JP6449246B2 - 抗ムスカリン化合物の粒径の低減 - Google Patents

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Description

[発明の分野]
本発明は、抗ムスカリン性薬物の微粒子化粒子を調製する方法に関する。前記粒子は、呼吸器疾患の予防および/または治療目的の医薬製剤、好ましくは、乾燥粉末製剤の調製における使用に適している。
[発明の背景]
抗ムスカリン活性を具える、水溶性の第四級アンモニウム化合物は、保管中に不可逆的に凝塊形成する傾向があることが知られており、これは、微粒子化後の水分の吸収、ならびに、それに引き続く、高エネルギー微粒子化工程によって生じた、表面の非晶質物の再結晶化に因る、隣接微粒子間の結晶架橋の形成が起因となっている。この問題は、薬物の物理的ならびに化学的な安定性、また、続く製剤における性能にも、悪影響を及ぼす。
グリコピロニウムは、長年、臭化物塩として市販されている、抗ムスカリン薬物である。
臭化グリコピロニウムは、2対のジアステレオ異性体を含む4つの異性体;すなわち、臭化(3S,2’R)−、(3R,2’S)−、(3R,2’R)−、および(3S,2’S)−[(シクロペンチル−ヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウム ブロミドに対応する、2つのキラル中心を有している。市販の臭化グリコピロニウムは、精製された「スレオ」ジアステレオ異性体、(3R,2’S)体及び(3S,2’R)体で構成されおり、以下、rac−臭化グリコピロニウムと表記する。
しかしながら、他の抗ムスカリン剤と同様に、グリコピロニウム塩も、特に、粉砕による従来の微粒子化工程に直接付随する、重大な安定性の問題を有している。
実際、臭化グリコピロニウムは、一度微粒子化されると、不可逆的に団粒形成および/または凝塊形成する傾向が強く、これは、その後の薬剤加工、特には、優れた呼吸用画分を送達することができる、吸入による投与目的の乾燥粉末製剤の調製の大きな妨げとなる。
薬物の特定の物理化学的特性を変える目的で、薬物を加工するための、様々なプロセスが提案されている。しかしながら、これらのプロセスの多くは、低い薬理学的許容性を有する溶媒の使用を必要としており、したがって、それらの残余の有無を厳密に監視する必要がある。加えて、これらの溶媒の多くは非常に可燃性であり、大規模な商業的製造を困難としている。極性溶媒、水、または水蒸気を使用するものをはじめとする、他の既知の溶媒処理工程は、乾燥または保管中の不可逆的な団粒形成および凝塊形成、あるいは、粒子成長をその後に引き起こす、局所的な溶媒和過程を引き起こす原因となる傾向がある。
加えて、エアジェット粉砕、乾燥粉末ボール粉砕または高圧均質化のような、現状の高エネルギー物理的な加工手法は、薬物の結晶性の部分的喪失を引き起こすことが知られている。加工時に誘起された、構造的乱れおよび/または非晶質物を除去処理するために、これらの微粒子化材料は、しばしば、微粒子化後の状態調節、例えば、上昇させた温度および/または相対湿度下での保存に供される。
例えば、WO2009/074662A2は、加工時に誘起された、構造的乱れおよび/または非晶質物を調節/再結晶させる、ならびに、保管中に生じる更なる不可逆的な凝塊形成を防止するため、様々な時間、高温(>40℃)および乾燥条件下における、グリコピロニウム塩のような微粒子化後材料の状態調節の使用を開示している。しかしながら、微粒子化後の、上昇させた相対湿度条件への上記材料の曝露は、結晶架橋の急速な形成、ならびに、不可逆的な凝塊形成/結晶成長を引き起こす。従って、この微粒子化後の、上昇させた温度の調節が、安定した製品を維持するために重要である。
同様に、WO2009/074666A1は、肺吸入のための医薬組成物において使用するための、臭化グリコピロニウム等の水溶性薬物の微粒子化した活性粒子を作製する方法を開示しており、該方法は、粒径の低減を達成するための、極性の貧溶媒、例えばアセトン、エタノールまたはプロパン−1−オール中における、該活性粒子の高圧均質化、ならびに、凝塊形成/団粒形成あるいは粒子成長に対して、物理的に安定な粉末を得るための、引き続いて、乾燥上昇した温度下での微粒子化した材料の状態調節を含んでいる。
WO2005/025536A2は、肺吸入のための医薬組成物において使用するための、複合活性粒子を製造する方法を開示しており、該方法は、安定性を維持し、そして、微粒子の割合ならびに微粒子の用量を高めるための、特定の添加材料と一緒に活性粒子をジェットミリングする工程を含んでいる。他の活性成分の間でも、グリコピロニウムが、例証とされていろ。但し、必要とされない際に、該添加物を取り除くことは、とにかく難しく、また、手間がかかることである。
これらの考察を考慮すると、物理的に安定であり、凝集体の形成を回避するためのさらなる処理を必要としない、グリコピロニウム塩の微粒子化粒子を調製する方法を提供することは、高い利点がある。
かかる課題は、本発明の方法によって解決される。
発明の概要
第1の形態において、本発明は、グリコピロニウムの薬学的に許容される塩の微粒子化粒子を調製する方法であって、
該方法は、下記の工程を有する:
室温および大気圧で液体であり、15を下回る誘電率と1.3〜2g/cm2の密度を有する、水非混和性炭化水素またはその誘導体(貧溶媒)を、必要に応じて粉砕媒体を収納している、湿式粉砕装置の微粒子化チャンバー中に送り込む工程、
前記貧溶媒中に、該グリコピロニウム塩の粒子を懸濁させる工程、
200kPaまたはそれ以下の圧力で、前記懸濁粒子を微粒子化する工程、
必要に応じて、得られた微粒子化粒子を乾燥させる工程;
それによって、前記粒子の少なくとも90%が、10ミクロン未満の直径を有する、
ことを特徴とする、方法に関する。
該本発明の方法は、安定剤として作用する、いずれの添加剤の不在下で実施される。
第2の形態において、本発明は、1つまたは複数の噴射剤または担体と、上記の微粒子化粒子とを混合する工程を含む、吸入用の製剤を調製する方法に関する。
第3の形態において、本発明は、0.5〜1.5の凝集−接着平衡(cohesive-adhesive balance:CAB)値を有する、上記の方法により得られる、グリコピロニウムの薬学的に許容される塩の物理的に安定な微粒子化結晶粒子に関する。
第4の形態において、本発明は、上記の微粒子化粒子を含む吸入用製剤に関する。
第5の形態において、本発明は、上記の製剤を充填した吸入器に関する。
定義
用語「微粒子化」は、固体材料の粒子の平均粒径を低減少させる工程をさす。通常、用語、微粒子化は、製造される粒子が、その直径がわずか数ミクロンである際に、使用される。従来の微粒子化技術は、粒径を低減させるための、摩擦の使用に基づいている。そのような手法には、粉砕ならびに摩砕が含まれる。粒径の低減は、また、衝突ならびに衝撃の結果としても起こり得る。
動詞「凝塊形成する」は、組み合わさる、または一緒に結合することを意味する。新たに微粒子化された薬物は、時間と共に、自然と合体し、薬物の凝塊を形成する傾向がある、微粉末の形態となる傾向がある。これらの凝塊体は、より細かさに欠ける、あるいは、粗大な粉末に類似している。
動詞「団粒形成する」は、特に、水分の存在下で、集団または集合体の形状となることを意味する。微粒子化された薬物の団粒は、保管する間に、特に、水分の存在下で、粗い粉末、凝集塊、または、さらには、薬物の実質的に一体の団塊を形成する傾向がある。
製剤中における、薬物の団粒の存在は、既知の方法に従って、顕微鏡が付備されている近赤外分光光度計により検出することができる。
用語「物理的に安定」は、保管中に、薬物粒子の粒子成長または団粒形成の兆候がないことを意味する。
薬物粒子のサイズならびにその団粒形成は、当業者に既知の方法に従って、決定することができる。
使用できる一つの特定の装置は、シンパテック乾式分散サイズアナライザーである。
用語「化学的に安定」は、保管中に、EMEAガイドライン CPMP/QWP/122/02、「既存の活性物質及び関連完成品の安定性試験」を参照、の要件を満たしている薬物をさす。
用語「貧溶媒」は、薬物に対する、ほとんどまたは全く溶媒和能力を有しない液体を意味する。貧溶媒中での薬物の溶解度は、約1mg/ml未満であると、既知の方法に従って決定されるべきである。より好ましくは、薬物の溶解度は、約100μg/ml未満であるべきである。より好ましくは、薬物の溶解度は、約10μg/ml未満であるべきである。
用語「水非混和性」は、100ppm未満、好ましくは、10ppm未満の水が貧溶媒中に溶解できることを意味する。残留する水の量は、カールフィッシャー法等の既知の手法に従って、決定することができる。
用語「状態調節」は、適した容器内に置かれた粉末を、温度および相対湿度の組合せが制御されている条件に曝すことを意味する。
用語「安定化剤」は、薬物が団粒形成または凝塊形成するのを低減させるまたは抑制するために、薬物を安定化させるために使用される薬剤をさす。安定化剤は、一般に粒子間の凝着を低減させ、細かい粒子が互いに連結されるのを防止する。安定化剤には、金属ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウムのようなステアリン酸塩、イオン性および非イオン性界面活性剤、ならびにセルロースエーテル、PVPまたはPVAなどのポリマーが含まれる。
「粒径」は、粒子の直径のガウス分布である。
前記粒径は、例えば、マルバーン装置などの適切な公知の機器を用いたレーザー回折によって、体積径を測定することにより、定量することができる。
体積径(VD)は、(粒子のサイズ非依存的な密度を仮定すると)、粒子の密度による質量径(MD)と関連している。
粒径は、体積径により、表記され、また、粒径分布は、粒子の50体積%を区分する直径に相当する、d(v0.5)により、または、それぞれ、試料中の粒子の90%および10%が、その値より低い体積径を有する値を表す、d(v0.9)およびd(v0.1)により、表記される。
エアゾール化の際には、粒径は、質量基準空気動力学的直径(MAD)として表記され、そして、粒径分布は、空気動力学的質量基準中央径(MMAD)として表記される。MADは、空気流中に懸濁されている、輸送される粒子の能力を示す。MMADは、粒子の50重量%を区分する、質量基準空気動力学的直径に相当する。
用語「良好な流動性」は、製造工程の間、容易に取り扱え、また、正確で再現性のある治療有効用量の送達を保証することが可能である製剤をさす。
流動特性は、例えば、安息角(angle of repose)、Carrの指標、オリフィスを通るハウスナー比または流量等の、異なる試験によって評価することかできる。
用語「良好な均質性」は、混合時に、相対標準偏差(RSD)として知られている、偏差係数(CV)として、表現される、活性成分の分布の均一性が、5.0%以下である製剤をさす。
用語「吸入可能割合」は、患者の肺深部に到達する活性粒子の割合の指標をさす。
また、細粒分をさす、吸入可能割合は、一般の薬局方に掲載される手順に従って、多段カスケードインパクター、マルチステージ液体インピンジャー(MLSI)、または次世代インパクター(NGI)などの適切なインビトロ装置(apparata)を用いて評価される。
また、細粒分(fine particle fraction:FPF)をさす、吸入可能割合は、一般の薬局方、特には、欧州薬局方(Eur.Ph)7.3、第7版に掲載される手順に従って、アンダーセンカスケードインパクター(ACI)、マルチステージ液体インピンジャー(MLSI)または次世代インパクター(NGI)、好ましくはACI、などの適切なインビトロ装置を用いて評価される。それは、微粒子質量(以前は微粒子用量)と送込まれた用量と間のパーセント比で算出される。
微粒子質量は、直径<5.0ミクロンである粒子の付着量から算出されるのに対し、送込まれた用量は、装置内の積算付着量から算出される。
圧力値は、1000パスカル(Pa)に相当するキロパスカル(kPa)で表記される。バール(bar)(105Pa)、mmHg、mmH2O、および気圧(atm)等の他の単位も、許容されている。
発明の詳細な記述
本発明は、グリコピロニウムの薬学的に許容される塩の微粒子化粒子を調製する方法を目的とする。
以下に開示される条件に従って工程を進めることにより、特に吸入投与用乾燥粉末製剤の製造において、従来の製剤加工を困難にしていた、通常の微粒子化後の物理化学的問題の全てを回避できる、物理的に安定な粉末が得られることを見いだした。
特に、本発明の方法によって得られる薬物粒子は、安定であるので、凝塊形成および/または団粒形成を起こし難いことを見いだした。換言すれば、得られる乾燥微粒子化材料が加工後に凝塊形成および/または団粒形成を起こす傾向は、最小限に抑えられている、あるいは、完全に回避されている。
前記薬物粒子はまた、良好な流動性を示す。さらには、薬物粒子は、非晶質な成分を実質的に含有していない。
より驚くべきことに、さらに安定化剤を添加することなく、ならびに、上昇された温度における、煩雑であり、手間のかかる、微粒子化後の状態調節の工程の助けを借りることなく、これが得られる。
さらに驚くべきことは、本発明の方法の条件に従って工程を進めることにより、前述の安定剤のような任意の賦形剤を使用することなく、均一な懸濁物が、得られることを見出した。したがって、薬物の微粒子化は、任意のさらなる賦形剤の非存在下で実施される。
これにより、本発明の方法は、はるかに簡潔に実施できるようになる。
都合のよことに、グリコピロニウムの任意の有機または無機の薬学的に許容される塩を使用することができる。有機塩には、例えば、蟻酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ならびに、安息香酸塩が含まれ、また、無機塩には、これらに限定されないが、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、硝酸塩、ならびに硫酸塩が含まれる。
好ましくは、使用される無機塩は、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物からなる群から選択される、好ましくは塩化物または臭化物、さらに好ましくは臭化物である。
本発明を実施する際には、グリコピロニウムは、純粋な鏡像異性体、あるいは、ジアステレオ異性体のいずれかまたは任意の組み合わせの形態で使用することができる。好ましくは、rac−臭化グリコピロニウムとして知られている、(3S,2’R)−、(3R,2’S)−3−[(シクロペンチルヒドロキシフェニルアセチル)オキシ]−1,1−ジメチルピロリジニウム ブロミドのラセミ混合物が、使用される。
好ましくは、水の非存在下で、微粒子化行われるべきである。したがって、貧溶媒は、水非混和性であるべきで、かつ、溶解された水を含むべきでない。
有利には、水非混和性貧溶媒は、室温および大気圧(約20℃と約1気圧)で液体であり、また、15よりも低い導電率と1.3〜2g/cm3の密度を有する、炭化水素またはその誘導体であることができる。本発明の好ましい実施態様では、密度は1.4〜2g/cm3の間に含まれる。当業者は、既知の方法に従って、貧溶媒の誘電率および貧溶媒の濃度を、たやすく決定することができる。
実際、上記特性を満たさない、高圧均質化による粒径の低減にこれまで使用されている貧溶媒、例えば、アセトン、エタノールまたはプロパン−1−オール等を使用する際には、驚くことに、低い温度での乾燥時に、不可逆的な団粒形成が起こることが見出されている。
いくつかの実施態様では、前記貧溶媒は、室温および大気圧で液体である、n−アルカンまたはハロアルカンである。適するアルカンは、全て室温および大気圧において液体である、n−ペンタン(C512)〜n−C1736の範囲である。好ましいアルカンには、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、およびn−デカンが含まれる。いくつかの実施態様では、n−アルカンは、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、またはn−ノナンである。好ましい実施態様では、アルカンは、n−ヘプタンである。適したハロアルカンは、ジクロロメタンである。
他の実施態様においては、貧溶媒は、フルオロアルカンまたはヒドロフルオロアルカンである。適するフルオロアルカンまたはヒドロフルオロアルカンには、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロノナン、パーフルオロデカン、およびそれらの異性体の任意の混合物、ならびに2H,3H−デカフルオロペンタン等の、その任意の水素置換誘導体が含まれる。
好ましくは、貧溶媒は、パーフルオロヘプタン、パーフルオロデカン、ならびに、デカフルオロペンタン、あるいは、その異性体の任意の混合物からなる群から選択される。
工程(ii)に従って、グリコピロニウム塩の粒子は、水非混和性溶媒中に懸濁され、懸濁液を与える。
前記粒子は、粗い粒子状の形態であってもよく、あるいは、事前に低減された粒径を有してもよい。有利には、前記粒子は、文字通り、結晶性であり、よってその原子または分子は、規則的、周期的な形態で配置されている。しかしながら、結晶性の薬物は、ある程度の非晶質な領域を含んでいてもよい。好ましくは、前記薬物は、既知の手法に従って、判定した際、90%またはそれ以上、または、より好ましくは、95%よりも高い、より好ましくは、98%よりも高い結晶化度を有しているべきである。
薬物は、1:200w/vと200:1w/vの間の薬物/貧溶媒の比で、選択された貧溶媒中に懸濁されていてよい。好ましくは、薬物/貧溶媒の比を、1:1w/vと200:1w/vとの間、より好ましくは、50:1w/vと150:1w/vとの間とする。好ましくは、薬物/貧溶媒の比は、100:1w/vである。
薬物の粒径を低減するために、この懸濁液は、その後、処理される。適する製品を得る上では必要とされてないため、安定化剤または任意の他の賦形剤は、懸濁液に添加しない。
したがって、好ましい実施態様において、水非混和性溶媒中に懸濁される、実質的に、グリコピロニウム塩からなる懸濁物が微粒子化される。これが、他の物質を含んでいない、純粋な薬物製品の製造を可能としている。
微粒子化装置は周知であり、様々の破砕および粉砕機械が含まれる。例えば、貧溶媒を用いる湿式粉砕での使用に適する粉砕装置は、ボールミル、遊星ミル等の衝撃式製粉機を含む。有利には、微粒子化装置は、適切な速度で動作するローターまたはディスクを備えている。
好ましい実施態様では、グリコピロニウム塩は、遊星ミル PULVERISETTE(フリッチュ、ドイツ)またはDM100マイクロミル(ディーナテクノロジー株式会社、英国)を使用して、湿式ボール粉砕される。他の適切な微粒子化装置は、水平ビーズミル、例えば、DYNO(商標登録)−MILL(グレン・ミルズ社ニュージャージー州);ローターステーター型ホモジナイザー、例えばポリトロン(Polytron)(グレン・ミルズ社ニュージャージー州)、あるいは、シルバーソン、オーストラリア、およびハイドルフ・インスツルメンツ、ドイツから市販;適切に使用することができる他の装置は、環状ギャップビーズミルであり、例えば、撹拌ビーズCoBall(商標登録)−Mill(Stirrer Bead CoBall−Mill)、MS型(FrymaKoruma,ドイツ)である。
好ましくは、グリコピロニウム塩は、参照により本明細書に組み込まれる、WO 2007/020407A2に開示される粉砕装置中で処理される。
前記粉砕装置は、上流側の入口および下流側の出口、またはその逆を具える、軸方向通路を有する半径方向に対称であるスリーブと、該スリーブ内に配置された半径方向に対称なローターとを含んであり、ローターとスリーブとの一方は、他方に対して相対的に回転可能であり、軸方向の各位置において、ローターの直径は、スリーブの直径よりも小さく、ローターとスリーブとの間の環状の通路を規定しており;ローターとスリーブの表面のいずれかまたは両方は、入口から出口への液体の流れ中において、粒子が衝突する表面領域が増加するように適合化された構成を有する。
前記装置において、有利には、グリコピロニウム塩の粒子は、処理を2〜10回繰り返すため、低減チャンバーを介して、再循環される。
微粒子化において、いくつかの手法は、薬物の粒径を低減するのを助ける、破砕または粉砕媒体の使用を伴う。本発明の方法において、同じまたは異なるサイズの媒体が使用され、そして、微粒子化が行われる間、薬物の懸濁液中に存在している。
破砕媒体は、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ソーダライムガラス、ステアタイト、ZirTA−NOR(ジルコニア強化アルミナ)、ジルコニアシリケート、ジルコニアシリカ、高密度ジルコニアシリカ、強化ジルコニアシリカ、マグネシウム安定化ジルコニア酸化物、セリウム安定化ジルコニア酸化物、イットリウム安定化ジルコニア酸化物、タングステンカーバイド、窒化ケイ素または炭化ケイ素からなる群から選択される物質で形成される破砕ビーズまたは粉砕(ミリング)ビーズから選択することができる。いくつかの実施態様では、粉砕媒体が、酸化ジルコニウムのミリングビーズである。加工のために、粉砕媒体粒子の直径は、25mm未満、より好ましくは10mm未満、理想的には5mm未満であるべきである。
微粒子化の工程は、200キロパスカルまたはそれ以下の圧力で行うべきである。
いくつかの微粒子化手法では、薬物粒子のサイズを低減させるために高圧を使用する。例えば、ホモジナイザーでは、500バールと2000バールの間の圧力が、一般的に使用されている。驚くべきことに、本発明においては、高い圧力を使用する必要がないことが見出されている。好ましくは、薬物の微粒子化は、50kPaと約200kPaの間の圧力で実施さえる。より好ましくは、50kPaと150kPaの間の圧力が使用される。さらにより好ましくは、薬物の微粒子化は、80kPaおよび120kPaの圧力で行われる。
懸濁物を微粒子化に適する条件は、その装置およびその加工用貧溶媒により変化する。一般に、ディスク/ローターを備えた装置を使用する場合には、懸濁物を微粒子化する、ディスク/ローターの速度は、約50と約500rpmの間、好ましくは、約100と約400rpmの間、より好ましくは、約150と約300rpmの間とすることができる。貧溶媒が、2H,3H−デカフルオロペンタンである場合、懸濁液を処理する、ディスク/ローターの速度は、100と300rpmの間とすることができる。懸濁物の均質化に適する温度は、その薬物および関係する貧溶媒により変化する。一般に、懸濁物を均質化する温度は、貧溶媒の沸点より低くする。有利には、微粒子化工程は、約0℃と40℃の間の温度、より有利には、約5℃と約35℃の間の温度で実施される。好ましくは、懸濁された薬物は、10℃と30℃の間の温度、より好ましくは10℃と25℃の間の温度で微粒子化される。
好ましい実施態様では、微粒子化工程は、周囲温度(20±2℃)で実施される。
懸濁された薬物粒子の微粒子化に適する時間は、貧溶媒および関係する粉砕媒体により変化する。懸濁された薬物粒子は、一般に、1〜300分間、好ましくは、15〜240分間、より好ましくは、15〜90分間処理される。前記貧溶媒が2H,3H−デカフルオロペンタンであり、前記粉砕媒体が直径1mmの酸化ジルコニウムボールである場合、懸濁物は、200rpmの速度で、好ましくは、30〜90分間、より好ましくは、60分間処理される。微粒子化された薬物粒子を洗浄するために、
いくつかの実施態様では、第1の貧溶媒を、微粒子化工程において使用し、そして、第2の貧溶媒を任意に使用することができる。この観点で、前記方法では、微粒子化された薬物粒子を洗浄するために、第2の貧溶媒が使用される、洗浄工程を、さらに含むことができる。好ましくは、洗浄工程で使用される第2の貧溶媒は、比較的高い蒸気圧を有するので、比較的に低い温度、例えば35℃未満の温度で、乾燥する間に除去することができる。換言すれば、第2の貧溶媒は、比較的低い温度(例えば35℃未満)で、乾燥する間に除去することができるように、比較的に揮発性であるべきである。
有利には、第2の貧溶媒の蒸気圧は、5kPaよりも高い。より有利には、第2の貧溶媒の蒸気圧は、10kPaよりも高い。好ましくは、第2の貧溶媒の蒸気圧は、20kPaよりも高い。より好ましくは、第2の貧溶媒の蒸気圧は、30kPaよりも高い。さらにより好ましくは、第2の貧溶媒の蒸気圧は40kPaよりも高い。ある実施形態において、第2の貧溶媒の蒸気圧は50kPaより高くてもよい。別の実施形態において、第2の貧溶媒の蒸気圧は60kPaよりも高く、好ましくは70kPaよりも高い。これらの蒸気圧は、既知の方法に従って、1気圧、20℃で測定される。
いくつかの実施態様では、第2の貧溶媒は、100℃未満の沸点を有する。有利には、第2の貧溶媒は、90℃未満、より有利には、80℃未満の沸点を有する。第2の貧溶媒は、好ましくは、70℃未満、より好ましくは、60℃未満、最も好ましくは、50℃未満の沸点を有する。ある実施態様においては、第2の貧溶媒は、40℃未満、好ましくは、35℃未満、より好ましくは、30℃未満の沸点を有する。これらの沸点は、既知の方法に従って決定される。
比較的高い蒸気圧および/または低い沸点を有する貧溶媒は、薬物粒子の比較的低い温度(例えば、35℃未満)での乾燥を可能とする。洗浄工程に好ましい、特定の貧溶媒は、デカフルオロペンタンおよびペンタンである。
微粒子化薬物粒子を洗浄するための第2の貧溶媒の使用に代えて、水可溶性薬物を微粒子化される、第1の貧溶媒が、前記第2の貧溶媒に対して上で述べた特性を有してもよい。したがって、いくつかの実施態様では、比較的低い温度(例えば35℃未満)で乾燥する間に除去することが可能となるように、第1の貧溶媒が比較的高い蒸気圧を有しても良い。好ましい蒸気圧は、第2の貧溶媒のために上で述べた通りである。さらに、第1の貧溶媒は、比較的低い沸点、例えば、100℃未満、を有してもよい。好ましい沸点は、第2の貧溶媒のために上で述べた通りである。
該方法は、好ましくは、いかなる残留貧溶媒を除去するための、微粒子化薬物粒子を乾燥する工程を含む。好ましくは、いかなる残留貧溶媒を除去するために、薬物粒子は、40℃未満、好ましくは、35℃未満、より好ましくは、30℃未満、さらにより好ましくは、25℃未満の温度下で乾燥される。これは、真空乾燥、噴霧乾燥または超臨界流体乾燥などの、任意の既知の乾燥工程を用いて達成することができる。好ましくは、薬物粒子は、噴霧乾燥または真空乾燥される。
乾燥された薬物粒子は、好ましくは、例えば、100μmメッシュのふるいにかけて、いかなる残留粉砕媒体を分離し、得られる微粉末薬物物質を回収する。
特定の実施態様では、貧溶媒が薬学的目的に適合している場合には、乾燥の必要性はなく、得られた懸濁物は、使用してもよいし、さらに加工してもよい。
回収後、得られたグリコピロニウム塩の粒子は、実質的に結晶性である。好ましくは、既知の方法に従って、全粉末に対して決定した際、前記粒子は、90%またはそれより高い、あるいは、より好ましくは、95%またはそれより高い、最も好ましくは、98%よりも高い結晶化度を有するべきである。
機械的な摩砕による、活性医薬成分の粒径の低減の間、生成される機械的エネルギーの多くは、加工された固体に伝達し、格子欠陥の形で蓄積される。このようにして、加工された固体系が活性化状態に達するので、「機械的活性化」されていると記述される。前記工程は、粉末の塊全体に均一には分配されず、加工ストレスに曝される表面に集中されている、構造的な乱れを誘起し、結果、粒子表面に、不規則またはアモルファス領域を生成させる。従って、それは、保管中の物質の物理的性質に悪影響を及ぼし、引き続いて、エアゾール化の際の流動性および微細な薬物粒子送達の変化を引き起こす。活性成分粒子の力の平衡と安定性を測定する手法は、凝集-接着平衡(cohesive-adhesive balance:CAB)分析による。前記手法では、Bagat P et al Pharm Res 2004,21(9),1591−1597に開示の方法に従って、担体基質の明確に定義された結晶面への、AFMプローブに装着されている活性成分の粒子の相互作用の力を測定する。プローブの相互作用の数から作成されたCABのプロットは、担体を基剤とする製剤中における、活性成分粒子に特徴的な凝集/接着の比率の直接定量を可能にする。
有利には、本発明の方法により得られるグリコピロニウム塩の粒子は、0.5〜1.5、より有利には、0.7〜1.3、好ましくは、0.8〜1.2の凝集-接着平衡(CAB)値を有する。
得られるグリコピロニウム塩粒子の少なくとも90%[d(v0.9)]は、10ミクロン未満、有利には、9ミクロン未満、好ましくは、8ミクロン未満、より好ましくは、7ミクロン未満の直径を有するべきである。好ましい実施態様では、得られる粒子の少なくとも90%は、6ミクロンまたはそれより小さい直径を有する。好ましくは、d(v0.5)は、1〜4.5ミクロンの間、好ましくは、2〜4ミクロンの間に含まれている。
この記載においては、粒径は、マルバーン装置のような適切な装置を使用することに基づくレーザー回折などの既知の方法に従って、体積径として決定される。
一般に、このサイズの薬物粒子は、吸入による投与に適している。実際、約10ミクロンよりも大きい粒径を有する粒子は、喉の壁に着弾しやすく、通常、肺まで到達しない。
有利には、乾燥および篩い分けした際に得られる粒子の比表面積は、3〜8m2/g、有利には、3〜7m2/g、好ましくは、3〜6m2/gの範囲に含まれる。該比表面積は、既知の手順に従って、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)の窒素吸着法によって決定される。
有利には、本発明の方法により得られる微粒子化薬物粒子は、周囲条件(22±2℃及び60%相対湿度)で、少なくとも1か月の間は、物理的および化学的に安定であることができる。好ましくは、前記微粒子化粒子は、同じ周囲条件で、少なくとも6か月間、安定であることができる。より好ましくは、前記粒子は、40℃および60%相対湿度の条件でも、少なくとも1か月の間、更に好ましくは、6か月の間安定であることができる。
化学的安定性は、HPLC等の既知の方法に従って決定することができる一方で、物理的安定性は、シンパテック乾式分散サイズアナライザーを用いて測定することができる。
あるいは、物理的安定性は、既知の方法に従って、吸着分析、BET比表面積測定によって解析される、薬物粒子の比表面積を用いて、測定することができる。
この場合には、周囲条件(22±2℃及び60%相対湿度)での保管において、1か月後、好ましくは。6か月後に、薬物粒子の比表面積の著しい減少があってはならない。好ましくは、同じ周囲条件での保管において、1か月後、好ましくは、6か月後、1m2/g未満、より好ましくは、0.5m2/g未満、さらにより好ましくは、0.2m2/g未満の薬物粒子の比表面積の減少であることができる。
本発明の方法に従って得られる、グリコピロニウム塩の粒子は、低減された団粒形成の傾向を有するのみで、それ故、さらなる加工、すなわち、噴射剤または担体粒子との混合を容易にする、実質的に安定な固体バルク薬物を提供し、従って、良好な均一性を有する製剤を提供する。
したがって、本発明は、また、圧力液化噴射剤、好ましくは、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)およびそれらの任意の混合物から選択される、ヒドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤中に、上記の微粒子化粒子を懸濁する形状の、吸入可能な加圧製剤をも包含している。
さらには、本発明は、ラクトース、好ましくはα-ラクトース一水和物等の生理学的に許容される薬理学的に不活性の固体担体の粒子、ならびに、任意に、ステアリン酸マグネシウム等のさらなる添加剤の粒子と混合されている、上記の微粒子化粒子を含む、吸入可能な乾燥粉末製剤も包含している。
前記製剤は、加圧式定量吸入器(pMDI)または乾燥粉末吸入器(DPI)などの適切な装置によって投与することができる。
本発明の方法により得られる微粒子化粒子は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)ならびにすべてのタイプの喘息等の呼吸器疾患をはじめとする、広範囲の症状の予防目的または症状の軽減のために使用することができる。本発明の製品が有益であるであろう、他の呼吸器疾患は、炎症および粘液の存在の結果として、末梢気道の閉塞によって特徴づけられる呼吸器疾患、例えば、慢性閉塞性細気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、急性肺損傷(ALI)、嚢胞性線維症、鼻炎、および成人または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である。
加えて、前記粒子は、尿失禁および過敏性腸症候群のような平滑筋障害、乾癬などの皮膚疾患、多汗症と唾液分泌過多、ならびに胃腸潰瘍の治療において、有用である。
本発明を、以下の実施例によって、さらに詳細に説明する。

例1. 2H,3H−デカフルオロペンタン中の湿ビーズ粉砕を使用する、rac−グリコピロニウム ブロミドの微粒子化粉末の調製
粒の粗いrac−グリコピロニウム ブロミドが、貧溶媒としての2H,3H−デカフルオロペンタン中に懸濁され(100:1 w/v比)、該縣濁液中に、ジルコニア粉砕媒体を加え、薬物/粉砕媒体の比を、1:40 w/wとした。得られた懸濁液を、次いで、WO2007/020407A2中に開示されている遊星ミル装置内に投入し、該試料を、周囲温度および1バール(100kPa)の下、200rpmの回転速度、60分間の加工時間を用いて、加工した。後工程として、得られた懸濁液をナイロンフィルターに通し、粒の粗い粉砕媒体を除去し、得られた流動物を金属トレイの上に分注して、微粉層を作製した。その後、周囲温度で4〜6時間静置し、溶媒を蒸発させて、微細な流動性の粉末を残し、次いで、粒の粗い凝塊を分離するために、100μmメッシュに通した。得られる物質は、その後、以下に記載する分析試験を適用して、物理的形状の完全性を検査した。
例2. rac−グリコピロニウム ブロミド粉末物質の分析
走査型電子顕微鏡(SEM)による検査では、粒の粗いrac−グリコピロニウム ブロミドは、約30〜100μmのふぞろいな結晶として観測された。均質化の工程の間に、製品の品質および粒径は、大きくてふぞろいな寸法の結晶粒から、明らかに5μmを下回る平均寸法を有する、よりきめが細かい板状晶様粒子への、グリコピロニウム塩の形態の変化を伴う、急激な変化をしめす。微粒子化および乾燥の後、レーザー光回折による粒径解析により、シンパテック乾式分散サイズアナライザーを用いて測定される、1.85μmのd(v0.5)を有する、微粒子化工程は良い結果を示していることが、再度、査証されている。
BET窒素吸着法により分析された、乾燥し、篩にかけた粒子の比表面積(SSA)は、約4.3m2/gであると確定された。粉末X線回折分析(XPRD)ならびにDSCを用いた分析は、当初の粒の粗い薬物と比較して、結晶性または多形性の程度には何らの変化もないことを示した。
周囲条件(22±2℃、相対湿度60%)での保管時における、粒径分布(PSD)、XPRDおよびSSAに関する結果が、表1に報告されている(w=週、M=月)。
特に、前記の結果は、保管時、粒径は有意に変化してなく、そして、変動は、測定の実験エラーの範囲内に保たれていることを示している。
例3. 有効成分がrac−グリコピロニウム ブロミドである乾燥粉末製剤の調製
α-ラクトース一水和物 SpheroLac 100(Meggle)と、98:2重量%の比率のステアリン酸マグネシウムを、ジェットミル装置内で共粉砕した(以下、プレ混合物と記す)。その後、このプレ混合物を、Turbulaミキサー中で、4時間、32rpmで、α−ラクトース一水和物CapsuLac(212〜355ミクロン)と混合した(以下、キャリアと記す)。例1で得られた微粒子化rac−グリコピロニウム ブロミドを、そのキャリアに添加し、Turbulaミキサー中で、2時間、32rpmで混合し、10mgのキャリアに対して、12.5μgの活性成分の比率とした(混合物A)。
同じ手順に従って、22±2℃、相対湿度60%で3か月間の保管後の微粒子化されたrac−グリコピロニウム ブロミドを使用して、第2の製剤を調製した。
満足できるバルク粉末含量均一性(RSDは5%未満)であることをかに関して、製造された製剤の評価を行った。
吸入用粉末の定量を、多回乾燥粉末吸入器(NEXThaler(登録商標)−Chiesi Farmaceutici SpA,イタリア)の中に装填した。欧州薬局方(欧州薬局方第7版、278−82)に詳述されている手順に準拠している、次世代インパクター(NGI)を用いて、粒径分布の空気動力学的な評価が得られた。57L/分の動作流量下、三回の連続した投与用量を回収した。臨界流条件が常に維持されていることを確認して、臨界流量バルブを調節することによって、所望の流量が得られた。所望の作動の後、インパクターの異なるステージ上に堆積した粉末を、40:60(v/v)の水:エタノール混合物を使用して回収し、そして、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量した。空気動力学的な堆積パラメータ;すなわち、微粒子質量(FPM)、細粒分(FPF)および空気動力学的粒径の質量基準中央径(MMAD)の算出は、CITDAS(コプレイ吸入器データ解析ソフトウェア)を用いて行われた。
送込み用量(DD)の測定は、単回作動物を投与単位サンプリング装置(欧州薬局方第7版、3825−3829)に回収し、そして、NGI分析のために使用された同じHPLC法を使用することでなされた。
エアゾール性能に関して、混合物AおよびBの結果が、表2に報告されている。
22±2℃、相対湿度60%で、4.5か月間の保管後、混合物Aについて、エアゾール性能を再評価した。データは、表3に纏められている。
例1において得られたrac−グリコピロニウム ブロミドを用いて得られた製剤は、微粒子化工程の3か月後、ならびに、混合調製の4.5か月後、送込み用量の整合性および、約60%のFPFを有する、非常に良好なエアゾール性能を示している。
例4. ジクロロメタン中の湿式ビーズミルを使用した、rac−グリコピロニウム ブロミドの微粒子化粉末の調製
粒の粗いrac−グリコピロニウム ブロミドが、貧溶媒としてのジクロロメタン中に懸濁され(100:1 w/v比)、該縣濁液中に、ジルコニア粉砕媒体を加え、薬物/粉砕媒体の比を、1:40 w/wとした。得られた懸濁液を、次いで、WO2007/020407A2中に開示されている遊星ミル装置内に投入し、該試料を、周囲温度および1バール(100kPa)の下、60分間の加工時間、加工した。後工程として、得られた懸濁液をナイロンフィルターに通し、粒の粗い粉砕媒体を除去し、そして、得られた流動物を金属トレイの上に分注して、微粉層を作製した。その後、周囲温度で静置し、乾燥させて、微細な流動性の粉末を残し、次いで、粒の粗い凝塊を分離するために、100μmメッシュに通した。
微粒子化および乾燥の後、レーザー光回折による粒径解析により、シンパテック乾式分散サイズアナライザーを用いて測定される、2.06μmのd(v0.5)を有する、微粒子化工程は良い結果を示していることが、査証されている。
DVSを使用した、最終生成物の分析においては、当初の粒の粗い薬物と比較して、結晶性または多形性の程度には何らの変化も観測されなかった。
粒度分布(PSD)に関して、結果が、表4に報告されている。
例3に記載されたものと同じ手順に従って、製剤(混合物C)が調製された。表5に報告されたエアゾール性能に関する結果は、活性成分が貧溶媒としてのジクロロメタン中に懸濁された、製剤においても、送込み用量の整合性、ならびに、非常に良好なエアゾール性能(FPF66%)が、得られていることを示している。
例5. パーフルオロヘプタン中の湿式ビーズミルを使用した、rac−グリコピロニウム ブロミドの微粒子化粉末の調製
例1および4に記載されたものと同じ手順を用いて、粒の粗いrac−グリコピロニウム ブロミドを、パーフルオロヘプタンの異性体の混合物中に懸濁させた。45分の加工時間の後、微粒子化物質の粒径を、シンパテック乾式分散サイズアナライザーを用いて測定した。語粒度分布(PSD)に関して、結果が表6に報告されている。
例3に記載されたものと同じ手順に従って、製剤(混合物D)が調製された。そのエアゾール性能が、表7に纏められている。
パーフルオロヘプタンを貧溶媒として使用する、グリコピロニウム塩の粒径の低減は、物理的に安定な、製造された粒子を伴う、好結果の粒径の低減を実証した。
比較例. アセトン中の湿式ビーズミルを使用した、rac−グリコピロニウム ブロミドの微粒子化粉末の調製
アセトン中に、粒の粗い粗rac−グリコピロニウム ブロミドを懸濁させ、そして、該縣濁液中に、ジルコニア粉砕媒体を加えて、薬物/粉砕媒体の比を、1:40 w/wとした。容器を密封し、そして、WO2007/020407A2に開示されている遊星ミル装置の中、周囲温度および大気圧で、200rpmのディスク速度で、60分間、懸濁液を均質化した。60分後、ナイロンメッシュに通して濾過することで、粉砕媒体から、得られる薬物懸濁液を分離し、そして、得られる薬物懸濁液を乾燥トレイ中に載せる。次いで、乾固するまで、25℃、低真空下で、溶媒を蒸発させることで、白色からオフホワイト色のケークが得られるが、該ケークは、機械的な撹拌下では、再分散させることができず、そして、さらに加工をすることができなかった。
従って、高圧均質化による粒径の低減に従来採用されている、水混和性の貧溶媒中での加工は、低い温度での乾燥の間に、不可逆的な粒子の団粒形成を引き起こしている。

Claims (10)

  1. グリコピロニウムの薬学的に許容される塩の微粒子化粒子を調製する方法であって、
    該方法は、下記の工程を有する:
    該グリコピロニウムの薬学的に許容される塩は、1mg/mL未満の溶解度しか有していない、水非混和性貧溶媒を、粉砕媒体を収納している、湿式粉砕装置の微粒子化チャンバー中に送り込む工程、
    前記水非混和性貧溶媒は、
    室温および大気圧(20℃、1気圧)で液体である、ハロアルカン;あるいは、
    15を下回る誘電率と1.3〜2g/cmの密度を有する、室温および大気圧(20℃、1気圧)で液体である、フルオロアルカンまたはヒドロフルオロアルカンから、選択され;
    前記水非混和性貧溶媒中に、該グリコピロニウム塩の粒子を懸濁させる工程、
    該グリコピロニウム塩の粒子/貧溶媒の比率は、50:1 w/v〜150:1 w/vの範囲に選択され;
    50kPa〜200kPaの範囲に選択される、加工圧力で、前記懸濁粒子を微粒子化する工程;
    40℃未満の温度で、真空乾燥または噴霧乾燥によって、得られた微粒子化粒子を乾燥させる工程;
    それによって、前記得られた微粒子化粒子は、下記の特性を有する:
    該得られた微粒子化粒子は、0.5〜1.5の凝集−接着平衡(cohesive-adhesive balance:CAB)値を有し;
    該得られた微粒子化粒子は、グリコピロニウムの薬学的に許容される塩以外の物質を含ま
    該得られた微粒子化粒子の少なくとも90%が、10μm未満の直径を有しており;
    該得られた微粒子化粒子のd(v0.5)は、1〜4.5μmの範囲内にあり;
    該得られた微粒子化粒子の比表面積は、3〜6m/gの範囲にあり;そして、
    該得られた微粒子化粒子は、安定であり、凝塊形成および/または団粒形成を起こし難い、
    ことを特徴とする、方法。
  2. 前記得られた微粒子化粒子を回収する工程をさらに含む、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記薬学的に許容される塩が、有機塩または無機塩である、
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記無機塩が、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、硝酸塩、および硫酸塩からなる群から選択される、
    ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記グリコピロニウムが、臭化物塩の形状である、
    ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 前記グリコピロニウムが、鏡像異性体(3S,2’R)、(3R,2’S)のラセミ混合物の形状である、
    ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 前記貧溶媒が、室温および大気圧において液体である、ハロアルカンである、
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 記貧溶媒が、フルオロアルカンまたはヒドロフルオロアルカンである、
    ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記貧溶媒が、パーフルオロデカン、デカフルオロペンタン、および2H,3H−デカフルオロペンタンからなる群から選択される、
    ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  10. 微粒子化された薬物粒子の洗浄に、第2の貧溶媒を用いる、洗浄工程をさらに含む、
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
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