JP6446957B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、タイヤの耐カット性能を維持しつつプロテクターの損傷を抑制できる空気入りタイヤに関する。
特に、建設車両用タイヤでは、悪路走行時にて、タイヤのサイドウォール部が路上の岩石などに接触してカット損傷する場合がある。このため、従来の空気入りタイヤは、サイドウォール部にプロテクターを備えることにより、サイドウォール部の本体を保護して、タイヤの耐カット性能を高めている。かかる従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開2013−119277号公報
一方で、プロテクターの損傷を抑制して、プロテクターの機能を確保する必要もある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤの耐カット性能を維持しつつプロテクターの損傷を抑制できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ幅方向に延在してタイヤ接地端に開口する複数のラグ溝と、タイヤ接地端からカーカス最大幅位置までの領域に配置されると共にサイドウォール部から突出してタイヤ周方向に延在するプロテクターとを備える空気入りタイヤであって、前記ラグ溝をタイヤ接地端からタイヤ径方向に延長した領域を延長領域と呼ぶときに、前記プロテクターが、溝部を前記延長領域に有し、且つ、前記プロテクターの最大高さ位置からタイヤ接地端までの領域における最小ゴムゲージGa1と、前記プロテクターからカーカス最大幅位置までの領域における最小ゴムゲージGa2とが、1.5≦Ga1/Ga2≦6.0の関係を有する。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、プロテクターのタイヤ径方向外側の最小ゴムゲージGa1とタイヤ径方向内側の最小ゴムゲージGa2との比Ga1/Ga2が適正化される利点がある。また、プロテクターが、ラグ溝の延長領域に溝部を有するので、この延長領域におけるプロテクターの剛性が低減される。これらにより、プロテクターにおけるクラックの発生が抑制される利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。 図3は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。 図4は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。 図6は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。 図7は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。 図8は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図9は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図10は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図11は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図12は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図13は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図14は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図15は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図16は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図17は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図18は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図19は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図20は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図21は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。 図22は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。同図は、タイヤ径方向の片側領域をラグ溝に沿って切断した断面図を示し、また、空気入りタイヤの一例として、ORタイヤ(Off the Road Tire)と呼ばれる建設車両用ラジアルタイヤを示している。
なお、同図において、タイヤ子午線方向の断面とは、タイヤ回転軸(図示省略)を含む平面でタイヤを切断したときの断面をいう。また、符号CLは、タイヤ赤道面であり、タイヤ回転軸方向にかかるタイヤの中心点を通りタイヤ回転軸に垂直な平面をいう。また、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向をいい、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向をいう。
この空気入りタイヤ1は、タイヤ回転軸を中心とする環状構造を有し、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16と、一対のリムクッションゴム17、17とを備える(図1参照)。
一対のビードコア11、11は、複数のビードワイヤを束ねて成る環状部材であり、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。
カーカス層13は、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。また、カーカス層13は、スチールから成る複数のカーカスコードをコートゴムで被覆して圧延加工して構成され、絶対値で85[deg]以上95[deg]以下のカーカス角度(タイヤ周方向に対するカーカスコードの繊維方向の傾斜角)を有する。
ベルト層14は、少なくとも4枚のベルトプライ141〜144を積層して成り、カーカス層13の外周に掛け廻されて配置される。一般的なORタイヤでは、4枚〜8枚のベルトプライが積層されて、ベルト層14が構成される(図示省略)。各ベルトプライ141〜144が、スチールコードをコートゴムで被覆して圧延加工して成る。また、各ベルトプライ141〜144が、隣り合うベルトプライに対して異符号のベルト角度を有し、ベルトコードの傾斜方向を交互かつ左右に反転させて積層される。これにより、クロスプライ構造が形成されて、ベルト層14の構造強度が高められている。
トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。一対のリムクッションゴム17、17は、左右のビードコア11、11およびカーカス層13の巻き返し部のタイヤ径方向内側にそれぞれ配置されて、リムフランジに対する左右のビード部の接触面を構成する。
また、この空気入りタイヤ1は、複数のラグ溝2と、複数の陸部3とをトレッド面に備える。
ラグ溝2は、例えば、建設車両用タイヤであれば、10[mm]以上の溝幅を有する横溝をいう。また、ラグ溝2は、タイヤ幅方向に延在してタイヤ接地端Tに開口する。このとき、ラグ溝2が、タイヤ幅方向に対して平行に延在しても良いし、タイヤ幅方向に対して傾斜して延在しても良い。例えば、図1の構成では、ラグ溝2が、トレッド部をタイヤ幅方向に貫通して左右のトレッド端に開口している。また、複数のラグ溝2が、タイヤ周方向に所定間隔で配置されている(後述する図3を参照)。
タイヤ接地端Tとは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に静止状態にて平板に対して垂直に置いて規定荷重に対応する負荷を加えたときのタイヤと平板との接触面におけるタイヤ軸方向の最大幅位置をいう。
トレッド端とは、タイヤのトレッド模様部分の両端部をいう。
ここで、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
陸部3は、複数のラグ溝2に区画されて成る。図1の構成では、陸部3が、複数のラグ溝2に区画された複数のブロックから成るブロック列であり、これらのブロックが、タイヤ周方向に所定間隔で配列されている(後述する図3を参照)。また、ラグ溝2がトレッド端に開口することにより、複数の陸部3がトレッド端に沿ってタイヤ周方向に配列されている。
[サイドウォール部のプロテクター]
図2および図3は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。これらの図において、図2は、ショルダー部のタイヤ子午線方向の拡大断面図を示し、図3は、バットレス部の平面図を示している。なお、図2の符号Tは、タイヤ接地端であり、符号Pは、カーカス層13の最大幅位置である。
図2および図3に示すように、この空気入りタイヤ1は、プロテクター4をサイドウォール部に備える。このプロテクター4により、サイドウォール部のカット損傷が抑制されて、タイヤの耐カット性能が向上する。例えば、悪路走行時にて、プロテクター4が路上の岩石などからサイドウォール部の本体を保護することにより、カーカス層13の破損が防止される。
プロテクター4は、タイヤ接地端Tからカーカス最大幅位置Pまでの領域に配置される。すなわち、プロテクター4は、サイドウォール部の壁面であって、タイヤ接地端Tよりもタイヤ径方向内側かつカーカス最大幅位置Pよりもタイヤ径方向外側の領域に配置される。
カーカス最大幅位置Pは、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときの、カーカス層13の本体部のタイヤ幅方向の最大幅位置をいう。
カーカス層13の本体部とは、ビードコア11からベルト層14までタイヤ径方向に連続して延在するカーカス層13の部分をいう。このため、図2のように、カーカス層13の巻き上げ端部がサイドウォール部の中途にある場合には、このカーカス層13の巻き上げ部は、カーカス層13の本体部に該当しない。
また、プロテクター4は、サイドウォール部から突出してタイヤ周方向の全周に渡って延在する。すなわち、プロテクター4は、サイドウォール部に沿ってタイヤ周方向に延在する環状のリブである。
また、タイヤ子午線方向の断面視にて、トレッド踏面のプロファイルの延長線とサイドウォール部のプロファイルの延長線との交点Qをとる(図2参照)。このとき、プロテクター4の最大高さH1と、交点Qからタイヤ最大幅位置までのタイヤ幅方向の距離D1とが、0.1≦H1/D1≦0.8の関係を有することが好ましく、0.3≦H1/D1≦0.4の関係を有することがより好ましい。これにより、プロテクター4の機能が適正に確保される。
プロテクター4の最大高さH1は、バットレス部のプロファイルとサイドウォール部のプロファイルとを結ぶ基準線(図2および後述する図5の破線)を基準とするプロテクター4の突出量として測定される。
タイヤ最大幅位置は、JATMA規定のタイヤ断面幅の最大幅位置をいう。なお、タイヤ断面幅は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態として測定される。
また、プロテクター4の最大高さ位置(最大高さH1の測定点)からタイヤ接地端Tまでの領域における最小ゴムゲージGa1と、プロテクター4からカーカス最大幅位置Pまでの領域における最小ゴムゲージGa2とが、1.5≦Ga1/Ga2≦6.0の関係を有する(図2参照)。これにより、プロテクター4のタイヤ径方向外側の最小ゴムゲージGa1とタイヤ径方向内側の最小ゴムゲージGa2との比Ga1/Ga2が適正化される。
最小ゴムゲージGa1、Ga2は、タイヤ表面からカーカス層13の本体部までのゴムゲージとして測定される。タイヤ表面は、ラグ溝2の溝底を含む概念である。このため、図2に示すように、最小ゴムゲージGa1が、ラグ溝2の溝底からカーカス層13の本体部までのゴムゲージとして測定され得る。
また、プロテクター4の最大高さH1の1/2を境界とする頂部側の体積Vtと、基部側の体積Vbとが、Vt/Vb≦1.0の関係を有することが好ましく、0.6≦Vt/Vb≦0.9の関係を有することがより好ましい(後述する図4参照)。後者の場合には、プロテクター4が頂部側に向かって窄まる形状を有することにより、カーカス層13に近い側(基部側)の剛性が高まり、プロテクター4の機能が向上する。
また、プロテクター4の径方向幅Lr(後述する図5参照)が、30[mm]≦Lrの範囲にあることが好ましい。これにより、プロテクター4の機能が確保され、また、タイヤ重量の増加が抑制される。径方向幅Lrの上限は、特に限定がないが、径方向幅Lrが過度に大きくなるとタイヤ重量が増加するため、好ましくない。
プロテクター4の径方向幅Lrは、プロテクター4と、バットレス部のプロファイルおよびサイドウォール部のプロファイルを結ぶ基準線(図5の破線)との交点を測定点とするタイヤ径方向の幅として測定される。
また、プロテクター4の100[%]伸張時の引張強さが1.0[MPa]以上4.0[MPa]以下の範囲にあり、破断伸びが300[%]以上700[%]以下の範囲にあることが好ましい。
引張強さ(破断強度)は、JIS K−6251に準拠して、ダンベル状試験片を用いて温度20℃の条件にて測定される。
破断伸びは、JIS−K7162規定の1B形(厚さ3mmのダンベル形)の試験片について、JIS−K7161に準拠して引張試験機(INSTRON5585H、インストロン社製)を用いた引張速度2[mm/分]での引張試験により測定される。
また、プロテクター4が、サイドウォールゴム16に対して異なるゴム材料から構成されても良い。このとき、プロテクター4の100[%]伸張時の引張強さと、サイドウォールゴム16の100[%]伸張時の引張強さとの比が1.0以上2.0以下の範囲にあることが好ましい。また、プロテクター4の破断伸びと、サイドウォールゴム16の破断伸びとの比が1.0以上2.0以下の範囲にあることが好ましい。これにより、プロテクター4の機能が適正に確保される。
[プロテクターの溝部]
一般的な空気入りタイヤは、上記のようなプロテクター4をサイドウォール部に備えることにより、サイドウォール部の耐カット性能を高めている。
一方で、悪路走行時には、路面の凹凸の乗り越え等により、サイドウォール部が変形する。すると、プロテクターにタイヤ周方向への引張歪みやタイヤ径方向への曲げ歪みが作用して、プロテクターの表面にクラックが発生するおそれがある。このクラックは、特に、ラグ溝の延長線上の領域で発生し易い傾向がある。
そこで、この空気入りタイヤ1は、プロテクターによるサイドウォール部の耐カット性能を維持しつつプロテクターの耐クラック性能を向上するために、以下の構成を採用している(図3参照)。
図3に示すように、この空気入りタイヤ1では、プロテクター4が複数の溝部41を有する。
溝部41は、ラグ溝2をタイヤ径方向に延長した延長領域ERに形成される。すなわち、溝部41は、ラグ溝2の開口部に対してタイヤ周方向の同位置あるいはタイヤ周方向に相互にラップする位置に形成される。このとき、1つの溝部41の全体が延長領域ERに配置されても良いし(後述する図7参照)、溝部41の少なくとも一部が延長領域ERに配置されても良い(後述する図8参照)。また、溝部41が、延長領域ERよりも大きな周方向長さW2(後述する図4参照)を有することにより、延長領域ERをタイヤ周方向に横断して配置されても良い(図示省略)。
延長領域ERは、タイヤ接地端Tにおけるラグ溝2の開口部の周方向幅W1を基準として、ラグ溝2をタイヤ径方向に延長した領域として定義される。また、延長領域ERは、タイヤ接地端Tに開口する複数のラグ溝2に対して、それぞれ定義される。
ラグ溝2の周方向幅W1は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときのタイヤ接地端Tにおける溝開口部のタイヤ周方向の開口幅として測定される。
例えば、図3の構成では、トレッドパターンの単位ピッチが、トレッド端に開口する2本のラグ溝2と、2つの陸部3とを有している。また、プロテクター4が、トレッド端の近傍かつタイヤ径方向内側に配置され、また、トレッド端に沿ってタイヤ周方向に延在する環状構造を有している。また、プロテクター4が、トレッドパターンの単位ピッチあたり6つの溝部41を有し、これらの溝部41が、タイヤ周方向に所定間隔で配置されている。また、溝部41が、プロテクター4をタイヤ径方向に貫通するオープン構造を有している。これにより、プロテクター4がタイヤ周方向に分断されて、複数のブロックから成る一列の陸部42が形成されている。また、一対の溝部41および陸部42が、すべてのラグ溝2の延長領域ERにそれぞれ配置されている。また、溝部41および陸部42が、延長領域ERから外れた位置にも配置されている。
かかる構成では、プロテクター4が、ラグ溝2の延長領域ERに溝部41を有するので、この延長領域におけるプロテクター4の剛性が低減される。すると、タイヤ転動時にてプロテクター4に作用する応力が緩和されて、プロテクター4におけるクラックの発生が抑制される。これにより、タイヤの耐クラック性能が向上する。
図4〜図6は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。これらの図において、図4は、図3に記載したプロテクター4の拡大平面図を示し、図5および図6は、図4に記載したプロテクターのA−A視断面図(図5)およびB−B視断面図(図6)を示している。また、図5および図6の破線は、バットレス部のプロファイルとサイドウォール部のプロファイルとを結ぶ基準線を示している。
図4の構成では、上記のように、溝部41が、プロテクター4をタイヤ径方向に貫通するオープン構造を有する。また、複数の溝部41がプロテクター4をタイヤ周方向に分断して、複数の陸部42が形成されている。また、溝部41が、タイヤ径方向外側に向かって周方向幅W2を広げることにより、陸部42が、タイヤ径方向外側に向かって周方向幅W3を狭めている。具体的には、プロテクター4の陸部42のタイヤ径方向外側のエッジ長W3_outと、タイヤ径方向内側のエッジ長W3_inとが、0.6≦W3_out/W3_in≦0.9の関係を有することが好ましく、0.7≦W3_out/W3_in≦0.8の関係を有することがより好ましい。これにより、陸部42のタイヤ径方向外側のエッジ部に作用する引張歪みが低減されて、クラックの発生が抑制される。
プロテクター4の陸部42のエッジ長W3_out、W3_inは、陸部42の頂面におけるエッジ部のタイヤ周方向の長さであり、陸部42のコーナー部の面取り等を除外して測定される。
一般に、タイヤ転動時には、プロテクター4の陸部42のタイヤ径方向外側のエッジ部に、タイヤ周方向への大きな引張歪みが作用する。したがって、プロテクター4の陸部42がタイヤ径方向外側に向かって周方向幅W3を狭めることにより、陸部42のタイヤ径方向外側のエッジ部に作用する引張歪みを効果的に低減できる。
また、図4および図5において、プロテクター4の溝部41の周方向幅W2(図4)と、プロテクター4の最大高さH1(図5)とが、0.7≦W2/H1≦4.0の関係を有することが好ましい。これにより、溝部41の周方向幅W2が適正化される。なお、プロテクター4の最大高さHが大きいほどクラックが発生し易いため、溝部41の周方向幅W2が広く設定される。
溝部41の周方向幅W2は、タイヤを規定リムに装着して規定内圧を付与すると共に無負荷状態としたときに、プロテクター4の頂部における溝部41のタイヤ周方向への開口幅として測定される。
また、図4および図5において、タイヤ周方向に隣り合う溝部41の間にある陸部42の周方向幅W3と、プロテクター4の最大高さH1とが、1.0≦W3/H1の関係を有することが好ましい。これにより、溝部41の剛性が適正に確保される。なお、比W3/H1の上限は、特に限定がないが、プロテクター4の溝部41の配置位置や周方向幅W2との関係で制約を受ける。
陸部42の周方向幅W3は、タイヤ周方向に隣り合う溝部41、41に区画された陸部42のエッジ部のタイヤ周方向の距離として測定される。
また、図5において、プロテクター4の溝部41の最大溝深さH2と、プロテクター4の最大高さH1とが、0.3≦H2/H1≦0.8の関係を有することが好ましい。これにより、溝部41の最大溝深さH2が適正化される。
溝部41の最大溝深さH2は、プロテクター4の最大高さHの測定点を基準とした溝部41の溝深さの最大値として測定される。
また、図5において、プロテクター4のエッジ部の曲率半径Reが、2.0[mm]≦Reの範囲にあることが好ましい。特に、陸部42のタイヤ径方向外側のエッジ部が上記の範囲にあることが好ましい。これにより、エッジ部の曲率半径Reが確保されて、エッジ部におけるクラックの発生が抑制される。曲率半径Reの上限は、特に限定がないが、プロテクター4の径方向幅Lrおよび最大高さH1との関係で制約を受ける。
また、図6において、プロテクター4の溝部41の溝底の曲率半径Rbが、2.0[mm]≦Rbの範囲にあることが好ましい。これにより、溝部41の曲率半径Rbが確保されて、溝底におけるクラックの発生が抑制される。曲率半径Rbの上限は、特に限定はないが、溝部41の周方向幅W2(図4)や最大溝深さH2(図5)との関係で制約を受ける。
[プロテクターの溝部とラグ溝との関係]
図7は、図1に記載した空気入りタイヤのプロテクターを示す説明図である。同図は、トレッド面のラグ溝2とプロテクター4の溝部41との関係を模式的に示している。
この空気入りタイヤ1では、ラグ溝2の延長領域ERにおけるラグ溝2の周方向幅W1と、プロテクター4の溝部41の幅W2’とが、0.30≦W2’/W1の範囲にあることが好ましく、0.40≦W2’/W1の範囲にあることが好ましい。これにより、延長領域ERにおける溝部41の幅W2’が確保されて、プロテクター4におけるクラックの発生が効果的に抑制される。周方向幅W1の上限は、W2’/W1≦1.00の範囲にあることが好ましく、W2’/W1≦0.8の範囲にあることがより好ましい。これにより、プロテクター4の機能が確保されて、サイドウォール部のカット損傷が抑制される。
例えば、図3の構成では、図7に示すように、溝部41がプロテクター4をタイヤ径方向に貫通するオープン構造を有し、プロテクター4がタイヤ周方向に分断されて、複数のブロックから成る一列の陸部42が形成されている。また、プロテクター4の溝部41および陸部42の双方が、1つのラグ溝2の延長領域ERに配置されている。また、すべてのラグ溝2の延長領域ERに、一組の溝部41および陸部42がそれぞれ配置されている。また、溝部41および陸部42が、延長領域ERから外れた位置にも配置されている。また、ラグ溝2の周方向幅W1と、プロテクター4の溝部41の周方向幅W2および陸部42の周方向幅W3とが、W1=W2+W3およびW2/W1=0.50の関係を有している。
[変形例]
図8は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。同図は、トレッド面のラグ溝2とプロテクター4の溝部41との関係を模式的に示している。
図7の構成では、ラグ溝2の周方向幅W1の測定点と、プロテクター4の溝部41の周方向幅W2の測定点とが、タイヤ周方向の同位置にある。このため、ラグ溝2の延長領域ERの境界線と、プロテクター4の陸部42の溝部41側のエッジ部とが、タイヤ周方向の同位置にある。
これに対して、図8の構成では、ラグ溝2の周方向幅W1の測定点と、プロテクター4の溝部41の周方向幅W2の測定点とが、タイヤ周方向に相互にオフセットして(位置をずらして)配置される。すなわち、ラグ溝2の延長領域ERの境界線と、プロテクター4の陸部42の溝部41側のエッジ部とが、タイヤ周方向に相互にオフセットして配置される。また、ラグ溝2の周方向幅W1と、前記オフセットのオフセット量g(図8のg1およびg2の最小値)とが、0.05≦g/W1の範囲にあることが好ましく、0.1≦g/W1の範囲にあることがより好ましい。かかる構成では、ショルダー陸部3のエッジ部とプロテクター4の陸部42のエッジ部とが相互にオフセットして配置されるので、プロテクター4に作用する応力が分散して、クラックの発生が抑制される。
なお、図8のように、複数の溝部41がラグ溝2の延長領域ERにある場合には、延長領域ERにおける各溝部41のタイヤ周方向の幅の総和が、延長領域ERにおける溝部41の幅W2’として定義される。
図9〜図12は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、トレッド面のラグ溝2とプロテクター4の溝部41との関係を模式的に示している。
図7の構成では、プロテクター4の溝部41および陸部42の双方が、ラグ溝2の延長領域ERに配置されている。また、溝部41の周方向幅W2が、ラグ溝2の幅W1よりも狭く、また、延長領域ERにおける溝部41の幅W2’が延長領域ERの幅(ラグ溝2の幅W1)よりも狭い。
これに対して、図9の構成では、プロテクター4の溝部41が、ラグ溝2の延長領域ERの全域に渡って配置される。また、溝部41の周方向幅W2が、ラグ溝2の幅W1(延長領域ERのタイヤ周方向の長さ)に等しい。また、陸部42の周方向幅W3が、隣り合う延長領域ERのタイヤ周方向の配置間隔(ショルダー陸部3のタイヤ周方向の長さ)に等しい。このため、溝部41が、主として延長領域ERに配置され、他の領域では、陸部42が主として配置されてタイヤ周方向に連続して延在する。かかる構成としても、プロテクター4のクラックを適正に抑制できる。
また、図9の構成では、陸部42が、タイヤ径方向外側に向かって周方向幅W3を狭めている。具体的には、プロテクター4の陸部42のタイヤ径方向外側のエッジ長W3_out(図4参照)と、タイヤ径方向内側のエッジ長W3_inとが、0.6≦W3_out/W3_in≦0.9の関係を有することが好ましく、0.7≦W3_out/W3_in≦0.8の関係を有することがより好ましい。これにより、陸部42のタイヤ径方向外側のエッジ部に作用する引張歪みが低減されて、クラックの発生が抑制される。
また、図10の構成では、ラグ溝2の周方向幅W1の測定点と、プロテクター4の溝部41の周方向幅W2の測定点とが、タイヤ周方向に相互にオフセットして配置される。また、溝部41の周方向幅W2が、ラグ溝2の幅W1に等しい。また、ラグ溝2の延長領域ERにおけるラグ溝2の周方向幅W1と、プロテクター4の溝部41の幅W2’とが、0.30≦W2’/W1の範囲にある。また、陸部42の周方向幅W3が、隣り合う延長領域ERのタイヤ周方向の配置間隔に等しい。かかる構成としても、プロテクター4のクラックを適正に抑制できる。
また、図7の構成では、プロテクター4の溝部41が、タイヤ径方向に平行に延在して、プロテクター4を貫通している。
しかし、これに限らず、図11に示すように、プロテクター4の溝部41が、タイヤ径方向に対して所定の傾斜角にて傾斜して配置されても良い。かかる構成においても、溝部41の周方向幅W2、延長領域ERにおける溝部41の幅W2’および陸部42の周方向幅W3がそれぞれ定義される。
また、図7の構成では、プロテクター4の全体が、タイヤ周方向に直線的に延在し、また、プロテクター4をタイヤ径方向に貫通する複数の溝部41を有している。このため、溝部41に区画された複数の陸部42が、タイヤ周方向に直線的に配列されている。
しかし、これに限らず、図12に示すように、プロテクター4の全体が、タイヤ径方向に振幅を有しつつタイヤ周方向に延在する波状形状を有しても良い。また、溝部41に区画された複数の陸部42が、タイヤ径方向に位置を変化させつつタイヤ周方向に波状に配列されても良い。
図13〜図18は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図において、図13、図15および図17は、プロテクター4の拡大平面図を示し、図14、図16および図18は、図13、図15および図17に記載したプロテクター4のC−C視断面図(図14)、D−D視断面図(図16)およびE−E視断面図(図18)を示している。
図4の構成では、プロテクター4が、プロテクター4をタイヤ径方向に貫通する複数の溝部41と、これらの溝部41に区画されて成る複数かつブロック状の陸部42とを備えている。かかる構成では、溝部41がプロテクター4をタイヤ径方向に貫通することにより、プロテクター4の剛性が低減されて、クラックの発生が効果的に抑制される点で好ましい。
これに対して、図13および図14の構成では、プロテクター4の溝部41が、一方の端部にて、プロテクター4のタイヤ径方向外側のエッジ部に開口し、他方の端部にて、プロテクター4の内部で終端するセミクローズド構造を有する。このため、プロテクター4の陸部42が、プロテクター4のタイヤ径方向内側にてタイヤ周方向に連続するリブ状構造を有する。かかる構成としても、溝部41が、ラグ溝2の延長領域ER(図3参照)にあることにより、プロテクター4の剛性が低減されて、クラックの発生が抑制される。
また、図15および図16の構成では、プロテクター4の溝部41が、一方の端部にて、プロテクター4のタイヤ径方向内側のエッジ部に開口し、他方の端部にて、プロテクター4の内部で終端するセミクローズド構造を有する。このため、プロテクター4の陸部42が、プロテクター4のタイヤ径方向外側にてタイヤ周方向に連続するリブ状構造を有する。かかる構成としても、溝部41が、ラグ溝2の延長領域ER(図3参照)にあることにより、プロテクター4の剛性が低減されて、クラックの発生が抑制される。
また、図17および図18の構成では、プロテクター4の溝部41が、プロテクター4の内部で終端するクローズド構造を有する。このため、プロテクター4の陸部42が、プロテクター4のタイヤ径方向の内側および外側にて、タイヤ周方向に連続する。かかる構成としても、溝部41が、ラグ溝2の延長領域ER(図3参照)にあることにより、プロテクター4の剛性が低減されて、クラックの発生が抑制される。
図19〜図21は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例を示す説明図である。これらの図は、プロテクター4のタイヤ径方向の断面図を示している。
図5の構成では、プロテクター4が、タイヤ径方向の断面視にて、頂部側を窄めた台形状を有している。また、プロテクター4の陸部42が、平坦な頂部を有している。
しかし、これに限らず、プロテクター4が、タイヤ径方向の断面視にて、三角形状(図19)、円弧形状(図20)などの他の幾何学的な形状を有しても良い。また、プロテクター4の陸部42が、タイヤ周方向に延在する浅溝を頂部に有することにより、タイヤ径方向の断面視にて、波状形状の頂部(図21)を有しても良い。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向に延在してタイヤ接地端に開口する複数のラグ溝2と、タイヤ接地端からカーカス最大幅位置Pまでの領域に配置されると共にサイドウォール部から突出してタイヤ周方向に延在するプロテクター4とを備える(図1および図2参照)。また、プロテクター4が、溝部41を延長領域ER(ラグ溝をタイヤ接地端からタイヤ径方向に延長した領域)に有する(図3参照)。また、プロテクター4の最大高さ位置からタイヤ接地端までの領域における最小ゴムゲージGa1と、プロテクター4からカーカス最大幅位置Pまでの領域における最小ゴムゲージGa2とが、1.5≦Ga1/Ga2≦6.0の関係を有する(図2参照)。
かかる構成では、プロテクター4が、ラグ溝2の延長領域ERに溝部41を有するので、この延長領域におけるプロテクター4の剛性が低減される。すると、タイヤ転動時にてプロテクター4に作用する応力が緩和されて、プロテクター4におけるクラックの発生が抑制される。これにより、タイヤの耐クラック性能が向上する利点がある。
また、プロテクター4のタイヤ径方向外側の最小ゴムゲージGa1とタイヤ径方向内側の最小ゴムゲージGa2との比Ga1/Ga2が適正化される利点がある。すなわち、1.5≦Ga1/Ga2であることにより、ショルダー部の剛性が確保されて、プロテクター4に作用する曲げ歪みが低減される。また、Ga1/Ga2≦6.0であることにより、プロテクター4に作用するタイヤ周方向への引張歪みが低減される。これらにより、プロテクター4におけるクラックの発生が抑制されて、タイヤの耐クラック性能が向上する。
また、この空気入りタイヤ1では、ラグ溝2の周方向幅W1と、延長領域ERにおけるプロテクター4の溝部41の幅W2’とが、0.30≦W2’/W1の関係を有する(図7参照)。かかる構成では、ラグ溝2の延長領域ERにおけるプロテクター4の溝部41の幅W2’が確保されるので、プロテクター4の剛性が適正に低減される。これにより、プロテクター4におけるクラックの発生が抑制されて、タイヤの耐クラック性能が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、ラグ溝2の周方向幅W1と、延長領域ERにおけるプロテクター4の溝部41の幅W2’とが、W2’/W1≦1.00の関係を有する(図7参照)。かかる構成では、溝部41が延長領域ERのタイヤ周方向の全域に渡って延在する構成(図9参照)と比較して、プロテクター4の陸部42の配置間隔(溝部41の周方向幅W2)を狭め得る(図3参照)。これにより、プロテクター4の機能が確保されて、タイヤの耐カット性能が確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ子午線方向の断面視にて、トレッド踏面のプロファイルの延長線とサイドウォール部のプロファイルの延長線との交点Qをとるときに、プロテクター4の最大高さH1と、交点Qからタイヤ最大幅位置Aまでのタイヤ幅方向の距離D1とが、0.1≦H1/D1≦0.8の関係を有する(図2参照)。かかる構成では、これにより、プロテクター4の最大高さH1が適正化される利点がある。すなわち、0.1≦H1/D1であることにより、プロテクター4の機能が確保されて、サイドウォール部のカット損傷が適正に抑制される。また、H1/D1≦0.8であることにより、プロテクター4がサイドウォール部から突出し過ぎることによるプロテクター4の損傷が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1では、最大高さH1の1/2を境界とするプロテクター4の頂部側の体積Vtと基部側の体積Vbとが、0.6≦Vt/Vb≦0.9の関係を有する(図5)。これにより、プロテクター4の陸部42の形状が適正化される利点がある。すなわち、0.6≦Vt/Vbであることにより、プロテクター4の頂部側の体積Vtが確保されて、プロテクター4によるサイドウォール部のカット損傷の抑制機能が確保される。また、Vt/Vb≦0.9であることにより、プロテクター4の陸部42が頂部側を小さくした形状となり、プロテクター4の剛性が確保されて、プロテクター4の損傷が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1では、ラグ溝2の周方向幅W1の測定点と、プロテクター4の溝部41の周方向幅W2の測定点とが、タイヤ周方向に相互にオフセットして配置される(図8参照)。かかる構成では、ラグ溝2に区画されたショルダー陸部3のエッジ部と、プロテクター4の溝部41に区画された陸部42のエッジ部とが、タイヤ周方向に分散して配置される。これにより、プロテクター4に作用する応力が分散されて、クラックの発生が抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、複数の溝部41が、プロテクター4をタイヤ径方向に貫通することにより、プロテクター4が、タイヤ周方向に配列された複数の陸部42に分断される(図3参照)。また、陸部42が、タイヤ径方向内側に向かって周方向幅W3を狭める(図4参照)。これにより、陸部42に作用する引張歪みが低減されて、クラックの発生が抑制される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、プロテクター4の溝部41の周方向幅W2(図4参照)と、プロテクター4の最大高さH1(図5参照)とが、0.7≦W2/H1≦4.0の関係を有する。これにより、溝部41の周方向幅W2が適正化される利点がある。すなわち、0.7≦W2/H1であることにより、溝部41の周方向幅W2が確保されて、クラックの発生が適正に抑制される。また、W2/H1≦4.0であることにより、プロテクター4の体積が確保されて、プロテクター4の剛性が確保される。
また、この空気入りタイヤ1では、複数の溝部41が、プロテクター4をタイヤ径方向に貫通することにより、プロテクター4が、タイヤ周方向に配列された複数の陸部42に分断される(図3参照)。また、陸部42の周方向幅W3(図4参照)と、プロテクター4の最大高さH1(図5参照)とが、1.0≦W3/H1の関係を有する。これにより、陸部42の剛性が確保されて、プロテクター4によるカット損傷の抑制機能が適正に確保される利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、プロテクター4の溝部41の最大溝深さH2と、プロテクター4の最大高さH1とが、0.3≦H2/H1≦0.8の関係を有する(図5参照)。これにより、溝部41の溝深さH2が適正化される利点がある。すなわち、0.3≦H2/H1であることにより、溝部41の機能が確保されて、クラックの発生が適正に抑制される。また、H2/H1≦0.8であることにより、陸部42の剛性が確保されて、プロテクター4によるカット損傷の抑制機能が適正に確保される。
また、この空気入りタイヤ1では、プロテクター4の溝部41の溝底の曲率半径Rbが、2.0[mm]≦Rbの範囲にある(図6参照)。これにより、溝部41の溝底に作用する応力が分散されて、耐クラック性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、プロテクター4(特に、陸部42)のエッジ部の曲率半径Reが、2.0[mm]≦Reの範囲にある(図5参照)。これにより、プロテクター4のエッジ部に作用する応力が分散されて、耐クラック性が向上する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、プロテクター4の100[%]伸張時の引張強さが1.0[MPa]以上4.0[MPa]以下の範囲にあり、破断伸びが300[%]以上700[%]以下の範囲にある。かかる構成では、プロテクター4の物性が適正化されて、プロテクター4の機能が適正に確保される。これにより、サイドウォール部のカット損傷が抑制され、また、プロテクター4におけるクラックの発生が抑制される。
また、この空気入りタイヤ1では、プロテクター4が、サイドウォールゴム16に対して異なるゴム材料から成り、プロテクター4の100[%]伸張時の引張強さとサイドウォールゴム16の100[%]伸張時の引張強さとの比が1.0以上2.0以下の範囲にあり、プロテクター4の破断伸びとサイドウォールゴム16の破断伸びとの比が1.0以上2.0以下の範囲にある。かかる構成では、プロテクター4の物性が適正化されて、プロテクター4の機能が適正に確保される。これにより、サイドウォール部のカット損傷が抑制され、また、プロテクター4におけるクラックの発生が抑制される。
[適用対象]
この空気入りタイヤ1は、建設車両用ラジアルタイヤを適用対象とすることが好ましい。建設車両用ラジアルタイヤは、土木建設現場などの不整地を走行する建設車両に装着されるタイヤであり、大型ダンプ車、タイヤローラ、スクレーパ、グレーダ、クレーン、ホイールローダ等の建設車両に装着される。
しかし、これに限らず、空気入りタイヤ1は、トラック、バスなどに装着される重荷重用ラジアルタイヤに適用されても良い(図示省略)。
図22は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
この性能試験では、複数種類の試験タイヤについて、(1)耐クラック性能および(2)耐カット性能に関する評価が行われた。また、タイヤサイズ29.5R25の試験タイヤがJATMA規定の適用リムに組み付けられ、この試験タイヤにJATMA規定の最高空気圧および最大負荷が付与される。また、試験タイヤが、試験車両である建設車両の総輪に装着される。
また、試験車両が、岩石や瓦礫がある悪路を1万[km]走行する。その後に、プロテクターに発生したクラック数が計測され、従来例を基準(100)とした指数評価により、(1)耐クラック性能の評価が行われる。また、サイドウォール部の表面に発生した外傷の最深部からカーカス層までの距離(外傷が複数ある場合には、前記距離の総和)が計測されて、従来例を基準(100)とした指数評価により、(2)耐カット性能の評価が行われる。
実施例1〜12の試験タイヤは、プロテクター4が、プロテクター4を貫通する複数の溝部41と、これらの溝部41によりタイヤ周方向に分断された複数の陸部42とを備えている(図1〜図3参照)。また、Ga1=56.4[mm]、W1=60.0[mm]、D1=45.5[mm]である。
従来例1の試験タイヤは、プロテクターが、溝部を有しておらず、タイヤ全周に渡って連続して延在する環状構造を有している。従来例2の試験タイヤは、実施例8の構成において、Ga1/Ga2が小さく設定されている。
試験結果に示すように、実施例1〜12の試験タイヤでは、タイヤの耐カット性能を維持しつつ耐クラック性能を向上できることが分かる。
1:空気入りタイヤ、2:ラグ溝、3:ショルダー陸部、4:プロテクター、11:ビードコア、12:ビードフィラー、13:カーカス層、14:ベルト層、15:トレッドゴム、16:サイドウォールゴム、17:リムクッションゴム、41:溝部、42:陸部、141〜144:ベルトプライ

Claims (14)

  1. タイヤ幅方向に延在してタイヤ接地端に開口する複数のラグ溝と、
    タイヤ接地端からカーカス最大幅位置までの領域に配置されると共にサイドウォール部から突出してタイヤ周方向に延在するプロテクターとを備える空気入りタイヤであって、
    前記ラグ溝をタイヤ接地端からタイヤ径方向に延長した領域を延長領域と呼ぶときに、
    前記プロテクターが、溝部を前記延長領域に有し、且つ、
    前記プロテクターの最大高さ位置からタイヤ接地端までの領域における最小ゴムゲージGa1と、前記プロテクターからカーカス最大幅位置までの領域における最小ゴムゲージGa2とが、1.5≦Ga1/Ga2≦6.0の関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ接地端における前記ラグ溝の周方向幅W1と、前記延長領域における前記プロテクターの前記溝部の幅W2’とが、0.30≦W2’/W1の関係を有する請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ラグ溝の周方向幅W1と、前記延長領域における前記プロテクターの前記溝部の幅W2’とが、W2’/W1≦1.0の関係を有する請求項1また2に記載の空気入りタイヤ。
  4. タイヤ子午線方向の断面視にて、トレッド踏面のプロファイルの延長線とサイドウォール部のプロファイルの延長線との交点Qをとるときに、
    前記プロテクターの最大高さH1と、交点Qからタイヤ最大幅位置までのタイヤ幅方向の距離D1とが、0.1≦H1/D1≦0.8の関係を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 最大高さH1の1/2を境界とする前記プロテクターの頂部側の体積Vtと基部側の体積Vbとが、0.6≦Vt/Vb≦0.9の関係を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ラグ溝の周方向幅W1の測定点と、前記プロテクターの溝部の周方向幅W2の測定点とが、タイヤ周方向に相互にオフセットして配置される請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 複数の前記溝部が、前記プロテクターをタイヤ径方向に貫通することにより、前記プロテクターが、タイヤ周方向に配列された複数の陸部に分断され、且つ、
    前記陸部が、タイヤ径方向外側に向かって周方向幅を狭める請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記プロテクターの前記溝部の周方向幅W2と、前記プロテクターの最大高さH1とが、0.7≦W2/H1≦4.0の関係を有する請求項1〜7のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  9. 複数の前記溝部が、前記プロテクターをタイヤ径方向に貫通することにより、前記プロテクターが、タイヤ周方向に配列された複数の陸部に分断され、且つ、
    前記陸部の周方向幅W3と、前記プロテクターの最大高さH1とが、1.0≦W3/H1の関係を有する請求項1〜8のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記プロテクターの前記溝部の最大溝深さH2と、前記プロテクターの最大高さH1とが、0.3≦H2/H1≦0.8の関係を有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記プロテクターの前記溝部の溝底の曲率半径Rbが、2.0[mm]≦Rbの範囲にある請求項1〜10のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記プロテクターのエッジ部の曲率半径Reが、2.0[mm]≦Reの範囲にある請求項1〜11のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記プロテクターの100[%]伸張時の引張強さが1.0[MPa]以上4.0[MPa]以下の範囲にあり、破断伸びが300[%]以上700[%]以下の範囲にある請求項1〜12のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  14. 建設車両用タイヤに適用される請求項1〜13のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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