JP2018062230A - 車両駆動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】スリップ発生時に、車両の駆動状態をより適切に制御する車両駆動システムを提供する。【解決手段】車両駆動システム10は、前輪の駆動状態を制御するECU6と、スリップ取得部61と、前輪回転状態量取得部62と、後輪回転状態量取得部63と、FrTCS64を備え、スリップ取得部61は、前輪Wf(RWf,LWf)の回転状態量に基づいて、前輪Wf(RWf,LWf)に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得し、FrTCS64は、超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪の駆動状態を制御して前記前輪の超過スリップを抑制するようにECU6に対して指示を出し、この際に、推定される前輪のトルクである前輪推定トルク又は該前輪推定トルクに相関のある値である前輪推定トルク相関値が大きくなるにつれて前記前輪の超過スリップがより抑制されるようにECU6に指示を出す。【選択図】図6

Description

本発明は、車両駆動システムに関する。詳しくは、スリップ発生時に車両の駆動状態を制御する車両駆動システムに関する。
従来、前輪又は後輪に超過スリップが発生したときに2輪(前輪又は後輪)駆動状態(以下、「2WD」という。)から4輪(前後輪)駆動状態(以下、「AWD」という。)への切り替えを行い、スリップ状態の解消時点から予め定めた4輪駆動継続時間が経過するまでの間、AWDを継続する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に開示された技術では、2WD及びAWDの両状態において、前輪と後輪との車輪速差に基づいて超過スリップの発生の有無やスリップ量(超過スリップの大きさ、度合)を判定し、その判定結果に応じて4輪駆動継続時間を補正する。
また、特許文献2には、特許文献1に開示された超過スリップの発生の有無やスリップ量の判定の方法を改善し、より正確な判定を行うための技術が開示されている。
特開2008−120119号公報 特開2015−150931号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示の技術には、未だ改善の余地があると考えられる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、スリップ発生時に、車両の駆動状態をより適切に制御する車両駆動システムを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、車両(例えば、後述の車両3)の前輪(例えば、後述の前輪Wf(RWf,LWf))を後輪(例えば、後述の後輪Wr(RWr,LWr))とは別個独立に駆動する前輪駆動装置(例えば、後述の第1駆動装置1)と、前記前輪駆動装置を制御し、前記前輪の駆動状態を制御する制御装置(例えば、後述のECU6)と、を備える車両駆動システム(例えば、後述の車両駆動システム10)であって、前記車両駆動システムは、前記前輪の回転状態量を取得する前輪回転状態量取得手段(例えば、後述の前輪回転状態量取得部62)と、前記前輪の回転状態量に基づいて、前記前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する超過スリップ取得手段(例えば、後述のスリップ取得部61)と、前記超過スリップ取得手段により前記超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪の駆動状態を制御して前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出す超過スリップ抑制手段(例えば、後述のFrTCS64)と、を備え、前記超過スリップ抑制手段は、推定される前輪のトルクである前輪推定トルク又は該前輪推定トルクに相関のある値である前輪推定トルク相関値が大きくなるにつれて前記前輪の超過スリップがより抑制されるように前記制御装置に指示を出す。
本発明では、超過スリップ抑制手段は、推定される前輪のトルクである前輪推定トルク又は該前輪推定トルクに相関のある値である前輪推定トルク相関値が大きくなるにつれて前記前輪の超過スリップがより抑制されるように前記制御装置に指示を出す。
これにより、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値に応じて、前輪Wf(RWf,LWf)空転量を制限して超過スリップを抑制することで、AWDでの駆動時や、前輪駆動時における、ドライバの直感的な運転感覚を向上させることが可能となる。特に、登坂時におけるドライバの直感的な運転感覚を向上させることが可能となる。
前記超過スリップ抑制手段は、前記超過スリップ取得手段により前記超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪推定トルク又は前記前輪推定トルク相関値とトルク閾値とを比較し、該比較の結果、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値以下の場合には第1の制御量で前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出し、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値を超えている場合には前記第1の制御量よりも多い制御量である第2の制御量で前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出すことが好ましい。
本発明では、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が大きい場合に超過スリップが発生した場合には、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が小さい場合よりも制御量を多くすることから、指令トルクを大きく変化させることが可能となる。前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が大きくなるまで超過スリップが発生していないということは、現在走行中の路面が舗装路であったり路面が乾いていたりする高μ状態である可能性が高い。このような場合に、指令トルクを大きく変化させることにより前輪の空転量を積極的に抑えて超過スリップを抑制することにより登坂性能を確保することができる。
また、本発明では、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が小さい場合に超過スリップが発生した場合には、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が大きい場合よりも制御量を少なくすることから、指令トルクを小さく変化させることが可能となる。前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が小さいにも関わらず超過スリップが発生したということは、現在走行中の路面が未舗装路であったり路面が濡れていたりして低μ状態である可能性が高い。このような場合に、指令トルクを小さく変化させることにより、あえて前輪の空転を助長させ、これによりドライバに路面が低μ状態であることを認識させることができる。すると、ドライバは自身がアクセルを踏みすぎていることが認識できるので、アクセルの踏み込みを緩める。結果として、路面が低μ状態である場合に、より安全な運転を行うことができる。
前記超過スリップ抑制手段は、前記前輪推定トルク又は前記前輪推定トルク相関値とトルク閾値との比較である第1の比較をし、該第1の比較の結果、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値以下の場合にはスリップ閾値として第1のスリップ閾値を設定し、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値を超えている場合には前記スリップ閾値として第1のスリップ閾値よりも低い閾値である第2のスリップ閾値を設定し、前記超過スリップ取得手段は、前輪車輪速と、前記超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値との比較である第2の比較をし、該第2の比較の結果、前記前輪車輪速が前記超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値を超えていたならば前記前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得することが好ましい。
本発明では、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が大きい場合に超過スリップが発生したか否かを判定するためのスリップ閾値を低くできる。そのため、前輪車輪速が低い場合にもスリップ閾値を超えることとなる。すなわち、前輪車輪速が上昇する過程の早い段階で超過スリップの発生を取得でき、これに伴い、早い段階で前輪の空転量を抑制することが可能となる。前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が大きくなるということは、現在走行中の路面が舗装路であったり路面が乾いていたりする高μ状態である可能性が高い。このような場合に、指令トルクを大きく変化させることにより前輪の空転量を積極的に抑えて超過スリップを抑制することにより登坂性能を確保することができる。
また、本発明では、前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が小さい場合に超過スリップが発生したか否かを判定するためのスリップ閾値を高くできる。そのため、前輪車輪速が高い場合にもスリップ閾値を超えにくくなる。すなわち、前輪車輪速が上昇する過程の遅い段階で超過スリップの発生を取得することになり、これに伴い、前輪の空転をあえて助長することが可能となる。前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が小さいということは、現在走行中の路面が未舗装路であったり路面が濡れていたりして低μ状態である可能性が高い。このような場合に、指令トルクを小さく変化させることにより、あえて前輪の空転を助長させ、これによりドライバに路面が低μ状態であることを認識させることができる。すると、ドライバは自身がアクセルを踏みすぎていることが認識できるので、アクセルの踏み込みを緩める。結果として、路面が低μ状態である場合に、より安全な運転を行うことができる。
本発明によれば、スリップ発生時に、車両の駆動状態をより適切に制御する車両駆動システムを提供できる。
本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る車両駆動システムを搭載した車両を示す図である。 上記第1実施形態及び第2実施形態に係る車両の走行状態における電動機の状態と切離機構の状態を示す図である。 上記第1実施形態及び第2実施形態に係るECUの構成を示す機能ブロック図である。 上記第1実施形態及び第2実施形態に係るスリップ取得部の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の第1実施形態に係るトラクションコントロールの手順を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係るトラクションコントロールを行った場合の車両の駆動状態を示すタイミングチャートである。 本発明の第2実施形態に係るトラクションコントロールの手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係るトラクションコントロールを行った場合の車両の駆動状態を示すタイミングチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両駆動システム10を搭載した車両を示す図である。
本実施形態に係る車両駆動システム10を搭載した車両3は、ハイブリッド車両である。図1に示すように、車両3に搭載された車両駆動システム10は、第1駆動装置1と、第2駆動装置2と、これらの第1駆動装置1,第2駆動装置2を制御する制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)6と、PDU(パワードライブユニット)8と、バッテリ9と、を備える。
ここで、第1駆動装置1と第2駆動装置2とは、別個独立に駆動され、且つ、機械的に接続されていない状態である。すなわち、第1駆動装置1と第2駆動装置2とは、機械的に独立状態である。
第1駆動装置1は、車両3の前部に設けられ、第1駆動輪としての前輪Wf(RWf,LWf)を駆動する。第1駆動装置1は、内燃機関(ENG)4と、電動機5と、トランスミッション7と、を有する。内燃機関4と電動機5とは、直列に接続されており、これら内燃機関4と電動機5とのトルクが、トランスミッション7を介して前輪Wf(RWf,LWf)に伝達される。
内燃機関4は、例えば直列4気筒エンジンであり、燃料を燃焼させることでハイブリッド車両3を走行させるためのトルクを発生する。内燃機関4のクランクシャフトは、電動機5の出力軸に連結されている。
電動機5は、例えば3相交流モータであり、バッテリ9に蓄えられた電力により、車両3を走行させるためのトルクを発生する。電動機5は、インバータを搭載したPDU8を介してバッテリ9に接続されており、内燃機関4の駆動力をアシストする。
トランスミッション7は、内燃機関4で発生したトルクを所望の変速比での回転数及びトルクに変換し、前輪Wf(RWf,LWf)に伝達する。
第2駆動装置2は、車両3の後部に設けられ、第2駆動輪としての後輪Wr(RWr,LWr)を駆動する。第2駆動装置2は、電動機2A,2Bを有する。これら電動機2A,2Bのトルクが、後輪Wr(RWr,LWr)に伝達される。
電動機2A,2Bは、電動機5と同様に、例えば3相交流モータであり、バッテリ9に蓄えられた電力により、車両3を走行させるためのトルクを発生する。また、電動機2A,2Bは、インバータを備えるPDU8を介してバッテリ9に接続されており、ECU6からの制御信号がPDU8に入力されることで、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が制御される。
なお、前輪Wf(RWf,LWf)、後輪Wr(RWr,LWr)の4つ各々には、図示しない摩擦ブレーキが設けられている。この摩擦ブレーキは、例えば、油圧式のディスクブレーキ(以下、「油圧ブレーキ」という。)等から構成される。運転手がブレーキペダルを踏み込むと、踏込力が油圧シリンダ等を介してブレーキパッドに増幅して伝達され、各駆動輪に取り付けられているブレーキディスクとブレーキパッドとの間に摩擦力が生じることで、各駆動輪の制動が行われる。
以上の構成を備えた第2駆動装置2の通常走行時の動作について説明する。
図2は、車両の走行状態における電動機2A,2Bの状態と切離機構(一方向クラッチと油圧ブレーキ)の状態を示す図である。
図2におけるフロントが前輪Wf(RWf,LWf)を駆動する第1駆動装置1を表し、リアが後輪Wr(RWr,LWr)を駆動する第2駆動装置2を表し、○が作動(駆動、回生含む)を意味し、×が非作動(停止)を意味する。また、MOT状態が第2駆動装置2の電動機2A,2Bの状態を表す。切離機構のONが、電動機2A,2Bと後輪RWr,LWrを接続することによりMOT駆動状態又はMOT回生状態とするための2つのリングギヤ同士がロック(係合)されることを意味する。OFFが、この2つのリングギヤそれぞれがフリー状態となりであることを意味する。また、OWCがこの2つのリングギヤの状態を切り替える一方向クラッチの状態を意味し、BRKが油圧ブレーキを意味する。
先ず、停車中は、前輪Wf(RWf,LWf)側の第1駆動装置1、後輪Wr(RWr,LWr)側の第2駆動装置2が何れも停止しているため、電動機2A,2Bが停止し、切離機構も非作動状態となっている。
次いで、キーポジションをONにした後、EV発進時は、第2駆動装置2の電動機2A,2Bが駆動する。このとき、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
続いて加速時には、第1駆動装置1と第2駆動装置2との何れも駆動する双方輪(4輪)駆動状態(AWD)となり、このときも、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr、LWrに伝達される。
低・中速域のEVクルーズでは、モータ効率が良いため第1駆動装置1が非作動状態で、第2駆動装置2のみが駆動する後輪単独駆動状態(RWD)となる。このときも、切離機構は一方向クラッチによってONとなり、電動機2A,2Bの動力が後輪RWr,LWrに伝達される。
一方、高速域の高速クルーズでは、エンジン効率が良いため第1駆動装置1による前輪単独駆動状態(FWD)となる。このとき、切離機構は、一方向クラッチが切離されてOFFとなり(OWCフリー)、油圧ブレーキが作動せず、電動機2A,2Bは停止する。
また、自然減速する場合も、切離機構は、一方向クラッチが切離されてOFFとなり(OWCフリー)、油圧ブレーキが作動せず、電動機2A,2Bが停止する。
一方、減速回生する場合、例えば第1駆動装置1の駆動力により駆動する場合、切離機構の一方向クラッチが切離されてOFFとなる(OWCフリー)。しかし、油圧ブレーキが締結され、後輪Wr(RWr,LWr)それぞれに駆動力を伝えるための出力軸の動力が、電動機2A,2Bそれぞれの動力を伝えるための円筒軸に伝達されることで、電動機2A,2Bで回生充電がなされる。
通常走行では、摩擦ブレーキに対する制動制御と協調して電動機2A,2Bで回生して走行エネルギーを回収するが、緊急制動の要求(例えば、ABS作動時)には、電動機2A,2Bの回生を禁止して、摩擦ブレーキによる制動制御を優先する。この場合、一方向クラッチが切離されたOFF状態(OWCフリー)となり、油圧ブレーキが作動しないことで、電動機2A,2Bを停止させる。
後進走行の場合、第1駆動装置1が停止し、第2駆動装置2が駆動してRWDとなるか、或いは第1駆動装置1と第2駆動装置2との何れも駆動するAWDとなる。このとき、電動機2A,2Bが逆転方向に回転し、切離機構の一方向クラッチが切離されてOFFとなる(OWCフリー)。しかし、油圧ブレーキが接続されることで、電動機2A,2Bの動力が、電動機2A,2Bそれぞれの動力を伝えるための円筒軸から後輪Wr(RWr,LWr)それぞれに駆動力を伝えるための出力軸を介して後輪RWr,LWrに伝達される。
次に、本実施形態に係る制御装置としてのECU6の構成について説明する。
ECU6は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下、「CPU」という。)と、を備える。この他、ECU6は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、PDU8や内燃機関4等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
以上のようなハードウェア構成からなるECU6は、上記の各種演算プログラムに基づいた演算処理を行い、演算結果に応じた制御信号を出力することにより、PDU8や内燃機関4等を制御することにより、以下に説明する処理を行う。
次に、図3を参照してECU6についてより詳細に説明をする。ここで、図3は、本実施形態に係るECU6の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、ECU6には、車輪速センサ91、アクセル開度センサ92、エンジン回転数センサ93、モータ電流センサ94、横Gセンサ95、車速センサ96、舵角センサ97及びヨーレートセンサ98等の各種センサの検出信号が入力される。また一方で、図3に示すように、ECU6は、PDU8及び内燃機関(ENG)4に制御信号を出力する。
更に、ECU6は、本実施形態特有のトラクションコントロールを実行するためのモジュールとして、スリップ取得部61と、前輪回転状態量取得部62と、後輪回転状態量取得部63と、トラクションコントロールシステム(以下、「FrTCS」という。)64、を備える。以下、これら各モジュールの機能について説明する。
スリップ取得部61は、第1駆動輪としての前輪Wf(RWf,LWf)に、所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する。スリップ取得部61は、前輪Wf(RWf,LWf)に超過スリップが発生したことを取得したときはスリップ判定フラグを「1」に設定し、前輪Wf(RWf,LWf)に超過スリップが発生したことを取得していないときはスリップ判定フラグを「0」に設定する。
ここで、車両3は、高μ状態の乾燥路においても常に駆動輪に微小なスリップを発生させながら走行しているとみなすこともできる。ただし、このようにみなしてしまうと、常時スリップ判定フラグが「1」に設定され、駆動状況に応じた制御をすることができない。そこで、本実施形態における「超過スリップ」とは、このような微小なスリップを除外するものである。以下、超過スリップの発生を、単にスリップの発生ともいう。
次に図4を参照してスリップ取得部61の構成を説明する。ここで、図4は、本実施形態に係るスリップ取得部61の構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、スリップ取得部61は、スリップ閾値算出部611及びスリップ判定部612を備える。
また、図4に示すように、前輪回転状態量取得部62からの左右の前輪車輪速のうち何れか大きい方である最大前輪車輪速VFr(max)が、スリップ判定部612に入力される。
更に、図4に示すように、前輪回転状態量取得部62からの左右の平均前輪車輪速VFr(ave)及び後輪回転状態量取得部63からの左右の平均後輪車輪速VRr(ave)が、スリップ閾値算出部611に入力される。
なお、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)は、前輪又は後輪の左右車輪の、平均前輪車輪速VFr(ave)=(VFr(右)+VFr(左))/2,平均後輪車輪速VRr(ave)=(VRr(右)+VRr(左))/2から導出される。
スリップ閾値算出部611は、超過スリップが発生したか否かを判定するためのスリップ閾値を算出する。具体的には、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)から想定される「速度基準車輪速」をスリップ閾値とする。例えば、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)を平均した値が、おおむね各車輪の車輪速と考えられる。
ただし、当然のことながら超過スリップが発生していないとしても各車輪の車輪速は均等ではなく多少のばらつきがある。そこで、このばらつきを考慮して、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)を平均した値よりも大きい値を速度基準車輪速とする。例えば、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)を平均した値に1.2を乗算した値を速度基準車輪速とする。算出したスリップ閾値はスリップ判定部612に出力される。
なお、スリップ閾値は、各車輪の現在の車輪速に基づいて算出すべきものであるので、スリップ閾値算出部611は、一度スリップ閾値を算出した後も、周期的にスリップ閾値の算出を行う。
スリップ判定部612は、前輪回転状態量取得部62から入力される最大前輪車輪速VFr(max)と、スリップ閾値算出部611から入力されるスリップ閾値とを比較する。そして、比較の結果、最大前輪車輪速VFr(max)がスリップ閾値以下であれば、超過スリップを取得していないものとしてスリップ判定フラグを「0」に設定する。一方で、比較の結果、最大前輪車輪速VFr(max)がスリップ閾値を超えているのであれば、超過スリップを取得したものとしてスリップ判定フラグを「1」に設定する。
つまり、本実施形態では、左右の前輪の何れの車輪速も、スリップ閾値を超えていないのであれば、何れの前輪も他の車輪と同様に回転しているので超過スリップしていないと判定し、超過スリップが発生したことを取得しない。
一方で、左右の前輪の何れかの車輪速が、他の車輪の車輪速も含めて考慮されるスリップ閾値を超えているのであれば、この何れかの前輪が他の車輪と比べて異常に回転しているので超過スリップしていると判定し、超過スリップが発生したことを取得する。
前輪回転状態量取得部62は、車輪速センサ91の検出信号から左右の前輪の車輪速等の前輪回転状態量を取得する。すなわち、前輪回転状態量取得部62は、左右の最大前輪車輪速VFr(max)及び左右の平均前輪車輪速VFr(ave)を取得する。
なお、前輪回転状態量取得部62は、エンジン回転数センサ93の検出信号であるエンジン回転数から換算して前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速を取得してもよい。また、前輪回転状態量取得部62は、場合によって搭載される前輪回転角速度センサの検出信号から前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速を取得してもよい。また、前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速以外に、前輪Wf(RWf,LWf)の回転状態量を取得してもよい。
後輪回転状態量取得部63は、車輪速センサ91の検出信号から左右の後輪Wr(RWr,LWr)の車輪速等の後輪回転状態量を取得する。すなわち、後輪回転状態量取得部63は、左右の平均後輪車輪速VRr(ave)を取得する。
なお、後輪回転状態量取得部63は、モータ電流センサ94の検出信号から算出されるモータ回転数から換算して後輪Wr(RWr,LWr)の車輪速を取得してもよい。また、後輪回転状態量取得部63は、場合によって搭載される後輪回転角速度センサの検出信号から前輪Wf(RWf,LWf)の車輪速を取得してもよい。また、後輪Wr(RWr,LWr)の車輪速以外に、後輪Wr(RWr,LWr)の回転状態量を取得してもよい。
FrTCS64は、本実施形態特有のトラクションコントロールを行う部分である。FrTCS64は、前輪Wf(RWf,LWf)の車輪回転数に基づいて、内燃機関4や電動機5により発生する前輪Wf(RWf,LWf)駆動用のトルクを制御することによって、前輪Wf(RWf,LWf)の回転状態を制御する。
具体的には、FrTCS64は、スリップ判定フラグが「0」に設定されている場合(すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得していない場合)には、アクセルを操作するドライバが要求する駆動力に対応するトルク(以下「ドライバ要求トルク」という。)を満たすように、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5に指令トルクを出力させる。ドライバ要求トルクは、アクセル開度センサ82から入力される現在のアクセル開度に基づいて算出することができる。
一方で、FrTCS64は、スリップ判定フラグが「1」に設定されている場合(すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得している場合)には、超過スリップが発生した前輪Wf(RWf,LWf)に接続される内燃機関4や電動機5の指令トルクを、ドライバ要求トルクとするのではなく、トルク閾値と現在の前輪推定トルクとに基づいて決定したトルクとする。
ここで、前輪推定トルクは、例えばエンジン回転数センサ93から入力される現在のエンジンの回転速度に基づいて推定することができる。また、他にも例えばクランクシャフトの角速度を測定し、このクランクシャフトの角速度に基づいて前輪推定トルクを推定するようにしてもよい。
また、前輪推定トルクに代えて前輪推定トルクに相関のある値である前輪推定トルク相関値を用いるようにしてもよい。前輪推定トルク相関値とは、例えば、アクセル開度センサ82から入力される、ドライバが要求する駆動力に対応した現在のアクセル開度を表す値である。以下では、前輪推定トルクと、前輪推定トルク相関値とをまとめて「前輪推定トルク」と呼ぶ。
そして、FrTCS64は、この前輪推定トルクと、予め設定しておくトルク閾値とを比較する。そして、比較の結果、前輪推定トルクがトルク閾値以下であれば、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5への指令トルクを変化量△1だけ変化させる。一方で、前輪推定トルクがトルク閾値を超えているのであれば、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5への指令トルクをドライバ要求トルクから変化量△2だけ変化させる。
変化量△1及び変化量△2は、それぞれ負の数に設定される。つまり、指令トルクは変化量△1又は変化量△2の分だけ減少する。これは、変化量△1及び変化量△2は、指令トルクを制御する制御量であることを意味する。
ここで、“変化量△1<変化量△2”の関係であるとする。つまり、本実施形態では、トルク閾値を基準として、前輪推定トルクが大きいか、それとも小さいかを判定し、前輪推定トルクが大きい場合に、前輪推定トルクが小さい場合よりも指令トルクを大きく変化させる。
なお、このようにドライバ要求トルクから、負の数である変化量△1や変化量△2を減算させるようにしてもよいが、変化量△1及び変化量△2を1未満の値として、ドライバ要求トルクと変化量△1や変化量△2とを乗算するようにしてもよい。この場合には、例えば変化量△1を0.3とし、変化量△2を0.1といった値とするとよい。
本実施形態で、このような制御を行う理由について説明をする。本実施形態では、前輪推定トルクに応じて、前輪Wf(RWf,LWf)空転量を制限して超過スリップを抑制することで、AWDでの駆動時や、前輪駆動時における、ドライバの直感的な運転感覚を向上させる。特に、登坂時におけるドライバの直感的な運転感覚を向上させる。
そのために、上述したように、前輪推定トルクが大きい場合に超過スリップが発生した場合には、前輪推定トルクが小さい場合よりも指令トルクを大きく変化させる。その理由であるが、前輪推定トルクが大きくなるまで超過スリップが発生していないということは、現在走行中の路面が舗装路であったり路面が乾いていたりする高μ状態である可能性が高い。このような場合に、指令トルクを大きく変化させることにより前輪の空転量を積極的に抑えて超過スリップを抑制することにより登坂性能を確保することができる。
一方で、前輪推定トルクが小さい場合に超過スリップが発生した場合には、前輪推定トルクが大きい場合よりも指令トルクを小さく変化させる。その理由であるが、前輪推定トルクが小さいにも関わらず超過スリップが発生したということは、現在走行中の路面が未舗装路であったり路面が濡れていたりして低μ状態である可能性が高い。このような場合に、指令トルクを小さく変化させることにより、あえて前輪の空転を助長させ、これによりドライバに路面が低μ状態であることを認識させることができる。すると、ドライバは自身がアクセルを踏みすぎていることが認識できるので、アクセルの踏み込みを緩める。結果として、路面が低μ状態である場合に、より安全な運転を行うことができる。
このように、本実施形態では、前輪推定トルクに基づいて路面状態を考慮することにより、路面状態に応じた制御を実現することができ、ドライバの直感的な運転感覚を向上させることが可能となる。なお、FrTCS64は、上記トラクションコントロール制御を、力行駆動及び回生駆動の両方で実施する。
また、このようなトラクションコントロール制御により、最大前輪車輪速VFr(max)がスリップ閾値以下になったことをスリップ判定部612が再取得した場合には、前輪Wf(RWf,LWf)の超過スリップが収まったこととなる。そのため、FrTCS64は、ドライバ要求トルクを満たすように、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5に指令トルクを出力させる。すなわち、指令トルクをドライバ要求トルクに基づいたトルクそのものとする。
次に、図5及び図6を参照して、トラクションコントロール時の動作についてより詳細に説明を行う。
ここで、図5は、本実施形態に係るトラクションコントロールの手順を示すフローチャートである。また、図6は、本実施形態に係るトラクションコントロールを行った場合の車両の駆動状態を示すタイミングチャートである。
まず、図5を参照すると、FrTCS64は、スリップ判定フラグに「1」が設定されているか否かを判定する(ステップS11)。すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得しているか否かを判定する。
ここで、スリップ判定フラグに「1」が設定されておらず「0」が設定されている場合には(ステップS11にてNo)、車両3は平常通りに走行しているので、特にトラクションコントロールを行わない。そのため、FrTCS64は、アクセル開度センサ82から入力される現在のアクセル開度に対応する「ドライバ要求トルク」を満たすように、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5に指令トルクを出力させる(ステップS12)。そして、再度ステップS11からの処理を繰り返す。
一方で、スリップ判定フラグに「1」が設定されている場合には(ステップS11にてYes)、超過スリップが発生しているので、トラクションコントロールを実行するためにステップS13に進む。
ステップS13では、FrTCS64は、前輪推定トルクと、予め設定しておくトルク閾値とを比較する。そして、比較の結果、前輪推定トルクがトルク閾値以下であれば(ステップS13にてNo)ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5への指令トルクを変化量△1だけ変化させる(ステップS14)。
一方で、前輪推定トルクがトルク閾値を超えているのであれば(ステップS13にてYes)、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5への指令トルクをドライバ要求トルクから変化量△2だけ変化させる(ステップS15)。
上述したように、“変化量△1<変化量△2”の関係である。つまり、本実施形態では、トルク閾値を基準として、前輪推定トルクが大きいか、それとも小さいかを判定し、前輪推定トルクが大きい場合に、前輪推定トルクが小さい場合よりも指令トルクを大きく変化させる。そして、再度ステップS11からの処理を繰り返す。
次に、図5を参照して説明をする。図5には、3つのタイミングチャートを示す。具体的には、上から順に、「前輪車輪速とスリップ閾値との関係を表すタイミングチャート」、「前輪推定トルクとトルク閾値との関係を表すタイミングチャート」、「前輪指令トルクと、ドライバ要求トルクとの関係を表すタイミングチャート」を示す。
それぞれのタイミングチャートでは、前輪推定トルクが小さい場合について一点鎖線で示す。また、前輪推定トルクが大きい場合について実線で示す。更に、スリップ閾値、トルク閾値及びドライバ要求トルクについては破線で示す。
まず、前輪車輪速が閾値以下であるので、トラクションコントロールは行われず、ドライバ要求トルクがそのまま指令トルクとして出力される(図5のステップS11にてNo、ステップS12の処理に相当)。
ドライバ要求トルクでの走行を継続していると、これに伴い車両3が加速していくので前輪車輪速の値が上昇していく。そして、時刻t11の時点で、前輪車輪速がスリップ閾値を超える(図5のステップS11にてYesに相当)。
ここで、前輪推定トルクが小さい場合(図5のステップS13にてYesに相当)。図6の下段に示すように、ドライバ要求トルクから変化量△1の分だけ減算された指令トルクにより走行する(図5のステップS14に相当)。このように、指令トルクを小さく変化させることにより、あえて前輪の空転を助長させ、これによりドライバに路面が低μ状態であることを認識させることができる。
一方で、前輪推定トルクが大きい場合(図5のステップS13にてNoに相当)。図6の下段に示すように、ドライバ要求トルクから変化量△1よりも大きい変化量△2の分だけ減算された指令トルクにより走行する(図5のステップS15に相当)。このように、指令トルクを大きく変化させることにより前輪の空転量を積極的に抑えて超過スリップを抑制することにより登坂性能を確保することができる。
何れの場合であっても、かかるトラクションコントロールにより、前輪の空転量を抑制することができ、これに伴い前輪車輪速の値は低下していく。そして、時刻t22の時点で、前輪車輪速が閾値以下となり、トラクションコントロールは終了し、ドライバ要求トルクがそのまま指令トルクとして出力される(図5のステップS11にてNo、ステップS12の処理に相当)。
このように、本実施形態では、前輪推定トルクに応じて、変化量△1と、変化量△1よりも制御量の多い変化量△2とを選択して利用する。つまり、前輪推定トルクが大きくなるにつれて、指令トルクを大きく変化させて前輪の空転量がより抑制されるようにする。
仮に、このように制御量を調整しなかった場合には、特に前輪推定トルクが大きい場合に、前輪車輪速がスリップ閾値を大きく上回り、いわばオーバーシュートすることになるが、制御量を調整することにより、オーバーシュートの発生を防止することが可能となる。
なお、上述の説明では、変化量△2は変化量△1よりも制御量が多いという表現を用いて説明をしたが、これは言い換えると、変化量△2は変化量△1よりもトルクを絞る絞り量下限値が低いと表現することもできる。
以上説明した本実施形態によれば、車両3前輪Wf(RWf,LWf)を後輪Wr(RWr,LWr)とは別個独立に駆動する第1駆動装置1と、前記前輪駆動装置を制御し、前記前輪の駆動状態を制御するECU6と、を備える車両駆動システム10であって、前記車両駆動システムは、前記前輪の回転状態量を取得する前輪回転状態量取得部62と、前記前輪の回転状態量に基づいて、前記前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得するスリップ取得部61と、前記超過スリップ取得手段により前記超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪の駆動状態を制御して前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出すFrTCS64と、を備え、前記超過スリップ抑制手段は、推定される前輪のトルクである前輪推定トルクが大きくなるにつれて前記前輪の超過スリップがより抑制されるように前記制御装置に指示を出す。
これにより、本実施形態では、前輪推定トルクに応じて、前輪Wf(RWf,LWf)空転量を制限して超過スリップを抑制することで、AWDでの駆動時や、前輪駆動時における、ドライバの直感的な運転感覚を向上させることが可能となる。特に、登坂時におけるドライバの直感的な運転感覚を向上させることが可能となる。
[第2実施形態]
次に、上述した第1実施形態を変形した第2実施形態について説明をする。ここで、第2実施形態の基本的構成は、第1実施形態と同様である。例えば、図1、図3及び図4を参照して説明した構成や、図2を参照して説明した駆動状態の切り替えについては、第2実施形態と第1実施形態とで共通である。そこで、以下ではこれらの共通する点についての説明は省略し、第1実施形態との相違点であるトラクションコントロールの内容について詳細に説明をする。
まず、第2実施形態でのトラクションコントロールの概略について説明をする。第1実施形態では、前輪推定トルクに応じて、指令トルクの制御量を異ならせていた。一方で、第2実施形態では、指令トルクの制御量は前輪推定トルクに関わらず一律とするが、それに代えて、前輪推定トルクに応じてスリップ閾値を異ならせる。具体的には、前輪推定トルクが大きい場合には、スリップ閾値を低くすることにより、超過スリップの発生を取得しやすくする。これにより、前輪車輪速が上昇してきた場合に、早い段階でトラクションコントロールによる指令トルクの制御を開始することができる。
次に、図7及び図8を参照して、トラクションコントロール時の動作についてより詳細に説明を行う。
ここで、図7は、本実施形態に係るトラクションコントロールの手順を示すフローチャートである。また、図8は、本実施形態に係るトラクションコントロールを行った場合の車両の駆動状態を示すタイミングチャートである。
まず、図7を参照すると、FrTCS64は、前輪推定トルクと、予め設定しておくトルク閾値とを比較する(ステップS21)。そして、比較の結果、前輪推定トルクがトルク閾値以下であれば(ステップS21にてNo)、ステップS22に進む。一方で、前輪推定トルクがトルク閾値を超えているのであれば(ステップS21にてYes)、ステップS25に進む。
そして、ステップS22では、FrTCS64は、スリップ閾値を第1スリップ閾値に設定するようにスリップ取得部61に指示を出す。一方で、ステップS25では、FrTCS64は、スリップ閾値を第2スリップ閾値に設定するようにスリップ取得部61に指示を出す。
すると、スリップ取得部61のスリップ閾値算出部611は、超過スリップが発生したか否かを判定するためのスリップ閾値として第1スリップ閾値又は第2スリップ閾値を設定する。ここで、第1スリップ閾値と、第2スリップ閾値は、“第1スリップ閾値>第2スリップ閾値”の関係である。つまり、本実施形態の説明の冒頭で述べたように、前輪推定トルクが大きい場合には、スリップ閾値を低くする。
例えば、第1実施形態では、平均前輪車輪速VFr(ave)及び平均後輪車輪速VRr(ave)から想定される「速度基準車輪速」をスリップ閾値としていた。そこで、本実施形態では、例えば「速度基準車輪速」を第1スリップ閾値とし、これよりも所定の値だけ低い値を第2スリップ閾値とする。
スリップ閾値算出部611は、FrTCS64からの指示に応じて第1スリップ閾値又は第2スリップ閾値を算出し、算出したスリップ閾値をスリップ判定部612に出力する。
そして、ステップS23に進んでいる場合にはスリップ判定部612は、前輪車輪速が、第1スリップ閾値を超えているか否かを判定する(ステップS23)。また、ステップS25に進んでいる場合にはスリップ判定部612は、前輪車輪速が、第2スリップ閾値を超えているか否かを判定する(ステップS26)。
何れの場合であっても、前輪車輪速が、比較対象としたスリップ閾値以下なのであれば(ステップS23にてNo、ステップS26にてNo)、スリップ判定部612は、スリップ判定フラグに「0」を設定する。すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得しない。
この場合、車両3は平常通りに走行しているので、特にトラクションコントロールを行わない。そのため、スリップ判定フラグに「0」を確認したFrTCS64は、ドライバ要求トルクを満たすように、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5に指令トルクを出力させる(ステップS24)。すなわち、指令トルクをドライバ要求トルクに基づいたトルクそのものとする。そして、再度ステップS11からの処理を繰り返す。
一方で、前輪車輪速が、比較対象としたスリップ閾値を超えているのであれば(ステップS23にてYes、ステップS26にてYes)、スリップ判定部612は、スリップ判定フラグに「1」を設定する。すなわち、スリップ判定部612が超過スリップを取得する。
この場合、FrTCS64は、ECU6に指示を出すことにより、ECU6から内燃機関4や電動機5への指令トルクを変化量△3だけ変化させる(ステップS27)。ここで、変化量△3と呼んでおり、変化量△3を変化量△1や変化量△2とは区別しているが、変化量△3の変化量を変化量△1又は変化量△2と同じ変化量とするようにしてもよい。そして、再度ステップS11からの処理を繰り返す。
次に、図7を参照して説明をする。図7には、図6と同様の3つのタイミングチャートを示す。具体的には、上から順に、「前輪車輪速とスリップ閾値との関係を表すタイミングチャート」、「前輪推定トルクとトルク閾値との関係を表すタイミングチャート」、「前輪指令トルクと、ドライバ要求トルクとの関係を表すタイミングチャート」を示す。
それぞれのタイミングチャートでは、前輪推定トルクが小さい場合について一点鎖線で示す。また、前輪推定トルクが大きい場合について実線で示す。更に、スリップ閾値、トルク閾値及びドライバ要求トルクについては破線で示す。特にスリップ閾値については、第1スリップ閾値については線上に○を付し、第2スリップ閾値については線上に△を付す。
まず、前輪車輪速が閾値以下であるので、トラクションコントロールは行われず、ドライバ要求トルクがそのまま指令トルクとして出力される(図7のステップS23やステップS26にてNo、ステップS24の処理に相当)。
ドライバ要求トルクでの走行を継続していると、これに伴い車両3が加速していくので前輪車輪速の値が上昇していく。そして、図8の上段のタイミングチャートに示すように、時刻t22よりも前の段階で、前輪推定トルクが大きい場合については、トルク閾値を超えるので、第2スリップ閾値が設定される(ステップS21にてYes、ステップS25)。一方で、前輪推定トルクが小さい場合については、トルク閾値以下なので、第1スリップ閾値が設定される(ステップS21にてNo、ステップS22)。
そして、前輪推定トルクが大きい場合については、時刻t21の時点で、前輪車輪速が第2スリップ閾値を超える(図7のステップS26にてYesに相当)。すると、図8の下段に示すように、ドライバ要求トルクから変化量△3だけ減算された指令トルクにより走行する(図7のステップS27に相当)。このように、本実施形態では、第2スリップ閾値を第1スリップ閾値よりも低くすることにより、前輪車輪速が上昇する過程の早い段階で超過スリップの発生を取得し、指令トルクを変化させる。これにより、前輪の空転量を積極的に抑えて超過スリップを抑制することにより登坂性能を確保することができる。
一方で、前輪推定トルクが小さい場合については、時刻t22の時点で、前輪車輪速が第1スリップ閾値を超える(図7のステップS23にてYesに相当)。すると、図8の下段に示すように、ドライバ要求トルクから変化量△3だけ減算された指令トルクにより走行する(図7のステップS27に相当)。このように、本実施形態では、第1スリップ閾値を第2スリップ閾値よりも高くすることにより、前輪車輪速が上昇する過程の遅い段階で超過スリップの発生を取得し、指令トルクを変化させる。あえて前輪の空転を助長させ、これによりドライバに路面が低μ状態であることを認識させることができる。
つまり、前輪推定トルクが大きい場合と、前輪推定トルクが小さい場合の双方について第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
そして、何れの場合であっても、かかるトラクションコントロールにより、前輪の空転量を抑制することができ、これに伴い前輪車輪速の値は低下していく。そして、時刻t23の時点で、前輪車輪速が閾値以下となり、トラクションコントロールは終了し、ドライバ要求トルクがそのまま指令トルクとして出力される(図7のステップS23やステップS26にてNo、ステップS24の処理に相当)。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。
更に、本実施形態によれば、FrTCS64は、前輪推定トルクとトルク閾値との比較である第1の比較をし、該第1の比較の結果、前輪推定トルクがトルク閾値以下の場合にはスリップ閾値として第1のスリップ閾値を設定し、前輪推定トルクがトルク閾値を超えている場合にはスリップ閾値として第1のスリップ閾値よりも低い閾値である第2のスリップ閾値を設定し、
スリップ取得部61は、前輪車輪速と、超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値との比較である第2の比較をし、該第2の比較の結果、前輪車輪速が超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値を超えていたならば前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する。
これにより、前輪推定トルクが大きい場合に前輪車輪速が上昇する過程の早い段階で超過スリップの発生を取得でき、これに伴い、早い段階で前輪の空転量を抑制することが可能となる。そのため、前輪推定トルクが大きい場合に、前輪の空転量を積極的に抑えて超過スリップを抑制することにより登坂性能を確保することができる。
また、前輪推定トルクが小さい場合に前輪車輪速が上昇する過程の遅い段階で超過スリップの発生を取得することになり、これに伴い、前輪の空転をあえて助長することが可能となる。これによりドライバに路面が低μ状態であることを認識させることができる。
以上2つの本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は上記2つの実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記の2つの実施形態では、前輪Wf(RWf,LWf)の駆動源は、第1駆動装置1として、内燃機関(ENG)4と電動機5とを備えていた。しかし、第1駆動装置1として、電動機5のみであってもよい。また、この場合に、第1駆動装置1として、2つの電動機5A,5Bを具備する2モータ方式であってもよい。
また、上記の2つの実施形態では、後輪Wr(RWr,LWr)の駆動源を電動機2A,2Bのみとしたが、エンジン駆動であってもよい。
また、上記の2つの実施形態では、後輪Wr(RWr,LWr)側の第2駆動装置2を2つの電動機2A,2Bを具備する2モータ方式としたが、1つの電動機と差動装置を具備する1モータ方式であってもよい。
また、上記の2つの実施形態では、スリップ判定部612が、左右の前輪車輪速のうち何れか大きい方である最大前輪車輪速VFr(max)と、スリップ閾値とを比較していたが、左右の平均前輪車輪速VFr(ave)と、スリップ閾値とを比較するようにしてもよい。
更に、上記の第1実施形態では、トルク閾値を1つ設定し、このトルク閾値との比較により2つの変化量の何れを利用するのかを決定していた。これを変形してトルク閾値をN個(Nは2以上の自然数)設け、このN個のトルク閾値との比較により、N+1個の変化量の何れを利用するのかを決定するようにしてもよい。
1…第1駆動装置(前輪駆動装置)
2…第2駆動装置
3…車両
4…内燃機関
5…電動機
6…ECU(制御装置)
7…トランスミッション
8…PDU
9…バッテリ
10…車両駆動システム(車両駆動システム)
61…スリップ取得部(超過スリップ取得手段)
62…前輪回転状態量取得部(前輪回転状態量取得手段)
63…後輪回転状態量取得部
64…トラクションコントロールシステム(超過スリップ抑制手段)
611…スリップ閾値算出部
612…スリップ判定部
91…車輪速センサ
92…アクセル開度センサ
93…エンジン回転数センサ
94…モータ電流センサ
95…横Gセンサ
96…車速センサ
97…舵角センサ
98…ヨーレートセンサ

Claims (3)

  1. 車両の前輪を後輪とは別個独立に駆動する前輪駆動装置と、
    前記前輪駆動装置を制御し、前記前輪の駆動状態を制御する制御装置と、を備える車両駆動システムであって、
    前記車両駆動システムは、
    前記前輪の回転状態量を取得する前輪回転状態量取得手段と、
    前記前輪の回転状態量に基づいて、前記前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する超過スリップ取得手段と、
    前記超過スリップ取得手段により前記超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪の駆動状態を制御して前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出す超過スリップ抑制手段と、を備え、
    前記超過スリップ抑制手段は、推定される前輪のトルクである前輪推定トルク又は該前輪推定トルクに相関のある値である前輪推定トルク相関値が大きくなるにつれて前記前輪の超過スリップがより抑制されるように前記制御装置に指示を出す車両駆動システム。
  2. 前記超過スリップ抑制手段は、前記超過スリップ取得手段により前記超過スリップの発生が取得されたならば、前記前輪推定トルク又は前記前輪推定トルク相関値とトルク閾値とを比較し、該比較の結果、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値以下の場合には第1の制御量で前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出し、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値を超えている場合には前記第1の制御量よりも多い制御量である第2の制御量で前記前輪の超過スリップを抑制するように前記制御装置に対して指示を出す請求項1に記載の車両駆動システム。
  3. 前記超過スリップ抑制手段は、前記前輪推定トルク又は前記前輪推定トルク相関値とトルク閾値との比較である第1の比較をし、該第1の比較の結果、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値以下の場合にはスリップ閾値として第1のスリップ閾値を設定し、前記前輪推定トルク又は前輪推定トルク相関値が前記トルク閾値を超えている場合には前記スリップ閾値として第1のスリップ閾値よりも低い閾値である第2のスリップ閾値を設定し、
    前記超過スリップ取得手段は、前輪車輪速と、前記超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値との比較である第2の比較をし、該第2の比較の結果、前記前輪車輪速が前記超過スリップ抑制手段に設定されたスリップ閾値を超えていたならば前記前輪に所定以上のスリップである超過スリップが発生したことを取得する請求項1に記載の車両駆動システム。
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