JP6449925B2 - 車両駆動システム - Google Patents
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Description
これにより、車両の走行中に、車両の傾斜又は車両が位置する路面の傾斜を、容易に検出することが可能となる。
これにより、車速が高くなり、電動機の最高回転数を上回る回転数で第1駆動輪又は第2駆動輪が回転するときには、電動機と第1駆動輪又は第2駆動輪との駆動の連結は解除されるが、このような場合であっても、車両の走行中における車速に相関のある相関量を検出することが可能となる。この結果、電動機の最高回転数よりも高い回転数となるような車速においても、車速を継続して検出することにより、急に低い車速になった場合の推定傾斜角の算出速度を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る車両駆動システム10を搭載した車両3を示す図である。本実施形態に係る車両駆動システム10を搭載した車両3は、ハイブリッド車両である。図1に示すように、車両3に搭載された車両駆動システム10は、第1駆動装置1と、第2駆動装置2と、これらの駆動装置1,2を制御する制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)6と、PDU(パワードライブユニット)8と、バッテリ9と、を備える。
図2におけるフロントが前輪Wf(RWf,LWf)を駆動する第1駆動装置1を表し、リアが後輪Wr(RWr,LWr)を駆動する第2駆動装置2を表し、○が作動(駆動、回生含む)を意味し、×が非作動(停止)を意味する。また、MOT状態が第2駆動装置2の電動機2A,2Bの状態を表す。切離機構のONが、電動機2A,2Bと後輪RWr,LWrを接続することによりMOT駆動状態又はMOT回生状態とするための2つのリングギヤ同士がロック(係合)されることを意味する。OFFが、この2つのリングギヤそれぞれがフリー状態(リングフリー状態)となることを意味する。また、OWCがこの2つのリングギヤの状態を切り替える一方向クラッチの状態を意味し、BRKがリングギヤの回転を規制する油圧ブレーキを意味する。油圧ブレーキは、ECU6による制御によりブレーキソレノイド(BRKsol)が駆動されることにより駆動する。
次いで、キーポジションをONにした後、EV発進時には、第2駆動装置2の電動機2A,2Bが駆動する。このとき、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
続いて加速時には、第1駆動装置1と第2駆動装置2との何れも駆動する双方輪(4輪)駆動状態(AWD)となり、このときも、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr、LWrに伝達される。
低・中速域のEVクルーズでは、モータ効率が良いため第1駆動装置1が非作動状態で、第2駆動装置2のみが駆動する後輪単独駆動状態(RWD)となる。このときも、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
また、自然減速する場合にも、切離機構は、一方向クラッチが切離されてOFFとなり(OWCフリー)、油圧ブレーキが作動せず、電動機2A,2Bが停止する。
通常走行では、摩擦ブレーキに対する制動制御と協調して電動機2A,2Bで回生して走行エネルギーを回収するが、緊急制動の要求(例えば、ABS作動時)には、電動機2A,2Bの回生を禁止して、摩擦ブレーキによる制動制御を優先する。この場合、一方向クラッチが切離されたOFF状態(OWCフリー)となり、油圧ブレーキが作動しないことで、電動機2A,2Bを停止させる。
ECU6は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下、「CPU」という。)と、を備える。この他、ECU6は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、PDU8や内燃機関4等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
更に、ECU6は、本実施形態特有のトラクションコントロールを実行するためのモジュールとして、スリップ取得部61と、トラクションコントロールシステム(以下、「FrTCS」という。)62と、登坂角推定部63と、駆動状態切替部64と、を備える。以下、これら各モジュールの機能について説明する。
ここで、車両3は、高μ状態の乾燥路においても常に駆動輪に微小なスリップを発生させながら走行しているとみなすこともできる。ただし、このようにみなしてしまうと、常時スリップ判定フラグが「1」に設定され、駆動状況に応じた制御をすることができない。そこで、本実施形態における「超過スリップ」とは、このような微小なスリップを除外するものである。以下、超過スリップの発生を、単にスリップの発生ともいう。
一方で、FrTCS62は、スリップ判定フラグが「1」に設定されている場合(すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得している場合)には、超過スリップが発生した前輪Wf(RWf,LWf)に接続される内燃機関4や電動機5の指令トルクを、ドライバ要求トルクとするのではなく、所定のトルクとする。
ここで、一方輪単独駆動状態としては、前輪Wf(RWf,LWf)のみによって車両3を駆動するFWDと、後輪Wr(RWr,LWr)のみによって車両3を駆動するRWDがある。
また、駆動状態切替部64は、2WDからAWDへの切り替えに加え、AWDを維持した状態での駆動力配分の切り替えを実行する。具体的には、駆動状態切替部64は、AWD要求フラグが「1」に設定されたとき、車両3の駆動状態をAWDに切り替える。
また、前後配分設定は、車両3の進行方向輪とその反対側輪との駆動力[N]の配分差であってもよい。
ここで、図4は、上記実施形態に係るECU6による制御における、車両3の走行時における処理を示すフロー図である。
本実施形態では、ECUの登坂角推定部63は、車両3の走行中に車輪(後輪RWr、LWr)の回転数の値、又は、電動機2A,2B、5の回転数の値に基づいて、車両3の傾斜又は車両3が位置する路面の傾斜(推定傾斜角)を検出する。
このため、車両3の走行中に、車両3の傾斜又は車両3が位置する路面の傾斜が所定の閾値を超えたときに、AWDによる登坂が必要であることをECU6において認識することが可能である。このため、適切なタイミングで、2WDからAWDへの切り替えを行うことが可能となる。特に、車両3が低速で登坂に進入したときであっても、確実に2WDからAWDへの切り替えを行うことが可能となる。
本発明の第2実施形態に係る車両は、第1実施形態に係る車両3と比べて、車速の検出のみが異なる。図6は、本発明の第2実施形態に係る車両駆動システムを搭載した車両の登坂時の状態における、車輪速と電動機の回転数との関係を示すタイムチャートである。
ECU6は、車両3が所定の車速以上の場合に、車輪(後輪RWr、LWr)に対する電動機2A、2Bによる駆動を遮断し、登坂角推定部63は、車両3が所定の車速以上か否かに関わらず、車両3の走行中における車速を検出する制御を行う。
そして、前輪Wf(RWf,LWf)、又は、後輪Wr(RWr,LWr)が、電動機2A,2Bにより駆動されているとき、即ち、切離機構が一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される状態のときには、電動機2A,2Bの回転数に基づいて、車両3の傾斜又は車両3が位置する路面の傾斜(推定傾斜角)を検出する。前輪Wf(RWf,LWf)、及び、後輪Wr(RWr,LWr)が、電動機2A,2Bから切り離され、電動機2A,2Bによる前輪Wf(RWf,LWf)、及び、後輪Wr(RWr,LWr)の駆動が遮断されているとき、即ち、切離機構が一方向クラッチによってOFFとなり(OWCフリー)、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達されない状態のときには、後輪Wr(RWr,LWr)の回転数に基づいて、車両3の傾斜又は車両3が位置する路面の傾斜(推定傾斜角)を検出する。
例えば、本実施形態では、走行中に推定傾斜角を得るために、車輪速センサ91、レゾルバ94からの検出値を用いたが、これに限定されない。走行中における推定傾斜角は、車速に相関のある相関量に基づいて得られればよい。
また、登坂角推定部63において入力するレゾルバ94からの検出値については、電動機2A、2Bから検出された検出値の平均値が用いられていたが、これに限定されない。同様に、電動機2A,2Bと後輪RWr,LWrとが切り離された状態にあるときには、車輪速センサ91からの車輪速(後輪Wr(RWr,LWr)回転数)の値を検出信号として登坂角推定部63へ入力し、この車輪速の値は、左右の車輪速の平均値が用いられたが、これに限定されない。
また、第1駆動輪は、前輪Wf(RWf,LWf)により構成され、第2駆動輪は、後輪Wr(RWr,LWr)により構成されたが、これに限定されない。
また、上記実施形態では、後輪側の第2駆動装置2を2つの電動機2A,2Bを具備する2モータ方式としたが、1モータ方式であってもよい。
2…第2駆動装置
2A,2B…電動機
3…車両
6…ECU(制御装置)
64…駆動状態切替部(判断部)
Wf(RWf,LWf)…前輪
Wr(RWr,LWr)…後輪
Claims (3)
- 車両の前輪及び後輪のいずれか一方である第1駆動輪を駆動する第1駆動装置と、
前記車両の前輪及び後輪のいずれか他方である第2駆動輪を駆動する第2駆動装置と、
前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置を制御し、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪の駆動状態を制御する制御装置と、を備える車両駆動システムであって、
前記制御装置は、
前記車両の走行中に車速に相関のある相関量に基づいて、前記車両の傾斜又は前記車両が位置する路面の傾斜を検出し、前記第1駆動装置と前記第2駆動装置との駆動力配分を切り換えて、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪の双方によって前記車両を駆動する双方輪駆動状態とする判断部を有し、
前記車両の走行中における車速に相関のある相関量は、前記第1駆動輪若しくは前記第2駆動輪の回転数、又は、前記第1駆動輪若しくは前記第2駆動輪を駆動させる電動機の回転数であり、
前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪に対して前記電動機による駆動が伝達されているときには、前記車両の走行中における車速に相関のある相関量は、前記電動機の回転数であり、
前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪に対して前記電動機による駆動が遮断されているときには、前記車両の走行中における車速に相関のある相関量は、前記第1駆動輪又は前記第2駆動輪の回転数である車両駆動システム。 - 前記制御装置は、前記車両が所定の車速以上の場合に、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪に対する前記電動機による駆動を遮断し、
前記制御装置は、前記車両が所定の車速以上か否かに関わらず、前記車両の走行中における車速に相関のある相関量を検出する制御を行う請求項1に記載の車両駆動システム。 - 前記制御装置は、前記車両の停車時には、前後Gセンサによる登坂角の推定を行う請求項1又は2に記載の車両駆動システム。
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