JP6446827B2 - 分析装置 - Google Patents
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Description
まず、分析装置の他のユーザによる不慮の介入行為の例を考える。上記の電源OFF状態にある分析装置は、直近に行われた分析のオペレータであるユーザ(以下「先のユーザ」と称す)ではない別のユーザ(以下「後のユーザ」と称す)にとって、先のユーザによる分析作業の途中であるのか、誰にも使用されていない(又は分析作業が完了した後に放置されている)空き状態であるのかが一見では判別できない。そのため、新たな分析作業の準備のために当該分析装置の操作部から設定条件や較正情報の変更を行ってよいか否かが分かり難く、この判断を後のユーザが誤ったことにより、上記中断されていた分析作業の再開後に好ましくない影響がもたらされることがある。
該分析部を制御するための入力操作を使用者が行うための操作部と、
前記制御用コンピュータとの通信を行う通信部と、
該通信部と前記制御用コンピュータとの通信が接続状態にあるとき、前記操作部を介して行われた入力操作を無効とする操作ロック部と
を備えることを特徴とする。
分析装置の分析部の制御は制御用コンピュータを介して行われることが一般的であることから、制御用コンピュータの制御下にある分析部を操作部から制御しようとする行為は、他者による介入行為である危険性が高いと考えられる。従って、制御用コンピュータの制御下にあるときに操作部からの制御を不可能とすることにより、分析部に対する故意又は過失による介入行為を防止することができる。
そこで、前記制御用コンピュータを介した指示に従って、前記待機状態にある前記分析部が、該待機状態から分析可能な状態に到達するための準備状態に移行するように構成された分析装置においては、前記特定の動作状態に、前記準備状態が含まれるように構成すると良い。このような構成によれば、他者による介入を防止しながら、制御用コンピュータの使用開始時にすぐに分析を開始することができる。
図1に示すように、分析装置1はタッチパネル11(本発明の操作部に相当)、ソフトスイッチ12、制御部20、分析部30、表示部40、記憶部50及び通信部60を備える。
「主電源OFF」は電力供給が完全に絶たれた状態であり、分析装置1は一切の入力操作や外部装置からの制御を受け付けない。「スタンバイ」は電力消費や部品の消耗を抑えるための省電力モードであり、CPUやメモリ等が搭載された一部の基板にのみ待機電力が供給されている状態である。「スタンバイ」が本発明の待機状態に相当する。なお、スタンバイ中も分析装置1と制御用コンピュータ2との接続は維持されるが、表示部40への電力供給は絶たれるため、画面は主電源OFF時と同様ブランクとなる。「安定化」は、カラムや光源が分析に適した状態で安定するまでの準備状態である。「レディ」は、安定化が完了し、使用者が任意のタイミングで分析を開始できる状態である。「分析」は、LCであればカラムへの移動相の導入、試料の採取・注入、吸光度検出等を含む種々の動作が行われている状態である。分析装置1が安定化・レディ・分析にあるときは、表示部40の画面上に現在設定されている分析の各種条件が所定の分析制御用アプリケーションの表示画像として表示されてもよい。
これらの他に、例えば制御用コンピュータ2を介した分析条件の設定がなされていない状態で分析装置1が起動したときの動作状態として、表示部40の画面上に上記分析制御用アプリケーションの画像を表示するとともにタッチパネル11に対するユーザのタッチ操作を受け付ける「ニュートラル」があってもよい。
上記動作状態のうち「主電源OFF」「スタンバイ」「ニュートラル」は分析部30を含む分析装置1全体の動作状態であり、「安定化」「レディ」「分析」は分析部30の動作状態である。
ソフトスイッチ12は、ソフトウェアにより制御されるスイッチであり、ユーザによってソフトスイッチ12が押下されると、押下信号が制御部20に出力される。ソフトスイッチ12の押下は分析装置1のスタンバイを解除するトリガとなる他、ソフトスイッチ12がロックされていないときには分析装置1をスタンバイに移行させるトリガとなる。
さらに、本体部100の側面又は背面には、主電源のON/OFFを切り替えるための主電源スイッチ110が備えられている。主電源スイッチ110は例えばロッカースイッチや押ボタンスイッチ等によって実現される。ユーザは主電源スイッチ110を操作することで、分析装置1の動作状態によらず主電源を落とすことができる。主電源スイッチ110が操作される状況としては、緊急にメンテナンスの必要性が生じた場合等が想定される。
分析部30は、制御部20による制御に従い所定の分析を実行するものである。分析部30は、オートサンプラ31とLC部32とを備える。
オートサンプラ31は、LC部32にて分析される試料を採取するものであり、1又は複数のサンプルラック101(図2参照)上にセットされた試料容器から試料を吸引するためのニードルを内部に備えている。
LC部32は、移動相容器に収容された移動相を送液する送液ポンプ102と、カラムを所定の温度に維持するためのヒータを備えたカラムオーブン103(いずれも図2参照)と、該カラムから順次溶出される試料成分を検出するための不図示の光源及び検出器とを含む。
制御部20は、図1に示すとおり、機能ブロックとして、操作ロック部21、分析制御部22、分析結果取得部23及び表示制御部24を備えている。
分析制御部22はまた、表示制御部24を介して表示部40の画面上に現在の設定値や所定のGUIボタン等を表示させる。そして、所定のGUIボタンの表示領域内でのタッチパネル11に対するタッチ操作を示す入力信号を操作ロック部21から取得したときには、該入力信号に基づき設定値を変更したり、所定の駆動信号を出力したりする。すなわち、分析装置1はタッチパネル11を介した入力操作によっても分析を実行可能な構成となっている。この構成は主に分析装置1のメンテナンスにおいて、ユーザが装置の動作を目視で確認しながら設定値を変更するために用いられる。
図3に示すフローチャートを参照して、操作ロック部21によるタッチパネル11のロック処理及びロック解除処理の流れの一例について説明する。
図4に示すフローチャートを参照して、操作ロック部21によるソフトスイッチ12のロック処理及びロック解除処理の流れの一例について説明する。いま、制御用コンピュータ2を介した制御によって、分析装置1が或る動作状態から別の動作状態に移行したものとする。
なお、上記所定の動作状態は分析装置1の製造時に設定されてもよいし、ユーザによる変更が可能であってもよい。ユーザによる変更は制御用コンピュータ2を介してなされることが望ましいが、特定の操作を行うことによりタッチパネル11から可能としてもよい。後者の場合は、例えば複数点のマルチタッチや、所定のパスワードを入力することによって変更を許可する構成とすることにより、誤操作等によりソフトスイッチ12をロックする条件が変更されることを防止できる。
本実施形態において、上記所定の動作状態、すなわち分析装置1がソフトスイッチ12をロックする条件となる動作状態を「安定化」「レディ」「分析」の3状態と定めた一実施例について、以下に説明する。図5は、制御用コンピュータ2の制御下で分析作業が行われる際の、分析装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。いま、ユーザが事前に制御用コンピュータ2上で分析条件の設定を完了しており、その後分析装置1をスタンバイにて待機させている。なお、分析装置1は制御用コンピュータ2と接続されているため、図3を参照して説明した上述の処理によってタッチパネル11は常にロックされている。
一方、制御用コンピュータ2からのスタンバイ解除指示及びソフトスイッチ12の押下のいずれも検出されなかった場合(ステップS301及びステップS302の両方でNo)、これらのいずれかが検出されるまで分析装置1はスタンバイを維持する。
なお、制御用コンピュータ2からのスタンバイ解除指示はユーザによる能動的な指示に限定されず、例えば制御用コンピュータ2上で動作する分析制御用アプリケーションの起動をスタンバイ解除指示として、安定化への移行トリガとしてもよい。
また、分析装置1が制御用コンピュータ2と接続状態にあるときタッチパネル11は常にロックされているので、他者がこのタッチパネル11を操作して分析結果に干渉する介入行為が効果的に防止される。
分析作業を中断していたユーザは、該分析作業の再開前に、例えばサンプルラック101にセットされた試料が変更されていないか等の確認を目視で行うために、分析装置1の設置場所まで移動することがある。確認の結果、分析作業の再開が可能であると判断された場合に、本構成によればユーザはソフトスイッチ12を押下して分析装置1のスタンバイを解除することができ、時間のかかる安定化の間に制御用コンピュータ2の設置場所まで移動することで分析作業の効率化が図られる。
また、図5ではスタンバイ状態からフローチャートを開始しているが、主電源OFF状態にある分析装置1が主電源スイッチ110の操作により主電源ONとなった場合は、スタンバイを経ずに安定化に移行する(ステップS303)ことが好ましい。
図3に示すロック及びロック解除処理は、分析装置1が制御用コンピュータ2を介した指示の下で所定の分析を実行するという通常の使用状況を想定したものである。しかし、例えば分析の実行中に順次得られたデータをユーザが確認したところ、データが想定していたものと明らかに異なっていたり、ノイズが大き過ぎたりする場合、しばしば分析装置の不具合が疑われる。そのような状況では、ユーザは離れた場所に設置された制御用コンピュータ2からではなく、分析装置1に設けられたタッチパネル11を操作しながら分析部30の各部を制御し、分析装置1の動作を目視で確認したいと考える。こうした場合に、タッチパネル11のロックを解除又は防止するために分析装置1と制御用コンピュータ2との通信を毎回切断することは効率的でない。そこで、図7に示すように、制御用コンピュータ2からのロック解除指示によって、ユーザが任意にタッチパネル11のロックを解除できる構成とすることが好ましい。ロック解除の必要性がなくなれば、制御用コンピュータ2からのロック指示により再びロックを有効とすればよい。なお、本構成のロック解除指示は、上記所定の動作状態におけるソフトスイッチ12のロックも禁止するものであることが好ましい。
安定化には時間がかかることが多く、例えばLC部32の光源の安定には60〜90分程度を要する。そこで、安定化による待ち時間の発生を防ぐための応用例として、分析装置1は、制御用コンピュータ2が事前に指定した時刻にスタンバイを解除して安定化に移行してもよい。
図8を参照して具体例を説明する。まず、分析制御部22が通信部60を介して制御用コンピュータ2から所定の分析に係る分析条件を取得し(ステップS401)、該分析条件に安定化開始時刻Tが含まれているか否かを判定する(ステップS402)。含まれていなければ(ステップS402でNo)、図5に示すステップS203にて安定化に移行する。一方、ステップS401にて取得した分析条件に安定化開始時刻Tが含まれていた場合(ステップS402でYes)、分析制御部22は、すぐに安定化に移行せず、現在時刻tが安定化開始時刻Tと一致した時点で(ステップS403でYes)、ステップS303(図5)にて安定化を開始する。
本応用例によれば、ユーザは、分析を開始する予定時刻から安定化に要する時間を逆算し、該逆算結果を分析装置1の安定化への移行時刻とすることで、制御用コンピュータ2の使用開始時にすぐに分析を開始することができる。
上述の実施形態では、操作ロック部21は、分析装置1が或る動作状態から別の動作状態に移行する際に分析制御部22が出力する移行信号から、分析装置1の現在の動作状態を特定しソフトスイッチ12をロックするか否かを都度判定する構成として説明を行った。別の構成例として、操作ロック部21は、一連の分析作業に係る複数の動作状態のうち、必ず最初に取られる1の動作状態への移行信号をソフトスイッチロック状態への移行トリガとしてもよい。例えば、上述の実施例では分析装置1は新規に分析を開始する際、及びスタンバイからの分析再開時には必ず準備段階としての安定化を経ることとなる。従って、安定化への移行時に出力される移行信号を検出したときにソフトスイッチロック状態に移行するよう、操作ロック部21を構成してもよい。このような構成では、操作ロック部21は例えばスタンバイへの移行時の移行信号をソフトスイッチロック状態の解除トリガとすればよい。
このように操作ロック部21がロックする入力操作を限定することで、分析作業の実行中であっても、分析に影響しない、例えば分析結果や適用中の分析条件の閲覧のみであれば、タッチパネル11からの入力操作によって可能とすることができ、ユーザにとっての利便性が高まる。
11…タッチパネル
110…主電源スイッチ
12…ソフトスイッチ
2…制御用コンピュータ
20…制御部
21…操作ロック部
22…分析制御部
23…分析結果取得部
24…表示制御部
30…分析部
31…オートサンプラ
32…LC部
40…表示部
50…記憶部
601…通知画像
60…通信部
Claims (5)
- 動作状態として、通常電力が供給されており、試料に対する所定の分析を実行している分析状態と、前記通常電力よりも低電力である待機電力が供給されており、分析の実行が不能な状態である待機状態を備えた分析装置において、
前記分析状態及び前記待機状態のいずれにおいても、制御用コンピュータとの接続を確立することで該制御用コンピュータと通信可能な状態となり、前記制御用コンピュータとの接続を遮断することで該制御用コンピュータと通信不能な状態となる通信部と、
前記通信部を介して前記制御用コンピュータと接続され、該制御用コンピュータを介した制御指示に従って前記所定の分析を実行する分析部と、
前記分析部を制御するための入力操作を使用者が行うための操作部と、
前記通信部と前記制御用コンピュータとの接続が確立しているか遮断されているかを判定すると共に、前記接続が確立していると判定した場合は、前記分析状態及び前記待機状態のいずれにおいても、前記操作部を介して行われた入力操作を無効とし、該接続が遮断されていると判定した場合には、前記分析状態及び前記待機状態のいずれにおいても、前記操作部を介して行われた入力操作を有効とする操作ロック部と、
を備えることを特徴とする分析装置。 - 前記制御用コンピュータを介して使用者によるロック解除指示が行われたとき、前記操作ロック部は、前記操作部を介した入力操作を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
- 前記動作状態として、通常電力が供給されており、前記分析部が分析に適した状態で安定するまでの準備状態である安定化状態と、通常電力が供給されており、前記分析部の安定化が完了して分析を開始できる状態であるレディ状態とをさらに含み、
前記動作状態を、前記待機状態から前記安定化状態へと遷移させるための入力操作、又は前記安定化状態、前記レディ状態、若しくは前記分析状態のいずれかの状態から前記待機状態へと遷移させるための入力操作を使用者が行うためのソフトスイッチと、
前記通信部と前記制御用コンピュータとの接続が確立しており、且つ前記動作状態が、前記安定化状態、前記レディ状態、又は前記分析状態のいずれかの状態である場合には、前記ソフトスイッチを介して行われた入力操作を無効とし、前記接続が遮断されている場合、及び前記接続が確立しており、且つ前記動作状態が前記待機状態である場合には、前記ソフトスイッチを介して行われた入力操作を有効とするソフトスイッチロック部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の分析装置。 - 前記通信部と前記制御用コンピュータとの接続が確立しており、且つ、前記動作状態が、前記安定化状態、前記レディ状態、又は前記分析状態のいずれかの状態である場合において、前記制御用コンピュータを介した指示に従って、前記安定化状態、前記レディ状態、又は前記分析状態のいずれかの状態から前記待機状態への遷移を行うことを特徴とする請求項3に記載の分析装置。
- 前記制御用コンピュータを介した指示に従って、前記待機状態から、前記安定化状態を経由して前記レディ状態に遷移するように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の分析装置。
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