JP6449137B2 - 水性塗料組成物、それを用いた塗膜の形成方法及び被塗物の補修塗装方法 - Google Patents

水性塗料組成物、それを用いた塗膜の形成方法及び被塗物の補修塗装方法 Download PDF

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Description

本発明は、水性塗料組成物、それを用いた塗膜の形成方法及び被塗物の補修塗装方法に関する。
近年、環境負荷低減の意識が高まり、環境に配慮した商品への置換が求められている。塗料分野においては、例えば、有機溶剤の使用量を低減することが要求されており、水性塗料組成物を用いることにより、このような要求を満たすことができる。
また、自動車分野などにおいては、焼付硬化型塗料組成物を被塗物に塗装し、高温で加熱し硬化させて塗膜を形成する手法が用いられている。しかし、大型で肉厚の被塗物、例えば、重車両、特に鉄道車両を塗装する場合、被塗物の熱容量が高いので、焼付硬化型塗料組成物を使用することは困難である。そこで、このような被塗物を塗装する場合、常温でも塗膜形成を行える、常温塗膜形成型塗料組成物が選択されている。
常温塗膜形成型塗料組成物として、例えば、イソシアネート硬化型の2液硬化型塗料組成物が知られている(特許文献1〜6参照)。このような塗料組成物は、2以上のイソシアネート基を有する化合物の溶液と、水酸基等のイソシアネート基と反応する官能基を2以上有する樹脂の溶液とを含む2液硬化型の塗料組成物であり、イソシアネート基と水酸基等との硬化反応によって塗膜を形成するものである。更に、硬化反応(塗膜の形成)を常温でも行うことができ、熱硬化を行わなくてもよい。
鉄道車両などの重車両には、美観及び光沢などの優れた塗膜外観が要求されている。更に、太陽光、風雨塵埃などに晒されながら、高温多湿から厳寒までの過酷な環境下で長期間使用されるので、優れた塗膜物性、例えば、耐候性、硬度及び耐チッピング性を有する常温塗膜形成型塗料組成物が要求されている。
更に、鉄道車両の場合、ブレーキ及びパンタグラフなどから発生する金属粉が、車両表面に付着して酸化し、その状態で車両の塗膜に固着してしまう。このような酸化金属粉が塗膜に固着すると、錆が形成され、塗膜物性の低下及び塗膜外観の低下が引き起こされる。このため、鉄道車両などにおいては、金属粉を除去するために、酸性の洗浄液などを用いて汚れを除去している。また、鉄道車両は、虫の衝突及び油類などに起因する汚れが車両表面に強固に付着しており、これらの汚れを例えばアルカリ性の洗浄液を用いて除去している。
よって、鉄道車両等に用いる塗膜は、耐酸性及び耐アルカリ性のいずれも満たす耐薬品性を有し、常温で塗膜を形成できる塗料組成物から形成される必要がある。
その上、新幹線などの高速鉄道車両においては、より苛酷な環境下での走行を長時間行うため、一般的な塗膜に比べて、より優れた塗膜物性及び塗膜外観を有する塗膜が必要とされている。
上述のように、鉄道車両などの重車両における使用環境は苛酷であるので、優れた塗膜外観及び優れた塗膜物性を保つために、定期的に塗料を塗り直している(再塗装による塗膜形成)。再塗装を行う場合、例えば、鉄道車両の新車製造時(新造時)に形成された塗膜(旧塗膜)の上から、必要に応じて適切な前処理を行い、補修用の塗料組成物を塗装し直すことが一般的である。
例えば、新造時に形成された塗膜を有する被塗物に、補修用の塗膜を形成する場合、被塗物上に形成された塗膜に対して、補修用の塗膜が良好に付着しなければならない。また、補修用の塗料組成物は、被塗物に形成されている塗膜だけでなく、補修時において必要に応じて用いられるプライマー、パテなどに対しても良好な付着性を有することが要求される。
しかし、鉄道車両などの重車両に必要とされる塗膜外観及び塗膜物性を有し、更に、塗膜を有する被塗物と良好な付着性を有し、有機溶剤の使用量を低減でき、かつ、常温で塗膜を形成できる水性塗料組成物は、未だ得られていない。
特許第2952522号公報 特開平09−302309号公報 特許第4118969号公報 特開2003−192982号公報 特開2005−179614号公報 特開2006−257141号公報
本発明は、上記現状に鑑み、優れた塗膜外観、及び塗膜物性、例えば、塗膜強度、耐久性及び耐薬品性等の諸物性を有する塗膜を常温で形成でき、有機溶剤の使用量を低減でき、塗膜を有する被塗物に対しても優れた付着性を有する水性塗料組成物を提供することを目的とする。更に、本発明は、このような特性を有する水性塗料組成物を用いる塗膜の形成方法、及びそれを用いた被塗物の補修塗装方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
本発明の水性塗料組成物は、水酸基を有する樹脂を含む水性主剤(I)及び水分散性硬化剤(II)を含む水性塗料組成物であって、
前記水性主剤(I)は、水酸基価が5〜200mgKOH/gであり、酸価が5〜100mgKOH/gであり、数平均分子量が1000〜100000である水溶性又は水分散性の高分子ポリオール(a)を含み、
前記水分散性硬化剤(II)は、水分散性ポリイソシアネート(b)を含み、かつ、
前記水分散性ポリイソシアネート(b)は、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)とイオン変性ポリイソシアネート(b−2)とを含み、及び
前記水分散性ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基と前記高分子ポリオール(a)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)が0.5〜3.0である、水性塗料組成物である。
[2]
前記ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)の含有量が、前記水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して10〜100質量部であり、
前記イオン変性ポリイソシアネート(b−2)の含有量が、前記水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して3〜50質量部であることが好ましい。
[3]
前記ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)及び前記イオン変性ポリイソシアネート(b−2)の配合質量比((b−1)/(b−2))が、10/1〜2/1であることが好ましい。
[4]
前記ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)が、アロファネート変性ポリイソシアネートであることが好ましい。
[5]
前記イオン変性ポリイソシアネート(b−2)が、スルホン酸変性ポリイソシアネートであることが好ましい。
[6]
前記水分散性硬化剤(II)は、更に、溶解度パラメータが8.0〜10.0でイソシアネート基に対して不活性な有機溶剤を含むことが好ましい。
[7]
前記水性主剤(I)は、更に、溶解度パラメータが8.0〜10.0でイソシアネート基に対して不活性な有機溶剤を含むことが好ましい。
[8]
前記高分子ポリオールがアクリルポリオールであることが好ましい。
[9]
本発明はまた、被塗物に、上記水性塗料組成物を塗装し、硬化させることにより、塗膜を形成する工程を含む、塗膜の形成方法も提供する。
[10]
前記被塗物が、鉄道車両であることが好ましい。
[11]
本発明は更に、塗膜を有する被塗物に、上記水性塗料組成物を塗装し、硬化させることにより、前記被塗物の塗装を補修する工程を含む、被塗物の補修塗装方法も提供する。
[12]
前記被塗物が、鉄道車両であることが好ましい。
本発明の水性塗料組成物は、美観はもちろんのこと、太陽光、風雨塵埃などに晒され、高温多湿から厳寒までの過酷な環境下であっても長期間使用できる優れた耐久性、耐チッピング性及び耐薬品性を有する。また、本発明に係る水性塗料組成物を用いることにより、水性塗料でありながらも、従来から使用されている、主たる溶媒に有機溶剤を用いる塗料と同等又はそれ以上の塗膜性能を得ることができ、その上、有機溶剤の使用量を低減でき、環境負荷の低減が可能である。更に、本発明に従い、2種のイソシアネートの併用及び主剤樹脂中の水酸基と硬化剤樹脂中のイソシアネート基の配合比率を適正化することにより、2液混合性は向上し、硬化反応による成膜状態を安定化できる。
加えて、本発明によると、本発明の水性塗料組成物を塗装し硬化させることにより塗膜を形成する工程を含む塗膜の形成方法、重車両、例えば、鉄道車両表面の塗装を補修する被塗物の補修塗装方法が提供される。本発明方法によると、例えば、車両の新造時に形成された塗膜層(旧塗膜)の上から本発明の水性塗料組成物を塗装し、硬化させることにより塗膜を形成でき、更に、得られた塗膜は、優れた塗膜外観、塗膜強度、耐久性、耐薬品性、及び旧塗膜との付着性等の諸物性を示すことができる。このような優れた塗膜物性及び塗膜外観を有することにより、本発明による水性塗料組成物は、使用条件が苛酷であり、かつ優れた塗膜外観の保持が要求されている高速鉄道車両(例えば新幹線)における、塗膜のメンテナンスに適用できる。
所定の水分散性ポリイソシアネート(b)を含む水分散性硬化剤(II)と、所定の水性主剤(I)とを含む本発明の水性塗料組成物は、水性塗料でありながらも、従来から使用されている、主たる溶媒に有機溶剤を用いる塗料と同等又はそれ以上の塗膜性能を得ることができる。
<(II)水分散性硬化剤>
本発明の硬化剤(II)は、水分散性を有する水分散性硬化剤(II)である。水分散性硬化剤(II)は、所定の水分散性ポリイソシアネート(b)を含む。水分散性ポリイソシアネート(b)は、水などの水性媒体に添加したときに分離することなく分散可能なポリイソシアネート化合物である。
水分散性ポリイソシアネート(b)を含む水分散性硬化剤(II)を水中に分散した際に、疎水性構造単位であるイソシアネート単位が粒子内部に集合し、分散粒子外側に親水性構造単位が向くことによって、ミセル構造が形成されるものと推測される。このような作用により、水分散性ポリイソシアネート(b)を含む水分散性硬化剤(II)は、水性媒体、例えば水中で安定に存在できる。すなわち、水と高い反応性を有するイソシアネート基がミセル内部において疎水性状態で存在し得るので、水性媒体中での脱炭酸反応が抑制され、貯蔵安定性を良好にすることができると推測される。
上述したように、所定の水分散性ポリイソシアネート(b)を有することにより、硬化剤を水分散性にできる。更に、硬化剤(II)が、上記水性主剤(I)と所定の関係で水分散性ポリイソシアネート(b)を含むことにより、水性主剤(I)と水分散性硬化剤(II)の混合性を向上でき、その上、塗膜品質を向上できる。加えて、本発明の塗料組成物は、水性主剤(I)と水分散性硬化剤(II)を含むので、塗料組成物全体に占めるに有機溶剤の割合を、常套の塗料組成物と比べて大きく低減できる。
本発明の水性塗料組成物は、2液硬化型の塗料組成物であり、使用直前に水性主剤(I)及び水分散性硬化剤(II)を混合して使用するものである。本発明の水性塗料組成物においては、水分散性ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基と前述した高分子ポリオール(a)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)は、0.5〜3.0であり、好ましくは0.6〜2.7、更に好ましくは1.0〜2.0である。
イソシアネート基と水酸基との当量比が0.5未満の場合、十分な塗膜強度を得られないおそれがある。また、当量比が3.0を超える場合、過剰のイソシアネート基が水と反応し、二酸化炭素の発生が多くなり、塗膜外観が低下するおそれがある。
本発明に係る水分散性ポリイソシアネート(b)は、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)及びイオン変性ポリイソシアネート(b−2)を少なくとも含む。したがって、水分散性ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基は、少なくとも、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)に含まれるイソシアネート基とイオン変性ポリイソシアネート(b−2)に含まれるイソシアネート基の合計で表される。
好ましい実施態様において、本発明の水性塗料組成物は、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)を、水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して10〜100質量部の量で含み、好ましくは、20〜60質量部の量で含む。
ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)の量が水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して10質量部未満であると、ポリイソシアネート(b)が水分散性を示さないおそれがあり、得られた塗膜の耐水性や耐薬品性が不十分であるおそれがある。また、100質量部を超えると、得られた塗膜の塗膜外観や耐水性が低下するおそれがある。
更に好ましい実施態様において、本発明の水性塗料組成物は、イオン変性ポリイソシアネート(b−2)を水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して3〜50質量部の量で含み、好ましくは、5〜30質量部の量で含む。
イオン変性ポリイソシアネート(b−2)の量が水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して3質量部未満であると、ポリイソシアネート(b)が水分散性を示さないおそれがあり、得られた塗膜の塗膜外観が低下するおそれがある。また、50質量部を超えると、得られた塗膜の耐水性や耐薬品性が低下するおそれがある。
好ましい実施態様において、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)及びイオン変性ポリイソシアネート(b−2)の配合質量比((b−1)/(b−2))は、10/1〜2/1であり、好ましくは5/1〜3/1である。
ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)及びイオン変性ポリイソシアネート(b−2)の配合質量比が、10/1〜2/1の範囲を外れると、ポリイソシアネートが十分な水分散性を示さないおそれがあり、かつ得られた塗膜の塗膜外観、耐水性及び耐薬品性が低下するおそれがある。
ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)及びイオン変性ポリイソシアネート(b−2)に含まれるポリイソシアネートは、本発明の範囲を逸脱しない限り特に限定されない。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)などの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族のポリイソシアネート;及びそのビュレットタイプ、ヌレートタイプ、TMPアダクトタイプ等の多量体を挙げることができる。これらの2以上のポリイソシアネートの混合物であってもよい。
好ましくは、ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族のポリイソシアネートであり、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及び/又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)である。このようなポリイソシアネート化合物は、芳香族系のイソシアネート化合物と比べて反応性が低く、水などの水性媒体との副反応を抑制できる。更に好ましくは、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)に含まれるポリイソシアネートと、イオン変性ポリイソシアネート(b−2)に含まれるポリイソシアネートは、同一種のポリイソシアネートである。
本発明の範囲を逸脱しない範囲で、所望によりポリイソシアネート鎖を変性してもよく、更に、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基によって架橋反応が生じてもよい。多量体であるポリイソシアネート化合物は、3官能以上であることから、複数のイソシアネート基のうち少なくとも1つを変性してもよく、また、少なくとも2つのイソシアネート基により架橋反応が生じてもよい。
<ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)>
ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)は、ポリイソシアネートをノニオン性基で変性したものである。好ましくは、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)は、ノニオン型の親水性基で変性したポリイソシアネートである。
ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)は、自己乳化型ポリイソシアネートであってもよい。このような性質により、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)は、低い撹拌力で分散媒に均一に分散できる。
ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)は、上述のポリイソシアネートに、親水性化合物、例えば、親水性ポリオール又は親水性ポリエーテル(例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドとそれのアルコキシル化反応生成物)を付加することにより得られる、ノニオン型の親水性基を有するポリイソシアネートであってもよい。
例えば、親水性化合物としては、ポリアルキレングリコールを挙げることができ、なかでもポリアルキレングリコールの一種であるポリエチレングリコールによって変性したものが好ましい。また、親水性化合物は、片末端をメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基で封鎖したポリエチレングリコールであってもよい。
好ましくは、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)は、ノニオン型の親水性基を有し、更にイソシアネート鎖にアロファネート基を導入したアロファネート変性ポリイソシアネートであってもよい。
親水性化合物による変性は、変性ポリイソシアネート化合物1分子あたり平均2個以上のイソシアネート基が残存するような割合で行うことが好ましい。イソシアネート基が2未満であると架橋反応が充分に進行しないおそれがある。
ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)は、市販品を用いてもよい。市販されているものとしては、バイヒジュール(登録商標)3100、バイヒジュール(登録商標)302、バイヒジュール(登録商標)XP2451、バイヒジュール(登録商標)304、バイヒジュール(登録商標)305、バイヒジュール(登録商標)XP2700、バイヒジュール(登録商標)401−70、バイヒジュール(登録商標)VP LS2150BA(いずれも住化バイエルウレタン株式会社製)を挙げることができる。
<イオン変性ポリイソシアネート(b−2)>
イオン変性ポリイソシアネート(b−2)は、ポリイソシアネートをイオン性基で変性したものである。好ましくは、イオン変性ポリイソシアネート(b−2)は、アニオン型のイオン性基で変性したポリイソシアネートである。アニオン型のイオン性基は、例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、ケイ酸、硫酸エステル、リン酸エステル等及びそれらの金属塩又は有機塩などが挙げられ、更に好ましくは、スルホン酸変性ポリイソシアネートである。
イオン変性ポリイソシアネート(b−2)は、自己乳化型ポリイソシアネートであってもよい。このような性質により、イオン変性ポリイソシアネート(b−2)は、低い撹拌力で分散媒に均一に分散できる。
アニオン型のイオン性基による変性は、変性ポリイソシアネート化合物1分子あたり平均2個以上のイソシアネート基が残存するような割合で行うことが好ましい。イソシアネート基が2未満であると架橋反応が充分に進行しないおそれがある。
イオン変性ポリイソシアネート(b−2)は、市販品を用いてもよい。市販されているものとしては、バイヒジュール(登録商標)XP2655、バイヒジュール(登録商標)XP2487、バイヒジュール(登録商標)XP2547(いずれも住化バイエルウレタン株式会社製)を挙げることができる。
水分散性硬化剤(II)は、その水分散性を損なわない範囲で有機溶剤を含むことができる。また、本発明においては、硬化剤(II)が水分散性を有する限り、本発明の塗料組成物は水性の組成物である。
好ましくは、水分散性硬化剤(II)は、溶解度パラメータ(SP値)が8.0〜10.0でイソシアネート不活性な有機溶剤を含むことができる。溶解度パラメータは溶解性の尺度となるものであり、次のようにして算出される。(参考文献:SUH,CLARKE〔J.P.S.A−1,5,1671−1681(1967)〕)。
サンプルとして、有機溶剤0.5gを100mlビーカーに秤量し、アセトン10mlを、ホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解したものを使用する。このサンプルに対して測定温度20℃で、50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。貧溶媒は、高SP貧溶媒としてイオン交換水を用い、低SP貧溶媒としてn−ヘキサンを使用して、それぞれ濁点測定を行う。有機溶剤のSP値δは下記計算式によって与えられる。
δ=(Vml 1/2δml+Vmh 1/2δmh)/(Vml 1/2+Vmh 1/2
=V/(φ+φ
δ=φδ+φδ
: 溶媒の分子容(ml/mol)
φ : 濁点における各溶媒の体積分率
δ : 溶媒のSP値
ml : 低SP貧溶媒混合系
mh : 高SP貧溶媒混合系
有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)が8.0未満の場合、塗料組成物における水性主剤(I)と水分散性硬化剤(II)との混和性が低下し、塗膜が十分に硬化せず、所望の塗膜外観及び塗膜物性が得られないおそれがある。また、10.0を超える場合、水分散性ポリイソシアネート(b)との混和性が低下し、所望の塗膜外観及び塗膜物性が得られないおそれがある。
水性主剤(II)に含まれ得る有機溶剤は、イソシアネート不活性なものであることが必要である。すなわち、イソシアネート基との反応を生じない有機溶剤でなければならない。これは、水分散性硬化剤(II)に含まれる水分散性ポリイソシアネート(b)を安定に貯蔵するために必要とされる性質であり、イソシアネート基と反応する官能基を有さない、との意味である。イソシアネート基と反応する官能基とは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などであり、これらの官能基を有さない有機溶剤を使用できる。
前記有機溶剤は、沸点が80〜260℃であることが好ましい。このような範囲に沸点を有することにより、ワキ、発泡などの塗膜外観不良を抑制でき、更に、塗膜中に残存する溶媒量を低減できるので、優れた塗膜性能を得ることができる。
このような有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジブチルエーテル(ジブチルジグリコール、DBDG)、又はエチルジグリコールアセテート(EDGAC)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、キシレン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。ジエチレングリコールジブチルエーテル(ジブチルジグリコール、DBDG)又はエチルジグリコールアセテート(EDGAC)が好ましい。このような有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
水分散性硬化剤(II)に含まれる有機溶剤は、水分散性ポリイソシアネート(b)成分100質量部に対して10〜70質量%、好ましくは20〜65質量%である。また、複数種の有機溶剤を用いる場合においても、有機溶剤の合計量が前記範囲となるよう、有機溶剤の使用量を調整することができる。
水分散性硬化剤(II)に含まれる有機溶剤の量が10質量%未満であると、水性主剤(I)との混和性が不十分となり、得られた塗膜の塗膜外観が低下し、所望の塗膜物性が得られないおそれがある。また、有機溶剤の量が70質量%を超えると、臭気等環境への負荷が大きくなる。
水分散性硬化剤(II)は、上記成分のほかに、分散剤、消泡剤、着色顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、架橋樹脂粒子、表面調整剤、造膜助剤、アルミフレーク、マイカなどの光輝剤や防錆顔料、防錆剤、増粘剤等を配合してもよい。
水分散性硬化剤(II)は、例えば、分散剤と顔料、必要に応じて消泡剤を混合して、SGミル等の分散機で所定の粒度になるまで粉砕し、次いで、水分散性ポリイソシアネート(b)成分、必要に応じて溶媒及び/又は所望によるその他添加剤を加えて撹拌することにより調製できる。
<水性主剤(I)>
本発明における水性主剤(I)は、水酸基を有する樹脂を含む。本発明における水性主剤(I)は、水酸基を有する樹脂として、水酸基価が5〜200mgKOH/gであり、酸価が5〜100mgKOH/gであり、数平均分子量が1000〜100000である高分子ポリオール(a)を含む。好ましくは、水性主剤(I)は、水溶性又は水分散性の高分子ポリオール(a)を含む。
<高分子ポリオール(a)>
高分子ポリオール(a)は、様々な形態のポリオール、例えば、分散型又は水溶性のポリオールであることができる。分散型のポリオールは、乳化型のポリオールであってもよい。外観良好な塗膜を形成でき、有機溶剤の使用量を低減できるという観点から水溶性又は水分散性の高分子ポリオールを使用することが好ましい。好ましい実施態様においては、水分散性の高分子ポリオールを使用することがより好ましい。本発明における水分散性の高分子ポリオールとは、例えば、上記高分子ポリオール中に含まれるカルボン酸基の一部又は全部を塩基性化合物で中和することによって、水中に分散させたものである。
高分子ポリオール(a)の水酸基価は5〜200mgKOH/g、好ましくは50〜150mgKOH/gである。水酸基価が5mgKOH/g未満の場合、イソシアネート基との反応基が少ないため、十分な塗膜強度が得られないおそれがあり、また、200mgKOH/gを超える場合は、得られた塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
また、高分子ポリオールの酸価は5〜100mgKOH/g、好ましくは10〜50mgKOH/gである。酸化が5mgKOH/g未満の場合、高分子ポリオールの水分散性が低下するおそれがあり、また、100mgKOH/gを超える場合は、得られた塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
更に、高分子ポリオールの数平均分子量は1000〜100000であり、好ましくは2000〜50000であり、特に好ましくは3000〜10000である。数平均分子量が1000未満の場合、十分な塗膜強度が得られない恐れがあり、また、100000を超える場合は、塗料の粘度が高くなりすぎ、得られた塗膜の外観が低下するおそれがある。
なお、本明細書における酸価及び水酸基価は、それぞれ固形分酸価、固形分水酸基価を表し、いずれもJIS K 0070に記載される公知の方法によって測定することができる。また、本明細書における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いたスチレンホモポリマー換算の数平均分子量を意味する。
高分子ポリオール(a)は、本発明の範囲に含まれる限り特に限定されず、例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール等を使用できる。なかでも、塗膜外観、耐候性、耐薬品性等の諸物性が良好であることから、アクリルポリオールを使用することが好ましい。
アクリルポリオールとしては特に限定されず、ラジカル重合性の不飽和単量体組成物の重合によって得られ、上記物性を有するアクリルポリオールであればよい。上記ラジカル重合性の不飽和単量体としては、上記水酸基価を得るために必要な水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体、上記酸基を得るために必要なカルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体及びその他の単量体を上記物性が得られるような割合で混合したものを使用することができる。
カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボン酸又はこれらのジカルボン酸モノエステル等を挙げることができる。なかでもアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。また、これらは単独で使用してもよく、併用してもよい。
その他のラジカル重合性単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n、i及びt−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n、i及びt−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類等を挙げることができる。
アクリルポリオールは、無溶媒又は適当な有機溶剤の存在下において重合反応を行い、水中に滴下、混合し、必要に応じて過剰な溶媒を除去することによって、水性アクリルポリオールとすることができる。
例えば、重合開始剤には、ラジカル重合開始剤として当該技術分野において既知の開始剤を使用できる。例えば、重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシド及びクメンハイドロパーオキシドなどの有機過酸化物、アゾビスシアノ吉草酸及びアゾイソブチロニトリルなどの有機アゾ化合物などが挙げられる。
重合は、80〜140℃の温度で1〜8時間、当業者に周知の操作で行い得る。例えば、加熱した有機溶剤中に、ラジカル重合性単量体及び重合開始剤を滴下することにより重合を行える。重合に用いる有機溶剤は、特に限定されないが、沸点が60〜250℃程度のものが好ましい。好適に用いうる有機溶剤には、酢酸ブチル、キシレン、トルエン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルエーテルアセテートのような非水溶性有機溶剤;及びテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、ジオキサン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2−メトキシプロパノール、2−ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルジグリコール、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのような水溶性有機溶剤が挙げられる。
重合により得られたアクリルポリオールに中和剤を加えて、アクリルポリオールに含まれる酸基の少なくとも一部を中和してもよい。この工程により、アクリルポリオールに対して、上記所定の物性及び水分散性を良好に付与できる。中和剤は水分散性樹脂組成物を調製する際にその中に含まれる酸基を中和するために一般的に用いられているものであれば特に限定されない。例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミンのような有機アミン、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムのような無機塩基類が挙げられる。これら中和剤は単独で使用してもよく、併用してもよい。
更に、中和アクリルポリオールに対し水を混合、又は水中に中和アクリルポリオールを混合することにより、アクリルポリオールを水分散させ、水性主剤(I)に用いる水分散性アクリルポリオールを得てもよい。必要に応じて、中和剤の添加前、若しくは水分散後に、過剰な有機溶剤を除去してもよい。
アクリルポリオールとしては市販のものを使用してもよい。市販のものとしては特に限定されず、例えば、MACRYNAL VSM6299/42WAなどの、MACRYNALシリーズ(Surface Specialties社製)、BAYHYDROL XP2470などのBAYHYDROLシリーズ(Bayer AG社製)、バーノック WD−551などのバーノックシリーズ(DIC社製)などを挙げることができる。
水性主剤(I)は、好ましくはイオン交換水又は蒸留水などの水を含む。
好ましい実施態様において、水性主剤(I)は、水に加えて、溶解度パラメータが8.0〜10.0でイソシアネート不活性な有機溶剤を含むことができる。溶解度パラメータは前記のように算出される。
有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)が8.0未満の場合及び10.0を超える場合は、塗料組成物における水性主剤(I)と水分散性硬化剤(II)との混和性が低下し、塗膜が十分に硬化せず、所望の塗膜外観及び塗膜物性が得られないおそれがある。
上記溶解度パラメータの値の近い有機溶剤同士は親和性が高く、相互に溶解しあう性質を有するため、所望により水性主剤(I)に用いる有機溶剤と、硬化剤(II)に含まれる有機溶剤は、同一又は性質の近似した有機溶剤であることが好ましい。
水性主剤(I)に含まれ得る有機溶剤は、イソシアネート不活性なものであることが必要である。すなわち、イソシアネート基との反応を生じない有機溶剤でなければならない。これは、塗膜形成にあたり、水性主剤(I)と水分散性硬化剤(II)を混合した際、硬化不良を防止するために必要とされる性質であり、水分散性硬化剤(II)に含まれる水分散性ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基と反応する官能基を有さない、との意味である。イソシアネート基と反応する官能基とは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基などであり、これらの官能基を有さない有機溶剤を使用できる。
水性主剤(I)に含まれ得る有機溶剤は、沸点が80〜260℃であることが好ましい。このような範囲に沸点を有することにより、ワキ、発泡などの塗膜外観不良を抑制でき、また、塗膜中に残存する有機溶剤量を低減できるので、塗膜性能の低下を回避できる。
水性主剤(I)に含まれ得る有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジブチルエーテル(ジブチルジグリコール、DBDG)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、キシレン、エチルジグリコールアセテート(EDGAC)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、n−ブチルアルコール、メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。好ましくは、ジエチレングリコールジブチルエーテル(ジブチルジグリコール、DBDG)、又はエチルジグリコールアセテート(EDGAC)である。
水性主剤(I)は、上記成分のほかに、分散剤、消泡剤、着色顔料、体質顔料、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、架橋樹脂粒子、表面調整剤、造膜助剤、アルミフレーク、マイカなどの光輝剤、防錆剤及び増粘剤などを含んでもよい。
水性主剤(I)は、例えば、分散剤と顔料、必要に応じて消泡剤を混合して、SGミル等の分散機で所定の粒度になるまで粉砕し、次いで、アクリルポリオール、必要に応じて溶媒を加え、所望によりその他添加剤を加えて撹拌することにより調製できる。
本発明に係る水性主剤(I)と水分散性硬化剤(II)の混合は、当該技術分野において公知の方法を用いて行える。好ましくは、混合は、塗装の直前に行われ、塗装ガンの中で行うこともできる。
好ましい実施態様において、本発明の水性塗料組成物は、塗料に一般的に含まれるその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤等が挙げられる。本発明の水性塗料組成物には、光輝性顔料や着色顔料や体質顔料等の顔料成分を含有させることも可能である。
上記その他の成分を用いる場合、水分散性硬化剤(II)に含まれる水分散性ポリイソシアネート(b)のイソシアネート基との反応を避けるために、当該その他の成分と水性主剤(I)とを、水分散性硬化剤(II)と混合する前に混合しておくことが好ましい。
<塗膜の形成方法>
本発明は、更に、塗膜の形成方法を提供し、この方法は、被塗物に本発明の水性塗料組成物を塗装し、硬化させることにより、塗膜を形成する工程を含む。
被塗物において用いられる基材は、特に限定されないが、例えば、木、金属、ガラス、布、プラスチック、発泡スチロール、コンクリート、窯業系材料などを含む。被塗物において用いられる基材として、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛及びこれらの金属を含む合金などの金属基材が挙げられる。これらの基材に対して、必要に応じた化成処理(例えば、ジルコニウム化成処理、リン酸亜鉛化成処理など)を施した後、基材に本発明の水性塗料組成物を塗装し、塗膜を形成してもよい。
好ましくは、被塗物は、一般工業用の被塗物、例えば、弱電・重電機器、建設機械、農業機械、鋼製家具、工作機械、大型車両、アルミ建材、窯業系建材、建築、橋梁等である。更に好ましくは、被塗物は、鉄道車両である。好ましい実施態様において、本発明による塗膜の形成方法は、新幹線などの高速鉄道車両における塗膜の形成に適用できる。
本発明の水性塗料組成物を塗装する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等の一般に用いられている塗装方法等を挙げることができる。これらは被塗物に応じて適宜選択することができる。例えば、一般工業用の被塗物の場合、水性塗料組成物の塗装を静電塗装機により行ってもよい。
水性塗料組成物の塗装は、塗膜形成後の乾燥膜厚が20〜100μm、好ましくは30〜50μmとなるように行われる。水性塗料組成物の硬化は、20℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で、例えば10分〜7日かけて行う。
<被塗物の補修塗装方法>
本発明は、更に、被塗物の補修塗装方法を提供する。本発明における被塗物の補修塗装方法は、被塗物に、本発明の水性塗料組成物を塗装し、硬化させ、塗膜を形成することにより、被塗物表面の塗膜を補修する工程を含む。更に好ましくは、本発明における被塗物の補修塗装方法は、塗膜、例えば、下塗り層、中塗り層、上塗り層などを有する被塗物表面の塗装を補修する工程を含む。
本発明において、補修とは、例えば、塗膜が経年劣化したり、何らかの理由で塗膜欠陥が生じたりした場合に、その塗膜全体又はその一部に対して塗膜を形成することを意味する。また、塗膜を有する被塗物は、一般工業用の被塗物の新造時に形成された塗膜だけでなく、過去の補修により形成された塗膜を有していてもよい。
被塗物において用いられる基材は、上述したように特に限定されない。被塗物は、好ましくは、一般工業用の被塗物、例えば、弱電・重電機器、建設機械、農業機械、鋼製家具、工作機械、大型車両、アルミ建材、窯業系建材、建築、橋梁等である。更に好ましくは、被塗物は、鉄道車両である。また、被塗物は、その最表面に、塗膜を有していてもよい。塗膜として、例えば、水性塗料組成物、溶剤系塗料組成物、粉体塗料組成物などの塗料組成物を塗装して形成された塗膜などが挙げられる。好ましい実施態様において、本発明による被塗物の補修塗装方法は、高速鉄道車両(例えば新幹線)の塗膜のメンテナンス、例えば塗替えにも適用できる。本発明による被塗物の補修塗装方法によれば、作業性に優れ、振動、衝撃等による塗膜脱落を有効に防止でき、耐久性に富んだ美しい外観の塗膜を得ることができる。
本発明の水性塗料組成物を用いて被塗物の補修塗装を行うことにより、補修前に塗装された塗膜に対しても、良好な付着性を有する塗膜を形成できる。例えば、一般工業用被塗物の補修に本発明における被塗物の補修塗装方法を用いることにより形成される塗膜は、被塗物の新造時と同等又はそれ以上の優れた塗膜物性及び優れた塗膜外観を有する。更に、本発明の水性塗料組成物は、常温の環境下であっても短時間で硬化できるので、塗膜形成に要する時間を短縮できる。また、乾燥設備を用いる場合、更に短い時間で塗膜を形成できる。加えて、本発明の水性塗料組成物を用いる補修方法は、有機溶剤を大幅に低減でき、環境負荷も低減できる。
本発明による被塗物の補修塗装方法においては、上述した塗膜の形成方法と同様の条件で水性塗料組成物を塗装し、塗膜を形成できる。すなわち、当該技術分野において既知の方法により前処理を行った被塗物に、本発明の水性塗料組成物を塗装し、塗膜を形成してもよい。例えば、鋼板等の基板に達するまで補修部分をグラインダー研磨したあと、乾燥性の良好な1液プライマー又は2液プライマーを施し、次いでパテ材を施し、研磨したあと、所望によりプライマーサーフェーサーを施してもよい。更に、本発明に係水性塗料組成物を塗装し、塗膜を形成できる。好ましくは、本発明の水性塗料組成物の塗装を静電塗装機により行ってもよい。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中「部」及び「%」は、ことわりのない限り質量基準による。
(実施例1〜8、比較例1〜8)
実施例1〜8及び比較例1〜8において、塗料組成物を調製し、形成した塗膜の物性を評価した。表1に示した組成を有する主剤及び硬化剤を、実施例1〜8及び比較例1〜8において使用した。主剤及び硬化剤の各原料は、以下のものを使用した。
<水性主剤(I)>
DISPERBYK−190:BYK Chemie社製、分散剤
SN デフォーマー 777:サンノプコ株式会社製、消泡剤
TIPAQUE CR97:石原産業株式会社製、顔料(酸化チタン)
バーノック WD−551:DIC社製、高分子ポリオール(アクリルディスパージョン:酸価(20)、水酸基価(100)、分子量(4600))
BAYHYDROL XP2470:住化バイエルウレタン社製、高分子ポリオール(アクリルディスパージョン:酸価(20)、水酸基価(129)、分子量(4300))
BYK−346:BYK Chemie社製、表面調整剤
DBDG(ジブチルジグリコール):有機溶剤(溶解度パラメータ(8.4))
EDGAC(エチルジグリコールアセテート):有機溶剤(溶解度パラメータ(9.5))
ニトロベンゼン:有機溶剤(溶解度パラメータ(10.7))
ジイソブチルケトン:有機溶剤(溶解度パラメータ(7.8))
<水分散性硬化剤(II)>
バイヒジュール(登録商標)304:住化バイエルウレタン株式会社製、ノニオン変性ポリイソシアネート(親水性ポリエーテルをHDIトリマーに付加させ生成したウレタン基に、更にHDIトリマーを付加させてアロファネート基を導入したものであって、ノニオン型の親水性基を有し、更にイソシアネート鎖にアロファネート基を導入したアロファネート変性ポリイソシアネート)
バイヒジュール(登録商標)3100:住化バイエルウレタン株式会社製、ノニオン変性ポリイソシアネート(ポリエーテル変性ポリイソシアネート)
バイヒジュール(登録商標)XP2655:住化バイエルウレタン株式会社製、イオン変性ポリイソシアネート(HDIトリマーにスルホン酸塩基を付加し導入したもの)
バイヒジュール(登録商標)XP2547:住化バイエルウレタン株式会社製、イオン変性ポリイソシアネート
DBDG(ジブチルジグリコール):有機溶剤(溶解度パラメータ(8.4))
EDGAC(エチルジグリコールアセテート):有機溶剤(溶解度パラメータ(9.5))
ニトロベンゼン:有機溶剤(溶解度パラメータ(10.7))
ジイソブチルケトン:有機溶剤(溶解度パラメータ(7.8))
<塗膜の製造例1>
厚さ0.8mm、70×150mmサイズのJIS G 3141(SPCC〜SD)冷間圧延鋼板を溶剤脱脂した後に、溶剤型プライマー塗料として、主剤としてユニエポック30プライマーNC(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製)を、硬化剤としてユニエポック30プライマー硬化剤(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製)を含む塗料組成物を、ディスパーを用いて混合し、乾燥膜厚が30〜50μmとなるように、スプレーガンを用いて塗装し、23℃にて1日間乾燥させた。次に、この冷間圧延鋼板上のプライマー塗膜の表面に、サーフェーサー(中塗り)塗料として、主剤としてnaxBESノンサンプラサフHS(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製)を、硬化剤としてnaxBESノンサンプラサフハードナーHS(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製)を含む塗料組成物を、ディスパーを用いて混合し、乾燥膜厚が40〜50μmとなるようにスプレーガンを用いて塗装し、23℃にて1日間乾燥させた。更に、上塗り塗料として、実施例1、3〜8又は比較例1〜8において調製した水性主剤(I)及び水分散性硬化剤(II)を所定の配合にてディスパーを用いて混合し、上記サーフェーサー塗膜の表面に、乾燥膜厚が30〜50μmとなるようにスプレーガンを用いて塗装し、60℃で1時間乾燥させた。
<塗膜の製造例2>
塗膜の製造例1と同様にして、冷間圧延鋼板上にプライマー塗膜及びサーフェーサー(中塗り)塗膜を形成させた。更に、上塗り塗料として、実施例1において調製した水性主剤(I)及び水分散性硬化剤(II)を所定の配合にてディスパーを用いて混合し、上記サーフェーサー塗膜の表面に、乾燥膜厚が30〜50μmとなるようにスプレーガンを用いて塗装し、23℃にて1日間乾燥させた(実施例2)。
<塗膜の製造例3>
塗膜の製造例1と同様にして、冷間圧延鋼板上にプライマー塗膜及びサーフェーサー(中塗り)塗膜を形成させた。更に、上塗り塗料として、主剤としてnax マイティラック G−II KB(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製)を、硬化剤としてnax マイティラック G−II ハードナー(日本ペイント・インダストリアルコーティングス社製)を含む塗料組成物を、ディスパーを用いて混合し、上記サーフェーサー塗膜の表面に、乾燥膜厚が40〜50μmとなるようにスプレーガンを用いて塗装した。その後、60℃にて1時間間乾燥させ、複層塗膜を有する試験片を作成した。
<塗膜の評価>
得られた塗膜に関する物性を、以下の基準に基づいて評価した。
評価項目
(塗膜外観)
塗膜の外観を目視で観察して、以下の基準に基づいて評価した。
5:塗料のレベリングが良く塗膜が均一で異常なし
4:塗料のレベリングは良いが塗膜がやや均一
3:塗料のレベリングが若干悪く塗膜がやや均一
2:塗料のレベリングが悪く塗膜が不均一
1:塗料のレベリングが著しく悪く塗膜が不均一
(光沢)
得られた塗膜の光沢値(60°光沢値)を、多角度光沢計GS−4K(スガ試験機社製)により測定し、以下の基準に基づいて評価した。
5:光沢値が80°以上
4:光沢値が70°以上80未満
3:光沢値が60°以上70未満
2:光沢値が50°以上60未満
1:光沢値が50°未満
(鉛筆硬度)
JIS K 5600 5−4による。
(付着性)
試験片の塗膜に、カッターにより1mmの間隔で縦横11本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープ(登録商標)(ニチバン社製)を貼付してはがし、100個のマス目のうち、残存したマス目の数をカウントした(碁盤目試験)。なお、100/100は、塗膜のはく離面積が0%である場合を示し、例えば、90/100は、塗膜のはく離面積が10%である場合を示し、50/100は、塗膜のはく離面積が50%である場合を示す。
(耐チッピング性)
飛石試験機(GRAVEL CHIPPING TEST INSTRUMENT JA−400:スガ試験機社製)にて、ショット材が90°の角度で当たるような所定の位置に試験片(試験時の試験片の温度は0℃)をセットし、ショット材50g(JIS A 5001(道路用砕石)で規定する7号砕石(3〜5mm))を吹付エアー圧0.2Mpaで吹き付けた。試験終了後、室温で、ショット材を吹き付けた部分にセロハンテープ(登録商標)(ニチバン社製)を貼付してはがし、塗膜のハガレの有無を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
5:塗膜異常(ハガレ)なし
4:塗膜の一部に直径1mm未満のハガレ有
3:塗膜の一部に直径1mm以上2mm未満のハガレ有
2:塗膜の一部に直径2mm以上のハガレ有
1:塗膜の全面にハガレ有
(耐水性)
試験片を20℃の水中に168時間浸漬した後、塗膜の外観を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
5:塗膜異常(フクレ)の発生がない
4:塗膜の一部に直径1mm未満のフクレ有
3:塗膜の一部に直径1mm以上2mm未満のフクレ有
2:塗膜の一部に直径2mm以上のフクレ有
1:塗膜の全面に2mm以上のフクレ有
(耐酸性)
試験片を、3%硫酸水溶液に、23℃にて72時間浸漬した後、塗膜の外観を目視観察した。評価基準は以下のとおりである。
5:塗膜異常(フクレ)の発生がない
4:塗膜の一部に直径1mm未満のフクレ有
3:塗膜の一部に直径1mm以上2mm未満のフクレ有
2:塗膜の一部に直径2mm以上のフクレ有
1:塗膜の全面に2mm以上のフクレ有
(耐アルカリ性)
試験片を、3%水酸化ナトリウム水溶液に、23℃にて72時間浸漬した後、塗膜の外観を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
5:塗膜異常(フクレ)の発生がない
4:塗膜の一部に直径1mm未満のフクレ有
3:塗膜の一部に直径1mm以上2mm未満のフクレ有
2:塗膜の一部に直径2mm以上のフクレ有
1:塗膜の全面に2mm以上のフクレ有
(耐候性)(促進耐候性)
JIS K 5600−7−7記載のキセノンランプ法に従い、スーパーキセノンウェザーメーターSX2−75(スガ試験機社製)を用いて促進耐候性試験を実施した。試験時間500時間後の塗膜の60°光沢値を、多角度光沢計GS−4K(スガ試験機社製)により測定し、試験前の60°光沢値に対する変化率(光沢保持率)で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:光沢保持率が80%以上
4:光沢保持率が60%以上80%未満
3:光沢保持率が40%以上60%未満
2:光沢保持率が20%以上40%未満
1:光沢保持率が20%未満
(耐食性)(SST、塩水噴霧)
各試験片に、基材に達するようにカッターナイフで長さ10cmのクロスカット傷を入れ、JIS K 5600−7−1(JIS Z 2371)記載の耐中性塩水噴霧性試験法に従い、塩水噴霧試験機ST-11L(スガ試験機社製)で240時間、塩水噴霧試験を行い、クロスカット部からの錆及びフクレの発生を、目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
5:錆及びフクレの発生がない
4:クロスカット部から1mm未満の錆又はフクレ有
3:クロスカット部から1mm以上2mm未満の錆又はフクレ有
2:クロスカット部から2mm以上の錆又はフクレ有
1:全面に錆及びフクレ有
(旧塗膜に対する物性評価)
新造時に形成された塗膜が劣化した場合を想定して、塗膜の製造例3で得られた試験片を、20℃の水中に168時間浸漬した後、23℃にて1日間乾燥させ、劣化した塗膜(旧塗膜)を作成した。
この試験片に、実施例1〜8又は比較例1〜8において調製した水性主剤(I)及び水分散性硬化剤(II)を所定の配合にてディスパーを用いて混合し、乾燥膜厚が30〜50μmとなるようにスプレーガンを用いて塗装し、各試験片を、実施例1〜8又は比較例1〜8と同じ乾燥条件で乾燥させたものを試験に供した。
(旧塗膜上に形成した塗膜の付着性)
試験片の塗膜に、カッターにより1mmの間隔で縦横11本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープ(登録商標)(ニチバン社製)を貼付してはがし、100個のマス目のうち、残存したマス目の数をカウントした(碁盤目試験)。なお、100/100は、塗膜のはく離面積が0%である場合を示し、例えば、80/100は、塗膜のはく離面積が20%である場合を示し、50/100は、塗膜のはく離面積が50%である場合を示す。
(旧塗膜上に形成した塗膜の耐水性)
試験片を20℃の水中に168時間浸漬した後、塗膜の外観を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
5:塗膜異常(フクレ)の発生がない
4:塗膜の一部に直径1mm未満のフクレ有
3:塗膜の一部に直径1mm以上2mm未満のフクレ有
2:塗膜の一部に直径2mm以上のフクレ有
1:塗膜の全面に2mm以上のフクレ有
主剤と硬化剤の組成及び配合量、並びに評価結果を表1に示す。
Figure 0006449137
このように、本発明に係る水性塗料組成物及び、本発明に係る被塗物の補修塗装方法を用いることにより、水性塗料でありながらも、従来から使用されている、主たる溶媒に有機溶剤を用いる塗料と同等又はそれ以上の塗膜性能を得ることができる。更に、本発明に係る水性塗料組成物を用いることにより、有機溶剤の使用量を低減でき、環境負荷の低減が可能である。
本発明による水性塗料組成物は、水性塗料であり、常温乾燥、強制乾燥いずれにおいても被塗物に必要とされる外観及び及び物性を有する塗膜を形成することができ、更に、塗膜を有する被塗物であっても良好な付着性を示し、鉄道車両などの重車両に使用できる。また、本発明による塗膜の形成方法及び被塗物の補修塗装方法は、上述したような一般工業用途に適用できる。

Claims (9)

  1. 水酸基を有する樹脂を含む水性主剤(I)及び水分散性硬化剤(II)を含む水性塗料組成物であって、
    前記水性主剤(I)は、水酸基価が5〜200mgKOH/gであり、酸価が5〜100mgKOH/gであり、数平均分子量が1000〜100000である水溶性又は水分散性の高分子ポリオール(a)を含み、並びに、
    前記水性主剤(I)は、更に溶解度パラメータが8.0〜10.0でイソシアネート基に対して不活性な有機溶剤を含み、
    前記水分散性硬化剤(II)は、水分散性ポリイソシアネート(b)を含み、かつ、
    前記水分散性ポリイソシアネート(b)は、ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)とイオン変性ポリイソシアネート(b−2)とを含み、
    前記水分散性ポリイソシアネート(b)に含まれるイソシアネート基と前記高分子ポリオール(a)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)が0.5〜3.0であり、並びに、
    前記水分散性硬化剤(II)は、更に溶解度パラメータが8.0〜10.0でイソシアネート基に対して不活性な有機溶剤を含み、
    前記イオン変性ポリイソシアネート(b−2)の含有量が、前記水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して3〜50質量部であり、
    前記ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)及び前記イオン変性ポリイソシアネート(b−2)の配合質量比((b−1)/(b−2))が、10/1〜2/1である、
    水性塗料組成物。
  2. 前記ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)の含有量が、前記水性主剤(I)の樹脂固形分100質量部に対して10〜100質量部であ
    求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 前記ノニオン変性ポリイソシアネート(b−1)が、アロファネート変性ポリイソシアネートである、請求項1又は2に記載の水性塗料組成物。
  4. 前記イオン変性ポリイソシアネート(b−2)が、スルホン酸変性ポリイソシアネートである、請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  5. 前記高分子ポリオールがアクリルポリオールである請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
  6. 被塗物に、請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装し、硬化させることにより、塗膜を形成する工程を含む、塗膜の形成方法。
  7. 前記被塗物が、鉄道車両である、請求項に記載の塗膜の形成方法。
  8. 塗膜を有する被塗物に、請求項1〜のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装し、硬化させることにより、前記被塗物の塗装を補修する工程を含む、被塗物の補修塗装方法。
  9. 前記被塗物が、鉄道車両である、請求項に記載の被塗物の補修塗装方法。
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