JP2018062230A - 車両駆動システム - Google Patents
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Abstract
Description
この特許文献1に開示された技術では、2WD及びAWDの両状態において、前輪と後輪との車輪速差に基づいて超過スリップの発生の有無やスリップ量(超過スリップの大きさ、度合)を判定し、その判定結果に応じて4輪駆動継続時間を補正する。
これにより、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値に応じて、前輪Wf(RWf,LWf)空転量を制限して超過スリップを抑制することで、AWDでの駆動時や、前輪駆動時における、ドライバの直感的な運転感覚を向上させることが可能となる。特に、登坂時におけるドライバの直感的な運転感覚を向上させることが可能となる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両駆動システム10を搭載した車両を示す図である。
本実施形態に係る車両駆動システム10を搭載した車両3は、ハイブリッド車両である。図1に示すように、車両3に搭載された車両駆動システム10は、第1駆動装置1と、第2駆動装置2と、これらの第1駆動装置1,第2駆動装置2を制御する制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)6と、PDU(パワードライブユニット)8と、バッテリ9と、を備える。
ここで、第1駆動装置1と第2駆動装置2とは、別個独立に駆動され、且つ、機械的に接続されていない状態である。すなわち、第1駆動装置1と第2駆動装置2とは、機械的に独立状態である。
図2は、車両の走行状態における電動機2A,2Bの状態と切離機構(一方向クラッチと油圧ブレーキ)の状態を示す図である。
図2におけるフロントが前輪Wf(RWf,LWf)を駆動する第1駆動装置1を表し、リアが後輪Wr(RWr,LWr)を駆動する第2駆動装置2を表し、○が作動(駆動、回生含む)を意味し、×が非作動(停止)を意味する。また、MOT状態が第2駆動装置2の電動機2A,2Bの状態を表す。切離機構のONが、電動機2A,2Bと後輪RWr,LWrを接続することによりMOT駆動状態又はMOT回生状態とするための2つのリングギヤ同士がロック(係合)されることを意味する。OFFが、この2つのリングギヤそれぞれがフリー状態となりであることを意味する。また、OWCがこの2つのリングギヤの状態を切り替える一方向クラッチの状態を意味し、BRKが油圧ブレーキを意味する。
次いで、キーポジションをONにした後、EV発進時は、第2駆動装置2の電動機2A,2Bが駆動する。このとき、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
続いて加速時には、第1駆動装置1と第2駆動装置2との何れも駆動する双方輪(4輪)駆動状態(AWD)となり、このときも、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr、LWrに伝達される。
低・中速域のEVクルーズでは、モータ効率が良いため第1駆動装置1が非作動状態で、第2駆動装置2のみが駆動する後輪単独駆動状態(RWD)となる。このときも、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
また、自然減速する場合も、切離機構は、一方向クラッチが切離されてOFFとなり(OWCフリー)、油圧ブレーキが作動せず、電動機2A,2Bが停止する。
通常走行では、摩擦ブレーキに対する制動制御と協調して電動機2A,2Bで回生して走行エネルギーを回収するが、緊急制動の要求(例えば、ABS作動時)には、電動機2A,2Bの回生を禁止して、摩擦ブレーキによる制動制御を優先する。この場合、一方向クラッチが切離されたOFF状態(OWCフリー)となり、油圧ブレーキが作動しないことで、電動機2A,2Bを停止させる。
ECU6は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下、「CPU」という。)と、を備える。この他、ECU6は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、PDU8や内燃機関4等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
更に、ECU6は、本実施形態特有のトラクションコントロールを実行するためのモジュールとして、スリップ取得部61と、前輪回転状態量取得部62と、後輪回転状態量取得部63と、トラクションコントロールシステム(以下、「FrTCS」という。)64、を備える。以下、これら各モジュールの機能について説明する。
ここで、車両3は、高μ状態の乾燥路においても常に駆動輪に微小なスリップを発生させながら走行しているとみなすこともできる。ただし、このようにみなしてしまうと、常時スリップ判定フラグが「1」に設定され、駆動状況に応じた制御をすることができない。そこで、本実施形態における「超過スリップ」とは、このような微小なスリップを除外するものである。以下、超過スリップの発生を、単にスリップの発生ともいう。
図4に示すように、スリップ取得部61は、スリップ閾値算出部611及びスリップ判定部612を備える。
更に、図4に示すように、前輪回転状態量取得部62からの左右の平均前輪車輪速VFr(ave)及び後輪回転状態量取得部63からの左右の平均後輪車輪速VRr(ave)が、スリップ閾値算出部611に入力される。
なお、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)は、前輪又は後輪の左右車輪の、平均前輪車輪速VFr(ave)=(VFr(右)+VFr(左))/2,平均後輪車輪速VRr(ave)=(VRr(右)+VRr(左))/2から導出される。
ただし、当然のことながら超過スリップが発生していないとしても各車輪の車輪速は均等ではなく多少のばらつきがある。そこで、このばらつきを考慮して、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)を平均した値よりも大きい値を速度基準車輪速とする。例えば、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)を平均した値に1.2を乗算した値を速度基準車輪速とする。算出したスリップ閾値はスリップ判定部612に出力される。
なお、スリップ閾値は、各車輪の現在の車輪速に基づいて算出すべきものであるので、スリップ閾値算出部611は、一度スリップ閾値を算出した後も、周期的にスリップ閾値の算出を行う。
つまり、本実施形態では、左右の前輪の何れの車輪速も、スリップ閾値を超えていないのであれば、何れの前輪も他の車輪と同様に回転しているので超過スリップしていないと判定し、超過スリップが発生したことを取得しない。
一方で、左右の前輪の何れかの車輪速が、他の車輪の車輪速も含めて考慮されるスリップ閾値を超えているのであれば、この何れかの前輪が他の車輪と比べて異常に回転しているので超過スリップしていると判定し、超過スリップが発生したことを取得する。
なお、前輪回転状態量取得部62は、エンジン回転数センサ93の検出信号であるエンジン回転数から換算して前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速を取得してもよい。また、前輪回転状態量取得部62は、場合によって搭載される前輪回転角速度センサの検出信号から前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速を取得してもよい。また、前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速以外に、前輪Wf(RWf,LWf)の回転状態量を取得してもよい。
なお、後輪回転状態量取得部63は、モータ電流センサ94の検出信号から算出されるモータ回転数から換算して後輪Wr(RWr,LWr)の車輪速を取得してもよい。また、後輪回転状態量取得部63は、場合によって搭載される後輪回転角速度センサの検出信号から前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速を取得してもよい。また、後輪Wr(RWr,LWr)の車輪速以外に、後輪Wr(RWr,LWr)の回転状態量を取得してもよい。
一方で、FrTCS64は、スリップ判定フラグが「1」に設定されている場合(すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得している場合)には、超過スリップが発生した前輪Wf(RWf,LWf)に接続される内燃機関4や電動機5の指令トルクを、ドライバ要求トルクとするのではなく、トルク閾値と現在の前輪推定トルクとに基づいて決定したトルクとする。
また、前輪推定トルクに代えて前輪推定トルクに相関のある値である前輪推定トルク相関値を用いるようにしてもよい。前輪推定トルク相関値とは、例えば、アクセル開度センサ82から入力される、ドライバが要求する駆動力に対応した現在のアクセル開度を表す値である。以下では、前輪推定トルクと、前輪推定トルク相関値とをまとめて「前輪推定トルク」と呼ぶ。
ここで、“変化量△1<変化量△2”の関係であるとする。つまり、本実施形態では、トルク閾値を基準として、前輪推定トルクが大きいか、それとも小さいかを判定し、前輪推定トルクが大きい場合に、前輪推定トルクが小さい場合よりも指令トルクを大きく変化させる。
なお、このようにドライバ要求トルクから、負の数である変化量△1や変化量△2を減算させるようにしてもよいが、変化量△1及び変化量△2を1未満の値として、ドライバ要求トルクと変化量△1や変化量△2とを乗算するようにしてもよい。この場合には、例えば変化量△1を0.3とし、変化量△2を0.1といった値とするとよい。
ここで、図5は、本実施形態に係るトラクションコントロールの手順を示すフローチャートである。また、図6は、本実施形態に係るトラクションコントロールを行った場合の車両の駆動状態を示すタイミングチャートである。
一方で、スリップ判定フラグに「1」が設定されている場合には(ステップS11にてYes)、超過スリップが発生しているので、トラクションコントロールを実行するためにステップS13に進む。
一方で、前輪推定トルクがトルク閾値を超えているのであれば(ステップS13にてYes)、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5への指令トルクをドライバ要求トルクから変化量△2だけ変化させる(ステップS15)。
それぞれのタイミングチャートでは、前輪推定トルクが小さい場合について一点鎖線で示す。また、前輪推定トルクが大きい場合について実線で示す。更に、スリップ閾値、トルク閾値及びドライバ要求トルクについては破線で示す。
仮に、このように制御量を調整しなかった場合には、特に前輪推定トルクが大きい場合に、前輪車輪速がスリップ閾値を大きく上回り、いわばオーバーシュートすることになるが、制御量を調整することにより、オーバーシュートの発生を防止することが可能となる。
次に、上述した第1実施形態を変形した第2実施形態について説明をする。ここで、第2実施形態の基本的構成は、第1実施形態と同様である。例えば、図1、図3及び図4を参照して説明した構成や、図2を参照して説明した駆動状態の切り替えについては、第2実施形態と第1実施形態とで共通である。そこで、以下ではこれらの共通する点についての説明は省略し、第1実施形態との相違点であるトラクションコントロールの内容について詳細に説明をする。
ここで、図7は、本実施形態に係るトラクションコントロールの手順を示すフローチャートである。また、図8は、本実施形態に係るトラクションコントロールを行った場合の車両の駆動状態を示すタイミングチャートである。
例えば、第1実施形態では、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)から想定される「速度基準車輪速」をスリップ閾値としていた。そこで、本実施形態では、例えば「速度基準車輪速」を第1スリップ閾値とし、これよりも所定の値だけ低い値を第2スリップ閾値とする。
何れの場合であっても、前輪車輪速が、比較対象としたスリップ閾値以下なのであれば(ステップS23にてNo、ステップS26にてNo)、スリップ判定部612は、スリップ判定フラグに「0」を設定する。すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得しない。
この場合、FrTCS64は、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5への指令トルクを変化量△3だけ変化させる(ステップS27)。ここで、変化量△3と呼んでおり、変化量△3を変化量△1や変化量△2とは区別しているが、変化量△3の変化量を変化量△1又は変化量△2と同じ変化量とするようにしてもよい。そして、再度ステップS11からの処理を繰り返す。
それぞれのタイミングチャートでは、前輪推定トルクが小さい場合について一点鎖線で示す。また、前輪推定トルクが大きい場合について実線で示す。更に、スリップ閾値、トルク閾値及びドライバ要求トルクについては破線で示す。特にスリップ閾値については、第1スリップ閾値については線上に○を付し、第2スリップ閾値については線上に△を付す。
つまり、前輪推定トルクが大きい場合と、前輪推定トルクが小さい場合の双方について第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
更に、本実施形態によれば、FrTCS64は、前輪推定トルクとトルク閾値との比較である第1の比較をし、該第1の比較の結果、前輪推定トルクがトルク閾値以下の場合にはスリップ閾値として第1のスリップ閾値を設定し、前輪推定トルクがトルク閾値を超えている場合にはスリップ閾値として第1のスリップ閾値よりも低い閾値である第2のスリップ閾値を設定し、
スリップ取得部61は、前輪車輪速と、超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値との比較である第2の比較をし、該第2の比較の結果、前輪車輪速が超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値を超えていたならば前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する。
また、前輪推定トルクが小さい場合に前輪車輪速が上昇する過程の遅い段階で超過スリップの発生を取得することになり、これに伴い、前輪の空転をあえて助長することが可能となる。これによりドライバに路面が低μ状態であることを認識させることができる。
また、上記の2つの実施形態では、後輪Wr(RWr,LWr)の駆動源を電動機2A,2Bのみとしたが、エンジン駆動であってもよい。
また、上記の2つの実施形態では、後輪Wr(RWr,LWr)側の第2駆動装置2を2つの電動機2A,2Bを具備する2モータ方式としたが、1つの電動機と差動装置を具備する1モータ方式であってもよい。
2…第2駆動装置
3…車両
4…内燃機関
5…電動機
6…ECU(制御装置)
7…トランスミッション
8…PDU
9…バッテリ
10…車両駆動システム(車両駆動システム)
61…スリップ取得部(超過スリップ取得手段)
62…前輪回転状態量取得部(前輪回転状態量取得手段)
63…後輪回転状態量取得部
64…トラクションコントロールシステム(超過スリップ抑制手段)
611…スリップ閾値算出部
612…スリップ判定部
91…車輪速センサ
92…アクセル開度センサ
93…エンジン回転数センサ
94…モータ電流センサ
95…横Gセンサ
96…車速センサ
97…舵角センサ
98…ヨーレートセンサ
Claims (3)
- 車両の前輪を後輪とは別個独立に駆動する前輪駆動装置と、
前記前輪駆動装置を制御し、前記前輪の駆動状態を制御する制御装置と、を備える車両駆動システムであって、
前記車両駆動システムは、
前記前輪の回転状態量を取得する前輪回転状態量取得手段と、
前記前輪の回転状態量に基づいて、前記前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する超過スリップ取得手段と、
前記超過スリップ取得手段により前記超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪の駆動状態を制御して前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出す超過スリップ抑制手段と、を備え、
前記超過スリップ抑制手段は、推定される前輪のトルクである前輪推定トルク又は該前輪推定トルクに相関のある値である前輪推定トルク相関値が大きくなるにつれて前記前輪の超過スリップがより抑制されるように前記制御装置に指示を出す車両駆動システム。 - 前記超過スリップ抑制手段は、前記超過スリップ取得手段により前記超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪推定トルク又は前記前輪推定トルク相関値とトルク閾値とを比較し、該比較の結果、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値以下の場合には第1の制御量で前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出し、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値を超えている場合には前記第1の制御量よりも多い制御量である第2の制御量で前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出す請求項1に記載の車両駆動システム。
- 前記超過スリップ抑制手段は、前記前輪推定トルク又は前記前輪推定トルク相関値とトルク閾値との比較である第1の比較をし、該第1の比較の結果、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値以下の場合にはスリップ閾値として第1のスリップ閾値を設定し、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値を超えている場合には前記スリップ閾値として第1のスリップ閾値よりも低い閾値である第2のスリップ閾値を設定し、
前記超過スリップ取得手段は、前輪車輪速と、前記超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値との比較である第2の比較をし、該第2の比較の結果、前記前輪車輪速が前記超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値を超えていたならば前記前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する請求項1に記載の車両駆動システム。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2018062230A true JP2018062230A (ja) | 2018-04-19 |
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Family Applications (1)
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JP2016200896A Pending JP2018062230A (ja) | 2016-10-12 | 2016-10-12 | 車両駆動システム |
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-
2016
- 2016-10-12 JP JP2016200896A patent/JP2018062230A/ja active Pending
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