JP6600760B1 - 被塗装鋼材の塗替え方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】経年劣化した被塗装鋼材の塗替えに際して、良好な防食性を的確に確保しながら、塗装工程を簡略化して上塗り塗料を1回塗装するだけでも上塗り塗料本来の色及び光沢を発現できる、被塗装鋼材の塗替え方法を提供する。【解決手段】経年劣化した被塗装鋼材の塗替えに際して、素地調整後、顔料分散度が5〜30μmで、乾燥塗膜の85度鏡面光沢度が12以上であり、かつ、上塗り塗料との色差ΔEが20以内となるように着色した錆止め塗料を1回塗装し、次に、上塗り塗料のみを平均乾燥膜厚が30μm以上となるように1回だけ塗装する。【選択図】なし

Description

本発明は、経年劣化した被塗装鋼材を塗替えるに際して、素地調整後、錆止め塗料を塗装し、上塗り塗料を1回塗装するだけで上塗り塗料本来の色や光沢を発現できる、被塗装鋼材の塗替え方法に関する。
建物や構造物に使用される鋼材は、錆による腐食を防止するために防食塗装が施されている。しかし、この防食塗装により形成された防食性塗膜も経時的に劣化する。そのため、防食塗装された被塗装鋼材は、定期的に防食性塗膜の塗替えが必要となる。
ここで、従来の経年劣化した被塗装鋼材の塗替えでは、素地調整後に錆止め塗料を下塗りするが、着色を目的とした上塗り塗料を1回塗装するだけでは、上塗り塗料本来の色や光沢が得られない。そのため、通常は錆止め塗料を塗装した後に、着色塗料の塗装を複数回繰り返すことが標準仕様となっている(非特許文献1)。例えば特許文献1では、素地調整後に無機系ジンクプライマーを塗装して一次防錆処理を行った後、下塗り塗装、中塗り塗装、上塗り塗装を行っている。
また、塗装下地の発錆が部分的であり、既存被膜の劣化が軽微な場合に、錆止め塗料の塗装工程を省略する目的として、素地調整後に簡易の錆止め性能を付与した上塗り塗料を2回塗りする塗装方法も実施されている(非特許文献2)。
他に、下塗りおよび中塗りを同一の塗料で行い、着色上塗り塗料が焼付け塗料でも常温乾燥塗料のいずれの型の塗料であっても適用できるような下塗り中塗り兼用の下地塗り塗料を用いて、作業性の向上した塗装方法が開示されている(特許文献2)。
さらに、1種類の塗料が下塗り、中塗り、上塗り機能を備え、1工程で防食性塗膜を形成できる防錆塗料およびその塗装物に関する技術が開示されている(特許文献3)。この技術によれば、防錆力および塗膜の美観の機能を備え、厚い塗膜を形成できる防錆塗料で塗装を行うので、工数、作業時間を削減することができるとされている。
特開2018−12099号公報 特開平8−71502号公報 特開2004−359818号公報
公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)平成28年版、18章、塗装工事、p249 UR都市機構 保全工事共通仕様書(建築編)平成28年版、8章、塗装工事、p152
経年劣化した被塗装鋼材の塗替えでは、非特許文献1や特許文献1に記載されているように、通常は錆止め塗料を塗装した後に、着色塗装を複数回繰り返している。これでは、塗装工程が多くなり塗装コストが増大する。
また、非特許文献2のように、若干錆止め性能を付与した上塗り塗料を2回塗り重ねれば、素地調整後の錆止め塗装工程を省略できる。しかし、この塗装方法は、錆止め塗装工程を省略しているので、あくまで発錆が部分的で既存被膜の劣化が軽微な部分のみに限定されており、実用的ではない。
特許文献2の塗装方法では、使用塗料を下塗り中塗り兼用の下塗り塗料と着色上塗り塗料の2種類に削減できる。しかし、実際の塗装工程は、下塗り塗料の塗装を2回繰り返した後に、着色上塗り塗料を1回塗装している。つまり、従来と同様に塗装に3工程を要し、塗装工程の簡略化には至っていない。
特許文献3の塗装方法は、1種類の塗料で下塗り、中塗り、上塗り機能を備え、1工程で防食性塗膜を形成できるため、塗装工程の簡略化の点では有意義である。しかし、1種類の塗料に下塗り、中塗り、上塗の全ての機能を付与することは限界があり、防食性塗膜の耐水性や耐候性等が不十分となって耐用年数が短くなるため、塗替え周期が短くなる。これでは、長い目で見れば結局塗装コストが嵩んでしまう。しかも、1種類の塗料を1回塗装するのみでは、塗料本来の色や光沢を発現させることも困難である。
そこで、良好な防食性を確保したうえで、塗装工程を簡略化しながら上塗り塗料(着色塗料)本来の色や光沢を的確に発現できないか、本発明者らが鋭意検討の結果、防食性は錆止め塗料を塗装することで的確に確保しつつ、錆止め塗料の表面平滑性と、錆止め塗料と上塗り塗料との相対的な色差を調整することで、上塗り塗料本来の色及び光沢を効果的に発現できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は上記課題を解決するものであって、経年劣化した被塗装鋼材の塗替えに際して、良好な防食性を的確に確保しながら、塗装工程を簡略化して上塗り塗料を1回塗装するだけでも上塗り塗料本来の色及び光沢を発現できる、被塗装鋼材の塗替え方法を提供することを目的とする。
そのための手段として、本発明は経年劣化した被塗装鋼材の塗替え方法であって、素地調整後、顔料分散度が5〜30μmで、乾燥塗膜(錆止め塗膜)の85度鏡面光沢度が12以上であり、かつ、上塗り塗料との色差ΔEが20以内となるように着色した錆止め塗料を1回塗装し、次に、上塗り塗料のみを平均乾燥膜厚が30μm以上となるように1回だけ塗装する。
なお、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、特に明示しない限り「○○以上××以下」を意味する。
本発明によれば、塗装工程を簡略化するとしても、きちんと錆止め塗料は塗装しているので、良好な防食性は担保できる。そのうえで、塗装工程を簡略化するために、錆止め塗料と上塗り塗料(着色塗料)の塗装工程をそれぞれ1回のみ行う、合計2回塗装工程としている。これにより、塗装工程を簡略化して塗装コストを削減できる。
そのうえで、本発明の錆止め塗料は、顔料分散度が5〜30μmで、乾燥塗膜(錆止め塗膜)の85度鏡面光沢度を12以上として、錆止め塗膜の表面平滑性を高くしている。これにより、当該錆止め塗膜の上に上塗り塗料を重ね塗りしたとき、その光沢が向上し、上塗り塗料本来の光沢を発現させることができる。
また、錆止め塗料と上塗り塗料の相対的な色差ΔEが20以内となるように設計している。このように、錆止め塗料を予め上塗り塗料の色に近い色にしておけば、その後上塗り塗料を1回だけ塗装するだけでも、上塗り塗料本来の色を有効に発現させることができる。このとき、上塗り塗料の乾燥膜厚が小さすぎると、そもそも上塗り塗料本来の色を発現させることは困難であるが、上塗り塗料の乾燥膜厚を所定の膜厚以上としていれば、上塗り塗料本来の色を発現させることができる。
本発明の塗替え対象は、錆による腐食を防止するための防食性塗料が塗装され、表面が防食性塗膜で被覆された被塗装鋼材全般である。例えば、建物の屋根、門、扉、開口枠、手摺り、配管、防護柵、軽量鉄骨等に使用される鋼材、あるいは、橋梁や鉄塔等の建造物を構成する鋼材などが挙げられる。このような被塗装鋼材であっても、その防食性塗膜が経年劣化することで錆が発生することがあるので、定期的に防食性塗膜の塗替えが必要となる。その際に、本発明の塗替え方法を採用する。
<素地調整工程>
先ず、塗替えを必要とする被塗装鋼材の素地を調整する。腐食により発生した赤錆が残ったまま塗替え塗装しても、次第に塗膜にフクレや剥離が生じて、防食性塗膜の耐用年数が極端に短くなるからである。素地調整として具体的には、錆びた部分の除去、旧塗膜表面の面粗らし、防錆効果を失って脆くなった塗膜の除去等が挙げられる。実際には、劣化の程度に応じて素地調整程度1種〜素地調整程度4種を行う。なお、従来は素地調整の程度は「○種ケレン」と称されていたが、近年は「素地調整程度○種」と称されるようになっている。素地調整程度1種は完全な素地調整程度であり、錆や塗膜を完全に除去し、鋼材面を清浄にする本格的な素地調整をいう。素地調整程度2種〜素地調整4種は、さび発生面積や塗膜異常面積に応じて使い分けられる。素地調整程度2種は比較的完全な素地調整程度に近く、素地調整程度4種は粉化物や汚れを除去する程度の最も簡易な素地調整である。鋼材の塗替え塗装において理想とされている素地調整程度1種では、研磨粒子を圧縮空気で吹き付けるサンドブラスト、ショットブラスト等のブラスト手法により行う。素地調整程度2種〜3種は、層状錆やコブ錆等の発生した腐食の著しい個所の旧塗膜と錆を、ディスクサンダーやワイヤホイル等の動力研磨工具を用いて除去したり、劣化程度が軽ければ手研磨工具にて除去することもある。素地調整程度4種であれば、劣化塗膜や浮き錆等の脆弱個所をワイヤーブラシ等で除去する程度である。
<錆止め塗装工程>
被塗装鋼材の素地を調整した後は、錆止め塗料を塗装する。本発明で使用する錆止め塗料は、皮膜形成性樹脂、防錆顔料、着色顔料、および体質顔料に加え、塗料用溶剤または水を含有する。
皮膜形成性樹脂は、溶剤中に溶解している溶液形樹脂ワニス、溶剤中に分散している非水分散形樹脂ワニス、水中に分散している樹脂エマルションの形態のものが使用できる。溶液形樹脂ワニスは、有機溶剤に樹脂ポリマーが溶解し、溶液状となっている。溶液形樹脂ワニスは、該有機溶剤に溶解させた重合性モノマーを重合することにより得ることができる。この溶液形樹脂ワニスは、公知の製造方法によって製造することができる。非水分散形樹脂ワニスは、必要に応じて分散安定剤の存在下で、有機溶剤中で重合性モノマーを重合することにより得ることができる。該有機溶剤には、該分散安定剤及び重合性モノマーは溶解するが、該重合性モノマーから形成される樹脂ポリマーは溶解せず、実質的には樹脂微粒子が分散している。以下、非水分散形樹脂ワニスをNAD(Non Aqueous Dispersion)と略称する。このNADは、公知の製造方法によって製造することができる。樹脂エマルションは、水を分散媒体とする乳化重合によって得られ、公知の製造方法によって製造することができる。
皮膜形成性樹脂としては、従来からこの種の塗料組成物で使用されている公知のベース成分を、特に制限無く選択できる。例えば、フタル酸樹脂、アルキド樹脂、ビニル変性アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、アクリルシリコン樹脂、ふっ素樹脂、ポリオール樹脂などを使用でき、自己架橋形または反応硬化形のものであってもよい。皮膜形成性樹脂は、1種のみを単用してもよいし、2種以上を混用することもできる。また、溶液形樹脂ワニスとNADは混用することもできる。
防錆顔料は、防錆成分である。防錆顔料も、従来からこの種の塗料組成物で使用されている公知の防錆顔料を、特に制限無く選択できる。例えば、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、トリポリリン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛カルシウム、モリブデン酸カルシウム、雲母状酸化鉄、イオン交換型シリカゲル、亜鉛末、鉛丹、亜酸化鉛、鉛酸カルシウム、シアナミド鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性クロム酸鉛、ジンククロメート、四塩基性クロム酸亜鉛、ストロンチウムクロメート等が使用できる。防錆顔料は、1種のみを単用してもよいし、2種以上を混用することもできる。
着色顔料は、錆止め塗料の色を調整するための成分である。着色顔料も、従来からこの種の塗料組成物で使用されている公知の着色顔料を、特に制限無く選択できる。例えば、酸化チタン、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、インダンスレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が使用できる。これら着色顔料を単用または併用して適量含有することにより、後述のように上塗り塗料の色に近い塗膜外観とする。
体質顔料は、塗膜の乾燥収縮を抑制し、肉やせしにくくするための成分である。体質顔料も、従来からこの種の塗料組成物で使用されている公知の体質顔料を、特に制限無く選択できる。例えば、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、タルク、クレー、珪藻土、マイカ等を挙げることができる。体質顔料も、1種のみを単用してもよいし、2種以上を混用することもできる。
なお、錆止め塗料には、上記各成分以外にも、貯蔵安定性、塗装作業性、仕上り性、耐水性、耐薬品性、耐候性などの機能付与・向上を目的として、本発明の効果を阻害しない範囲で各種添加剤を配合することも可能である。具体的には、分散剤、粘性付与剤、沈降防止剤、造膜助剤、消泡剤、防腐剤、防かび剤、防藻剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を挙げることができる。
錆止め塗料では、皮膜形成樹脂由来の樹脂固形分100重量部に対して防錆顔料を10〜90重量部含有し、これに体質顔料と必要に応じて着色顔料とを加え、顔料全体では50〜500重量部含有することが好ましい。防錆顔料が10重量部未満では防錆効果が不十分となり、90重量部を超えると防錆顔料が過剰に溶出するため、塗膜の耐水性が不良となる。また、顔料全体として50重量部未満であると、防錆顔料が溶出しにくいために防錆効果が不十分となる。一方で、500重量部を超えると塗膜の耐水性が不良となり、また、塗膜の吸い込み性が大きくなるため、上塗り塗料の塗膜は本来よりも低い光沢となる。
この錆止め塗料を塗装して形成される錆止め塗膜の下地隠ぺい率は、70以上が好ましく、より好ましくは80以上、さらに好ましくは90以上とする。下地隠ぺい率が70未満であると、上塗り塗料を1回塗装するだけでは、塗膜全体として良好な下地隠ぺい性が確保できずに、仕上がり不良となる場合がある。
また、錆止め塗料を塗装して形成される錆止め塗膜の顔料分散度は、5〜30μmとする。これにより、錆止め塗膜の85度鏡面光沢度を12以上にすることができ、従来の錆止め塗料よりも表面平滑性が良好となる。延いては、後述するように上塗り塗料を1回塗装するだけでも、上塗り塗料本来の光沢を発現することができる。これに対し、顔料分散度が30μmを超えると表面平滑性が不十分となり、85度鏡面光沢度を12以上にするのは困難である。延いては、上塗り塗料を1回塗装するだけでは、本来の光沢を発現できない。また、顔料分散度が5μm未満では、塗料製造時の分散工程に過剰な時間を要するため、非効率的となり不経済である。
錆止め塗料は、次工程で使用する上塗り塗料の色に応じて着色顔料の種類及び含有量を調整し、上塗り塗料との色差ΔEを20以内としておく。好ましくはΔEを15以内、より好ましくはΔEを10以内とする。錆止め塗料と上塗り塗料との色差ΔEが20を超えると、上塗り塗料が錆止め塗料の色目の影響を受け、上塗り塗料本来の色を発現できなくなる。
錆止め塗料は、素地調整後の塗替え箇所へ1回だけ塗装する。その際、錆止め塗膜の平均乾燥膜厚が40μm以上となるように塗装することが好ましく、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上である。錆止め塗膜の平均乾燥膜厚が40μm未満であると、防錆効果が不十分となるおそれがある。錆止め塗料は、ローラー、スプレー、刷毛などにより塗装することができる。
<上塗り塗装工程>
錆止め塗装工程において錆止め塗膜を形成した後は、当該錆止め塗膜の上に、次工程として所定の色に着色された上塗り塗料を1回だけ塗装する。この上塗り塗料は、従来から鋼建造物や鋼構造物の経年劣化した被塗装鋼材の塗替えに供されている公知の上塗り塗料を、特に制限なく使用することができる。上塗り塗料の基本的組成は、皮膜形成樹脂と、着色顔料と、体質顔料と、塗料用溶剤または水とを含有する。これらの成分としては、錆止め塗料に含有される上記各成分と同じものを使用することができる。
上塗り塗料は、当該上塗り塗料を塗装して形成される上塗り塗膜の平均乾燥膜厚が、少なくとも30μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは50μm以上となるように塗装する。上塗り塗膜の平均乾燥膜厚が30μm未満であると、錆止め塗料の色目の影響を受け、上塗り塗料の本来の発色が得られない場合がある。上塗り塗料も、ローラー、スプレー、刷毛などにより塗装することができる。
以上のように、経年劣化した被塗装鋼材に対して塗替えを実施する場合、素地調整後、乾燥塗膜が所定の表面平滑性を有し、且つ上塗り塗料との色差ΔEが20以内である錆止め塗料を1回だけ塗装した上に、一般的な上塗り塗料も1回だけ塗装することで、従来の錆止め塗料の上に中塗り塗料と上塗り塗料をそれぞれ1回塗りした場合、もしくは、従来の錆止め塗料の上に上塗り塗料を2回塗りした場合と同等の塗膜外観を有する、防食性塗膜を形成できる。
以下に、本発明を具体化した実施例について説明する。各実施例及び各比較例に使用した錆止め塗料(着色前)を構成する成分と、その含有量(重量部)を表1に示す。表1に示す各成分としては以下のものを用いた。
皮膜形成性樹脂:溶液形のアクリル樹脂ワニスであるハリアクロン8006G(固形分50%、ハリマ化成株式会社製)
防錆顔料:リン酸亜鉛系のLFボウセイZP−NFS(キクチカラー株式会社製)
白色顔料:酸化チタンであるJR600A(テイカ株式会社製)
体質顔料I:表面処理タイプの炭酸カルシウムであるMC−SII(丸尾カルシウム株式会社製)
体質顔料II:表面無処理タイプの炭酸カルシウムであるNS#400(日東粉化工業株式会社製)
増粘剤:ディスパロン6820−20M(楠本化成株式会社製)
架橋触媒:ニッカオクチックスコバルト8%(日本化学産業株式会社製)
消泡剤:ダッポーSN−362(サンノプコ株式会社製)
溶剤:石油系混合溶剤であるカクタスソルベントP−20(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)
Figure 0006600760
各実施例及び各比較例の上塗り塗料としては、溶液形樹脂ワニスとNADを併用した1液ワイドウォールSi白(60度鏡面光沢度82.3、スズカファイン株式会社製)を使用した。
最初に、表1に示す各成分をペイントシェーカーにより分散し、分散時間を適宜調整することで、各実施例用及び各比較例用に顔料分散度が5〜40μmとなる錆止め塗料(着色前)を複数種調製した。顔料分散度の測定には、JIS K 5600−2−5:1999に規定された粒ゲージを用いた。次に、これらの錆止め塗料(着色前)100重量部に対し、それぞれ着色顔料として黒色カラーペーストを10重量部未満で添加し、卓上ミキサーで均一に混合することで、錆止め塗料と上塗り塗料との色差ΔEが10〜25となるように調製した。黒色カラーペーストとしては、カーボンブラック顔料を使用したTカラー黒(固形分41%、スズカファイン株式会社製)を用いた。
試験体の塗装には、一般的な塗装用ローラーと同等の平均塗布膜厚であり、かつ、均一な塗布膜厚とするために、塗料関係のJISに規定されているフィルムアプリケータを用いた。
錆止め塗料と上塗り塗料との色差ΔE(CIE1976)は、それぞれを白色アート紙に隙間150μmのフィルムアプリケータで塗布し、乾燥させた塗膜を分光測色計(CM−5、コニカミノルタ株式会社製)で測定した。
鏡面光沢度は、錆止め塗料及び上塗り塗料を、それぞれガラス板に隙間150μmのフィルムアプリケータで塗布し、乾燥させた塗膜を光沢計(ヘイズ−グロス、ビックガードナー社製)で測定した。また、錆止め塗料は比較的低光沢領域の指標として適する85度鏡面光沢度を測定し、上塗り塗料は比較的高光沢領域の指標として適する60度鏡面光沢度を測定した。
錆止め塗料及び上塗り塗料の乾燥膜厚は、乾燥させた塗膜を膜厚計(LZ−200、株式会社ケット科学研究所製)で測定した。
次に、表2に示す各実施例及び各比較例の錆止め塗料を、白色アート紙に隙間150μmのフィルムアプリケータで、平均乾燥膜厚が43μmとなるように塗装した。塗布して乾燥させた後、その上から、上塗り塗料を各種隙間(100、125、150、225μm)のフィルムアプリケータで錆止め塗料とは垂直方向に、表2に示す平均乾燥膜厚となるように塗布して乾燥させ、複合塗膜(防食性塗膜)を形成した。そして、複合塗膜を次のように評価した。
(光沢差評価)
各実施例及び比較例の複合塗膜の60度鏡面光沢度を測定し、上塗り塗料単独の塗膜に対する光沢低下を評価した。
◎:60度鏡面光沢度が80以上となり、光沢低下がほとんどなく、実用性に優れる。
○:60度鏡面光沢度が78以上80未満であり、光沢低下があまりなく、実用レベルである。
×:60度鏡面光沢度が78未満であり、光沢低下が大きいため、非実用的である。
(色差評価)
各実施例及び比較例の複合塗膜を測色し、上塗り塗料単独の塗膜に対する色差を評価した。
◎:色差が1.0未満で上塗り塗料との色差が極めて小さく、実用性に特に優れる。
○:色差が1.0以上2.0未満で上塗り塗料との色差が小さく、実用性に優れる。
△:色差が2.0以上2.5未満であり、上塗り塗料との色差が若干あるものの、実用レベルである。
×:色差が2.5以上であり、上塗り塗料との色差が大きいため、非実用的である。
Figure 0006600760
表3の結果から、実施例1〜実施例8のように、錆止め塗料の顔料分散度を5〜30μmとすることで、錆止め塗膜の85度鏡面光沢度は12以上となり、かつ、上塗り塗料との色差ΔEを20以内とし、さらに、上塗り塗料の乾燥膜厚を30μm以上とすることで、上塗り塗料本来の色と光沢を実用レベルで発現できることが確認された。これに対し、錆止め塗料と上塗り塗料との色差ΔEが大き過ぎる比較例1では、上塗り塗料本来の色を発現できなかった。また、上塗り塗膜の平均乾燥膜厚が小さ過ぎる比較例2では、上塗り塗料本来の色と光沢の双方を発現できなかった。また、錆止め塗料の顔料分散度が大き過ぎる比較例3では、錆止め塗膜の85度鏡面光沢度が低下し、その結果上塗り塗料本来の光沢を発現できなかった。

Claims (1)

  1. 経年劣化した被塗装鋼材の塗替え方法であって、
    素地調整後、顔料分散度が5〜30μmで、乾燥塗膜の85度鏡面光沢度が12以上であり、かつ、上塗り塗料との色差ΔEが20以内となるように着色した錆止め塗料を1回塗装し、
    次に、上塗り塗料のみを平均乾燥膜厚が30μm以上となるように1回だけ塗装する、被塗装鋼材の塗替え方法。

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