JP6446930B2 - 内用液剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ジメモルファンを含有する内用液剤に関し、医薬品の分野に応用できるものである。
ジメモルファンはモルヒナン骨格を有する鎮咳薬で、強力な鎮咳作用を有している。中枢性の依存性がない非麻薬性の薬剤であり、上気道炎、急性気管支炎、肺炎に対して用いられており、一般用医薬品の咳止めシロップ剤としても使用されている。
内用液剤は固形剤と比較して飲み込みやすく、小児や高齢者など嚥下の機能が低い人や咳などの症状がある人にとって服用しやすいという利点がある。しかし、ジメモルファンは非常に強い刺激性の苦味を有し、液剤にした場合、服用性が低下する。そこで、甘味剤の使用などにより、苦味を低減させて飲みやすくする必要がある。
これまでジメモルファンを配合した内用液剤の風味を改善する方法が開発されてきた。例えば、糖アルコール及び/又はトレハロース、並びにスクラロースを一緒に配合することにより、ジメモルファンリン酸塩の苦味を改善した内用液剤(特許文献1参照)が報告されている。
WO2011/148794号公報
一般に苦味の改善効果は還元糖によるものが大きい。そのため、ジメモルファンの苦味を抑制した内用液剤を得るために還元糖を配合したところ、苦味の改善効果は認められるものの、ジメモルファンの刺激的な苦味を抑制するには不十分であった。そこで、さらなる検討を行ったところ、さらに高甘味度甘味料を配合すると、ジメモルファンの苦味を効果的に改善できることを本発明者は見出した。しかしながら、得られた内用液剤は、経時的に濁りや浮遊物あるいは沈殿を生じ、色調も変化するといった問題が見出された。
本発明の目的は、服用性が良好で、製剤の性状安定性が良好で、かつ色調変化を抑制した、優れたジメモルファン含有内用液剤を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ジメモルファン及び/又はその塩、還元糖、高甘味度甘味料、及び特定の着色剤を配合した内用液剤は、ジメモルファンの苦味を抑制して良好な風味を呈する上に製剤の性状安定性が良好であり、かつ色調の変化も抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)a)ジメモルファン及び/又はその塩、b)還元糖、c)高甘味度甘味料、並びにd)黄色4号又は黄色5号を含有することを特徴とする内用液剤、
(2)還元糖が、ブドウ糖、果糖、ラクトース、アラビノース、マルトース、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ブドウ糖果糖液糖及び白糖からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の内用液剤、
(3)高甘味度甘味料が、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア及びアスパルテームの群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の内用液剤、
である。
本発明により、ジメモルファンの苦味が抑制され、かつ製剤の性状安定性が良好かつ色調変化を抑制した、優れたジメモルファン含有内用液剤を提供することが可能となった。本発明により、強力な鎮咳作用を有するジメモルファン配合液剤を飲みやすく、しかも製剤的にも安定な製剤として提供することが可能となった。
本発明において、ジメモルファンの塩とは、塩酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩など内用液剤として許容可能な塩が挙げられるが、もっとも好ましいのはリン酸塩である。本発明の内用液剤中におけるジメモルファン及び/又はその塩の含有量は、0.025〜0.25w/v%である。
本発明における還元糖とは通常アルデヒド基やケトン基を有し、フェーリング反応溶液を還元して赤色の酸化銅を析出させる糖のことであり、例えばブドウ糖、果糖、ガラクトース、アラビノースなどの単糖類、ラクトース、マルトース等の二糖類、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ブドウ糖果糖液糖及び白糖などが挙げられる。このうち好ましいのはブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ブドウ糖果糖液糖又は白糖である。本発明の還元糖の含有量は、ジメモルファンの苦味を効果的に抑制する観点から、ジメモルファン1質量部に対して200〜400質量部が好ましい。量が少ないと苦味の改善効果が損なわれ、多すぎると飲料全体の風味に影響するからである。また、本発明の内用液剤中における還元糖の含有量は、35w/v%以上が好ましい。
本発明の高甘味度甘味料としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、アスパルテームなどが挙げられるが、好ましいのはスクラロースである。本発明の高甘味度甘味料の含有量は、ジメモルファン1質量部に対して0.001質量部〜1質量部が好ましい。量が少ないと苦味の改善効果が損なわれ、多すぎると飲料全体の風味に影響するからである。ジメモルファンの苦味を抑制し、服用性を向上するという点から、ジメモルファン1質量部に対してスクラロースの含有量は0.003〜0.07質量部が好ましく、アセスルファムカリウムの含有量は0.006〜0.05質量部が好ましく、ステビアの含有量は0.01〜0.2質量部が好ましく、アスパルテームの含有量は0.01〜0.2質量部が好ましい。また、本発明の内用液剤中における高甘味度甘味料の含有量は、0.0005w/v%以上が好ましい。
また、本発明の還元糖と高甘味度甘味料の組み合わせにおいて、発明の効果の点から最も好ましいのは、白糖とスクラロースの組み合わせである。
本発明に用いる黄色4号はタートラジンとも呼ばれ、黄色に着色することができるアゾ系の食用タール色素に分類される合成着色料である。IUPAC名はTrisodium (4E)-5-oxo-1-(4-sulfonatophenyl)-4-[(4-sulfonatophenyl)hydrazono]-3-pyrazolecarboxylateである。また、黄色5号はサンセットイエローとも呼ばれ、橙色に着色することができるアゾ系の食用タール色素に分類される合成着色料である。IUPAC名はDisodium 6-hydroxy-5-[(4-sulfophenyl)azo]-2-naphthalenesulfonateである。本発明の内用液剤中における黄色4号あるいは黄色5号の含有量は、0.0003w/v%〜0.0025w/v%が好ましい。
本発明の内用液剤のpHは、2.5〜7.0の範囲、好ましくは3.0〜6.0の範囲であるpHを上記範囲に保つためには、必要に応じてpH調節剤を配合することができる。このpH調節剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、酢酸などの有機酸およびそれらの塩類、塩酸、リン酸などの無機酸およびそれらの塩類などが挙げられる。これらのpH調節剤は一種又は二種以上使用できる。
また、本発明の内用液剤には、本発明の効果を損なわない質的、量的範囲で、上記以外の成分、例えばジメモルファン以外の鎮咳剤、去痰剤、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、甘味剤、保存剤、着色剤、pH調節剤、溶解補助剤、抗酸化剤、香料、溶剤などの内用液剤に一般に使用される成分を配合することができる。
本発明に関わる内用液剤は常法により調製でき、その方法は特に制限されないが、通常、各成分を規定量以下の精製水にて混合し、規定量に容量調整し、必要に応じてろ過、殺菌処理をすることで得られる。
本発明の内用液剤は、例えばシロップ剤を含む内用液剤等の医薬品に適用できる。
以下に実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
内用液剤の製造:
表1〜3に示す内用液剤を製造した。表1〜3に示す成分を適量の精製水に溶解した後、クエン酸及びクエン酸ナトリウムでpHを4.5に調整し、更に精製水を加えて100mLとした。これらをガラス瓶に充填してキャップを施し、内用液剤(実施例1〜18、参考例1〜3、比較例1〜4)を得た。
試験例1:風味評価
実施例1〜18及び参考例1〜3及び比較例1〜4の内用液剤を専門パネル3名により、下記の評価項目及び評価基準にて風味を評価した。
試験例2:安定性試験(性状、色の変化)
実施例1〜18、参考例3、及び比較例1〜4の内用液剤を65℃恒温槽にて1週間保管した。1週間保管後の性状及び色の変化を専門パネル3名により下記の評価項目及び評価基準にて性状及び色の変化を評価した。
試験例1、2の結果を表1〜3に示した。
Figure 0006446930
Figure 0006446930
Figure 0006446930
評価基準(性状)
○:濁り、浮遊物、沈殿なし
×:濁り、浮遊物、沈殿あり
評価基準(色の変化)
○:変化なし
△:やや変化する
×:変化あり
評価基準(風味)
0点:苦味を非常に強く感じる
1点:苦味をかなり感じる
2点:苦味を感じる
3点:苦味をやや感じる
4点:苦味をわずかに感じる
5点:苦味を感じない
表1〜3に示した通り、参考例1、2のスクラロースのみを配合した液剤又は白糖のみを配合した液剤は苦味の抑制効果が小さかった。一方、参考例3のスクラロースと白糖の両方を配合した液剤は苦味の抑制効果が大きいという結果であったが、65℃1週間の保管で褐変や退色が認められた。
還元糖、高甘味度甘味料、黄色4号又は黄色5号を配合した実施例1〜18の液剤は、65℃1週間保管後、濁り、浮遊物、沈殿及び色の変化が認められず、さらに苦味が抑制されたといった結果であった。一方、着色剤としてカラメル又は赤色3号を配合した比較例1、2の液剤は、沈殿や濁りが認められ、カルミン又は赤色2号を配合した比較例3、4の液剤は、褐変や退色が認められた。
本発明により、ジメモルファンを含有する内用液剤の苦味を低減しながら、製剤の性状や色の変化を改善することが可能となったため、商品性の高いジメモルファン含有液剤を提供することができる。

Claims (1)

  1. A)ジメモルファンおよび/またはその塩、B)白糖、C)スクラロース、並びにd)黄色4号又は黄色5号を含有することを特徴とする内用液剤。
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