JP6447988B2 - 環状シロキサン化合物を含む組成物、環状シロキサン化合物の製造方法、及びシロキサン重合体の製造方法 - Google Patents

環状シロキサン化合物を含む組成物、環状シロキサン化合物の製造方法、及びシロキサン重合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、環状シロキサン化合物を含む組成物、環状シロキサン化合物の製造方法、及びシロキサン重合体の製造方法に関し、より詳しくは環状シロキサン三量体を含む組成物、該環状シロキサン三量体の製造方法、及び該組成物を利用したシロキサン重合体の製造方法に関する。
ポリ(シルセスキオキサン)等のシリコーンレジンは、耐熱性、電気絶縁性、硬度、耐候性、撥水性等に優れるため、コーティング材、シーリング材、層間絶縁膜等に利用されている。このようなシリコーンレジンは、例えばトリクロロシランやトリアルコキシシラン等の加水分解性のシラン化合物と水を反応させることによって合成することができるが、一旦シロキサンオリゴマーを合成し、これをシリコーンレジンの原料として用いる方法も提案されている(特許文献1参照)。
シロキサンオリゴマーとしては、二量体のほか、直鎖状又は環状の三量体、四量体、五量体等の様々な化合物が調製されているが、トリヒドロキシフェニルシランを縮合して得られるシロキサンオリゴマーのうち、環状の三量体は熱力学的に不安定であり、特殊な条件下でなければ安定な生成物として得られないことが報告されている(非特許文献1参照)。具体的には、下記式3に示される自己集合性錯体ケージの存在下、水(重水)中でフェニルトリメトキシシランを縮合させることにより、ナノサイズの空洞の中で加水分解が進行して、シス型の1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサンが形成すること、さらに下記式3・1aに示される錯体の状態で生成物が得られ、立体的な制限から空洞内部のシクロトリシロキサンが抽出できなかったことが記載されている。また、フェニルトリメトキシシランを水中で処理した後にケージを添加しても、シクロトリシロキサンが得られなかったことが記載されており、シクロトリシロキサンがケージの中で「シップインボトル」形式で形成していると考えられることが記載されている。
また、非特許文献2には、「三官能フェニルアルコキシシランのアルカリ金属配位加水
分解縮合」に関する報告がなされており、フェニルトリアルコキシシランのアルカリ金属配位加水分解によって、アルカリカチオンに配位したcis−トリフェニルシクロトリシロキサンアニオン(PhSi(O)O)等が形成したことが記載されている。
特開2000−248180号公報
J.Am.Chem.Soc.2000,122,6311−6312. Eur.J.Inorg.Chem.2004,1253−1261.
非特許文献1に記載されているような中空構造体に包接されている状態の環状シロキサン三量体(トリヒドロキシフェニルシランを縮合して得られるシロキサン三量体)では、シリコーンレジン等のシロキサン重合体を製造するための原料として直接利用することは困難であり、また仮に利用することができたとしても、中空構造体を必要とする製造方法では、工業的には不向きである。
また、非特許文献2に記載されているようなシロキサンのアルカリ金属塩は、強塩基性であるため、シロキサン重合体の原料として用いると、反応速度が非常に速なり、得られるシロキサン重合体の構造を制御することが困難となる。
即ち、本発明は、シリコーンレジン等のシロキサン重合体を製造するための原料として好適な環状シロキサン三量体を含む組成物を提供すること、及び該環状シロキサン三量体を原料として利用したシロキサン化合物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、中空構造体に包接されていない環状シロキサン三量体を安定な生成物として得ることが可能であり、さらにこの環状シロキサン三量体を含む組成物がシロキサン重合体を製造するための原料として好適に利用することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1> 下記式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含む組成物であって、前記環状シロキサン化合物が中空構造体に包接されていないものであることを特徴とする、組成物。
(式(1a)及び(1b)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
<2> 前記環状シロキサン化合物の含有量が20質量%以上である、<1>に記載の組成物。
<3> 水の含有量が25質量%以下である、<1>又は<2>に記載の組成物。
<4> 下記式(1c)で表されるシロキサン化合物の含有量が10質量%以下である、<1>〜<3>の何れかに記載の組成物。
(式(1c)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
<5> シロキサン重合体を製造するための原料である、<1>〜<4>の何れかに記載の組成物。
<6> 下記式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の製造方法であって、下記式(r)で表される化合物を非プロトン性有機溶媒中で酸触媒を用いて縮合させる第1工程を含むことを特徴とする、環状シロキサン化合物の製造方法。
(式(1a)及び(1b)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
(式(r)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
<7> 前記第1工程で得られた粗生成物を、酸を含有する有機溶媒を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含む分画を得る第2工程を含む、<6>に記載の環状シロキサン化合物の製造方法。
<8> シラン化合物を縮合してシロキサン構造を形成する縮合工程を含むシロキサン重合体の製造方法であって、
前記縮合工程の反応物の1種として、下記式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含む組成物を用いることを特徴とする、シロキサン重合体の製造方法。
(式(1a)及び(1b)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
<9> 前記組成物が、前記環状シロキサン化合物を20質量%以上含有するものである、<8>に記載のシロキサン重合体の製造方法。
<10> 前記縮合工程の反応物の1種として、さらに下記式(2)で表されるシラン化合物を用いる、<8>又は<9>に記載のシロキサン重合体の製造方法。
(式(2)中、Rはそれぞれ独立して炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜3の整数を表す。)
<11> 前記縮合工程の反応物全量に対する式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の物質量が20〜100mol%である、<8>〜<10>の何れかに記載のシロキサン重合体の製造方法。
本発明によれば、シロキサン重合体を製造するための原料として好適な環状シロキサン三量体を含む組成物を提供することができる。
実施例1における生成物の高速液体クロマトグラフィーによる分析結果である。 実施例1における生成物のLC−MASSによる分析結果である。 実施例1における生成物の29Si−NMRによる分析結果である。 実施例2における生成物の高速液体クロマトグラフィーによる分析結果である。
本発明を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
<環状シロキサン化合物を含む組成物>
本発明の一態様である環状シロキサン化合物を含む組成物(以下、「本発明の組成物」
と略す場合がある。)は、下記式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含むものであり、環状シロキサン化合物が中空構造体に包接されていないものであることを特徴とする。
(式(1a)及び(1b)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
前述のように、トリヒドロキシフェニルシランを縮合して得られるシロキサンオリゴマーのうち、環状の三量体は熱力学的に不安定であり、特殊な条件下でなければ安定な生成物として得られないことが報告されている。本発明者らは、トリヒドロキシフェニルシランを非プロトン性の有機溶媒中で酸触媒を用いて脱水縮合させることにより、中空構造体を利用することなく、式(1a)で表されるシス型の環状シロキサン三量体と式(1b)で表されるトランス型の環状シロキサン三量体をそれぞれ合成することができ、さらにこれらをそれぞれ単離、精製することが可能であることを見出したのである。また、これらの環状シロキサン三量体は、安定に取り扱うことができるとともに、容易に直鎖状のシロキサン三量体に変換することもできるため、シリコーンレジン等のシロキサン重合体を製造するための原料として好適に利用することができる。シロキサン三量体のようなシロキサンオリゴマーを原料とすることによって、Tユニットをブロックとしてシロキサン重合体に導入することができる。Tユニットを導入することができると、モノマーをランダムに重合させた場合に比べて、得られるシロキサン重合体の物性等を制御し易くなり、優れた特性を有するシロキサン重合体を製造することが可能になるのである。
なお、本発明において「中空構造体」とは、トリヒドロキシフェニルシラン等を縮合して得られる環状シロキサン三量体を内部に包接させる(接触する程度に包み込む)ことができる中空構造を有する化合物であれば、材料の種類は特に限定されないことを意味する。具体的には、非特許文献1に記載されているような自己集合性錯体が挙げられる。
また、本発明の組成物は、中空構造体に包接されていない式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の少なくとも1種を含むものであればよく、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物に該当する2種以上の環状シロキサン化合物を含んでいてもよいことを意味する。
式(1a)又は(1b)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を表しているが、Rの炭素数は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。具体的なRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表しているが、Rの炭素数は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。Rとしては、水素原
子であることが特に好ましい。
mはそれぞれ独立に0〜5の整数を表しているが、0であることが特に好ましい。
本発明の組成物は、中空構造体に包接されていない式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含むものであれば、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の含有量(式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の総量)は、特に限定されないが、通常20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。上記範囲内であれば、シロキサン重合体を製造するために好適に利用することができる。
また、本発明の組成物が式(1a)で表される環状シロキサン化合物(シス型の環状シロキサン三量体)を含む場合、式(1a)で表される環状シロキサン化合物の含有量は、通常20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
一方、本発明の組成物が式(1b)で表される環状シロキサン化合物(トランス型の環状シロキサン三量体)を含む場合、式(1b)で表される環状シロキサン化合物の含有量は、通常20質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。
本発明の組成物は、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物以外の化合物を含むものであってもよく、目的に応じて公知の化合物を適宜配合することが挙げられる。
例えば、本発明の組成物に含まれる化合物としては、下記式(1c)で表されるシロキサン化合物(直鎖状のシロキサン三量体)が挙げられる。
(式(1c)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
なお、本発明の組成物に含まれる式(1c)で表されるシロキサン化合物のR、R、mは、組成物中に含まれる式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物と同一であることが好ましい。
本発明の組成物における式(1c)で表されるシロキサン化合物(直鎖状のシロキサン三量体)の含有量は、特に限定されないが、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
また、本発明の組成物に含まれる化合物としては、水が挙げられる。
本発明の組成物における水の含有量は、特に限定されないが、通常25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。上記範囲内であれば、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の安定性を確保し易くなる。
本発明の組成物の用途は特に限定されないが、シロキサン重合体を製造するための原料
として利用することが好ましい。
なお、製造目的であるシロキサン重合体の分子量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、シロキサン重合体の重量平均分子量は、通常100以上、好ましくは500以上、より好ましくは2000以上であり、通常1,000,000以下、好ましくは500,000以下、より好ましくは100,000以下である。
<環状シロキサン化合物の製造方法>
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されないが、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の製造方法として、トリヒドロキシフェニルシラン等の原料を非プロトン性有機溶媒中、酸触媒を用いて脱水縮合させる方法が挙げられる。なお、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の製造方法であって、下記式(r)で表される化合物を非プロトン性有機溶媒中で酸触媒を用いて縮合させる第1工程(以下、「本発明に係る第1工程」と略す場合がある。)を含むことを特徴とする環状シロキサン化合物の製造方法も本発明の一態様である。
(式(r)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
本発明に係る第1工程は、式(r)で表される化合物を縮合させる工程であるが、式(r)中のRは目的の環状シロキサン化合物に応じて選択されるべきである。Rは水素原子であることが好ましい。
本発明に係る第1工程における非プロトン性有機溶媒は、公知のものを適宜選択することができるが、極性が高い溶媒である方が高い反応速度が得られるために好ましく、具体的にはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒が挙げられる。なお、使用する非プロトン性有機溶媒は、1種類に限られず、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中でもアセトニトリルが好ましい。
本発明に係る第1工程における酸触媒は、公知のものを適宜選択することができるが、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機スルホン酸;安息香酸、トリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸等の有機酸が挙げられる。なお、使用する酸触媒は、1種類に限られず、2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る第1工程における酸触媒の使用量は、目的に応じて適宜選択することができるが、非プロトン性有機溶媒中の濃度として、通常10ppm以上、好ましくは100ppm以上、より好ましくは1,000ppm以上である。
反応温度は、通常0℃以上、好ましくは4℃以上であり、通常100℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは25℃以下である。
反応時間は、通常0.2時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、通常100時間以下、好ましくは50時間以下である。
反応は、通常窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行う。
また、雰囲気及び溶液は水を含まないことが好ましい。
本発明の環状シロキサン化合物の製造方法は、第1工程を含むものであれば、その他については特に限定されないが、第1工程で得られた粗生成物を、酸を含有する有機溶媒を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含む分画を得る第2工程(以下、「本発明に係る第2工程」と略す場合がある。)を含むことが挙げられる。以下、具体的な条件を説明する。
本発明に係る第2工程における展開溶媒は、酸を含有する有機溶媒であるが、酸としては、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機スルホン酸;安息香酸、トリフルオロ酢酸等の有機カルボン酸等の有機酸が挙げられる。なお、使用する酸は、1種類に限られず、2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る第2工程における展開溶媒の酸の含有量は、通常10ppm以上、好ましくは100ppm以上、より好ましくは1,000ppm以上である。
本発明に係る第2工程における展開溶媒は、酸を含有する有機溶媒であるが、有機溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の低極性溶媒とジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール等の極性溶媒の混合溶媒が挙げられる。
低極性溶媒と極性溶媒との混合比率は、特に限定されず、粗生成物に含まれる成分のRf値に差が生じるように極性を調節すべきである。
本発明の環状シロキサン化合物の製造方法は、前述の第1工程及び第2工程のほかに、第2工程で得られた分画を濃縮する第3工程、第3工程で得られた濃縮成分を冷却して結晶を析出させる第4工程を含むことが挙げられる。
<シロキサン重合体の製造方法>
本発明の組成物は、シロキサン重合体を製造するための原料として好適に利用することができることを前述したが、シラン化合物を縮合してシロキサン構造を形成する縮合工程(以下、「本発明に係る縮合工程」と略す場合がある。)を含むシロキサン重合体の製造方法であって、縮合工程の反応物の1種として、本発明の組成物、即ち下記式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含む組成物を用いる製造方法も本発明の一態様である。
(式(1a)及び(1b)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
本発明に係る縮合工程は、本発明の組成物を反応物の1種として用いるものであれば、その他の化合物を反応物として使用してもよく、下記式(2)で表される化合物を反応物として用いることが好ましい。
(式(2)中、Rはそれぞれ独立して炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、nは1〜3の整数を表す。)
式(2)中、Rはそれぞれ独立して炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表しているが、Rの炭素数は、好ましくは10以下、より好ましくは8以下である。具体的なRとしては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基等が挙げられる。
はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表しているが、Rの炭素数は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。Rとしては、水素原子であることが特に好ましい。
nはそれぞれ独立に1〜3の整数を表しているが、3であることが特に好ましい。
本発明に係る縮合工程における式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の使用量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、反応物全量に対する式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の物質量は、通常20mol%以上、好ましくは30mol%以上、より好ましくは40mol%以上である。
本発明に係る縮合工程は、シラン化合物を縮合してシロキサン構造を形成する反応を行う工程であれば、反応条件は特に限定されず、シラン化合物の縮合反応に利用される公知の条件を適宜採用することができる。以下、具体的な条件を説明する。
本発明に係る縮合工程に使用する溶媒は、水;エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が挙げら
れる。なお、使用する溶媒は、1種類に限られず、2種類以上を混合して使用してもよい。
本発明に係る縮合工程は、酸触媒又は塩基触媒を使用してもよく、酸触媒としては塩酸等の無機酸が、塩基触媒としては水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。なお、使用する酸触媒又は塩基触媒は、1種類に限られず、2種類以上を混合して使用してもよい。
反応温度は、通常−10℃以上、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上であり、通常100℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下である。
反応時間は、通常0.1時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは5時間以上であり、通常240時間以下、好ましくは100時間以下、より好ましくは10時間以下である。
本発明のシロキサン重合体の製造方法によって製造されるシロキサン重合体は、シロキサン構造を有するものであれば、その他については特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
シロキサン重合体の重量平均分子量は、通常1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは10,000以上であり、通常1,000,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。
シロキサン重合体の用途としては、シリコンオイル、シリコーンゴム、コーティング材、シーリング材等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<環状シロキサン化合物を含む組成物の調製>
(実施例1)
反応容器にテトラヒドロフラン(THF)40mL、トリヒドロキシフェニルシラン2.0g、メタンスルホン酸0.04mg(濃度:1,000ppm)をそれぞれ加え、室温下15時間撹拌して反応を行った。その間の成分の変化を高速液体クロマトグラフィーで分析した。43時間後の分析結果を図1に示す。
図1におけるC、D、Hは、それぞれ三量体、環状三量体、環状三量体であることはLC−MASSにより分かる。すなわち、図2において質量数432で検出されたピークは三量体の脱水物のアンモニウム塩に相当する。これらの精密質量を測定した結果はC:450.0874、D:432.0758、H:432.0752であり、Cが三量体、D、Hが環状三量体であることを明確に示す。
さらに同様の実験を行い29Si−NMRで経時変化を調べた。その結果得られた11.5時間後のスペクトルを示すと図3のようになっており、環状四量体と同時に環状三量体が高い濃度で生成していることが明らかである。
即ち、環状三量体のシス異性体は−62.2ppm、トランス異性体は二種類のケイ素原子からなりケイ素原子一個からなるものが−62.3ppm、ケイ素原子二個からなるものが−62.6ppmである。このようにして環状三量体が反応混合物中に存在していることが分かるが、先の高速液体クロマトグラフィーの結果から、その成分中の存在比としては、トランス異性体45.7質量%、シス異性体7.12質量%である。
以上により反応液中に高濃度で環状三量体が生成していることが分かった。この時の水分量は、縮合反応により生成したものに限られるため、0.23g以下であり全体の質量に対して1質量%以下であることが分かる。
(実施例2)
フェニルトリメトキシシラン10mgを1mLのTHFに溶解し、これに純水10μL、メタンスルホン酸1μLを添加し、2時間5℃で放置した。これにメタンスルホン酸をさらに5μL加えて16時間、5℃に16時間静置したサンプルの高速液体クロマトグラフィーを図4に示す。実施例1と同様に各ピークの帰属を行った結果、トランス環状三量体は39.9質量%、シス環状三量体は7.41質量%である。この場合の水分含量は1質量%である。
(実施例3)
フェニルトリメトキシシランに代えて、フェニルトリエトキシシランを用いて実施例2と全く同様の実験を行った。その結果、第二段階のメタンスルホン酸添加後、20時間の時点でトランス環状三量体は37.6質量%、シス異性体は6.91質量%であった。
(実施例4)
フェニルトリメトキシシランに代えて、フェニルトリブトキシシランを用いて実施例2と全く同様の実験を行った。その結果、第二段階のメタンスルホン酸添加後、15時間の時点でトランス環状三量体は30.4質量%、シス異性体は5.2質量%であった。
(実施例5)
トリヒドロキシフェニルシラン2.0g(11.2mmol)をジエチルエーテル40mlと無水硫酸マグネシウム20gの混合液中に加えて撹拌した。これにメタンスルホン酸40μLを加えて室温でさらに3時間反応させた。これを濾過して得られた濾液に少量のトリフルオロ酢酸を添加して約100ppmになるようにし、溶媒を減圧下留去し、約5mLまで濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、それぞれ100ppmのトリフルオロ酢酸を含有するヘキサン−ジエチルエーテル(80:20〜0:100(体積比))で流出した。最初の流出成分を含む分画を減圧下濃縮し乾固寸前に導き、冷蔵庫(℃)中に静置すると結晶が析出した。溶媒を除去し得られた残差を減圧下乾燥することにより、環状三量体のトランス異性体170mgが得られた。(純度:98.6%、LC:236.0nm)。
29Si−NMR(THF−d8)−62.3ppm(1Si)、−62.6ppm(2Si)。
これはトリヒドロキシフェニルシランの酸触媒反応混合物の場合の核磁気共鳴の結果と一致しており、環状三量体のトランス立体異性体であることが分かる。
本発明の組成物は、シリコンオイル、シリコーンゴム、コーティング材、シーリング材等に利用されるシロキサン重合体の原料として使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物の製造方法であって、下記式(r)で表される化合物を非プロトン性有機溶媒中で酸触媒を用いて縮合させる第1工程を含むことを特徴とする、環状シロキサン化合物の製造方法。
    (式(1a)及び(1b)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
    (式(r)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜6の炭化水素基を、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を、mはそれぞれ独立して0〜5の整数を表す。)
  2. 前記第1工程で得られた粗生成物を、酸を含有する有機溶媒を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて、式(1a)又は(1b)で表される環状シロキサン化合物を含む分画を得る第2工程を含む、請求項1に記載の環状シロキサン化合物の製造方法。
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