端縁部に嵌合する基台とを有し、壁体と蓋体と基台とが互いに分離可能となっているものが記載されている。また、特許文献2及び特許文献3には、壁体のうち一対の対向する壁面がそれぞれ谷折りに折り畳み可能となっていることが記載されている。
特開第3711997号公報 特許第4189022号公報 特開2009−137653号公報
ところで特許文献1乃至特許文献3に記載のものは、いずれも真空断熱材を含む容器であって、一定の断熱性能を実現できる。また、不使用時に折り畳むことで、省スペース化を実現できる。
しかしながら、特許文献1においては、各面の構造上、2つ以上積み重ねることができるだけの強度がない。また、開閉方向が天面に限定されているため、仮に2つ以上積み重ねた場合、下段の容器に物品を出し入れすることができなくなる。
特許文献2及び特許文献3においては、2つ以上積み重ね可能である旨の記載があるものの、壁体は真空断熱材をダンボール材2枚で挟持しているだけであるから、容器が大型化されて収納量が増えるにつれて下段の容器の壁体の強度が不十分となる。また、開閉方向が天面に限定されているため、2つ以上積み重ねた状態のまま下段の容器に物品を出し入れすることはできない。
もっとも、側面パネルに真空断熱材を用いた場合には、厚みが薄くなるので、パネルの支持力が低下するという問題がある。さらに、真空断熱材は、もし破損して真空が破れた場合には、断熱性能が急激に低下してしまうので、過剰な負荷をかけるべきではない。ところが、容器の開閉方向を側面にしようとすると、開放した側面パネル以外の側面パネルで重量を支える必要がある。また、2つ以上の容器を積み重ねた状態では、当然ながら、下段の容器に相当な重量がかかることになる。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、真空断熱材が用いられた側面パネルに大きな負荷をかけることなく2つ以上積み重ねることが可能であって、2つ以上積み重ねた状態のままいずれの容器にも物品を出し入れすることができる保冷保温容器を提供することにある。
本発明は、天面パネルと、正面パネル、左面パネル、奥面パネル、および右面パネルを有する側面パネルと、底面パネルと、を備えた保冷保温容器において、前記正面パネルは開閉可能となっており、各側面パネルは真空断熱材を含む断熱性部材を有し、隣接する側面パネル間にこれらの側面パネルの全高方向に延びる補強体が設けられ、前記隣接する側面パネルは、当該隣接する側面パネルを全高方向に垂直な平面で切った断面を天面パネル側からみたときに、前記真空断熱材が存在しない部分の前記隣接する側面パネルの法線方向にのみ存在するように設けられている、前記補強体を挟んで互いに連結されていることを特徴とする保冷保温容器である。

好ましくは、前記天面パネル、前記側面パネル、および前記底面パネルは、各々に分離可能であり、かつ前記側面パネルの前記正面パネル、前記左面パネル、前記奥面パネル、および前記右面パネルは、前記補強体を介して各々に分離可能である。より好ましくは、分離された各側面パネルは、分離された前記天面パネルと分離された前記底面パネルとの間に積み重ねて保管可能である。さらに、分離された前記天面パネルと分離された前記底面パネルとを一次的に固定する固定具を更に備えていることが好ましい。
また、好ましくは、前記補強体は、一の側面パネルの側縁に設けられた雄型補強体と、隣接する側面パネルの対応する側縁に設けられた雄型補強体に係合する雌型補強体とを有する。
本発明によれば、保冷保温容器は、真空断熱材が用いられた側面パネルに負荷をかけることなく2つ以上積み重ねることが可能であって、2つ以上積み重ねた状態のままいずれの容器にも物品を出し入れすることができる。
図1は、本発明の一実施の形態による保冷保温容器を示す斜視図である。 図2は、図1の保冷保温容器において、開閉可能な正面パネルが開放された状態を示す斜視図である。 図3は、図1の保冷保温容器において、天面パネルの一方の部分パネルが開放された状態を示す斜視図である。 図4は、天面パネルの図示が省略された図1の保冷保温容器の内部平面図である。 図5は、図4の保冷保温容器において符号Aが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。 図6は、図4の保冷保温容器において符号Bが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。 図7は、図1の保冷保温容器の天面パネルの一端部の断面図である。 図8は、図1の保冷保温容器の底面パネルの一端部の断面図である。 図9(a)及び図9(b)は、真空断熱材を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
まず、図1乃至図4により本発明の一実施の形態による保冷保温容器10の概略を示す。図1は、本実施の形態による保冷保温容器10を示す斜視図である。図2は、図1の保冷保温容器10において、開閉可能な正面パネル12が開放された状態を示す斜視図である。図3は、図1の保冷保温容器10において、天面パネル11の一方の部分パネル11aが開放された状態を示す斜視図である。図4は、天面パネル11の図示が省略された図1の保冷保温容器10の内部平面図である。
図1乃至図4に示すように、本実施の形態による保冷保温容器10は、天面パネル11と、4つの側面パネル12、13、14、15と、底面パネル16とを備え、内部に保冷あるいは保温すべき物品を収納するようになっている。このような構成からなる保冷保温容器10内に物品が収納された後、保冷保温容器10は物品とともに例えば不図示のカゴ車(ロールボックスパレットともいう)に積み重ねて載せられ、当該カゴ車により輸送される。
このうち、少なくとも各側面パネル12、13、14、15は、後述のように真空断熱材21を含む断熱性部材20を有している。
また、隣接する側面パネル12、13、14、15間、例えば正面パネル12、右面パネル15間には、この正面パネル12、右面パネル15の全高方向に延びる補強体31が設けられている。補強体31は、剛性材料からなり、各側面パネル12、13、14、15より高い耐荷重性(圧縮強度)を有するものである。隣接する側面パネル12、13、14、15は、補強体31を介して互いに連結されている。
また、各側面パネル12、13、14、15および補強体31は、その端面が底面パネル16の上面に当接されて支持されている。
一方、天面パネル11は、その底面の周縁部が各側面パネル12、13、14、15および補強体31の端面に当接されて支持されている。
このように、天面パネル11と底面パネル16との間に掛け渡されるように4本の補強体31が立設されていることで、天面パネル11と底面パネル16との間に作用する圧縮荷重は補強体31により支えられ、当該補強体31が変形しない限り各側面パネル12、13、14、15に大きな負荷はかからないようになっている。
図2に示すように、保冷保温容器10のうち、一の正面パネル12は、開閉可能となっている。本実施の形態では、開閉可能な正面パネル12は、一対の部分パネル12a、12bを有している。一対の部分パネル12a、12bは、それぞれ隣接する左面パネル13、右面パネル15に補強体31を介して連結されており、補強体31の外側を全高方向に延びる折曲線を介して、折曲可能となっている。これにより、一対の部分パネル12a、12bは、保冷保温容器10の両開き扉を構成するようになっている。これにより、正面パネル12を開放する際に必要とされる前後方向(奥行方向)のスペースを縮小することができる。
また、一方の部分パネル12aの側縁部の外面には、不図示の雌型面ファスナが設けられており、他方の部分パネル12bの側縁部の外面には、雌型面ファスナに当接可能な雄型面ファスナ付フラップ51が設けられている。なお、本明細書において「内面」とは、保冷保温容器10の内側を向く面を意味し、「外面」とは、保冷保温容器10の外側を向く面を意味する。図1に示すように、一対の部分パネル12a、12bが閉とされる時、雄型面ファスナ付フラップ51が雌型面ファスナに当接されることで、一対の部分パネル12a、12bは閉のままロックされるようになっている。なお、面ファスナに代えて、留め具や、両開き扉用のロックやストッパーなどを用いることもできる。
本実施の形態では、天面パネル11は、折畳線33を介して折畳可能となる一対の部分パネル11a、11bを有している。図3に示すように、折畳線33は、開放可能な正面パネル12と平行な全幅方向に延びている。一方の部分パネル11bが各側面パネル13、14、15の端面に当接されて支持されたまま、他方の部分パネル11aが折畳線33を介して折り曲げられることで、当該他方の部分パネル11aが開とされるようになっている。これによって、側面だけでなく天面からも開閉することができ、物品の出し入れが一層容易である。
図2および図3に示すように、本実施の形態では、天面パネル11および各側面パネル13、14、15の内面に、それぞれ、保冷材または保温材を収納するポケット状の収納部41が設けられている。このようなポケット状の収納部41は、必ずしも天面パネル11および各側面パネル13、14、15の内面に設ける必要は無く、底面パネル16の内面にポケット状の収納部41が設けられていてもよい。
次に、4つの側面パネル12、13、14、15の構造について詳しく説明する。
図5は、図4の保冷保温容器10において符号Aが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。図6は、図4の保冷保温容器10において符号Bが付された一点鎖線で囲まれた部分を拡大して示す断面図である。
図5および図6に示すように、4つの側面パネル12、13、14、15は、いずれも、真空断熱材21を含む断熱性部材20からなっている。
より詳しくは、図5および図6に示すように、断熱性部材20は、少なくとも真空断熱材21と、真空断熱材21の内面に積層された追加断熱材22と、真空断熱材21の外面に積層された保護材23と、を有している。また、追加断熱材22と保護材23との間には、真空断熱材21の周縁部を囲むように周縁部発泡断熱材221が充填されている。
図9(a)および図9(b)は、真空断熱材21を示す断面図である。
図9(a)および図9(b)に示すように、真空断熱材21は、繊維材、樹脂発泡材または粒状体の素材のうちいずれか1つの素材からなる芯材21aと、この芯材21aを覆うとともにガスバリア性を有する外被材21bと、を有し、外被材21b内を減圧して真空状態とすることにより得られる断熱材である。この場合、図9(a)に示すように、外被材21b内のうち芯材21aの両端に空間が形成されるが、図9(b)に示すように、外被材21bのうち芯材21aの両端に空間を形成することなく、外被材21bを密着させてもよい。
図5および図6に戻って、追加断熱材22および周縁部発泡断熱材221としては、一般的な発泡材料を用いることができる。具体的には、押し出し発泡ポリスチレン、ビーズ法ポリスチレン、ウレタンフォーム、高発泡ポリエチレン、フェノールフォーム等の発泡プラスチック系断熱材等を挙げることができる。
また、保護材23は、以下のようなものである。すなわち、真空断熱材21は外傷等で亀裂やしわ、貫通が生じやすく、単独で用いると特に物流過程で損傷しやすく、いったん外装が破壊されると真空度が低下して十分な断熱性を維持できないおそれがある。そこで、本実施の形態では、追加断熱材22および周縁部発泡断熱材221により真空断熱材21の内面および周縁部を被覆するとともに、保護材23により真空断熱材21の外面を被覆することで真空断熱材21を保護し、真空断熱材21の繰り返しの使用ができるようになっている。
保護材23としては、保護機能のある剛性を備えていれば特に限定されず、例えば合板、鋼板、発泡材、剛性樹脂板、エンボス樹脂シート、板紙等を用いても良いが、物流上、重量や体積が低減されることで輸送コストを軽減できることから、特に、いわゆる養生材やプラダン(プラスチックダンボール)、あるいはその複合材を用いることが、特にコスト、重量的に好ましい。
断熱性部材20を形成する材料の熱伝導率としては、所望の断熱性を示すことができれば特に限定されないが、例えば、100mW・m−1・K−1以下、なかでも50mW・m−1・K−1以下、特に35mW・m−1・K−1以下であることが好ましい。断熱性部材20の熱伝導率が大きいと、十分な断熱機能を発揮することが困難となるからである。
また、断熱性部材20を構成する材料の比熱としては、所望の断熱性を示すことができれば特に限定されないが、例えば、0.5kJ・g−1・K−1〜2.0kJ・g−1・K−1程度であり、なかでも0.8kJ・g−1・K−1〜1.5kJ・g−1・K−1の範囲内、特に1.0kJ・g−1・K−1〜1.4kJ・g−1・K−1の範囲内であることが好ましい。
断熱性部材20の厚さとしては、所望の断熱性を有することができれば特に限定されず、様々の用途に応じて適宜選択することができるが、物流に関しては体積を低減することが物流コスト上、好ましく、例えば、0.1mm〜100mmの範囲内、なかでも1mm〜80mmの範囲内、特に3mm〜50mmの範囲内であることが好ましい。
断熱性部材20の厚さが厚すぎる場合は、断熱性部材20が重くなり、保冷保温容器10全体が重くなって、保冷保温容器10の取り扱いが困難となる可能性がある。一方、断熱性部材20の厚さが薄すぎると十分な断熱性を発揮することが困難となる場合や、断熱性部材20の真空断熱材21が破損等し易くなる可能性がある。また、本実施の形態においては、上述した数値範囲内において、断熱性部材20の厚さは薄いことがより好ましい。
本実施の形態による保冷保温容器10においては、保護材23の厚みを薄くすれば、計量化できるだけでなく、真空断熱材21の断熱機能をより発揮することができ、保冷保温容器10の重量や寸法を抑制できる。また、断熱性部材20全体としての厚さを薄くして、軽量化やコンパクト化を示すことができる。この場合、本実施の形態による保冷保温容器10を軽量なものとすることができることで、分解作業および組み立て作業における作業者の負担を低減することができる。
本実施の形態では、図5および図6に示すように、保護材23は、各辺が追加断熱材22の各辺よりも大きく形成されており、保護材23の両側縁部および上端部は、それぞれ追加断熱材22の両側縁部および上端部より外側に突き出るように延ばされている。一方、保護材23の下端部は、追加断熱材22の下端部と同じ高さに揃えられている。
そして、保護材23の突き出るように延ばされた両側縁部に、保護材23の全高方向に延びる補強体31が設けられている。このようにすることで、真空断熱材21に負荷をかけずに、断熱性部材20を補強体31に固定することができる。すなわち、断熱性部材20の真空断熱材21が存在しない部分に補強体31を設けることによって、断熱性部材20が動いたときに、補強体31の先端が真空断熱材21に強い圧力をかけて真空断熱材21を破損させることが防げる。また、後述のように、断熱性部材20の側縁部を補強体31の一対の脚部間に挿し込んで固定する場合に、補強部材31の一対の脚部による圧力が、断熱性部材20の真空断熱材21にかからないようにすることができる。
本実施の形態では、図5および図6に示すように、補強体31は、左面パネル13の側縁に設けられた雄型補強体31aと、隣接する正面パネル12、奥面パネル14の対応する側縁に設けられた雄型補強体31aに係合する雌型補強体31bとを有している。
より詳しくは、図5および図6に示すように、雄型補強体31aは、断面略四角形状の凸条部と、凸条部とは逆向きに延伸する一対の脚部と、を有している。一方、雌型補強体31bは、雄型補強体31aの凸条部が係合可能な断面略四角形状の凹溝部と、凹溝部に対して90°をなす向きに延伸する一対の脚部と、を有している。
そして、左面パネル13の側縁部は、雄型補強体31aの一対の脚部間に挿し込まれた状態で、当該一対の脚部に圧着されて固定されている。図示されていないが、同様に、右面パネル15の側縁部も、雄型補強体31aの一対の脚部間に挿し込まれた状態で、当該一対の脚部に圧着されて固定されている。
一方、正面パネル12の側縁部は、雌型補強体31bの一対の脚部間に挿し込まれた状態で、当該一対の脚部に圧着されて固定されている。同様に、奥面パネル14の側縁部は、雌型補強体31bの一対の脚部間に挿し込まれた状態で、当該一対の脚部に圧着されて固定されている。
そして、図5に示すように、左面パネル13の側縁部に固定された雄型補強体31aの凸条部が、正面パネル12の側縁部に固定された雌型補強体31bの凹溝部に係合されることで、左面パネル13は正面パネル12に連結される。この時、雄型補強体31aと雌型補強体31bとが治具として機能することで、左面パネル13は正面パネル12に対して90°をなす向きに正確かつ容易に連結され得る。
また、図6に示すように、左面パネル13の側縁部に固定された雄型補強体31aの凸条部が、奥面パネル14の側縁部に固定された雌型補強体31bの凹溝部に係合されることで、左面パネル13は奥面パネル14に連結される。この時、雄型補強体31aと雌型補強体31bとが治具として機能することで、左面パネル13は奥面パネル14に対して90°をなす向きに正確かつ容易に連結され得る。
図示されていないが、同様に、右面パネル15の側縁部に固定された雄型補強体31aの凸条部が、正面パネル12の側縁部に固定された雌型補強体31bの凹溝部に係合されることで、右面パネル15は正面パネル12に連結される。この時、雄型補強体31aと雌型補強体31bとが治具として機能することで、右面パネル15は正面パネル12に対して90°をなす向きに正確かつ容易に連結され得る。
また、右面パネル15の側縁部に固定された雄型補強体31aの凸条部が、奥面パネル14の側縁部に固定された雌型補強体31bの凹溝部に係合されることで、右面パネル15は奥面パネル14に連結される。この時、雄型補強体31aと雌型補強体31bとが治具として機能することで、右面パネル15は奥面パネル14に対して90°をなす向きに正確かつ容易に連結され得る。
補強体31の材料は、高い耐荷重を有する剛性材料であれば特に限定されないが、軽量であることが好ましく、例えばポリプロピレン等の有機材料が好適に用いられる。
補強体31のサイズは、所望の耐荷重を有することができれば特に限定されず、様々の用途に応じて適宜選択することができるが、具体的には、例えば、雄型補強体31aの一対の脚部の間隔は7mmであり、各脚部の長さh33mm、その厚みは3mmである。また、雌型補強体31bの一対の脚部の間隔は7mmであり、各脚部の長さは33mm、その厚みは3mmである。補強体31の耐荷重は、例えば3tである。
図5および図6に示すように、補強体31は、全体として略L字形状の断面を有することが好ましい。この場合、鉛直方向の圧縮強度のみならず、水平方向の外力に対する強度も向上され得る。
本実施の形態では、図5および図6に示すように、各補強体31の内面に隅部発泡断熱材222が積層されており、4つの側面パネル12、13、14、15が互いに連結される際に、隅部発泡断熱材222が保冷保温容器10の4隅の内面を覆うようになっている。これにより、保冷保温容器10の4隅の断熱性がさらに向上される。
隅部発泡断熱材222としては、追加断熱材22および周縁部発泡断熱材221と同様、一般的な発泡材料を用いることができる。具体的には、押し出し発泡ポリスチレン、ビーズ法ポリスチレン、ウレタンフォーム、高発泡ポリエチレン、フェノールフォーム等の発泡プラスチック系断熱材等を挙げることができる。
また、図5に示すように、正面パネル12の保護材23の内面のうち、追加断熱材22の側縁部に対応する部分には、断面V字形状の溝が全高方向に延びるように形成されている。これにより、一対の部分パネル12a、12bは、隣接する左面パネル13、右面パネル15に剛性の補強体31を介して連結されていながら、当該溝の稜線を介して折曲可能となっている。
次に、天面パネル11の構造について詳しく説明する。
図7は、天面パネル11の一端部の断面図である。図7に示すように、天面パネル11は、真空断熱材21を含む天面パネル本体111と、天面パネル本体111の周縁に設けられた断熱性突部112と、を有している。しかしながら天面パネル11の構造はこのようなものに限ることなはなく、天面パネル11を天面パネル本体111のみから構成してもよい。
天面パネル本体111は、少なくとも真空断熱材21と、真空断熱材21を両面から挟持する一対の追加断熱材22と、一方の追加断熱材22の外面上に積層された保護材23と、を有している。また、一対の追加断熱材22の間には、真空断熱材21の周縁部を囲むように周縁部発泡断熱材221が充填されている。
保護材23は、各辺の長さが追加断熱材22の各辺よりも大きく形成されており、保護材23の外縁部は、追加断熱材22の外縁部より外側に突き出るように延ばされている。そして、図7に示すように、保護材23の突き出るように延ばされた外縁部の底面が、各側面パネル12、13、14、15および補強体31の端面に当接されて支持されるようになっている。
断熱性突部112としては、保護材23と同様、保護機能のある剛性を備えていれば特に限定されず、例えば合板、鋼板、発泡材、剛性樹脂板、エンボス樹脂シート、板紙等を用いても良いが、物流上、重量や体積が低減されることで輸送コストを軽減できることから、特に、いわゆる養生材やプラダン(プラスチックダンボール)、あるいはその複合材を用いることが、特にコスト、重量的に好ましい。
図7に示すように、天面パネル本体111の外縁部の底面が各側面パネル12、13、14、15および補強体31の端面に当接されて支持される時、断熱性突部112は、側面パネル13、14、15の上端部の外面を覆うようになっている。これにより、側面パネル13、14、15の上端部の断熱性が一層向上され得る。
また、図1に示すように、天面パネル本体111の保護材23の内面のうち、一対の部分パネル11a、11bの境目に対応する部分には、断面V字形状の溝が全幅方向(正面パネル12と平行な方向)に沿って形成されており、一対の部分パネル11a、11bは、当該溝の稜線を介して折曲可能となっている。すなわち、当該溝の稜線が折畳線33を構成しており、一対の部分パネル11a、11bは、折畳線33を介して折畳可能となっている。一対の部分パネル11a、11bは、真空断熱材21を含んでいるため軽量であり、折り畳み作業が容易である。
次に、底面パネル16の構造について詳しく説明する。
図8は、底面パネル16の一端部の断面図である。図8に示すように、底面パネル16は、少なくとも真空断熱材21と、真空断熱材21を両面から挟持する一対の追加断熱材22と、を有している。また、一対の追加断熱材22の間には、真空断熱材21の周縁部を囲むように周縁部発泡断熱材221が充填されている。
図8に示すように、各側面パネル12、13、14、15は、その端面が底面パネル16の外縁部の上面に当接されて支持されるようになっている。ここで、底面パネル16の真空断熱材21に側面パネル12、13、14、15の荷重が直接かからないように、底面パネル16の真空断熱材21は、側面パネル12、13、14、15の内面よりさらに内側に配置されている。
本実施の形態では、図8に示すように、底面パネル16の底面に、持手部29が取り付けられている。持手部29は、たとえば紐状部材からなり、底面パネル16の底面から左面パネル13、右面パネル15の外面に沿って上向きに延ばされている(図1参照)。持手部29を掴んで持ち上げることで、側面パネル12、13、14、15に負荷をかけることなく、保冷保温容器10全体を持ち上げることができるようになっている。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について、説明する。
図1に示すように、組み立てられた状態の保冷保温容器10は、正面パネル12の一対の部分パネル12a、12bが開とされ、この部分パネル12a、12bから保冷保温容器10の内部に物品が収納される。この時、天面パネル11の一方の部分パネル11aが、折畳線33を介して折り畳まれて開とされてもよい。この場合、保冷保温容器10に対する物品の出し入れが一層容易となる。
保冷保温容器10に物品が収納された後、正面パネル12の一対の部分パネル12a、12bが閉とされる。この時、一方の部分パネル12aの側縁部に設けられた雌型面ファスナに、他方の部分パネル12bの側縁部に設けられた雄型面ファスナ付フラップ51が当接されることで、一対の部分パネル12a、12bが閉のままロックされる。また、天面パネル11の一方の部分パネル11aが、折畳線33を介して戻されて閉とされる。
次に、物品が収納された保冷保温容器10は、持手部29を掴まれて持ち上げられ、例えば不図示のカゴ車に2つ以上積み重ねて載せられる。この時、上段の保冷保温容器10の荷重は、下段の保冷保温容器10の四隅の補強体31によって支えられ、下段の保冷保温容器10の各側面パネル12、13、14、15に大きな負荷がかかることが防止される。これにより、各側面パネル12、13、14、15の真空断熱材21が損傷することが防止される。
また、保冷保温容器10が底面パネル16に固定された持手部29を掴んで持ち上げられることで、各側面パネル12、13、14、15にかかる負荷は一層低減される。
その後、2つ以上積み重ねられた保冷保温容器10は、収納された物品とともにカゴ車により次工程に輸送される。
そして、次工程では、カゴ車に2つ以上積み重ねて載せられた保冷保温容器10は、積み重ねられた状態のまま、正面パネル12が開とされ、当該正面パネル12から物品が出し入れされる。このように正面パネル12が開とされることで、2つ以上積み重ねられた状態のまま、下段の保冷保温容器10に対しても物品を出し入れすることが可能である。
次に、保冷保温容器10を使用しない場合、2つ以上積み重ねられた空の保冷保温容器10は、上段の保冷保温容器10から順に、持手部29を掴まれてカゴ車から降ろされる。
次に、各保冷保温容器10において、天面パネル11が、4つの側面パネル12、13、14、15の端面から持ち上げられて分離される。
次に、隣接する側面パネル12、13、14、15が補強体31を介して互いに分離される。より詳しくは、例えば左面パネル13が上向きに持ち上げられる。この時、図5および図6に示すように、左面パネル13の側縁部に固定された雄型補強体31aの凸条部は、これに隣接する正面パネル12、奥面パネル14の側縁部に固定された雌型補強体31bの凹溝部に案内されて上向きに平行移動される。そして、雄型補強体31aの凸条部の下端部が、雌型補強体31bの凹溝部の上端部より上方に持ち上げられる時、雄型補強体31aと雌型補強体31bとの係合状態が解消され、左面パネル13はこれに隣接する正面パネル12、奥面パネル14から分離される。同様に、奥面パネル14が上向きに持ち上げられることで、これに隣接する右面パネル15から分離され、右面パネル15が上向きに持ち上げられることで、これに隣接する正面パネル12から分離される。最後に、正面パネル12が底面パネル16から分離される。各側面パネル12、13、14、15は、真空断熱材21を含む断熱性部材20を有しているため軽量であり、分離作業が容易である。
このようにして、保冷保温容器10は、天面パネル11、4つの側面パネル12、13、14、15、および底面パネル16に分離される。そして、分離された各側面パネル12、13、14、15は、分離された天面パネル11と分離された底面パネル16との間に積み重ねて保管される。これにより、不使用時の保管スペースがコンパクトになる。さらに、分離された天面パネル11と底面パネル16とを、結束バンド、留め具、面ファスナなどの固定具で一時的に固定する。これにより、不使用状態で持ち運ばれるときに、側面パネルの真空断熱材が十分に保護される。
次に、保冷保温容器10を使用する場合、前述の分解工程が逆の順序で行われることにより、天面パネル11、4つの側面パネル12、13、14、15、および底面パネル16から、1つの保冷保温容器10が組み立てられる。ここで、各側面パネル12、13、14、15を順に連結していく際に、補強体31の雄型補強体31aと雌型補強体31bとが治具として機能することで、隣接する側面パネル12、13、14、15は補強体31を介して正確かつ容易に連結され得る。
以上のように本実施の形態によれば、隣接する側面パネル12、13、14、15間にこの側面パネル12、13、14、15の全高方向に延びる補強体31が設けられているため、容器10を2つ以上積み重ねる際に、上段の容器10の荷重が下段の容器10の補強体31により支えられ、下段の容器10の側面パネル12、13、14、15にかかる負荷が顕著に低減される。そのため、各側面パネル12、13、14、15に大きな負荷をかけることなく、容器10を2つ以上積み重ねることが可能となる。また、各側面パネル12、13、14、15への負荷が低減することで、正面パネル12を開閉可能な構造とすることができ、これにより、2つ以上積み重ねた状態のままいずれの容器10にも物品を出し入れすることが可能となる。また、各側面パネル12、13、14、15への負荷が低減することで、各側面パネル12、13、14、15に真空断熱材21を含む断熱材パネル20を採用することができ、これにより、内部温度を良好に維持することができる。
また、本実施の形態によれば、保冷保温容器10が、天面パネル11、4つの側面パネル12、13、14、15、および底面パネル16に分離可能であるため、各パネル内の真空断熱材21が破損した場合に、破損したパネルのみ交換することで、修理することが容易である。さらに、分離された各側面パネル12、13、14、15は、分離された天面パネル11と分離された底面パネル16との間に積み重ねて保管可能であるため、保管時に各側面パネル12、13、14、15を天面パネル11と底面パネル16とで保護して、側面パネルの真空断熱材の破損を防ぐことができる。
また、本実施の形態によれば、補強体31は、左面パネル13、右面パネル15の側縁に設けられた雄型補強体31aと、隣接する正面パネル12、奥面パネル14の対応する側縁に設けられた雄型補強体31aに係合する雌型補強体31bとを有しており、当該補強体31が治具として機能することで、組み立て作業が容易であるとともに、分解作業も容易である。
なお、本実施の形態では、補強体31が各側面パネル12、13、14、15の周縁部に固定されていたが、これに限定されず、補強体31が各側面パネル12、13、14、15の周縁部に着脱可能に設けられていてもよい。
10 保冷保温容器
11 天面パネル
11a、11b 部分パネル
12 正面パネル(側面パネル)
12a、12b 部分パネル
13 左面パネル(側面パネル)
14 奥面パネル(側面パネル)
15 右面パネル(側面パネル)
16 底面パネル
20 断熱性部材
21 真空断熱材
21a 芯材
21b 外被材
22 追加断熱材
23 保護材
221 周縁部発泡断熱材
222 隅部発泡断熱材
29 持手部
31 補強体
41 収納部
51 雄型面ファスナ付フラップ

Claims (5)

  1. 天面パネルと、
    正面パネル、左面パネル、奥面パネル、および右面パネルを有する側面パネルと、
    底面パネルと、
    を備えた保冷保温容器において、
    前記正面パネルは開閉可能となっており、
    各側面パネルは真空断熱材を含む断熱性部材を有し、
    隣接する側面パネル間にこれらの側面パネルの全高方向に延びる補強体が設けられ、
    前記隣接する側面パネルは、当該隣接する側面パネルを全高方向に垂直な平面で切った断面を天面パネル側からみたときに、前記真空断熱材が存在しない部分の前記隣接する側面パネルの法線方向にのみ存在するように設けられている、前記補強体を挟んで互いに連結されていることを特徴とする保冷保温容器。
  2. 前記天面パネル、前記側面パネル、および前記底面パネルは、各々に分離可能であり、かつ前記側面パネルの前記正面パネル、前記左面パネル、前記奥面パネル、および前記右面パネルは、前記補強体を介して各々に分離可能である
    ことを特徴とする請求項1に記載の保冷保温容器。
  3. 分離された各側面パネルは、分離された前記天面パネルと分離された前記底面パネルとの間に積み重ねて保管可能である
    ことを特徴とする請求項2に記載の保冷保温容器。
  4. 分離された前記天面パネルと分離された前記底面パネルとを一次的に固定する固定具
    を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の保冷保温容器。
  5. 前記補強体は、一の側面パネルの側縁に設けられた雄型補強体と、隣接する側面パネルの対応する側縁に設けられた雄型補強体に係合する雌型補強体とを有する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の保冷保温容器。
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